JPH0724841A - ポリウレタン成形用の型とその製造方法 - Google Patents

ポリウレタン成形用の型とその製造方法

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JPH0724841A
JPH0724841A JP28610191A JP28610191A JPH0724841A JP H0724841 A JPH0724841 A JP H0724841A JP 28610191 A JP28610191 A JP 28610191A JP 28610191 A JP28610191 A JP 28610191A JP H0724841 A JPH0724841 A JP H0724841A
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宏 沢
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 型本体1のキャビティ面に、水および/また
はアルコールに親和性の構成部分を保有するセラミック
層で被覆されてセラミック層2が形成されている型。 【効果】 脱型前に水および/またはアルコール含有気
体または液体を導入すると、離型剤を塗布せずに容易に
離型することができ、従来の多量の離型剤の使用に伴う
問題点が解消される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、シートクッションなど
のポリウレタン発泡成形品およびウレタンバンパ等のウ
レタンRIM(反応射出成形)成形品を含むポリウレタ
ン成形品の製造に有用な、ポリウレタン成形用の型とそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリウレタン(以下、ウレタンと略記す
る)は、幅広い性質を示し、多様な用途に利用されてい
る汎用樹脂である。ウレタンの製造は、ポリオールとポ
リイソシアネートとの反応によるウレタンポリマーの生
成が基本であり、発泡体とする場合には、この反応に付
随して物理的または化学的発泡が同時に行われる。ウレ
タン成形品は、主原料であるポリオールとポリイソシア
ネートに種々の添加剤を配合した未反応の成形原料(ワ
ンショット法)あるいは主原料をプリポリマー化してか
ら添加剤を配合した成形原料(プリポリマー法)から製
造されることが多い。即ち、重合反応と成形および必要
により発泡が同時に行われる。
【0003】自動車のシートクッションは、発泡ウレタ
ン成形品の最大の用途の一つであり、型物と呼ばれるよ
うに、所定のキャビティを有する分割型を用いて上記の
成形原料を型に注入ないし射出し、型内で必要であれば
加熱して重合および発泡を生じさせ、脱型することによ
り通常は製造されている。
【0004】この方法に用いる型としては、アルミニウ
ム、鉄などの金属製の型、あるいはエポキシ樹脂、ポリ
エステル樹脂などの熱硬化性樹脂製の型が使用される。
しかし、前述したウレタンポリマーの生成反応は極めて
反応性が高く、この活性な反応が型内で行われるため、
成形体が型に接着し易く、離型性が悪い。そのため、通
常は、シリコーン系、ワックス系などの離型剤を成形サ
イクル毎にキャビティ面に多量に塗布して成形作業を実
施している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、多量の離型剤
の使用は、発泡ウレタンの成形に各種の不具合を生じて
いる。例えば、離型剤により作業環境、型、さらには製
品が汚染される。また、型に固着した離型剤を除去する
ため、一定の成形サイクルごとに固着した離型剤を溶剤
で洗浄することが必要となる。多量の離型剤と溶剤の使
用は、経済的に損失となるだけでなく、揮発性の溶剤を
取り扱うことにより作業環境はさらに悪化し、また成形
を中断するため、作業効率も低下する。
【0006】離型剤の使用を避けるために、型のキャビ
ティ面にフッ素樹脂などの非粘着性のコーティングを施
すことも試みられたが、効果が十分でない上、フッ素樹
脂コーティングが剥がれ易く、型の耐久性が低下すると
いった問題点があり、実用化されていない。
【0007】実開昭63−144211号公報には、型のキャビ
ティ面にセラミック焼結体を形成し、このセラミック焼
