JPH07245433A - 磁気抵抗効果素子およびそのための基板 - Google Patents

磁気抵抗効果素子およびそのための基板

Info

Publication number
JPH07245433A
JPH07245433A JP7003201A JP320195A JPH07245433A JP H07245433 A JPH07245433 A JP H07245433A JP 7003201 A JP7003201 A JP 7003201A JP 320195 A JP320195 A JP 320195A JP H07245433 A JPH07245433 A JP H07245433A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
substrate
magnetic
laminated
layer
triangular wave
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7003201A
Other languages
English (en)
Inventor
Teruya Shinjo
輝也 新庄
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Research Institute for Production Development
Original Assignee
Research Institute for Production Development
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Research Institute for Production Development filed Critical Research Institute for Production Development
Priority to JP7003201A priority Critical patent/JPH07245433A/ja
Publication of JPH07245433A publication Critical patent/JPH07245433A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Measuring Magnetic Variables (AREA)
  • Hall/Mr Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 磁気抵抗効果素子は、基板および基板上に積
層された少なくとも1層の磁性膜層を有して成る磁気抵
抗効果素子であって、磁性層膜を積層する側の基板表面
は、複数の畝を形成する三角波形状であり、三角波形状
表面の真上から磁性膜層が形成されているか、あるいは
個々の畝を形成する2つの斜面の同じ側の斜面上に磁性
膜層が積層されていることを特徴とする。 【効果】 電流の横滑りが防止され、大きな磁気抵抗変
化率が達成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気媒体等において、
磁界強度を信号として読みとるための磁気抵抗効果素子
およびそれを作製するための基板に関する。実用性の高
い磁気抵抗効果素子は、小さい外部磁場で、抵抗変化率
が大きいことが要求される。本発明の磁気抵抗効果素子
は、室温で10ガウスの磁場変化に対し15%の抵抗変
化を示すという優れた実用性を有している。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気センサーの高感度化及び磁気
記録における高密度化が進められており、これに伴い、
磁気抵抗効果型磁気センサー(以下、MRセンサーとい
う。)及び磁気抵抗効果型磁気ヘッド(以下、MRヘッド
という。)の開発が盛んに進められている。
【0003】MRセンサーもMRヘッドも、磁性材料か
らなる読み取りセンサー部の抵抗変化により、外部磁界
信号を読み出すのであるが、MRセンサー及びMRヘッ
ドは、記録媒体との相対速度が再生出力に依存しないこ
とから、MRセンサーでは高感度が、MRヘッドでは高
密度磁気記録においても高い出力が得られるという特長
を有している。
【0004】しかし、従来の異方性磁気抵抗効果による
磁性体Ni0.8Fe0.2等を利用したMRセンサーでは、抵
抗変化率△R/R(後に定義する。)がせいぜい2〜5%
であることから、さらに抵抗変化率の大きなMR素子が
求められてきた。
【0005】このような抵抗変化率の大きい磁気抵抗効
果素子としては、例えば特開平5ー175571号公報
などに開示されているものがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】これらの特許公報など
に記載されている磁気抵抗効果素子は、いずれも、平坦
な基板の表面上に磁性膜や非磁性膜などが複数積層され
