JPH07243055A - 耐クロム溶出性に優れた着色有機複合鋼板 - Google Patents

耐クロム溶出性に優れた着色有機複合鋼板

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JPH07243055A
JPH07243055A JP3729894A JP3729894A JPH07243055A JP H07243055 A JPH07243055 A JP H07243055A JP 3729894 A JP3729894 A JP 3729894A JP 3729894 A JP3729894 A JP 3729894A JP H07243055 A JPH07243055 A JP H07243055A
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Yoshimi Kada
好実 加田
Yoshio Shindo
芳雄 新藤
Tadao Azami
忠雄 生明
Koji Tanimura
宏治 谷村
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 化成処理時にクロムの溶出を抑えた着色有機
複合鋼板を提供する。 【構成】 亜鉛系めっき鋼板に、膜厚10〜150mg
/m2 のクロメート皮膜を施し、その上に下記〜か
らなる有機溶剤系塗料組成物を0.05〜2μm施すこ
とを特徴とする有機複合鋼板。ウレタン化エポキシエ
ステル樹脂(但し数平均分子量300〜100,00
0)30〜90% 親水性ポリアミド樹脂(重合度50〜1000)5〜
40% 錯形成剤0.5〜5% シリカ粉末(平均粒径0.1〜100mμ)5〜40
% ポリエチレンワックス(分子量1000〜1000
0)1〜10% 平均粒径0.05〜2μmの不溶性アゾ系、アゾレー
ト系及びフタロシアニン系又はベンガラの内の1種以上
0.5〜5% 〔不揮発分重量%〕

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、薄膜塗装を施した有機
複合めっき鋼板に係わり、更に詳しくはプレス加工性、
耐食性を低下させることなく、化成処理時にクロムの溶
出性の抑制を実現した耐食性に優れた着色有機複合鋼板
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車車体用鋼板として、耐食性
に優れた鋼板の市場ニーズがますます高まり、これに呼
応した表面処理鋼板の新製品の開発研究が最近盛んに行
われている。このような高耐食性の表面処理鋼板の1つ
としては、亜鉛めっき鋼板をあげることができるが、こ
の種の鋼板では耐食性を高めるために亜鉛の付着量を増
加させる必要があり、その結果としてプレス成形性、ス
ポット溶接性の劣化をもたらすという問題がある。
【0003】一方、めっき付着量の少ない耐食性鋼板と
して、亜鉛とNi,Co,Cr,Fe,Mn等を合金化
させためっき鋼板や多層めっき鋼板が開発された。しか
し、これらの鋼板も自動車車体中で非常に苛酷な腐食条
件下にさらされるヘム部や袋構造部に対しては十分な耐
食性を有するものではなかった。そのような中で、高度
な耐食性を有する鋼板として、特公昭45−24230
号公報や特公昭47−6882号公報にみられるような
ジンクリッチ系塗膜を施した防錆鋼板が提案されてお
り、その代表的なものはジンクロメタルの名称で知られ
ている。しかし、この防錆鋼板においても、プレス成形
性等の加工部では皮膜の剥離を生ずる場合がある。その
ため、自動車車体用材料として適合できる高耐食性防錆
鋼板とはまだ言い難い。
【0004】このようなことから、亜鉛系めっき鋼板を
素材として、その上層にクロメート層と有機皮膜の2層
