JPH07246913A - シートベルト巻取り装置 - Google Patents

シートベルト巻取り装置

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JPH07246913A
JPH07246913A JP6065441A JP6544194A JPH07246913A JP H07246913 A JPH07246913 A JP H07246913A JP 6065441 A JP6065441 A JP 6065441A JP 6544194 A JP6544194 A JP 6544194A JP H07246913 A JPH07246913 A JP H07246913A
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JP
Japan
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belt
clamp member
clamp
webbing
seat belt
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Application number
JP6065441A
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English (en)
Inventor
Sadanori Osumi
貞▲徳▼ 大隅
Mutsumi Haraoka
睦 原岡
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NSK Ltd
Daihatsu Motor Co Ltd
Toyota Motor Corp
Original Assignee
NSK Ltd
Daihatsu Motor Co Ltd
Toyota Motor Corp
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Publication date
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Priority to GB9504796A priority patent/GB2287871B/en
Priority to DE19508679A priority patent/DE19508679C2/de
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  • Automotive Seat Belt Assembly (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ベルトクランプ機構の解除するタイミングを
ベルト張力に正確に対応させることができ、かつ、ベル
ト挾持後にシートベルトに作用する張力の増減を緩やか
に抑え、その張力の変動幅を小さくすること。 【構成】 クランプ部材27に装備されてベルトを係止
するとともに一定以上の荷重が作用すると破断等によっ
て係止を解除する係止突起35、36と、ベルト挾持状
態時にクランプ部材を支えると共に係止突起よりも低荷
重で塑性変形を起こしてクランプ部材をベルト引き出し
方向に移動させるクランプ支持手段と、該クランプ支持
手段の塑性変形によるクランプ部材の移動が完了すると
きに、ベルトを係止していた複数個の係止突起の内の一
定数のものに対してベルトとの係合が外れるようにベル
トを逃がすベルト逃がし凹部55とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車等に用いられる
シートベルト巻取り装置に関し、さらに詳しくは、衝突
時の衝撃等によりシートベルトに所定の大きさ以上の張
力が作用した場合に、シートベルトの引き出しによって
乗員の身体に作用する減速度を緩和し、乗員をより効果
的に保護できるようにしたシートベルト巻取り装置に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば自動車等において、乗
員の身体をシートに拘束することにより衝突の衝撃から
乗員を保護するシートベルトが用いられているが、この
シートベルトを巻取るシートベルト巻取り装置のなかに
は、衝突等の緊急時に、シートベルトが巻付けられてい
るベルト巻取り軸の回転をロックするのみならず、シー
トベルトを挟み込んでシートベルトの引き出しを止める
ベルトクランプ機構を設け、衝突時の初期に乗員をシー
トに拘束する性能を向上させたものがある。
【0003】ところが、図15のグラフに点線で示すよ
うに、緊急時にベルトをロックしてシートベルトの引き
出しを止めるだけのベルトクランプ機構を組み込んだシ
ートベルト巻取り装置においては、衝突後の時間の経過
とともにベルト張力が増加し、衝突による衝撃力が極め
て大きいときには、乗員の身体に急激な減速度を作用さ
せることになる可能性がある。
【0004】そこで、上述のベルトクランプ機構を改良
して、衝撃によりシートベルトに作用する張力が所定の
値より小さい初期の時にはベルトクランプ機構を作動さ
せてシートベルトの引き出しを止めた状態を保って乗員
の身体を確実にシートに拘束し、その後シートベルトに
作用する張力が所定の値より大きくなった時点で、この
ベルトクランプ機構の作動を解除してシートベルトを所
定量引き出させることにより、乗員の身体に生じる減速
度を緩和し、乗員の身体をより確実に保護するようにし
た構成のものが研究されている。
【0005】図16及び図17は、衝撃等によりシート
ベルトに作用する張力が所定の値より小さい初期の時に
はシートベルトを挾持して該シートベルトの引き出しを
阻止し、ベルト挾持後にベルトに作用する張力が所定の
値より大きくなった時には、ベルト挾持を解除して引き
出しを許容するようにしたベルトクランプ機構を備えた
シートベルト巻取り装置の従来例を示したものである。
【0006】この図16及び図17に示したシートベル
ト巻取り装置100は、実開平4−43551号公報に
開示されたもので、車両衝突時等の緊急時には、シート
ベルトとなるウェビング102が巻装されている巻取り