た形態を有する。磁気抵抗効果は、本来、膜面に対して
垂直な方向に移動する電子が磁性層と非磁性層との界面
で散乱されるために生じるものであり、従来技術のよう
に平坦な薄膜が積層された構造において膜面に対して平
行な方向の電流を対象としている限り、磁気抵抗変化率
の最大値には限界がある。
【0007】
【課題を解決する為の手段】本発明は、上述の従来の磁
気抵抗効果素子において磁性材料や非磁性材料を積層す
る基板の構造を変えることにより、膜面に対して垂直な
方向の電流に対して磁気抵抗効果を観測しようとするも
ので、その結果、従来よりも大きな磁気抵抗変化率を発
現させようとするものである。
【0008】従って、第1の要旨において、本発明は、
基板および基板上に積層された少なくとも1層の磁性膜
層を有して成る磁気抵抗効果素子であって、磁性層膜を
積層する側の基板表面は、複数の畝を形成する三角波形
状であり、基板上に積層された磁性膜層の形状は基板表
面の形状に対応する三角波形状であることを特徴とする
磁気抵抗効果素子を提供する。
【0009】また、第2の要旨において、本発明は、基
板および基板上に積層された少なくとも1層の磁性膜層
を有して成る磁気抵抗効果素子であって、磁性層膜を積
層する側の基板表面は、複数の畝を形成する三角波形状
であり、個々の畝を形成する2つの斜面の同じ側の斜面
上に磁性膜層が積層されていることを特徴とする磁気抵
抗効果素子を提供するものである。
【0010】更に、第3の要旨において、本発明は、上
述のような磁気抵抗効果素子を作製する場合に使用する
基板を提供する。従って、本発明の磁気抵抗効果素子
は、その基板の形状に必須の重要な特徴がある。
【0011】以下、添付図面を参照して本発明の基板の
特徴を説明する。図1は、本発明の磁気抵抗効果素子に
使用する基板11の一部分の斜視図を拡大して模式的に
示す。図1から明らかなように、基板11の磁性膜層を
付着する上側の面13は、側面15に対して平行な断面
を想定した場合、三角形の辺17および辺19が構成単
位となって、この2辺の組が複数連続的に接続されて三
角波を形成するようになっている。従って、基板の上面
13には、(破線にて示す)仮想的な平坦な基板の上側
平面21の上に三角柱23が複数個並べられた状態、従
って、2つの交差する斜面(辺17を含む面および辺1
9を含む面)で規定される畝が並んだ状態になってい
る。
【0012】従って、本発明において、「三角波形状」
とは、基板上に磁性層などを積層する面(面13または
面21)に対して垂直な方向の基板の断面において、三
角形を構成するいずれかの2辺(例えば辺17および1
9)が繰り返し単位となって、この2辺の組が連続的に
接続されて形成される折れ線が基板の上側表面(即ち、
磁性層膜を付着する側の面)の輪郭線を形成する基板の
形状を意味する。
【0013】先に説明したように、本発明の素子におい
て、基板の三角波形状表面は、あたかも平坦な基板上に
三角柱を並べた形状を有し、この三角柱の底面は、全て
の三角柱について一般的に同じ三角形であっても、異な
る三角形であってもよい。しかしながら、このような表
面形状を形成する場合の容易性を考慮した場合、いずれ
の三角形も実質的に同じであるのが好ましいが、必ずし
も同じである必要はない。三角形の辺は、折れ線(辺1
7および19))を形成する三角形が二等辺三角形とな
る場合が形成が最も容易であり、三角形の辺の長さは、
一般的に0.1〜10ミクロン程度である。
【0014】このように同じ三角形を底面とする三角柱
23を平面に並べた形状とする場合、三角形の頂点の角
度(θ)はいずれの角度であってもよいが、例えばSi
(001)面を利用すると、θ=約71°を容易に形成
できる。三角柱の長さ(矢印53の方向の長さまたは高
さ)、従って、基板の矢印53の方向の長さは、特に限
定されるものではなく、短くても、あるいは長くてもよ
いが、一般的には数ミリメートル、例えば1〜10ミリ
メートル程度であってよい。また、その基板上の磁性層
の矢印53の方向の長さは、例えば、10ミクロン〜1
ミリメートル程度としてよく、例えば外部との接続のた
めの領域が基板上で確保される。
【0015】このような三角波形状の基板の表面に磁性
層膜などの薄層を形成する。本発明の第1の要旨におい
て、薄層の形成は、基板の仮想上側面21に対して実質
的に垂直な方向(矢印25の方向)から例えば蒸着のよ
うな付着方法により行い、少なくとも1つの磁性層膜、
好ましくは保磁力の異なる種々の磁性膜層(非磁性膜層
を含む)を形成する。この薄層の形成に際しては、薄層
の最下端が畝の頂点より上方に存在するように、即ち、
層全体としての厚さt(図5参照)が畝の高さh(図4
参照、即ち、三角波の頂点と仮想上側面との距離、従っ
て、三角波の高さ)より大きい、好ましくは十分に大き
くなるように薄層を積層する。好ましくはt/hは少な
くとも2、より好ましくは少なくとも4となるように積
層する。
【0016】上述のθ=71°の場合には、h=約0.
