JPH07250399A - 多孔質圧電セラミックス振動子とその製造方法 - Google Patents

多孔質圧電セラミックス振動子とその製造方法

Info

Publication number
JPH07250399A
JPH07250399A JP3993594A JP3993594A JPH07250399A JP H07250399 A JPH07250399 A JP H07250399A JP 3993594 A JP3993594 A JP 3993594A JP 3993594 A JP3993594 A JP 3993594A JP H07250399 A JPH07250399 A JP H07250399A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
porous
piezoelectric ceramic
layer
porous piezoelectric
ceramics
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP3993594A
Other languages
English (en)
Inventor
Susumu Kumamoto
進 熊本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Radio Co Ltd
Original Assignee
Japan Radio Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japan Radio Co Ltd filed Critical Japan Radio Co Ltd
Priority to JP3993594A priority Critical patent/JPH07250399A/ja
Publication of JPH07250399A publication Critical patent/JPH07250399A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Transducers For Ultrasonic Waves (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】送波時に通常の無孔質圧電セラミックスと同等
の注入電力密度を有するが、受波時に送波注入電力密度
に無関係に体積空孔率を選択でき、従って受波感度を大
幅に向上することができる多孔質圧電セラミックス振動
子を提供する。 【構成】所定の体積空孔率を有する多孔質圧電セラミッ
クス層(12、13)内の、半波長共振時の節平面を含
む近傍を、所定の体積空孔率より小さい体積空孔率を有
する緻密な圧電セラミックス層(11)により置換して
多層一体構造(10)とする。この場合、多孔質セラミ
ックス層と緻密なセラミックス層の間に中間的な空孔率
を有するセラミックス層をさらに設けてもよく、またこ
の中間的な空孔率を有するセラミックス層が互いに空孔
率が異なる複数のセラミックス層から構成されていても
よい。この複数のセラミックス層の空孔率が緻密なセラ
ミックス層からの距離に応じて階段状に増大してもよ
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は多孔質圧電セラミックス
振動子とその製造方法に関し、特に体積空孔率が異なる
複数の圧電セラミックス層を一体に焼結してなる多層一
体構造の多孔質圧電セラミックス振動子とその製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】圧電セラミックス中に空孔を分散させた
多孔質圧電セラミックスでは圧電定数が通常の無孔質圧
電セラミックスよりも大きく取れることを利用して、医
療および水中超音波機器の高感度振動子として利用され
ている。
【0003】多孔質圧電セラミックスは、無孔質圧電セ
ラミックス母材中に多数の微細な空孔を均一に分散させ
た構造を有し、その電気的、圧電的および機械的特性は
当該多孔質圧電セラミックスの体積空孔率に大きく依存
する。
【0004】図4に、多孔質圧電セラミックスの曲げ強
度、圧電定数g33およびd33(ともに縦軸)と体積空孔
率(横軸)との関係を示す。これから分かるように、多
孔質圧電セラミックスの圧電定数g33と曲げ強度の空孔
率依存性には二律背反の傾向があり、この多孔質圧電セ
ラミックスを送受兼用の振動子に応用する場合、幾つか
の制約が生じる。
【0005】すなわち、振動子の受波感度を大きく取る
には空孔率を上げる必要があるが、逆に送波時の注入電
力密度を大きく取るには曲げ強度を上げるために空孔率
を下げる必要がある。しかし、実用上、空孔率は所定の
注入電力密度(W/cm2 )を得るのに必要な曲げ強度
