JPH07243409A - 水素吸蔵合金アクチュエータ - Google Patents

水素吸蔵合金アクチュエータ

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JPH07243409A
JPH07243409A JP5683194A JP5683194A JPH07243409A JP H07243409 A JPH07243409 A JP H07243409A JP 5683194 A JP5683194 A JP 5683194A JP 5683194 A JP5683194 A JP 5683194A JP H07243409 A JPH07243409 A JP H07243409A
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JP
Japan
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storage alloy
hydrogen storage
pressure
pressure chamber
hydrogen
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JP5683194A
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English (en)
Inventor
Masahiko Muro
正彦 室
Yuichi Wakizaka
裕一 脇坂
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Japan Steel Works Ltd
Original Assignee
Japan Steel Works Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 作動の速度を向上することができ、特に、帰
り作動の速度を速くして、往き作動と帰り作動とのバラ
ンスを確保することができる水素吸蔵合金アクチュエー
タの提供。 【構成】 シリンダ1内に移動自在に配置する区画部材
2によつて圧力室3が区画され、負荷Wが作用する作動
ロッド5が区画部材2に連結すると共に、水素吸蔵合金
モジュール7の水素吸蔵合金Aを加熱・冷却手段21に
よつて加熱又は冷却し、圧力室3内の水素ガスを給排さ
せ、圧力室3に容積変化を生じさせることにより、負荷
Wに往復作動を与える水素吸蔵合金アクチュエータにお
いて、水素吸蔵合金モジュール7の水素吸蔵合金Aの吸
収時のプラトー圧を、大気圧以下に設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水素吸蔵合金アクチュ
エータに関するものである。
【0002】
【従来の技術及びその課題】従来の水素吸蔵合金アクチ
ュエータとして、例えば単動型のものが知られている。
この種の水素吸蔵合金アクチュエータは、シリンダ内に
区画部材によつて圧力室が区画され、区画部材に連結す
る作動ロッドに負荷が作用する。そして、水素吸蔵合金
モジュールの水素吸蔵合金を加熱・冷却手段によつて加
熱又は冷却し、圧力室内の水素ガスを給排させて圧力室
に容積変化を生じさせることにより、負荷に往復作動が
与えられる。
【0003】この水素吸蔵合金アクチュエータによれ
ば、水素吸蔵合金モジュールに吸蔵された水素を放出さ
せて圧力室に供給すれば、ピストン及び作動ロッドが往
き作動し、負荷が上昇駆動される。次に、水素吸蔵合金
モジュールに水素を吸蔵させて圧力室から水素ガスを排
出させれば、ピストン及び作動ロッドが帰り作動し、負
荷が下降駆動される。
【0004】しかしながら、このような従来の水素吸蔵
合金アクチュエータにあつては、ピストン及び作動ロッ
ドの作動がスムースに得られず、特に負荷が小さい場合
の下降駆動に長時間を要するという技術的課題があつ
