JP3163608B2 - 血液分離方法 - Google Patents

血液分離方法

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JP3163608B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、血液を各成分ごとに分
離するために用いられる血液バッグセットを使用する血
液分離方法に関する
【0002】
【従来の技術】全血に含まれる多様な血液成分を取り出
して、製剤化する際には、血液バツグセツトが使用され
る。
【0003】親バツグに採取された全血は、通常、遠心
分離操作により、低密度成分を上層に高密度成分を下層
に分離する。その際、白血球を多分に含有するバフイー
コートと称する中間層もできる。それらを各成分ごとに
取り出す血液バツグセツトの一例としては、米国特許明
細書第5,102,407号に示すものがある。
【0004】このものでは、上層の低密度の血液成分を
取り出すために、親バツグ内部の上端で開口する流出口
があり、下層の高密度の血液成分を取り出すために、同
親バツグ内部にチユーブ状で挿入され且つその下端で開
口する流出口が備えられている。その結果バフイーコー
トは親バツグに残されることになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記の方法であると、
全血を親バツグ内に採取したとき、下層の高密度の血液
成分を取り出すための下端で開口するチユーブ内にも全
血が侵入し、それが遠心分離されれば、それから発生し
たバフイーコートがそのチユーブ内で存在したままとな
る。
【0006】その結果、下層の高密度の血液成分を取り
出しても白血球が混入するという問題があった。本発明
は下層の高密度の血液成分に白血球を混入させないよう
にした血液分離方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、(a)バッグ
の底に2つの流出口を有し、バッグの底から上方に向か
って長さ方向に融着部分がバッグの少なくとも半分以上
上まで延びて、その融着部分によって上記2つの流出口
を隔てた血液バッグに、全血を採取し、(b)次に、遠
心分離操作により、上記バッグ内の全血を低密度成分を
上層に高密度成分を下層に分離し、(c)上記バッグの
上層の低密度成分を上記融着部分を伝わらせながら、そ
れに通じている流出口から取り出し、(d)他の流出口
から下層の高密度成分を取り出すことを特徴とする血液
分離方法を要旨とする。
【0008】本発明は構造において以上のような特徴を
有する親バツグを用いた血液分離方法である。本発明に
おいて全血とは血液成分の分離操作を受ける前の人体か
ら採取された血液である。
【0009】本発明においてバツグの底から上方に向か
って長さ方向に融着部分がバツグの少なくとも半分以上
上まで延びて、その融着部分によって、親バツグ内に狭
小部ができるが、この大きさで血液包含時の狭小部の横
断面積を血液バツグセツトに用いられるチユーブ内部の
横断面積と同程度にすると、血液分離の操作上好まし
い。
【0010】
【作用】全血をまず親バツグに採取して遠心分離する
と、親バツグ内部では密度の差によって、血漿の上部層
とバフイーコート、赤血球を含有する下部層がそれぞれ
分離形成される。
【0011】その後、親バツグを圧搾して親バツグ内部
の上部と下部にある各血液成分を上部層用流出口、下部
層用流出口からおのおの子バツグに移送する。その結果
親バツグにはバフイーコートが残留することになる。親
バツグ内の上下の層を同時に親バツグから排出できるの
も、本発明の特徴である。
【0012】上記の際に、下部層用流出口が親バツグの
下部に備えられ、遠心分離後バフイーコートと下部層の
境界線を保ちながら、下部層を流出するときはバフイー
コートを混入させるおそれはない。
【0013】また、狭小部の開放位置がバツグの少なく
とも半分以上上に位置しているので、全血を親バツグに
採取するとき狭小部に全血が入らないように注意するこ
とができる。その結果、バフイーコートが混入していな
い血漿を分離・採取することができる。
【0014】遠心分離で得られた血漿すなわち上部層を
流出口から採取するとき、本発明のような狭小部を設け
る代わりに、流出口をバツグの少なくとも半分以上上ま
で延ばしたチユーブにしておいても、上記作用・効果を
示すが、バツグ内にチユーブがあると、遠心分離操作に
おいて、チユーブがバツグ本体に突起状の傷をつける原
因となり、好ましくない。また上部加圧式或いは下部加