を形成した有機複合鋼板及びその製造方法が特開昭57
−108292号公報、特開昭58−224174号公
報や特開平1−8033号公報等において提案されてい
る。また、これまでの有機複合鋼板は、上層の有機皮膜
が透明のため、ハンドリング時に鋼板の表裏を選別する
ことが難しく、特に、塗油したときに困難であった。そ
のようなことから、有機皮膜を着色し、鋼板の表裏の識
別を容易にした鋼板が、特開平4−200779号公
報、特開平4−254588号公報等に提案されてい
る。この種の有機複合鋼板は、従来の有機複合鋼板に比
べ優れた加工性、耐食性を有し、着色化されている。し
かしながら、これを自動車用として使用した場合、化成
処理時にクロムが化成処理浴へ溶出し、浴が汚染される
ことによって化成処理不良・浴替え・クロム処理等の問
題があり、クロムの溶出を抑制する必要がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、プレス成形
性や耐食性の性能を低下させることなく、化成処理時に
おけるクロムの溶出を抑制した着色有機複合鋼板の提供
を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述の問
題点を解決するために、鋭意検討した結果、有機皮膜中
に特定の錯形成剤および着色剤を含有させることによっ
て、クロメート皮膜中の表層のクロムイオンと有機皮膜
中の錯形成剤が結合し、化成処理時のクロム溶出を抑え
た着色有機複合鋼板が得られることを見い出した。本発
明の要旨は、亜鉛系めっき鋼板の片面あるいは両面に、
膜厚10〜150mg/m2 のクロメート皮膜を施し、
その上に、下記〜からなる有機溶剤系塗料組成物を
有機皮膜として0.05〜2μmを施すことを特徴とす
る耐クロム溶出性に優れた着色有機複合鋼板にある。
【0007】 ウレタン化エポキシエステル樹脂(但し数平均分子量300〜100,000 ) 30〜90% 親水性ポリアミド樹脂(重合度50〜1000) 5〜40% 錯形成剤 0.5〜5% シリカ粉末(平均粒径1〜100mμ) 5〜40% ポリエチレンワックス(分子量1000〜10000) 0.1〜10% 平均粒径0.05〜2μm不溶性アゾ系、アゾレート系及びフタロシアニン系 有機顔料又は無機顔料であるベンガラからなる群よりの少なくとも1種 0.5〜5% 〔不揮発分重量%〕なお、本発明において耐クロム溶出
性とは、化成処理時にクロムの溶出が抑制される特性の
ことを意味する。
【0008】
【作用】以下に本発明を更に詳細に説明する。図1に本
発明鋼板の皮膜構造を示す。鋼板1上に亜鉛系めっき皮
膜2として電気亜鉛めっき系のZn,Zn−Ni、Zn
−Ni−Co、Zn−Fe、Zn−Cr、Zn−Cr−
Ni等や溶融亜鉛めっき系の亜鉛鉄板、合金化処理亜鉛
めっき鋼板、Zn−Al合金めっき鋼板等を5〜100
g/m2 、その上にクロメート皮膜3を10〜150m
g/m2 、更にその上に有機皮膜4を0.05〜2μm
付着させる。なお、本発明に適用される亜鉛系めっきと
して、電気めっき系のZn−Ni又は、Zn−Feをベ
ースにSiO2 、Al2 3 、TiO2 およびBaCr
4等の金属酸化物を分散した分散めっき鋼板を用いて
もよい。
【0009】まず、鋼板表面に施こすクロメート皮膜に
ついて説明する。本発明のクロメート皮膜3とは、すで
に公知の塗布型クロメートであればいずれでもよく、特
に制限するものではないが、クロメート皮膜の水可溶分
が5%を越えると、クロメート皮膜の膨潤により、上層
に施こす有機皮膜との密着性の低下を招くため、好まし
くはクロメート皮膜の水可溶分としては3%以下がよ
い。
【0010】クロメート皮膜の付着量は総クロム量とし
て10mg/m2 未満では亜鉛系めっき鋼板の被覆が不
