JPH07243035A - 化合物薄膜作製方法および装置 - Google Patents
化合物薄膜作製方法および装置Info
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- JPH07243035A JPH07243035A JP3571094A JP3571094A JPH07243035A JP H07243035 A JPH07243035 A JP H07243035A JP 3571094 A JP3571094 A JP 3571094A JP 3571094 A JP3571094 A JP 3571094A JP H07243035 A JPH07243035 A JP H07243035A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 超伝導素子等を構成する化合物薄膜等で、蒸
気圧の高い元素を含有する化合物薄膜(例:Hg Ba2Ca2Cu3
O4)を作製する装置を提供する。 【構成】 真空容器3中に蒸気圧の高い金属元素(Hg)を
除いた別の化合物(BaCaCuO3焼結体)をターゲット7とし
て配し、ターゲット7に対向する基体5上に別の化合物を
蒸着する蒸着装置と、蒸気圧の高い金属元素(Hg)の原料
を加熱し蒸気とする金属蒸気発生部8と、このHg蒸気に
キャリアガスを導入し、プラズマ化し、Hgのプラズマ流
を真空容器3中の基体5上に照射するプラズマ源1とを備
え、基体5上で化学反応を起こさせてHg Ba2Ca2Cu3O4薄
膜を作製する装置。 【効果】 Hgの他、Tl等蒸気圧の高い元素を含む化合物
の薄膜を作製できる。
気圧の高い元素を含有する化合物薄膜(例:Hg Ba2Ca2Cu3
O4)を作製する装置を提供する。 【構成】 真空容器3中に蒸気圧の高い金属元素(Hg)を
除いた別の化合物(BaCaCuO3焼結体)をターゲット7とし
て配し、ターゲット7に対向する基体5上に別の化合物を
蒸着する蒸着装置と、蒸気圧の高い金属元素(Hg)の原料
を加熱し蒸気とする金属蒸気発生部8と、このHg蒸気に
キャリアガスを導入し、プラズマ化し、Hgのプラズマ流
を真空容器3中の基体5上に照射するプラズマ源1とを備
え、基体5上で化学反応を起こさせてHg Ba2Ca2Cu3O4薄
膜を作製する装置。 【効果】 Hgの他、Tl等蒸気圧の高い元素を含む化合物
の薄膜を作製できる。
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、超伝導素子や赤外線検
出素子として利用が期待される化合物で、蒸気圧の高い
元素であるTl、Hg、Pb、Bi、Te、Sb等を構成元素
として含む化合物の薄膜を作製するに好適な化合物薄膜
作製方法および装置に関する。
出素子として利用が期待される化合物で、蒸気圧の高い
元素であるTl、Hg、Pb、Bi、Te、Sb等を構成元素
として含む化合物の薄膜を作製するに好適な化合物薄膜
作製方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】化合物薄膜を作製する方法として、従来
より反応性蒸着法、スパッタリング法などの手法が検討
されてきた。しかし、近年、超伝導素子として注目され
ているTl2Ba2Ca2Cu3O10や、狭ギャップ半導体として注
目されているHgCdTe等は、蒸気圧の高い元素Tl,Hgを含
む化合物であることから良質な薄膜を得ることが困難で
あった。これについては、アプライドフィジックスレタ
ーズ、第61巻第15号、第1838〜1840頁に詳
しく報告されている。これによると良好な超伝導膜を得
るためには、成膜後に800℃での酸素中熱処理が必要
である。
より反応性蒸着法、スパッタリング法などの手法が検討
されてきた。しかし、近年、超伝導素子として注目され
ているTl2Ba2Ca2Cu3O10や、狭ギャップ半導体として注
目されているHgCdTe等は、蒸気圧の高い元素Tl,Hgを含
む化合物であることから良質な薄膜を得ることが困難で
あった。これについては、アプライドフィジックスレタ
ーズ、第61巻第15号、第1838〜1840頁に詳
しく報告されている。これによると良好な超伝導膜を得
るためには、成膜後に800℃での酸素中熱処理が必要
である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術において
は、蒸気圧の高い元素を含有する良質の化合物薄膜を作
製することは困難であった。
は、蒸気圧の高い元素を含有する良質の化合物薄膜を作
製することは困難であった。
【0004】本発明の目的は、蒸気圧の高い元素を含有
する化合物薄膜を品質よく作製するに好適な化合物薄膜
作製方法および装置を提供することにある。
する化合物薄膜を品質よく作製するに好適な化合物薄膜
作製方法および装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】一般に真空装置を用いて
薄膜を作製する場合、原料として用いる元素の平衡蒸気
圧が問題となる。平衡蒸気圧(以下単に蒸気圧と略す)と
は、元素固有の温度の関数として決まった物性値であ
る。これはある元素を原料(蒸着物質源)として用いる場
合、どの程度の温度で加熱してやれば良いかの目安とな
る。一般に真空蒸着法によって薄膜を作製する場合の圧
力は10~4 Torr程度であるが、蒸着物質源を次第に加熱
して行くと蒸着物質源の元素の平衡蒸気圧が10~4 Torr
になったときに蒸発が始まる、即ち薄膜の形成が始まる
と考えて良い。蒸発が始まる温度が、500〜600℃といっ
た比較的高い温度の場合、蒸着は安定に行なわれるが、
蒸発が始まる温度がこれよりも低い場合には、温度制御
の不安定さが膜形成速度を不安定にする要因となる。ま
た、化合物薄膜を作製する場合に、得ようとする化合物
の形成温度が平衡温度よりもはるかに高い場合は、膜を
形成しようとする基体上における反応速度よりも再蒸発
速度の方が大きくなり、薄膜を作製することができない
ことになる。
薄膜を作製する場合、原料として用いる元素の平衡蒸気
圧が問題となる。平衡蒸気圧(以下単に蒸気圧と略す)と
は、元素固有の温度の関数として決まった物性値であ
る。これはある元素を原料(蒸着物質源)として用いる場