軸103を緊急ロック機構104によってロックして、
巻取り軸103の回転によるウェビング102の引き出
し(矢印A方向へのベルトの移動)を阻止すると共に、
巻取り軸103からリトラクターベース105の背板部
106上に引き出されているウェビング102をベルト
クランプ機構108に挾持させることによって、巻取り
軸103上に巻残っているウェビング102の巻締りに
よる引き出しを阻止する。
【0007】ここに、ウェビング102は、リトラクタ
ーベース105の一対の側壁部109に支持されたベル
トガイドピン110によって、背板部106に沿って引
き出されるように、引き出し位置の位置決めがなされて
いる。また、ベルトクランプ機構108は、リトラクタ
ーベース105の一対の側壁部109に両端を支持され
たクランプシャフト111と、該クランプシャフト11
1を回転中心として背板部106上のウェビング102
に沿って揺動可能に支持されたクランプホルダー112
と、該クランプホルダー112の先端に取り付けられた
クランプ部材113とを備えた構成とされており、緊急
時にはクランプホルダー112が図16の矢印B方向に
揺動してクランプ部材113をウェビング102に押し
付けて背板部106とクランプ部材113とでウェビン
グ102を挾持した挾持状態とすることでウェビング1
02のA方向への引き出しを拘束する。
【0008】ただし、クランプ部材113は、図17に
も示すように、半円筒状の外観を呈し、その両端部には
クランプホルダー112に回転自在に支持される支持軸
部114が突設されて、半円状の外周面115をクラン
プホルダー112側にしてクランプホルダー112の先
端に回転自在に保持されている。そして、ウェビング1
02に向けられたクランプ部材113の平坦な面には、
図17にも示したように、ベルト102に押し付けられ
た際に鋭角に尖った先端部をベルトに突き刺すことによ
りベルトの引き出しを拘束する係止突起116が多数形
成されている。そして、これらの各係止突起116は、
一定以上の荷重が先端部に作用した時に先端部が破断ベ
ルトの拘束を解除するように、強度や寸法が設定されて
いる。
【0009】即ち、図16及び図17に示した従来のベ
ルトクランプ機構108は、緊急事態の発生した初期に
は、クランプ部材113をウェビング102に押し付け
て、該クランプ部材113の係止突起116をウェビン
グ102に突き刺した挾持状態とすることによって、し
っかりとウェビング102を係止してウェビング102
の引き出しを阻止し、このベルト挾持後に乗員の慣性エ
ネルギー等でウェビング102に作用する張力が所定以
上に増大したときには、係止突起116の破断によって
ベルトの挾持状態を解除して、ベルトの拘束によって乗
員の身体に作用する衝撃を緩和しようとしたものであ
る。
【0010】図18は、ベルトクランプ機構108が作
動して、クランプ部材113の係止突起116がウェビ
ング102に突き刺さってウェビング102の引き出し
が阻止されたベルト挾持状態を示している。また、図1
9は、ベルト挾持後にベルトに作用する張力が所定以上
に達したために、係止突起116の破断によって挾持が
解除された状態を示している。この場合に、破断した係
止突起116の先端部17は、ウェビング102内に埋
没したままとなっている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前述のよう
に、ベルトクランプ機構108が、ベルト挾持後にベル
トに作用する張力が所定以上に達した時にベルト挾持を
解除する構成とされていると、衝突後のベルト張力の変
化は、図15に2点鎖線で示すように、ベルト張力が所
定の大きさP1に達すると巻締り等によるベルトの引き
出しが始まって張力が下がり、ベルトの引き出しが止ま
るとその時の張力P2から再びベルト張力が上昇して、
P1より大きい値のP3に達する特性を示し、シートベ
ルトに作用する最大張力を、ロック解除ができないベル
トクランプ機構を使用したものよりも小さく抑えること
が可能になる。
【0012】しかし、シートベルトに作用する最大張力
を適切に低減させるためには、係止突起116の破断等
によってベルト挾持を解除するタイミングをベルトに作
用する張力に正確に対応させることが必要で、さらに、
衝突時等にベルトから乗員の身体に作用する衝撃を効果
的に低減させるには、シートベルトに作用する最大張力
を低減させるだけでなく、該ベルトにおける急激な張力
の増減を避けるとともに、張力の変動幅を小さくするこ
とが重要になる。
【0013】ところが、前述した従来のベルトクランプ
機構108の構成では、係止突起116が破断するタイ
ミング(ベルト張力)が、車両の衝突時等における衝撃
の作用条件(減速条件)等によってばらつき易く、従っ
て、ベルト挾持を解除するタイミングをベルトに作用す
る張力に正確に対応させることが極めて困難であり、結
局、設計時に想定した衝撃吸収性能などを得ることが困
難という問題があった。
【0014】これは、例えば、図20に示すように、ウ
ェビング102に押し付けられたクランプ部材113の
係止突起116には、ウェビング102に作用している
張力による剪断力F1と、クランプホルダー112の揺
動動作によるウェビング102への押圧力の反力F2と
が作用しており、実際には、これらの力F1,F2の合
力F3が係止突起116を破砕する力となると考えられ
るが、前述した従来のベルトクランプ機構108では、
ベルト挾持後、F3によって係止突起116が破砕され
るまで、クランプホルダー112の揺動による押付け動
作が続き、ウェビング102に作用する張力の増加に従
って力F2が増加し続けるということ、そして、力F2
は、張力の増加速度等に応じて増加速度が変動すること
などが要因となって、現実に係止突起116が破砕する
時の力F3に対してF2の影響力が極めて大きくなって
いるためであると、本願発明者等は、考察した。
【0015】また、前述した従来のベルトクランプ機構
108の構成では、図15にも示したように、短時間に
張力の上昇,下降が繰り返され、シートベルトに作用す
る張力の増減が急激になるとともに、その変動幅も大き
くなる虞があった。
【0016】そこで、本発明の目的は上記課題を解消す
