JPH07244196A

JPH07244196A - 放射能汚染物地層処分用緩衝材の成形方法及び緩衝材成形体

Info

Publication number: JPH07244196A
Application number: JP3395794A
Authority: JP
Inventors: Hidenari Akasaka; 秀成赤坂; Satoshi Shimura; 聡志村; Susumu Kawakami; 進川上; Nobuo Ninomiya; 伸雄二宮; Junji Yamagata; 順二山形; Hidekazu Asano; 英一朝野
Original assignee: Tokyo Electric Power Co Inc; IHI Corp
Current assignee: IHI Corp; Tokyo Electric Power Company Holdings Inc
Priority date: 1994-03-03
Filing date: 1994-03-03
Publication date: 1995-09-19

Abstract

(57)【要約】【目的】放射能汚染物地層処分用緩衝材の成形方法及
び緩衝材成形体に係るもので、成形後における弾性型と
の型離れ性を向上させ、成形後から埋設時までの吸水ま
たは吸湿により寸法が増大する現象の発生を抑制すると
ともに、搬送途中における外傷の発生を抑制する。ま
た、処分孔における緩衝材の設置作業時の労力を低減す
る。【構成】放射能汚染物収納体の埋設に使用される緩衝
材を成形する際に、円柱状部を有するマンドレルの回り
にベントナイト等の粉末被成形緩衝材を配して、粉末被
成形緩衝材の回りにプラスチックフィルムを介在させた
状態で粉末被成形緩衝材を圧縮することにより成形体を
成形し、成形体にプラスチックフィルムを付着させたま
ま離型して、そのままの状態で管理及び搬送を行なう。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、放射能汚染物地層処分
用緩衝材の成形方法及び緩衝材成形体に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】高・中・低放射能レベルの放射能汚染物
（放射性廃液、放射性廃棄物、使用済燃料等）は、放射
能レベル（高・中・低）毎に分類して、それらに該当す
る専用の密封容器に収納して、保管・貯蔵・地層処分す
るようにしている。

【０００３】放射能汚染物を深地層内に収納処分して生
活圏から隔離するための関連技術として、特開平２−
２３６５００号「放射性廃棄物処分用緩衝材の製造方
法」や特開平５−１５００９７号「放射性物質収納体
の地層処分方法及び地層処分体」が提案されている。

【０００４】前者の技術は、ベントナイト等からなる粉
末を、冷間等方圧プレス等により高密度状態に圧縮固化
してブロック状の成形体とし、地層処分場所に搬入し
て、ガラス固化状態としたもの等の固化体（放射能汚染
物収納体）の回りを、ブロック状緩衝材で囲むように埋
設するものである。また、後者の技術は、図５に示すよ
うに、岩盤（母岩）１を掘削して処分孔２を明けておい
て、冷間等方圧プレス等により放射性物質収納体（放射
能汚染物収納体）Ａの回りに高密度緩衝層５Ｈを成形し
た地層処分体Ｃを製作しておいて、該地層処分体Ｃを処
分孔２の中に装填して、間隙Ｇに細粒状のベントナイト
等の緩衝材を充填する等の処理して埋設し、さらに処分
孔２の上を蓋６で覆うとともに、該蓋６を岩盤１にアン
カーボルト７で固定するようにしている。なお、図中符
号８はトンネルである。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、前者の技術で
あると、緩衝材がブロック状をなしているため、工場等
において大量に製造しておいて、処分現場まで搬入する
ことにより、比較的簡単に地層処分作業を実施すること
ができるという長所を有しているが、ブロック状緩衝材
を放射能汚染物収納体の回りに複数積層する必要がある
ために、積層部分に間隙が形成され易く、ブロック化し
た数だけ透水性が損なわれる箇所が生じて、地下水の透
過を阻止する上で不利となる。また、後者の技術である
と、透水性を低くして放射能汚染物収納体Ａへの水の侵
入を阻止する上で好適なものとなるが、高密度緩衝層５
Ｈの脆さ、地層処分体Ｃの大重量化等により、放射能汚
染物収納体Ａを高密度緩衝層５Ｈで覆った状態の地層処
分体Ｃを、地上からトンネル８及び処分孔２まで搬入及
び装填する際に、高密度緩衝層５Ｈが破損し易くなると
ともに、取り扱い性が悪く作業性が低下し易くなる。

【０００６】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、成形後における弾性型との型離れ性を向上させる
こと、成形後から埋設時までの吸水または吸湿により
寸法が増大する現象の発生を抑制すること、搬送途中
における外傷の発生を抑制すること、処分孔における
緩衝材の設置作業時の労力を低減することを目的として
いる。

