JPH07247804A - ガスタービンエンジン用のロータ及び動翼アセンブリ、並びに多層被覆シム - Google Patents

ガスタービンエンジン用のロータ及び動翼アセンブリ、並びに多層被覆シム

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JPH07247804A
JPH07247804A JP88893A JP88893A JPH07247804A JP H07247804 A JPH07247804 A JP H07247804A JP 88893 A JP88893 A JP 88893A JP 88893 A JP88893 A JP 88893A JP H07247804 A JPH07247804 A JP H07247804A
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dovetail
shim
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blade
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Waite Peter
ピーター・ウェイト
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 動翼ダブテール部とロータダブテールスロッ
ト部との摺動接触により生ずるフレッチングによる疲労
損傷を低減することのできるガスタービンエンジン用の
ロータ及び動翼アセンブリを提供する。 【構成】 ガスタービンエンジン用のロータ及び動翼ア
センブリには、多層被覆シム40が動翼18のダブテー
ル部26とロータのダブテールスロット部20との間に
介在している。シムは好ましくは、リン青銅の表面層と
オーステナイトステンレス鋼の中央層とから成ってお
り、チタン製エンジン構成部のフレッチング損傷の防止
に特に有効である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、タービンエンジンに関
し、特に、タービンエンジンの圧縮機段及びファン段の
ロータに摩擦的に生ずる摩耗損傷を減らすことに関す
る。尚、本願は、ウェイト(Wayte)の1991年1月1
5日付同時係属米国特許出願番号第641229号と、
ハーツナ(Herzner)等の1991年1月15日付同時係
属米国特許出願番号第641230号とに関連し、両関
連米国特許出願は本発明の譲受人(本出願人)に譲渡さ
れたものである。各関連出願の開示はすべて、ここに参
照されるべきである。
【0002】
【従来の技術】2つの材料片に摩擦又は滑りが繰り返し
生ずると、その結果発生する摩擦力が、発熱により、或
いは一般にフレッチングと呼ばれる様々な疲労過程によ
り、材料の損傷を引き起こすおそれがある。ある材料組
織、例えばチタンにチタンを接触させたものは、このよ
うな損傷を特に起こし易い。
【0003】同じ又は実質的に同じ金属、例えばチタン
から成る2つの金属片を、垂直力をかけながらこすり合
わせると、両片はゴーリングと呼ばれる他種の表面損傷
を示す可能性がある。チタンはわずか100サイクル後
にゴーリングを起こし得る。フレッチング及びゴーリン
グはいずれも、サイクル数と共に増加し、結局、両片の
一方又は両方の疲労による破損を引き起こすおそれがあ
る。
【0004】互いに摩擦し合う可能性のあるチタン部品
の使用は、様々な航空宇宙用途において行われている。
チタン合金は、それらの良好な強度、低い密度、並びに
低温及び中程度の温度での良好な環境特性の故に、航空
機及び航空機エンジンにおいて用いられている。チタン
片相互間に摩擦が発生するような特定の設計では、前述
のような損傷が発生するおそれがある。
【0005】一種の航空機エンジンの設計では、チタン
製の圧縮機ディスク(ロータとも呼ばれる)、又はファ
ンディスク即ちファンロータが、その外周に配列されて
いるダブテールスロットを有している。チタン製の圧縮
機動翼又はファン動翼のダブテール形基部が、ディスク
の各ダブテールスロット内にはまり込んでいる。ディス
クが静止しているとき、動翼のダブテールはスロット内
に保持されている。エンジン運転中、遠心力により動翼
が半径方向外方に移動する。動翼ダブテールの側部がデ
ィスクのダブテールスロットの傾斜側面上を摺動し、動
翼とロータディスクとの間の相対運動を生ずる。
【0006】この摺動は、エンジン始動、出力上昇(離
陸)、出力低下及びエンジン停止等の過渡運転状態中、
ロータと動翼のチタン片との間に発生する。運転サイク
ルの繰り返しと共に、摺動は表面形状に影響を与え、そ
して互いに係合したチタン片の耐疲労性を減らすおそれ
がある。このような運転状態中、ダブテールスロットの
近辺でロータに作用する垂直力及び摺動力が、ゴーリン
グを引き起こす可能性があり、その結果、ディスクに疲
労割れが起こり始め、そして拡大するおそれがある。割
