JPH07240026A - 光学的記録媒体のオーバライト方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 消費電力が少なく、しかも簡単な制御が可能
となる光学的記録媒体のオーバライト方法を提供する。 【構成】 光学的記録媒体１０に光ビーム１１を照射し
てデジタルのデータ信号Ｓ２をオーバライトする方法に
おいて、前記記録するデータ信号のクロック信号Ｓ１と
同期した整数倍の周波数の連続した第１の低出力光パル
ス用信号Ｓ５と、前記データ信号の信号幅の間だけ発生
する、前記クロックパルスと同期した上記整数倍の周波
数の連続した第２の低出力光パルス用信号Ｓ６とを組み
合わせて発生した光ビームを照射する。これにより、消
去用には第１の低出力光パルス用信号に対応するピーク
レベルのパルス状の光ビームが発射され、また、記録用
には両パルス用信号の振幅が重畳された信号に対応する
ピークレベルのパルス状の光ビームが発射されることに
なり、簡単な構成でオーバライトが可能になる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、レーザ光による加熱を
用いてデジタル情報をオーバライトする方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、半導体レーザ光を用いて光ディ
スク或いは光磁気ディスク等の光学的記録媒体にデジタ
ル情報を書き込んだり或いは書き込まれている情報を読
み出すようにした光記録装置は既に知られている。

【０００３】記録媒体には、再生専用形、追記形、書換
形の３種類があり、未記録の記録媒体に情報を記録する
場合或いは書換形すなわち消去可能形の記録媒体に対し
て記録済みの情報を消去しつつ新たな情報を記録する、
いわゆるオーバライトをする場合は、情報の消去や記録
に要する光量が読み出し動作の時の光量に比較して大き
くなる。このために、レーザ光を発生する半導体レーザ
に加わる負担が過度に大きくなり、動作の劣化や寿命の
短縮に繋がっているという問題があった。

【０００４】例えば、この種の従来のオーバライト方式
としては特開平１−１０９５５５号公報や特開平１−１
３８６２０号公報等にて開示された技術が知られてお
り、記録済みの情報を消去する直流レベル上に、新たな
情報を記録するためのパルスを重畳してオーバライトを
行なう場合のレーザ光の変調方法が示されている。この
場合、前者は光磁気記録方式の例であり、後者は相変化
記録方式の例である。上述のような記録方法では、パル
スの下部のレベルがある直流値を持っていることからこ
のレベルにより駆動する半導体レーザ発振器はそのレベ
ルに対応した光出力を発光しているので負荷が大きくな
って発熱も増加し、上述のように動作劣化や寿命劣化の
原因となっている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】そこで、上記問題点を
解決するために、例えば特開平１−２５３８２８号公報
に示されるように、再生パワーレベルの上に記録パルス
を、パルス幅変調（ＰＷＭ）とパルス振幅変調（ＰＡ
Ｍ）を併用して重畳するようにした技術も開発されてい
る。この場合には、常時発光する直流分を、半導体レー
ザ発振器に常時加える点においては先の従来方法の場合
と同様であるが、記録パルスを複数のパルス幅とレベル
に変換しているので記録に要するパワーを先の従来方法
よりも少し削減できるが十分なものではない。

【０００６】また、更に改良された技術として、例えば
特開平１−１１９９４１号公報に開示されているよう
に、記録パルスの最高周波数の３倍以上の周波数の、幅
が狭い連続した消去パルスの間に消去パルスの複数本分
の幅を有する記録パルスを挿入してオーバライトを行な
う技術も提案されている。この方法においては既に記録
してあるパルス情報を消去するために消去パルスを用い
ているので、前述の方法のように直流で消去するよりも
効率は良くなるが、記録パルスを幅広のパルスで構成す
るために先の特開平１−２５３８２８号公報に示す技術
にて行なわれているような記録データビット形状の成形
を行なう事ができないという問題点がある。