結体にフッ素樹脂を含浸・焼付した離型性のよい成形型
が開示されている。この型は、耐久性については改善さ
れたが、ウレタンポリマーの成形に使用する場合には離
型性がなお不十分である。
【0008】本発明の目的は、離型剤やフッ素樹脂被覆
を利用せずにウレタン成形体を容易に脱型することがで
きる、離型性に優れたウレタン成形用の型とその製造方
法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
の達成を目指して研究を進めた結果、型のキャビティ面
に水および/またはアルコールに親和性を示すセラミッ
クのコーティング層を被覆した型を使用することによっ
て、ウレタン成形体を離型剤を使用せずに容易に脱型す
ることができるとの知見を得て、本発明を完成した。
【0010】ここに、本発明は、型の少なくともキャビ
ティ面が、水および/またはアルコールに親和性の構成
部分を保有するセラミック層で被覆されていることを特
徴とする、ウレタン成形用の型を要旨とする。
【0011】本発明の型は、水および/またはアルコー
ルと親和性の基を持つ1種もしくは2種以上のセラミッ
ク原料化合物を含む液状被覆組成物を型の少なくともキ
ャビティ面に塗布し、塗布層を水および/またはアルコ
ールと親和性の基が少なくとも部分的に残存する条件下
で焼付けることにより、製造することができる。
【0012】
【作用】以下、本発明の構成をその作用と共に説明す
る。本発明にかかるウレタン成形用の型は、繰り返し使
用が可能なように分割型であることが好ましい。型は、
アルミニウム、鉄、各種合金などの金属製のものが好ま
しいが、石こう等の無機材料製の型、プラスチック、木
材等の有機材料製の型も使用できる。
【0013】本発明の型は、その少なくともキャビティ
面 (即ち、ウレタン原料と接触する面) が、水および/
またはアルコールに親和性の構成部分を保有するセラミ
ック層で被覆されている点に特徴がある。このようなセ
ラミック層は、例えば、次に説明する方法により形成す
ることができるが、セラミック層の形成方法はこれに限
定されるものではない。また、セラミック層の骨格をな
すセラミック種は、例えばアルミナ、シリカ、ムライ
ト、チタニア、カルシア、マグネシアなどの金属酸化物
系セラミックでよいが、その種類も特に限定されるもの
ではない。
【0014】セラミック層の形成は、セラミックコーテ
ィングと同様の手法、即ち、1種もしくは2種以上のセ
ラミック原料化合物(焼付によってセラミックを形成す
る化合物)を含有する水性塗布液の塗布と焼付により行
うことができる。
【0015】好ましいセラミック層の形成方法は、水お
よび/またはアルコールと親和性の基を持つ1種もしく
は2種以上のセラミック原料化合物(以下、このような
化合物を親和性セラミック原料化合物と称することがあ
る)を含む液状被覆組成物を型のキャビティ面に塗布
し、塗布層を水および/またはアルコールと親和性の基
が少なくとも部分的に残存する条件下で(即ち、比較的
低温および/または短時間)焼付することからなる。
【0016】水および/またはアルコール親和性のセラ
ミック原料化合物としては、Al、Cr、Mg、Si、
Ti、Ca、Sr、Baなどの金属(本発明ではケイ素
やホウ素などの半金属も金属に含める)と、水(H
2 O) の構成部分とを含む化合物がある。水(H2 O)
の構成部分とは、H2 O自体、およびH+ 、OH-
H、OH等のH2 Oを構成するイオンもしくは非イオン
部分、並びに重水 (D2 O)およびその前述と同様なイ
オンもしくは非イオン部分を意味する。また、アルコー
ル(ROH)の同様な構成部分(即ち、ROH、RO、
RO- ) を含む金属化合物も使用することができる。こ
のような構成部分により、化合物に水および/またはア
ルコールに対する親和性が付与される。
【0017】このような親和性セラミック原料化合物の
例としては、上記金属のオール錯体、即ち、オール化反
応によって形成される金属錯体がある。これは、金属原
子間が複数のOH- 基またはH2 Oなどで架橋された架
橋構造を持つ錯体である。オール錯体は、例えば、ケイ
酸ナトリウムの水溶液に塩酸を加えてpH調整をするこ
とにより、ケイ酸のヒドロゾルを形成し、所望によりこ
