JPH072502Y2 - 薄板状体の供給装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、たとえばIC装置のリードフレーム等のような
薄板製品をその収納部から加工工程に供給するための装
置に関する。

〔従来の技術〕

従来から、IC装置の製造工場においては、生産効率向上
のために、各加工工程の自動化が促進されている。この
IC装置製造のリードフレーム（基盤）作成の過程では、
モールド工程が終了した基盤用の薄板状体はホッパ等の
容器にランダムに積み上げられて収納される。そして、
次工程にこれらの薄板状体を送り、必要とする加工を行
うが、容器から製品を取り出して後続のラインに送る工
程は手作業に頼っていた。つまり、次工程に廻すために
は、ランダムに積み上げられた製品の中から手作業によ
って１本ずつ取り出しているのが現状である。

〔考案が解決しようとする問題点〕

上記のような現状の中で、基盤用薄板状体の整理を自動
化する試みは種々行われてきている。しかしながら、簡
便な装置でしかも次工程に製品をパスさせるときに製品
に好ましくない撓みや曲げ等の変形及び過度な圧縮によ
る座屈や折損等を伴うことのない装置は未だ開発されて
いない。

本考案の目的は、かかる現状の中で、薄板状体の処理の
前後の工程と設備に何ら影響を与えることなく、揃えの
ための１枚,1枚の抽出作業を自動的に行うことができる
簡便な装置を提供することにある。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案の薄板状体の供給装置は、以上の目的を達成する
ために、薄板状体を投入して収納するホッパをほぼＶ字
状断面に形成して装置本体内部に設け、該ホッパの下端
を遊嵌状に貫通してほぼ鉛直方向に昇降駆動され前記収
納された薄板状体を抽出する抽出用スライダを備え、該
抽出用スライダは、その上端を水平方向に形成すると共
に前記薄板状体の長手方向の下端側の縁部が嵌まり込み
且つ上端側の縁部が上に突き出た姿勢に保持可能な溝を
全長に亘って備え、前記溝は上端側をほぼＶ字状に開く
と共に下端側を前記薄板状体の１枚の厚さより僅かに大
きくし且つＶ字状部分と下端側との間の幅方向を円弧状
とした開口縦断面を持ち、前記抽出用スライダのストロ
ーク方向の上方に該抽出用スライダが保持する前記薄板
状体の長手方向に移動可能なシフタを備え、該シフタに
前記抽出用スライダによって保持された前記薄板状体の
上端側の縁を拘束可能なチャックを前記抽出用スライダ
のストロークと同じ方向に移動可能に備えていることを
特徴とする。

〔実施例〕

以下、図面に示すIC装置のリードフレームのラインに配
置する装置を実施例として本考案の特徴を具体的に説明
する。

第１図は本実施例の装置を示す一部切欠正面図であり、
第２図から第４図にそれぞれ要部の平面図及び側面断面
図を示す。

装置本体１の内部には、薄板状のリードフレームＡを収
納するためのホッパ２を備え、上面にはホッパ２から抽
出したリードフレームＡを移送するシフタ３を備えると
共に、このシフタ３から移送されたリードフレームＡを
良品及び不良品に選別する選別装置４を設ける。

ホッパ２は、第３図に示すように、ほぼＶ字状断面を持
つ容器であり、装置本体１の上方から複数のリードフレ
ームＡが投入される。これらのリードフレームＡは、図
示のようにその姿勢が様々な状態でホッパ２内に収納さ
れ、これらの中から１本ずつを抽出用スライダ５によっ
て取り出す。

抽出用スライダ５は、ホッパ２の下端部分を挿通し該ホ
ッパ２の中央域を上下に昇降可能なパネル状に形成され
る。また、この抽出用スライダ５は、装置本体１内に組
み込んだロッドレスシリンダ６に連結され、該ロッドレ
スシリンダ６の作動により鉛直方向に昇降する。更に、
抽出用スライダ５の上端は、第５図に拡大して示すよう
に、二つの頂点部50を形成し、これらの間に溝51を設け
た形状である。この溝51は、上端側をＶ字状に開放する
と共に下端側をリードフレームＡの厚さよりも僅かに大
きなスリット状の開口断面を持ち、Ｖ字状部分とこのス
リット部分との間には幅方向を円弧状にした断面形状と
している。このため、リードフレームＡの下端部が斜め
に入り込むような場合であっても、Ｖ字状部分から円弧
状部分にリードフレームＡが移動していくに連れてこの
円弧状部分に突き当たって姿勢が次第に鉛直姿勢に修正
され、下端のスリット部分に速やかに入り込む。