【０００７】

【課題を解決するための手段】放射能汚染物収納体を密
封状態に埋設する際に使用される緩衝材を成形する際
に、地層処分される放射能汚染物収納体より若干大きな
形状の円柱状部を有するマンドレルの回りにベントナイ
ト等の粉末被成形緩衝材を配する工程と、該粉末被成形
緩衝材の回りにプラスチックフィルムを介在させた状態
で冷間等方圧プレス等の一体成形によって粉末被成形緩
衝材を圧縮し高密度状態の成形体を成形する工程と、該
成形体にプラスチックフィルムを付着させたまま離型し
て取り出す工程とにより行なわれる。放射能汚染物収納
体を密封状態に埋設する際に使用される緩衝材として、
ベントナイト等の粉末被成形緩衝材を冷間等方圧プレス
等により圧縮固化して成形され放射能汚染物収納体を装
填する収納穴を有する成形体と、該成形体の外表面に一
体状態に付着するプラスチックフィルムとを具備する放
射能汚染物地層処分用緩衝材成形体とする。放射能汚染
物地層処分用緩衝材成形体における胴本体が有底円筒体
状に成形される場合には、外周面及び外底面にプラスチ
ックフィルムが一体に配される。放射能汚染物地層処分
用緩衝材成形体における胴本体の収納穴の開口部にこれ
を閉塞する蓋体が配される構成が付加される。

【０００８】

【作用】放射能汚染物地層処分用緩衝材成形体は、地上
で製作して地層処分場所の必要箇所まで搬送される。成
形の際にプラスチックフィルムが緩衝材の表面に付着し
ていると、弾性型との型離れ性が向上する。プラスチッ
クフィルムを付着させたまま、保管、搬送を行なうと、
その期間中における表面からの吸水現象または吸湿現象
の発生を抑制し、埋設時までの寸法の維持がなされる。
胴本体が有底円筒体状に成形される場合には、外周面及
び外底面にプラスチックフィルムを配することにより、
外周面及び外底面の型離れ性が向上する。胴本体と蓋体
とを組み合わせることにより、収納穴に装填した放射能
汚染物収納体の密閉が行なわれる。

【０００９】

【実施例】以下、本発明に係る放射能汚染物地層処分用
緩衝材の成形方法及び緩衝材成形体の実施例について、
図１ないし図４に基づいて説明する。各図において、符
号１０は放射能汚染物地層処分用緩衝材成形体（成形
体）、１１は胴本体、１２は蓋体、１３はプラスチック
フィルム、２０は冷間等方圧プレス、２１は圧力容器、
２２はマンドレル、２３は弾性型、２４は加圧液発生
源、２５は液供給管、２６は液排出管、２７は貯液タン
ク、２８は制御弁、Ｒは加圧液体（液体）である。

【００１０】前記成形体１０は、例えば図４に示すよう
に、胴本体１１と蓋体１２とを組み合わせたものとさ
れ、これらは、いずれも、ベントナイト等の粉末を冷間
等方圧プレス等により高密度状態に圧縮固化して成形さ
れる。

【００１１】図１及び図２は、成形体１０における胴本
体１１の成形状況を示しており、成形体１０の成形に
は、冷間等方圧プレス２０が適用される。

【００１２】冷間等方圧プレス２０は、密閉構造の圧力
容器２１と、その内部に組み合わせ状態に配されるマン
ドレル２２及びゴム膜等からなる弾性型２３と、加圧液
発生源２４と、加圧液体（液体）Ｒを供給するための液
供給管２５と、該液供給管２５に接続状態の液排出管２
６と、該液排出管２６に接続状態の貯液タンク２７と、
液供給管２５及び液排出管２６の途中に介在状態に配さ
れる制御弁２８とによって構成される。なお、マンドレ
ル２２には、地層処分される最終形状の放射能汚染物収
納体Ａより若干大きな形状の円柱状部２２ａが配され
る。

【００１３】以下、胴本体１１の成形工程を代表させて
説明する。

【００１４】冷間等方圧プレス２０によって、胴本体１
１を成形する場合には、図１に示すように、マンドレル
２２の回りにベントナイト等の粉末被成形緩衝材Ｘを配
するとともに、その回りを４ふっ化エチレン等のプラス
チックフィルム１３で覆い、さらに、粉末被成形緩衝材
Ｘ、プラスチックフィルム１３、マンドレル２２を弾性
型２３で覆って、マンドレル２２と弾性型２３との継ぎ
目を密封して行なわれる。

