JPH07247176A - 接合体およびメタライズ体 - Google Patents

接合体およびメタライズ体

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JPH07247176A
JPH07247176A JP3866694A JP3866694A JPH07247176A JP H07247176 A JPH07247176 A JP H07247176A JP 3866694 A JP3866694 A JP 3866694A JP 3866694 A JP3866694 A JP 3866694A JP H07247176 A JPH07247176 A JP H07247176A
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Seiichi Suenaga
誠一 末永
Miho Maruyama
美保 丸山
Shinji Arai
真次 荒井
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 界面での化学的結合力の向上を図ると共に、
セラミックス側の応力集中を抑制し、高機械的接合強度
が安定して得られる接合体を提供する。 【構成】 セラミックス基材と金属基材、あるいはセラ
ミックス基材同士が、酸素、窒素または炭素の拡散層と
金属層とを有する接合層を介して接合されている接合体
であって、前記拡散層と金属層との層厚比が 1:999〜
7:3の範囲に制御されている。また、窒化物系セラミッ
クス基材や炭化物系セラミックス基材を用いる場合に
は、Ti、Zr、Hf、Ta、NbおよびMoから選ばれた少なくと
も 1種からなる第1の金属元素と、Cu、Ni、Co、Fe、M
n、Cr、 VおよびZnから選ばれた少なくとも 1種からな
る第2の金属元素と、窒素または炭素とを、組成比で 7
0at%以上含有する化合物を含む接合層を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、セラミックス基材を用
いた接合体およびセラミックス基材の表面を金属化した
メタライズ体に関する。
【0002】
【従来の技術】セラミックス基材と金属基材、あるいは
セラミックス基材同士の接合技術は、半導体デバイス等
の機能材料の接合からガスタービン等の構造材料の接合
までの広い範囲で応用されている。従来の有効な接合方
法としては、 Mo-Mn法、DBC法、活性金属法等が知ら
れている。
【0003】上述したような接合方法のうち、 Mo-Mn法
やDBC法を適用した場合、得られる接合体は引張り強
度等に代表される機械的接合強度が母材強度と比較して
低いため、上記方法は強度や耐熱疲労性等が要求される
ような部位への適用が困難であるという問題を有してい
た。接合体の強度が母材と比較して低い理由は主に、界
面における化学的接合力が低い場合と、セラミックス基
材内に接合相手材等との熱膨張係数の違いに起因する応
力集中部が生じ、この部分の強度が劣化する場合が考え
られる。
【0004】活性金属法は、Ti等のセラミックスに対す
る還元作用等を利用して、界面における高い化学的結合
力で接合を行うもので、 Mo-Mn法やDBC法等に比べて
高い機械的接合強度を有する接合体が得られるため、有
効な接合方法とされている。しかし、活性金属法を適用
した場合でも、セラミックス基材内に発生する応力集中
が未だ大きいことから、得られる接合体においてはセラ
ミックス母材より機械的強度が十分ではない。
【0005】このように、セラミックス接合体の強度を
セラミックス母材並にするためには、界面での化学的結
合力の向上を図ると共に、セラミックス側の応力集中を
抑制するという、 2つの因子を制御する必要があるが、
現状の接合方法はこれらを十分に満足するまでには至っ
ていない。
【0006】一方、前述した Mo-Mn法、DBC法、活性
金属法等は、セラミックス基材の接合に限らず、セラミ
ックス基材表面の金属化(メタライズ)にも適用されて
いる。セラミックス基材のメタライズは、セラミックス
基材を回路基板等として使用する際の回路の形成手段と
して広く利用されている。しかし、このようなメタライ
ズ技術においても、上述した接合体の場合と同様に、従
来法ではセラミックス基材とメタライズ層との接合強度
(密着性)を十分に高めることができないという問題が
あった。
【0007】また、セラミックス基材のメタライズ技術
においては、上記した接合強度の点以外に、回路パター
ン等の再現性やメタライズ層の物理的特性等も考慮しな
ければならない。例えば、従来のTiを含む Ag-Cuろう材
を用いたメタライズ層の形成方法においては、上記ろう
材を溶融させ、ろう材の液相状態を利用してメタライズ
層を形成しているため、ろう材の側面等へのはみ出し等
が生じやすく、微細なパターンを形成することが困難で
あった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
の接合方法やメタライズ方法は、接合界面にてセラミッ
クス母材の強度に匹敵するような、十分に高い機械的接
合強度を得ることが困難であるという問題を有してい
た。
【0009】このようなことから、セラミックス接合体
においては、界面での化学的結合力の向上を図ると共
に、セラミックス側の応力集中を再現性よく抑制するこ
とが可能な接合技術が強く求められている。また、セラ
ミックスメタライズ体においては、十分な密着強度が再
現性よく得られると共に、微細なパターンの再現性に優
れたメタライズ技術が強く求められている。
【0010】特に、酸化物系セラミックス基材に比べ
て、機械的特性、熱伝導性等の点で優れる窒化物系セラ
ミックス基材や炭化物系セラミックス基材を用いた場合
に、上述したような条件を満足させることが強く望まれ
ている。
【0011】本発明は、このような課題に対処するため
になされたもので、界面での化学的結合力の向上を図る
と共に、セラミックス側の応力集中を再現性よく抑制