完全であり、上層有機皮膜との密着性が不足する或い
は、耐食性が発揮されないため好ましくない。一方、総
クロム量が150mg/m2 を越えた場合、プレス加工
等によるクロメート皮膜の凝集破壊から、上層有機皮膜
の密着性低下が著しい。また、スポット溶接時の連続打
点性の低下を招くため好ましくない。以上から、クロメ
ート皮膜の付着量の好ましい範囲は、総クロム量として
10〜150mg/m2 である。なお、本発明におい
て、クロメート皮膜中に電着塗装性を向上させる目的
で、メラミンシアヌレートを1〜5重量%含有してもか
まわない。
【0011】次に、有機皮膜について説明する。本発明
の有機皮膜形成上で用いられるバインダー用樹脂である
ウレタン化エポキシエステル樹脂については、塗料不揮
発分として重量%で分子中に50%以上のフェノールを
含有するエポキシ樹脂、該エポキシ樹脂にアミン触媒の
存在下、或いは不存在下にジカルボン酸を反応させて得
られるエポキシエステル樹脂、及び前記エポキシエステ
ル樹脂に部分ブロックイソシアナート化合物を反応させ
て得られるウレタン化エポキシエステル樹脂からなる群
より、選ばれる数平均分子量300〜100,000の
エポキシ系バインダー樹脂30〜90重量%を用いる。
【0012】数平均分子量で300未満では密着性、耐
食性が低下し、また、有機溶剤に溶解させ、塗料目的と
して使用し得る樹脂分子量は100,000が限度であ
る。また更にはこのような該エポキシ系バインダー樹脂
の数平均分子量の範囲内でその配合量が塗料不揮発分の
30重量%未満においては電着膜の密着性、加工性の低
下が見られ、また、90重量%超では塗料としてのバイ
ンダー機能が半減する。
【0013】次に本発明では前記バインダー樹脂と共に
第2の樹脂成分として用いる親水性ポリアミド樹脂は、
本発明の構成にあって重要な骨格をなすもので、酸アミ
ド結合を多くもった高親水性、高吸湿性であって、且つ
重合度が大で極めて高分子量である特徴を持つ。尚、親
水性ポリアミド樹脂としては、ナイロン6、ナイロン6
6及びそれらと他のナイロンの共重合物;ポリエステル
ポリオール−、ポリエステルオール−、ポリブタジェン
ポリオール−変性ナイロン;ポリメタフェニレンイソフ
タルアミド、ポリパラフェニレンテレフタルアミド等の
芳香族ポリアミドの中から選ぶ。
【0014】親水性ポリアミド樹脂を有機複合塗膜中に
含有させることにより、電着塗装時に塗膜内に電着液が
浸透し、塗膜の電気抵抗値が低下して良好な電着性と電
着膜外観(ガスピン、ユズ肌等の発生の防止)が改善さ
れる。ポリアミド樹脂の分子量が大であることは、電着
塗装における前処理特にアルカリ脱脂、或いは電着塗装
時において、有機複合塗膜を形成する樹脂の膨潤溶解防
止に約立つ。即ち、重合度は50〜1000、好ましく
は50〜500がよく、重合度50未満では上述のアル
カリ脱脂或いは電着時に塗膜が溶解し、均一外観が得ら
れず、また、耐酸性の低下が認められ、1000を超え
ては高分子すぎて本発明の目的に不適当である。
【0015】ポリアミド樹脂の配合はまた、塗膜への可
とう性、高加工性を付与する上で望ましい。塗料中への
配合量に関し、上記ポリアミド樹脂の配合量は塗料不揮
発分の5〜40重量%、好ましくは5〜25重量%とす
る。5重量%未満では均一電着性(ガスピン、ユズ肌)
の向上は余り期待できないし、また、40重量%を超え
ては電着塗膜の密着性が低下する。
【0016】次に、本発明に使用される錯形成剤は、ク
ロメート皮膜表層のクロムイオンと錯形成を行うことに
より、結果として、化成処理時のクロム溶出を抑えるこ
と、さらには有機皮膜とクロメート皮膜間の密着性を向
上させる点で重要な役割を果している。錯形成剤の配合
量は、これらの役割をもたせるために塗料固形分中0.