ることにあり、ベルトクランプ機構によるベルト挾持を
解除するタイミングをベルトに作用する張力に正確に対
応させることができ、しかも、ベルト挾持後にシートベ
ルトに作用する張力の増減を緩やかに抑えるとともに、
その張力の変動幅を小さくすることができて、車両の衝
突時等にシートベルトから乗員に作用する衝撃を効果的
に低減することのできるシートベルト巻取り装置を提供
することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、シ
ートベルトを巻装する巻取り軸を緊急時にロックする緊
急ロック機構と、前記巻取り軸からリトラクターベース
の背板部上に引き出されているシートベルトに向かって
移動可能に設けられたクランプ部材を具備して緊急時に
は前記クランプ部材をシートベルトに押し付けてシート
ベルトを挟持状態にすることによってベルトの引き出し
を拘束するベルトクランプ機構とを備え、かつ、前記ク
ランプ部材には、ベルトに押し付けられた際に鋭角に尖
った先端部をベルトに突き刺すことによりベルトの引き
出しを拘束するとともに、一定以上の荷重が前記先端部
に作用した時に該先端部が破断または変形することによ
ってベルトの拘束を解除する係止突起を適宜数装備して
なるシートベルト巻取り装置であって、シートベルトを
挾持している前記クランプ部材を支えると共に前記係止
突起よりも低荷重で塑性変形を起こすことによって支え
ている前記クランプ部材をベルトの引き出し方向に沿っ
て一定量だけ移動させるクランプ支持手段と、前記クラ
ンプ支持手段の塑性変形によるクランプ部材の移動が完
了するときに、ベルトに突き刺さっていた複数個の前記
係止突起の内の一定数のものに対してベルトとの係合が
外れるようにベルトを逃がすベルト逃がし凹部とを備え
たことを特徴とするシートベルト巻取り装置により達成
される。
【0018】
【作用】本発明の上記構成によれば、ベルトクランプ機
構によるベルト挾持の初期には、クランプ部材に装備さ
れている全係止突起がベルトを挾持して、ベルトの引き
出しを阻止する。そして、ベルト挾持後にベルトに作用
する張力が一定値以上になると、まず、クランプ部材を
支持しているクランプ支持手段の塑性変形が始まって、
ベルトを挾持しているクランプ部材がベルトに沿って移
動することで、乗員からベルトに作用する運動エネルギ
ーの吸収がなされて、ベルトに作用する張力の増加が抑
制される。
【0019】そして、クランプ支持手段のよる塑性変形
が完了して、クランプ部材のベルト引き出し方向への移
動ができなくなると、再び、ベルトに作用する張力が増
加することになるが、その場合に、張力が所定値まで増
加すると係止突起の破断または変形が生じて、ベルト挾
持力が低下し、その分、ベルトの引き出しが許容される
ことによってベルトに作用する張力が減量される。この
場合に、破断または変形等によってベルト挾持力を低下
させる係止突起は、予め装備されていた複数本の係止突
起の内の一部に制限されるため、挾持力が一気に大きく
減少することがなく、従って、係止突起の破断または変
形に起因したベルトに作用する張力の減少は、緩やかに
なる。そして、この係止突起の破断または変形に起因し
たベルトの伸び出しが完了すると、再びベルトに作用す
る張力は増加することになるが、それ以前の動作段階に
おける運動エネルギーの吸収や、張力の減少により、張
力はそれほど高くならない。
【0020】
【実施例】図1乃至図3は本発明に係るシートベルト巻
取り装置の第1実施例を示したもので、図1は装置の要
部であるベルトクランプ機構によるベルト挾持状態を示
した縦断面図、図2は該第1実施例の全体的な概略構成
を示す斜視図、図3は第1実施例の要部であるベルトク
ランプ機構のベルト挾持状態の解除時を示す縦断面図で
ある。
【0021】この第1実施例のシートベルト巻取り装置
は、いわゆるクランプ機構付きのリトラクターで、対向
する一対の側壁部10と該一対の側壁部10同士を連結
している背板部11とを有した構成をなして座席側の固
定構造物(例えば、車体等)に取り付けられる金属板製
のリトラクターベース12と、リトラクターベース12
に回転自在に支持されてシートベルトとなるウェビング
13を巻回したボビン(図示略)と、車両衝突等の緊急
時にリトラクターベース12の背板部11に沿った定位
置でウェビング13を挾持してウェビング13の引き出
しを阻止するベルトクランプ機構15とを備えた構成と
なっている。
【0022】ここに、ウェビング13を巻回する図示略
のボビンは、その中心部を貫通した巻き取り軸(図示
略)を介して一対の側壁部10の軸支持穴9(図2参
照)に回転自在に支持されたもので、巻き取り軸と一体
回転する。そして、通常、リトラクターベース12に回
転自在に支持された巻き取り軸の一端側には、ボビンを
ウェビング巻き取り方向に付勢する巻き取りばね装置が
装備されている。また、巻き取り軸の他端側には、急ブ
レーキ操作や衝突による速度変化等から緊急事態の発生
を検出して、巻き取り軸あるいはボビンと一体の爪車に
係止爪を噛合させてボビンのウェビング引き出し方向へ
の回転を阻止する緊急ロック機構が装備されている。
【0023】ベルトクランプ機構15は、前述したボビ
ンに巻残っているウェビング13の巻締りによるウェビ
ング13の引き出しを防止するためのもので、図1およ
び図2に示すように、リトラクターベース12の背板部
11上の定位置に固定して設けられたロアープレート2
6と、ウェビング13に押し当てる多数の係止突起を有
したクランプ部材27と、該クランプ部材27を保持し
て緊急時にクランプ部材27を移動動作させるクランプ
レバー(図示略)と、該クランプレバーがクランプ部材
27を移動させるときにクランプ部材27がウェビング
13を適正に押圧するようにクランプ部材27の移動位
置を規制するアッパープレート29と、該アッパープレ
ート29をリトラクターベース12の側壁部10に固定
しているアッパーステー(図示略)などから構成されて
いる。
【0024】ここに、クランプ部材27は、図1に示す
ように、前端に装備された平坦面31と、ウェビング1
3に押し当てる係止突起が立設された押え面32とアッ
パープレート29の案内面上を摺動するガイド面33と