た。その原因を探究すべく本発明者等が、水素吸蔵合金
モジュールの水素吸蔵合金の種類を種々変更して実験を
行つた結果、水素吸蔵合金モジュールの水素吸蔵合金の
吸収時のプラトー圧が、大気圧を超えていることにその
主因があることを見出した。
【0005】従来の水素吸蔵合金アクチュエータに使用
されている水素吸蔵合金の常温でのプラトー圧は、大気
圧を超えている。例えば従来使用されているCaNiMmAlの
常温(30℃)での吸収時のプラトー圧は、1.1Kg/c
m2である。このため、負荷の下降駆動に伴つて圧力室か
ら水素ガスを排出させる際、ピストンには、一側に大き
な水素圧力が作用したままで、他側に大気圧が作用する
こととなり、大気圧によつてピストンの下降を促す作用
が良好に得られない。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような従
来の技術的課題に鑑みてなされたもので、その構成は次
の通りである。請求項1の発明の構成は、シリンダ1内
に移動自在に配置する区画部材2によつて圧力室3が区
画され、負荷Wが作用する作動ロッド5が該区画部材2
に連結すると共に、水素吸蔵合金モジュール7の水素吸
蔵合金Aを加熱・冷却手段21によつて加熱又は冷却
し、該圧力室3内の水素ガスを給排させて該圧力室3に
容積変化を生じさせることにより、負荷Wに往復作動を
与える水素吸蔵合金アクチュエータにおいて、前記水素
吸蔵合金モジュール7の水素吸蔵合金Aの吸収時のプラ
トー圧を、大気圧以下に設定することを特徴とする水素
吸蔵合金アクチュエータである。請求項2の発明の構成
は、シリンダ1内に移動自在に配置する区画部材2によ
つて一対の圧力室3,4が区画され、負荷Wが作用する
作動ロッド5が該区画部材2に連結すると共に、各圧力
室3,4にそれぞれ付属する水素吸蔵合金モジュール
7,8の水素吸蔵合金Aを加熱・冷却手段21によつて
個別に加熱又は冷却し、一方の圧力室3,4内に水素ガ
スを供給させ、かつ、他方の圧力室4,3内の水素ガス
を排出させ、両圧力室3,4に容積変化を生じさせるこ
とにより、負荷Wに往復作動を与える水素吸蔵合金アク
チュエータにおいて、少なくとも一方の水素吸蔵合金モ
ジュール7,8の水素吸蔵合金Aの吸収時のプラトー圧
を、大気圧以下に設定することを特徴とする水素吸蔵合
金アクチュエータである。
【0007】
【作用】請求項1の発明によれば、水素吸蔵合金モジュ
ール7の水素吸蔵合金Aを加熱・冷却手段21によつて
加熱又は冷却し、圧力室3内の水素ガスを給排させ、圧
力室3に容積変化を生じさせることにより、負荷Wが作
用する作動ロッド5が区画部材2と共に往き作動又は帰
り作動する。そして、この負荷Wの帰り作動に際して圧
力室3から水素ガスを排出させることにより、速やかに
低下する水素圧力が区画部材2の一側に作用する傾向を
呈し、区画部材2の他側に大気圧が作用するため、大気
圧が区画部材2の下降を促すように作用する。また、負
荷Wの作用によつて圧力室3内が大気圧以下の水素圧力
となることが抑制され、圧力室3内に空気が浸入するこ
とが良好に抑制される。
【0008】請求項2の発明によれば、各圧力室3,4
にそれぞれ付属する水素吸蔵合金モジュール7,8の水
素吸蔵合金Aを加熱・冷却手段21によつて個別に加熱
又は冷却し、一方の圧力室3内に水素ガスを供給させ、
かつ、他方の圧力室4内の水素ガスを排出させ、両圧力
室3,4に容積変化を生じさせることにより、負荷Wが
作用する作動ロッド5が区画部材2と共に往き作動又は
帰り作動する。
【0009】他方の圧力室4に付属する水素吸蔵合金モ
ジュール8の水素吸蔵合金Aとして、吸収時のプラトー
圧が大気圧以下のものを使用すれば、水素吸蔵合金アク
チュエータの往き作動において、他方の圧力室4では、
水素圧力が速やかに低下する傾向を呈するため、大気圧
を超えた圧力になつている一方の圧力室3の水素圧力を