れをゲル化することにより形成することができる。
【0018】別の種類の好ましい親和性セラミック原料
化合物は、Si、Ti、Alなどの金属のアルコキシド
錯体である。金属アルコキシド錯体は、例えば金属水酸
化物をアルコールに溶解させることにより形成され、金
属にアルコキシド基が配位した構造を持つ。
【0019】使用しうる他の親和性セラミック原料化合
物の例には、ケイ酸、アンチモン酸、スズ酸、アルミン
酸、チタン酸などの金属酸塩、ケイ素、アンチモン、ス
ズ、アルミニウム、チタンなどの含水金属化合物、これ
ら金属の酸性塩などの水素イオンを含む金属化合物があ
る。例えば、アルカリ金属ケイ酸塩を含有する水性塗布
液、特にこれに水酸化アンモニウム、アミンなどの塩基
性物質および/またはホウ酸やリン酸などの酸を加えた
塗布液を用いても、水および/またはアルコールに親和
性を示すセラミック層を形成することができる。
【0020】このような親和性セラミック原料化合物の
1種もしくは2種以上が液体、好ましくは水に水に溶
解、膠質化、または分散している溶液、コロイド溶液、
またはスラリー状の液状被覆組成物(以下、塗布液とい
う)を形成し、塗布に供する。塗布液には、その他の、
即ち、水および/またはアルコールと非親和性のセラミ
ック原料化合物、例えば、金属窒化物(例、窒化ケイ
素、窒化アルミニウム)、炭化物(炭化ケイ素)、ホウ
化物、ケイ化物などの粉末を、液の粘度調整やその他の
目的で共存させることができる。塗布液に共存させうる
他の材料としては、金属の酸化物(例、シリカ、アルミ
ナ、二酸化チタン、酸化クロム)、並びに水不溶性金属
塩、例えば、アルカリ土類金属炭酸塩および硫酸塩
(例、硫酸バリウムおよび炭酸バリウム)などがある。
【0021】塗布液に非親和性のセラミック原料化合物
を共存させる場合、その配合量は特に限定されないが、
セラミック原料化合物の合計量に対して、これらの非親
和性化合物の割合が50重量%以下、特に30重量%以
下となることが好ましい。塗布液の濃度も特に制限はな
く、塗布に好適な粘度の液が得られるように調整すれば
よい。塗布液中のセラミック原料化合物の合計濃度は、
通常は50重量%以下、好ましくは30重量%以下であ
ろう。
【0022】かかる水および/またはアルコールに親和
性のセラミック原料化合物を含む塗布液を、浸漬塗布、
噴霧塗布、ロール塗布などの適当な塗布手段により、型
のキャビティ面に塗布する。必要であれば、塗布前に、
型を適当な有機溶媒または水性洗浄液 (例、アルカリ性
脱脂液) で洗浄して、表面を脱脂・清浄化する。所望に
より、上記塗布液は型のキャビティ面以外の部分にも塗
布しうる。
【0023】塗布後、親和性化合物中の水および/また
はアルコールとの親和性を付与する構成部分 (例、OH
基、H2 O、アルコキシド基、アルコールなど)が少な
くとも部分的に残存するように、比較的低温および/ま
たは短時間の焼付を行う。焼付温度は、使用するセラミ
ック原料の種類および型を構成する材料によっても異な
るが、一般には100〜600℃、好ましくは120〜
300℃の範囲内であり、焼付時間は5分〜5時間、好
ましくは10分〜2時間である。焼付は空気中あるいは
窒素或いはアルゴン等の不活性ガス中で実施できる。
【0024】こうして製造した型は、金属が完全には酸
化物になっておらず、形成されたセラミック層中に水お
よび/またはアルコールに対して親和性の構成部分が少
なくとも部分的に残留している。こうして、骨格をなす
セラミック(例、アルミナ、シリカなどの金属酸化物)
中に水および/またはアルコールに親和性の構成部分を
保有し、従って、その表面もまた水および/またはアル
コールに親和性を示すセラミック層がキャビティ面に形
成される。
【0025】セラミック層の厚みは特に限定されない
が、 0.1〜20μm、特に 0.5〜10μmとすることが好ま
しい。必要であれば、塗布作業を反復して、所望の厚み
のセラミック層を形成してもよい。
【0026】本発明の型を用いて製造されるウレタン成
形品の種類は特に限定されない。即ち、本発明の型は、
軟質、半硬質および硬質ウレタン発泡体、熱硬化性およ
び熱可塑性ウレタンエラストマー、さらにはウレタンウ
レア、ウレタンアクリレートなどの変性ウレタンなどの
任意のウレタン樹脂の成形体の製造に使用することがで
きる。