7d(dは三角波の隣合う谷底(または頂点)間の距
離、図4を参照)であることを考慮すると、tがdの好
ましくは少なくとも約1.5倍、より好ましくは約3倍
となるように薄層を積層する。このようにして6つの薄
層を基板11の三角波形状表面上に形成した状態を模式
的に図5に示している。
【0017】本発明の第2の要旨において、薄層の形成
に際して、(第1の要旨のように)矢印25により示す
ような基板の上面の正面の方向からではなく、例えば矢
印27により示すように、辺19の傾きに実質的に等し
い斜め方向(即ち、19を含む面に平行な方向)から薄
層を構成する分子を例えば付着により辺17を含む斜面
に付着させる。この場合、三角形の隣り合う2辺の双方
に蒸着されることがなく、付着される辺(辺17を含む
斜面)と付着されない辺(辺19を含む斜面)が交互に
なる。
【0018】本発明の第2の要旨の素子においては、こ
のように付着される辺と付着されない辺が交互になるよ
うに付着方向を選択する。即ち、付着方向は、付着され
るべきでない辺(辺19)に付着される分子が当たらな
いように選択する必要がある。最も好ましい付着方向
は、上述のように付着されない辺(図1の場合では例え
ば19)と平行となる方向であり、また、一般的にはそ
の方向より上述の仮想上面21に近づく例えば破線の矢
印29により示すような方向(基板の仮想上側面に対す
る角度が小さくなる方向)である。
【0019】本発明の素子に使用する基板は、半導体加
工の技術として確立されている技術(いわゆるリソグラ
フィー)を用いて、例えば以下のような手順で製造する
ことができる:最初に、所定の基板を選択する必要があ
るが、磁気抵抗効果素子の基板として一般的に使用され
ているものを選択すればよい。具体的には、加工の容易
性を考慮して例えばSi単結晶基板、GaAs単結晶基
板などを基板材料として使用できる。
【0020】例えば、シリコン(Si)単結晶基板を使
用する場合、その(001)面をウェットエッチングす
ることにより三角波形状表面を基板に設けることができ
る。最初に、基板11のSi(001)表面に厚さ約1
000オングストロームの酸化シリコン層を形成し、次
にレジスト(例えばコダック社製フォトレジスト74
7)を付着し、その上に適当な縞模様のパターンを載せ
た後、光感光または電子ビーム感光により、レジストの
縞模様33(例えば縞の幅1ミクロン、縞と縞との間隔
1ミクロン)を基板表面31上に残す。この状態を基板
の拡大側面図にて図2に模式的に示す。すなわち、表面
にはレジスト層と、レジスト層が除去されたために酸化
シリコン層が露出した部分とが交互に現れた縞状模様が
できる。
【0021】まず、フッ酸溶液を用いて酸化シリコン層
を取り除くと下地のSi(001)面が露出する。一
方、レジスト層はフッ酸とは反応しない。次に、アセト
ンを用いてレジスト層を除去する。この結果、表面はシ
リコンと酸化シリコンが交互になった縞模様が残る。次
に、KOH溶液(例えば10%KOH水溶液)によりウ
エットエッチングを行うとSi(001)面は徐々に侵
食されていくが、Si(111)面は化学的に安定であ
るため、次第にSi(111)面が残されるようにエッ
チングが進行し、その結果、断面が三角形の溝35が形
成される。この状態を図3に示す。ウェットエッチング
を更に継続すると、酸化シリコン層に覆われていた部分
の下側へも侵食が進み、最終的には隣り合う三角形断面
の溝が溝の最上部でつながるとともに、その過程で表面
に残っていた酸化シリコン部分は自然に除去される。即
ち、三角形の2辺(辺17および19)が連続的に接続
された三角波形状断面の溝がSi基板表面上に形成され
る。この状態を図4に示す。
【0022】三角波の谷底と谷底との間隔(d)は、レ
ジストの感光に使用する手段により種々変えることがで
きる。例えば、光感光の場合では、最小約1ミクロン程
度の間隔とすることができ、また、電子ビーム感光の場
合では、最小約0.1ミクロン程度の間隔とすることが
できる。
【0023】上述のように形成した基板表面上に磁性
層、非磁性層および他の必要な薄層を例えば蒸着により
形成する。基板上の薄層の形成方法は、これまでに十分
に確立されており、改めて説明する必要はないが、例え
ば、真空中で電子ビーム加熱法を用いて磁性体と非磁性
体とを交互に繰り返し蒸着し、多層膜を基板表面上に順
次形成する。
【0024】基板上に形成する薄層としては、磁性膜