し、高機械的接合強度が安定して得られる接合体を提供
することを目的としている。また、本発明の他の目的
は、窒化物系セラミックス基材や炭化物系セラミックス
基材を用いた場合に、界面での化学的結合力の向上を図
ると共に、セラミックス側の応力集中を抑制し、高機械
的接合強度が安定して得られる接合体、さらには密着性
が高く、かつ形状の再現性に優れたメタライズ層が安定
して得られるメタライズ体を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段と作用】本発明者らは、前
述したセラミックスの接合やメタライズについて検討を
重ねた結果、活性金属を含む接合層内に存在する化合物
層等の厚さを特定の膜厚比内に制御することにより、化
学的結合力の向上を図った上で、セラミックス側の応力
集中を再現性よく緩和することが可能であること、また
窒化物系セラミックス基材や炭化物系セラミックス基材
を用いる場合には、活性金属を含む接合層やメタライズ
層内のセラミックス基材との界面近傍に、セラミックス
基材の構成元素のうち非金属元素を含む特定構造の化合
物を存在させることにより、化学的結合力の向上を図っ
た上で、セラミックス側の応力集中を緩和することが可
能であることを見出した。
【0013】本発明における第1の接合体は、上記した
第1および第2の知見に基いて成されたもので、セラミ
ックス基材と金属基材、あるいはセラミックス基材同士
が、酸素、窒素または炭素の拡散層と金属層とを有する
接合層を介して接合されている接合体であって、前記拡
散層と金属層との層厚比が 1:999〜 7:3の範囲であるこ
とを特徴としている。また、上記接合体において、前記
拡散層は、酸素、窒素または炭素と、Ti、Zr、Hf、Ta、
NbおよびMoから選ばれた少なくとも 1種とが少なくとも
共存する層であることを特徴としている。
【0014】本発明における第2および第3の接合体
は、上記した第2の知見に基いて成されたものであり、
第2の接合体は、窒化物系セラミックス基材と金属基
材、あるいは少なくとも一方が窒化物系セラミックスか
らなるセラミックス基材同士の接合体であって、Ti、Z
r、Hf、Ta、NbおよびMoから選ばれた少なくとも 1種か
らなる第1の金属元素と、Cu、Ni、Co、Fe、Mn、Cr、 V
およびZnから選ばれた少なくとも 1種からなる第2の金
属元素と、窒素とを、組成比で 70at%以上含有する化合
物を含む接合層を介して、前記窒化物系セラミックス基
材と金属基材、あるいは前記セラミックス基材同士が接
合されていることを特徴としている。
【0015】また、第3の接合体は、炭化物系セラミッ
クス基材と金属基材、あるいは少なくとも一方が炭化物
系セラミックスからなるセラミックス基材同士の接合体
であって、Ti、Zr、Hf、Ta、NbおよびMoから選ばれた少
なくとも 1種からなる第1の金属元素と、Cu、Ni、Co、
Fe、Mn、Cr、 VおよびZnから選ばれた少なくとも 1種か
らなる第2の金属元素と、炭素とを、組成比で 70at%以
上含有する化合物を含む接合層を介して、前記炭化物系
セラミックス基材と金属基材、あるいは前記セラミック
ス基材同士が接合されていることを特徴としている。
【0016】本発明のメタライズ体は、同様に第2の知
見に基くものであり、第1のメタライズ体は、窒化物系
セラミックス基材と、前記窒化物系セラミックス基材上
に設けられ、Ti、Zr、Hf、Ta、NbおよびMoから選ばれた
少なくとも 1種からなる第1の金属元素と、Cu、Ni、C
o、Fe、Mn、Cr、 VおよびZnから選ばれた少なくとも 1
種からなる第2の金属元素と、窒素とを、組成比で 70a
t%以上含有する化合物を含むメタライズ層とを具備する
ことを特徴としている。
【0017】また、第2のメタライズ体は、炭化物系セ
ラミックス基材と、前記炭化物系セラミックス基材上に
設けられ、Ti、Zr、Hf、Ta、NbおよびMoから選ばれた少
なくとも 1種からなる第1の金属元素と、Cu、Ni、Co、
Fe、Mn、Cr、 VおよびZnから選ばれた少なくとも 1種か
らなる第2の金属元素と、炭素とを、組成比で 70at%以
上含有する化合物を含むメタライズ層とを具備すること
を特徴としている。
【0018】まず、本発明における第1の接合体につい
て詳述する。第1の接合体は、上述したように、接合層
中に存在する酸素、窒素または炭素の拡散層と金属層と
の層厚比を 1:999〜 7:3の範囲に制御したものである。
ここで、接合体に用いるセラミックス基材としては、酸
化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウ
ム、酸化ベリリウム、酸化ケイ素等を主体とする酸化物
系セラミックス焼結体、窒化アルミニウム、窒化ケイ
素、窒化ボロン等を主体とする窒化物系セラミックス焼
結体、炭化ケイ素等を主体とする炭化物系セラミックス
焼結体等、各種のセラミックス焼結体を適用することが
可能である。また、金属基材としては、鋼材、 Fe-Ni系
合金、Mo合金、 W合金等、用途に応じて種々の金属材料
を適用することが可能である。
【0019】上記接合層中の拡散層は、基本的にはセラ
ミックス基材の構成元素のうちの非金属元素、すなわち
酸素、窒素または炭素が接合層側に拡散して形成される
ものであり、このような拡散層の形成を容易にするため
に、接合層のセラミックス基材との界面近傍には、Ti、
Zr、Hf、Ta、NbおよびMoから選ばれた少なくとも 1種の
活性金属を配置することが好ましい。すなわち、拡散層
の好ましい形態は、酸素、窒素または炭素と、Ti、Zr、
Hf、Ta、NbおよびMoから選ばれた少なくとも 1種の活性
金属とが少なくとも共存する層である。また、拡散層中
の酸素、窒素または炭素の量は 10at%以上であることが
好ましい。酸素、窒素または炭素の量が10at%未満であ
ると、十分な接合力を得ることが困難となる。
【0020】ここで、拡散層内における酸素、窒素また
は炭素は、金属中に固溶している状態でもよいが、酸化
