JPH07235053A - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体の製造方法

Info

Publication number
JPH07235053A
JPH07235053A JP7810394A JP7810394A JPH07235053A JP H07235053 A JPH07235053 A JP H07235053A JP 7810394 A JP7810394 A JP 7810394A JP 7810394 A JP7810394 A JP 7810394A JP H07235053 A JPH07235053 A JP H07235053A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic
magnetic field
magnetic layer
recording medium
orientation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7810394A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshiaki Nemoto
敏昭 根本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Victor Company of Japan Ltd
Original Assignee
Victor Company of Japan Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Victor Company of Japan Ltd filed Critical Victor Company of Japan Ltd
Priority to JP7810394A priority Critical patent/JPH07235053A/ja
Publication of JPH07235053A publication Critical patent/JPH07235053A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacturing Of Magnetic Record Carriers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 一様な斜方配向を有し、その表面が平滑で且
つ高密度磁気記録が可能な塗布型の磁気記録媒体の製造
方法を提供する。 【構成】 非磁性支持体2の表面に、磁性粉3を含む磁
性層4を表面に対して斜め方向に配列させる磁気記録媒
体1の製造方法において、まず、未乾燥状態の磁性層に
交番磁界を印加して無配向処理を施す。その後、磁性層
の面内長手方向に磁界を印加する水平配向処理と磁性層
の厚み方向に磁界を印加する垂直配向処理とを順序を問
わず別々に施し、結果的に磁性粉を斜め配向させる。こ
れにより、一様な斜め配向を得て、記録再生特性等を向
上させると共に磁性層の表面の平滑性を高める。特に、
無配向処理として磁性層の厚み方向と幅方向に交番磁場
を印加することにより一層の記録再生特性等の向上を図
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フロッピーディスク、
オーディオテープ、ビデオテープ等の高密度な磁気記録
媒体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】最近、磁気記録媒体には、デジタル記録
等に代表されるような高密度タイプの磁気記録媒体が望
まれている。しかし、塗布型における針状メタル磁性粉
等を用いた磁性層の面内長手方向の残留磁化を用いる従
来の高密度磁気記録媒体では、短波長領域における磁気
記録媒体内の反磁界により、長波長領域での出力劣化と
いう欠点がある。そのため、これを補う手段として強磁
性粉の抗磁力の向上、薄層化、磁性層表面の平滑化によ
るスペーシングロス低減等の対策が取られているが十分
ではない。
【0003】例えば特開平2−108238号公報にお
いては、塗膜面に対して垂直方向に交流磁場を印加する
ことにより、磁性粉の充填度を向上させている点が開示
されているが、この方法によっても上記した諸特性を十
分改善することはできない。
【0004】そこで、高密度記録媒体の記録方式とし