【0027】本発明の型を用いたウレタン成形作業は、
次に述べるようにして実施することが好ましい。まず、
ウレタン成形原料を本発明の型に注入、射出などの慣用
手段により導入して、原料の反応・硬化、さらには発泡
体の場合には発泡を型内で行わせる。必要であれば、成
形中に型を外部加熱して、硬化や発泡反応を促進させて
もよい。適当な時間経過後に、水および/またはアルコ
ールを含有する気体または液体を型内に導入してから、
成形体を型から脱型する。これにより、型に予め離型剤
を塗布しておかなくても、容易に離型することができ
る。この脱型は、成形体が完全に硬化してから実施して
もよいが、通常は作業効率の点から、離型可能な程度ま
で硬化が進んだ成形体を、硬化が完了する前に脱型し、
さらに放置して硬化を完了させ、製品とする。
【0028】脱型前に型内に導入する気体の例は、水、
アルコール(例、メタノールまたはエタノール)、ある
いはその両者の蒸気を含むガスである。ガス中の水およ
び/またはアルコールの量は、離型を容易にするという
目的を達成できる量であればよく、水蒸気を含有する気
体の場合には、蒸気分圧が10%以上、特に蒸気分圧が
30%以上の水蒸気を含有する空気その他の気体を使用
することが好ましい。100%水蒸気の気体も使用でき
る。アルコール蒸気も、空気その他の気体に混合して用
いることができる。脱型前に型内に導入しうる液体の例
は水、アルコールもしくはこれらの混合液(即ち、アル
コール水溶液)であり、これをそのまま用いることがで
きる。価格および危険性を考慮すると、水蒸気を含む空
気(例、蒸気分圧が30%以上の水蒸気)を用いるのが
有利である。
【0029】気体または液体の導入量は、脱型が容易と
なるのに十分な量であれば特に制限されない。気体の温
度は30〜150℃、好ましくは50〜100℃であ
る。液体の場合は30〜90℃が好ましい。
【0030】この水および/またはアルコールを含有す
る気体の導入は、型内への該気体の吹き込み、または該
気体を含有する雰囲気中に型を曝すことにより行うこと
ができる。前者の方法は、例えば、型に孔を設けた有孔
の型を使用し、この孔から気体を吹き込むか、あるいは
分割型の割面より気体を吹き込む方法が採用できる。後
者の方法は、蒸気ガス雰囲気中に型を一定時間置くか、
あるいは通過させることにより実施することができる。
この場合、型は多孔性のものとすることもできる。ま
た、型内を真空引き等により減圧することにより、水お
よび/またはアルコール含有気体の導入を促進すること
もできる。水および/またはアルコール含有液体の導入
も、前記気体の導入と同様に、型内への液体の圧入、或
いは液体中への型の浸漬等によって行うことができる。
【0031】その後、成形体を脱型する。従来のウレタ
ン成形品の成形作業では、型に離型剤を多量の塗布して
おかないと、成形品が型に強固に付着し、離型は困難で
あった。本発明の型は、フッ素樹脂などの従来公知の離
型性被膜を有しておらず、また離型剤を使用しないにも
かかわらず、ウレタン樹脂を容易に離型させることがで
きる。その理由は明らかではないが、脱型前に導入した
気体または液体中の水および/またはアルコールが、型
のセラミック層中に含まれる水および/またはアルコー
ルに親和性の構成部分に対して何らかの作用をして、型
のセラミック層とウレタン成形品との間の結合を破壊す
ることにより、容易に離型されるものと推測される。
【0032】なお、水および/またはアルコールの構成
成分、例えばOH基は極性基であり、成形品表面にOH
基等の極性基を導入すると成形品表面の接着性が高まる
ことが知られている。従って、OH基等極性基の導入に
より離型が容易となる(即ち、接着性を低下させる)と
いう本発明により達成される効果は、これまでの技術常
識には反しており、全く予想外のことである。
【0033】脱型前に水および/またはアルコールを含
有する気体または液体を型内に導入する代わりに、成形
に用いるウレタン成形原料中に、硬化中にH2 Oを放出
しうる化合物を予め含有させておくことでも、本発明の
型を用いて、離型剤を塗布せずに容易に離型させること
ができる。このH2 Oを放出しうる化合物としては、結
晶水を保有する無機および有機塩、例えば、硫酸塩、硝
酸塩、ハロゲン化物、酢酸塩、金属酸化物、水酸化物、