物、窒化物、炭化物等の化合物の形態で存在させること
が好ましい。上記化合物としては、酸素、窒素および炭
素から選ばれた 1種と活性金属との化合物、酸素、窒素
および炭素から選ばれた 1種と活性金属と第2の金属元
素との 3元系化合物等が挙げられる。この 3元系化合物
を構成する第2の金属元素は、接合層中に存在する金属
層の構成元素であってもよいし、またそれ以外の金属元
素であってもよい。
【0021】上記 3元系化合物の具体例としては、拡散
層内の元素が酸素である場合にはMe(1)-Me(2)-O 系化合
物(ただし、Me(1)=Ti,Zr,Hf,Ta,Nb,Mo から選ばれる少
なくとも 1種、Me(2)=Cu,Ni,Co,Fe,Mn,Cr,V,Znから選ば
れる少なくとも 1種)、拡散層内の元素が窒素である場
合には Me(1)-Me(2)-N系化合物(ただし、 Me(1)および
Me(2)は前記と同様)、拡散層内の元素が炭素である場
合には Me(1)-Me(2)-C系化合物(ただし、 Me(1)および
Me(2)は前記と同様)が挙げられ、いずれもMe(1)と Me
(2)と酸素、窒素または炭素とを原子比で 3:3:1〜 4:2:
1の範囲で含む、空間群Fd3mのダイヤモンド構造を有す
る化合物が好ましい。このような空間群Fd3mのダイヤモ
ンド構造を有する化合物は、セラミックス基材と化学的
結合力の大きい界面を形成すると共に、それ自体の熱膨
張係数がセラミックス基材と金属基材の中間的な値とな
るため、セラミックス基材側に発生する応力を低減する
役割を果たす。
【0022】上述したような 2元系化合物や 3元系化合
物は、少なくともセラミックス基材との接合界面近傍に
存在させることが好ましく、具体的には層状に存在させ
たり、あるいは分散して存在させる。拡散層は、上述し
たような化合物のみによって構成してもよいし、あるい
は上記化合物とその構成金属元素との混合層としてもよ
い。さらに、拡散層内には、後述する金属層の構成元素
や酸素、窒素、炭素以外のセラミックス基材を構成する
元素等が拡散していても特に問題はない。
【0023】また、接合層中の金属層は、実質的なろう
材成分として寄与する部分であり、例えば Ag-Cu、Cu、
Ni、Au、 Au-Cu等を主成分とする層が例示される。この
ような金属層内には、酸素、窒素、炭素以外のセラミッ
クス基材を構成する元素等が拡散していてもよい。
【0024】本発明の第1の接合体においては、上述し
たような拡散層と金属層との層厚比を 1:999〜 7:3の範
囲とすることが重要である。すなわち、接合層中におけ
る拡散層の層厚比が小さすぎると十分な接合強度が得ら
れず、また拡散層の層厚比が大きすぎると応力緩和効果
が逆に低下すると共に接合強度が低下する。より好まし
い拡散層と金属層との層厚比は1:10〜 1:1の範囲であ
る。また、金属層としてAg-Cuや Au-Cu等の 2元系合金
を用いる場合には、拡散層と金属層との層厚比は1:999
〜 1:2の範囲とすることが好ましい。
【0025】また、接合層全体の厚さは、 100nm〜 2μ
m の範囲とすることが好ましい。接合層全体の厚さが 1
00nm未満であると十分な機械的強度が得られず、また接
合層全体の厚さが 2μm を超えると接合層によるセラミ
ックス基材への応力の影響が大きくなると共に、接合強
度が低下する。
【0026】上述したような第1の接合体は、例えば以
下のようにして作製される。まず、セラミックス基材の
表面に、例えばTi、Zr、Hf、Ta、NbおよびMoから選ばれ
た少なくとも 1種からなる薄膜を形成し、次いでその上
に Ag-Cu、Cu、Ni、Au、 Au-Cu等からなる薄膜を積層形
成する。また、これら以外の金属元素を接合層中に含ま
せる場合には、同様に薄膜として多層化する。なお、セ
ラミックス基材上に形成する薄膜層は、多層膜であって
もよいし、単層膜であってもよい。
【0027】上記薄膜の形成方法としては、スパッタリ
ング法、蒸着法、CVD法等の物理的、化学的成膜法を
適用することができる。これら薄膜の厚さは、拡散層内
に前述したような化合物が形成されると共に、接合処理
(熱処理)後の接合層全体の厚さが例えば 2μm 以下と
なるように設定するものとする。
【0028】次に、上記薄膜層上に接合相手部材を配置
した後に熱処理を施して、上記薄膜を本発明で規定する
接合層、すなわち拡散層と金属層との層厚比が 1:999〜
7:3の範囲の接合層とする。熱処理条件は、接合層中の
拡散層と金属層との層厚比が上記条件を満足するように
設定する。
【0029】具体的には、接合温度までの昇温過程で、
セラミックス基材から酸素、窒素または炭素を薄膜層内
の一部に拡散させて、前述したような 2元系化合物や 3
元系化合物等を生成し、この後接合温度まで昇温して、
セラミックス基材と接合相手部材とを接合する。この
際、酸素、窒素または炭素の拡散層の生成範囲が上記層
厚比を満足するように、昇温速度等を制御することが重
要である。
【0030】また、接合温度まで昇温して、接合温度に
おいてセラミックス基材から酸素、窒素または炭素を薄
膜層内の一部に拡散させ、前述したような 2元系化合物
や 3元系化合物等を生成すると共に、セラミックス基材
と接合相手部材とを接合してもよい。この際には、接合
時間等を十分に制御する。
【0031】ここで、接合温度は、接合層中の金属層成
分の溶融温度未満とし、固相反応によって拡散層の生成
や接合を行うことが重要である。接合層が溶融過程を経
ると、拡散層と金属層との層厚比を制御することが難し
く、高接合力や応力緩和効果を再現性よく得ることが困
難となる。なお、薄膜を用いる方法によれば、セラミッ
クス基材と薄膜とのコンタクトが予めとれているため、
固相状態での拡散、化合物生成反応が速やかに進行す
る。
【0032】上述したような熱処理を施し、拡散層と金
属層との層厚比が 1:999〜 7:3の範囲の接合層を得るこ
とによって、前述したように化学的結合力の大きい接合
界面が得られると共に、セラミックス基材側に発生する
