JPH0723518A - 引留クランプ用の保護装置および保護装置を備えた引留クランプ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 架空電線１２が圧縮接続されるクランプ本体
１４とジャンパ線１６が圧縮接続されるジャンパソケッ
ト１８の電気接続部を覆って、雨水等の侵入を阻止する
保護装置を提供する。 【構成】 弾性を有する導電素材からなり、電気接続部
を覆う形状とし、天側にクランプ本体１４の軸方向と平
行なヒンジ部３４，３４を設け、天側を除いて縦方向に
中央で２分割して地側が開くことができるように保護装
置１０を構成する。この保護装置１０を引留クランプの
電気接続部に被せて地側を閉じ、電気接続部に雨水や塵
芥等が侵入しないようにする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、引留クランプの電気接
続部に雨水や塵芥等が侵入しないようにした引留クラン
プ用の保護装置に関するものである。また、本発明は、
電気接続部に雨水や塵芥等が侵入しないように保護装置
を備えた引留クランプに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】実公昭５８−７７９７号公報に引留クラ
ンプの一例として金車通過形圧縮引留クランプが示され
ている。この引留クランプを簡単に説明すれば、以下の
ごとき構造である。架空電線としての鋼心アルミ撚線の
鋼心を鋼クランプに機械的に圧縮接続して固定する。こ
の鋼クランプの他端には支持碍子への連結部が設けられ
ている。そして、鋼心アルミ撚線および鋼心クランプに
嵌合するアルミクランプに、鋼心アルミ撚線のアルミ撚
線部を圧縮接続して固定する。これらの鋼クランプおよ
びアルミクランプによりクランプ本体が形成される。さ
らに、ジャンパ線が圧縮接続により固定されたアルミダ
イキャストのジャンパソケットの羽子板部によりアルミ
クランプが挟持され、この羽子板部とアルミクランプお
よび鋼クランプがこれらを貫通するボルトナットで締め
付けられて、クランプ本外とジャンパソケットが電気接
続されるとともに固定される。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上述のごとき従来の引
留クランプにあっては、アルミクランプおよびジャンパ
ソケットに、一般的に高純度のアルミニウムが使用され
るため、クリープ現象によって塑性変形を生じ易く、最
終的にボルトナットによる締め付け圧力の低下をもたら
す。そこで、アルミクランプとジャンパソケットの羽子
板部との電気接続部における締め付け圧力が低下し、電
気接続部の隙間に雨水等が侵入して腐食を生じさせる虞
がある。さらに、この腐食により不良導体の水酸化アル
ミニウムを生じさせて、電気的導通を阻害するのみなら
ず、水酸化アルミニウムへの変化による体積膨張で電気
接続部の隙間をさらに拡大するよう作用する。この結
果、アルミクランプとジャンパソケットの間の十分な電
気接続が失なわれ、接触抵抗が上昇し発熱する虞があ
る。特に、海岸地域にあっては腐食の進行が早く、頻繁
な改修作業が必要である。

【０００４】本発明は、かかる事情に鑑みて発明された
もので、クランプ本体とジャンパソケットを有する引留
クランプの電気接続部に雨水や塵芥等が侵入しないよう
にした引留クランプ用の保護装置を提供することを目的
とする。また、本発明は、電気接続部に雨水や塵芥等が
侵入しないように保護装置を備えた引留クランプを提供
することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに、本発明の引留クランプ用の保護装置は、架空電線
が圧縮接続されるクランプ本体とジャンパ線が圧縮接続
されるジャンパソケットを有する引留クランプにおい
て、前記クランプ本体と前記ジャンパソケットの電気接
続部を覆う形であるとともに少なくとも片側を開閉自在
とし、前記電気接続部に被せて前記片側を閉じたときに
前記クランプ本体および前記ジャンパソケットの圧縮接
続部が覆われることなしにそれぞれ突出するように構成
できるように構成されている。

【０００６】さらに、弾性を有する素材で形成し、地側
を開くことができるようにするとともに天側にヒンジ部
を形成しても良い。

【０００７】また、本発明の保護装置を備えた引留クラ
ンプは、架空電線が圧縮接続されるクランプ本体にジャ
ンパ線が圧縮接続されるジャンパソケットを当接し、こ
れをボルトナットにより締め付けて固定するとともに電
気接続して引留クランプを構成し、前記クランプ本体と
ジャンパソケットの電気接続部を覆うように被せて閉じ
られた保護装置を設けて構成されている。