更に、ホッパ２の下端に抽出用スライダ５の挿通用とし
て開設された開口20は、第２図に示すように、凹部21及
び凸部22を順次配列した矩形波状の断面形状を持つ。そ
して、この開口20を上下方向に挿通する抽出用スライダ
５は、凹部21内に位置する突起52を左右の側部に設けて
いる。このような開口20及び抽出用スライダ５の配置に
より、抽出用スライダ５はホッパ２と接触することなく
且つリードフレームＡを噛み込むことなく上下の往復動
作を行う。また、抽出用スライダ５と開口20との間には
隙間ができるため、モールド後のリードフレームＡのバ
リ等はホッパ２の底部に溜ることなく下方に排出され
る。

装置本体１の上面に配置したシフタ３は、水平にガイド
3aを有し、このガイド3aに案内されて第１図において左
右方向へ移動可能な送り用ロッドレスシリンダ７をその
駆動源として備えている。そして、送り用ロッドレスシ
リンダ７には、フレーム８を一体化すると共に、該フレ
ーム８には鉛直方向へ移動可能な昇降用ロッドレスシリ
ンダ９を設けている。更に、昇降用ロッドレスシリンダ
９には、抽出されたリードフレームＡの２点を掴む一対
のチャック10が取り付けられる。これらのチャック10
は、二股のアーム10aをそれぞれ備え、空気圧駆動を利
用してこのアーム10aを開閉することによりリードフレ
ームＡを着脱可能である。また、一対のチャック10の中
間には、掴み取ったリードフレームＡを落し込むための
プッシャ11を設ける。このプッシャ11は、たとえばピン
シリンダ等を利用し、小さいストロークでリードフレー
ムＡを下方に圧下してその姿勢を正しい位置に保持す
る。

更に、シフタ３には、チャック10によって掴んだリード
フレームＡが１枚であるか否かを検出するセンサ12を設
ける。このセンサ12は、第３図に示すように、リードフ
レームＡの左右を挟む位置に設けられ、磁気式によって
リードフレームＡの厚さを検出してその枚数を検知でき
る。もし、２枚以上のリードフレームＡが抽出用スライ
ダ５によって移送されてこの枚数を検出したときは、抽
出用スライダ５を一旦下降させる。そして、再び上昇さ
せることにより、溝50に１枚のリードフレームＡが嵌ま
り込んだ状態としてシフタ３側に上昇させる制御を行
う。

上記のように、ホッパ２内にランダムに収納されたリー
ドフレームＡは、１枚ずつ抽出用スライダ５によって後
続のラインに接続したシフタ３に供給できる。このと
き、長尺のリードフレームＡであっても、抽出用スライ
ダ５の溝51にその下縁が嵌まり込んで抽出用スライダ５
と一体化した状態となる。したがって、シフタ３に対す
るリードフレームＡの姿勢は常に一定に保たれ、ランダ
ムな状態から後続ラインの供給が円滑に行えるように供
給することができる。

選別装置４は、シフタ３から供給されてくるリードフレ
ームＡを反転させる反転部4a,リードフレームＡが正し
い姿勢となっているかを確認する判別部4b,及び良品を
後続ラインへ及び不良品を外部にエジェクトする排出部
4cを備える。また、装置本体１の内部には、第４図に示
すように、前後方向に移動可能な排出送り用ロッドレス
シリンダ13を設けている。この排出送り用ロッドレスシ
リンダ13には、リニアボールスライド機構を備えたベー
ス14を連結し、該機構によって鉛直方向へ移動可能な昇
降ロッド15,16を支持している。そして、これらの昇降
ロッド15,16の駆動は、それぞれに配置したシリンダ装
置15a,16aによって行う。