で略截頭楔状を呈した構造で、後端側に装備された軸部
34が前述した図示略のクランプレバーに回転自在に支
持されている。該クランプ部材27の押え面32には、
先端が鋭角に尖った第1の係止突起35と、先端が平坦
に成形された第2の係止突起36との2種の係止突起が
それぞれ適宜数突設されている。
【0025】そして、図1に示すように、第1の係止突
起35は先端の尖った部分をウェビング13に突き刺す
ことによりウェビング13の引き出しを防止し、第2の
係止突起36は先端の平坦面をウェビング13の表面に
押し当ててロアープレート26との協働で挾持すること
でウェビング13の引き出しを防止する。ここに、第1
の係止突起35は、該クランプ部材27によるウェビン
グ13の係止状態において、ウェビング13に作用する
荷重が予め設定した所定値(第1の特定値)f1以上に
なると、ウェビング13に付き刺さる先端部が破断また
は変形して、該先端部による係止が解除されるように、
強度設計されている。また、この実施例では、第1の係
止突起35は、クランプ部材27の押え面32の前後に
それぞれ2列ずつ、合計4列装備されている。
【0026】緊急時等にクランプ部材27を移動させる
図示略のクランプレバーは、リトラクターベース12の
一対の側壁部10間に架設された軸を中心に揺動自在に
支持されており、その先端部においてクランプ部材27
の軸部34を保持している。そして、該クランプレバー
は、前述した図示略の緊急ロック機構と連動動作するも
ので、緊急ロック機構がボビンのウェビング引き出し方
向の回転を阻止する緊急時には、揺動してクランプ部材
27をアッパープレート29の下に押し込み、該アッパ
ープレート29の案内でクランプ部材27をウェビング
13に押し付けて、ウェビング13の引き出しを阻止す
る。なお、クランプレバーは、通常は、ウェビング13
にクランプ部材27が接触しないように、アッパープレ
ート29の背面側に配設されたリターンスプリング(図
示略)によって、クランプ部材27を逆向きに付勢して
いる。
【0027】アッパープレート29は、金属板の折り曲
げにより形成されており、図1に示すように、緊急時に
クランプレバーによって押し出されたクランプ部材27
のガイド面33に当接して該クランプ部材27をウェビ
ング13側に案内する役目を果たす傾斜板部50と、こ
の傾斜板部50の前端からウェビング13に平行に延出
したガイド板部51と、このガイド板部51の前端に連
なりクランプ部材27の平坦面31に当接することによ
って、クランプ部材27のウェビング引き出し方向への
移動を阻止する係止板部52と、アッパーステーを介し
てリトラクターベース12に固定される固定板部53
と、この固定板部53と傾斜板部50の後端とを連結し
た連結板部54とを備えた構成とされている。
【0028】そして、傾斜板部50およびガイド板部5
1は、クランプ部材27がベルト挾持後に、ウェビング
13に作用する荷重の増加によってアッパープレート2
9に作用する荷重が予め設定した所定値(第2の特定
値)f2に達すると、図3に示すように、傾斜板部50
およびガイド板部51の部分が塑性変形を引き起こし、
クランプ部材27のウェビング引き出し方向への移動を
許容することにより、ウェビング13に作用する荷重の
増加を防止し、乗員の身体に作用している運動エネルギ
ーの吸収するように、強度および寸法が設計されてい
る。そして、クランプ部材27が一定量だけウェビング
引き出し方向に移動すると、係止板部52をクランプ部
材27の前端の平坦面31に当接させることによって、
クランプ部材27のウェビング引き出し方向への移動を
阻止する。
【0029】この場合に、第2の特定値f2は、前述し
たクランプ部材27の第1の係止突起35が破断または
変形する第1の特定値f1よりも小さな張力に対応した
ものとなっている。すなわち、アッパープレート29
は、ウェビング13を挾持しているクランプ部材27を
支えると共に、第1の係止突起35よりも低荷重で塑性
変形を起こすことによって支えているクランプ部材27
をベルトの引き出し方向に沿って一定量だけ移動させる
クランプ支持手段として機能している。
【0030】一方、クランプ部材27との協働によりベ
ルト挾持を実現するロアープレート26の前端側上面に
は、アッパープレート29の傾斜板部50やガイド板部
51の塑性変形によるクランプ部材27の移動が完了す
るときに、図3に示すように、ウェビング13に突き刺
さっていた複数個の第1の係止突起35の内の一定数の
ものに対してウェビング13との係合が外れるように、
ウェビング13を逃がすベルト逃がし凹部55が装備さ
れている。
【0031】次に、第1実施例のシートベルト巻取り装
置の作用を説明する。車両衝突等による急激な減速が作
用する緊急時には、ボビンの回転を拘束する緊急ロック
機構の作動に連動してベルトクランプ機構15が作動す
る。ベルトクランプ機構15によるベルト挾持の初期に
は、図1に示すように、クランプ部材27に装備されて
いる全ての第1の係止突起35が確実にベルトを挾持し
て、ベルトの引き出しを阻止する。そして、ベルト挾持
後にベルトに作用する張力が増加して、アッパープレー
ト29の傾斜板部50に作用する荷重が第2の特定値f
2以上になると、図3に示すように、アッパープレート
29の傾斜板部50やガイド板部51などの塑性変形が
始まって、ベルトを挾持しているクランプ部材27が移
動することで、乗員からベルトに作用する運動エネルギ
ーの吸収がなされて、ベルトに作用する張力の増加が抑
制される。なお、クランプ部材27の移動の際には軸部
材34が装備された後端部分はアッパープレート29に
より破断される。
【0032】そして、図3に示すように、アッパープレ
ート29の塑性変形が完了して、クランプ部材27のベ
ルト引き出し方向への移動ができなくなると、再び、ベ
ルトに作用する張力が増加することになるが、その場合
に、張力がさらに上昇して第1の係止突起35に作用す
る荷重が第1の特定値f1まで達すると、第1の係止突
起35の破断または変形が生じて、ベルト挾持力が低下
し、その分、ベルトの引き出しが許容されることによっ
てベルトに作用する張力が減量される。この場合、アッ
パープレート29の塑性変形の完了時には、クランプ部
