JPH07236489A - ウマヘルペスウイルス感染からウマを防御するためのワクチン - Google Patents

ウマヘルペスウイルス感染からウマを防御するためのワクチン

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JPH07236489A
JPH07236489A JP6316814A JP31681494A JPH07236489A JP H07236489 A JPH07236489 A JP H07236489A JP 6316814 A JP6316814 A JP 6316814A JP 31681494 A JP31681494 A JP 31681494A JP H07236489 A JPH07236489 A JP H07236489A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 EHVゲノムの遺伝子15内に挿入または欠
失を有するEHVを含むウマヘルペスウイルス(EH
V)ワクチンを提供する。 【効果】 ウマ病原体に対する確実で安全な、長期持続
性のある免疫が与えられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ウマヘルペスウイルス
突然変異株、ウマヘルペスウイルス核酸配列を含む組換
えDNA分子、該組換えDNA分子でトランスフェクト
した又はウマヘルペスウイルス突然変異株に感染させた
宿主細胞、及び前記ウマヘルペスウイルス突然変異株を
含むワクチンに関する。
【0002】
【従来の技術】ウマヘルペスウイルス(EHV)は、潜
在性疾病から致命的疾病に至る様々なウマ感染を引き起
こす抗原の異なる生物学的要素群を含んでいる。
【0003】ウマヘルペスウイルス−1(EHV−1)
は至る所に存在し、流産の流行、気道疾患及び中枢神経
系疾患に関連する経済的に非常に重要なウマ病原体であ
る。幼少ウマの上方気道に一次感染すると熱性疾患が生
じ、これは8〜10日間続く。既に免疫のあるメスウマ
が気道から再度感染して、症状が現れないことがあり得
る。その結果、一般に兆候なしに流産をおこす。神経系
症候群は、呼吸器疾患又は流産に関連し、年齢を問わず
両性の動物に作用して、共調不能、薄弱(weakne
ss)及び後方マヒを引き起こし得る(Telfor
d, E.A.R.等,Virology 189
304−316,1992)。
【0004】EHV−2、即ちウマサイトメガロウイル
スは、至る所に存在し、抗原が異種であり、通常成長が
遅く、既知の疾病を引き起こさないウイルス群である。
【0005】EHV−3、即ちウマコウ疹ウイルスは、
メスウマ及びオスウマの比較的軽い生殖器表面の発疹を
引き起こす病原体である。
【0006】以前にEHV−1の亜型2として分類され
たEHV−4は、散発性EHV−4誘発流産が報告され
てはいるが、主に呼吸器疾患に関連する。
【0007】EHVのゲノム構造は、2個の共有結合セ
グメント(UL及びUS)からなる二本鎖線状DNA分子
を含む他のαヘルペスウイルスのゲノム構造と類似して
いる。USセグメントは逆方向反復によりフランキング
されている。
【0008】EHV−1ゲノムの特性分析はWhall
ey, J.M.等により報告されており(J. Ge
n. Virol. 57, 307−323, 19
81)、EHV−4ゲノムの特性分析はCullina
ne, A.A.等により開示されている(J. Ge
n. Virol. 69, 1575−1590,1
988)。
【0009】EHVの分子生物学に関する研究の大半は
EHV−1に関するものであった。最近、EHV−1の
完全DNA配列が1992年にTelford等により
発表された(上掲)。ゲノムが約150,000bpか
らなることが判明し、現在までに76個の異なる遺伝子
が認識されている。これらの遺伝子は、EHV−1ゲノ
ム上に正確にマッピングされ、これらの遺伝子と対応す
るHSV−1類似体との関係がこの文献内で決定されて
いる。これは、HSV−1類似体UL45と共直線性の
EHV−1ゲノムのULセグメント内にマッピングされ
た遺伝子15を含んでいる。以前には、EHV−1の
(糖)タンパク質をコードする数種の遺伝子、例えばg
B(Whalley, J.M.等,J. Gen.
Virol. 70, 383−394)、gC(Al
len, G.P.等,J. Gen. Virol.
62, 2850−2858, 1988)、gD,
gI,gE(Audonnet, J.C.等,J.
Gen. Virol. 71, 2969−297
8, 1990)、gH(Robertson, G.
R.等,DNA Sequence , 241−2
49, 1991)、及びTK(Robertson,
G.R.等, Nucleic Acid Res.