れの開始時期、又は実際のエンジンサイクル数に関係す
る損傷の程度を予想することは困難である。従って、航
空会社等のエンジン使用者は、ロータのダブテールスロ
ットの内面をしばしば検査しなければならず、これは、
非常に労力を要する作業である。
【0007】チタン製動翼ダブテールと、チタン製ロー
タディスクのダブテールスロットとの間の摩擦運動によ
り生ずる損傷をなくすか、又は減らすために、様々な技
術が試みられてきた。現在最も広範に容認されている技
術は、チタン片の接触域を金属合金で被覆して、チタン
部品をフレッチング又はゴーリングから保護することで
ある。被覆された両接触域間の摺動接触部は、主として
二硫化モリブデンを含有している固状乾膜潤滑剤で潤滑
され、摩擦を更に減らす。
【0008】この方式はロータ及び動翼の部片における
フレッチング又は疲労損傷の発生の減少に有効である
が、被覆の使用寿命がかなり変わることがわかってい
る。更に、ディスク及び動翼の部片に金属合金を施す方
式は、被覆された部片の耐疲労性を減らす可能性がある
こともわかっている。上述のような損傷を減らして構成
部の健全性を確保する改良方式が絶えず求められてい
る。このような方式は、望ましくは、何年かにわたって
最適化されてきたロータ及び動翼の大がかりな再設計を
回避する一方で、チタン製構成部の寿命と所要検査間の
期間とを長くするような方式である。本発明は、この要
求を満たし、更に幾つかの関連する利点をもたらす。
【0009】ヨーロッパ特許出願番号第8910692
1.3号に記載されている高温構成部におけるフレッチ
ングの発生を減らす新しい方式は、2枚の別々ではある
が重ね合わされたフォイルを利用しており、両フォイル
は、低摩擦係数の材料接触表面を有しているが、又、ダ
ブテール及びダブテールスロットと係合している高摩擦
係数の表面を有している。両フォイルは、低摩擦係数を
有する材料接触表面に沿った摺動を許容するが、高摩擦
係数によりフォイルと係合部分との間の摺動を防止す
る。この種の設計に関する経験によれば、薄いフォイル
の各々はダブテールスロット域から徐々に抜け出し、動
翼ダブテールとロータダブテールスロットとを接触させ
てしまい、その結果、フレッチングが生ずる。一実施例
では、フォイルにフランジが形成されている。これらの
フランジは、動翼ダブテールとロータダブテールスロッ
トとの間の小間隙の故に必然的に小さく、そして幾らか
の改良をもたらすが、フォイルの漸動問題を解消し得な
い。
【0010】ハーツナ(Herzner)等により説明されてい
る他の新しい方式(1991年1月15日付米国特許出
願番号第641230号)では、補強されたシムがファ
ン又は圧縮機の動翼のダブテールに取り付けられてお
り、そしてシムを取り付けた動翼がロータダブテールス
ロット内に配置されている。シムは金属ダブラ(double
r)で補強されており、ダブテールスロット域から抜け出
せないような形状を有している。シムは圧縮機及びファ
ンのロータ及び動翼用としてしばしば選択されるチタン
合金以外の材料で作られており、リン青銅が動翼及びロ
ータの接触表面間に介在しているシムの部分の好適材料
と認められている。
【0011】
【発明の概要】本発明は、ガスタービンエンジンの圧縮
機又はファンのチタン製動翼及びチタン製ロータに生ず
るフレッチングによる疲労損傷、即ち動翼ダブテールと
ロータダブテールスロットとの摺動接触により生ずるフ
レッチングによる疲労損傷を低減する改良方式を提供す
る。この方式は、動翼とロータとの間に配置されている
多層被覆シムを備えている。これにより、チタン部品の
摩耗寿命が従来の方式に比べて長くなり、又、寿命変動
が比較的少ない。ロータダブテールスロットも動翼ダブ
テールも摩耗を減らすための特殊な被覆を必要としない
ので、基材の特性に悪影響を与えるような特別な被覆工
程の必要がない。本発明のシムが摩耗寿命に達したと
き、シムを交換することによりエンジンを直ちに一新し
て更に使用できる。
【0012】本発明によれば、ロータ及び動翼のアセン
ブリが、それぞれが側壁と底部とを含んでいる複数のダ
ブテールスロットをロータ外周に有しているチタン製ロ
ータと、各スロットに対応しており、ダブテールスロッ
ト内にはまり込んでいると共にダブテールスロットの両
側壁の一対の接触域に沿ってロータと接触するような寸
法を有するダブテールを有しているチタン製動翼と、多
層被覆シムとを備えており、ダブテールスロットの各側
に一つの接触域が存在しており、各ダブテールスロット
底部と動翼ダブテール底部との間に無接触域が残存して
いる。多層被覆シムは、各動翼ダブテール底部とロータ
ダブテールスロット底部との間のこの無接触域内に設け
られており、ダブテールスロットの接触域におけるチタ
ン製動翼ダブテールとチタン製ロータのフレッチング摩
耗を阻止する手段を含んでいる。ここで用いる「チタ
ン」という用語は、純粋なチタンとチタン合金との両方
を意味する。