材27の前端側に2列に装備された第1の係止突起35
は、ベルト逃がし凹部55によるベルトの逃げのため
に、既にベルトとの係合が外れている。従って、破断ま
たは変形等によってベルト挾持力を低下させる第1の係
止突起35は、予め装備されていた前後4列の第1の係
止突起35の内の後側2列分のみに制限されるため、挾
持力が一気に大きく減少することがなく、第1の係止突
起35の破断または変形に起因したベルトに作用する張
力の減少は、緩やかになる。そして、この第1の係止突
起35の破断または変形に起因したベルトの伸び出しが
完了すると、再びベルトに作用する張力は増加すること
になるが、それ以前の動作段階における運動エネルギー
の吸収や、張力の減少により、張力はそれほど高くなら
ない。
【0033】以上により、第1実施例においてウェビン
グ13に作用する張力は、図15に実線で示す如き滑ら
かな変動特性を示すことになる。そして、アッパープレ
ート29の塑性変形により、クランプ部材27をウェビ
ング13に押し付ける役割の傾斜板部50が破損して、
クランプ部材27をウェビング13に押えつける力が増
大し続けることが回避されるため、第1の係止突起35
の破断等にベルトへの押圧力等が大きな影響力を持つこ
とを回避することが可能になる。
【0034】従って、ベルトクランプ機構15によるベ
ルト挾持を解除するタイミングをベルトに作用する張力
に正確に対応させることができ、しかも、ベルト挾持後
にシートベルトに作用する張力の増減を緩やかに抑える
とともに、その張力の変動幅を小さくすることができ
て、車両の衝突時等にシートベルトから乗員に作用する
衝撃を効果的に低減することが可能になる。
【0035】図4乃至図7は本発明に係るシートベルト
巻取り装置の第2実施例を示したもので、図4は縦断面
図、図5は全体の概略構成を示す斜視図、図6は該第2
実施例のベルトクランプ機構15によるベルト挾持状態
を示す縦断面図、図7は挾持状態の解除時を示す縦断面
図である。
【0036】この第2実施例のシートベルト巻取り装置
は、リトラクターベース12と、リトラクターベース1
2に回転自在に支持されてシートベルトとなるウェビン
グ13を巻回したボビン14と、車両衝突等の緊急時に
リトラクターベース12の背板部11に沿った定位置で
ウェビング13を挾持してウェビング13の引き出しを
阻止するベルトクランプ機構15とを備えた構成であ
る。
【0037】ベルトクランプ機構15は、リトラクター
ベース12の背板部11上の定位置に固定して設けられ
たロアープレート26と、ウェビング13に押し当てる
多数の係止突起を有したクランプ部材60と、該クラン
プ部材60を保持して緊急時にクランプ部材60を移動
動作させるクランプレバー28と、該クランプレバー2
8がクランプ部材60を移動させるときにクランプ部材
60がウェビング13を適正に押圧するようにクランプ
部材60の移動位置を規制するアッパープレート61
と、該アッパープレート61をリトラクターベース12
の側壁部10に固定しているアッパーステー63などか
ら構成されている。
【0038】この第2実施例のベルトクランプ機構15
は、アッパープレート61ではなく、アッパーステー6
3の方が塑性変形可能に構成されている点が、前述の第
1実施例と大きく異なっている。
【0039】以下、図示の構成について、順に説明す
る。図示はしていないが、前述したように、リトラクタ
ーベース12に回転自在に支持された巻き取り軸18の
一端側には、ボビン14をウェビング巻き取り方向に付
勢する巻き取りばね装置が装備されている。そして、巻
き取り軸18の他端側には、急ブレーキ操作や衝突によ
る速度変化等から緊急事態の発生を検出して、巻き取り
軸18あるいはボビン14と一体の爪車に係止爪を噛合
させてボビン14のウェビング引き出し方向への回転を
阻止する緊急ロック機構が装備されている。
【0040】クランプ部材60は、第1実施例のクラン
プ部材27に装備していた平坦面31がなく、全体とし
て楔状を呈している点が、第1実施例のものと異なり、
その他の点は、第1実施例の場合と同様である。即ち、
ウェビング13におしつけられる押え面32には、前述
の第1の係止突起35および第2の係止突起36が同様
に配列され、また、後端部側には、クランプレバー28
によって支持される軸部34が設けられている。
【0041】クランプレバー28は、リトラクターベー
ス12の一対の側壁部10間に架設された軸38を中心
に揺動自在に支持されており、その先端部においてクラ
ンプ部材60の軸部34を保持している。そして、該ク
ランプレバー28は、前述した図示略の緊急ロック機構
と連動動作するもので、緊急ロック機構がボビン14の
ウェビング引き出し方向の回転を阻止する緊急時には、
矢印a方向に揺動することによりクランプ部材60をウ
ェビング13に押し付けて、ウェビング13の引き出し
を阻止する。また、クランプレバー28は、通常は、ウ
ェビング13にクランプ部材27が接触しないように、
アッパープレート29の背面側に配設されたリターンス
プリング39によって、矢印aとは逆向きに付勢されて
いる。また、クランプ部材27の後端面に当接する如く
クランプレバー28上に装備された異形断面形状の連結
部40は、ボビン14からのウェビング引き出し位置が
ボビン14上の巻径(残量)に応じて変動しないよう
に、滑らかな湾曲面に形成された一端部41をウェビン
グ13に当接させることにより、引き出し位置を規制し
ている。
【0042】アッパープレート61は、リトラクターベ
ース12の側壁部10に形成した案内溝64によってウ
ェビング13の引き出し方向に沿って移動自在に支持さ
れている。
【0043】一方、アッパーステー63は、金属板の折
り曲げ加工により所定形状に成形されたもので、側壁部
10にねじ止めにより固定される側壁部65と、該側壁
部65に連続するとともに縦断面がU字状に湾曲した形
状を成した塑性変形用板部66と、この塑性変形用板部
66の一端側に位置してアッパープレート61にねじ止
めされるプレート支持部67とを備えた構成とされてい
る。そして、プレート支持部67をアッパープレート6
1に固定する雄ねじ部材68には、塑性変形用板部66