1〜5重量%の範囲がよい。0.1重量%未満ではクロ
ム溶出量を十分抑えることができないし、また、5重量
%を越えると防食性が低下し不十分となる。
【0017】クロムと錯体を形成する具体的な錯形成剤
としては、ポリエチレンオキシオールが挙げられる。例
えば、ポリエチレンオキシナフトールであるヘキサエチ
レンオキシナフトール、ペンタエチレンオキシナフトー
ル、テトラエチレンオキシナフトール、トリエチレンオ
キシナフトール、ジエチレンオキシナフトール、モノエ
チレンオキシナフトールやポリエチレンオキシフェノー
ルであるヘキサエチレンオキシフェノール、ペンタエチ
レンオキシフェノール、テトラエチレンオキシフェノー
ル、トリエチレンオキシフェノール、ジエチレンオキシ
フェノール、モノエチレンオキシフェノール等がある。
【0018】次に、本発明においては耐食性の改善を目
的として平均粒径1〜100mμの粒径シリカを塗料不
揮発分に対し5〜40重量%の範囲内で用いる。シリカ
粒子の一次粒径として1mμ未満では複合塗膜の耐アル
カリ性が低下し望ましくなく、また100mμを超える
と耐食性改善の効果がなく、電着膜の平滑性も低下す
る。従ってシリカ粒子の平均粒径は、1〜100mμの
範囲でなければならず特に5〜50mμの範囲のものが
好ましい。かかるシリカ粒子としては、ヒュームドシリ
カ、コロイダルシリカなどが挙げられ、中でもヒューム
ドシリカの使用が好ましい。
【0019】コロイダルシリカはそのコロイド安定化の
ためアンモニウムイオン、アルカリ金属イオンを含有
し、これらのイオンは膜防食能を低下させる傾向にあ
る。またシリカ粒子の配合量は塗料不揮発分に対し5〜
40重量%、好ましくは10〜20重量%で、5重量%
未満では耐食性向上の効果がなく、また、40重量%を
超えると加工性の低下が認められ発明目的に対し、不十
分である。このように本発明の有機複合塗膜は不揮発分
として各々特定量のエポキシ系バインダー樹脂、親水性
ポリアミド樹脂及び微粒シリカを含み、かかる三成分の
組合せにより相乗的に電着塗装性を改善し、高耐食性、
高加工性で密着性に優れ、平滑且つ、スポット溶接可能
な塗膜を与えることができる。
【0020】また、本発明に使用されるポリエチレンワ
ックスは、高加工性を付与するために塗料固形分に対し
て0.1〜10重量%の範囲内のものである。好ましく
は、密度0.94以上、分子量1000〜10000、
酸価15KOHmg/g以下のポリエチレンワックスで
ある。このワックスの添加量が0.1重量%未満では、
塗膜表面の摩擦抵抗が大きくそのためにプレス加工等で
型カジリや塗膜剥離を生じ実用的でない。一方、10重
量%を越えては塗膜を焼付けた後の水冷ゾーンにおいて
上記ポリエチレンワックスの収縮ムラ模様などが生じ塗
装仕上がり外観を損ない易いので実用上から避けた方が
よい。また、ワックスの酸価については、15KOHm
g/gを越えては、塗膜中に溶け込んでしまうため塗膜
の潤滑効果は薄れる。従って、酸価を15KOHmg/
g以下にする必要があるが、これによって塗膜の表面に
ワックス層が形成され高い潤滑効果が生まれる。
【0021】次に、本発明で有機皮膜を着色するのに使
用される着色剤は、有機系のものと無機系のものに大別
されるが、いずれも塗料組成物に用いる有機溶剤、油や
脱脂液に難溶であって均一分散するものでなければなら
ない。これは、自動車材料用の有機複合鋼板には、防錆
油処理や脱脂処理があるため、油や脱脂液への混入があ
っては好ましくないからである。従って、本発明に使用
できる着色剤は、不溶性のアゾ系、アゾキレート系及び
フタロシアニン系有機顔料又は不溶性無機顔料であるベ
ンガラが用いられる。着色剤の平均粒径が0.05μm
未満では、塗料中で二次凝集して粗粒化し、塗膜外観と
して均一着色性が低下するし、2μmを越えると塗膜の
平滑性が劣り好ましくない。従って、好ましくは、着色
剤の平均粒径としては、0.1〜1μmである。また、
その添加量は、塗料固形分に対して0.5〜5重量%の
範囲内のものである。添加量が0.5重量%未満では、
着色剤を加えた状態でも鋼板の表裏を識別することが困
難であるし、5重量%を越えると防食性が低下し不十分
となる。なお、本発明において、皮膜中にも電着塗装性
を向上させる目的で、メラミンシアヌレートを1〜5重
量%含有してもかまわない。
【0022】また、以上のような本発明の塗料組成物の
低温焼付機能を付与するにあたってはメラミン樹脂、レ
ゾール型フェノール樹脂、ポリイソシアネートなどの硬
化剤をエポキシ樹脂に対し、固形分重量比で硬化剤/エ
ポキシ樹脂=0.1/99〜4/6の割合で含有させ熱
硬化させることができる。レゾール型フェノール樹脂と
して特に好ましいものは、式
【0023】
【化1】
【0024】以上のようにしてなる本発明の有機複合塗
料組成物を該めっき鋼板に塗装するにあたり、その塗装
方法はロールコート、スプレー、シャワーコートなどい
ずれであってもよく、また、その焼付板温としては10
0〜250℃であればよい。乾燥塗膜厚としては、0.