受ける区画部材2が速やかに往き作動する。この区画部
材2の速やかな往き作動により、他方の圧力室4に大気
が流入することが良好に抑制され、空気の混入よる水素
吸蔵合金Aの耐久性の低下は良好に防止される。その結
果、常温(30℃)での吸収時のプラトー圧が1.1Kg
/cm2である従来のCaNiMmAlを他方の圧力室4に付属する
水素吸蔵合金モジュール8に使用する場合と比較して、
負荷Wの上昇速度を向上させることが可能である。
【0010】また、一方の圧力室3に付属する水素吸蔵
合金モジュール7の水素吸蔵合金Aとして、吸収時のプ
ラトー圧が大気圧以下のものを使用すれば、水素吸蔵合
金アクチュエータの帰り作動において、一方の圧力室3
では、水素圧力が速やかに低下する傾向を呈するため、
大気圧を超えた圧力になつている他方の圧力室4の水素
圧力を受ける区画部材2が速やかに帰り作動する。その
結果、常温(30℃)での吸収時のプラトー圧が1.1
Kg/cm2である従来のCaNiMmAlを一方の圧力室3に付属す
る水素吸蔵合金モジュール7に使用する場合と比較し
て、負荷Wの下降速度を向上させることが可能である。
【0011】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
て説明する。図1〜図6は本発明を単動型の水素吸蔵合
金アクチュエータに適用した第1実施例を示す。図中に
おいて符号1は有底筒状のシリンダを示し、シリンダ1
には、シールリング30を環着した区画部材であるピス
トン2が移動自在に嵌合して圧力室3が区画され、ピス
トン2に連結する作動ロッド5に負荷Wが作用する。こ
の圧力室3には、水素吸蔵合金Aを有する水素吸蔵合金
モジュール7が配管13を介して接続する。水素吸蔵合
金モジュール7は、図2に示すようにアルミニウム製の
密閉容器20の内部に、水素を吸排する水素吸蔵合金A
をペルチェ素子からなる加熱・冷却手段21で挟んだ状
態にて設置して構成され、加熱・冷却手段21には充電
式のバッテリー22が接続されている。23は水素吸蔵
合金Aの温度を検出する温度センサー、24は冷却用の
フインである。
【0012】しかして、図外のスイッチの切り換え操作
により、バッテリー22から加熱・冷却手段21に正逆
の電流を供給して、水素吸蔵合金Aを冷却又は加熱する
ことができ、これによつて水素ガスを吸収又は放出させ
ることができる。この水素吸蔵合金Aの冷却温度は、約
20〜30℃であり、加熱温度は、約50〜80℃であ
る。ここで、水素吸蔵合金Aは、水素ガスと反応し、可
逆的に水素ガスを吸蔵又は放出するが、この反応はプラ
トー領域におけるプラトー圧−温度特性(P−T特性)
に基づいてなされ、プラトー圧における温度条件から低
温度に冷却すれば水素ガスを吸蔵し、高温度に加熱すれ
ば水素ガスを放出する。
【0013】そして、水素吸蔵合金モジュール7の水素
吸蔵合金Aとして、常温でのプラトー圧、特に吸収時の
プラトー圧が大気圧(1atm =0.101325MPa )
以下のものを採用する。一般に希土類元素を含む合金
は、若干のAlを添加することにより、その添加量に応じ
てプラトー圧が低下することが知られている。そこで、
従来公知の金属水素化物のプラトー圧の温度依存性を示
すP−T曲線に基づき、20℃における吸収時のプラト
ー圧が0.5Kg/cm2以下となる水素吸蔵合金を求めた結
果、LaNi5 にAlを添加したLaNiAl系合金が最適であるこ
とが判明した。この種の具体的な水素吸蔵合金Aとして
は、LaNi4.6Al0.4合金及びLaNi4.5Al0.5合金がある。La
Ni4.6Al0.4合金の30℃での吸収時のプラトー圧は、
0.28Kg/cm2であり、LaNi4.5Al0.5合金の30℃での
吸収時のプラトー圧は、0.18Kg/cm2である。なお、
プラトー圧は、放出時と吸収時とでヒステリシスを示す
ので、吸収時のプラトー圧を基準とする。
【0014】次に上記実施例の作用について説明する。