合、どの程度の温度で加熱してやれば良いかの目安とな
る。一般に真空蒸着法によって薄膜を作製する場合の圧
力は10~4 Torr程度であるが、蒸着物質源を次第に加熱
して行くと蒸着物質源の元素の平衡蒸気圧が10~4 Torr
になったときに蒸発が始まる、即ち薄膜の形成が始まる
と考えて良い。蒸発が始まる温度が、500〜600℃といっ
た比較的高い温度の場合、蒸着は安定に行なわれるが、
蒸発が始まる温度がこれよりも低い場合には、温度制御
の不安定さが膜形成速度を不安定にする要因となる。ま
た、化合物薄膜を作製する場合に、得ようとする化合物
の形成温度が平衡温度よりもはるかに高い場合は、膜を
形成しようとする基体上における反応速度よりも再蒸発
速度の方が大きくなり、薄膜を作製することができない
ことになる。
【0006】上記問題点を解決するために、本発明者ら
は、化合物を構成する元素のうち蒸気圧の高い元素をプ
ラズマ流もしくはイオン流の形で基体上に供給し、これ
と同時に他の元素を基体上に供給して化合物薄膜を形成
する手法を用いた。蒸気圧の高い元素より他の元素を基
体上に供給する方法としては、蒸着法、スパッタリング
法などを用いた。このように複合の方法を用いることに
より、蒸気圧の高い元素の実効的な分圧を高めることが
でき、これにより基体上に形成された化合物薄膜から蒸
気圧の高い元素が再蒸発することを防ぐことができる。
また、化合物薄膜を生成する際の反応温度を低くするこ
とが可能となる。
は、化合物を構成する元素のうち蒸気圧の高い元素をプ
ラズマ流もしくはイオン流の形で基体上に供給し、これ
と同時に他の元素を基体上に供給して化合物薄膜を形成
する手法を用いた。蒸気圧の高い元素より他の元素を基
体上に供給する方法としては、蒸着法、スパッタリング
法などを用いた。このように複合の方法を用いることに
より、蒸気圧の高い元素の実効的な分圧を高めることが
でき、これにより基体上に形成された化合物薄膜から蒸
気圧の高い元素が再蒸発することを防ぐことができる。
また、化合物薄膜を生成する際の反応温度を低くするこ
とが可能となる。
【0007】本発明の化合物薄膜作製方法は、蒸気圧の
高い金属元素を含有する化合物の薄膜を基体上に作製す
るに際して、蒸気圧の高い金属元素を含有する化合物を
構成する元素のうち蒸気圧の高い金属元素を除いた他の
元素からなる別の化合物を基体上に蒸着させると同時
に、蒸気圧の高い金属元素のプラズマ流を基体上に照射
し、蒸気圧の高い金属元素と別の化合物との化学反応を
起こさせて薄膜を作製することを特徴とする。
高い金属元素を含有する化合物の薄膜を基体上に作製す
るに際して、蒸気圧の高い金属元素を含有する化合物を
構成する元素のうち蒸気圧の高い金属元素を除いた他の
元素からなる別の化合物を基体上に蒸着させると同時
に、蒸気圧の高い金属元素のプラズマ流を基体上に照射
し、蒸気圧の高い金属元素と別の化合物との化学反応を
起こさせて薄膜を作製することを特徴とする。
【0008】また本発明の別の化合物薄膜作製方法は、
上記方法における蒸気圧の高い金属元素のプラズマ流を
照射する代わりに、蒸気圧の高い金属元素のイオン流を
照射する方法である。
上記方法における蒸気圧の高い金属元素のプラズマ流を
照射する代わりに、蒸気圧の高い金属元素のイオン流を
照射する方法である。
【0009】本発明の第1の化合物薄膜作製装置は、蒸
気圧の高い金属元素を含有する化合物の薄膜を作製する
ために、真空容器中に蒸気圧の高い金属元素を含有する
化合物から蒸気圧の高い金属元素を除いた他の元素から
なる別の化合物をターゲットとして配置し、ターゲット
に対向して配置した基体上に別の化合物を蒸着する蒸着
装置と、蒸気圧の高い金属元素からなる原料を加熱し金
属蒸気とする金属蒸気発生手段と、この金属蒸気にキャ
リアガスを導入し、プラズマ状態にし、蒸気圧の高い金
属元素のプラズマ流を真空容器中の基体上に照射するプ
ラズマ供給手段とを有し、基体上で、蒸気圧の高い金属
元素と、別の化合物との化学反応を起こさせて薄膜を作
製することを特徴とする そして、プラズマ供給手段は、金属蒸気をキャリアガス
と共に導入する放電管と、この放電管に高周波電力を供
給してプラズマ放電させる放電コイルとを有するものが
よく、あるいは金属蒸気をキャリアガスと共に導入する
放電管と、この放電管に高周波電力を供給してプラズマ
放電させる導波管と、放電管に発生したプラズマに磁場
を印加する磁場印加手段とを有するものがよい。
気圧の高い金属元素を含有する化合物の薄膜を作製する
ために、真空容器中に蒸気圧の高い金属元素を含有する
化合物から蒸気圧の高い金属元素を除いた他の元素から
なる別の化合物をターゲットとして配置し、ターゲット
に対向して配置した基体上に別の化合物を蒸着する蒸着
装置と、蒸気圧の高い金属元素からなる原料を加熱し金
属蒸気とする金属蒸気発生手段と、この金属蒸気にキャ
リアガスを導入し、プラズマ状態にし、蒸気圧の高い金
属元素のプラズマ流を真空容器中の基体上に照射するプ
ラズマ供給手段とを有し、基体上で、蒸気圧の高い金属
元素と、別の化合物との化学反応を起こさせて薄膜を作
製することを特徴とする そして、プラズマ供給手段は、金属蒸気をキャリアガス
と共に導入する放電管と、この放電管に高周波電力を供
給してプラズマ放電させる放電コイルとを有するものが
よく、あるいは金属蒸気をキャリアガスと共に導入する
放電管と、この放電管に高周波電力を供給してプラズマ
放電させる導波管と、放電管に発生したプラズマに磁場
を印加する磁場印加手段とを有するものがよい。
【0010】さらに、放電コイルにインピーダンスを整
合させるため、インダクターとコンデンサからなる整合
部を設け、この整合部を介して高周波電源から電力を供
給するのが好ましい。また上記の金属蒸気発生手段とプ
ラズマ供給手段の両手段に代えて、放電管内に加熱機構
を設置し、蒸気圧の高い元素を蒸気の形態で供給する
か、有機錯体や水溶液の状態で供給するか、または反応
性ガスをキャリアガスとして流して蒸気圧の高い元素と
反応させてこれをプラズマ化するように装置を構成して
もよい。反応性ガスとしては、CF4、CCl4、C2H5、H2S、
O2、N2等がある。また、元素によってはAr、Xe、Kr等の
いわゆる希ガスを用いる。
合させるため、インダクターとコンデンサからなる整合