層、非磁性膜層、基板表面を改質して種々の層の積層を
助長するための下地層など磁気抵抗効果素子に使用され
る層であれば、その素子の目的に応じていずれの層を所
望の順序および所望の数で形成してもよい。重要である
のは、積層の際に、先に説明したように、第1の要旨で
は、基板の真上方向から付着させることであり、第2の
要旨では、基板の真上方向からではなく、斜め方向から
層を付着させ、三角形の2辺の内の一方側(即ち、一方
側の斜面)だけに層が積層されていくように層を重ねる
ことである。
【0025】第2の要旨における積層の途中段階を図6
に示す。図6に示した態様では、矢印41に示す辺19
に対して平行な方向から基板上の辺17上に3つの層が
積層されている。この場合、矢印43に示すように基板
表面に近づく方向で層を積層してもよいが、その場合に
は、三角波の頂上部分が一部分の分子を遮断することに
なるので、無駄が生じ得る。
【0026】この層の積層に際して、隣り合う積層され
た層が電気的に接続されるまで蒸着を繰り返すことが巨
大抵抗を有する磁気抵抗効果素子として機能するために
必要である。即ち、図6の状態では隣り合う積層された
層が電気的に接続されておらず、巨大磁気抵抗効果を有
する磁気抵抗効果素子としての機能を果たすことができ
ない。従って、図7に模式的に示すように、隣接する積
層された層が電気的に接続されるまで積層を継続する必
要がある。図7の態様では、上部の2層が隣の積層され
た層の下部の2層と電気的に接続されている。
【0027】本発明の磁気抵抗効果素子に例えば磁性薄
膜を用いる場合、磁性体の種類は特に制限されないが、
具体的には、Fe、Ni、Co、Mn、Cr、Dy、Er、N
d、Tb、Tm、Ce、Gd等が好ましい。また、これらの
元素を含む合金や化合物としては、例えばFe−Si、F
e−Ni、Fe−Co、Fe−Gd、Fe−Al−Si(センダス
ト)、Fe−Y、Fe−Mn、Cr−Sb、Co系アモルファ
ス合金、Co−Pt、Fe−Al、Fe−C、Mn−Sb、Ni
−Mn、Co−O、Ni−O、Fe−O、Ni−F、フェラ
イト等が好ましい。
【0028】本発明の磁気抵抗効果素子において、上述
の磁性体から保磁力の異なる2種またはそれ以上を選択
して磁性薄膜を形成してよい。さらに1種またはそれ以
上の磁性層界面には、抵抗変化率が大きくなるように他
の金属を薄く積層した磁性薄膜を形成してよい。この界
面金属層の種類は特に制限されないが、具体的にはF
e、Ni、Co、Mn、Cr、Cu、Au、Ag、Pt、Dy、E
r、Nd、Tb、Tm、Ce、Gd等が好ましい。また、これ
らの元素を含む合金や化合物としては、例えばFe−S
i、Fe−Ni、Fe−Co、Fe−Gd、Fe−Al−Si(セ
ンダスト)、Fe−Y、Fe−Mn、Cr−Sb、Co系アモ
ルファス合金、Co−Pt、Fe−Al、Fe−C、Mn−S
b、Ni−Mn、Co−O、Ni−O、Fe−O、Ni−F、
フェライト等が好ましい。
【0029】各磁性薄膜層の膜厚の上限は特に限定され
るものではないが、例えば200オングストロームであ
る。磁性薄膜の厚さの下限も特に限定されるものではな
いが、4オングストローム以下ではキュリー点が室温よ
り低くなって実用性がなくなる。また、厚さを4オング
ストローム以上とすれば、膜厚を均一に保つことが容易
となり、膜厚も良好となる。また、飽和磁化の大きさが
小さくなりすぎることもない。一般的に膜厚を50オン
グストローム以上としても膜厚の増加にともなって効果
が増大することもなく、膜の作製上無駄が多く、不経済
である。
【0030】各磁性膜の保磁力は、適用される素子にお
ける外部磁界強度や要求される抵抗変化率等に応じて、
例えば約1(Oe)〜約10(kOe)の範囲から適宜選
択すればよい。また、二種類の磁性体を含む場合には、
一方の磁性体の保磁力は、できるだけ大きいことが望ま
しく、他方は目的に応じて適当に選択すればよい。
【0031】非磁性薄膜層は、保磁力の異なる磁性薄膜
層間の磁気相互作用を弱める役割をはたす材料であり、
その種類に特に制限はなく、各種金属ないし半金属非磁
性体及び非金属非磁性体から適宜選択すればよい。
【0032】金属非磁性体としては、Au,Ag,Cu,Pt,
Al,Mg,Mo,Zn,Nb,Ta,V,Hf,Sb,Zr,Ga,Ti,S
n,Pb等及びこれらの合金が好ましい。半金属非磁性体