【０００７】更に、他の従来方法として特開平１−１１
９９２１号公報に開示されているように、記録周波数よ
り高い周波数の複数のパルス列により、記録媒体の初期
化や、消去・記録を行なう技術も提案されている。この
方法においては、オーバライト記録を行なう場合、消去
パルスに続く記録パルスの立ち上がり部の一定時間、そ
の後に続く記録パルスレベルよりパルスレベルを大きく
して記録パルスと記録されるピットの遅れを補償し、そ
の後に続くパルスレベルを低下させて記録に必要な熱量
を維持し、上述した特開平１−２５３８２８号公報の技
術と同様にピット形状を整えている。

【０００８】しかしながら、この方法においては、上述
のようにパルスレベルと時間とを精密に制御しなければ
ならないことから回路構成自体が非常に複雑化するとい
う問題点がある。

【０００９】本発明は、以上のような問題点に着目し、
これを有効に解決すべく創案されたものであり、その目
的は消費電力が少なく、しかも簡易な制御が可能となる
オーバライト方法を提供することにある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記問題点を
解決するために、光学的記録媒体に光ビームを照射して
デジタルのデータ信号をオーバライトする方法におい
て、前記記録するデータ信号のクロック信号と同期した
整数倍の周波数の連続した第１の低出力光パルス用信号
と、前記データ信号の信号幅の間だけ発生する、前記ク
ロックパルスと同期した前記整数倍の周波数の連続した
第２の低出力光パルス用信号とを組み合わせて発生した
光ビームを照射するようにしたものである。

【００１１】

【作用】本発明は、以上のように構成したので、クロッ
ク信号と同期した第１の低出力光パルス用信号の光ビー
ムは信号記録時に記録媒体の温度を信号記録温度よりも
低い所定の温度まで上昇させ且つ維持し得る周期とレベ
ルに設定されている。また、第２の低出力光パルス用信
号はデータ信号の信号幅の間だけ発生し、上記第１の低
出力光パルス用信号に重畳され、この時、発生する記録
用の高出力光パルスは、信号記録時に記録媒体の温度を
信号記録に要するまで上昇させ且つ維持し得る周期とレ
ベルに設定される。これにより、簡単な制御により且つ
消費電力も少なくしてオーバライトを行なうことが可能
となる。

【００１２】

【実施例】以下に、本発明に係る光学的記録媒体のオー
バライト方法の一実施例を添付図面に基づいて詳述す
る。図１は本発明方法を実施するための記録装置を示す
ブロック回路図、図２は図１に示すブロック回路中の信
号の波形図、図３は発生した記録用光ビームと記録パル
スとの関係を示す図である。

【００１３】図示するように本発明のオーバライト方法
を行なうための記録装置１は、装置全体を動作させる基
準信号である周波数ｆのクロックパルスＳ１を発生する
クロック信号発生部２を有しており、この出力はクロッ
クに同期して記録用のデータ信号Ｓ２を発生するデータ
入力部３とクロック信号をＮ倍、本実施例においては２
倍に逓倍するＮ逓倍部４とに入力されている。このＮ逓
倍部４としては例えばＰＬＬ（フェーズロックループ）
発振器を用いることができるが、これに限定されず、他
の同様な機能を有する回路を用いることができる。

【００１４】上記データ入力部３からの出力はシフトレ
ジスタ部５へ入力され、ここで上記Ｎ逓倍部４からのＮ
逓倍信号Ｓ３に同期させてデータ信号Ｓ４を出力するよ
うになっている。また、上記Ｎ逓倍部４の出力は第１の
モノステーブルマルチ部６と第２のモノステーブルマル
チ部７へそれぞれ入力されており、第１のモノステーブ
ルマルチ部６においては上記Ｎ逓倍信号Ｓ３に同期し
て、所定のパルス幅で且つ所定のパルス高さの第１の低
出力光パルス用信号Ｓ５を発生するようになっており、
また、上記第２のモノステーブルマルチ部７において
は、上記データ信号Ｓ４が所定の場合、例えばハイレベ
ルの時のみ、すなわちその信号幅の間だけ上記Ｎ逓倍信
号Ｓ３に同期した第２の低出力光パルス用信号Ｓ６を出
力するようになっている。尚、上記シフトレジスタ部５
は、この第２のモノステーブルマルチ部７との時間合わ
せをクロックの立上がりで同期させるものであり、これ
を設けることにより精度の良い時間合わせを行なうこと
ができるが、これを用いないでデータ信号Ｓ２を直接、
第２のモノステーブルマルチ部７へ導入させるようにし
てもよい。