昇降ロッド15,16は、一本のリードフレームＡの長手方
向に対応するように２個ずつの組み合わせであり、その
前後方向の配列ピッチ間隔は選別装置４の反転部4a,判
別部4b及び排出部4cのピッチに等しい。また、これらの
昇降ロッド15,16の上端には、リードフレームＡを寝た
状態に支持する受けブロック17,18を連結し、これらの
受けブロック17,18が共に装置本体１の上面から出没す
るようなストロークを昇降ロッド15,16に持たせてお
く。

ここで、前後方向に駆動する排出送り用ロッドレスシリ
ンダ13及び上下方向の駆動を行うシリンダ装置15a,16a
を作動させると、受けブロック17,18は水平及び鉛直方
向に運動する。つまり、第４図の状態から排出送り用シ
リンダ13によりベース14を前側へ移動させると、受けブ
ロック17,18は前進し、受けブロック17は排出部4cに及
び後方の受けブロック18は判別部4b方向へ移動する。こ
のとき、ストロークを設定すれば、反転部4a及び判別部
4b間を後方の受けブロック18が往復動作し、他方の受け
ブロック17は判別部4b及び排出部4c間を移動する。ま
た、この前後方向への往復動作に加えて、昇降ロッド1
5,16の昇降運動を合成させることにより、反転部4aから
判別部4bへの送り及び判別部4bから排出部4cへの送りを
同時に行うことができる。

また、反転部4aは、チャック10から落下したリードフレ
ームＡの上面が上を向く姿勢となるように後方の受けブ
ロック18に載せる構造を備える。すなわち、反転部4aの
両端には、リードフレームＡの両端が嵌まり込むピン19
aを持つ回転子19を備え、この回転子19の回転を利用し
てリードフレームＡの姿勢を必要とする方向へ変える。
一方の回転子19には、正逆回転可能な反転駆動用モータ
30の回転がベルト31により伝達される。なお、チャック
10から供給したリードフレームＡの表裏両面を適当なセ
ンサによって検出し、この検出信号に基づいて上面が上
を向くように反転駆動用モータ30の出力軸の回転方向を
制御する。

判別部4bは、反転部4aによって設定されたリードフレー
ムＡの上面が上を向いているかを判別するもので、この
判別手段としては上部に配置した形状検出用シリンダ32
を用いる。

更に、排出部4cは、判別部4bによってその姿勢が正しい
ものは後続のラインに排出され、不良のものは前方側へ
エジェクトされる。すなわち、排出部4c部分には、リー
ドフレームＡを後続ラインへ案内する凹溝33が形成さ
れ、良品の場合にはこの凹溝33に沿って製品が移送され
る。また、不良品は受けブロック17と連動して凹溝33の
上方まで突き出るプッシャ34によって装置本体１の前面
側に排出される。このプッシャ34は、第４図に示すよう
に上面が装置本体１の前方側へ向けて下に傾斜した形状
を持つ。そして、不良品の場合には、凹溝33より上側に
プッシャ34が突き出る姿勢となり、上面の傾斜によって
不良品を排出する。

以上のように、シフタ３から選別装置４に移送された１
枚ずつのリードフレームＡは、後続のラインへの供給に
備えて、その上下面を正しい姿勢に設定し且つ不良品を
ライン外へ排出する過程を経る。

上記構成において、抽出用ロッドレスシリンダ６の作動
により抽出用スライダ５が上昇し、ホッパ２内に投入さ
れているリードフレームＡを装置本体１の上面側に送
る。このとき、リードフレームＡは、抽出用スライダ５
の上端に設けた溝51内に嵌まり込み、第３図のように立
ち上げた姿勢となる。次いで、抽出用スライダ５が上昇
し、リードフレームＡがセンサ12部分に到達すると、こ
のセンサ12によってリードフレームＡが１枚であるか否
かが検出される。