部を設け、この整合部を介して高周波電源から電力を供
給するのが好ましい。また上記の金属蒸気発生手段とプ
ラズマ供給手段の両手段に代えて、放電管内に加熱機構
を設置し、蒸気圧の高い元素を蒸気の形態で供給する
か、有機錯体や水溶液の状態で供給するか、または反応
性ガスをキャリアガスとして流して蒸気圧の高い元素と
反応させてこれをプラズマ化するように装置を構成して
もよい。反応性ガスとしては、CF4、CCl4、C2H5、H2S、
O2、N2等がある。また、元素によってはAr、Xe、Kr等の
いわゆる希ガスを用いる。
【0011】本発明の第2の化合物薄膜作製装置は、蒸
気圧の高い金属元素を含有する化合物の薄膜を作製する
ために、上記第1の化合物薄膜作製装置が有するものと
同じ蒸着装置と、蒸気圧の高い金属元素からなる原料を
加熱し金属蒸気とする金属蒸気発生手段と、この金属蒸
気をイオン化し、加速してイオン流を真空容器中の基体
上に照射するイオン供給手段とを有し、基体上で、蒸気
圧の高い金属元素と、別の化合物との化学反応を起こさ
せて薄膜を作製することを特徴とする。
気圧の高い金属元素を含有する化合物の薄膜を作製する
ために、上記第1の化合物薄膜作製装置が有するものと
同じ蒸着装置と、蒸気圧の高い金属元素からなる原料を
加熱し金属蒸気とする金属蒸気発生手段と、この金属蒸
気をイオン化し、加速してイオン流を真空容器中の基体
上に照射するイオン供給手段とを有し、基体上で、蒸気
圧の高い金属元素と、別の化合物との化学反応を起こさ
せて薄膜を作製することを特徴とする。
【0012】そしてイオン供給手段は、蒸気圧の高い元
素の金属蒸気を導入する放電管と、この放電管に高周波
電力を供給して金属蒸気をプラズマ化させる放電コイル
と、プラズマ化された金属蒸気に正の電圧を印加する加
速電極と負の電圧を印加する減速電極と接地電位に接続
された接地電極の順に配置された3種の電極とを備えた
ものがよく、3種の電極それぞれにはプラズマから引き
出されたイオン流を通過させる少なくとも1つの開口を
設けている。3種の電極の各電極間隔は500μm以下と
し、開口は直径500μm以下がよい。また加速電極に印加
する電圧は5〜500Vがよい。
素の金属蒸気を導入する放電管と、この放電管に高周波
電力を供給して金属蒸気をプラズマ化させる放電コイル
と、プラズマ化された金属蒸気に正の電圧を印加する加
速電極と負の電圧を印加する減速電極と接地電位に接続
された接地電極の順に配置された3種の電極とを備えた
ものがよく、3種の電極それぞれにはプラズマから引き
出されたイオン流を通過させる少なくとも1つの開口を
設けている。3種の電極の各電極間隔は500μm以下と
し、開口は直径500μm以下がよい。また加速電極に印加
する電圧は5〜500Vがよい。
【0013】上記加速電極、減速電極および接地電極の
3種の電極を製作する方法としては、半導体基板、絶縁
体、誘電体または絶縁性高分子化合物からなる2枚の薄
板に、そのうち少なくとも一方は両面に、電極用材料か
らなる薄膜を形成し、薄膜を形成した2枚の薄板を3電極
になるよう張り合わせ、この張り合わせた板の面に光露
光法によって開口のパターンを描き、乾式エッチング法
によって開口を形成する方法がよい。
3種の電極を製作する方法としては、半導体基板、絶縁
体、誘電体または絶縁性高分子化合物からなる2枚の薄
板に、そのうち少なくとも一方は両面に、電極用材料か
らなる薄膜を形成し、薄膜を形成した2枚の薄板を3電極
になるよう張り合わせ、この張り合わせた板の面に光露
光法によって開口のパターンを描き、乾式エッチング法
によって開口を形成する方法がよい。
【0014】本発明の第3の化合物薄膜作製装置は、蒸
気圧の高い金属元素を含有する化合物の薄膜を基体上に
作製するために、真空容器と、この真空容器中に配置さ
れ、蒸気圧の高い金属元素からなる原料をターゲットと
して保持する第1の保持手段と、この第1の保持手段に
並んで配置され、蒸気圧の高い金属元素を含有する化合
物から蒸気圧の高い金属元素を除いた他の元素からなる
別の化合物をターゲットとして保持する第2の保持手段
と、両ターゲットに対向にして基体を保持する第3の保
持手段と、基体を加熱する加熱手段と、真空容器に雰囲
気ガスを導入するガス導入手段と、第1の保持手段およ
び第2の保持手段それぞれと第3の保持手段との間に電圧
を印加する電圧印加手段と、蒸気圧の高い金属元素から
なるターゲットを水の凝固点以下に冷却する冷却手段と
を有し、基体上で、蒸気圧の高い金属元素と、別の化合
物を構成する元素との化学反応を起こさせて薄膜を作製
することを特徴とする。
気圧の高い金属元素を含有する化合物の薄膜を基体上に
作製するために、真空容器と、この真空容器中に配置さ
れ、蒸気圧の高い金属元素からなる原料をターゲットと
して保持する第1の保持手段と、この第1の保持手段に
並んで配置され、蒸気圧の高い金属元素を含有する化合
物から蒸気圧の高い金属元素を除いた他の元素からなる
別の化合物をターゲットとして保持する第2の保持手段
と、両ターゲットに対向にして基体を保持する第3の保
持手段と、基体を加熱する加熱手段と、真空容器に雰囲
気ガスを導入するガス導入手段と、第1の保持手段およ
び第2の保持手段それぞれと第3の保持手段との間に電圧
を印加する電圧印加手段と、蒸気圧の高い金属元素から
なるターゲットを水の凝固点以下に冷却する冷却手段と
を有し、基体上で、蒸気圧の高い金属元素と、別の化合
物を構成する元素との化学反応を起こさせて薄膜を作製
することを特徴とする。
【0015】
【作用】本発明の第1の化合物薄膜作製装置におけるよ
うに蒸気圧の高い金属元素をプラズマ流として、もしく
は本発明の第2の化合物薄膜作製装置におけるようにイ
オン流として供給することは、単位時間当たりに基体上
に到達する原子またはクラスターの数及びエネルギーを
増大させる作用があり、この作用のために実効的に蒸気
圧の高い金属元素の分圧を高められる。したがって、基
体上に蒸気圧の高い金属元素を含まない化合物を基体上
に蒸着すると同時に蒸気圧の高い金属元素をプラズマ流
またはイオン流で供給して化学反応させて作製した薄膜
から、蒸気圧の高い金属元素が蒸発することを防止で
き、蒸気圧の高い金属元素を含有する化合物の薄膜を安
定して作製することができる。