亜硫酸塩、チオ硫酸塩、ジチオン酸塩、過硫酸塩、次亜
塩素酸塩、過塩素酸塩、各種ホウ酸塩、各種リン酸塩、
硫化物、炭酸塩、ケイ酸塩、クロム酸塩、タングステン
酸塩、モリブデン酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩、クエン
酸塩などを含む多様な無機または有機金属化合物の含水
塩が例示される。具体例を次に例示するが、これらに限
定されるものではない。
【0034】AlNa(SO4)2・12H2O 、AlK(SO4)2・12H2O
、Al(NH4)(SO4)2 ・12H2O 、CrK(SO4)2・12H2O 、Cr
(NH4)(SO4)2 ・12H2O 、CoK2(SO4)2 ・6H2O、Na(SO4)2
・10H2O 、FeSO4 ・7H2O、ZnSO4 ・7H2O、Fe(NH4)2(S
O4)2・6H2O、Fe(NO3)3・9H2O、Zn(NO3)2・6H2O、Mg(N
O3)2・6H2O、Ni(NO3)2・6H2O、Cd(NO3)2・4H2O、Mn(N
O3)2・4H2O、Al(NO3)3・9H2O、Co(NO3)2・6H2O、CoBr2
・6H2O、Mg(CH3COO)2 ・4H2O、Cu(CH3COO)2 ・H2O 、Ca
O ・8H2O、Al2O3・3H2O、Ba(OH)2 ・8H2O、MoO3・2H
2O、Na2S2O6 ・2H2O、Ca(ClO)2・3H2O、CaSO3 ・2H2O、
CaS2O3・6H2O、Mg(ClO4)2 ・6H2O、NaB4O7・10H2O 、K2
S ・5H2O、BaS2O8・4H2O、Fe3(PO4)2 ・8H2O、K2CO3
1.5H2O、KB5O8 ・4H2O、Mg(BO2)2・8H2O、 Na2SiO3・9H
2O、Na2Cr2O7・2H2O、Na2WO4・2H2O、K2P4O7・3H2O、Bi
(C2O4)3 ・7H2O、Na4P2O6 ・10H2O 、MgHPO4・7H2O、Mg
(CH3COO)2 ・4H2O、Na2(Mo3O10) ・7H2O。
【0035】この場合、H2 Oを放出しうる化合物の1
種もしくは2種以上を成形原料に予め混合しておく以外
は、従来と同様にウレタン成形原料を調製すればよい。
ただし、この化合物から放出されるH2 O (水) は、当
業者には周知の如く、ポリウレタン成形原料中のポリイ
ソシアネートと反応して炭酸ガスを発生するため、発泡
剤として機能する。従って、通常使用される2液型のウ
レタン成形原料の場合、H2 Oを放出しうる化合物は、
反応前のポリイソシアネートとの接触を避けるために、
ポリオールを含む液の方に添加することが好ましい。H
2 Oを放出しうる化合物は、得られる成形品の離型を容
易にするのに必要な量だけ添加する。必要な添加量は、
使用する化合物中のH2 Oの割合やH2 Oを放出する温
度、ウレタン成形原料の組成、成形中の外部加熱の有無
などの条件に応じて変動するので、実験で決定すればよ
い。通常、H2 Oを放出しうる化合物の添加量は、放出
されるH2 O量が、ポリウレタン原料 (ポリオールとポ
リイソシアネート) の合計量に対して約1〜10重量%、
好ましくは3〜5重量%となる範囲内であろう。
【0036】H2 Oを放出しうる化合物をウレタン成形
原料中に含有させておくと、成形中の自己発熱や場合に
より加えられた外部加熱により、この化合物が脱水反応
を起こし、H2 Oが多くは気体状で放出される。この放
出されたH2 Oは、もはや重合反応が相当に進行してい
て、未反応のイソシアネート基の量は少なくなっている
ため、イソシアネート基とはあまり反応せず、成形物中
を移行して一部は成形品表面から放出・揮散され、上記
のように成形品と型のセラミック層との結合を破壊する
ように作用し、離型を容易にするものと考えられる。外
部加熱はH2 Oの放出を加速するので、短時間で脱型し
たい場合には、成形中または成形後に型を外部から加熱
することが好ましい。H2 Oを放出する化合物の種類に
よっては、添加初期から、あるいは重合による昇温のご
く初期の過程でH2 Oの一部が遊離する場合もある。こ
のような場合には、この段階で遊離したH2 Oを重合中
に消費してしまうように、ウレタン成形原料の配合を設
計することが好ましい。例えば、発泡剤として加える水
の量をその分だけ控えることができる。