によって一義的に決定されるので、受波感度を向上させ
るため空孔率を任意に選ぶことができない。
【0006】図7に、上記の多孔質圧電セラミックスを
用いた従来の送受兼用振動子の構造を示す。すなわち、
この送受兼用振動子1は、上述の多数の微細な空孔3を
有する円板形の多孔質圧電セラミックス層2と、これを
上下から挟む銀電極4とから構成され、通常の圧電振動
子における無孔質圧電セラミックス層を多孔質圧電セラ
ミックス層2で置き換えた構造を有する。
【0007】この振動子はセラミックス層の両端面を
腹、中央面を節として、図中細い矢印で示す方向に半波
長縦振動を行い、電極面に対して垂直方向に音波を放射
する。また、この方向の音波を受波して太い矢印の方向
に電圧を発生する。その感度は通常の無孔質圧電セラミ
ックス振動子より受波感度で3dB大きく(0dB=1
V/μPa)、送波感度はほぼ同等である。
【0008】しかしながら、上記の多孔質圧電セラミッ
クスを用いた従来の送受兼用振動子では、受波感度を向
上させるために空孔率を任意に選ぶことができないとい
う上述の問題点に加えて、規定の送波注入電力密度以上
の大きなパワーで連続駆動すると特性が経時的に劣化す
るという問題点がある。これは、多孔質圧電セラミック
スの共振時に節部に生じる応力集中によってクリープを
生じるためである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は多孔質
圧電セラミックスを用いた従来の送受兼用振動子の上記
の問題点を解決し、送波時には通常の無孔質圧電セラミ
ックスと同等の注入電力密度を有するが、受波時には送
波注入電力密度に無関係に体積空孔率を選択でき、従っ
て受波感度を大幅に向上することができる多孔質圧電セ
ラミックス振動子とその製造方法を提供することを目的
とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明に係る多孔質圧電セラミックス振動子で
は、所定の体積空孔率を有する多孔質圧電セラミックス
層内の半波長共振時の節平面を含む近傍を、前記所定の
体積空孔率より小さい体積空孔率を有する緻密な圧電セ
ラミックス層により置換して多層一体構造としたことを
特徴とする。
【0011】この場合、緻密な圧電セラミックス層は実
質的に無空孔のものを含み、さらに多孔質セラミックス
層と緻密なセラミックス層の間に、中間的な空孔率を有
するセラミックス層を設けてもよい。またこの中間的な
空孔率を有するセラミックス層が、互いに空孔率が異な
る複数のセラミックス層から構成されていてもよく、こ
の複数のセラミックス層の空孔率が緻密なセラミックス
層からの距離に応じて階段状に増大してもよい。
【0012】さらに上記の目的を達成するために、本発
明に係る多孔質圧電セラミックス振動子の製造方法で
は、空孔形成材料としての微小球状体を所定の割合で含
む圧電セラミックス粉末の泥状物をシートに成形し、所
定の各空孔率に対応するシートを所定の順序で積層して
多層構造のグリーン体を成形し、このグリーン体を低温
焼成して前記微小球状体を焼失させ、このグリーン体を
さらに高温焼成して一体に焼結することを特徴とする。
【0013】上記の製造方法に用いる空孔形成材料に
は、合成樹脂製の微小球状体が好適である。
【0014】
【作用】本件発明者の知見によれば、多孔質圧電セラミ
ックス振動子における送波時の注入電力密度は、多孔質
圧電セラミックス層の半波長共振時の節平面近傍(厚さ
方向の中央部分)における応力集中により制限され、節
平面近傍以外の部分の空孔率にはほとんど依存しない。
また逆に、多孔質圧電セラミックス振動子の受波感度は
節平面から離れた部分の空孔率に大きく依存し、節平面
近傍部分の空孔率にはほとんど依存しない。
【0015】本発明はこのような知見に基づくものであ
って、本発明の多孔質圧電セラミックス振動子では、多
孔質圧電セラミックス層の半波長共振時の節平面位置に
機械的強度の大きい無空孔または緻密なセラミックス層
を配置して駆動時に節平面近傍に生じる応力集中に対抗
できる機械的強度を付与する。その結果、通常の無空孔
セラミックス層を用いる圧電振動子とほぼ同等の送波注
入電力密度を実現することができる。
【0016】ただし、上記の緻密セラミックス層は無空
孔のものに限られず、所要の送波注入電力密度を実現で
きる限りにおいて適当な体積空孔率のセラミックス層を
選択することができる。なお、空孔率が文字通り0%で
ある圧電セラミックスは存在せず、無空孔という場合で
も実際には2〜3%程度の空孔率がある。
【0017】また、送波注入電力密度が緻密セラミック
ス層以外の部分の空孔率にほとんど依存しなことに着目
すれば、受波感度を向上させるためには緻密セラミック
ス層以外の部分の空孔率を適当に選択すればよいことが
分かる。
【0018】この場合、多孔質圧電セラミックス振動子