図1に示す水素吸蔵合金アクチュエータに往き作動を与
える場合には、水素吸蔵合金モジュール7の加熱・冷却
手段21を加熱し、水素吸蔵合金Aから水素ガスを放出
させる。この水素吸蔵合金モジュール7からの水素ガス
が配管13を通つて圧力室3に供給され、ピストン2及
び作動ロッド5が往き作動するので、負荷Wを上昇駆動
することができる。
【0015】次に、水素吸蔵合金アクチュエータに帰り
作動を与える場合には、水素吸蔵合金モジュール7の加
熱・冷却手段21を冷却し、水素吸蔵合金Aに水素ガス
を吸蔵させる。これにより、圧力室3内の水素ガスが配
管13を通つて水素吸蔵合金Aに吸蔵され、ピストン2
及び作動ロッド5が帰り作動するので、負荷Wを下降駆
動することができる。水素吸蔵合金モジュール7の水素
吸蔵合金Aとして、常温での吸収時のプラトー圧が大気
圧以下のものを使用するため、この負荷Wの下降駆動に
際し、圧力室3から水素ガスを排出させることによつて
ピストン2の一側に作用する水素圧力が速やかに低下す
る傾向を呈するが、ピストン2の他側に大気圧及び負荷
Wが作用してピストン2の下降を促すため、圧力室3内
に大気圧を大きく下回る水素圧力が発生することは生じ
難くなる。その結果、圧力室3内に空気が浸入すること
が良好に抑制される。
【0016】このようにピストン2の下降を促しながら
空気の浸入を防止して水素吸蔵合金Aの劣化を避ける上
から、水素吸蔵合金モジュール7の水素吸蔵合金Aの種
類、量及び冷却温度は、所定重量の負荷Wが作用する状
態で、圧力室3内の最低圧力がほぼ大気圧に維持される
ように選定することが望ましい。なお、配管13に開閉
弁を付属させ、この開閉弁を適宜に開閉操作することに
より、負荷Wの作動位置を固定することができる。
【0017】図3〜図6には、各種の水素吸蔵合金Aを
使用して行つた作動試験の結果を示す。 (1)無負荷状態での圧力−時間特性を図3に示す。こ
の試験は、配管13を遮断した状態で、水素吸蔵合金A
を20℃から50℃に加熱した後、50℃から20℃に
冷却して行つた。
【0018】実線Cにて示す従来のCaNiMmAl合金では、
減圧過程(下降行程)での圧力変化において、1.08
MPa から0.25MPa にまで変化するのに約30秒を要
している。また、最大圧力から45秒以上をかけて減圧
過程を行つてみたが、初期圧力(0.1MPa )には戻ら
なかつた。これに対して破線Dにて示すLaNi4.6Al0.4
金及び一点鎖線Eにて示すLaNi4.5Al0.5合金によれば、
0.86MPa から0.06MPa にまで変化、及び0.7
8MPa から0.02MPa にまで変化するのにそれぞれ2
0秒及び22秒程度と短時間であり、かつ、両者共に初
期圧力(0.1MPa )に向けて良好に低下することが知
られる。なお、ペルチェ素子からなる加熱・冷却手段2
1の電圧の極性切換えにおける応答時間は、三者共に1
秒以内で良好であつた。
【0019】(2)負荷状態で所定のストローク(50
mm)を得る際の圧力−時間特性について説明する。先
ず、負荷W=15Kgの特性を図4に示す。ストローク5
0mm(極大圧力時)〜0mm(極小圧力時)までの減
圧過程(下降行程)に要する時間は、実線Fにて示すよ
うにCaNiMmAl合金では約26秒であるが、破線Gにて示
すLaNi4.6Al0.4合金及び一点鎖線Hにて示すLaNi4.5Al
0.5合金では、それぞれ10秒及び9秒と短時間であつ
た。また、ペルチェ素子からなる加熱・冷却手段21の
電圧の極性切換えにおける応答時間は、CaNiMmAl合金で
は2秒要したの対して、LaNi4.6Al0.4合金及びLaNi4.5A
l0.5合金では、いずれも1秒以内で良好であつた。
【0020】次に、負荷W=10Kgの特性を図5に示
す。同図において実線IはCaNiMmAl合金の特性を示し、
破線JはLaNi4.6Al0.4合金の特性を示し、一点鎖線Kは