【0013】更に、本発明によれば、多層被覆シムは2
つの表面層と1つの中央層とを含んでいる少なくとも3
つの層から成っており、中央層は表面層間に設けられて
いると共に、各表面層に永久的に接合されている。「多
層被覆シム」という用語は、表面層と中央層との間の接
合部の永久的性質を強調するために用いられている。各
表面層は、シムとチタン製ロータとの間、及びシムとチ
タン製動翼との間の接触域におけるフレッチング摩耗を
阻止する手段を備えており、チタン部品間の接触は実質
的に阻止される。表面層の好適材料はリン青銅であり、
その様々な合金が市販されている。これらの合金は1重
量%〜10重量%のスズと、約0.2重量%以下のリン
とを含有しており、残部は銅である。5%のスズと0.
1%のリンとを含有している合金が、本発明において特
に有用である。中央層の代表的な材料はオーステナイト
ステンレス鋼、例えば304型のものであり、その公称
組成はクロムが19重量%、ニッケルが9重量%で、残
部は鉄である。中央層の強度は、エンジン運転中にシム
がその製造形状を保つのに十分なほど大きく、従って、
動翼ダブテールとロータダブテールスロットとの間の区
域からシムが徐々に移動することを防止する。エンジン
運転中、シムは動翼とロータとの間の位置に残存して動
翼とロータとの接触を防ぐので、動翼及びロータのフレ
ッチング摩耗を阻止し続ける。
【0014】本発明は、他の疲労低減技術の使用を可能
にする。疲労損傷の発生は、表面硬化、潤滑又は当該技
術において知られている任意の他の技術を動翼ダブテー
ル、ロータダブテールスロット又はシムに適用すること
により、更に減らすことができる。本発明の他の特徴及
び利点は、本発明の原理を例示する図面と関連する好適
実施例の以下の詳述から更に明らかとなろう。
【0015】
【実施例の記載】本発明に係るシムは、好ましくは、図
1に示すような航空機ガスタービンエンジン10と関連
して用いられる。エンジン10はバイパスファン14を
駆動するタービン部12を含んでいる。バイパスファン
14はファンディスク又はロータ16を含んでおり、ロ
ータ16には複数のファン動翼18が装着されている。
本発明の使用はファンロータ及びファン動翼に関して説
明されるが、本発明は、ガスタービンエンジン10の圧
縮機部における圧縮機ロータ及び圧縮機動翼にも同様に
適用でき、特に、使用温度が約800゜F以下の圧縮機
前部において同様に適用し得るものである。ここに説明
する実施例において、ファン動翼、ファンロータ、圧縮
機動翼及び圧縮機ロータはチタン製である。しかしなが
ら、ロータ又はディスクと係合動翼とは、互いに接触す
るように係合したとき、特に係合表面が互いに移動する
ときにフレッチング又はゴーリングを起こし易すい任意
の合金又は合金の組み合わせで製造され得る。
【0016】ファン動翼のファンロータへの組み立てを
図2〜図4に詳細に示す。図3及び図4は同様の図であ
るが、図3は先行技術を示すのに対し、図4は本発明の
特徴を示す。ロータ16はその外周に外方に開いている
複数のダブテールスロット20を有している。各ダブテ
ールスロット20は、ディスク又はロータの外周からそ
の内部への方向に末広になっている傾斜側壁22を有し
ているが、底部24で終わっている。各ファン動翼18
はその下端にダブテール26を有しており、ダブテール
26は、動翼本体からダブテールのスタブ形端部に向か
う方向に外向きに傾斜している側面28を有している。
動翼ダブテール26は、図3に示すように、ロータダブ
テールスロット20内に滑り込むような形状及び寸法を
有している。
【0017】ロータ16が静止状態にあるとき、各動翼
ダブテール26はロータダブテールスロット20内に保
持されている。動翼ダブテールの底部はロータダブテー
ルスロットの底部24と接触し得る。エンジン10の運
転中、ロータ16が中心軸の周りに回転する結果、動翼
18は遠心力により外方に、即ち図3及び図4の矢印3
0の方向に移動する。このとき、ダブテール側面28は
ロータダブテールスロットの側壁22に接触して、動翼
18をロータダブテールスロット20内に固定し、そし
て動翼18がロータ16から投出されることを防止す
る。動翼ダブテールの摺動と、ダブテール接触圧力及び
係合部間の摩擦力との組み合わせにより、動翼及びロー
タ両者の係合表面にせん断力が発生する。図3を見れば
明らかなように、スロット側壁22には、参照番号32
で大まかに示す荷重受け接触域が存在しており、又、ス
ロット側壁22及びスロット底部24には、参照番号3
4で大まかに示す無接触域が存在しており、無接触域3
4では荷重による接触は生じない。
【0018】エンジン10が静止状態から飛行運転を経
て、再び静止状態に戻るように使用され、こうして、一
般に「サイクル」と呼ばれる動作をなすと、動翼18は
様々な荷重を受けて方向30に引っ張られる。動翼ダブ
テール側面28とロータダブテールスロット側壁22と
は互いに摺動し、その摺動距離はわずかで、通例約0.