応力を再現性よく低減することができる。よって、接合
部の機械的強度の低下が少ない接合体が得られる。
【0033】次に、本発明の第2および第3の接合体に
ついて詳述する。第2および第3の接合体は、窒化物系
セラミックス基材を用いる場合には、Ti、Zr、Hf、Ta、
NbおよびMoから選ばれた少なくとも 1種からなる第1の
金属元素(Me(1))と、Cu、Ni、Co、Fe、Mn、Cr、 Vおよ
びZnから選ばれた少なくとも 1種からなる第2の金属元
素(Me(2))と、主に窒化物系セラミックス基材側から拡
散させた窒素とを主構成元素とする化合物、換言すれば
それら元素を組成比で 70at%以上含有する化合物を含む
接合層を用い、また炭化物系セラミックス基材を用いる
場合には、 Me(1)元素と、 Me(2)元素と、主に炭化物系
セラミックス基材側から拡散させた炭素とを主構成元素
とする化合物、換言すればそれら元素を組成比で 70at%
以上含有する化合物を含む接合層を用いた接合体であ
る。
【0034】なお、用いる窒化物系セラミックス基材、
炭化物系セラミックス基材、金属基材は、前述した第1
の接合体の説明の中で例示したものと同様である。
【0035】上記 3元系化合物としては、Me(1) とMe
(2) と窒素または炭素とを原子比で3:3:1〜 4:2:1の範
囲で含む、空間群Fd3mのダイヤモンド構造を有するもの
が好ましい。上記化合物中の元素の組み合せは、特に限
定されるものではないが、例えば窒化物系の場合には T
i-Zn-N、Zr-V-N、 Zr-Fe-N、 Zr-Co-N、 Zr-Ni-N、Zr-Z
n-N 、 Hf-Zn-N等が例示される。これら化合物の原子比
は、上記したようにMe(1)3 Me(2)3 N 〜 Me(1)4 Me
(2)2 N の範囲で変化するものである。また、炭化物系
の場合には、 Ti-Zn-C、Zr-V-C、 Zr-Fe-C、 Zr-Zn-C、
Hf-Zn-C等が例示される。これら化合物の原子比は、窒
化物系と同様に、 Me(1)3 Me(2)3 C 〜Me(1)4 Me(2)
2 O の範囲で変化するものである。これら化合物は、少
なくともセラミックス基材との接合界面近傍に存在させ
る必要があり、具体的には層状に存在させたり、あるい
は分散して存在させる。
【0036】上記したような空間群Fd3mのダイヤモンド
構造を有する化合物は、化合物自体の性質およびセラミ
ックス基材からの窒素または炭素の拡散により形成され
るという形成過程に由来して、セラミックス基材と化学
的結合力の大きい界面を形成すると共に、それ自体の熱
膨張係数がセラミックス基材と金属基材の中間的な値と
なるため、セラミックス基材側に発生する応力を低減す
る役割を果たす。すなわち、応力緩和材としての機能を
有するものである。このようなことから、セラミックス
基材の強度と比較して、接合部の機械的強度の低下が少
ない接合体を得ることが可能となる。また、上記 Me(1)
-Me(2)-N系化合物または Me(1)-Me(2)-C系化合物を含む
接合層の厚さは 2μm 以下とすることが好ましい。
【0037】第2および第3の接合体における接合層
は、実質的に上記 Me(1)-Me(2)-N系化合物または Me(1)
-Me(2)-C系化合物のみによって構成してもよいし、ある
いは上記化合物とその構成金属元素との混合層とするこ
ともできる。これらの形態において、上記化合物はろう
材としての機能も有しているものの、実質的なろう材成
分として上記化合物の構成金属元素、具体的には Me(2)
を上記化合物とは別に含ませることができる。また、 M
e(1)および Me(2)以外に、ろう材として機能する金属元
素、例えばAgやAu等を接合層中に含ませることも可能で
ある。
【0038】上記 Me(1)-Me(2)-N系化合物または Me(1)
-Me(2)-C系化合物と、それを含む接合層の形成方法は、
特に限定されるものではないが、前述した第1の接合体
の製造方法と同様な固相熱処理法を適用することが好ま
しい。
【0039】すなわち、まず窒化物系セラミックス基材
または炭化物系セラミックス基材上に、 Me(1)および M
e(2)の薄膜を順に積層形成して多層膜を作製する。この
際、Me(1)薄膜はセラミックス基材側に形成する。ま
た、 Me(1)および Me(2)以外の金属元素を接合層中に含
ませる場合には、同様に薄膜として多層化する。薄膜の
形成方法は、前述した通りであるが、薄膜の厚さは上述
した組成比の Me(1)-Me(2)-N 系化合物または Me(1)-Me
(2)-C系化合物が形成されるように設定するものとす
る。なお、例えば Me(2)自体をろう材として機能させる
際には、その分を考慮して厚さを設定するものとする。
【0040】次に、上記薄膜層上に接合相手部材を配置
した後、前述したような固相熱処理を施す。この際、接
合温度までの昇温速度は、昇温過程で Me(1)-Me(2)-N系
化合物または Me(1)-Me(2)-C系系化合物が十分に形成さ
れるような速度に設定することが好ましい。すなわち、
Me(1)-Me(2)-N系化合物または Me(1)-Me(2)-C系化合物
は、多層薄膜間の固相反応により形成されるため、この
ような固相反応が十分に進行するように、ゆっくりとし
た速度で昇温することが好ましい。具体的には、昇温速
度は15℃/分以下とすることが好ましい。このように、
薄膜を用いる方法では、セラミックス基材と薄膜とのコ
ンタクトが予めとれているため、固相状態での拡散、化
合物生成反応が速やかに進行する。上記化合物中の窒素
や炭素は、基本的にはセラミックス基材側から供給され
るものであるが、上記薄膜層内や雰囲気内から供給する
ことも可能である。
【0041】上述したように、 Me(1)-Me(2)-N系化合物
または Me(1)-Me(2)-C系化合物を接合層内に形成するこ
とによって、化学的結合力の大きい接合界面が得られる
と共に、セラミックス基材側に発生する応力を低減する
ことができる。よって、接合部の機械的強度の低下が少