16, 11303−11317, 1988)がマ
ッピングされた。
【0010】EHV−4の(糖)タンパク質をコードす
る数種の遺伝子、例えばgH及びgB(Nicolso
n, L.等,J. Gen. Virol. 71
1793−1800, 1990)、gE(Cull
inane, A.等,1988、上掲)、TK(PC
T出願WO92/01045)、並びにgC(Nico
lson, L.等,Virology 179, 3
78−387, 1990)のマップ位置及びヌクレオ
チド配列も決定されている。後者は、EHV−1遺伝子
15類似体のヌクレオチド配列も開示している。
【0011】更に、EHV−1遺伝子及びEHV−4遺
伝子が互いに非常に共直線性であり、またHSV−1の
対応部分(counterparts)とも共直線性で
あることが実証された(Telford等、1992
年、 上掲; Cullinane等、1988年、上
掲)。このことは、特定ウイルスのある遺伝子が他のヘ
ルペスウイルスに位置的な対応部分を有することを示し
ている。
【0012】
【発明が解決しようする課題】ワクチン接種によるEH
V感染の抑制は長年探求されてきた目標であった。これ
らのウイルスに対する現在のワクチンは化学的に不活化
したウイルス又は弱毒生ウイルスを含んでおり、これら
は多数回の投与を必要とし、また効能が限定されてい
る。
【0013】不活化ワクチンは一般に、ごく低レベルの
免疫を誘発し、追加免疫を必要とし、不利にはアジュバ
ントを必要とし、且つ製造コストが高い。更には、幾つ
かの感染ウイルス粒子は不活化処理しても生存し、動物
への投与後に疾病を引き起こす。
【0014】一般には、弱毒生ウイルスワクチンの方
が、(しばしば体液及び細胞で)長時間持続する免疫応
答を誘発し、製造も簡単なために好ましい。
【0015】今日までのところ、組織培養でビルレント
株の連続継代によって弱められた生ウマヘルペスウイル
スを主成分とする弱毒生ウマヘルペスウイルスワクチン
しか市販されていない。しかしながら、この処理によっ
て、非調整(uncontrolled)突然変異がウ
イルスゲノム内に導入されて、毒性及び免疫性が異質な
ウイルス粒子集団となる。更には、このような従来の弱
毒生ウイルスワクチンが毒性を取り戻すことによって、
接種動物が羅患し、病原体が他の動物に蔓延する可能性
があり得ることはよく知られている。更には、既存の弱
毒生ウマヘルペスウイルスワクチンでは、ウマヘルペス
ウイルス感染について陽性血清試験が得られている。か
くして、既存のウマヘルペスウイルスワクチンでは、特
定動物がビルレントウイルスの(潜伏)キャリアーであ
るのか、それともワクチン接種を受けているのかを(血
清)試験、例えばElisaで決定することはできな
い。
【0016】更には、ウマヘルペスウイルス株をウマヘ
ルペスウイルス感染及び他のウマ病原体を共に防御する
ワクチンとして使用することができれば有利であろう。
これは、ウマヘルペスウイルスの複製によってウマヘル
ペスウイルス抗原及び他のウマ病原体の抗原が共に発現
されるように、ウマ病原体の関連抗原をコードする遺伝
子をウマヘルペスウイルスのゲノム内に挿入することに
より達成され得る。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明は、EHVの遺伝
子15に及ぶ領域内のEHVゲノムに突然変異を含んで
いるEHV突然変異株を提供する。
【0018】突然変異とは、前記領域の遺伝子情報が、
天然EHVのゲノムの同領域に存在する遺伝子情報に対
して変化することと理解する。
【0019】突然変異は例えば、核酸の置換、欠失、挿
入若しくは逆位、又はこれらの組み合わせであり、これ
らによって、EHV遺伝子15によってコードされる任
意の抗原又は機能ポリペプチドを産生することのできな
いEHV突然変異株が生じる。
【0020】好ましくは、EHVゲノムの限定された領
域に導入された突然変異は、EHV遺伝子15の全体若
しくは一部分の欠失、及び/又はその部分への異種核酸
配列の挿入である。
【0021】特に、本発明は、EHVの遺伝子15に及
ぶEHVゲノムの領域に導入された異種核酸配列を含ん
でいることを特徴とする挿入EHV突然変異株を提供す
る。
【0022】本発明のEHV突然変異株は、入手可能な
任意のEHV株、例えば株M8、Ab4、Kentuc
ky D又はT431及び1942から誘導され得る。
【0023】本明細書で使用する“挿入EHV突然変異
株”という用語は、異種核酸配列、即ちEHV内に天然
に確認されるEHV遺伝子15内には存在しない核酸配
列を含んでいるDNAのウイルスゲノム内への取り込み
によって遺伝学的に修飾した感染性ウイルスを意味す
る。
【0024】挿入EHV突然変異株によって細胞が感染
すると、細胞は、異種ポリペプチド形態で異種遺伝子を
発現し得る。
【0025】“ポリペプチド”という用語は、アミノ酸
の分子鎖を意味し、産物の特定長さを意味するものでは
なく、必要とあれば、例えばグリコシル化、アミド化、
カルボキシル化又はリン酸化によってin vivo又
はin vitro修飾させることができる。従って、
とりわけペプチド、オリゴペプチド及びタンパク質がポ
リペプチドの定義に包含される。
【0026】有用なEHV突然変異株の前提条件は、異
種核酸配列の挿入のような突然変異が、EHVの重要な
機能(例えば感染又は複製に必要な機能)を破壊せず
に、EHVゲノムの任意の位置又は領域、即ち突然変異
の取り込みのために使用され得る位置又は領域に取り込
まれることである。
【0027】本発明で取り上げた突然変異の取り込みの
ための領域、即ちEHVの遺伝子15は以前は、非重要
領域であるとして同定されなかった。驚くべきことに、