05〜2μmであり、0.05μm未満においては耐食
性、プレス潤滑性等の低下が認められ、また2μmを超
えては安定したスポット溶接性が期待できない。なお本
発明に用いる塗料組成物の塗装後の塗膜焼付条件は特に
限定しないが、最終焼付板温として100〜200℃の
範囲内で良好な性能を維持しつつ短時間焼付処理するこ
とが可能である。また塗装方法については、ロールコー
ト法、カーテンフローコート法など公知のいづれの方法
であってもよい。以上のようにしてなる本発明の有機複
合鋼板は、有機皮膜に錯形成剤と着色剤が含有している
ことにより、電着塗装性を損なわず、クロムの溶出を抑
制しながら鋼板の表裏の識別を可能にすることから、市
場の要求に十分応え得るものである。
【0025】
【実施例】以下に、実施例により本発明を更に詳述す
る。板厚0.8mmの電気亜鉛ニッケルめっき鋼板(亜
鉛ニッケルめっき量:20g/m2 、Ni%:12%、
板厚:0.8mm、パネルサイズ:200×300m
m)を公知の脱脂法により脱脂し、乾燥後、表1〜3に
示すクロメート処理を施した。続いて、表1〜3に示す
組成の塗料組成物をロールコーターにて塗装し、150
〜200℃で20秒焼き付けて、有機皮膜を生成させる
有機皮膜処理を施した。得られた処理を施した有機複合
鋼板に以下の評価を行った。
【0026】(1)クロム溶出性は、化成処理時のクロ
ム溶出性を、平板(70×150mm)48枚を各1リ
ットル溶液で脱脂(FC−L4460/日本パーカライ
ジング製)、水洗、表調(パーコレンZTH/日本パー
カライジング製)、リン酸塩処理(PB3020/日本
パーカライジング製)処理後、各溶液中のクロム濃度を
ICPにより分析し、その結果を、〇…クロム溶出量
0.1mg/m2 以下、△…クロム溶出量0.1mg/
2 以上で4.0mg/m2 以下、×…クロム溶出量
4.0mg/m2 以上、で示した。
【0027】(2)耐食性は、平板(1/2クロスカッ
ト入り)をJISZ−2371に準じて塩水噴霧試験2
000時間を実施した後、錆発生状況を観察し、その結
果を、〇…白錆発生10%以下、△…赤錆5%以下、×
…赤錆5%以上、で示した。 (3)識別性は、目視により着色程度を評価した。結果
を、〇…均一着色で容易に色が識別可能、△…やや不均
一な着色または色の識別が困難、×…不均一な着色また
は色の識別が不可能、で示した。
【0028】(4)プレス加工性は、円筒絞り加工(無
塗油)後に、加工部のダイス側の表面にセロテープをは
りつけ、剥した時に皮膜の剥離程度を評価した。結果
を、〇…剥離なし、△…軽微な剥離、×…かなりの剥
離、で示した。 (5)電着塗装性は、平板(70×150mm)をリン
酸塩処理(FC−4460,PB3020/日本パーカ
ライジング製)後、カチオン電着塗装パワートップU−
600(日本ペイント製)20μmを300Vで電着
し、各サンプルを170℃×20分焼き付けて電着塗装
板を作製した塗装サンプルを目視で塗装表面の欠陥(ガ
スピンおよびクレーター)の発生状況を評価した。その
結果を、〇…欠陥なし、△…僅かに欠陥発生、×…欠陥
発生が多い、で表示した。
【0029】(6)塗装後密着性は、平板(70×15
0mm)をリン酸塩処理(FC−4460,PB302
0/日本パーカライジング製)後、カチオン電着塗装パ
ワートップU−600(日本ペイント製)20μmを2
00Vで電着し、各サンプルを170℃×20分焼き付
けて電着塗装板を作製した塗装サンプルを40℃のイオ
ン交換水中に240時間浸漬した後、2mm碁盤目テー
プ剥離テスト(100メッシュ)を行ない残存塗膜数で
評価した。結果は、〇…塗膜残存数100個、△…塗膜
残存数91〜99個、×…塗膜残存数90個以下、で示
した。
【0030】以上の評価結果を、表1及び表2(本発明
例)並びに、表3(比較例)に示す。これらの結果から
明らかなように、本発明の有機複合鋼板は、鋼板の表裏
の識別が可能で耐クロム溶出性に優れているとともに、
耐食性、プレス加工性、電着塗装性、塗装後耐食性も問