010インチ以下であるが、フレッチング損傷の発生に
は十分な距離である。サイクルの繰り返し後、ロータ1
6の損傷が小さな割れとして発生する可能性があり、こ
れは極めて重大なことである。このような割れは、ダブ
テールスロットの側壁22からロータ16内に拡大し、
結局、ロータの故障を引き起こすおそれがある。
【0019】本発明によれば、動翼ダブテール側面28
とロータ16のスロット側壁22とにおける摺動の故
に、接触域に従来発生した摩耗及び疲労損傷は、動翼ダ
ブテール側面28とダブテールスロットの側壁22との
間に多層被覆シム40を挿入することにより低減され
る。シム40の配置は図2及び図4に示されており、
又、シムの詳細な構造は図5に示されている。シムの厚
さは約0.015インチから約0.040インチであ
り、好ましくは約0.020インチから約0.035イ
ンチである。
【0020】シム40は、動翼ダブテール26に取り付
けられるように形成されていると共に、運転中に動翼ダ
ブテール26とロータスロットの側壁22との間に保持
されるように形成されている多層被覆板である。シム4
0の形状は概して狭められたU形であって、U形の両脚
の上部が互いに近寄るようにわずかに曲げられている。
好ましくは、シムの形状は動翼ダブテール26の形状と
合致している。シム40は、動翼ダブテールのスタブ形
端部の周囲に延在するのに十分な長さを有していると共
に、ダブテール側面28を覆うのに十分な長さを有して
いる。運転中、シムの内面50はダブテール側面28と
接触しており、シムの外面52はダブテールスロットの
側壁22と接触して、動翼ダブテール側面28とロータ
ダブテールスロットの側壁22とを完全に隔離するの
で、側面28と側壁22とは接触表面32に沿って互い
に接触できない。ダブテールスロット20及び(又は)
ダブテール26の寸法は、それらの間に配置されている
多層被覆シム40に応じて調整されなければならない。
【0021】動翼をロータに組み付けるには、シムを摺
動させて各動翼に取り付け、そして動翼シムアセンブリ
を従来のようにロータダブテールスロット内に挿入す
る。所望に応じて、組み立ての前又は組み立て中に潤滑
剤をシム、ロータダブテールスロット又は動翼ダブテー
ルに施し得る。シム40は図5に示すように、多層薄板
材料で作られている。外側表面層42と内側表面層44
とは、前述のような運動及び荷重の下でロータ材料及び
動翼材料とそれぞれ接触するように配置されたときにフ
レッチングを阻止する材料から成っている。層42及び
44は同じ材料でも、相異なる材料でもよい。スズが約
4重量%〜6重量%、リンが約0.05重量%〜0.1
5重量%、そして残部が銅である公称組成を有するリン
青銅が好適な材料である。表面層はエンジン運転中、動
翼とロータとの間の応力に耐えるのに十分な強度レベル
を有していなければならない。ファンロータの用途で
は、この強度レベルは約60000psiから約900
00psiの引張強度に相当し、その場合の伸びは少な
くとも12%である。中央層46は次のような材料、即
ち表面層と両立するが、約110000psiから約1
90000psiの引張強度と、少なくとも10%の伸
びとに処理され、しかも800゜Fに近い温度に長期間
さらされた後でもその強度を保つことができるような材
料から成っている。オーステナイトステンレス鋼、例え
ばAISI304型が中央層には好適である。表面層及
び中央層の機械的特性値には幾らかの余裕があるが、強
度はエンジン運転特有の荷重を支持するのに十分なほど
高くなければならないのに対し、延性は材料を所要形状
に形成できるほど高くなければならない。
【0022】シムの寸法は、特定のロータ及び動翼の用
途の寸法に合うように選定されなければならない。中央
層は、表面層を支持するのに十分な厚さを有していなけ
ればならず、しかもシムがロータと動翼との間の適所か
ら抜け出ることを防ぐのに十分な剛性を有していなけれ
ばならない。中央層の好適な厚さは、約0.010イン
チから約0.015インチであるが、厚さはファンの寸
法と共に変わり、ファンを大きくすれば、層の厚さを増