ない接合体が得られる。また、 Me(1)-Me(2)-N系化合物
や Me(1)-Me(2)-C系化合物は、ろう材に対する濡れ性も
高いことから、接合層中のろう材成分が上記化合物上に
良好に濡れ広がるため、さらに良好な接合強度が得られ
る。
【0042】なお、上記した接合方法では、接合熱処理
時に Me(1)-Me(2)-N系化合物またはMe(1)-Me(2)-C系化
合物を同時に形成しているが、これら化合物の形成方法
はこれに限定されるものではなく、例えば予め上記化合
物を形成した後、接合熱処理を行うこともできる。
【0043】上述した空間群Fd3mのダイヤモンド構造を
有する Me(1)-Me(2)-N系化合物または Me(1)-Me(2)-C系
化合物は、接合体の接合層に限らず、メタライズ層の接
合強度の向上にも寄与する。すなわち、本発明における
第1のメタライズ体は、上記Me(1)-Me(2)-N系化合物を
含むメタライズ層を窒化物系セラミックス基材上に設け
たものであり、第2のメタライズ体は上記 Me(1)-Me(2)
-C系化合物を含むメタライズ層を炭化物系セラミックス
基材上に設けたものである。上記化合物やセラミックス
基材の具体的な構成等は、前述した接合体と同様であ
る。
【0044】上記メタライズ層は、必ずしも上記化合物
のみで構成しなければならないものではなく、接合強度
の向上の点から窒化物系セラミックス基材または炭化物
系セラミックス基材との界面近傍に存在していればよ
い。また、上記 Me(1)-Me(2)-N系化合物または Me(1)-M
e(2)-C系化合物のろう材に対する濡れ性の高さを利用す
る際には、メタライズ層の表面に上記化合物が例えば斑
状に現出していればよいが、層状に存在させることがよ
り好ましい。
【0045】上記メタライズ体は、例えば以下のように
して作製される。まず、前述した接合体の作製と同様
に、セラミックス基材上に Me(1)およびMe(2)の薄膜を
順に積層形成して、多層膜を作製する。これら薄膜の厚
さは特に限定されるものではないが、原子比でMe(1):Me
(2)= 1:1〜 3:1の範囲となるように設定することが好ま
しい。この組成範囲の際に、特に前述した空間群Fd3mの
ダイヤモンド構造を有する化合物が形成され易いためで
ある。また、用いる窒化物系セラミックス基材や炭化物
系セラミックス基材としては、界面における反応性と拡
散を高めるように、表面平滑性や清浄度の高いものが好
ましい。
【0046】次に、上記薄膜の多層膜を形成したセラミ
ックス基材に、各薄膜の融点以下で、かつ多層薄膜間お
よび薄膜とセラミックス基材間の固相反応が進行し得る
温度以上の温度範囲で熱処理を施す。具体的な熱処理温
度としては、 Me(1)としてZr、 Me(2)としてNiを用いた
場合、 700℃〜 900℃の温度範囲が好ましい。熱処理温
度があまり低くても、また融点を超えるほど高くても、
目的とする Me(1)-Me(2)-N系化合物または Me(1)-Me(2)
-C系化合物を十分に形成することができない。また、熱
処理雰囲気は、真空中や不活性雰囲気としてもよいし、
また窒素含有雰囲気等とすることもできる。
【0047】このような温度による熱処理によって、界
面や多層薄膜間での固相反応が進行して、 Me(1)-Me(2)
-N系化合物または Me(1)-Me(2)-C系化合物が形成され
る。固相反応の進行は、例えば窒化物系セラミックス基
材上に、ZrとNiの薄膜を順に形成した場合、Tiが窒化物
系セラミックスを還元して窒素を生成し、この窒素とZr
とNiとにより、空間群Fd3mのダイヤモンド構造を有する
化合物が形成される。上記 Me(1)-Me(2)-N系化合物中の
窒素は、窒化物系セラミックス基材側から供給されるも
のであるが、上記薄膜層内や雰囲気内から供給すること
も可能である。この際、メタライズ層のセラミックス基
材側は、セラミックス基材側から窒素を供給し、表面側
は雰囲気内から窒素を供給する等によって、 Me(1)-Me
(2)-N系化合物をメタライズ層内で分離形成したり、あ
るいは部分的に連続した状態で形成することも可能であ
る。また、炭化物系セラミックス基材上に Me(1)-Me(2)
-C系化合物を含むメタライズ層を形成する場合も同様で
ある。
【0048】このように、 Me(1)-Me(2)-N系化合物また
は Me(1)-Me(2)-C系化合物をメタライズ層内に形成する
ことによって、化学的結合力の大きいメタライズ層が得
られる。また、上記化合物をメタライズ層の表面に存在
させれば、ろう材に対して濡れ性に優れたメタライズ層
が得られる。ここで、 Me(1)-Me(2)-N系化合物またはMe
(1)-Me(2)-C系化合物のメタライズ層中における比率
は、特に規定されるものではないが、メタライズ層全体
を上記化合物で構成するためには、薄膜の形成段階にお
ける膜厚を上記化合物の原子比に合せて設定したり、ま
た十分に上記化合物が形成されるように熱処理時間を設
定することが重要である。
【0049】また、上記したような固相反応によりメタ
ライズ層を形成することによって、微細パターンのメタ
ライズ層を再現性よく得ることが可能となる。さらに、
上記したような薄膜形成法を用いることにより、マスキ
ングを用いれば従来用いられていたペースト等では得ら
れない加工精度を達成することができ、また密着性の向
上も図れる。またさらに、薄膜形成法を用いることによ
り、従来用いられてきたペーストや箔では起こらなかっ
た低温から固相反応を起こすことができる。
【0050】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0051】実施例1 純度 99%のアルミナ基材の接合面上に、スッパタリング
法によって、Ti、Cu、Agの順に薄膜を積層形成した。各
薄膜の厚さは、それぞれ 540nm、 300nm、 660nmとし
た。次いで、上記薄膜の積層体上にFe-42%Ni合金基材を
当接させ、1.33×10-3Paの真空中にて昇温速度10℃/分