としては、Si,Ge,C,B等及びこれらに別の元素を添
加したものが好ましい。非金属非磁性体としては、Si
2,SiO,SiN,Al23,ZnO,MgO,TiN等及びこ
れらに別の元素を添加したものが好ましい。
【0033】非磁性薄膜の厚さは、一般的に200オン
グストローム以下が望ましい。一般に膜厚が200オン
グストロームを超えると、非磁性薄膜層により抵抗が決
まってしまい、スピンに依存する散乱効果が相対的に小
さくなってしまい、その結果、磁気抵抗変化率が小さく
なってしまう。一方、膜厚が4オングストローム以下に
なると、磁性薄膜層間の磁気相互作用が大きくなり過
ぎ、又、磁気的な直接接触状態(ピンホール)の発生が
避けられないことから、両磁性薄膜の磁化方向が相異な
る状態が生じにくくなる。
【0034】下地層の厚さは、特に限定されないが、通
常200オングストローム以下、好ましくは、20〜1
50オングストローム、特に30〜100オングストロ
ームである。200オングストローム以下であれば、M
R比はほとんど劣化しない。
【0035】金属薄膜、もしくは磁性又は非磁性薄膜の
膜厚は、透過型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡、オージ
ェ電子分光分析等により測定することができる。また、
薄膜の結晶構造は、X線回折や高速電子線回折等により
確認することができる。
【0036】本発明の磁気抵抗効果素子において、人工
格子膜を繰返し積層してもよく、その繰り返し積層回数
nに特に制限はない。目的とする磁気抵抗変化率等に応
じて適宜選定すればよいが、十分な磁気抵抗変化率を得
るためには、nを3以上にするのが好ましい。例えばn
=50〜500とすることができる。
【0037】以上の説明では、磁性薄膜として保磁力の
異なる2種類の磁性薄膜だけを用いているが、保磁力が
それぞれ異なる3種以上の磁性薄膜を用いることによ
り、磁化方向が逆転する外部磁界を2箇所以上設定で
き、動作磁界強度の範囲を拡大することができる。
【0038】なお、最上層の磁性薄膜の表面には、窒化
けい素や酸化けい素等の酸化防止膜が設けれられてもよ
く、電極引出のための金属導電層が設けられてもよい。
【0039】製膜は、常套の方法、例えば蒸着法、スパ
ッタリング法、分子線エピタキシー法(MBE)等の方
法で行うことができる。
【0040】より具体的には、本発明において基板上に
積層する膜としては、例えば (1)(磁性層/非磁性層)×n 磁性層は、Fe、CoおよびNiならびにその合金の厚
さ10〜30Åの層であり、非磁性層は、Au、Cu、
Ag、Pt、CrおよびRhの厚さ10〜50Åの層で
あり、n=5〜500である。 (2)(磁性層I/非磁性層/磁性層II/非磁性層)×
n 磁性層IおよびIIならびに非磁性層は上記(1)と同様
であり、n=5〜500である。
【0041】
【発明の作用および効果】上述のように、三角波形状の
基板表面に磁性薄層を積層し、積層した層全体の厚さが
三角波の高さより大きいようにすることにより、第1の
要旨の磁気抵抗効果素子では、電流が方向51(図1)
に沿って流れるに際して、磁性薄層を何度も横切ること
が可能となり、大きな磁気抵抗変化率が達成される。ま
た、第2の要旨の磁気抵抗効果素子では、電流が個々の
三角形の辺の積層方向に(即ち、上の層から下の層に、
あるいはその逆に)確実に流れ、その後、隣の積層部分
に流れこみ、その積層部分においても、同様に積層方向
に確実に流れる。このような流れを繰り返すので、従来
の素子の場合と比べると、磁気抵抗効果と関係無く流れ
る電流成分が減るために大きな磁気抵抗変化率が達成さ
れる。
【0042】このような大きな磁気抵抗変化率は、三角
波状表面を有する基板を使用し、その上に磁性薄層を積
層することにより達成されるものである。本発明の特に
好ましい態様では、上述のようにして形成された磁気抵
抗効果素子の、畝の長手方向に垂直な方向(図1の矢印
51で示す方向)で積層した層をドライエッチングする
ことにより、積層された層が該方向に沿って間隔を隔て
て離れて並ぶ縞模様にする。この場合、畝方向(図1の
矢印53で示す方向)に流れる電流成分は無視できるの
で更に大きな磁気抵抗変化率が付加される。
【0043】
【実施例】実施例1 本発明の第1の要旨の磁気抵抗効果素子を作製した。最
初に、約1500Åの酸化ケイ素膜を被覆したシリコン
基板上にフォトレジストを塗布し(厚さ:約1μm)、