と負荷媒体(水の場合が多い)との間の音響整合性は、
媒体に接する圧電セラミックス層の音響インピーダンス
が低いほど良好である。そして圧電セラミックス層の音
響インピーダンスは当該層の密度が低いほど、すなわち
その体積空孔率が大きいほど低くなる。従って、多孔質
圧電セラミックス振動子の最外層の体積空孔率は大きい
値が望ましい。
【0019】しかしながら、体積空孔率の異なる圧電セ
ラミックス層は焼成時の収縮率が異なるため、中央部分
の緻密セラミックス層に体積空孔率が大きい多孔質圧電
セラミックス層を隣接して配置すると、焼成時にクラッ
クを生じる場合がある。
【0020】このような場合には、中央部分の緻密セラ
ミックス層の近くには体積空孔率が比較的小さい層を配
置し、緻密セラミックス層から離れるに従って体積空孔
率を徐々に増大させるとよい。つまり多層構造にするこ
とにより、製造時にクラックを生じることなく、負荷媒
体との間の音響整合性が良好な多孔質圧電セラミックス
振動子を得ることができる。
【0021】本発明に係る多孔質圧電セラミックス振動
子の製造方法において採用した合成樹脂製の微小球状体
は、焼成時に完全に消失し、多孔質圧電セラミックス層
に均一なサイズの空孔を与える点、および体積空孔率を
正確にコントロールすることができる点から好適であ
る。
【0022】
【実施例】本発明に係る多孔質圧電セラミックス振動子
について実施例2例を挙げ、添付の図1および図2を参
照しながら説明する。なお、各実施例とも共通に、常用
する基本振動モードにおける周波数200kHz、直径
50mmの円板形振動子であり、図中、空孔を参照符号
3で、銀電極を参照符号4で示す。 (第1実施例)図1において参照符号10は第1実施例
に係る3層型多孔質圧電セラミックス振動子、11は無
孔質圧電セラミックス層、12、13は多孔質圧電セラ
ミックス層を示す。この圧電セラミックス振動子10を
構成する圧電セラミックス層を図で上から第1、第2お
よび第3層、波長をλとすると、それぞれ次のようであ
る。
【0023】第1層:体積空孔率28%、厚さ0.2λ 第2層:無空孔、厚さ0.1λ 第3層:体積空孔率28%、厚さ0.2λ この圧電セラミックス振動子10の特性は次の通りであ
った。
【0024】注入電力密度:30W/cm2 送波感度:従来の無孔質圧電セラミックス振動子と同等
であった。
【0025】受波感度:従来の無孔質圧電セラミックス
振動子より3dB大であった。
【0026】(ただし、0dB=1V/μPa) なお、多孔質圧電セラミックス層の体積空孔率28%は
上記受波感度を実現するように選択された。各セラミッ
クス層間の焼成時の半径方向収縮率の差は2%以内で、
クラックを生じることはなかった。 (第2実施例)図2において参照符号20は第2実施例
に係る5層型多孔質圧電セラミックス振動子、21は無
孔質圧電セラミックス層、22〜25は多孔質圧電セラ
ミックス層を示す。この圧電セラミックス振動子20を
構成する圧電セラミックス層を上から第1乃至第5層、
波長をλとすると、それぞれ次のようである。
【0027】 第1層:体積空孔率28%、厚さ0.15λ 第2層:体積空孔率14%、厚さ0.05λ 第3層:無空孔、厚さ0.1λ 第4層:体積空孔率14%、厚さ0.05λ 第5層:体積空孔率28%、厚さ0.15λ この圧電セラミックス振動子20の特性は次の通りであ
った。
【0028】注入電力密度:30W/cm2 送波感度:通常の無孔質圧電セラミックス振動子と同等
であった。
【0029】受波感度:通常の無孔質圧電セラミックス
振動子より3dB大であった。
【0030】(ただし、0dB=1V/μPa) なお、上記多孔質圧電セラミックス層の体積空孔率は上
記受波感度を実現するように選択された。また各セラミ
ックス層間の焼成時の半径方向収縮率の差は1%以下
で、クラックを生じることはなかった。
【0031】上記の第1、第2実施例に係る多孔質圧電
セラミックス振動子10および20によれば、以下の効
果が得られる。
【0032】すなわち、この振動子10または20では
多孔質圧電セラミックス層12、13または22〜25
の半波長振動時の節平面を含む近傍に元来機械的強度の
大きい無孔質セラミックス層11または21を設けるこ
とにより、従来の無孔質セラミックス層を用いる圧電セ
ラミックス振動子とほぼ同等の送波注入電力密度を実現
することができる。
【0033】また上記の振動子10または20では、上
記無孔質セラミックス層11または21以外の部分の空
孔率として大きい値を選択することにより、送波注入電
力密度に影響を与えることなく、従来の無孔質セラミッ
クス層を用いる圧電振動子よりも受波感度を向上させる
ことができる。
【0034】さらに、この振動子10または20では多
孔質セラミックス層12、13または22〜25と無孔