て、垂直磁気記録方式いわゆる磁性粒子の磁化容易軸を
垂直方向に磁化する方式が、高密度化が可能なことから
注目されている。例えば特開平1−227221号公報
にあっては、磁性塗膜に対してランダム配向処理した後
に垂直配向処理を施して垂直方向に磁化する方法が開示
され、また、特公昭63−43811号公報には磁性微
粒子を塗膜面に垂直な方向とは異なる方向に一度配向
し、その後、垂直配向磁石で垂直配向させて垂直方向に
磁化する方法が開示されているが、未だ十分な特性が得
られず、実用化に至っていないのが現状である。
【0005】そこで、この面内長手記録方式と垂直記録
方式のそれぞれの長所とを組み合わせたもので、斜め方
向に磁化容易軸を持たせた斜方蒸着膜を形成する蒸着型
磁気記録媒体が現れた。しかしながら、この蒸着型の製
造装置は非常に高価なことから製造コストが高騰してし
まい、十分な普及には至っていない。また、最近では、
蒸着型ではなく塗布型の記録媒体においても斜め方向に
磁化容易軸を持たせる研究がなされている。この種の塗
布型の磁気記録媒体の製造方法としては、永久磁石を異
極や同極同志を数多く組合せて並べたものや特開平3−
35420号公報に開示されたようにフィルム上に塗布
した磁性粉に垂直方向と面内方向の磁界を同時に共働さ
せる直流ソレノイド磁場装置が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来方法においては、永久磁石固有の問題である磁場
反転による配向戻り現象により配向度が低下したり、配
向前の磁性層内磁性粉の絡みつきにより十分な配向がな
されないという問題点がある。また、磁界をフィルム面
に対して垂直方向と水平面内方向と同時に共働させる直
流ソレノイド磁場装置が非常に高価になるのみならず、
磁界の同時印加時における磁性層表面での磁気凝集によ
り十分な配向や十分な磁性層表面の平滑性が得られない
という問題点もある。更には、垂直方向の磁化容易軸の
保持は拘束磁場から離れる瞬間に配向戻りが発生し易い
という問題点がある。
【0007】本発明は、以上のような問題点に着目し、
これを有効に解決すべく創案されたものであり、その目
的は磁性粉を含む塗布型記録媒体が、斜方配向を有し、
その表面が平滑で且つ高密度磁気記録が得られるよう
な、磁気記録媒体の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記問題点を
解決するために、非磁性支持体の表面に、磁性粉を含む
磁性層を前記表面に対して斜め方向に配列させる磁気記
録媒体の製造方法において、前記磁性粉に対して無配向
処理を施し、その後、前記磁性粉に対して前記磁性層の
面内長手方向に磁界を印加する水平配向処理と前記磁性
層の厚み方向に磁界を印加する垂直配向処理とを時間的
に別々に施すことにより前記磁性粉を、前記磁性層の表
面に対して斜め方向に配列させるように構成したもので
ある。
【0009】上記無配向処理は、磁性層の厚み方向或い
は幅方向のいずれか一方に交番磁場を印加することによ
り行なってもよいし、これらの両交番磁場を時間的に別
々に印加することにより行なってもよい。また、上記水
平配向処理と垂直配向処理の内、時間的に後段で行なわ
れる配向処理を施す時に、乾燥器等により磁性層を強制
的に乾燥する強制乾燥処理を同時に施すようにしてもよ
い。
【0010】
【作用】本発明は、以上のように構成したので、まず、
未乾燥の状態で例えば交番磁場による無配向処理が施さ
れることにより磁性層内の絡み合っている磁性粉が激し
く挙動してその絡みが緩和され、その配向をし易くす
る。この状態で次に例えば直流ソレノイド装置により磁
性層の面内長手方向へ磁界を印加する水平配向処理と、
磁性層の厚み方向へ磁界を印加する垂直配向処理を時間
的に別々に施すことにより磁性層の面に対して斜め方向
になるように磁性粉を配向させ、この状態で磁性層を強
制的に乾燥させる。これにより、配向方向を斜め方向に
十分に揃わせることができ、特性の良好な磁性層を得る
ことができる。尚、上記水平配向処理と垂直配向処理を
施す順序はどちらを先に行なってもよい。この場合、先
に行なう処理時には上述のように磁性粉の磁化容易化軸
を略完全にその磁界方向に揃わせて配向させる。
【0011】無配向処理を行う時に、特に、磁性層の厚
み方向と幅方向に交番磁場を印加することにより、磁性
粉は2次元的ではなく3次元的に挙動するので、一層磁
性粉の凝集の度合が緩和され、このために磁性粉の回転
