JPH0724059A - 血液バツグ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 全血を遠心分離した後、低密度成分と高密
度成分とに分離するときに専用分離装置や目視による注
意深い分離操作を必要としない血液バツグ。 【構成】 全血が採取され、その全血が遠心分離で上
下に分離された血液成分を収納する親バツグ１におい
て、上層用流出口４は親バツグ１内部の上部で開口する
チユーブ６であって、該チユーブ６の内径は低密度成分
が高密度成分の流出時間より早くなるような大きさであ
り、かつ、その内径は１．０〜３．０ｍｍであって、上
記上層用流出口の開口部に、破断することにより連通す
る閉止具７及び血漿と細胞成分に分離するフイルターと
を有する血液バツグ。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、血液を各成分ごとに分
離するために用いられる血液バツグセツトに関する。

【０００２】

【従来の技術】全血に含まれる多様な血液成分を取り出
して、製剤化する際には、血液バツグセツトが使用され
る。

【０００３】親バツグに採取された全血は、通常、遠心
分離操作により、低密度成分を上層に高密度成分を下層
に分離する。その際、白血球を多分に含有するバフイー
コートと称する中間層もできる。それらを各成分ごとに
取り出す血液バツグセツトの一例としては、米国特許明
細書第５，１０２，４０７号に示すものがある。

【０００４】このものでは、上層の低密度の血液成分を
取り出すために、親バツグ内部の上端で開口する流出口
があり、下層の高密度の血液成分を取り出すために、同
親バツグ内部にチユーブ状で挿入され且つその下端で開
口する流出口が備えられている。その結果バフイーコー
トは親バツグに残されることになる。

【０００５】上記血液バツグセツトは、親バツグ内部の
上部と下部にある血液成分を２個の子バツグに各々同時
に移送できるので、省力化及び作業時間の短縮の点で非
常に有利である。

【０００６】上記の方法であると、全血を親バツグ内に
採取したとき、下層の高密度の血液成分を取り出すため
の下端で開口するチユーブ内にも全血が侵入し、それが
遠心分離されれば、それから発生したバフイーコートが
そのチユーブ内で存在したままとなる。

【０００７】その結果、下層の高密度の血液成分を取り
出しても白血球が混入するという問題があった。

【０００８】また、上記方法とは逆に、下層の高密度の
血液成分を取り出すために、親バツグ内部の下端で開口
する流出口があり、上層の低密度の血液成分を取り出す
ために、同親バツグ内部にチユーブ状で挿入され且つそ
の上端で開口する流出口が備えられ、バフイーコートを
親バツグに残す方法も考えられる。

【０００９】この場合でも上層の低密度の血液成分を取
り出した際、それに白血球が混入するという問題があっ
た。

【００１０】そこで、全血が採取され、その全血が遠心
分離で上下に分離された血液成分を収納する親バツグで
あって、親バツグの下部に下層の高密度成分を取り出す
下層用流出口と上層の低密度成分を取り出す上層用流出
口を有し、下層用流出口は親バツグ内部の底部で開口
し、上層用流出口は親バツグ内部の上部で開口し、上層
用流出口の該開口部に折ることにより連通する閉止具を
有することを特徴とする血液バツグを要旨とする発明が
なされた。

【００１１】

【発明が解決しようとする課題】しかし上記の発明にお
いては、白血球の混入しない低密度成分と高密度成分に
分離するためには専用の分離装置を使用するか、血液バ
ツグを圧搾することで目視により低密度成分と高密度成
分に注意深く分離操作しなければならない問題点があっ
た。

【００１２】

【課題を解決するための手段】本発明は、全血が採取さ
れ、その全血が遠心分離で上下層に分離された血液成分
を収納する親バツグにおいて、上層用流出口は親バツグ
内部の上部で開口するチユーブであって、該チユーブの
内径は低密度成分が高密度成分の流出時間より早くなる
ような大きさであり、かつ、その内径は１．０〜３．０
ｍｍであって、上記上層用流出口の開口部に、破断する
ことにより連通する閉止具及び血漿と細胞成分に分離す
るフイルターとを有することを特徴とする血液バツグを
要旨とする。

【００１３】本発明において血漿と細胞成分に分離する
フイルターは、素材として現在血漿分離膜として使用さ
れているセルロース・トリ・アセテート（ＣＴＡ）、セ
ルロース・アセテート（ＣＡ）、ポリエチレン（Ｐ
Ｅ）、ポリビニルアルコール（ＰＶＡ）、ポリプロピレ
ン（ＰＰ）、ポリカーボネート（ＰＣ）等があり、形態
としては中空糸、平膜等がありこれらを用い、取付け位
置は血液が採取されたときには血液に触れることなく閉
止具を破ることで初めて血液と接するようにする。

【００１４】本発明において親バツグは、ポリ塩化ビニ
ル等の熱可塑性合成樹脂製の２枚のシートから構成され
て、これらシートの周囲が熱融着か高周波溶接によって
接着されている。

【００１５】本発明において全血とは血液成分の分離操
作を受ける前の人体から採取された血液である。

【００１６】本体内部の上層には血漿が、中間部にはバ
フイーコートが、下層には赤血球を主とした成分が、そ
れぞれ分離形成されるためには、本発明における親バツ
グを子バツグとともに遠心分離装置内に入れて４４００
×ｇ、６分程度の条件で遠心分離する。