LaNi4.5Al0.5合金の特性を示す。更に、負荷W=5Kgの
特性を図6に示す。同図において実線LはCaNiMmAl合金
の特性を示し、破線MはLaNi4.6Al0.4合金の特性を示
し、一点鎖線NはLaNi4.5Al0.5合金の特性を示す。
【0021】図5,図6から分かるように、負荷Wが1
0Kg及び5Kgの場合に減圧過程(下降行程)に要する時
間は、負荷Wが15Kgの場合と同様に、CaNiMmAl合金よ
りもLaNi4.6Al0.4合金及びLaNi4.5Al0.5合金の方が短く
なり、かつ、CaNiMmAl合金に対する時間短縮の差が次第
に大きくなつている。この傾向は、負荷Wが15Kgから
5Kgに向けて小さくなるに従い、顕著になつている。こ
れにより、LaNi4.6Al0.4合金及びLaNi4.5Al0.5合金によ
れば、比較的短時間で下降行程を終了することが分か
る。また、電圧の極性切換えにおける応答時間について
は、負荷Wが15Kgの場合と同様な傾向であつた。な
お、昇圧過程(上昇行程)に要する時間は、減圧過程
(下降行程)と逆の傾向を示しているが、負荷Wが小さ
くなるにつれて、従来のCaNiMmAl合金との差が小さくな
ることが分かる。
【0022】以上のことから、次のことが知られる。 (1)負荷Wの有無にかかわらず減圧過程(下降行程)
の作動速度は、CaNiMmAl合金に比べて、LaNi4.6Al0.4
金及びLaNi4.5Al0.5合金の方がかなり速くなつている。
そして、負荷Wが小さくなればなるほどその差は大きく
なる。 (2)減圧過程(下降行程)の応答性については、若干
ではあるがLaNiAl系合金の方が良い。
【0023】(3)LaNiAl系合金は、特に負荷Wの小さ
い場合に有効である。かくして、従来のCaNiMmAl合金に
代えて吸収時のプラトー圧が大気圧以下であるLaNi4.6A
l0.4合金又はLaNi4.5Al0.5合金を使用することで、下降
行程での水素吸蔵合金アクチュエータの性能が改善され
る。
【0024】図7は本発明を複動型の水素吸蔵合金アク
チュエータに適用した第2実施例を示し、第1実施例と
実質的に同一の部分には同一符号を付してそれらの説明
を省略する。本実施例にあつては、シリンダ1に環状の
蓋部材10を固着し、区画部材であるピストン2の両側
に、それぞれ圧力室3,4を区画している。蓋部材10
の中央には、シールリング31が環着され、作動ロッド
5が摺動自在に嵌合している。
【0025】この一方の圧力室3には、水素吸蔵合金A
を有する一方の水素吸蔵合金モジュール7が配管13を
介して接続し、他方の圧力室4には、水素吸蔵合金Aを
有する他方の水素吸蔵合金モジュール8が配管14を介
して接続している。他方の水素吸蔵合金モジュール8
は、図2に基づいて説明した一方の水素吸蔵合金モジュ
ール7と同一構造を有している。そして、水素吸蔵合金
モジュール7,8の水素吸蔵合金Aとして、吸収時のプ
ラトー圧が大気圧以下のもの、具体的にはLaNi4.6A
l0.4、LaNi4.5Al0.5等のLaNiAl系合金を使用する。
【0026】次に第2実施例の作用について説明する。
複動型の水素吸蔵合金アクチュエータに往き作動を与え
る場合には、一方の水素吸蔵合金モジュール7の加熱・
冷却手段21を加熱し、水素吸蔵合金Aから水素ガスを
放出させ、他方の水素吸蔵合金モジュール8の加熱・冷
却手段21を冷却し、水素吸蔵合金Aに水素ガスを吸蔵
させる。この一方の水素吸蔵合金モジュール7からの水
素ガスが配管13を通つて一方の圧力室3に供給され、
他方の圧力室4の水素ガスが配管14を通つて他方の水
素吸蔵合金モジュール8に吸蔵されるので、ピストン2
及び作動ロッド5が往き作動し、負荷Wを上昇駆動する
ことができる。
【0027】このような水素吸蔵合金アクチュエータの
往き作動において、他方の圧力室4では、吸収時のプラ
トー圧が大気圧以下の水素吸蔵合金Aによる水素吸蔵に