で 800℃まで加熱することによって、界面に Ti-33at%O
と空間群Fd3mのダイヤモンド構造を有するTi3 Cu3 O 化
合物とからなる酸素拡散層を形成し、その後冷却して、
アルミナ基材とFe-42%Ni合金基材とを接合した。
【0052】このようにして得た接合体の接合層の厚さ
は 1.5μm であった。また、接合層内には、アルミナ基
材側から Ti-33at%OとTi3 Cu3 O 化合物とからなる酸素
拡散層と Ag-Cuからなる金属層が順に層厚比 1:9の割合
で存在していた。なお、酸素拡散層からはAlとAgも検出
された。上記接合体の引張り試験を行ったところ、接合
強度は6kg/mm2 であった。
【0053】一方、純度 99%のアルミナ基材の接合面上
に、ペースト状のTi-Cu-Agろう材を塗布し、このろう材
層を溶融させてFe-42%Ni合金基材を接合したところ、こ
の接合体の引張り試験による接合強度は2kg/mm2 であっ
た。また、接合層内の酸素拡散層と金属層との層厚比は
8:2であった。
【0054】実施例2 純度 99%のアルミナ基材の接合面上に、スッパタリング
法によって、Ti、Niの順に薄膜を積層形成した。各薄膜
の厚さは、それぞれ1400nm、 300nmとした。次いで、上
記薄膜の積層体上にMo合金基材を当接させ、1.33×10-3
Paの真空中にて昇温速度10℃/分で1000℃まで加熱する
ことによって、界面に Ti-33at%Oと空間群Fd3mのダイヤ
モンド構造を有するTi3 Ni3 O 化合物とからなる酸素拡
散層を形成し、その後冷却して、アルミナ基材とMo合金
基材とを接合した。
【0055】このようにして得た接合体の接合層の厚さ
は 1.7μm であった。また、接合層内には、アルミナ基
材側から Ti-33at%OとTi3 Ni3 O 化合物とからなる酸素
拡散層とNiからなる金属層が順に層厚比 1:1の割合で存
在していた。なお、酸素拡散層からはAlも検出された。
上記接合体の引張り試験を行ったところ、接合強度は7k
g/mm2 であった。
【0056】一方、純度 99%のアルミナ基材の接合面上
に、ペースト状の Ti-Niろう材を塗布し、このろう材層
を溶融させてMo合金基材を接合したところ、この接合体
の引張り試験による接合強度は2kg/mm2 であった。ま
た、接合層内の酸素拡散層と金属層との層厚比は 9:1で
あった。
【0057】実施例3 純度 99%のアルミナ基材の接合面上に、スッパタリング
法によって、Ti、Cuの順に薄膜を積層形成した。各薄膜
の厚さは、それぞれ 520nm、 780nmとした。次いで、上
記薄膜の積層体上にMo合金基材を当接させ、9.31×10-4
Paの真空中にて昇温速度 5℃/分で 900℃まで加熱する
ことにより、界面に Ti-40at%Oと空間群Fd3mのダイヤモ
ンド構造を有するTi3 Cu3 O 化合物とからなる酸素拡散
層を形成し、その後冷却して、アルミナ基材とMo合金基
材とを接合した。
【0058】このようにして得た接合体の接合層の厚さ
は 1.3μm であった。また、接合層内には、アルミナ基
材側から Ti-40at%OとTi3 Cu3 O 化合物とからなる酸素
拡散層とCuからなる金属層が順に層厚比 2:1の割合で存
在していた。なお、酸素拡散層からはAlも検出された。
上記接合体の引張り試験を行ったところ、接合強度は6.
5 kg/mm2 であった。
【0059】一方、純度 99%のアルミナ基材の接合面上
に、ペースト状の Ti-Cuろう材を塗布し、このろう材層
を溶融させてMo合金基材を接合したところ、この接合体
の引張り試験による接合強度は2.5kg/mm2 であった。ま
た、接合層内の酸素拡散層と金属層との層厚比は 8:2で
あった。
【0060】実施例4 純度 95%のアルミナ基材の接合面上に、スッパタリング
法によって、Ti、Cuの順に薄膜を積層形成した。各薄膜
の厚さは、それぞれ 460nm、 540nmとした。次いで、上
記薄膜の積層体上にMo合金基材を当接させ、9.31×10-4
Paの真空中にて昇温速度15℃/分で 900℃まで加熱する
ことにより、界面に Ti-50at%OとTi2 Cu2 O 化合物とか
らなる酸素拡散層を形成し、その後冷却して、アルミナ
基材とMo合金基材とを接合した。
【0061】このようにして得た接合体の接合層の厚さ
は 1.0μm であった。また、接合層内には、アルミナ基
材側から Ti-50at%OとTi2 Cu2 O 化合物とからなる酸素
拡散層とCuからなる金属層が順に層厚比 1:2の割合で存
在していた。また、酸素拡散層からはAlも検出された。
上記接合体の引張り試験を行ったところ、接合強度は5k
g/mm2 であった。
【0062】一方、純度 95%のアルミナ基材の接合面上
に、ペースト状の Ti-Cuろう材を塗布し、このろう材層
を溶融させてMo合金基材を接合したところ、この接合体
の引張り試験による接合強度は3kg/mm2 であった。ま
た、接合層内の酸素拡散層と金属層との層厚比は10:1で
あった。
【0063】実施例5 純度 99%の窒化アルミニウム基材の接合面上に、スッパ
タリング法によって、Zr、Cu、Agの順に薄膜を積層形成
した。各薄膜の厚さは、それぞれ 320nm、 370nm、 810
nmとした。次いで、上記薄膜の積層体上にMo合金基材を
当接させ、9.31×10-4Paの真空中にて昇温速度15℃/分
で 800℃まで加熱することによって、界面に ZrNと空間
群Fd3mのダイヤモンド構造を有するZr3 Cu3 N 化合物と
からなる窒素拡散層を形成し、その後冷却して、窒化ア
ルミニウム基材とMo合金基材とを接合した。
【0064】このようにして得た接合体の接合層の厚さ
は 1.5μm であった。また、接合層内には、窒化アルミ
ニウム基材側から ZrNとZr3 Cu3 NO化合物とからなる窒
素拡散層と Ag-Cuからなる金属層が順に層厚比1:10の割
合で存在していた。なお、窒素拡散層からはAlも検出さ