【００１７】本発明において破断することにより連通す
る閉止具とは特公昭６３−２６２５号公報に示されいる
ような、いわゆる折れ棒のことである。但し、連通手段
は折ることに限定する必要はない。

【００１８】本発明の親バツグ内には、ＣＰＤ液、ＡＣ
Ｄ−Ａ液等の血液の保存液が封入されていることがあ
る。

【００１９】

【作用】本発明は上記のような構成でフイルターを上層
用流出導管内に設けてあるので、低密度成分が高密度成
分より早く流出し低密度成分が子バツグに移動したのち
バフイーコート層が上層用流出導管内に入り込むが流出
することができず、またその間に高密度成分は下層用流
出口から流出される。これにより白血球を含まない低密
度成分と高密度成分に分離することができる。

【００２０】本発明は親バツグ底部から親バツグ内に延
びたチユーブの上層流出口に開口できる閉止具が存在す
るので、全血を親バツグに採取した場合、親バツグ本体
だけに全血が包含され、流出口から延びたチユーブに全
血が入らない。

【００２１】本発明は親バツグ底部から延びた上層用流
出口の開口部に折れ棒が存在するので、全血を親バツグ
に採取した場合、親バツグ本体だけに全血が包含され、
上層用流出口のチユーブに全血が入らない。

【００２２】そのため、親バツグ内部の全血を密度の差
によって、血漿の上層・バフイーコート・赤血球を含有
する下層がそれぞれ遠心分離し、各血液製剤を得たと
き、純度のよいものとなる。

【００２３】親バツグ内の分離された上下の層を親バツ
グから各々の子バツグへほぼ同時に排出できるのも、本
発明の特徴である。

【００２４】

【発明の効果】本発明によれば、上述のような構成にな
っているので、低密度成分と高密度成分とに分離すると
きに専用分離装置や目視による注意深い分離操作を必要
としない効果を奏する。

【００２５】また、バフイーコートが混入していない、
品質の優れた血液製剤を得るために好適で、省力化及び
作業時間の短縮の点で非常に有利な血液バツグを得るこ
とができる。

【００２６】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づき説明
する。図１は血液バツグセツトの一部である本発明の実
施例を示す。

【００２７】親バツグ１は全血が採取されるもので、本
体２により主構成され、この本体２は、熱可塑性の合成
樹脂製の２枚のシートから構成されて、これらシートの
周囲が熱融着で接着されている。親バツグ１の寸法は例
えば巾１５ｃｍ・高さ２０ｃｍである。

【００２８】本体２の上端部には、採血チユーブが連な
る注入口３と、低密度の血液成分からなる上層を取り出
す流出口４が備えられ、本体２の底部には、高密度の血
液成分からなる下層を取り出す流出口５が備えられてい
る。

【００２９】上層用流出口４・下層用流出口５は、例え
ば、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂製の軟質チユーブによ
り構成されており、本体２の２枚のシートを接着する際
に、両シート間に挟み込まれて固定される。

【００３０】上層用流出口４・下層用流出口５は、本体
２の下方に突出すると共に、上層用流出口４のの開口部
には折ることにより連通することのできる、俗に折れ棒
という閉止具７が備えられている。閉止具７の円筒状の
部分にはフイルター（図示されていない。）が詰められ
ている。

【００３１】上記のように構成した実施例によれば、全
血を採血して遠心分離する際には、まず採血針と採血チ
ユーブを通り注入口３を介して、血液提供者より全血を
親バツグ１の本体２内部に導入する。このときチユーブ
６の開口部である先端には閉止具が存するのでチユーブ
６に全血が侵入しない。全血を導入した後、採血チユー
ブを流入口３から遮断する。

【００３２】親バツグ内の全血を遠心分離した後、前述
の流出口４にある閉止具を折り曲げて、上層用・下層用
流出口４、５から上層用・下層用チユーブを介して、親
バツグ本体２内部を上層用子バツグ・下層用子バツグに
連通させる。

【００３３】そして親バツグ１を、例えば、専用分離装
置や分離スタンドを使用してもよいが、スタンドに吊る
し自然の落差だけを利用して、本体２の内部の上部にあ
る血液成分すなわち血漿を、チユーブ６を通し、親バツ
グ１外のチユーブを介して、上層用子バツグに移送す
る。

【００３４】同時に本体２の内部の下部にある血液成分
を、親バツグ１外のチユーブを介して、下層用子バツグ
に移送する。

【００３５】このように、本体２内部の上部と下部にあ
る各血液成分を２個の子バツグに同時に移送できるの
で、省力化及び作業時間の点で非常に有利である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す親バツグの正面図であ
る。

【符号の説明】

１ 親バツグ ２ 本体 ３ 注入口 ４ 上層用流出口 ５ 下層用流出口 ６ チユーブ ７ 閉止具

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 全血が採取され、その全血が遠心分離で
   上下層に分離された血液成分を収納する親バツグにおい
   て、上層用流出口は親バツグ内部の上部で開口するチユ
   ーブであって、該チユーブの内径は低密度成分が高密度
   成分の流出時間より早くなるような大きさであり、か
   つ、その内径は１．０〜３．０ｍｍであって、上記上層
   用流出口の開口部に、破断することにより連通する閉止
   具及び血漿と細胞成分に分離するフイルターとを有する
   ことを特徴とする血液バツグ。