質セラミックス層11または21とが一体として焼結さ
れているので、通常の圧電素子と同様に取り扱うことが
でき、従って単一の多孔質圧電セラミックス振動子とし
て広範な応用が期待できる。
【0035】次に、本発明に係る多孔質圧電セラミック
ス振動子を製造する方法について一実施例を挙げ、添付
の図3、図5および図6を参照しつつ説明する。 (製造方法の実施例)図3は本製造方法の実施例として
の多孔質圧電セラミックス振動子の製造工程図である。
【0036】先ず、調合工程(S1)において各所要量
の所要材料を取り揃える。本実施例で使用した圧電セラ
ミックス粉体は、市販の通称PZT圧電セラミックスと
呼ばれるチタン酸鉛・ジルコニア酸鉛固溶体の造粒粉で
ある。空孔形成用の微小球状体としては平均粒径30μ
mのポリメチルメタアクリレート(PMMA)粉体を用
いた。また溶剤はバインダー、分散剤、可塑剤その他を
含む。
【0037】図5は混合されるPMMA粉体の重量%
と、生成される多孔質圧電セラミックス層の体積空孔率
(%)および密度(g/cm3 )との関係を例示する参
考図である。この図から、目的とする体積空孔率または
密度に対する微小球状体の所要混合割合を知ることがで
きる。
【0038】以上の諸材料を混合工程(S2)でよく混
合して均一な泥状物にする。なお、使用溶剤量が多くて
混合物が湿潤な泥状になる混合方法を湿式混合法と呼ぶ
が、溶剤が混合粉体粒子の表面を部分的にのみ覆う程度
にまで溶剤量を減らした乾式混合法も用いらる。
【0039】シート成形工程(S3)において、上記の
混合物から多孔質圧電セラミックス振動子の各セラミッ
クス層となる焼成前シート(グリーンシート)を作成す
る。この場合、焼成時の寸法収縮を考慮してシート寸法
を定めることが必要である。
【0040】図6はグリーンシートの微小球状体の混合
割合に対する厚さ方向、および半径方向の焼成時収縮率
の様子を例示する参考図である。この図ではスケールを
省略してあるが、いずれの場合も概ね数10%の収縮を
生じる。
【0041】湿式混合法の場合は揮発分が多いだけ焼成
時の寸法収縮も大きい。しかしグリーンシートの成形は
容易である。これに対して乾式混合法の場合は寸法収縮
が比較的小さいが、グリーンシートの成形に際して加圧
成形を行う必要がある。
【0042】以上のS1〜S3の工程は、製作するセラ
ミックス層の空孔率および寸法の種類に対応して必要回
数繰り返し実行される。
【0043】所要の空孔率および寸法を備えたグリーン
シートが作成されたならば、これらを所定の順序で積み
重ねて整形する積層整形工程(S4)を行う。この場
合、必要に応じて低温加熱、低圧加圧下で整形が行われ
る。
【0044】積層整形済の材料は、先ず第1焼成工程
(S5)において脱脂が行われ、溶剤成分および空孔形
成用の微小球状体が燃焼除去される。この段階の焼成条
件の一例を示せば400℃、40ないし80時間であ
る。この焼成温度は微小球状体の熱分解温度以上であっ
て、焼成時間は微小球状体が完全に消失してその跡が空
孔になるのに必要な時間である。
【0045】この実施例において採用した合成樹脂製の
微小球状体は、完全に消失して均一なサイズの空孔を与
える点、および体積空孔率を正確にコントロールできる
点から、従来用いられていたカーボン粒子よりも優れて
いる。
【0046】次に第2焼成工程(S6)が行われ、空孔
形成済の素材からセラミックス組織が生成され各層が一
体に結合される。この段階における焼成条件の一例を示
せば1270℃、1時間である。この場合体積空孔率が
大きく異なる多孔質圧電セラミックス層を相互に隣接し
て配置すると、焼成時にクラックを生じる場合がある。
【0047】その後、研磨工程(S7)において正確な
外形寸法が与えられ、さらに電極の焼付が行われる(S
8)。
【0048】最後にこの電極を用いて分極工程(S9)
が行われ、目的とする多孔質圧電セラミックス振動子が
完成する。この分極工程は素材を1kV/mmの電界の
下に約20分置くことにより永久分極を起こさせる工程
である。この工程を経ることにより、いわゆる電歪材料
として電場に反応して弾性変形を生じ、また逆に変形に
反応して電圧を発生する性質が素材に付与され、振動子
として機能するようになる。
【0049】上記説明した多孔質圧電セラミックス振動
子の製造方法の実施例によれば、以下の効果が得られ
る。
【0050】すなわち、この実施例では空孔形成材料と
して合成樹脂製の微小球状体を採用したことにより、第
1焼成工程において微小球状体が完全に消失して均一な
サイズの空孔が与えられ、また体積空孔率を、従来用い
られていたカーボン粒子の場合に比較してより正確にコ
ントロールすることができる。
【0051】また、この製造方法により製造される多孔
質セラミックス振動子により、上記振動子の実施例の項
で述べたような効果が得られる。
【0052】