【0037】脱型した後の型は、そのまま何回も反復使
用できる。本発明では、離型剤を使用しないので、従来
の離型剤の大量使用に伴う難点が回避される。
【0038】
【実施例】次に実施例により本発明の効果を例証する。
ただし、本発明は実施例に制限されるものではない。
【0039】実施例1 型の制作 ケイ酸ナトリウム水溶液に塩酸を加えてpH5〜10に
調整することにより、SiO2 含有量50〜200g/
lのオール化したケイ酸ゾルのコロイド溶液を得た。得
られたオール錯体含有コロイド溶液に、粒度1μm以下
のシリカ微粉末5〜25g/lを添加し、セラミック形
成用塗布液を調製した。
【0040】図1に示す形状のアルミニウム製分割型1
(キャビティ寸法300mm×300mm×70mm)のキャ
ビティ面に、上記の塗布液を浸漬により塗布し、塗布し
た型を電気炉に入れて150℃で30分間焼付けて、厚
さ1〜2μmのセラミック層2を形成した。
【0041】成形作業 上記のように製作した、キャビティ面に水親和性のセラ
ミック層を保有する型を用いて発泡ウレタン成形品を製
造した。使用したウレタン成形原料は2液型のものであ
り、混合前のその組成は、重量%で次の通りであった。 A液 ポリオール 100重量部 触媒(33LV) 0.4重量部 シリコーン系整泡剤 0.3重量部 ポリオール系架橋剤 1.5重量部 発泡剤(水) 3 重量部 B液 TDIとポリメリックMDIの混合物 このA液とB液を100:50の割合で混合し、成形原
料とした。
【0042】このウレタン成形原料を上記の型に注入
し、70℃で2分間放置して、反応・硬化・発泡を行わ
せた。この状態では硬化は完全には完了していない。そ
の後、蒸気分圧90%の水蒸気を含有する80℃の空気
を流速0.5m/秒で5分間キャビティ内に吹き込んで
から、直ちに成形品を脱型した。この時の離型は非常に
容易であり、型のキャビティ面にはウレタン樹脂の付着
は見られず、表面が滑らかで傷のない発泡ウレタン成形
品が得られた。
【0043】同じ型を用いて同様に発泡ウレタン成形品
の成形作業を50回反復実施したが、離型性は良好に保
持され、高品質の発泡ウレタン成形品を効率よく製造す
ることができた。
【0044】脱型前に、水蒸気を含む空気に代えて、4
0℃の5%エタノール水溶液を型に注入により導入して
も、結果は同様であった。
【0045】実施例2 セラミック形成用塗布液を次のようにして調製した。ア
ルミン酸ナトリウムの水溶液に塩酸を加えてpH5〜1
0に調整することにより、Al2O3 含有量50〜200g
/lのオール化したコロイド溶液を得た。このオール錯
体含有コロイド溶液に、粒度1μm以下のアルミナ微粉
末5〜25g/lを添加し、セラミック形成用塗布液と
して使用した。
【0046】この塗布液を実施例1と同様に型のキャビ
ティ面に塗布し、150℃で30分間焼付を行って、キ
ャビティ面が厚さ1〜2μmのセラミック層で被覆され
た分割型を製作した。セラミック層中の水親和性構成部
分を持つ化合物の含有量は定量しえないが、およそ表面
積の40〜50%はこのような化合物で占められるので
はなかろうかと推測される。
【0047】この型を用いて実施例1と同様に発泡ウレ
タン成形品の成形作業を実施したところ、実施例1と同
様に良好な離型性を保持して成形を反復実施することが
できた。
【0048】比較例1 実施例1で用いたのと同様のアルミニウム製の分割型
を、セラミック層を形成せずに直接用いた以外は、実施
例1と同様に成形作業を実施した。脱型前に実施例1と
同様に水蒸気を含有する空気を吹き込んでから、脱型し
たところ、離型は困難であり、成形品の外観は材料破壊
を呈していた。
【0049】実施例3 実施例1と同様に製作した、キャビティ面がセラミック
層で被覆された型を用いて発泡ウレタン成形品を製造し
た。使用したウレタン成形原料は2液型のものであり、
混合前のその組成は、重量%で次の通りであった。 A液 重量部 ポリオール(三菱化成ダウ社製CP−4701) 40 ポリマーポリオール(三井東圧社製POP 3128) 60 水(発泡剤) 4 33LV(触媒) 0.5 シリコーン系整泡剤 1.5 硫酸ナトリウム・10水塩 10B液 TDIとMDIを80:20の割合で混合したポリイソ