紫外線露光によりパターニングした後にフォトレジスト
を除去し、その後、フッ酸処理して酸化ケイ素膜を除去
してからKOHを用いてエッチングすることにより、三
角波形状の表面を有する基板を作製した。得られた基板
は、図5に示すようなものであり、以下の寸法を有し
た: d=2μm、h=1.4μm、θ=71°
【0044】次に、三角波形状の基板表面に、以下の種
類の磁性薄層を真空蒸着法により積層した(但し、層の
厚さは、矢印25の方向の長さである): (下から第1層目) Cu 厚さ 100Å (下から第2層目) Co 厚さ 20Å (下から第3層目) Cu 厚さ 100Å (下から第4層目) Ni80Fe20合金(パーマロイ) 厚さ 20Å この4層の組を180回繰り返して積層した。従って、
t=4.3μmであった。
【0045】得られた磁気抵抗効果素子のMR曲線(磁
気抵抗変化率曲線)および磁化曲線(M)を求めた。こ
の測定に際しては、MR曲線については、以下のように
して測定した:最初に、電磁石またはヘルムホルツコイ
ルに規定の静磁界になるように電流の制御を行う。その
後、Keisley220定電流電源で試料に電流を1×10
-4A流し、Keisley181ナノボルトメーターで電圧を
測定し、更に電流を流す方向を反転して測定した電圧の
平均をとり、電流値で割ることで抵抗値を求める。更
に、磁場コントロール、抵抗測定を繰り返すことでMR
曲線を求める。これらの全ての制御は、GP−IBイン
ターファイス経由でPC9800パーソナルコンピュー
ターで実施する。MRの測定は±500 Oeまたは±
3kOeの磁場範囲で実施する。また、M曲線について
は、東英工業社製振動試料式磁力計VSM−5−15型
を用いて測定した。
【0046】それぞれの測定結果を図8およびず9に示
す。図8において、実線はCAP方向(方向51)の磁
気抵抗変化率(MR比、%)であり、破線はCIP方向
(方向53)の磁気抵抗変化率を示す。図8から明らか
なように、本発明の磁気抵抗効果素子では、CAP方向
で磁気抵抗変化率が大きい。
【0047】実施例2 d=4μmとなるように基板を作製した以外は、実施例
1を繰り返して、本発明の磁気抵抗効果素子を得た。同
様にして、磁気抵抗変化率を測定した。結果を図10に
示す。実施例1の場合と同様に、実線はCAP方向(方
向51)の磁気抵抗変化率であり、破線はCIP方向
(方向53)の磁気抵抗変化率を示すが、CAP方向で
磁気抵抗変化率が大きいことが分かる。また、図8およ
び図10を比較すると、図8の方が抵抗変化率が大きい
が、これは、実施例1ではdが小さいので、電流が磁性
層を通過する回数が増加するためであると考えられる。
即ち、実施例1では、t/dが約3であるのに対して、
実施例2ではt/dが約1.5であるため、実施例2に
おける抵抗変化率が小さくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の磁気抵抗効果素子の基板の表面状態
を模式的に示す拡大斜視図である。
【図2】 本発明の磁気抵抗効果素子の基板の製造方法
において、レジストの縞模様を付けた状態の模式側面図
である。
【図3】 本発明の磁気抵抗効果素子の基板の製造方法
において、エッチングを開始した状態を模式的に示す側
面図である。
【図4】 本発明の磁気抵抗効果素子の基板の製造方法
において、エッチングを継続してレジストが消滅して、
三角波形状表面が基板上面に形成された状態を模式的に
示す。
【図5】 本発明の第1の要旨の磁気抵抗効果素子を模
式的に示す。
【図6】 本発明の第2の要旨の磁気抵抗効果素子を製
造する方法において、基板表面に層を積層する途中の状
態の模式的に示す。
【図7】 本発明の第2の要旨の磁気抵抗効果素子の基
板表面部分の側面図を拡大して模式的に示す。
【図8】 実施例1において得られた磁気抵抗効果素子
の磁気抵抗変化率の測定結果を示すグラフである。
【図9】 実施例1において得られた磁気抵抗効果素子
の磁化曲線を示すグラフである。
【図10】 実施例2において得られた磁気抵抗効果素
子の磁気抵抗変化率の測定結果を示すグラフである。
【符号の説明】
11…基板、13…基板上面、15…基板側面、17,
19…辺、21…仮想上面、23…三角柱底面、25…
正面方向、27,29…斜め方向、31…基板表面、3
3…縞模様レジスト、35…溝部分、41…辺19に平