【００１５】これらを圧力容器２１の中に装填するとと
もに、加圧液発生源２４で発生させた加圧液体Ｒを液供
給管２５を経由して圧力容器２１の内部に供給し、圧力
容器２１の内部圧力を高めることにより、弾性型２３の
壁を弾性変形させて、粉末被成形緩衝材Ｘに等方圧を印
加して圧縮成形する。

【００１６】加圧成形後、制御弁２８の切り替えによ
り、加圧流体Ｒを液排出管２６を経由して貯液タンク２
７に排出して圧力を解放する。加圧成形の際に、粉末被
成形緩衝材Ｘの粒間に介在していた空気の一部は、粉末
被成形緩衝材Ｘの圧縮進行とともに、または圧縮終了後
の減圧時に弾性型２３と成形体１０との間に遊離し、プ
ラスチックフィルム１３の膜を透過して、あるいは継ぎ
目等から漏出して、空気層Ｇを形成する。なお、プラス
チックフィルム１３は、胴本体１１の表面の小さな凹凸
に対して密接状態となるとともに、圧縮時に緩衝材から
空気とともに水分が放出されて密着性が高まること等に
よって、図２に示すように、胴本体１１の表面に付着し
た状態で残される。

【００１７】圧力容器２１から、マンドレル２２、弾性
型２３とともに胴本体１１を取り出して、マンドレル２
２及び弾性型２３を解体する（離型する）と、図３に示
すように、中心部に収納穴１１ａが一体成形されるとと
もに、プラスチックフィルム１３が付着した状態の胴本
体１１が取り出される。離型の際には、プラスチックフ
ィルム１３と弾性型２３との間に空気層Ｇが形成される
ことや、プラスチックフィルム１３と弾性型２３との間
で滑ること等に基づいて型離れし易くなり、また、胴本
体１１と蓋体１２との間は、マンドレル２２の表面の仕
上げ精度が高いことと、硬質であることに基づいて型離
れが容易となる。

【００１８】このような工程で成形された胴本体１１に
あっては、図３に示すように、有底円筒体状をなす（図
３にあっては天地逆の状態に記載されている）形状とさ
れて、前述した放射能汚染物収納体Ａを収納するための
収納穴１１ａが配されるとともに、円筒状外表面（外周
面）１１ｂと円形状外底面（外底面）１１ｃとに、プラ
スチックフィルム１３が付着した状態のものが得られ
る。

【００１９】図４は、胴本体１１と蓋体１２との組み合
わせ例を示している。蓋体１２には、円盤部１２ａと、
該円盤部１２ａの中心に配され収納穴１１ａにおける上
部開口部に挿入される係合突起１２ｂとを有するものと
され、円盤部１２ａの円筒状外表面と円形状外表面とに
プラスチックフィルム１３が付着させられている。該蓋
体１２にあっても、胴本体１１の部分と同様に冷間等方
圧プレス２０等によって一体成形される。

【００２０】図４に示す状態の成形体１０は、作業環境
の良好な工場等で製造されて、地層処分場所の必要箇所
まで搬送されることになるが、胴本体１１及び蓋体１２
の表面にプラスチックフィルム１３が付着していると、
保管や搬送に要する期間中における表面からの吸水、吸
湿による緩衝材の膨潤現象の発生を抑制するとともに、
外力によって緩衝材が部分的に欠け落ちたり、クラック
が形成される等の外傷の発生を防止する。

【００２１】なお、地層処分時にあっては、プラスチッ
クフィルム１３を剥離してから、図５に示されている処
分孔２に胴本体１１を装填するとともに、胴本体１１の
収納穴１１ａに放射能汚染物収納体Ａを投入し、図４の
鎖線で示すように、収納穴１１ａの開口部に蓋体１２の
係合突起１２ｂを係合して密閉状態として、埋設する等
の作業が行なわれる。これらの作業は、例えば緩衝材で
ブロック化しておく場合と比較して、労力が低減される
とともに、胴本体１１が容器形状であることにより、遮
水性を高めることができる。また、図５例では、大重量
でかつ放射線被曝の恐れがある地層処分体を取り扱うこ
とになるが、これらの従来の処分作業と比較して、取り
扱い性を高めることができる。

【００２２】〔他の実施態様〕本発明にあっては、以下
の技術を包含している。ａ）プラスチックフィルム１３が、弾性型に対して摩擦
係数の小さいポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン
等のフィルムまたはシートであること。ｂ）成形体の全表面にプラスチックフィルム１３を付着
させること。ｃ）熱収縮性プラスチックフィルム、一軸または二軸延
伸フィルム等を付着させ、収縮させることによって成形
体１０の表面に密着及び密封した状態とすること。