うに蒸気圧の高い金属元素をプラズマ流として、もしく
は本発明の第2の化合物薄膜作製装置におけるようにイ
オン流として供給することは、単位時間当たりに基体上
に到達する原子またはクラスターの数及びエネルギーを
増大させる作用があり、この作用のために実効的に蒸気
圧の高い金属元素の分圧を高められる。したがって、基
体上に蒸気圧の高い金属元素を含まない化合物を基体上
に蒸着すると同時に蒸気圧の高い金属元素をプラズマ流
またはイオン流で供給して化学反応させて作製した薄膜
から、蒸気圧の高い金属元素が蒸発することを防止で
き、蒸気圧の高い金属元素を含有する化合物の薄膜を安
定して作製することができる。
【0016】第1の化合物薄膜作製装置において、放電
管に高周波電力を供給する放電コイルは、放電管中に気
体状あるいは液体状で送り込まれた蒸気圧の高い金属元
素を電離させ、整合部は高周波電力を損失なくプラズマ
に供給するように作用する。
管に高周波電力を供給する放電コイルは、放電管中に気
体状あるいは液体状で送り込まれた蒸気圧の高い金属元
素を電離させ、整合部は高周波電力を損失なくプラズマ
に供給するように作用する。
【0017】また、プラズマに磁場を印加する磁場印加
手段は、プラズマ中に電子サイクロトロン共鳴(いわゆ
るECR)状態をもたらし、これによりイオンの活性度を
高めることができる。
手段は、プラズマ中に電子サイクロトロン共鳴(いわゆ
るECR)状態をもたらし、これによりイオンの活性度を
高めることができる。
【0018】また、導波管を通じて供給するマイクロ波
動力の周波数として2.45 GHzを用いるのが一般的である
が、この装置においてはこれ以外の周波数を用いてプラ
ズマ励起種の生成割合を変えることも可能である。
動力の周波数として2.45 GHzを用いるのが一般的である
が、この装置においてはこれ以外の周波数を用いてプラ
ズマ励起種の生成割合を変えることも可能である。
【0019】第2の化合物薄膜作製装置において、プラ
ズマに正の電圧を印加する加速電極は正に帯電している
イオンを電界によって加速させ、一方、減速電極及び接
地電極はイオン流が拡散せず収束して基体上に照射され
るように作用する。そして加速電圧を5〜500 ボルトと
することにより、生成中の化合物薄膜の損傷を防ぐこと
ができ、良好な結晶性の化合物薄膜が得られる。
ズマに正の電圧を印加する加速電極は正に帯電している
イオンを電界によって加速させ、一方、減速電極及び接
地電極はイオン流が拡散せず収束して基体上に照射され
るように作用する。そして加速電圧を5〜500 ボルトと
することにより、生成中の化合物薄膜の損傷を防ぐこと
ができ、良好な結晶性の化合物薄膜が得られる。
【0020】また、加速電極、減速電極および接地電極
の3枚の電極間の距離を500 マイクロメートル以下に
し、開口部径を500 マイクロメートル以下にすること
は、低いエネルギーのイオン流を引き出すことを可能と
する。
の3枚の電極間の距離を500 マイクロメートル以下に
し、開口部径を500 マイクロメートル以下にすること
は、低いエネルギーのイオン流を引き出すことを可能と
する。
【0021】また、半導体、絶縁体、絶縁性高分子化合
物等からなる薄版の両面もしくは片面に金属膜を蒸着法
によって形成し、このあとに光露光法とエッチング法に
よって開口部を形成することは、微細な寸法の加工精度
を高め、従来の機械的な方法によっては作製不可能であ
った微細な寸法の電極を作製できる。
物等からなる薄版の両面もしくは片面に金属膜を蒸着法
によって形成し、このあとに光露光法とエッチング法に
よって開口部を形成することは、微細な寸法の加工精度
を高め、従来の機械的な方法によっては作製不可能であ
った微細な寸法の電極を作製できる。
【0022】第3の化合物薄膜作製装置において、蒸気
圧の高い元素を水の凝固点以下に冷却し、これに気体プ
ラズマもしくは気体イオンを衝突させることにより、蒸
気圧の高い元素は原子もしくはクラスター状態で基板上
に供給され、基体上に同時に生成される高い蒸気圧の元
素を含まない化合物と反応して、同じ圧力下であっても
安定に膜作製ができるようなる。また、室温では液体で
ある元素であってもスパッタリングできるように作用す
る。
圧の高い元素を水の凝固点以下に冷却し、これに気体プ
ラズマもしくは気体イオンを衝突させることにより、蒸
気圧の高い元素は原子もしくはクラスター状態で基板上
に供給され、基体上に同時に生成される高い蒸気圧の元
素を含まない化合物と反応して、同じ圧力下であっても
安定に膜作製ができるようなる。また、室温では液体で
ある元素であってもスパッタリングできるように作用す
る。
【0023】上記本発明による各装置によって、従来作
製が困難であった化合物薄膜を品質よく作製することが
でき、超伝導素子、化合物半導体素子の作製を可能とな
らしめ、また高い臨界電流密度と良好な磁場中特性を有
する超伝導薄膜を製作することができる。
製が困難であった化合物薄膜を品質よく作製することが
でき、超伝導素子、化合物半導体素子の作製を可能とな
らしめ、また高い臨界電流密度と良好な磁場中特性を有
する超伝導薄膜を製作することができる。
【0024】
【実施例】本発明を以下の実施例によって説明する。 (実施例1)図1は、本発明による第1実施例の化合物薄
膜作製装置の概略図で、高い蒸気圧をもつ金属元素のプ
ラズマ流れを生成するプラズマ源1を有する装置であ
る。この装置は、プラズマ源1により金属元素の蒸気を
プラズマ流として照射しながら薄膜を形成することを特
徴としている。
膜作製装置の概略図で、高い蒸気圧をもつ金属元素のプ
ラズマ流れを生成するプラズマ源1を有する装置であ
る。この装置は、プラズマ源1により金属元素の蒸気を
プラズマ流として照射しながら薄膜を形成することを特
徴としている。
【0025】この実施例の化合物薄膜作製装置は、蒸気
圧の高い金属元素を含有する化合物からその蒸気圧の高
い元素を除いた他の元素からなる他の化合物を蒸着する
スパッタリング装置と、蒸気圧の高い金属元素を供給す
るプラズマ供給装置とを組み合わせたものである。スパ
ッタリング装置は、真空排気部11を備えた真空容器3
と、真空容器3内で基体5を支持する支持台4と、基体5に
対向して配置されたターゲット7とから構成され、そし