自由度が増加すると共に回転モーメントが減少し、高配
向比を得ることが可能となる。
【0012】
【実施例】以下に、本発明に係る磁気記録媒体の製造方
法の一実施例を添付図面に基づいて詳述する。図1は本
発明方法の第1の実施例を実施するための磁気記録媒体
形成装置を示す概略構成図、図2は本発明方法の第2の
実施例を実施するための磁気記録媒体形成装置を示す概
略構成図、図3は未乾燥状態における磁性層内の磁性粉
の挙動を示す図である。
【0013】まず、本発明方法を実施するための磁気記
録媒体形成装置について説明する。図中1は磁気記録媒
体であり、この磁気記録媒体1は、フィルム状になされ
た非磁性支持体、例えばPET(ポリエチレンテレフタ
レート)フィルム2上に磁性粉として例えば針状メタル
磁性粉3を含む磁性層4を塗布乾燥することにより形成
される。図1及び図2においては、このフィルム2が左
から右方向へ移動する間に未乾燥状態の磁性層4が斜め
配向されて乾燥固化されることになる。尚、磁性粉とし
ては針状メタルに限定されず、板状メタル磁性粉、粒状
メタル磁性粉のみならず、メタル以外の磁性粉も用いる
ことができる。
【0014】この操作を行なう上記磁気媒体形成装置
は、上記フィルム2の移動方向上流側より配置された、
交番磁界発生部5と、第1及び第2直流ソレノイド部
6、7と、乾燥部8とにより主に構成されており、未乾
燥状態の磁性層4が塗布されている磁気記録媒体1は、
上記各部内を順に移動して行くことになる。上記交番磁
界発生部5は、これに印加される交流電源9の所定の周
波数例えば50〜60Hzに従って生ずる磁場反転によ
って未乾燥状態の磁性層4中の磁性粉3の絡み付きをほ
ぐして緩和させ、無配向処理を施すものである。図示例
にあっては、交番磁界発生部5はPETフィルム2の移
動方向に対して起立させて設け、磁性層4の厚み方向に
交番磁界を印加するようになっている。尚、この交番磁
界発生部5をフィルム2の移動方向に対して横転させて
配置し、磁性層4の幅方向に交番磁界を印加するように
してもよい。この場合にも同様に磁性粉の絡み付きをほ
ぐすことができる。
【0015】上記交番磁界発生部5の直ぐ下流に位置す
る第1直流ソレノイド部6は、これに印加される第1直
流電源10からの直流電圧により磁気記録媒体1の移動
方向と平行となる方向に磁界を発生させ、磁性層4の面
内長手方向に磁性粉3を水平配向させるものである。
【0016】また、第1直流ソレノイド部6の直ぐ下流
に位置する第2直流ソレノイド部7は、これに印加され
る第2直流電源11からの直流電圧により磁気記録媒体
1の表面に直交する方向、すなわち磁性層4の厚み方向
に磁界を発生させて磁性粉3を磁性層4の表面に対して
斜め方向に配向させるものである。
【0017】また、第2直流ソレノイド部7の直ぐ下流
に位置する乾燥部8は、上述のように斜め方向に配向さ
れた磁性粉3の含まれた磁性層4をヒータ熱等により強
制的に乾燥させるものである。図2に示す装置は、上記
第2直流ソレノイド部7と上記乾燥部8とを同一装置内
に組み合わせたものであり、磁性粉3の斜め配向と強制
乾燥とを同時に行なうようになっている。
【0018】このように構成された装置を用いて磁気記
録媒体1の配向処理を行なうには、まず、磁性粉3の含
まれた未乾燥の磁性層4が塗布されたフィルム1を交番
磁界発生部5に通過させることで、この磁性層4を交番
磁界に晒す。これにより、磁性層4内の絡み合っている
磁性粉3(図3(A)参照)が、この交番磁界による交
流周波数の周期間隔での磁場反転印加により激しく挙動
し、その結果、磁性粉同士の絡みが図3(B)に示すよ
うに緩和され、配向し易い状態となる。すなわち磁性粉
に交番磁界を印加して振動させることにより、磁性粉同
士の凝集を解きほぐして配向モーメントを低減させ、後
段の配向処理を行ない易くするのである。
【0019】このように磁性粉同士の緩みが緩和された
状態でフィルム2が第1直流ソレノイド部6内を通過す
ることによりこの磁性層4に面内長手方向、すなわちフ
ィルム移動方向と平行となる方向に磁界が印加され、そ
の結果、図3(C)に示すように磁性粉3を一様に面内
長手方向へ配向させる。この場合、第1直流電源10の
印加電圧は、上述のように磁性粉3を一様に面内長手方
向へ配向し得るだけの大きな磁場を発生する電圧とす
る。
【0020】このように面内長手方向の配向が行なわれ
た状態でフィルム2が第2直流ソレノイド部7内を通過