れた。上記接合体の引張り試験を行ったところ、接合強
度は5kg/mm2 であった。
【0065】一方、純度 95%の窒化アルミニウム基材の
接合面上に、ペースト状のZr-Ag-Cuろう材を塗布し、こ
のろう材層を溶融させてMo合金基材を接合したところ、
この接合体の引張り試験による接合強度は3kg/mm2 であ
った。また、接合層内の窒素拡散層と金属層との層厚比
は 9:1であった。
【0066】実施例6 純度 97%の窒化アルミニウム基材の接合面上に、スッパ
タリング法によって、Zr、Niの順に薄膜を積層形成し
た。各薄膜の厚さは、それぞれ 900nm、 300nmとした。
次いで、上記薄膜の積層体上にFe-42%Ni合金基材を当接
させ、 1.064×10-3Paの真空中にて昇温速度 5℃/分で
1000℃まで加熱することによって、界面に空間群Fd3mの
ダイヤモンド構造を有する Zr-Ni-N系化合物を形成しな
がら、窒化アルミニウム基材とFe-42%Ni合金基材とを接
合した。
【0067】このようにして得た接合体の引張り試験を
行ったところ、接合強度は3kg/mm2であった。また、接
合層内からは、厚さ約 0.7μm の空間群Fd3mのダイヤモ
ンド構造を有する Zr-Ni-N系化合物層が検出された。
【0068】一方、純度 97%の窒化アルミニウム基材の
接合面上に、ペースト状の Zr-Niろう材を塗布し、この
ろう材を溶融させて、Fe-42%Ni合金基材を接合した。こ
の接合体の引張り試験を行ったところ、接合強度は1kg/
mm2 であり、また接合層内からは空間群Fd3mのダイヤモ
ンド構造を有する Zr-Ni-N系化合物は検出されなかっ
た。
【0069】実施例7 純度 97%の窒化アルミニウム基材の接合面上に、スッパ
タリング法によって、Zr、Feの順に薄膜を積層形成し
た。各薄膜の厚さは、それぞれ 700nm、 500nmとした。
次いで、上記薄膜の積層体上にFe-42%Ni合金基材を当接
させ、 1.064×10-3Paの真空中にて昇温速度 8℃/分で
1000℃まで加熱することにより、界面に空間群Fd3mのダ
イヤモンド構造を有する Zr-Fe-N系化合物を形成しなが
ら、窒化アルミニウム基材とFe-42%Ni合金基材とを接合
した。
【0070】このようにして得た接合体の引張り試験を
行ったところ、接合強度は3.5kg/mm2 であった。また、
接合層内からは、厚さ約 0.3μm の空間群Fd3mのダイヤ
モンド構造を有する Zr-Fe-N系化合物層が検出された。
【0071】一方、純度 97%の窒化アルミニウム基材の
接合面上に、ペースト状の Zr-Feろう材を塗布し、この
ろう材を溶融させて、Fe-42%Ni合金基材を接合した。こ
の接合体の引張り試験を行ったところ、接合強度は2kg/
mm2 であり、また接合層内からは空間群Fd3mのダイヤモ
ンド構造を有する Zr-Fe-N系化合物は検出されなかっ
た。
【0072】実施例8 純度 99%の炭化ケイ素基材の接合面上に、スッパタリン
グ法によって、Zr、Feの順に薄膜を積層形成した。各薄
膜の厚さは、それぞれ1000nm、 800nmとした。次いで、
上記薄膜の積層体上にFe-42%Ni合金基材を当接させ、
1.064×10-3Paの真空中にて昇温速度10℃/分で 850℃
まで加熱することにより、界面に空間群Fd3mのダイヤモ
ンド構造を有する Zr-Fe-C系化合物を形成しながら、炭
化ケイ素基材とFe-42%Ni合金基材とを接合した。
【0073】このようにして得た接合体の引張り試験を
行ったところ、接合強度は3.5kg/mm2 であった。また、
接合層内からは、厚さ約 1μm の空間群Fd3mのダイヤモ
ンド構造を有する Zr-Fe-C系化合物層が検出された。
【0074】一方、純度 99%の炭化ケイ素基材の接合面
上に、ペースト状の Zr-Feろう材を塗布し、このろう材
を溶融させて、Fe-42%Ni合金基材を接合した。この接合
体の引張り試験を行ったところ、接合強度は2kg/mm2
あり、また接合層内からは空間群Fd3mのダイヤモンド構
造を有する Zr-Fe-C系化合物は検出されなかった。
【0075】実施例9 純度 97%の窒化ケイ素基材の接合面上に、スッパタリン
グ法によって、Zr、Niの順に薄膜を、 Zr:Niの原子比が
1:1となるように積層形成した。薄膜の積層体の厚さは
300nmとした。次に、上記薄膜を形成した窒化ケイ素基
材を真空炉中に配置し、雰囲気を2.66×10-4Paの真空度
とした後、10℃/分で 900℃まで昇温し、10分間保持し
た後、加熱電源を切って炉冷した。試料が室温になった
ところで炉から取り出したところ、窒化ケイ素基材上に
空間群Fd3mのダイヤモンド構造を有する Zr-Ni-N系化合
物層が形成されていた。
【0076】上記化合物層が形成されている面に対する
Ni-Zr系ろう材の濡れ角度を測定したところ、従来の M
o-Mn法で形成したメタライズ層と比較して10度小さかっ
た。また、上記化合物層が形成されている面上にコバー
ル合金基材を当接させ、上記Ni-Zr系ろう材を用いて加
熱接合した。この接合体の引張り試験を行ったところ、
接合強度は5kg/mm2 であり、従来の Mo-Nn法によるメタ
ライズ層に接合した場合と比較して3kg/mm2 強度が向上
した。
【0077】実施例10 純度 97%の窒化ケイ素基材の接合面上に、スッパタリン
グ法によって、Zr、Feの順に薄膜を、 Zr:Feの原子比が
1:1となるように積層形成した。薄膜の積層体の厚さは
500nmとした。次に、上記薄膜を形成した窒化ケイ素基
材を真空炉中に配置し、雰囲気を1.33×10-4Paの真空度
とした後、 7℃/分で 900℃まで昇温し、10分間保持し
た後、加熱電源を切って炉冷した。試料が室温になった
ところで炉から取り出したところ、窒化ケイ素基材上に
空間群Fd3mのダイヤモンド構造を有する Zr-Fe-N系化合
物層が形成されていた。
【0078】上記化合物層が形成されている面に対する
Fe-Zr系ろう材の濡れ角度を測定したところ、従来の M