より、水素圧力が速やかに低下する傾向を呈するが、一
方の圧力室3が大気圧を超えた圧力になつているので、
ピストン2が速やかに往き作動して他方の圧力室4の圧
力低下が抑制され、シールリング31を通過して他方の
圧力室4に大気が流入することが良好に抑制される。こ
のようにして、他方の水素吸蔵合金モジュール8におい
て、空気の混入よる水素吸蔵合金Aの耐久性の低下が良
好に防止される。かくして、常温(30℃)での吸収時
のプラトー圧が1.1Kg/cm2である従来のCaNiMmAlを他
方の圧力室4に付属する水素吸蔵合金モジュール8に使
用する場合と比較して、負荷Wの上昇速度を向上させる
ことが可能である。
【0028】そして、所定重量の負荷Wを上昇駆動する
場合には、他方の圧力室4が大気圧を大きく下回らない
ように各水素吸蔵合金Aの種類、量、加熱・冷却温度を
設定することが、上昇駆動速度の向上と大気混入による
弊害防止とを両立させる上で望ましい。勿論、他方の圧
力室4に付属する水素吸蔵合金モジュール8において、
水素吸蔵合金Aの吸収時のプラトー圧を大気圧以下に設
定し、一方の圧力室3に付属する水素吸蔵合金モジュー
ル7において、水素吸蔵合金Aの吸収時のプラトー圧を
大気圧を超えて設定して、負荷Wの上昇速度の向上と大
気混入による弊害防止とを両立させることも可能であ
る。
【0029】次に、水素吸蔵合金アクチュエータに帰り
作動を与える場合には、一方の水素吸蔵合金モジュール
7の加熱・冷却手段21を冷却し、水素吸蔵合金Aに水
素ガスを吸収させ、他方の水素吸蔵合金モジュール8の
加熱・冷却手段21を加熱し、水素吸蔵合金Aから水素
ガスを放出させる。これにより、一方の圧力室3内の水
素ガスが配管13を通つて一方の水素吸蔵合金モジュー
ル7に吸収され、また、他方の水素吸蔵合金モジュール
8からの水素ガスが配管14を通つて他方の圧力室4内
に供給され、ピストン2及び作動ロッド5が帰り作動す
るので、負荷Wを下降駆動することができる。
【0030】このように、一方の圧力室3から水素ガス
を排出させ、他方の圧力室4に水素ガスを供給させて、
負荷Wに下降駆動を与える際には、ピストン2の一側に
比較的低い水素圧力が作用し、ピストン2の他側に高水
素圧力が作用しているため、ピストン2の帰り作動の速
度が向上する。更に、一方の圧力室3の圧力が大きく低
下している場合には、高水素圧力の他方の圧力室4から
比較的低い水素圧力となつている一方の圧力室3に向け
て、シールリング30を通過して水素ガスが流出する傾
向を呈し、他方の圧力室4の水素ガスが一方の圧力室3
よりも高圧の大気に放出されることが抑制されるので、
シリンダ1内の水素の消耗が抑制される。
【0031】以上のことから分かるように、一方の圧力
室3に付属する一方の水素吸蔵合金モジュール7におい
て、水素吸蔵合金Aの吸収時のプラトー圧を大気圧以下
に設定し、他方の圧力室4に付属する他方の水素吸蔵合
金モジュール8において、水素吸蔵合金Aの吸収時のプ
ラトー圧を大気圧を超えて設定しても、負荷Wの下降作
動の速度を向上させることが可能である。なお、各配管
13,14に開閉弁を付属させ、この開閉弁を適宜に開
閉操作することにより、負荷Wの作動位置を固定するこ
とができる。
【0032】ところで、上記各実施例にあつては区画部
材としてピストン2を使用したが、金属製の区画部材で
あるベローズにより、シリンダ1内に圧力室3を区画す
る単動型の水素吸蔵合金アクチュエータに対し、また、
シリンダ1内に一対の圧力室3,4を区画する複動型の
水素吸蔵合金アクチュエータに対しても本発明を同様に
適用することが可能であることは勿論である。
【0033】
【発明の効果】以上の説明によつて理解されるように、
本発明によれば、水素吸蔵合金アクチュエータの作動の
速度を向上することができる。特に、単動型の水素吸蔵
合金アクチュエータの帰り作動の速度を速くして、往き
作動と帰り作動とのバランスを確保することができる。