【発明の効果】本発明の多孔質圧電セラミックス振動子
によれば、以下の効果が得られる。
【0053】すなわち、この振動子では多孔質圧電セラ
ミックス層の半波長振動時の節平面を含む近傍に元来機
械的強度の大きい緻密セラミックス層を設けたことによ
り、注入電力により駆動される場合に節平面に生じる応
力集中に対抗できる機械的強度が付与される結果、通常
の無孔質セラミックス層を用いる圧電振動子とほぼ同等
の送波注入電力密度を実現することができる。
【0054】また、上記の構造を採用した結果、この振
動子では送波注入電力密度が緻密セラミックス層以外の
部分の空孔率にほとんど依存しないので、緻密セラミッ
クス層以外の部分の空孔率を大きい値にすることによ
り、送波注入電力密度に影響を与えることなく、従来の
無孔質セラミックス層を用いる圧電振動子よりも受波感
度を向上させることができる。
【0055】さらに、この振動子では多孔質セラミック
ス層と緻密セラミックス層とが一体に焼結されているの
で、通常の圧電素子と同様に取り扱うことができ、従っ
て単一の多孔質圧電セラミックス振動子として広範な応
用が期待できる。
【0056】また、本発明に係る多孔質圧電セラミック
ス振動子の製造方法によれば、空孔形成材料として合成
樹脂製の微小球状体を採用したことにより、第1焼成工
程において微小球状体が完全に消失して均一なサイズの
空孔が得られ、また体積空孔率を、従来用いられていた
カーボン粒子の場合に比較してより正確にコントロール
することができる。さらに、この製造方法により製造さ
れる多孔質セラミックス振動子により、上記振動子の項
で述べたような効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る多孔質圧電セラミッ
クス振動子の構成図である。
【図2】本発明の第2実施例に係る多孔質圧電セラミッ
クス振動子の構成図である。
【図3】本製造方法の実施例としての多孔質圧電セラミ
ックス振動子の製造工程図である。
【図4】多孔質圧電セラミックスにおける曲げ強度、圧
電定数g33、d33と空孔率との関係を示す図である。
【図5】混合されるPMMA粉体の重量%と、生成され
る多孔質圧電セラミックス層の体積空孔率(%)および
密度(g/cm3 )との関係を例示する図である。
【図6】PMMA粉体の混合割合に対するグリーンシー
トの厚さ方向、および半径方向の焼成時収縮率の関係を
例示する図である。
【図7】従来の多孔質圧電セラミックス振動子の構成図
である。
【符号の説明】
1…従来の多孔質圧電セラミックス振動子 2…多孔質圧電セラミックス層 3…空孔 4…銀電極 10…第1実施例としての3層型多孔質圧電セラミック
ス振動子 11…無孔質圧電セラミックス層 12、13…多孔質圧電セラミックス層 20…第2実施例としての5層型多孔質圧電セラミック
ス振動子 21…無孔質圧電セラミックス層 22〜25…多孔質圧電セラミックス層

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】所定の体積空孔率を有する多孔質圧電セラ
    ミックス層内の半波長共振時の節平面を含む近傍を、前
    記所定の体積空孔率より小さい体積空孔率を有する緻密
    な圧電セラミックス層により置換して多層一体構造とし
    たことを特徴とする多孔質圧電セラミックス振動子。
  2. 【請求項2】請求項1記載の振動子において、前記緻密
    な圧電セラミックス層が実質的に無孔質であることを特
    徴とする多孔質圧電セラミックス振動子。
  3. 【請求項3】請求項1記載の振動子において、前記多孔
    質圧電セラミックス層と前記緻密な圧電セラミックス層
    の間に、前記多孔質圧電セラミックス層と前記緻密な圧
    電セラミックス層との中間の体積空孔率を有する多孔質
    圧電セラミックス層をさらに設けたことを特徴とする多
    孔質圧電セラミックス振動子。
  4. 【請求項4】請求項3記載の振動子において、前記中間
    の体積空孔率を有する多孔質圧電セラミックス層が、互
    いに体積空孔率が異なる複数の多孔質圧電セラミックス
    層からなることを特徴とする多孔質圧電セラミックス振
    動子。
  5. 【請求項5】請求項4記載の振動子において、前記複数
    の多孔質圧電セラミックス層の体積空孔率が、前記緻密
    な圧電セラミックス層からの距離に従って階段状に増大
    することを特徴とする多孔質圧電セラミックス振動子。
  6. 【請求項6】請求項1乃至5記載の振動子において、前
    記多孔質圧電セラミックス層と前記緻密な圧電セラミッ
    クス層、若しくは、これらと前記中間の体積空孔率を有
    する圧電セラミックス層とが一体に焼結されていること
    を特徴とする多孔質圧電セラミックス振動子。