の上面に摺動可能に当接して、塑性変形用板部66の塑
性変形時に波打ち変形が生じることを防止するととも
に、塑性変形用板部66の円滑な変形を導くための、座
金69が装着されている。
【0044】塑性変形用板部66は、ウェビング13に
作用する荷重fが増加して、クランプ部材60およびア
ッパープレート61を介してプレート支持部67に作用
する荷重が前述した第2の特定値f2に達したとき、そ
の時のウェビング引き出し方向の荷重で塑性変形が生じ
るように、U字状の湾曲部の曲率半径等の形状や寸法、
材質が選定されたものである。この第2実施例では、車
両衝突等による急激な減速が作用しない通常走行時等に
おいては、図4に示すように、リターンスプリング39
のばね力等によりクランプ部材60は、ウェビング13
から離間した状態に保たれている。
【0045】しかし、車両衝突等による急激な減速が作
用する緊急時には、ボビン14の回転を拘束する緊急ロ
ック機構の作動に連動してクランプレバー28が矢印a
方向に回動して、クランプ部材60をアッパープレート
61の下面43に沿って押し出して、図6に示すよう
に、クランプ部材60の第1の係止突起35,第2の係
止突起36をウェビング13に押し付けて、巻締りによ
るウェビング13の引き出しを阻止する。そして、この
引き出しの阻止によって、ウェビング13に作用する荷
重fが徐々に増加し、それによってアッパーステー63
に作用する荷重が前述の第2の特定値f2に達したとき
には、その時のウェビング引き出し方向の力で、塑性変
形用板部66のU字状の湾曲部の近辺に曲げ(塑性変
形)が生じることによって、プレート支持部67のウェ
ビング引き出し方向への移動が可能になる。
【0046】その塑性変形用板部66の湾曲部近辺の変
形位置は、プレート支持部67の移動に応じて塑性変形
用板部66上を遷移し、結局、図7に示すように、U字
状の湾曲部が徐々に移動した如き形態で、プレート支持
部67のウェビング引き出し方向への移動を許容する。
【0047】このプレート支持部67のウェビング引き
出し方向への移動は、アッパープレート61およびクラ
ンプ部材60のウェビング引き出し方向への移動とな
り、これによって、ウェビング13の伸び出し(引き出
し)が実現され、ウェビング13に作用する運動エネル
ギーが伸び出した分量に応じて塑性変形用板部66に吸
収されて、ベルトから乗員の身体に作用する衝撃等が軽
減される。
【0048】そして、図7に示すように、アッパーステ
ー63の塑性変形が完了した状態(図7で、ストローク
L1だけ移動完了したとき)では、クランプ部材60の
前端側に装備された第1の係止突起35は、第1実施例
の場合と同様に、ロアープレート26に装備されたベル
ト逃がし凹部55によって、ウェビング13との係合が
外れた状態になる。 従って、ベルトに作用する張力の
その後の増加によって、第1の係止突起35に作用する
荷重が前述の第1の特定値f1に達したときは、ベルト
との係合状態を維持しているクランプ部材60の後端側
の第1の係止突起35のみが破断または変形し、これに
より、ベルトに作用している張力の減少、ベルトに作用
する運動エネルギーの吸収を行う。
【0049】このように、アッパーステー63を第2の
特定値f2で塑性変形可能に構成しても、ウェビング1
3に作用する張力は、図15の実線に示した如き特性と
なり、第1実施例と同様の作用効果をえることが可能に
なる。
【0050】図8乃至図11は本発明に係るシートベル
ト巻取り装置の第3実施例を示したもので、図8は縦断
面図、図9は全体の概略構成を示す斜視図、図10は該
第3実施例のベルトクランプ機構15によるベルト挾持
状態を示す縦断面図、図11は挾持状態の解除時を示す
縦断面図である。この第3実施例は、第2実施例におけ
るアッパーステー63の形態を変えたものである。
【0051】即ち、この第3実施例の場合では、アッパ
ープレート61をリトラクターベース12に固定するア
ッパーステー63は、リトラクターベース12の側壁部
10に形成した案内溝64内でウェビング13の引き出
し方向に沿って湾曲を繰り返した波形板状に成形されて
いる。そして、このアッパーステー63は、前端側の突
片70がリトラクターベース12の側壁部10にねじ止
めされるとともに、後端部71がビス72によってアッ
パープレート61に固定されている。また、このアッパ
ーステー63は、ウェビング13に作用する荷重fが増
加して、クランプ部材60およびアッパープレート61
を介して後端部71に作用するウェビング引き出し方向
の荷重が前述の第2の特定値f2に達したとき、その荷
重で波形のピッチが狭まるような塑性変形が生じるよう
に、湾曲部の曲率半径等の形状や寸法、材質が選定され
ている。
【0052】この第3実施例では、車両衝突等による急
激な減速が作用しない通常走行時等においては、図8に
示すように、リターンスプリング39のばね力等により
クランプ部材60は、ウェビング13から離間した状態
に保たれている。
【0053】しかし、車両衝突等による急激な減速が作
用する緊急時には、ボビン14の回転を拘束する緊急ロ
ック機構の作動に連動してクランプレバー28が矢印a
方向に回動して、クランプ部材60をアッパープレート
61の下面43に沿って押し出して、図10に示すよう
に、クランプ部材60の第1の係止突起35および第2
の係止突起36をウェビング13に押し付けて、巻締り
によるウェビング13の引き出しを阻止する。
【0054】そして、この引き出しの阻止によって、ウ
ェビング13に作用する荷重fが徐々に増加し、クラン
プ部材60およびアッパープレート61を介してプレー
ト支持部67に作用するウェビング引き出し方向の荷重
が第2の特定値f2に達した時には、そのウェビング引
き出し方向の荷重で、アッパーステー63の各湾曲部が
ウェビング引き出し方向に押し潰されるように塑性変形
することによって、後端部71のウェビング引き出し方
向への移動が可能になり、結局、図11に示すように、
最大限に圧縮されたときには、後端部71が距離L1だ
けウェビング引き出し方向に移動する。
【0055】この後端部71のウェビング引き出し方向
への移動は、アッパープレート61およびクランプ部材
60のウェビング引き出し方向への移動となり、これに