【００１５】上記各第１及び第２の低出力光パルス用信
号Ｓ５、Ｓ６はパルスレベル変調加算部８へ入力され、
両信号が重畳されてレーザ駆動パルス信号Ｓ７としてレ
ーザ駆動電流変調部９に向けて出力されるようになって
いる。そして、その変調部９では上記したパルス用信号
Ｓ７に基づいて光ディスクや光磁気ディスク等の光学的
記録媒体１０に向けて記録用の光ビーム１１を照射す
る。

【００１６】次に、以上のように構成された装置に基づ
いて本発明方法を具体的に説明する。図２は図１中のブ
ロック回路図の各部の波形図を示している。まず、クロ
ック信号発生部２からのクロック信号Ｓ１（図２
（Ａ））に同期して、データ入力部３からはデータ信号
Ｓ２が出力され、また、Ｎ逓倍部４からはＮ倍（２倍）
の周波数のＮ逓倍信号Ｓ３（図２（Ｂ））が出力され
る。シフトレジスタ部５は上記Ｎ逓倍信号Ｓ３に同期し
てデータ信号Ｓ４（図２（Ｃ））を出力し、第２のモノ
ステーブルマルチ部７はこのデータ信号Ｓ４がハイレベ
ルの期間だけ、第２の低出力光パルス用信号Ｓ６（図２
（Ｅ））を出力する。

【００１７】また、第１のモノステーブルマルチ部６は
上記Ｎ逓倍信号Ｓ３に同期して第１の低出力光パルス用
信号Ｓ５（図２（Ｄ））を出力する。ここで各光パルス
用信号Ｓ５、Ｓ６はＧＮＤ（グランド）レベルを立ち上
がる高周波パルスである。パルスレベル変調加算部８
は、相互に位相が合致している上記第１及び第２の低出
力光パルス用信号Ｓ５、Ｓ６を重畳してレーザ駆動パル
ス信号Ｓ７（図２（Ｆ））を発生し、このパルス信号Ｓ
７に基づいてレーザ駆動電流変調部９は光ビーム１１を
記録媒体１０に向けて照射し、データ信号のオーバライ
トを行なう。

【００１８】ここで第１の低出力光パルス用信号Ｓ５の
みに基づいて出力される振幅の小さい光ビームの消去パ
ルス１１Ａのピークレベルは、既に記録媒体１０に記録
されているデータを完全に消去できる最小パルスレベル
であり且つ、そのパルス周期は既に記録されているデー
タを十分に消去可能である最小の熱量を維持する周期に
選定されている。すなわち消去パルス１１Ａのピーク値
で記録媒体１０を加熱し、その熱量が消去レベル１２よ
り低下してしまう前に次のパルスがくるようになってお
り、これにより連続して記録情報を消去することができ
る。

【００１９】この時の消去パルス１１Ａによる消去操作
は、相変化型記録媒体ではタイプにより媒体を結晶化、
または非晶質化して初期化することに相当し、光磁気型
記録媒体では補助磁界か、または多層媒体の他の層から
の影響により記録層を初期化することに相当するもので
ある。

【００２０】そして、第１及び第２の低出力光パルス用
信号Ｓ５、Ｓ６の重畳されたパルス信号に基づいて出力
される振幅の大きい光ビームの記録パルス１１Ｂすなわ
ち記録用の高出力パルスのピークレベルは、既に記録媒
体に記録されているデータを完全に消去し得、且つ新た
な信号を十分に記録できる最小パルスレベルである。ま
た、そのパルス周期は信号の記録を継続するのに十分な
熱量を維持するレベルに選定される。すなわちパルスの
ピーク値で加熱してその熱量が信号記録レベル１３より
低下してしまう前に次のパルスがくるようになってお
り、連続して記録ができるようになっている。