EHVの重要な機能を破壊せずに、異種核酸配列の挿入
又はこの領域(の一部分)の欠失のような突然変異が許
容されることが判明した。
【0028】予期しないことであったが、先に規定した
領域内への突然変異の導入が、EHV突然変異株の防御
性に作用せずに、生EHV突然変異株の毒性を弱めるこ
とが判明した。この発見により、例えば前記領域内に欠
失又は挿入をもたらすことによって弱毒EHV突然変異
株の産生が可能となる。この突然変異株は、ワクチン接
種すべき動物に生形態で投与することができる。
【0029】“EHVの遺伝子15”という用語は本明
細書では、EHVの型とは関係なく、糖タンパク質C相
同体(gC)をコードする遺伝子に隣接し、更には遺伝
子15の読み取り枠(ORF)の5’フランキング遺伝
子間配列、即ちgC相同体をコードする遺伝子と遺伝子
15との間のヌクレオチド配列を含んでいるEHVゲノ
ム3’に存在するORFを同定するために使用する。
【0030】EHV−1のgC相同体をコードする遺伝
子の正確な位置は(BamHI H断片上に)マッピン
グされ、1988年にAllen等により配列決定され
ている(上掲)。EHV−4については、Nicols
on等から同様の情報が入手可能である(1990年、
上掲)。
【0031】EHV−1及びEHV−4の遺伝子15は
それぞれ、Telford等(1992年、上掲)及び
Nicolson等(1990年、上掲)により同定さ
れている。しかしながら、EHVの遺伝子15とHSV
−1又はVZVに位置的対応部分を有する遺伝子との間
に配列の相同性は存在しないように思えた。
【0032】EHV−1の遺伝子15のORFは塩基対
21170(開始)−20487(終止)に及び(Te
lford等、1992年、上掲)、227アミノ酸を
有するポリペプチドをコードする(DNA配列及びアミ
ノ酸配列を配列番号1及び2に示す)。
【0033】EHV−4の遺伝子15のORFは、塩基
対2110(開始)−2790(終止)に及び(Nic
olson等、1990年、上掲)、226アミノ酸を
有するポリペプチドをコードする(DNA配列及びアミ
ノ酸配列を配列番号3及び4に示す)。
【0034】本発明の好ましい実施態様では、EHV突
然変異株は、配列番号2に示すアミノ酸配列を有するポ
リペプチドをコードする遺伝子15のORFに及ぶ領域
内に突然変異を有するEHV−1であるか、又は配列番
号4に示すアミノ酸配列を有するポリペプチドをコード
する遺伝子15のORFに及ぶ領域内に突然変異を有す
るEHV−4である。
【0035】特に、前記領域は、それぞれ配列番号1
(EHV−1)又は配列番号3(EHV−4)に示すヌ
クレオチド配列を有する。
【0036】各EHVゲノムのDNA配列については、
個々のEHVウイルス間に自然変異が存在し得ることが
理解されよう。これらの変異は1個以上のヌクレオチド
の欠失、置換、挿入、逆位又は付加となり得る。
【0037】上記EHV変種は、本明細書に記載の遺伝
子15の配列とは異なる対応遺伝子15をコードし得
る。かかる変種ORFをコードするDNA配列は、配列
番号1及び3に示したDNA配列とハイブリダイズした
り、物理マップを比較して前記遺伝子をコードする類縁
領域の位置を決定するなど、幾つかの方法でその位置を
決定し得る。従って本発明は、任意のEHV株から入手
可能な突然変異を導入する領域を与える。
【0038】更に、上記領域のDNA配列に関連するD
NA配列をもたらす上記変種を生じる遺伝子工学技術を
使用し得る可能性もある。かかる関連DNA配列を特徴
とする突然変異がEHVゲノム内に位置する領域中に取
込まれたEHV突然変異株も本発明の範囲内に含まれる
ことは明らかである。
【0039】更に、上記領域はウイルスの必須機能を示
さないので、該領域を一部または全部欠失させ、次いで
所望であれば異種核酸配列を前記欠失中に取込むことが
できる。
【0040】遺伝子15の挿入不活化のためにEHVゲ
ノム中に挿入される異種核酸配列は、例えばウイルス、
原核細胞、真核細胞または合成物質などの任意の供給源
から誘導し得る。
【0041】本発明の特定の実施態様においては前記挿
入異種核酸配列は非コーディングオリゴヌクレオチドで
あり、その長さ及び配列は限定的ではないが、長さは8
〜100ヌクレオチドであるのが好ましい。
【0042】極めて適当な非コーディングオリゴヌクレ
オチドは、適当な、例えば固有の制限酵素切断部位のほ
かに、存在し得る読み枠のそれぞれに、両方向で翻訳終
結コドンを含む。
【0043】本発明の別の目的は、ウマヘルペスウイル
ス感染に対するワクチンだけでなく他のウマ感染症に対
するワクチンをも製造するために使用し得る突然変異ウ
マヘルペスウイルスを提供することである。安全な弱毒
化ウマヘルペスウイルス突然変異株の生体をベースとす
るかかるベクターワクチンは、免疫宿主の感染細胞内で
他の病原体の抗原を発現することによりその病原体に対
して免疫化する可能性を与えるが、これは、特定のウマ
ヘルペスウイルスとは異種のポリペプチドをコードする
異種核酸配列を、上記のウマヘルペスウイルスゲノムの
領域に挿入することにより得ることができる。
【0044】前記異種核酸配列は、ウマインフルエンザ
ウイルス、ウマロタウイルス、ウマ感染性貧血ウイル
ス、動脈炎ウイルス、脳炎ウイルス、ウマボルナ病ウイ
ルス、ウマベルネ(Berne)ウイルス、E.col
iまたはストレプトコッカス・エクイヌスのごときウマ
病原体の抗原をコードし得る。
【0045】異種とは、特定タイプのEHV、例えばE
HV−1を、別のタイプのEHV、例えばEHV−4の
抗原をコードする核酸配列を取込むためのベクターウイ
ルスとして使用したり、またはこの逆を行い得ることを
意味する。
【0046】EHV突然変異株による異種核酸配列の発