て支持台4は基体5を加熱する機構と回転する機構を有し
てる。一方、プラズマ供給装置は、高い蒸気圧の金属元
素を加熱し蒸発させる金属蒸気発生部8と、金属蒸気発
生部8から金属蒸気を導入しプラズマ化させ、金属蒸気
のプラズマを真空容器3内の基体5に照射するプラズマ供
給手段としてのプラズマ源1とから構成されている。な
お、プラズマ源1内に高い蒸気圧の金属元素を供給し、
その加熱手段を設けることにより、プラズマ源1と金属
蒸気発生部8を一つに構成することも可能である。
圧の高い金属元素を含有する化合物からその蒸気圧の高
い元素を除いた他の元素からなる他の化合物を蒸着する
スパッタリング装置と、蒸気圧の高い金属元素を供給す
るプラズマ供給装置とを組み合わせたものである。スパ
ッタリング装置は、真空排気部11を備えた真空容器3
と、真空容器3内で基体5を支持する支持台4と、基体5に
対向して配置されたターゲット7とから構成され、そし
て支持台4は基体5を加熱する機構と回転する機構を有し
てる。一方、プラズマ供給装置は、高い蒸気圧の金属元
素を加熱し蒸発させる金属蒸気発生部8と、金属蒸気発
生部8から金属蒸気を導入しプラズマ化させ、金属蒸気
のプラズマを真空容器3内の基体5に照射するプラズマ供
給手段としてのプラズマ源1とから構成されている。な
お、プラズマ源1内に高い蒸気圧の金属元素を供給し、
その加熱手段を設けることにより、プラズマ源1と金属
蒸気発生部8を一つに構成することも可能である。
【0026】以下に、この化合物薄膜作製装置を用い
て、蒸気圧の高い金属元素Hgを含む化合物であるHg Ba2
Ca2Cu3O4超伝導薄膜を作製する場合について説明する。
この超伝導膜は、現在発見されている超伝導体のうちで
最も高い臨界温度を示すものであるが、構成元素として
蒸気圧の高い水銀Hgを含有するため、通常の方法である
反応性蒸着法またスパッタリング法では薄膜を作製でき
なかった。本装置はこれを可能とならしめるもので、蒸
気発生部8に水銀または酸化水銀を供給し、これを加熱
して水銀蒸気を得る。水銀蒸気は、プラズマ源1に供給
され、ここで高周波電源10から整合部9を介して供給さ
れる高周波電力によるアーク放電により、プラズマ状態
となる。プラズマ源1からはプラズマ流が、支持部4上に
保持された基体5に対して照射される。
て、蒸気圧の高い金属元素Hgを含む化合物であるHg Ba2
Ca2Cu3O4超伝導薄膜を作製する場合について説明する。
この超伝導膜は、現在発見されている超伝導体のうちで
最も高い臨界温度を示すものであるが、構成元素として
蒸気圧の高い水銀Hgを含有するため、通常の方法である
反応性蒸着法またスパッタリング法では薄膜を作製でき
なかった。本装置はこれを可能とならしめるもので、蒸
気発生部8に水銀または酸化水銀を供給し、これを加熱
して水銀蒸気を得る。水銀蒸気は、プラズマ源1に供給
され、ここで高周波電源10から整合部9を介して供給さ
れる高周波電力によるアーク放電により、プラズマ状態
となる。プラズマ源1からはプラズマ流が、支持部4上に
保持された基体5に対して照射される。
【0027】本実施例では、基体5には酸化マグネシウ
ムの単結晶を用いた。真空容器3は、まず真空排気部11
によって10 ~8Torr台にまで排気される。そして基板支
持部4の加熱機構により基体5を570℃まで加熱した後、
酸素10%を混合したアルゴンガスを2×10 ~3Torr導入
し、蒸気圧の高い金属元素を含まない化合物であるBaCa
CuO3焼結体ターゲット7をアルゴンプラズマ6でスパッタ
リングした。これと同時にプラズマ源1から水銀プラズ
マ流を照射しながら基体5上に膜を作製した。かくして
基板5上で、ターゲット7から供給されるHgを含まない成
分と、プラズマ源1から供給されるHgが化学反応してHg
Ba2Ca2Cu3O4超伝導薄膜が生成される。
ムの単結晶を用いた。真空容器3は、まず真空排気部11
によって10 ~8Torr台にまで排気される。そして基板支
持部4の加熱機構により基体5を570℃まで加熱した後、
酸素10%を混合したアルゴンガスを2×10 ~3Torr導入
し、蒸気圧の高い金属元素を含まない化合物であるBaCa
CuO3焼結体ターゲット7をアルゴンプラズマ6でスパッタ
リングした。これと同時にプラズマ源1から水銀プラズ
マ流を照射しながら基体5上に膜を作製した。かくして
基板5上で、ターゲット7から供給されるHgを含まない成
分と、プラズマ源1から供給されるHgが化学反応してHg
Ba2Ca2Cu3O4超伝導薄膜が生成される。
【0028】図2は図1に示す装置に用いたプラズマ源1
の詳細な構造を示す。プラズマ源1は石英ガラスからな
る放電管12を有し、その周囲には高周波電力を供給する
放電コイル14と、磁場を印加する磁場印加コイル15とが
設置されている。なお、高周波電力は放電管12に設けら
れた導波管13を通じて供給することもできる。金属蒸気
発生部8から供給された水銀蒸気は放電コイル14により
供給される高周波電力によりプラズマ化される。プラズ
マに電子サイクロトロン共鳴(ECR)を起こさせるには、
磁場印加コイル15を用いて磁場を印加する。代わりに永
久磁石を用いることもできる。ECR状態のプラズマを作
ると、活性種をより多くできるため本装置の効果をより
高めることができる。
の詳細な構造を示す。プラズマ源1は石英ガラスからな
る放電管12を有し、その周囲には高周波電力を供給する
放電コイル14と、磁場を印加する磁場印加コイル15とが
設置されている。なお、高周波電力は放電管12に設けら
れた導波管13を通じて供給することもできる。金属蒸気
発生部8から供給された水銀蒸気は放電コイル14により
供給される高周波電力によりプラズマ化される。プラズ
マに電子サイクロトロン共鳴(ECR)を起こさせるには、
磁場印加コイル15を用いて磁場を印加する。代わりに永
久磁石を用いることもできる。ECR状態のプラズマを作
ると、活性種をより多くできるため本装置の効果をより
高めることができる。
【0029】(実施例2)この実施例の化合物薄膜作製
装置は、図3に示すように、高い蒸気圧をもつ元素のイ
オン流を照射するイオン源を有する装置である。この装
置は、イオン源2により金属元素の蒸気をイオン流とし
て照射しながら薄膜を形成することを特徴としている。