【０００８】

【作 用】保護装置により、クランプ本体とジャンパソ
ケットの電気接続部が覆われるので、接続部の隙間に雨
水や塵芥等が侵入せず、腐食することがない。しかも、
保護装置は、引留クランプに被せて片側を閉じて配設す
るので、既設の引留クランプにも容易に配設し得る。ま
た、保護装置からクランプ本体およびジャンパソケット
の圧縮接続部がそれぞれ突出し、電気接続部のみを覆う
ので、引留クランプ全体を覆うのに比べて小型である。

【０００９】そして、保護装置を弾性を有する素材で形
成するとともに、地側を開くことができるように天側に
ヒンジ部を設けるならば、保護装置の開閉機構が極めて
簡単に構成でき、構造も簡単にし得る。

【００１０】

【実施例】以下、本発明の一実施例を、図１ないし図３
を参照して説明する。図１は、本発明の引留クランプ用
の保護装置の一実施例の正面図であり、図２（ａ）は、
図１の左側面図であり、図２（ｂ）は、図１のＡ−Ａ端
面図であり、図３は、図１の保護装置が設けられた金車
通過形圧縮引留クランプの正面図である。

【００１１】図１ないし図３において、本発明の引留ク
ランプ用の保護装置１０は、架空電線１２が機械的な圧
縮接続により固定されたクランプ本体１４が、ジャンパ
線１６が圧縮接続により固定されたジャンパソケット１
８の羽子板部２０，２０で挟持され、ボルトナット２
２，２２…により締め付け固定される金車通過形圧縮引
留クランプ２４の電気接続部を覆うような開閉自在の容
器状に形成される。ここで、保護装置１０からは、クラ
ンプ本体１４の圧縮接続部およびジャンパソケット１８
の圧縮接続部の全部および一部が突出される。

【００１２】そして、保護装置１０は、炭素が混入され
たゴムやプラスチック等の弾性を有する導電素材によ
り、上述のごとくクランプ本体１４とジャンパソケット
１８の電気接続部の外周を囲む容器状に形成され、クラ
ンプ本体１４の連結部２６が突出する孔２８と、クラン
プ本体１４とジャンパソケット１８の圧縮接続部がそれ
ぞれ突出する開口端３０，３２が設けられる。さらに、
天側にはクランプ本体１４の軸方向と平行にヒンジ部３
４，３４が設けられるとともに、天側を除いて縦方向に
中央で２分割され、ヒンジ部３４，３４で折れ曲がっ
て、図２の一点鎖線線のごとく、地側が開くように形成
される。なお、孔２８からヒンジ部３４，３４に向け
て、地側が容易に開くように、適宜な切り込み３６，３
６が設けられる。そしてさらに、地側縁外側に閉じた状
態で対応するように、分割された両方に、舌片部３８，
３８…が設けられ、一方の舌片部３８，３８…に貫通孔
が穿設され、他方の舌片部３８，３８…にこれらの貫通
孔に挿入されてこの挿入状態を維持するための係止突起
４０，４０…が設けられる。

【００１３】かかる構成において、金車通過形圧縮引留
クランプ２４のクランプ本体１４とジャンパソケット１
８の電気接続部に、保護装置１０を地側を開いて上から
被せ、地側を閉じて一方の舌片部３８，３８…の貫通孔
に他方の舌片部３８，３８…の係止突起４０，４０…を
挿入係止させて閉じた状態を維持させる。この閉じた状
態では、縦方向に２分割する分割面が密接するように形
成され、また孔２８の端縁は連結部２６の首部に密接す
るように形成され、さらに開口端３０，３２はクランプ
本体１４とジャンパソケット１８の圧縮接続部にそれぞ
れ密接するように形成される。そこで、保護装置１０に
より、クランプ本体１４とジャンパソケット１８の電気
接続部への雨水や塵芥等の侵入を阻止することができ、
電気接続部に腐食を生ずる虞を激減させることができ
る。しかも、既設の金車通過形圧縮引留クランプ２４に
も保護装置１０を容易に装着させることができる。ま
た、小型で構造が簡単なものであり、軽量であるととも
に安価に製造し得る。