題なく、総合性能に優れている。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】(注1)主樹脂:ウレタン化エポキシエス
テル樹脂(日本ペイント製)、レゾール型フェノール樹
脂(BKS−316/昭和高分子KK製)を8/2で混
ぜたもの (注2)親水性樹脂:ポリプロピレングリコール変性ナ
イロン6(東洋レーヨン製) (注3)錯形成剤 α:ヘキサエチレンオキシナフトール(第一工業製薬) β:ペンタエチレンオキシナフトール(第一工業製薬) γ:ヘキサエチレンオキシフェノール(第一工業製薬) δ:ペンタエチレンオキシフェノール(第一工業製薬)
【0035】(注4)ヒュームドシリカ アエロジル300(日本アエロジル) … 平均粒径8
mμ (注5)ポリエチレンワックス セリダスト3620(ヘキスト) … 分子量200
0、酸価0 (注6)着色剤 W:ベンガラ(Fe2 3 ) X:不溶性アゾ系パーマネントレッドF5R Y:不溶性アゾレーキ系アリザリンレーキ Z:フタロシアニン系銅フタロシアニン
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の有機複合
鋼板は、自動車車体の非常に苛酷な腐食条件下でも十分
な耐食性を有し、着色による鋼板の表裏の識別を可能に
し、クロム溶出性、電着塗装性にも優れ、加工部での皮
膜剥離も生じないので、高耐食性鋼板として大いに期待
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の皮膜構成を示す図である。
【符号の説明】
1 鋼板 2 亜鉛系めっき皮膜 3 クロメート皮膜 4 有機皮膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 谷村 宏治 千葉県君津市君津1番地 新日本製鐵株式 会社君津製鐵所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 亜鉛系めっき鋼板の片面あるいは両面
    に、膜厚10〜150mg/m2 のクロメート皮膜を施
    し、その上に、下記〜からなる有機溶剤系塗料組成
    物を有機皮膜として0.05〜2μm施すことを特徴と
    する耐クロム溶出性に優れた着色有機複合鋼板。 ウレタン化エポキシエステル樹脂(但し数平均分子量300〜100,000 ) 30〜90% 親水性ポリアミド樹脂(重合度50〜1000) 5〜40% 錯形成剤 0.5〜5% シリカ粉末(平均粒径1〜100mμ) 5〜40% ポリエチレンワックス(分子量1000〜10000) 0.1〜10% 平均粒径0.05〜2μm不溶性アゾ系、アゾレート系及びフタロシアニン系 有機顔料又は無機顔料であるベンガラからなる群よりの少なくとも1種 0.5〜5% 〔不揮発分重量%〕
JP3729894A 1994-03-08 1994-03-08 耐クロム溶出性に優れた着色有機複合鋼板 Withdrawn JPH07243055A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100312121B1 (ko) * 1997-07-18 2001-12-12 이구택 윤활수지용액을 이용한 수지피복 용융아연 도금강판의 제조방법
JP2010150374A (ja) * 2008-12-25 2010-07-08 Nippon Steel & Sumikin Coated Sheet Corp 塗装金属板用塗料、塗装金属板及び塗装金属板の製造方法
JP2014028889A (ja) * 2012-07-31 2014-02-13 Nippon Pigment Co Ltd 自動車アンダーフード部品
JP2014043581A (ja) * 2013-10-01 2014-03-13 Nippon Steel & Sumikin Coated Sheet Corp 塗装金属板用塗料、塗装金属板及び塗装金属板の製造方法

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