装置は、図3に示すように、高い蒸気圧をもつ元素のイ
オン流を照射するイオン源を有する装置である。この装
置は、イオン源2により金属元素の蒸気をイオン流とし
て照射しながら薄膜を形成することを特徴としている。
【0030】この実施例の化合物薄膜作製装置は、スパ
ッタリング装置とイオン供給装置とを組み合わせたもの
である。スパッタリング装置は実施例1と構成が同じで
あるので説明を省略する。イオン供給装置は、高い蒸気
圧の金属元素を加熱し蒸発させる金属蒸気発生部8と、
金属蒸気発生部8から金属蒸気を導入しプラズマ化さ
せ、金属蒸気のイオンを加速して真空容器3内の基体5に
照射するイオン供給手段としてのイオン源2とから構成
されている。これは実施例1のプラズマ源1の代わりにイ
オン源2を用いたもので、それらに構成上に相違がある
ものの、この装置により化合物薄膜を作製する要領は基
本的に実施例1と同様である。
ッタリング装置とイオン供給装置とを組み合わせたもの
である。スパッタリング装置は実施例1と構成が同じで
あるので説明を省略する。イオン供給装置は、高い蒸気
圧の金属元素を加熱し蒸発させる金属蒸気発生部8と、
金属蒸気発生部8から金属蒸気を導入しプラズマ化さ
せ、金属蒸気のイオンを加速して真空容器3内の基体5に
照射するイオン供給手段としてのイオン源2とから構成
されている。これは実施例1のプラズマ源1の代わりにイ
オン源2を用いたもので、それらに構成上に相違がある
ものの、この装置により化合物薄膜を作製する要領は基
本的に実施例1と同様である。
【0031】図4はイオン源2に用いたイオン引出用電極
の断面図を示す。本実施例では、Si基板19にMo薄膜を形
成し、これらをそれぞれ加速電極18、減速電極17、接地
電極16とした。イオン源2でアーク放電により発生した
水銀プラズマは、これら電極によって作られる電界によ
り加速され、イオン流として開口部20を通って基体5に
照射される。ここでは電極間の絶縁を保つためにSi基板
を用いたが、例えばSrTiO3やジルコン酸チタン酸鉛(PZ
T)のような誘電率の高い物質の薄板を用いれば電極間隔
をより小さくすることができ、低い加速電圧でも大きな
イオン電流を得ることができる。
の断面図を示す。本実施例では、Si基板19にMo薄膜を形
成し、これらをそれぞれ加速電極18、減速電極17、接地
電極16とした。イオン源2でアーク放電により発生した
水銀プラズマは、これら電極によって作られる電界によ
り加速され、イオン流として開口部20を通って基体5に
照射される。ここでは電極間の絶縁を保つためにSi基板
を用いたが、例えばSrTiO3やジルコン酸チタン酸鉛(PZ
T)のような誘電率の高い物質の薄板を用いれば電極間隔
をより小さくすることができ、低い加速電圧でも大きな
イオン電流を得ることができる。
【0032】図5は、図4に示すイオン源電極を作製する
工程を示す。最初にSi基板の両面にMo膜を形成したもの
を張り合わせる。ついで、ポジレジスト21を塗布して、
開口部20のパターンを焼き付ける。これを現像して、レ
ジストパターンを形成した後、エッチングにより開口を
形成する。
工程を示す。最初にSi基板の両面にMo膜を形成したもの
を張り合わせる。ついで、ポジレジスト21を塗布して、
開口部20のパターンを焼き付ける。これを現像して、レ
ジストパターンを形成した後、エッチングにより開口を
形成する。
【0033】図6は実施例1に示した装置を用いて作製し
たHg Ba2Ca2Cu3O4超伝導薄膜の超伝導特性をに示す図で
ある。抵抗の温度依存性を測定したところ、145 Kで抵
抗が消失し超伝導状態に転移した。77 Kにおいて磁場中
で、この膜の臨界電流密度を測定した結果を図7に示
す。10 Tの磁場中においても106 A/cm2近い電流密度が
得られ、本発明により、良質な超伝導膜が作製できるこ
とが分かった。なお、実施例2の装置により作製したHg
Ba2Ca2Cu3O4も上記同様の超伝導特性を示すことがわか
った。
たHg Ba2Ca2Cu3O4超伝導薄膜の超伝導特性をに示す図で
ある。抵抗の温度依存性を測定したところ、145 Kで抵
抗が消失し超伝導状態に転移した。77 Kにおいて磁場中
で、この膜の臨界電流密度を測定した結果を図7に示
す。10 Tの磁場中においても106 A/cm2近い電流密度が
得られ、本発明により、良質な超伝導膜が作製できるこ
とが分かった。なお、実施例2の装置により作製したHg
Ba2Ca2Cu3O4も上記同様の超伝導特性を示すことがわか
った。
【0034】本発明は、蒸気圧の高い元素たとえばTl、
Te、Sb、Pb、Bi、In、Cd等を含有する化合物薄膜の作製
に有効である。
Te、Sb、Pb、Bi、In、Cd等を含有する化合物薄膜の作製
に有効である。
【0035】(実施例3)図8は本発明のまた別の実施例の
化合物薄膜作製装置の概略構成を示す図である。この化
合物薄膜作製装置は、実施例1のプラズマ源や実施例2の
イオン源2のごときHgの照射機構をもたず、蒸気圧の高
い元素(Hg)からなるターゲットとその他の元素からな
るターゲットとの2つターゲット26,27を有する高周波ス
パッタリング装置である。本実施例では、ターゲット26
として銅の皿状容器に入れた水銀を用い、ターゲット27
としてはBaCaCuO3焼結体を用いている。BaCaCuO3焼結体
のターゲット27は水によって冷却する一方、Hgターゲッ
ト26は液体窒素で冷却している。これにより、水銀を含
む化合物薄膜をスパッタリング法により作製することが
可能となる。
化合物薄膜作製装置の概略構成を示す図である。この化
合物薄膜作製装置は、実施例1のプラズマ源や実施例2の
イオン源2のごときHgの照射機構をもたず、蒸気圧の高
い元素(Hg)からなるターゲットとその他の元素からな
るターゲットとの2つターゲット26,27を有する高周波ス
パッタリング装置である。本実施例では、ターゲット26
として銅の皿状容器に入れた水銀を用い、ターゲット27
としてはBaCaCuO3焼結体を用いている。BaCaCuO3焼結体
のターゲット27は水によって冷却する一方、Hgターゲッ
ト26は液体窒素で冷却している。これにより、水銀を含
む化合物薄膜をスパッタリング法により作製することが
可能となる。
【0036】この装置を用いてHg Ba2Ca2Cu3O4超伝導薄