圧式自動分離装置によって分離すると、バツグ内のチユ
ーブが挟まれた状態となって分離速度が落ちることとな
り、更には分離不能となる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図1の図面に基づ
き説明する。図1は血液バツグセツトの一部である本発
明による親バツグの実施例を示す。親バツグ1は全血が
採取されるもので、本体2により主構成され、この本体
2は、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂製の2枚のシートか
ら構成されて、これらシートの周囲が熱融着か高周波溶
接によって接着されている。
【0016】本体2の下端部には、採血チユーブによる
注入口3と、上部層用・下部層用流出口4、5が備えら
れている。また、親バツグ内部を融着により上下方向に
仕切ることによって、親バツグ縁部との間で、開放箇所
6を有する狭小部7が設けられている。
【0017】上部層用・下部層用流出口4、5は、例え
ば、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂製の軟質チユーブによ
り構成されており、本体8の2枚のシートを接着する際
に、両シート間に挟み込まれて固定される。上部層用・
下部層用流出口4、5の下部は、本体2の下方に突出す
ると共に、折り曲げることにより本体2内部と外部を連
通させる連通ピース(俗に折れ棒という。)が備えられ
ている。
【0018】下部層用流出口5は本体2内部の下端部で
開口し、また、上部層用流出口4は狭小部7内部の親バ
ツグ下端部で開口している。なお本体2内部には、CP
D液、ACD−A液等の血液の保存液が封入されている
ことがある。
【0019】上記のように構成した実施例によれば、全
血を採血して遠心分離する際には、まず採血針と採血チ
ユーブにより注入口3を介して、血液提供者より全血を
親バツグ1の本体2内部に導入した後、採血チユーブを
流出口3から遮断する。
【0020】そして親バツグはもとより血液バツグセツ
トを遠心分離装置内に入れて本体2内部の血液を440
0×g、6分で遠心分離すると、本体2内部の上部には
血漿の上部層が、中間部にはバフイーコートが、下部に
は赤血球を主として含有する下部層が、それぞれ分離形
成される。
【0021】そして上記のように全血を遠心分離した
後、連通ピースを折り曲げて、上部層用・下部層用流出
口4、5から上部層用・下部層用チユーブを介して、親
バツグ1の本体2内部を上部層用・下部層用子バツグに
連通させる。そして親バツグ1を、例えば、血液分離用
圧搾装置で圧縮して、本体2の内部の上部にある血液成
分すなわち血漿を、狭小部7を通し、上部層用チユーブ
を介して、上部層用子バツグに移送する。同時に本体2
の内部の下部にある血液成分を、下部層用チユーブを介
して、下部層用子バツグに移送する。
【0022】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
バフイーコートが混入していない、品質の優れた血液製
剤が得られる。また本発明によれば、全血から血液成分
を取り出す作業において、血液バツグセツトを遠心分離
装置にかけた際に、親バツグに突起状の傷が形成されに
くく、親バツグがその傷で破損されるおそれが少ない。
更にまた、本発明の血液分離方法は省力化及び作業時間
の短縮の点で非常に有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】血液バツグセツトの一部である本発明による親
バツグの実施例を示す。
【符号の説明】
1 親バツグ 2 本体 4 上部層用流出口 7 狭小部

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)バッグの底に2つの流出口を有
    し、バッグの底から上方に向かって長さ方向に融着部分
    がバッグの少なくとも半分以上上まで延びて、その融着
    部分によって上記2つの流出口を隔てた血液バッグに、
    全血を採取し、(b)次に、遠心分離操作により、上記
    バッグ内の全血を低密度成分を上層に高密度成分を下層
    に分離し、(c)上記バッグの上層の低密度成分を上記
    融着部分を伝わらせながら、それに通じている流出口か
    ら取り出し、(d)他の流出口から下層の高密度成分を
    取り出すことを特徴とする血液分離方法。
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