【００１４】次に、本発明の他の実施例を図４ないし図
６を参照して説明する。図４は、本発明の引留クランプ
用の保護装置の他の実施例の正面図であり、図５は、図
４の左側面図であり、図６（ａ）は、図４および図５の
Ｂ−Ｂ端面拡大図であり、図６（ｂ）は、図４のＣ−Ｃ
端面拡大図である。

【００１５】図４ないし図６に示す引留クランプ用の保
護装置５０は、クランプ本体５２に羽子板部５４を有す
る圧縮形引留クランプ５６に装着されるものである。こ
の圧縮形引留クランプ５６は、架空電線１２が圧縮接続
により固定されたクランプ本体５２の羽子板部５４が、
ジャンパ線１６が圧縮接続により固定されたジャンパソ
ケット６０の羽子板部６２，６２で挟持され、羽子板部
５４，６２，６２を貫通するボルトナット６４，６４…
により締め付けて固定される。そこで、この羽子板部５
４，６２，６２を覆うような開閉自在の容器状に、保護
装置５０がゴムまたはプラスチック等の弾性を有する導
電素材により形成される。

【００１６】そして、保護装置５０には、クランプ本体
５２の連結部６６が突出する孔６８と、クランプ本体５
２の圧縮接続部が突出する孔７０が設けられ、またジャ
ンパソケット６０の圧縮接続部が突出する開口端７２が
設けられる。さらに、天側にクランプ本体５２の軸方向
と平行にヒンジ部７４が設けられ、天側を除いて縦方向
に２分割され、ヒンジ部７４で折れ曲がって、図５の一
点鎖線のごとく、地側が開くように形成される。

【００１７】さらに、分割縁外側に、閉じた状態で当接
するように、分割された両方に、鍔部７６，７６が設け
られ、図６（ａ）に示すごとく、一方の鍔部７６に周状
にアリ溝７８が形成され、他方の鍔部７６にこのアリ溝
７８に嵌合するアリ状突条８０が設けられる。また、孔
６８，７０の端縁および開口端７２が、連結部６６の首
部に密接しまたはクランプ本体５２およびジャンパソケ
ット６０の圧縮接続部にそれぞれ密接するように、例え
ば図６（ｂ）のごとく、シールと同様な舌状部８２，８
２を有する断面に形成される。

【００１８】かかる構成において、保護装置５０を地側
を開いて圧縮形引留クランプ５６に上から被せ、羽子板
部５５，６２，６２の電気接続部を覆い、鍔部７６，７
６を密接させてアリ溝７８にアリ状突条８０が嵌合さ
せ、閉じた状態を維持させるとともに水密構造が形成さ
れる。さらに、孔６８，７０および開口端７２におい
て、シールと同様な舌片部８２，８２を有する断面によ
り、連結部６６の首部およびクランプ本体５２とジャン
パソケット６０の圧縮接続部に水密構造が形成される。
そこで、保護装置５０内への雨水や塵芥等の侵入が阻止
され、羽子板部５４，６２，６２の電気接続部が腐食さ
れることがない。

【００１９】なお、本発明の引留クランプ用の保護装置
１０，５０は、上記実施例のごとき引留クランプに装着
されるものに限られず、いかなる構造の引留クランプに
応用されても良い。また、保護装置１０，５０の地側
を、閉じた状態に維持する機構は、上記実施例に限られ
ず、ビニールテープ等を貼着または巻回させても良い。
そして、保護装置１０，５０が十分に弾性に富む素材で
形成されるならば、ヒンジ部３４，３４，７４等を設け
ることなく、適宜な弾性変形によって地側が開くように
しても良い。さらに、保護装置１０，５０は、トラッキ
ングやコロナ放電およびノイズの発生等を防止すべく導
電素材で形成されることが望ましいが、導電性のない素
材であっても電気接続部への雨水等の侵入を阻止できる
ことは勿論である。