膜を作製した。基体23は加熱ヒーター22によって600℃
に保持され、アルゴンと酸素の混合プラズマ25によって
スパッタリングして薄膜を形成した。膜の組成は、基体
23とターゲット26、27それぞれとの間に設けたシャッタ
ー24,24の開閉時間によって制御した。本実施例によ
り、実施例1とほぼ同等の膜が作製できた。
膜を作製した。基体23は加熱ヒーター22によって600℃
に保持され、アルゴンと酸素の混合プラズマ25によって
スパッタリングして薄膜を形成した。膜の組成は、基体
23とターゲット26、27それぞれとの間に設けたシャッタ
ー24,24の開閉時間によって制御した。本実施例によ
り、実施例1とほぼ同等の膜が作製できた。
【0037】なお、本発明によれば、蒸気圧が高い元素
なるHgを含む超伝導薄膜として上記のHg Ba2Ca2Cu3O4の
他にHg (Ba1-xSrx)2Ca1Cu2O4,Hg (Ba1-xSrx)2Ca2Cu3O4
(0≦x≦1)の組成の薄膜を作製できることは勿論であ
る。
なるHgを含む超伝導薄膜として上記のHg Ba2Ca2Cu3O4の
他にHg (Ba1-xSrx)2Ca1Cu2O4,Hg (Ba1-xSrx)2Ca2Cu3O4
(0≦x≦1)の組成の薄膜を作製できることは勿論であ
る。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、蒸気圧が高い元素を含
有する化合物薄膜を作製するに際して、蒸気圧の高い金
属元素を含有する化合物を構成する元素のうち蒸気圧の
高い金属元素を除いた他の元素からなる別の化合物を基
体上に蒸着させると同時に、蒸気圧の高い金属元素を実
効的な分圧を高めて基体上に供給して薄膜を作製するの
で、基体上に形成された化合物薄膜から蒸気圧の高い元
素が再蒸発することを防ぐことができ、蒸気圧が高い元
素を含有する化合物薄膜を良好に作製できるという効果
がある。従って、本発明によれば良好な磁場中特性を持
つ超伝導膜を熱処理なしに得ることができる。
有する化合物薄膜を作製するに際して、蒸気圧の高い金
属元素を含有する化合物を構成する元素のうち蒸気圧の
高い金属元素を除いた他の元素からなる別の化合物を基
体上に蒸着させると同時に、蒸気圧の高い金属元素を実
効的な分圧を高めて基体上に供給して薄膜を作製するの
で、基体上に形成された化合物薄膜から蒸気圧の高い元
素が再蒸発することを防ぐことができ、蒸気圧が高い元
素を含有する化合物薄膜を良好に作製できるという効果
がある。従って、本発明によれば良好な磁場中特性を持
つ超伝導膜を熱処理なしに得ることができる。
【図1】本発明による、プラズマ源を有する化合物薄膜
作製装置の概略構成図である。
作製装置の概略構成図である。
【図2】図1に示す装置のプラズマ源の詳細な構造を示
す図である。
す図である。
【図3】本発明による、イオン源を有する化合物薄膜作
製装置の概略構成図である。
製装置の概略構成図である。
【図4】図3に示す装置のイオン源においてイオン流を
形成する電極の概略図である。
形成する電極の概略図である。
【図5】イオン流を形成する電極の製造方法を説明する
図である。
図である。
【図6】本発明の装置により作製した超伝導膜の抵抗−
温度特性を示す図である。
温度特性を示す図である。
【図7】本発明の装置により作製した超伝導膜の、磁場
中の臨界電流密度を示す図である。
中の臨界電流密度を示す図である。
【図8】本発明による、スパッタリング法を用いた化合
物薄膜作製装置の概略構成図である。
物薄膜作製装置の概略構成図である。
1 プラズマ源 2 イオン源 3 真空容器 4 支持部 5 基体 6 プラズマ 7 ターゲット 8 金属蒸気発生部 9 整合部 10 高周波電源 11 真空排気部 12 放電管 13 導波管 14 放電コイル 15 磁場印加コイル 16 接地電極 17 減速電極 18 加速電極 19 Si基板 20 開口部 21 レジスト 22 加熱ヒーター 23 基体 24 シャッター 25 混合プラズマ 26,27 ターゲット
Claims (12)
- 【請求項1】 蒸気圧の高い金属元素を含有する化合物
の薄膜を基体上に作製する化合物薄膜作製方法におい
て、蒸気圧の高い金属元素を含有する化合物を構成する
元素のうち蒸気圧の高い金属元素を除いた他の元素から
なる別の化合物を基体上に蒸着させると同時に、蒸気圧
の高い金属元素のプラズマ流を基体上に照射し、蒸気圧
の高い金属元素と別の化合物との化学反応を起こさせて
薄膜を作製することを特徴とする化合物薄膜作製方法。 - 【請求項2】 蒸気圧の高い金属元素を含有する化合物
の薄膜を基体上に作製する化合物薄膜作製方法におい
て、蒸気圧の高い金属元素を含有する化合物を構成する
元素のうち蒸気圧の高い金属元素を除いた他の元素から
なる別の化合物を基体上に蒸着させると同時に、蒸気圧
の高い金属元素のイオン流を基体上に照射し、蒸気圧の
高い金属元素と別の化合物との化学反応を起こさせて薄
膜を作製することを特徴とする化合物薄膜作製方法。 - 【請求項3】 蒸気圧の高い金属元素を含有する化合物
の薄膜を作製する化合物薄膜作製装置であって、真空容
器中に蒸気圧の高い金属元素を含有する化合物から蒸気
圧の高い金属元素を除いた他の元素からなる別の化合物
をターゲットとして配置し、ターゲットに対向して配置
した基体上に別の化合物を蒸着する蒸着装置と、蒸気圧
の高い金属元素からなる原料を加熱し金属蒸気とする金
属蒸気発生手段と、この金属蒸気にキャリアガスを導入
し、プラズマ状態にし、蒸気圧の高い金属元素のプラズ
マ流を真空容器中の基体上に照射するプラズマ供給手段
とを有し、基体上で、蒸気圧の高い金属元素と、別の化
合物との化学反応を起こさせて薄膜を作製することを特
徴とする化合物薄膜作製装置。 - 【請求項4】 前記プラズマ供給手段は、金属蒸気をキ
ャリアガスと共に導入する放電管と、この放電管に高周
波電力を供給してプラズマ放電させる放電コイルと、こ
の放電コイルにインピーダンスを整合させる整合手段を
介して電力を供給する高周波電源とを有することを特徴
とする請求項3記載の化合物薄膜作製装置。 - 【請求項5】 前記プラズマ供給手段は、金属蒸気をキ
ャリアガスと共に導入する放電管と、この放電管にマイ
クロ波電力を供給してプラズマ放電させる導波管と、放