  7. 【請求項7】請求項6記載の振動子を製造する方法であ
    って、 空孔形成材料としての微小球状体を所定の割合で含む圧
    電セラミックス粉末の泥状物をシートに成形し、 所定の各空孔率に対応する前記シートを所定の順序で積
    層して多層構造のグリーン体を成形し、 前記グリーン体を低温焼成して前記微小球状体を焼失さ
    せ、 前記グリーン体をさらに高温焼成して一体に焼結するこ
    とを特徴とする多孔質圧電セラミックス振動子の製造方
    法。
  8. 【請求項8】請求項7記載の製造方法において、前記微
    小球状体が合成樹脂製であることを特徴とする多孔質圧
    電セラミックス振動子の製造方法。
JP3993594A 1994-03-10 1994-03-10 多孔質圧電セラミックス振動子とその製造方法 Pending JPH07250399A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3993594A JPH07250399A (ja) 1994-03-10 1994-03-10 多孔質圧電セラミックス振動子とその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3993594A JPH07250399A (ja) 1994-03-10 1994-03-10 多孔質圧電セラミックス振動子とその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH07250399A true JPH07250399A (ja) 1995-09-26

Family

ID=12566811

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3993594A Pending JPH07250399A (ja) 1994-03-10 1994-03-10 多孔質圧電セラミックス振動子とその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07250399A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008535228A (ja) * 2005-04-01 2008-08-28 シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト 機械的な分離層を備えたモノリシックな圧電性の構成部分、並びに該構成部分を製造するための方法、並びに当該構成部分の使用
JP2008218716A (ja) * 2007-03-05 2008-09-18 Seiko Epson Corp 圧電素子、インクジェット式記録ヘッド、およびインクジェットプリンター
JP2011009755A (ja) * 2010-07-12 2011-01-13 Kyocera Corp アクチュエータ用圧電部材
JP2013197299A (ja) * 2012-03-19 2013-09-30 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 超音波厚みセンサ用酸化物系無機圧電材料焼結体の分極処理方法、焼結体、および分極処理装置
JP2017152468A (ja) * 2016-02-23 2017-08-31 東京応化工業株式会社 圧電素子、センサ、アクチュエータ、及び圧電素子の製造方法
US20170317269A1 (en) * 2014-11-12 2017-11-02 The Trustees Of Dartmouth College Porous piezoelectric material with dense surface, and associated methods and devices

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008535228A (ja) * 2005-04-01 2008-08-28 シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト 機械的な分離層を備えたモノリシックな圧電性の構成部分、並びに該構成部分を製造するための方法、並びに当該構成部分の使用
JP2008218716A (ja) * 2007-03-05 2008-09-18 Seiko Epson Corp 圧電素子、インクジェット式記録ヘッド、およびインクジェットプリンター
JP2011009755A (ja) * 2010-07-12 2011-01-13 Kyocera Corp アクチュエータ用圧電部材