抽出されたリードフレームＡは、昇降用ロッドレスシリ
ンダ９の下降によってチャック10に把持される。そし
て、送り用ロッドレスシリンダ７が作動し、フレーム８
が選別装置４側へ移動し、反転部4aの真上にリードフレ
ームＡが位置したときに停止する。この停止の後、リー
ドフレームＡの姿勢をセンサによって検出し、受けブロ
ック18に載せたときにその上面が上を向く姿勢となるよ
うに反転駆動用モータ30の回転方向を決定する。

次いで、チャック10による把持を解かれたリードフレー
ムＡは、回転子19のピン19aの間に挟まれた状態とな
り、反転駆動用モータ30の作動により必要とする方向に
ほぼ90度リードフレームＡが回転する。そして、この回
転した姿勢で、待機している受けブロック18の上に載
り、排出送り用ロッドレスシリンダ13の作動により判別
部4b方向へ送られる。この選別装置４でのリードフレー
ムＡの動きは、前述したように排出送り用ロッドレスシ
リンダ13及びシリンダ装置15a,16aの連動動作により、
連続的に行われる。

判別部4bでは、リードフレームＡは装置本体１の上面に
載る姿勢となり、形状検出用シリンダ32によって形状の
確認が行われる。このとき、形状の良否に応じてプッシ
ャ34が作動し、不良品はライン外へ排出され、良品は凹
溝33から後続のラインに供給される。

〔考案の効果〕

以上に説明したように、本考案の薄板状体の供給装置に
おいては、ホッパの底部を遊嵌状に貫通して上下に往復
動作する抽出用スライダを設け、この抽出用スライダの
上縁の全長に薄板状体が嵌まり込む溝を形成し、更に抽
出用スライダの上方には薄板状体を把持してライン方向
へ移送するシフタを備えると共にこのシフタには抽出用
シリンダのストローク方向と同じ向きに動作して薄板状
態を把持可能なチャックを備えている。このため、薄板
状体は抽出用スライダの溝に嵌まり込んだ状態でチャッ
ク側に上昇移送され、薄板状体はそのままの姿勢でチャ
ックによって後続ラインに送られることになり、長手方
向の曲がり等の変形を生じることなく円滑に搬送でき
る。

また、抽出用スライダの上端に設ける溝は、Ｖ字状に開
放すると共に下端部との間の部分を幅方向が円弧状にな
る開口断面としているので、薄板状体がＶ字状の開放部
分の斜め壁に沿って入り込むときでも、円弧状の部分が
薄板状体の下端を受けてその差込みと同時に鉛直姿勢に
次第に変えていくことができ、薄板状体の受け取りも速
やかに行われる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例として示した供給装置の一部切
欠正面図、第２図は同第１図のＩ−Ｉ線矢視図、第３図
は同II−II線矢視図、第４図は第２図のIII−III線矢視
図、第５図は抽出用スライダの上端部を拡大して示すも
のである。 1:装置本体、2:ホッパ 3:シフタ、4:選別装置 5:抽出用スライダ 6:抽出用ロッドレスシリンダ 10:チャック、20:開口 21:凹部、22:凸部 50:頂点部、51:溝 52:突起、A:リードフレーム

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】薄板状体を投入して収納するホッパをほぼ
   Ｖ字状断面に形成して装置本体内部に設け、 該ホッパの下端を遊嵌状に貫通してほぼ鉛直方向に昇降
   駆動され前記収納された薄板状体を抽出する抽出用スラ
   イダを備え、 該抽出用スライダは、その上端を水平方向に形成すると
   共に前記薄板状体の長手方向の下端側の縁部が嵌まり込
   み且つ上端側の縁部が上に突き出た姿勢に保持可能な溝
   を全長に亘って備え、 前記溝は上端側をほぼＶ字状に開くと共に下端側を前記
   薄板状体の１枚の厚さより僅かに大きくし且つＶ字状部
   分と下端側との間の幅方向を円弧状とした開口縦断面を
   持ち、 前記抽出用スライダのストローク方向の上方に該抽出用
   スライダが保持する前記薄板状体の長手方向に移動可能
   なシフタを備え、 該シフタに前記抽出用スライダによって保持された前記
   薄板状体の上端側の縁を拘束可能なチャックを前記抽出
   用スライダのストロークと同じ方向に移動可能に備えて
   いる ことを特徴とする薄板状体の供給装置。