o-Mn法で形成したメタライズ層と比較して 8度小さかっ
た。また、上記化合物層が形成されている面上にコバー
ル合金基材を当接させ、上記Fe-Zr系ろう材を用いて加
熱接合した。この接合体の引張り試験を行ったところ、
接合強度は4kg/mm2 であり、従来の Mo-Nn法によるメタ
ライズ層に接合した場合と比較して2kg/mm2 強度が向上
した。
【0079】実施例11 純度 97%の炭化ケイ素基材の接合面上に、スッパタリン
グ法によって、Zr、Feの順に薄膜を、 Zr:Feの原子比が
3:2となるように積層形成した。薄膜の積層体の厚さは
500nmとした。次に、上記薄膜を形成した炭化ケイ素基
材を真空炉中に配置し、雰囲気を1.33×10-4Paの真空度
とした後、15℃/分で 850℃まで昇温し、10分間保持し
た後、加熱電源を切って炉冷した。試料が室温になった
ところで炉から取り出したところ、炭化ケイ素基材上に
空間群Fd3mのダイヤモンド構造を有する Zr-Fe-C系化合
物層が形成されていた。
【0080】上記化合物層が形成されている面に対する
Fe-Zr系ろう材の濡れ角度を測定したところ、従来の M
o-Mn法で形成したメタライズ層と比較して 5度小さかっ
た。また、上記化合物層が形成されている面上にコバー
ル合金基材を当接させ、上記Fe-Zr系ろう材を用いて加
熱接合した。この接合体の引張り試験を行ったところ、
接合強度は6kg/mm2 であり、従来の Mo-Nn法によるメタ
ライズ層に接合した場合と比較して2kg/mm2 強度が向上
した。
【0081】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の第1の接
合体によれば、界面での化学的結合力の向上を図った上
で、セラミックス側の応力集中を再現性よく抑制するこ
とできるため、セラミックス基材の強度と比較して、接
合部の機械的強度の低下が少ない接合体を安定して提供
することが可能となる。
【0082】また、本発明の第2および第3の接合体に
よれば、窒化物系セラミックス基材や炭化物系セラミッ
クス基材を用いた場合に、界面での化学的結合力の向上
を図った上で、セラミックス側の応力集中を抑制するこ
とできるため、セラミックス基材の強度と比較して、接
合部の機械的強度の低下が少ない接合体を安定して提供
することが可能となる。
【0083】さらに、本発明のメタライズ体によれば、
窒化物系セラミックス基材や炭化物系セラミックス基材
を用いた場合に、十分な密着強度およびろう材に対する
良好な濡れ性を有すると共に、微細なパターン等の形状
再現性に優れたメタライズ層を有するメタライズ体を安
定して提供することが可能となる。
【0084】

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミックス基材と金属基材、あるいは
    セラミックス基材同士が、酸素、窒素または炭素の拡散
    層と金属層とを有する接合層を介して接合されている接
    合体であって、 前記拡散層と金属層との層厚比が 1:999〜 7:3の範囲で
    あることを特徴とする接合体。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の接合体において、 前記拡散層は、酸素、窒素または炭素と、Ti、Zr、Hf、
    Ta、NbおよびMoから選ばれた少なくとも 1種とが共存す
    る層であることを特徴とする接合体。
  3. 【請求項3】 窒化物系セラミックス基材と金属基材、
    あるいは少なくとも一方が窒化物系セラミックスからな
    るセラミックス基材同士の接合体であって、 Ti、Zr、Hf、Ta、NbおよびMoから選ばれた少なくとも 1
    種からなる第1の金属元素と、Cu、Ni、Co、Fe、Mn、C
    r、 VおよびZnから選ばれた少なくとも 1種からなる第
    2の金属元素と、窒素とを、組成比で 70at%以上含有す
    る化合物を含む接合層を介して、前記窒化物系セラミッ
    クス基材と金属基材、あるいは前記セラミックス基材同
    士が接合されていることを特徴とする接合体。
  4. 【請求項4】 炭化物系セラミックス基材と金属基材、
    あるいは少なくとも一方が炭化物系セラミックスからな
    るセラミックス基材同士の接合体であって、 Ti、Zr、Hf、Ta、NbおよびMoから選ばれた少なくとも 1
    種からなる第1の金属元素と、Cu、Ni、Co、Fe、Mn、C
    r、 VおよびZnから選ばれた少なくとも 1種からなる第
    2の金属元素と、炭素とを、組成比で 70at%以上含有す
    る化合物を含む接合層を介して、前記炭化物系セラミッ
    クス基材と金属基材、あるいは前記セラミックス基材同
    士が接合されていることを特徴とする接合体。
  5. 【請求項5】 窒化物系セラミックス基材と、前記窒化
    物系セラミックス基材上に設けられ、Ti、Zr、Hf、Ta、
    NbおよびMoから選ばれた少なくとも 1種からなる第1の
    金属元素と、Cu、Ni、Co、Fe、Mn、Cr、 VおよびZnから
    選ばれた少なくとも 1種からなる第2の金属元素と、窒
    素とを、組成比で 70at%以上含有する化合物を含むメタ
    ライズ層とを具備することを特徴とするメタライズ体。
  6. 【請求項6】 炭化物系セラミックス基材と、前記炭化
    物系セラミックス基材上に設けられ、Ti、Zr、Hf、Ta、
    NbおよびMoから選ばれた少なくとも 1種からなる第1の
    金属元素と、Cu、Ni、Co、Fe、Mn、Cr、 VおよびZnから
    選ばれた少なくとも 1種からなる第2の金属元素と、炭
    素とを、組成比で 70at%以上含有する化合物を含むメタ
    ライズ層とを具備することを特徴とするメタライズ体。
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