行な方向、43…辺19より表面に近い方向、55…底
面、57…三角柱側面。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板および基板上に積層された少なくと
    も1層の磁性膜層を有して成る磁気抵抗効果素子であっ
    て、磁性層膜を積層する側の基板表面は、複数の畝を形
    成する三角波形状であり、基板上に積層された磁性膜層
    の形状は基板表面の形状に対応する三角波形状であり、
    積層磁性膜層の全体の厚さは三角波の高さより大きいこ
    とを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  2. 【請求項2】 基板および基板上に積層された少なくと
    も1層の磁性膜層を有して成る磁気抵抗効果素子であっ
    て、磁性層膜を積層する側の基板表面は、複数の畝を形
    成する三角波形状であり、個々の畝を形成する2つの斜
    面の同じ側の斜面上に磁性膜層が積層されていることを
    特徴とする磁気抵抗効果素子。
  3. 【請求項3】 少なくとも1層の磁性膜層が積層される
    磁気抵抗効果素子用の基板であって、磁性層膜を積層す
    る側の表面は、複数の畝を形成する三角波形状であるこ
    とを特徴とする基板。
JP7003201A 1994-01-13 1995-01-12 磁気抵抗効果素子およびそのための基板 Pending JPH07245433A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7003201A JPH07245433A (ja) 1994-01-13 1995-01-12 磁気抵抗効果素子およびそのための基板

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP208894 1994-01-13
JP6-2088 1994-01-13
JP7003201A JPH07245433A (ja) 1994-01-13 1995-01-12 磁気抵抗効果素子およびそのための基板

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH07245433A true JPH07245433A (ja) 1995-09-19

Family

ID=26335413

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7003201A Pending JPH07245433A (ja) 1994-01-13 1995-01-12 磁気抵抗効果素子およびそのための基板

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07245433A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004354182A (ja) * 2003-05-28 2004-12-16 Res Inst Electric Magnetic Alloys 薄膜磁気センサ及びその製造方法
WO2006098367A1 (ja) * 2005-03-17 2006-09-21 Yamaha Corporation 磁気センサ及びその製造方法
JP2006267023A (ja) * 2005-03-25 2006-10-05 Yamaha Corp 磁気センサの製造方法
JP2007157979A (ja) * 2005-12-05 2007-06-21 Yamaha Corp 磁気センサおよびその製造方法
US7982461B2 (en) 2007-04-19 2011-07-19 Yamaha Corporation Magnetic sensor and manufacturing method therefor

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004354182A (ja) * 2003-05-28 2004-12-16 Res Inst Electric Magnetic Alloys 薄膜磁気センサ及びその製造方法
WO2006098367A1 (ja) * 2005-03-17 2006-09-21 Yamaha Corporation 磁気センサ及びその製造方法