【００２１】上記消去パルス１１Ａ及び記録パルス１１
Ｂの各ピークレベル及びパルス幅すなわち図２（Ｆ）に
示す信号Ｓ７の消去パルス及び記録パルスの各ピークレ
ベル及びパルス幅は記録媒体の記録条件により適宜選択
することができる。すなわち各パルスレベルの変調度合
い、これらを重畳して加算した時の記録パルス１１Ｂの
レベルは記録媒体の特性、その時の記録媒体の回転数に
よる線速度、記録パルスの周波数等に依存させて変化さ
せ、これらの変化は例えば第１及び第２のモノステーブ
ルマルチ部６、７やパルスレベル変調加算部８等にて制
御することができる。このように周期が同じ２つの低出
力光パルス用信号を重畳させるという簡単な操作によ
り、オーバライトを行なうことができるので、従来行な
われていたような複数のパルスレベルと時間を精密に制
御するという複雑な制御をなくすことができ、回路構成
を簡単化することができる。

【００２２】また、同様に重畳される信号は共に間欠的
に出力が発生するパルス信号であることから、従来のよ
うに消去直流レベルに記録パルスを重畳する場合と比較
して半導体レーザ発振器に加えられる平均電力を大幅に
削減することができ、省電力化に寄与することができ
る。

【００２３】尚、上記実施例にあっては、クロック信号
Ｓ１の周波数を説明の簡単化のために２倍に逓倍した場
合について説明したが、これに限定されないのは勿論で
ある。また、消去パルス及び記録パルスの周波数、パル
ス幅及びパルス高さは、それぞれレーザ発振器に過度の
負担をかけない限りにおいて、それぞれ熱量が消去レベ
ル１２及び信号記録レベル１３を維持している範囲にお
いてどのように選択してもよい。

【００２４】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の光学的記
録媒体のオーバライト方法によれば次のように優れた作
用効果を発揮することができる。同期された２つの低出
力光パルス用信号を組み合わせて発生した光ビームによ
りオーバライトを行なうようにしたので、パルス周期は
１種類、パルスレベルは消去と記録の２種類で済み、制
御及び回路構成を簡単化できるのみならず、消去信号に
直流レベル信号を用いていた場合と比較して消費電力も
大幅に削減することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明方法を実施するための記録装置を示すブ
ロック回路図である。

【図２】図１に示すブロック回路図中の信号の波形図で
ある。

【図３】発生した記録用光ビームと記録パルスとの関係
を示す図である。

【符号の説明】

１…記録装置、２…クロック信号発生部、３…データ入
力部、４…Ｎ逓倍部、５…シフトレジスタ部、６…第１
のモノステーブルマルチ部、７…第２のモノステーブル
マルチ部、８…パルスレベル変調加算部、９…レーザ駆
動電流変調部、１０…光学的記録媒体、１１…光ビー
ム、１２…消去レベル、１３…信号記録レベル、Ｓ１…
クロック信号、Ｓ２，Ｓ４…データ信号、Ｓ３…Ｎ逓倍
信号、Ｓ５…第１の低出力光パルス用信号、Ｓ６…第２
の低出力光パルス用信号、Ｓ７…レーザ駆動パルス信
号。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 光学的記録媒体に光ビームを照射してデ
   ジタルのデータ信号をオーバライトする方法において、
   前記記録するデータ信号のクロック信号と同期した整数
   倍の周波数の連続した第１の低出力光パルス用信号と、
   前記データ信号の信号幅の間だけ発生する、前記クロッ
   クパルスと同期した前記整数倍の周波数の連続した第２
   の低出力光パルス用信号とを組み合わせて発生した光ビ
   ームを照射するようにしたことを特徴とする光学的記録
   媒体のオーバライト方法。