【００２３】

【発明の効果】本発明に係る放射能汚染物地層処分用緩
衝材の成形方法及び緩衝材成形体によれば、以下の効果
を奏する。（１）成形時に緩衝材の回りをプラスチックフィルム
で覆うことにより、弾性型と成形体表面との滑りを良く
し、その結果として成形体の型離れ性を向上させること
ができる。（２）成形体の外表面にプラスチックフィルムを付着
させて覆うことにより、成形直後から埋設時までの保管
期間及び搬送期間中における吸水または吸湿による緩衝
材の膨潤現象の発生を抑制して、成形直後の寸法を長期
間維持することができる。（３）成形体に外力が及んだ場合の緩衝材の擦り傷、
欠け落ち、クラック等の外傷の発生を抑制することがで
きる。（４）収納穴を有する胴本体を提供することにより、
処分孔への搬入個数を減少させるとともに、組み合わせ
を単純化して、処分作業の労力を低減することができ
る。（５）放射能汚染物収納体の回りに高密度状態の緩衝
材を配することにより、遮水性を高めて放射能汚染物収
納体の処分時の健全性を向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る放射能汚染物地層処分用緩衝材の
成形方法の実施状況を示す成形前の正断面図である。

【図２】本発明に係る放射能汚染物地層処分用緩衝材の
成形方法の実施状況を示す成形後の正断面図である。

【図３】本発明に係る放射能汚染物地層処分用緩衝材成
形体の一実施例を示す一部を省略した正断面図である。

【図４】本発明に係る放射能汚染物地層処分用緩衝材成
形体の一実施例を示す斜視図である。

【図５】地層処分の従来例を示す正断面図である。

【符号の説明】

Ａ放射能汚染物収納体（放射性物質収納体）１０放射能汚染物地層処分用緩衝材成形体（成形体）１１胴本体１１ａ収納穴１１ｂ円筒状外表面（外周面）１１ｃ円形状外底面（外底面）１２蓋体１２ａ円盤部１２ｂ係合突起１３プラスチックフィルム２０冷間等方圧プレス２１圧力容器２２マンドレル２２ａ円柱状部２３弾性型２４加圧液発生源２５液供給管２６液排出管２７貯液タンク２８制御弁Ｘ粉末被成形緩衝材Ｒ加圧液体（液体）Ｇ空気層

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者川上進東京都江東区豊洲三丁目１番15号石川島播磨重工業株式会社技術研究所内 (72)発明者二宮伸雄東京都江東区豊洲三丁目１番15号石川島播磨重工業株式会社技術研究所内 (72)発明者山形順二東京都江東区豊洲三丁目２番16号石川島播磨重工業株式会社豊洲総合事務所内 (72)発明者朝野英一東京都江東区豊洲三丁目２番16号石川島播磨重工業株式会社豊洲総合事務所内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】放射能汚染物収納体を密封状態に埋設す
る際に使用される緩衝材の成形方法であって、地層処分
される放射能汚染物収納体（Ａ）より若干大きな形状の
円柱状部（２２ａ）を有するマンドレル（２２）の回り
にベントナイト等の粉末被成形緩衝材（Ｘ）を配する工
程と、該粉末被成形緩衝材の回りにプラスチックフィル
ム（１３）を介在させた状態で冷間等方圧プレス等の一
体成形によって粉末被成形緩衝材を圧縮し高密度状態の
成形体（１０）を成形する工程と、該成形体にプラスチ
ックフィルムを付着させたまま離型して取り出す工程と
を有することを特徴とする放射能汚染物地層処分用緩衝
材の成形方法。
【請求項２】放射能汚染物収納体（Ａ）を密封状態に
埋設する際に使用される緩衝材であって、ベントナイト
等の粉末被成形緩衝材（Ｘ）を冷間等方圧プレス等によ
り圧縮固化して成形され放射能汚染物収納体を装填する
収納穴（１１ａ）を有する成形体（１０）と、該成形体
の外表面に一体状態に付着するプラスチックフィルム
（１３）とを具備することを特徴とする放射能汚染物地
層処分用緩衝材成形体。
【請求項３】有底円筒体状に成形された胴本体（１
１）の外周面及び外底面にプラスチックフィルム（１
３）が一体に配されることを特徴とする請求項２記載の
放射能汚染物地層処分用緩衝材成形体。
【請求項４】収納穴（１１ａ）の開口部にこれを閉塞
する蓋体（１２）が配されることを特徴とする請求項２
または３記載の放射能汚染物地層処分用緩衝材成形体。