よって、ウェビング13の伸び出し(引き出し)が実現
され、ウェビング13に作用する運動エネルギーがベル
トの伸び出した分量に応じてアッパーステー63に吸収
されて、ベルトから乗員の身体に作用する衝撃等が軽減
される。
【0056】アッパーステー63をこのような形態にし
ても、前述の第2実施例の場合と同様の作用効果を得る
ことができる。
【0057】図12乃至図14は本発明に係るシートベ
ルト巻取り装置の第4実施例を示したもので、図12は
縦断面図、図13は全体の概略構成を示す斜視図、図1
4は該第4実施例のベルトクランプ機構15によるベル
ト挾持状態の説明図である。この第4実施例は、前述の
第2の特定値f2が作用した時に塑性変形を起こしてク
ランプ部材60のウェビング引き出し方向への移動を許
容する部材として、リトラクターベース12の側壁部1
0を選定したものである。なお、ロアープレート26や
クランプ部材60の構成は、前述の第3実施例と同様で
ある。即ち、この第4実施例のシートベルト巻取り装置
では、アッパープレート61をリトラクターベース12
に固定するためのアッパーステー63が、リトラクター
ベース12の一対の側壁部10に形成された第1のスリ
ット74にスライド可能に挿通したスライド板75と、
一対の側壁部10に形成された第2のスリット76の後
端側に形成された拡径部77と、この拡径部77に嵌合
した支持軸78とを備えた構成とされている。
【0058】ここに、第1のスリット74および第2の
スリット76はいずれもウェビング引き出し方向に沿っ
て形成されている。スライド板75は、第1のスリット
74によってウェビング引き出し方向へ移動可能である
が、ねじ部材によってアッパープレート61が固定され
ている。支持軸78は、アッパープレート61に形成さ
れた係合穴を挿通して、アッパープレート61の両側に
突出した端部を拡径部77に挿通している。この支持軸
78は、外径が第2のスリット76のスリット幅よりも
大きく、寸法的には、第2のスリット76側には移動で
きない。
【0059】しかし、この実施例の場合、各側壁部10
の第2のスリット76の周縁部は、支持軸78に前述の
第2の特定値f2が作用するときに、塑性変形して、支
持軸78の第2のスリット76内の移動を許容するよう
に、強度設計されている。
【0060】この第4実施例の場合では、車両衝突等に
よる急激な減速が作用しない通常走行時等においては、
図12に示すように、リターンスプリング39のばね力
等によりクランプ部材60は、ウェビング13から離間
した状態に保たれている。
【0061】しかし、車両衝突等による急激な減速が作
用する緊急時には、ボビン14の回転を拘束する緊急ロ
ック機構の作動に連動してクランプレバー28が回動し
て、クランプ部材60をアッパープレート61の下面に
沿って押し出して、図14の(a)に示すように、クラ
ンプ部材60の第1の係止突起35および第2の係止突
起36をウェビング13に押し付けて、巻締りによるウ
ェビング13の引き出しを阻止する。
【0062】そして、この引き出しの阻止によって、ウ
ェビング13に作用する荷重fが徐々に増加し、クラン
プ部材60およびアッパープレート61を介して支持軸
78作用するウェビング引き出し方向の荷重が第2の特
定値f2に達した時には、そのウェビング引き出し方向
の荷重で、第2のスリット76の周縁部が押し開かれる
ように塑性変形して、図14の(b)に示すように、ク
ランプ部材60およびアッパープレート61等が一体と
なってウェビング引き出し方向へ移動することが可能に
なり、最終的には、図14に示すように、スリット7
4,76の長さに応じて、距離L1だけクランプ部材6
0がウェビング引き出し方向に移動し、この時の第2の
スリット76の周縁部の塑性変形によって、ウェビング
13に作用する運動エネルギーが吸収される。
【0063】そして、第2のスリット76の周縁部の塑
性変形が完了した時は、図14の(b)に示すように、
クランプ部材60の前端側に装備されている第1の係止
突起35のベルトとの係合が、ロアープレート26に装
備されたベルト逃がし凹部55の逃げによって外され
て、係合が継続している残りの第1の係止突起35が、
第2の特定値f2作用時における破断あるいは変形の対
象となる。したがって、この第4実施例においても、以
上の各実施例と同様な作用効果を得ることができる。
【0064】
【発明の効果】本発明のシートベルト巻取り装置によれ
ば、ベルトクランプ機構によるベルト挾持の初期には、
クランプ部材に装備されている全係止突起がベルトを挾
持して、ベルトの引き出しを阻止する。そして、ベルト
挾持後にベルトに作用する張力が一定値以上になると、
まず、クランプ部材を支持しているクランプ支持手段の
塑性変形が始まって、ベルトを挾持しているクランプ部
材がベルトに沿って移動することで、乗員からベルトに
作用する運動エネルギーの吸収がなされて、ベルトに作
用する張力の増加が抑制される。そして、クランプ支持
手段のよる塑性変形が完了して、クランプ部材のベルト
引き出し方向への移動ができなくなると、再び、ベルト
に作用する張力が増加することになるが、その場合に、
張力が所定値まで増加すると係止突起の破断または変形
が生じて、ベルト挾持力が低下し、その分、ベルトの引
き出しが許容されることによってベルトに作用する張力
が減量される。この場合に、破断または変形等によって
ベルト挾持力を低下させる係止突起は、予め装備されて
いた複数本の係止突起の内の一部に制限されるため、挾
持力が一気に大きく減少することがなく、従って、係止
突起の破断または変形に起因したベルトに作用する張力
の減少は、緩やかになる。そして、この係止突起の破断
または変形に起因したベルトの伸び出しが完了すると、
再びベルトに作用する張力は増加することになるが、そ
れ以前の動作段階における運動エネルギーの吸収や、張
力の減少により、張力はそれほど高くならない。以上か
ら、ベルトクランプ機構によるベルト挾持を解除するタ
イミングをベルトに作用する張力に正確に対応させるこ
とができ、しかも、ベルト挾持後にシートベルトに作用
する張力の増減を緩やかに抑えるとともに、その張力の
変動幅を小さくすることができて、車両の衝突時等にシ