シアネネート 硫酸ナトリウム・10水塩の添加量は、ポリオールとポ
リイソシアネートの合計量に対して約3.7 重量%のH2
Oを放出する量に相当する。 このA液とB液を100:50の割合で混合し、ウレタ
ン成形原料とした。このウレタン成形原料を60℃に保
持した上記の型に注入し、発泡成形した。原料の注入か
ら5分後、型を開き脱型した。成形された発泡成形品
は、容易に脱型できた。このとき、成形品の表面は若干
湿っていたが、空気中に放置することにより自然乾燥
し、特に問題は生じなかった。成形品の外観および切断
面は、実施例1の成形品と比べて、表面が若干白みを帯
びた以外は大差なく、気泡の大きさなどもほぼ同じであ
った。
【0050】同じ型とウレタン成形原料を用いて発泡ウ
レタン成形品の成形作業を50回反復実施したが、離型性
は良好に保持された。
【0051】
【発明の効果】以上に詳述したように、本発明の型を用
いて、脱型前に水および/またはアルコールの含有気体
または液体を型内に導入することにより、離型剤を塗布
せずにウレタン成形品を型から容易に離型することがで
きる。これにより、従来のウレタン成形品の成形作業で
は不可欠であった、各成形サイクル毎の多量の離型剤の
キャビティ面への塗布が不要となる。その結果、この煩
雑な成形サイクル毎の塗布作業がなくなって成形作業が
簡略化される上、離型剤塗布に伴う各種の問題点、具体
的には、離型剤による作業環境、型、さらには製品の離
型剤による汚染がなくなり、また型に固着した離型剤を
除去するための一定の成形サイクルごとの型の溶剤洗
浄、多量の離型剤と溶剤の使用による経済的な損失、揮
発性または有毒な溶剤を取り扱うことによる作業環境の
悪化、型の洗浄により成形作業が中断することによる作
業効率の低下、を避けることができる。
【0052】このように、本発明のウレタン成形用の型
は、ウレタン成形作業の環境を改善すると同時に、品質
の良好な製品を低コストで効率よく製造することを可能
にし、工業的に実施した場合に優れた利点を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で用いたウレタン成形用の分割型の略式
断面図である。
【符号の説明】
1:型の本体 2:セラミック層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 沓名 正人 安城市今池町三丁目1番36号 株式会社イ ノアックコーポレーション安城事業所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 型の少なくともキャビティ面が、水およ
    び/またはアルコールに親和性の構成部分を保有するセ
    ラミック層で被覆されていることを特徴とする、ポリウ
    レタン成形用の型。
  2. 【請求項2】 水および/またはアルコールと親和性の
    基を持つ1種もしくは2種以上のセラミック原料化合物
    を含む液状被覆組成物を型の少なくともキャビティ面に
    塗布し、塗布層を水および/またはアルコールと親和性
    の基が少なくとも部分的に残存する条件下で焼付けるこ
    とからなる、請求項1記載のポリウレタン成形用の型の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 該セラミック原料化合物が、Al、C
    r、Mg、Si、Ti、Ca、Sr、Baから選ばれた
    金属と水またはアルコールの構成部分とを含む化合物で
    ある、請求項2記載の方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100483972B1 (ko) * 2002-02-26 2005-04-18 (주)현대공업 차량용 우레탄패드 발포금형의 표면처리방법 및 그발포금형
JP2013534880A (ja) * 2010-07-01 2013-09-09 インモールド バイオシステムズ エイエス ナノ構造化または平滑ポリマー物品を製造するための方法および装置
JP2017010967A (ja) * 2015-06-16 2017-01-12 株式会社Flosfia 成膜方法

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