現には、該異種核酸配列に操作可能に連結された適当な
プロモーターが必然的に要求される。
【0047】プロモーターの選択は、真核細胞、原核細
胞、または、EHV突然変異株に感染した細胞内で遺伝
子転写を誘導し得るウイルスプロモーター、例えばレト
ロウイルス長鎖末端反復配列(Gormanら,Pro
c.Natl.Acad.Sci.USA 79,67
77−6781,1982)、SV40プロモーター
(Mulligan及びBerg,Science
09,1422−1427,1980)またはサイトメ
ガロウイルス直前(immediate early)
プロモーター(Schaffnerら,Cell
,521−530,1985)にまで及ぶことは当業
者には明らかである。
【0048】DNA配列をクローニングベクター中に挿
入する公知の方法及びin vivo同種組換えまたは
コスミドクローニング技術を使用し、突然変異をウマヘ
ルペスウイルスゲノム中に導入し得る(Maniati
s,T.ら(1982),“Molecular cl
oning”,Cold Spring Harbor
Laboratory;欧州特許出願第74.808
号明細書;B.及びJenkins,F.J.(198
5),Science 229,1208;Higuc
hi,R.ら,(1988),Nucleic Aci
ds Res.16,7351)。
【0049】簡単に述べると、これは、ウマヘルペスウ
イルスDNAを用いて組換えするための組換えDNA分
子を構築することにより行い得る。かかる組換えDNA
分子は、任意の適当なプラスミド、コスミド、ウイルス
またはファージから誘導し得、上記同定領域のウマヘル
ペスウイルスDNAを含むベクターDNAを含む。
【0050】適当なクローニングベクターの例として
は、プラスミドベクター(例えばpBR322)、種々
のpUC及びBluescriptプラスミド、コスミ
ドベクター(例えばTHV、pJB8、MUA−3及び
CosI)、バクテリオファージ(例えばλ−gt−W
ES−λ B、カロン28及びM13mpファージ)ま
たはウイルスベクター(例えばSV40、ウシ乳頭腫ウ
イルス、ポリオーマ及びアデノウイルス)が挙げられ
る。本発明に使用されるベクターは更に、例えばRod
riguez,R.L.及びD.T.Denhardt
編,Vectors:A survey of mol
ecular cloning vectors an
d their uses,Butterworth
s,1988のごとき文献に略述されている。
【0051】上記領域に導入する欠失は、まず、切断部
位が遺伝子15の読み枠内またはその近傍に正確に位置
する1種以上の酵素を用いて制限酵素消化することによ
りEHVの遺伝子15を担う組換えDNA分子内に導入
し得る。残りの組換えDNA分子を再環化すると、上記
同定領域内に存在するコーディング配列の少なくとも一
部が欠失した誘導体がもたらされ得る。或いは、遺伝子
15の配列内に存在する制限酵素切断部位内から出発し
て1つまたは2つの方向で順次欠失(progress
ive deletion)を導入してもよい。Bal
I、Bal31またはエキソヌクレアーゼIIIのごと
き酵素をこのために使用し得る。再環化した分子をE.
coli細胞中に形質転換し、上記領域内に導入された
欠失の寸法を決定するために、個々のコロニーを制限マ
ップ作成によって分析することができる。欠失の正確な
位置は配列決定によって決定し得る。
【0052】異種核酸配列の挿入が所望される場合は、
EHV遺伝子15を含む組換えDNA分子を適当な制限
酵素で消化して直線状分子を生成し、次いで所望であれ
ばプロモーターに結合させた異種核酸配列を該直線状分
子に連結し、更に組換えDNA分子を再環化し得る。
【0053】必要によっては、異種核酸配列の挿入と同
時にEHV遺伝子15中に欠失を導入する。
【0054】EHV遺伝子15を切断するために使用さ
れる適当な制限酵素は例えばScaI(EHV−1)及
びBglII、NarIまたはXbaI(EHV−4)
である。
【0055】本発明のEHV突然変異株の製造にin
vivo同種組換え法を適用する場合は、欠失遺伝子1
5配列または挿入異種核酸配列にフランキングするEH
V配列は、ウイルスEHVゲノムによるin vivo
同種組換えが起こるのに適当な長さ、例えば50〜30
00bpであるべきである。
【0056】続いて、細胞、例えばウマ皮膚細胞(NB
L−6)のごときウマ細胞または例えばPK13、Ve
ro及びBHK細胞のごとき他の種由来の細胞を、適当
なEHV配列によってフランキングされた突然変異を含
む組換えDNA分子の存在下にEHV DNAを用いて
トランスフェクトすると、組換えDNA分子中のEHV
配列とEHVゲノム中の対応配列との間で組換えが起こ
る。
【0057】次いで組換えウイルスの子孫を細胞培養物
中で生産し、それを例えばハイブリダイズしたり、異種
核酸配列と同時に組込まれた遺伝子によってコードされ
る酵素活性を検出したり、組換えEHVによって免疫的
に発現される抗原性異種ポリペプチドを検出するなど、
遺伝子型及び表現型によって選択し得る。組換えウイル
スは、ネオマイシン、ゲンタンマイシンまたはミコフェ
ノール酸のごとき化合物に対する耐性に基づいて陽性の
ものを選択することもできる。選択したEHV突然変異
株を細胞培養物中で大規模に培養し、前記EHVによっ
て発現される物質または異種ポリペプチドを含むEHV
突然変異株をそこから回収することができる。
【0058】或いは、全EHVゲノムを包含する複数の
一部重複フラグメントを含むと共に、1つのコスミドは
突然変異遺伝子15を含むEHVゲノムの1つのフラグ
メントからなるコスミドセットの同時トランスフェクシ
ョンによって(de Wind,N.ら,J.Gen.