電管に発生したプラズマに磁場を印加する磁場印加手段
とを有することを特徴とする請求項3記載の化合物薄膜
作製装置。 - 【請求項6】 蒸気圧の高い金属元素を含有する化合物
の薄膜を作製する化合物薄膜作製装置であって、真空容
器中に蒸気圧の高い金属元素を含有する化合物から蒸気
圧の高い金属元素を除いた他の元素からなる別の化合物
をターゲットとして配置し、ターゲットに対向して配置
した基体上に別の化合物を蒸着する蒸着装置と、蒸気圧
の高い金属元素からなる原料を加熱し金属蒸気とする金
属蒸気発生手段と、この金属蒸気をイオン化し、加速し
てイオン流を真空容器中の基体上に照射するイオン供給
手段とを有し、基体上で、蒸気圧の高い金属元素と、別
の化合物との化学反応を起こさせて薄膜を作製すること
を特徴とする化合物薄膜作製装置。 - 【請求項7】 前記イオン供給手段は、蒸気圧の高い元
素の金属蒸気を導入する放電管と、この放電管に高周波
電力を供給して金属蒸気をプラズマ化させる放電コイル
と、このプラズマ化された金属蒸気に正の電圧を印加す
る加速電極と負の電圧を印加する減速電極と接地電位に
接続された接地電極の順に配置された3種の電極とを有
し、3種の電極それぞれにはプラズマから引き出された
イオン流を通過させる少なくとも1つの開口を設けてい
ることを特徴とする請求項6記載の化合物薄膜作製装
置。 - 【請求項8】 前記3種の電極それぞれの電極間隔は5
00μm以下とし、前記開口は直径500μm以下であ
ることを特徴とする請求項7記載の化合物薄膜作製装
置。 - 【請求項9】 前記加速電極に印加する電圧は5ないし
500Vであることを特徴とする請求項7または8に記
載の化合物薄膜作製装置。 - 【請求項10】 請求項8記載の3種の電極の製作方法
であって、半導体基板、絶縁体、誘電体または絶縁性高
分子化合物からなる2枚の薄板に、そのうち少なくとも
一方は両面に、電極用材料からなる薄膜を形成し、薄膜
を形成した2枚の薄板を張り合わせ、この張り合わせた
板の面に光露光法によって前記開口のパターンを描き、
乾式エッチング法によって開口を形成することを特徴と
する電極製作方法。 - 【請求項11】 蒸気圧の高い金属元素を含有する化合
物の薄膜を基体上に作製する化合物薄膜作製装置であっ
て、真空容器と、この真空容器中に配置され、蒸気圧の
高い金属元素からなる原料をターゲットとして保持する
第1の保持手段と、この第1の保持手段に並んで配置さ
れ、蒸気圧の高い金属元素を含有する化合物から蒸気圧
の高い金属元素を除いた他の元素からなる別の化合物を
ターゲットとして保持する第2の保持手段と、両ターゲ
ットに対向にして基体を保持する第3の保持手段と、基
体を加熱する加熱手段と、真空容器に雰囲気ガスを導入
するガス導入手段と、第1の保持手段および第2の保持
手段それぞれと第3の保持手段との間に電圧を印加する
電圧印加手段と、蒸気圧の高い金属元素からなるターゲ
ットを水の凝固点以下に冷却する冷却手段とを有し、基
体上で、蒸気圧の高い金属元素と、別の化合物を構成す
る元素との化学反応を起こさせて薄膜を作製することを
特徴とする化合物薄膜作製装置。 - 【請求項12】 請求項1または2に記載の化合物薄膜
作製方法によって作製されたことを特徴とする化合物薄
膜。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3571094A JPH07243035A (ja) | 1994-03-07 | 1994-03-07 | 化合物薄膜作製方法および装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3571094A JPH07243035A (ja) | 1994-03-07 | 1994-03-07 | 化合物薄膜作製方法および装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07243035A true JPH07243035A (ja) | 1995-09-19 |
Family
ID=12449424
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3571094A Pending JPH07243035A (ja) | 1994-03-07 | 1994-03-07 | 化合物薄膜作製方法および装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07243035A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE102017211841A1 (de) | 2016-07-27 | 2018-02-01 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Hochfrequenzwellen-erzeugungsstruktur |
-
1994
- 1994-03-07 JP JP3571094A patent/JPH07243035A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE102017211841A1 (de) | 2016-07-27 | 2018-02-01 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Hochfrequenzwellen-erzeugungsstruktur |
US9957610B2 (en) | 2016-07-27 | 2018-05-01 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | High-frequency wave supplying structure |
DE102017211841B4 (de) | 2016-07-27 | 2023-01-05 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Hochfrequenzwellen-erzeugungsstruktur |
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