す必要がある。
【0023】表面層は、フレッチングに耐える材料が予
定されている整備検査の合間に摩滅しないように十分厚
くなければならない。好適な厚さは約0.002インチ
から約0.005インチである。上述した組成のリン青
銅が表面層の好適材料であるが、他の材料も用い得る。
例えば、次のような公称組成、即ち、Cu−9Ni−
2.5Sn及びCu−10Al−1Feのような組成の
市販の銅基合金を用い得る。中央層用として、他のオー
ステナイトステンレス鋼又はニッケル基合金も用い得
る。
【0024】表面層42及び44と、中央層46とは、
任意の従来の方法により接合され得る。例えば、米国貨
幣鋳造用の冷間圧延方法と同様な冷間圧延により、表面
層を中央層に接合し得る。この方法により生ずる接合部
は通常、永久接合部であり、これは通常、冶金学的接合
部と考えられる。本発明の場合、好適な機械的特性を得
るように、複数の冷間圧下段階及びそれらの間の焼なま
し工程のスケジュールが選定される。
【0025】多層被覆シムの性能は、少なくとも動翼ダ
ブテール26とロータダブテールスロットの側壁22と
の間に介在しているシムの部分を潤滑することにより高
められる。様々な潤滑剤を適用でき、1991年1月1
5日付同時係属米国特許出願番号第641229号に記
載されている乾膜潤滑剤が好適である。 例1 材料のフレッチングに耐える能力は、摺動摩耗試験で測
定できる。この試験の一態様では、第1の試験材料のブ
ロックが試験装置の静止フレームに固定されており、そ
して第2の試験材料の帯片が試験装置の可動シューに固
定されている。可動シューは、80000ポンド毎平方
インチの垂直接触応力の下で、試験ブロックの表面に平
行な方向の往復運動を与えられる。この往復運動の大き
さは約0.008インチであり、振動数は1Hzであ
る。例1〜例3に記載の各試験において、試験ブロック
の材料はTi−6Al−4Vであった。これは広く用い
られているチタン合金である。試験を受ける両材料間の
摩擦係数を監視することにより、フレッチング及び(又
は)ゴーリングの発生による表面損傷の発生が明らかに
なる。
【0026】一つの試験では、第2の試験材料もTi−
6Al−4Vであった。ゴーリングが非常に急速且つ激
烈に発生したので、試験はわずか200サイクル後に中
止された。 例2 例1において説明した試験方式による他の試験におい
て、第2の試験材料は、スズが約5%、リンが0.1
%、残部が銅である公称組成を有するリン青銅の帯片で
あり、これを可動シューに固定した。帯片の厚さは約
0.018インチであった。1600サイクル後、その
厚さは0.009インチだけ減少していた。摩擦係数は
試験開始時の0.45から試験終了時の0.71へと増
加した。一試験材料としてのリン青銅の使用は、この摺
動摩耗試験における寿命を例1の試験に比べて8倍だけ
増加させた。
【0027】例3 例1において説明した試験方式による第3の試験におい
て、第2の試験材料は、本発明のシムを製造するために
考えられた形態の多層被覆帯片であった。このシム材料
は2つのリン青銅製表面層と、1つのAISI304L
型ステンレス鋼製中央構造層とから成っており、前述の
好適な強度レベルを有している。リン青銅の公称組成
は、スズが約5%、リンが0.1%、残部が銅であり、
ステンレス鋼の公称組成は、クロムが19%、ニッケル
が9%、残部が鉄であった。各表面層の厚さは約0.0
05インチであり、中央層の厚さは約0.010インチ
であった。10000サイクルの試験後、チタン合金の
ブロックと往復運動接触をなした表面層から約0.00
4インチの材料が摩滅していた。摩擦係数は試験開始時
の0.32から試験終了時の0.65へと増加した。多
層被覆材料の使用は、この摺動摩耗試験における寿命
を、例2の試験に比べて6倍だけ増加させ、又、例1の
試験に比べて50倍だけ増加させた。
【0028】以上の説明から当業者に明らかなように、
本発明は、ここに説明した実施例、方法及び組成に限定
されるものではなく、様々な改変、変更、代替及び対等