Virol 64,4691−4696,1990)、
本発明のEHV突然変異株を生産することもできる。
【0059】本発明のEHV突然変異株を生産するため
に使用し得る極めて適したコスミドセットは実施例1に
示す。EHV−1遺伝子15は、bp.1〜42750
に広がるコスミド2D3内にクローニングされたEHV
−1挿入物中に位置する(番号はTelfordら,1
992,前出から誘導されてたものである)。
【0060】別の好ましい実施態様においては、本発明
は上記のごときEHV突然変異株を提供するが、この突
然変異株は更に、EHVゲノムの別の遺伝子内の突然変
異、所望であれば弱毒化突然変異、特に欠失または挿入
を含む。
【0061】上記突然変異は、遺伝子がもはや機能性ポ
リペプチドを発現できずに毒性が低下したEHV突然変
異株を生じるような遺伝子の失活化をもたらし得る。こ
れは、例えばgE、TK、RRまたはUL21をコード
する遺伝子(Telfordら,1992,前出;Ro
bertsonら,1988,前出;国際特許出願公開
第WO 92/01045号明細書)内に突然変異を導
入することにより行い得る。
【0062】本発明の生きたEHV突然変異株、特に特
定のウマ病原体の1種以上の異種ポリペプチドを発現す
る生きたEHV突然変異株を使用してウマを予防接種し
得る。かかる生ベクターワクチンによる予防接種のあと
は、好ましいことに接種宿主においてEHV突然変異株
が複製され、EHVポリペプチドと一緒に異種ポリペプ
チドがin vivoで発現される。接種宿主において
発現されたポリペプチドは、EHV及び特定の病原体の
両方に対して免疫応答を誘起する。特定の病原体から誘
導される異種ポリペプチドが感染防御免疫応答を刺激し
得る場合、本発明のEHV突然変異株を接種された動物
は、その病原体による感染に対して免疫となる上に、E
HVによる感染に対しても免疫となる。即ち、本発明の
EHVゲノムの領域に取り込まれた異種核酸配列はin
vivoで継続的に発現され、ウマ病原体に対する確
実で安全な、長期持続性のある免疫を与える。
【0063】1種以上の異種ポリペプチドを含有及び発
現する本発明のEHV突然変異株は一価または多価ワク
チンとして作用し得る。
【0064】生ワクチン製造のためには、本発明のEH
V突然変異株をウマ由来の細胞培養物または他の種由来
の細胞上で増殖させ得る。このように増殖させたウイル
スを、組織細胞培養液及び/または細胞を回収すること
により入手し得る。生ワクチンは懸濁液の形態で製造す
ることもできるし、凍結乾燥してもよい。
【0065】免疫有効量のEHV突然変異株に加え、ワ
クチンは医薬的に容認可能な担体または希釈剤を含み得
る。
【0066】本発明に有用な医薬的に容認可能な担体ま
たは希釈剤の例としては、安定剤(例えばSPGA)、
炭水化物(例えばソルビトール、マンニトール、澱粉、
しょ糖、グルコース、デキストラン)、タンパク質(例
えばアルブミンまたはカゼイン)、タンパク質含有物
(例えばウシ血清またはスキムミルク)及び緩衝液(例
えばリン酸緩衝液)が挙げられる。
【0067】必要によっては、アジュバント活性を有す
る1種以上の化合物をワクチンに添加してもよい。適当
なアジュバントとしては例えば水酸化アルミニウム、リ
ン酸アルミニウムもしくは酸化アルミニウム、油性エマ
ルジョン(例えばBayolF(R)またはMarcol
52(R))、サポニンまたはビタミンE可溶化物が挙
げられる。
【0068】有効な投与量は、対象動物の年齢及び体重
並びに投与形態に従って変わる。適当な用量は例えばウ
マ1頭当たり103・0〜108・0 TCID50のEHV突
然変異株であり得る。
【0069】また、本発明のEHV突然変異株を使用し
て不活化ワクチンを製造することもできる。
【0070】動物に投与するためには、本発明のEHV
突然変異株は特に鼻腔内、皮内、皮下または筋肉内に与
え得る。
【0071】
【実施例】実施例1 EHV-1ウィルスを発生させるためのコスミドの構築 スーパーコス(SuperCos)1コスミドベクターキットを、
ストラタジーン社(カタログ#251301)から購入
した。このベクターに更なる制限酵素部位を付加するこ
とにより、更に修飾した。以下の制限酵素部位:Bam
HI、I-SceI、PacI、AscI、EcoR
V、PacI、AscI、I-SceI、およびBam
HIを含有するDNAリンカーをファルマシア社から購
入した。スーパーコス1ベクターおよびリンカーの両方
を、製造元の指示書に従いBamHI(ニューイングラ
ンドバイオラボ社)で切断した。BamHIで消化した
ベクターを製造元の指示書に従いアルカリホスファター
ゼ(ニューイングランドバイオラボ社)で脱燐酸化し
た。BamHIで消化したリンカーを、次いで、製造元
の指示書に従いT4DNAリガーゼ(ニューイングラン
ドバイオラボ社)でスーパーコス1ベクター中にライゲ
ーションした。次いで、その結果できたベクターを、更
にEHV-1インサートのクローニング用に用いた。
【0072】EHV-1感染の重度の兆候を示すウマか
ら単離した病原性EHV-1菌株であるEHV-1 M8