JP2013197299A (ja) * 2012-03-19 2013-09-30 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 超音波厚みセンサ用酸化物系無機圧電材料焼結体の分極処理方法、焼結体、および分極処理装置
US20170317269A1 (en) * 2014-11-12 2017-11-02 The Trustees Of Dartmouth College Porous piezoelectric material with dense surface, and associated methods and devices
US10147870B2 (en) * 2014-11-12 2018-12-04 The Trustees Of Dartmouth College Porous piezoelectric material with dense surface, and associated methods and devices
JP2017152468A (ja) * 2016-02-23 2017-08-31 東京応化工業株式会社 圧電素子、センサ、アクチュエータ、及び圧電素子の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Tressler et al. Functional composites for sensors, actuators and transducers
Newnham et al. Composite piezoelectric transducers
Tressler et al. Piezoelectric sensors and sensor materials
Akdogan et al. Piezoelectric composites for sensor and actuator applications
Wersing et al. Dielectric, elastic and piezoelectric properties of porous PZT ceramics
Banno Recent developments of piezoelectric ceramic products and composites of synthetic rubber and piezoelectric ceramic particles
US4422003A (en) Perforated PZT polymer composites
US4330593A (en) PZT/Polymer composites and their fabrication
US6254708B1 (en) Shaped multilayer ceramic transducers and method for making the same
GB2068355A (en) Method of manufacturing interconnected porous ceramics
Safari et al. Development of fine‐scale piezoelectric composites for transducers
US4652784A (en) Trapped-energy mode resonator and method of manufacturing the same
JPH07250399A (ja) 多孔質圧電セラミックス振動子とその製造方法
JPS6193800A (ja) アレイ超音波アンテナの製作方法
Safari et al. Composite piezoelectric sensors
US6191523B1 (en) Tranducing composite of sintered piezoelectric ceramic granules in a polymer matrix
Bowen et al. Design, fabrication, and properties of sonopanelTM 1–3 piezocomposite transducers
JP2974815B2 (ja) 超音波振動子及びその製造方法
WO1998049866A1 (en) Low voltage piezoelectric transducer and method
JP3419327B2 (ja) 磁器材料及び超音波探触子及び圧電振動子及びそれらの製造方法
US3433982A (en) Piezoelectric ceramic resonators
JP3872547B2 (ja) 異方性3−3連結型の圧電複合材
JPS5885613A (ja) モノリシツク圧電磁器フイルタ
JPH0779221B2 (ja) チップ型圧電素子
Janas et al. Processing of 1‐3 Piezoelectric Ceramic/Polymer Composites