することにより、この磁性層4に磁性層4の厚み方向、
すなわち表面に直交する方向に磁界が印加され、その結
果、図3(D)に示すように磁性粉3を一様に平面に対
して斜め方向に配向させる。この場合、第2直流電源1
1の印加電圧は、発生する垂直磁界が過度に大きくなら
ないような電圧とし、配向方向が斜め方向になるような
適度な磁界を発生させる。尚、この時発生させる垂直方
向の磁界の強度を適宜選択して変化することにより、配
向される斜め方向の角度を任意の角度に制御することが
できる。
【0021】このように磁性粉3が斜めに配向された状
態でフィルム2を乾燥部8に移動させることにより、今
まで未乾燥状態だった磁性層4を強制的に乾燥固化さ
せ、斜め配向された磁性粉3を固定する。尚、図2に示
す装置を用いた場合には、磁性粉の斜め配向と強制乾燥
とを同時に行なわれるので、図1に示す場合において第
2直流ソレノイド部7から乾燥部8への移動の間に生じ
ていた配向戻りをなくすことができ、図1に示す場合と
比較して一層高い精度で配向の傾斜角度を制御すること
ができる。
【0022】このようにすることにより磁性粉を磁性層
の表面に対して一様に斜め方向へ配向させることがで
き、面内長手方向の記録方法と面内垂直方向の記録方法
の長所を取り入れることができる。また、一様な斜め配
向を行なうことができることから、磁性層表面の平滑性
も改善することが可能となる。
【0023】また、交流磁界発生部5、第1直流ソレノ
イド部6及び第2直流ソレノイド部7の各磁界強度を任
意に変えることにより、磁性粉配向角度は、塗布速度と
磁場強度のバランスによって自由に変更することができ
る。尚、上記実施例ではフィルムは第1直流ソレノイド
部6を通過した後に、第2直流ソレノイド部7を通過す
るようになっているが、これらのソレノイド部6、7を
逆に配置し、垂直配向処理を行なった後に面内長手方向
への水平配向処理を行なうようにしてもよい。
【0024】次に、本発明方法により実際に製造された
磁気記録媒体について説明する。 (実施例1)まず、図1に示すようなPETフィルム2
上に、下記に示す組成物よりなる磁性塗料を塗布し、未
乾燥磁性層4を形成する。
【0025】<磁性塗料組成物> 針状メタル磁性粉 100重量部 塩化ビニル系樹脂 12重量部 ポリウレタン系樹脂 13重量部 ポリイソシアネート 5重量部 研磨剤(アルミナ粉末) 5重量部 ミリスチン酸 1重量部 オレイン酸 1重量部 カーボンブラック 1重量部 トルエン 120重量部 シクロヘキサノン 100重量部
【0026】尚、上記針状メタル磁性粉として、長軸長
0.1μm、短軸長0.04μm、保磁力1900O
e、飽和磁化量130(emu)のものを使用し、上記
組成物をサンドグラスミルで48時間分散して磁性塗料
を作成した。この磁性塗料をグラビアコーターロールコ
ータ、エクストルージョンコータに代表されるコータの
内、グラビアコータで下記の塗布条件でPETフィルム
2に塗布した。
【0027】<塗布条件> 塗布層の厚さ:1.0μm 塗布速度:30m/分 PETフィルムの厚さ:10μm
【0028】次に、上述のように磁性層4の塗布された
フィルムを、交番磁界発生部5、第1直流ソレノイド部
6及び第2直流ソレノイド部7に順次通過させて配向処
理を行なう。交番磁界発生部5における交番磁場強度は
針状メタル磁性粉3の保磁力に近い2000Oeとす
る。この交番磁界発生部5をPETフィルム2が通過す
る段階で未乾燥状態の磁性層内に存在する図3(A)に
示すような状態で凝集していた針状メタル磁性粉3は、
交流周波数の回数だけ磁場極性が繰り返し変わる交番磁
場の切替りによる回転運動によって、略分離されて図3
(B)のようになる。
【0029】次に、針状メタル磁性粉3の抗磁力の3倍
の磁場強度である6000Oeの面内長手方向磁場を有
する第1直流ソレノイド部6をPETフィルム2が通過
する間に、上述のように相互に分離された針状メタル磁
性粉3は、図3(C)に示すように水平方向、すなわち
磁性層の面内長手方向に略完全に配向される。
【0030】次に、針状メタル磁性粉3の抗磁力に近い
磁場強度である2000Oeを保有する第2直流ソレノ
イド部7をPETフィルム2が通過する間に、針状メタ
ル磁性粉3は、図3(D)に示すように斜め方向に配向
される。
【0031】最後に、第2直流ソレノイド部7を通過
後、直ちに乾燥部8によってPETフィルム2の磁性層
4を強制乾燥することによって、磁性層内のバインダー