菌株からウィルスのDNAを得た。この菌株を、ベロ(V
ero)細胞の集密的細胞単層上で1:1のMOIでインキ
ュベーションした。80%CPE細胞で4日後、上澄の
凍結、解凍を3回繰り返した。細胞の構成成分を取り除
くために、ソーバル(Sorval)高速遠心機(RC-5C)
内で5000rpmで30分間遠心分離にかけた。次い
で、上澄を取りだし、ベックマンの超遠心機(L8-7
0)内で19,000rpmで2時間遠心分離にかけ
た。ペレットを1mlのPBSに再懸濁した。各々10
mMおよび2%の最終濃度になるようにEDTAおよび
SDSを加えウィルスを溶解することによりDNA抽出
を行った。
【0073】この混合物を、次いで、もはや境界面が観
察されなくなるまで標準技法により少なくとも3回フェ
ノールで抽出した。次いで、DNAを、2倍量の100
%エタノールで室温で沈澱させた。12000rpmで
10分間回転させた後、エタノールを除去し、ペレット
を70%エタノールで洗浄した。次いで、ペレットを風
乾し、水に再懸濁した。
【0074】EHV-1DNAを切断または消化してコ
スミドセットに必要なインサートを得た。EHV-1D
NAをPacI(ニューイングランドバイオラボ社)で
消化することによりコスミドを構築した。M8 Pac
-1消化物をフェノールで抽出した後、その末端をT4
DNAポリメラーゼ(ニューイングランドバイオラボ
社)で平滑処理し、次いで、製造元の指示書に従ってア
ルカリホスファターゼ(ニューイングランドバイオラボ
社)で脱燐酸化した。コスミドベクターをEcoRV
(ニューイングランドバイオラボ社)で消化し、インサ
ートをT4 DNAリガーゼ(ニューイングランドバイ
オラボ社)でベクター内にライゲーションした。ライゲ
ーションミックスを、製造元の指示書に従いパッケージ
ングミックス(Gigapackパッケージング抽出物、ストラ
タジーン社)内にパックした。パックしたDNAを、
E.coli DH1を一晩培養した新鮮な培養物に加
え、37℃で1時間静置した。細菌懸濁液を、次いで、
アンピシリンを含有する寒天プレート上に広げた。制限
酵素分析によりそのインサートについて全てのコロニー
を分析した。別のコスミド構築のために同様の手法に従
ったが、但し、ウィルスのDNAは、AscI、Ase
I、RsrIまたはNotIで消化し、次いで、全ての
末端は、T4 DNAポリメラーゼで平滑処理し、ベク
ターのEcoRV部位内にインサートをライゲーション
した。コスミドの第三世代を得るために、ウィルスのD
NAを、19Gニードルを介して2回切断し、末端を、
次いで、T4 DNAポリメラーゼで平滑処理し、フェ
ノール抽出および沈澱後、インサートを、コスミドベク
ターのEcoRV部位内に再度クローンした。インサー
トを有するベクターを、次いで、パックし、細菌に導入
し、コロニーを分析した。得られた全てのコロニーか
ら、多重消化により制限酵素地図を決定した。次いで、
クローンの制限酵素地図とEHV-1の制限酵素地図と
を比較することにより異なるクローンの位置を決定し
た。これらの方法により生じた全コスミドおよびそれら
の特徴を図1にまとめた。これらのデータに基づいてい
くつかのコスミドセットを形成し、新規なウィルスを生
じさせるその能力について検査した。表1に示したコス
ミドセットを用い、生存ウィルスを再生することが可能
である。ウィルスの再生のために、Sce-I(ニュー
イングランドバイオラボ社)消化によりEHV-1イン
サートをコスミドから切り取った。次いで、BHK細胞
の集密的細胞単層を、燐酸カルシウム法により各コスミ
ドのセット0.2μgでトランスフェクションした。こ
の方法で、トランスフェクション1回当たり生存ウィル
スが存在する30個以上のプラークを得た。
【0075】
【表1】
【0076】(菌株Ab4のそれとの比較から誘導され
るナンバリング)。
【0077】実施例2 EHV-1遺伝子15ミュータントの作製 遺伝子15を不活性にするために、100μg/mlの
エチジウムブロマイドの存在下、コスミド2D3をSc
aI(ニューイングランドバイオラボ社)で消化した。
ScaIは、コスミド2D3内で6箇所切断するが、エ
チジウムブロマイドの存在下で消化を行うことによる全
鎖長直鎖のコスミド分子の産生は、好都合である。T4
DNAポリメラーゼ(ニューイングランドバイオラボ
社)により平滑末端コスミドにし、次いで、これらの末
端を、アルカリホスファターゼで脱燐酸化した。全解読
枠内に3個の終結コドン、およびI-PpoI認識配列
(配列番号:5)を含む57bpリンカーを直線化した
2D3内にライゲーションした。E.coli DHI
の形質転換後に生じた全てのクローンを、制限酵素分析
により分析した。遺伝子15のみにリンカーインサート
を有するクローンを単離した。遺伝子15 2D3/1
5si(図2および表1)中のコスミド2D3をリンカ
ーインサートを有するコスミドで置換し、上記のような
形質転換を行うことにより、ミュータントウィルスの再
生を行った。再生したウィルスは、プラークを3回精製
し、制限酵素分析により分析した。