JP2006267023A (ja) * 2005-03-25 2006-10-05 Yamaha Corp 磁気センサの製造方法
JP2007157979A (ja) * 2005-12-05 2007-06-21 Yamaha Corp 磁気センサおよびその製造方法
US7982461B2 (en) 2007-04-19 2011-07-19 Yamaha Corporation Magnetic sensor and manufacturing method therefor

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2778626B2 (ja) 磁気抵抗効果膜及びその製造方法並びに磁気抵抗効果素子
EP0660127B1 (en) Multilayer magnetoresistive sensor
JP2738312B2 (ja) 磁気抵抗効果膜およびその製造方法
US6417999B1 (en) Magnetoresistive head stabilized structure and method of fabrication thereof
US6947263B2 (en) CPP mode magnetic sensing element including a multilayer free layer biased by an antiferromagnetic layer
JP3157770B2 (ja) 薄膜磁気ヘッド
JP3455037B2 (ja) スピンバルブ型薄膜素子、その製造方法、及びこのスピンバルブ型薄膜素子を用いた薄膜磁気ヘッド
JP3514863B2 (ja) 磁気抵抗効果多層膜、磁気抵抗効果素子および磁気抵抗効果素子の製造方法
JPH03254412A (ja) 磁性薄膜構造体及びその製造方法
JPH08279117A (ja) 巨大磁気抵抗効果材料膜およびその製造方法とそれを用いた磁気ヘッド
JPH05175571A (ja) 磁気抵抗効果素子
JP3657487B2 (ja) スピンバルブ型薄膜磁気素子およびその製造方法、およびこのスピンバルブ型薄膜磁気素子を備えた薄膜磁気ヘッド
US6004654A (en) Magnetic multilayer film, magnetoresistance element, and method for preparing magnetoresistance element
JP2002076472A (ja) スピンバルブ型薄膜磁気素子およびこのスピンバルブ型薄膜磁気素子を備えた薄膜磁気ヘッド
US7099124B2 (en) Magnetoresistive-effect thin film, magnetoresistive-effect element, and magnetoresistive-effect magnetic head
JP3088519B2 (ja) 磁気抵抗効果素子
US6885528B2 (en) Magnetic sensing element having chromium layer between antiferromagnetic layers
KR19980018595A (ko) 자기저항 효과 소자 및 그 제조 방법
JP2743806B2 (ja) 磁気抵抗効果膜およびその製造方法
JPH07245433A (ja) 磁気抵抗効果素子およびそのための基板
JP3587792B2 (ja) 磁気検出素子及びその製造方法
JP2924819B2 (ja) 磁気抵抗効果膜及びその製造方法
EP0624868A2 (en) Magnetoresistance effect elements and method of fabricating the same
JP3699000B2 (ja) スピンバルブ型薄膜素子およびその製造方法
US6721148B2 (en) Magnetoresistive sensor, thin-film read/write head, and magnetic recording apparatus using the sensor

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050104

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20050510