【００２０】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の引留クラ
ンプ用の保護装置および保護装置を備えた引留クランプ
は構成されているので、以下のごとき格別な効果を奏す
る。

【００２１】請求項１記載の引留クランプ用の保護装置
にあっては、引留クランプのクランプ本体とジャンパソ
ケットとの電気接続部を、保護装置で覆って雨水や塵芥
等の侵入を阻止するので、電気接続部の隙間に雨水や塵
芥等が侵入して腐食を生ずるようなことがない。しか
も、保護装置を電気接続部に被せてこれを覆うことがで
き、既設の引留クランプにも容易に配設することがで
き、架空電線の保守に有益である。また、保護装置は圧
縮接続部を覆うことなく、電気接続部のみを覆うので、
引留クランプ全体を覆うのに比べて小型であり、それだ
け軽量であるとともに安価に製造できる。

【００２２】そして、請求項２記載の引留クランプ用の
保護装置にあっては、弾性を有する素材で形成し、また
地側を開くことができるように天側にヒンジ部を設ける
ので、保護装置を地側が開くようにする開閉機構が極め
て簡単であり、全体の構造が簡単であるために安価なら
びに軽量に製造することができる。

【００２３】また、請求項３記載の保護装置を備えた引
留クランプにあっては、クランプ本体とジャンパソケッ
トの電気接続部の隙間に腐食を生じさせる雨水や塵芥等
が、この電気接続部を覆う保護装置により侵入が阻止さ
れるので、引留クランプの耐久寿命が長く、それだけ架
空電線の保守管理の手間が軽減される。特に、引留クラ
ンプは、常時電気が流されており、しかも鉄塔の高所で
危険な箇所に設けられるために、バイパス装置の取り付
け等による改修作業、または取り替え作業は極めて煩雑
であるとともに多くの費用を必要とする。そこで、この
煩雑でしかも高価な作業が少なくなることで、保守管理
の手間と経費が大幅に削減できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の引留クランプ用の保護装置の一実施例
の正面図である。

【図２】（ａ）は、図１の左側面図であり、（ｂ）は、
図１のＡ−Ａ端面図である。

【図３】図１の保護装置が設けられた金車通過形圧縮引
留クランプの正面図である。

【図４】本発明の引留クランプ用の保護装置の他の実施
例の正面図である。

【図５】図４の左側面図である。

【図６】（ａ）は、図４および図５のＢ−Ｂ端面拡大図
であり、（ｂ）は、図４のＣ−Ｃ端面拡大図である。

【符号の説明】

１０，５０ 保護装置 １２ 架空電線 １４，５２ クランプ本体 １６ ジャンパ線 １８，６０ ジャンパソケット ２０，５４，６２ 羽子板部 ２２，６４ ボルトナット ２４ 金車通過形圧縮引留クランプ ３４，７４ ヒンジ部 ３８ 舌片部 ４０ 係止突起 ５６ 圧縮引留クランプ ７６ 鍔部 ７８ アリ溝 ８０ アリ状突条

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 架空電線が圧縮接続されるクランプ本体
   とジャンパ線が圧縮接続されるジャンパソケットを有す
   る引留クランプにおいて、前記クランプ本体と前記ジャ
   ンパソケットの電気接続部を覆う形であるとともに少な
   くとも片側を開閉自在とし、前記電気接続部に被せて前
   記片側を閉じたときに前記クランプ本体および前記ジャ
   ンパソケットの圧縮接続部が覆われることなしにそれぞ
   れ突出するように構成したことを特徴とする引留クラン
   プ用の保護装置。
2. 【請求項２】 請求項１記載の引留クランプ用の保護装
   置において、弾性を有する素材で形成し、地側を開くこ
   とができるようにするとともに天側にヒンジ部を形成し
   たことを特徴とする引留クランプ用の保護装置。
3. 【請求項３】 架空電線が圧縮接続されるクランプ本体
   にジャンパ線が圧縮接続されるジャンパソケットを当接
   し、これをボルトナットにより締め付けて固定するとと
   もに電気接続して引留クランプを構成し、前記クランプ
   本体とジャンパソケットの電気接続部を覆うように被せ
   て閉じられた保護装置を設けたことを特徴とする保護装
   置を備えた引留クランプ。