【0078】実施例3 遺伝子15組換え体EHV-1の作製 1.遺伝子15欠失/挿入ミュータントの構築 EHV-1コスミド2D3をBamHIで消化した。そ
の結果できた、遺伝子15相同体(20487-211
46)を含有する7kb断片(19398-2626
0)を、pIC2OH(Marsh, J.L., Erfle, M. and W
ykes, E. J. 1984,Gene 32, 481-485)のBamHI部
位内にクローンした。StuIを用い、遺伝子15内で
(20719で)このプラスミド構築物を直線化した。
直線化プラスミドを、次いで、Bal 31エキソヌク
レアーゼ消化に供し、インキュベーション時間を変えて
インキュベーションした後、プラスミドを平滑末端に
し、配列番号:5のオリゴヌクレオチドにライゲーショ
ンし、再環状化して遺伝子15の欠失した部分にリンカ
ーインサートを有するプラスミドを作製した。この構築
物を7G5と命名した。制限酵素地図作製および、配列
番号:5に示したオリゴヌクレオチド内のCMAおよび
CMB部位を用いた配列決定により、欠失の範囲を測定
し、挿入を確認した。欠失は、ヌクレオチド20639
から20894までとして示した。遺伝子15を含有す
る600塩基対断片を生じさせる、7G5のDraI/
NruI二重消化により二番目の遺伝子15欠失/挿入
構築物を作製し、これを、pGEM-3ZのSalI部
位にクローンした。この構築物を遺伝子15-E3と命
名した。
【0079】2.7G5および遺伝子15-E3のEH
V-1 DNAを用いたコトランスフェクション ストラタジーン燐酸カルシウムプロトコールを用い、直
径8cmの組織培養プレート上でBHK細胞またはブタ
の腎臓(SK)細胞の細胞単層に、6μgのEHV-1
ゲノムDNAおよび細胞(乳児ハムスターの腎臓、BH
K)DNA調製物ならびに2μgの7G5もしくは遺伝
子15-E3をトランスフェクションした。DNA-燐酸
塩沈澱物と共に5時間インキュベーションし、細胞を、
ヘペス緩衝生理食塩水(pH6.9)に加えた25%
(v/v)DMSOで3分間″ショック″をかけた(ト
ランスフェクション効率を高めるために)。培地中での
2回の洗浄後、細胞は、2%仔ウシ胎児血清を有するM
EMに加えた1.5%低融点アガロースを重層し、37
℃でインキュベーションした。4-5日培養後、プラー
クを観察した。この時点で重層を取りだし、4℃で貯蔵
した。細胞単層をニトロセルロースフィルターに接着
し、1.5M-塩化ナトリウム/0.5M-水酸化ナトリ
ウムに浸したワットマンの濾紙上で5分間インキュベー
ションすることにより細胞を破裂(または、DNAを変
性)させた。1M-トリスCl(pH7.4)/1.5
M-塩化ナトリウムでアルカリを中和し、2xSSCで
2回洗浄し、濾紙を真空オーブン内で80℃で2時間加
熱した。濾紙を1M-塩化ナトリウム/0.1%(w/
v)SDSで70℃で30分間洗浄して蛋白および細胞
破片を除去し、続いて、H-ミックス(1M-塩化ナトリ
ウム、0.1%(w/v)SDSおよび4xデンハルト
液を含有する10mM-トリスCl(pH8.0))中
で60℃で30分間プレハイブリダイゼーションした。
配列番号:5の32P-末端標識した一本鎖またはアンチ
センスストランドを、次いで、H-ミックスに加え、濾
紙を一晩ハイブリダイゼーションした。全てのものが
0.1%(w/v)SDSを含有する2xSSC、1x
SSCおよび0.5xSSCを用い、65℃で一連の1
5分の洗浄により、非特異的ハイブリダイゼーションシ
グナルを除去した。濾紙を、-70℃で2日間X線フィ
ルムに露出した。
【0080】3.組換え遺伝子15-EHV-1の同定お
よび検証 オリジナルのプレート上のプラークの位置、オートラジ
オグラフのスポットおよびオリエンテーション(プレー
ト、重層、フィルターおよびフィルム上に印をつけた)
を用い、アガロースのプラグを可能性のある組換えプラ
ークの位置で重層からパンチした。これらを0.5ml
の培地と共に撹拌してウィルスを放出させ、更にSKま
たはBHK細胞を感染させるのに用いた。これらの感染
物から得た上澄を段階希釈により用いて更にSKまたは
BHK細胞を感染させ、これを、ウィルス吸着後、重層
し、次いで、オリジナルのコトランスフェクションのた
めに上記で述べたものと同じ方法で処理した。プラーク
を1または2回精製した後、配列番号:5のアンチセン
スストランドで大部分のプラークがハイブリダイズした
ことを観察した。その結果、4個のプラークから精製し
たウィルスを取り上げ、大きいフラスコのBHKまたは
SK細胞を感染させるのに用いた。DNAをこれらの細
胞(オリジナルのコトランスフェクションに用いたよう
な、ウィルスおよび細胞DNAのミックス)から精製
し、PCRによる分析およびDNA配列決定(CMAお
よびCMBを用い)に供してウィルスゲノム内の欠失/
挿入遺伝子15ミュータントの存在を確認した。
【0081】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:684 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:genomic DNA 起源 生物名:ウマヘルペスウイルス1 株名:Ab4 配列の特徴 特徴を表わす記号:CDS 存在位置:1..684 配列:
【0082】
【表2】
【0083】配列番号:2 配列の長さ:227 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:タンパク質 配列:
【0084】
【表3】
【0085】配列番号:3 配列の長さ:681 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:genomic DNA 起源 生物名:ウマヘルペスウイルス4 株名:1942 配列の特徴 特徴を表わす記号:CDS 存在位置:1..681 配列:
【0086】
【表4】
【0087】
【表5】
【0088】配列番号:4 配列の長さ:226 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:タンパク質 配列:
【0089】
【表6】
【0090】配列番号:5 配列の長さ:57 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の特徴 特徴を表わす記号:− 存在位置:1..57 他の情報:/ラベル=合成リンカー 配列:
【0091】
【表7】
【図面の簡単な説明】
【図1】 生成された全ての、EHV−1ゲノムの表記
のフラグメントを含む一部重複コスミドをまとめて示す
図である。上段はEHV−1ゲノムのBamHI制限酵
素マップを示す。
【図2】EHV−1遺伝子15-突然変異株の一般生産
方法を示す。
【図3】遺伝子15プラスミド欠失構築物を示す。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12N 7/00 9281−4B // C07K 14/03 8318−4H (C12N 5/10 C12R 1:91) (C12N 5/00 B C12R 1:91) (72)発明者 レズリー・ニコルソン イギリス国、スコツトランド、グラスゴ ー・ジー・11・5・アール・エフ、ダルク ロス・ストリート・6、フラツト・2/2

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ウマヘルペスウイルス(EHV)の遺伝
    子15に及ぶ領域内のEHVゲノムに突然変異を含んで
    いるEHV突然変異株。
  2. 【請求項2】 EHV突然変異株が、配列番号2に示す
    アミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする遺伝子
    15に及ぶ領域内に突然変異を有するEHV−1である
    ことを特徴とする請求項1に記載のEHV突然変異株。
  3. 【請求項3】 EHV突然変異株が、配列番号4に示す
    アミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする遺伝子
    15に及ぶ領域内に突然変異を有するEHV−4である
    ことを特徴とする請求項1に記載のEHV突然変異株。
  4. 【請求項4】 突然変異が挿入及び/又は欠失であるこ
    とを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の
    EHV突然変異株。
  5. 【請求項5】 突然変異が、ウマ病原体の抗原をコード
    する異種遺伝子を含む挿入であることを特徴とする請求
    項4に記載のEHV突然変異株。
  6. 【請求項6】 EHVの遺伝子15に及ぶEHVゲノム
    の領域及びそのフランキング配列を含み、前記遺伝子が
    突然変異を含んでいる核酸分子。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の核酸分子を含んでいる
    組換えDNA分子。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の組換えDNA分子でト
    ランスフェクトした宿主細胞。
  9. 【請求項9】 細胞培養株を請求項7に記載の組換えD
    NA分子及びEHVゲノムDNAでトランスフェクトす
    ることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記
    載のEHV突然変異株の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項1から5のいずれか一項に記載
    のEHV突然変異株に感染させた細胞培養株。
  11. 【請求項11】 請求項1から5のいずれか一項に記載
    のEHV突然変異株と、医薬的に許容できる担体又は希
    釈剤とを含んでなるワクチン。
  12. 【請求項12】 ウマに請求項11に記載のワクチンを
    投与することからなる感染症に対するウマの免疫方法。
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