ートベルトから乗員に作用する衝撃を効果的に低減する
ことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例におけるベルト挾持状態を
示した縦断面図である。
【図2】本発明の第1実施例の全体的な概略構成を示す
斜視図である。
【図3】本発明の第1実施例におけるベルト挾持状態の
解除時を示す縦断面図である。
【図4】本発明の第2実施例の縦断面図である。
【図5】本発明の第2実施例の全体的な概略構成を示す
斜視図である。
【図6】本発明の第2実施例におけるベルト挾持状態を
示した縦断面図である。
【図7】本発明の第2実施例におけるベルト挾持状態の
解除時を示す縦断面図である。
【図8】本発明の第3実施例の縦断面図である。
【図9】本発明の第3実施例の全体的な概略構成を示す
斜視図である。
【図10】本発明の第3実施例におけるベルト挾持状態
を示した縦断面図である。
【図11】本発明の第3実施例におけるベルト挾持状態
の解除時を示す縦断面図である。
【図12】本発明の第4実施例の縦断面図である。
【図13】本発明の第4実施例の全体的な概略構成を示
す斜視図である。
【図14】本発明の第4実施例におけるベルト挾持状態
の説明図である。
【図15】衝突後の時間の経過に伴うシートベルトの張
力の変化の状態を示すグラフである。
【図16】従来のシートベルト巻取り装置の概略構成図
である。
【図17】従来のベルトクランプ機構のクランプ部材の
斜視図である。
【図18】従来のベルトクランプ機構によるベルト挾持
状態の説明図である。
【図19】従来のベルトクランプ機構によるベルト挾持
の解除状態の説明図である。
【図20】ベルトクランプ機構のクランプ部材に作用す
る力の説明図である。
【符号の説明】
10 側壁部 11 背板部 12 リトラクターベース 13 ウェビング 14 ボビン 15 ベルトクランプ機構 17 ループ部 18 巻き取り軸 19 開口 20 軸部材 26 ロアープレート 27 クランプ部材 28 クランプレバー 29 アッパープレート 30 アッパーステー 32 押え面 33 ガイド面 34 軸部 35 第1の係止突起 36 第2の係止突起 39 リターンスプリング 50 傾斜板部 51 ガイド板部 52 係止板部 53 固定板部 54 連結板部 55 ベルト逃がし凹部 60 クランプ部材 61 アッパープレート 63 アッパーステー 64 案内溝 65 側壁部 66 塑性変形用板部 67 プレート支持部 69 座金 74 第1のスリット 76 第2のスリット 77 拡径部 78 支持軸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 原岡 睦 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シートベルトを巻装する巻取り軸を緊急
    時にロックする緊急ロック機構と、前記巻取り軸からリ
    トラクターベースの背板部上に引き出されているシート
    ベルトに向かって移動可能に設けられたクランプ部材を
    具備して緊急時には前記クランプ部材をシートベルトに
    押し付けてシートベルトを挟持状態にすることによって
    ベルトの引き出しを拘束するベルトクランプ機構とを備
    え、かつ、前記クランプ部材には、ベルトに押し付けら
    れた際に鋭角に尖った先端部をベルトに突き刺すことに
    よりベルトの引き出しを拘束するとともに、一定以上の
    荷重が前記先端部に作用した時に該先端部が破断または
    変形することによってベルトの拘束を解除する係止突起
    を適宜数装備してなるシートベルト巻取り装置であっ
    て、 シートベルトを挾持している前記クランプ部材を支える
    と共に前記係止突起よりも低荷重で塑性変形を起こすこ
    とによって支えている前記クランプ部材をベルトの引き
    出し方向に沿って一定量だけ移動させるクランプ支持手
    段と、 前記クランプ支持手段の塑性変形によるクランプ部材の
    移動が完了するときに、ベルトに突き刺さっていた複数
    個の前記係止突起の内の一定数のものに対してベルトと
    の係合が外れるようにベルトを逃がすベルト逃がし凹部
    とを備えたことを特徴とするシートベルト巻取り装置。
JP6065441A 1994-03-10 1994-03-10 シートベルト巻取り装置 Pending JPH07246913A (ja)

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GB9504796A GB2287871B (en) 1994-03-10 1995-03-09 Retractor with a clamping mechanism
DE19508679A DE19508679C2 (de) 1994-03-10 1995-03-10 Rückzugsvorrichtung mit Klemmvorrichtung

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5820058A (en) * 1995-11-09 1998-10-13 Trw Occupant Restraint Systems Gmbh Retractor for a vehicle safety belt
JPH11192924A (ja) * 1997-10-27 1999-07-21 Takata Kk ベルト巻取装置及び荷重制限の制御方法

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5820058A (en) * 1995-11-09 1998-10-13 Trw Occupant Restraint Systems Gmbh Retractor for a vehicle safety belt
JPH11192924A (ja) * 1997-10-27 1999-07-21 Takata Kk ベルト巻取装置及び荷重制限の制御方法

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