物の適用が本発明の範囲内で可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】ガスタービンエンジンの斜視図である。
【図2】ファンロータと、ファン動翼と、挿入されるシ
ムとの斜視分解図である。
【図3】組み立てられたファンロータ及びファン動翼の
一部の側面図であって、先行技術を表す形状を例示する
図である。
【図4】ファンロータとファン動翼との間に配置されて
いる多層被覆シムを有しているファンロータ及びファン
動翼アセンブリの一部の側面図である。
【図5】多層被覆シムの断面図である。
【符号の説明】
16 ファンディスク(ファンロータ) 18 ファン動翼 20 ダブテールスロット 22 ダブテールスロット側壁 26 動翼ダブテール 28 ダブテール側面 40 多層被覆シム 42 外側表面層 44 内側表面層 46 中央層

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ロータ外周からロータ内部への方向に末
    広になっている少なくとも一対の側壁を含んでいると共
    に底部で終わっているダブテールスロットを前記ロータ
    外周に有しているロータと、 動翼に沿って第1端に向かう方向に末広になっている少
    なくとも一対の側面を含んでいると共にスタブ形端部で
    終わっているダブテールを前記第1端に有している動翼
    と、 2つの面を有している中央構造帯片と、該帯片の第1の
    面に永久的に接合されている第1の表面層と、前記帯片
    の第2の面に永久的に接合されている第2の表面層とを
    含んでいる多層被覆シムとを備えており、 各表面層は、フレッチング防止材料から成っており、 前記シムは、該シムの前記第1の表面層の一部が前記ダ
    ブテールの各側面の少なくとも一部と接触すると共に前
    記シムの前記第2の表面層の一部が前記ダブテールスロ
    ットの各側壁の少なくとも一部と接触するように前記ダ
    ブテールと前記ダブテールスロットとの間に設けられて
    いるガスタービンエンジン用のロータ及び動翼アセンブ
    リ。
  2. 【請求項2】 前記ロータと前記動翼とはそれぞれチタ
    ンから成っている請求項1に記載のアセンブリ。
  3. 【請求項3】 前記フレッチング防止材料はリン青銅で
    ある請求項1に記載のアセンブリ。
  4. 【請求項4】 前記中央構造帯片はオーステナイトステ
    ンレス鋼から成っている請求項1に記載のアセンブリ。
  5. 【請求項5】 前記シムは、少なくとも1つの表面層に
    施されている潤滑剤を更に含んでいる請求項1に記載の
    アセンブリ。
  6. 【請求項6】 前記ロータは該ロータの周囲に沿って相
    隔たっている複数のダブテールスロットを有しており、
    1つの動翼と、1つのシムとが各ダブテールスロット内
    に設けられている請求項1に記載のアセンブリ。
  7. 【請求項7】 2つの面を有している中央構造帯片と、
    該帯片の第1の面に永久的に接合されている第1の表面
    層と、前記帯片の第2の面に永久的に接合されている第
    2の表面層とを備えており、ガスタービンエンジンのロ
    ータ内のダブテールスロットと前記エンジン内の動翼の
    ダブテールとの間にはまり込むように形成されていると
    共に、更に前記ダブテールと前記ダブテールスロットと
    の間に配置されたときに前記ダブテールと前記ダブテー
    ルスロットとの接触を防止するように形成されており、
    各表面層はフレッチング防止材料から成っている多層被
    覆シム。
  8. 【請求項8】 前記表面層はリン青銅から成っている請
    求項7に記載のシム。
  9. 【請求項9】 前記中央構造帯片はオーステナイトステ
    ンレス鋼から成っている請求項7に記載のシム。
  10. 【請求項10】 少なくとも1つの表面層に施されてい
    る潤滑剤の被覆を更に含んでいる請求項7に記載のシ
    ム。
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