水素吸蔵合金アクチュエータの往き作動と帰り作動との
バランスの確保は、負荷が小さい場合に効果的に得られ
る。更に、複動型の水素吸蔵合金アクチュエータに適用
することにより、往き作動又は帰り作動に要する時間の
少なくともいずれか一方を短縮することができる。しか
して、本発明にかかる水素吸蔵合金アクチュエータは、
手、肘等に障害を持つ人の腕運動支援装置等の小形介護
装置のアクチュエータ等に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例に係る水素吸蔵合金アク
チュエータを示す断面図。
【図2】 同じく水素吸蔵合金モジュールを示す一部断
面図。
【図3】 同じく無負荷状態での圧力−時間特性を示す
線図。
【図4】 同じく負荷W=15Kgの圧力−時間特性を示
す線図。
【図5】 同じく負荷W=10Kgの圧力−時間特性を示
す線図。
【図6】 同じく負荷W=5Kgの圧力−時間特性を示す
線図。
【図7】 本発明の第2実施例に係る水素吸蔵合金アク
チュエータを示す断面図。
【符号の説明】
1:シリンダ、2:ピストン(区画部材)、3,4:圧
力室、5:作動ロッド、7,8:水素吸蔵合金モジュー
ル、21:加熱・冷却手段、A:水素吸蔵合金、W:負
荷。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリンダ(1)内に移動自在に配置する
    区画部材(2)によつて圧力室(3)が区画され、負荷
    (W)が作用する作動ロッド(5)が該区画部材(2)
    に連結すると共に、水素吸蔵合金モジュール(7)の水
    素吸蔵合金(A)を加熱・冷却手段(21)によつて加
    熱又は冷却し、該圧力室(3)内の水素ガスを給排させ
    て該圧力室(3)に容積変化を生じさせることにより、
    負荷(W)に往復作動を与える水素吸蔵合金アクチュエ
    ータにおいて、前記水素吸蔵合金モジュール(7)の水
    素吸蔵合金(A)の吸収時のプラトー圧を、大気圧以下
    に設定することを特徴とする水素吸蔵合金アクチュエー
    タ。
  2. 【請求項2】 シリンダ(1)内に移動自在に配置する
    区画部材(2)によつて一対の圧力室(3,4)が区画
    され、負荷(W)が作用する作動ロッド(5)が該区画
    部材(2)に連結すると共に、各圧力室(3,4)にそ
    れぞれ付属する水素吸蔵合金モジュール(7,8)の水
    素吸蔵合金(A)を加熱・冷却手段(21)によつて個
    別に加熱又は冷却し、一方の圧力室(3,4)内に水素
    ガスを供給させ、かつ、他方の圧力室(4,3)内の水
    素ガスを排出させ、両圧力室(3,4)に容積変化を生
    じさせることにより、負荷(W)に往復作動を与える水
    素吸蔵合金アクチュエータにおいて、少なくとも一方の
    水素吸蔵合金モジュール(7,8)の水素吸蔵合金
    (A)の吸収時のプラトー圧を、大気圧以下に設定する
    ことを特徴とする水素吸蔵合金アクチュエータ。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005172163A (ja) * 2003-12-12 2005-06-30 Civil Engineering Research Institute Of Hokkaido 自律駆動型水素吸蔵合金アクチュエータ
KR100865358B1 (ko) * 2007-04-26 2008-10-24 전북대학교산학협력단 수소저장합금 엑츄에이터를 이용한 헬스기구
JP2021012988A (ja) * 2019-07-09 2021-02-04 日本ケミコン株式会社 電解コンデンサおよび電解コンデンサ用水素吸蔵合金

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