樹脂12が急激に固化され、斜めに配向された針状メタ
ル磁性粉3は、第2直流ソレノイド部7における磁場の
外れと共に起きる配向戻りがほとんど生ずることなく固
定される。このように斜め配向されて固化された磁性層
4を持つPETフィルム2は、カレンダ処理により鏡面
仕上げが施され、乾燥室での硬化後にスリッタによって
裁断されて磁気記録媒体である磁気テープができあが
る。
【0032】上記配向条件及び乾燥をまとめると下記の
ようになる。 交番磁界発生部5 :交番磁場 2000Oe 第1直流ソレノイド部6:直流磁場 6000Oe 第2直流ソレノイド部7:直流磁場 2000Oe 乾燥部8 :温度80℃、風速10m/分
【0033】(実施例2)この実施例は、図2に示すよ
うに第2直流ソレノイド部7を乾燥部8の中に組み入れ
て実施したものである。すなわち図3(D)に示す斜め
配向と同時に磁性層の強制乾燥を行なった。これ以外
は、全て実施例1と同様な方法で磁気テープを製作し
た。
【0034】(比較例1)実施例2における交番磁場印
加装置である交番磁界発生部5を用いなかった以外は全
て実施例2と同様な方法で磁気テープを製作した。すな
わち、比較例にあっては磁性層に交番磁界を印加しない
ことにより無配向処理を行なわなかった場合である。
【0035】(比較例2)実施例2における交番磁場印
加装置である交番磁界発生部5及び第2直流ソレノイド
部7を用いなかった以外は全て実施例2と同様な方法で
磁気テープを製作した。すなわち、この比較例にあって
は磁性層に水平配向処理のみを施した場合である。上記
各磁気テープの斜め方向の配向度を調べるために各磁気
テープの断面写真による角度解析や保磁力及び角型比
(垂直方向)の磁気特性を試料振動型磁束計(東英工業
製)で測定した。また、磁気テープの表面粗度を3次元
表面粗さ計(ZYGO型)を用いて調べた。これらの結
果を表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】上記結果より、本実施例1、2は比較例
1、2と比較して斜め方向静磁気特性、表面粗度、配向
角度のいずれにおいても改善されて良好な結果を示すこ
とが判明した。特に、実施例2の場合、すなわち乾燥部
8と第2直流ソレノイド部7とを同一装置内に組み込ん
だ場合には、静電気特性、表面粗度及び配向角度共に実
施例1の場合よりも優れていることが判明した。この理
由は、上記乾燥部8と第2直流ソレノイド部7とを組み
合わせることにより配向戻りを大幅に抑制できたからで
あると推測される。
【0038】また、実施例2、比較例1、2により製造
した各磁気テープの実際の再生出力を測定したところ、
図4に示すグラフの結果を得た。このグラフによれば、
実施例2による磁気テープの再生出力は、記録周波数の
短波長域から長波長域まで広い範囲に渡って比較例1、
2による磁気テープよりも高い値となっており、良好な
特性を示していることが判明した。
【0039】上記各実施例にあっては、磁性粉の絡みを
ほぐすための無配向処理として、磁性層に対してこの厚
み方向或いは幅方向のいずれか一方の方向のみから交番
磁場を印加するようにしたが、この磁性粉の絡みを一層
開放するために、厚み方向及び幅方向の両方向から交番
磁場を印加して無配向処理を施すようにしてもよい。
【0040】図5はこのような無配向処理を施す時、す
なわち第3の実施例を行なうための記録媒体形成装置を
示す概略構成図である。この形成装置は、図2に示す装
置において、磁性層4の厚み方向に交番磁場を印加する
第1の交番磁界発生部5と第1直流ソレノイド部6との
間に、フィルム2の移動方向に対して横転させて第2の
交番磁界発生部15を配置し、ここを通る磁性層4の幅
方向に対して交番磁界を印加するように構成されてい
る。この場合にも、この第2の交番磁界発生部15に
は、所定の周波数、例えば50〜60Hzの交流電源1
6を印加する。尚、第1の交番磁界発生部5と第2の交
番磁界発生部15とを前後逆に配置し、磁性層4に対し
て先に幅方向へ交番磁界を印加し、その後、厚み方向に
交番磁界を印加して無配向処理を施すようにしてもよ
い。他の構成部分、すなわち第1直流ソレノイド部6、
第2直流ソレノイド部7及び乾燥部8は、図2において
示したと全く同様に構成されている。
【0041】フィルム1上に塗布された磁性層4が未乾
燥の状態で第1の交番磁界発生部5に入ると磁性層4は
その厚み方向に交番磁界に晒され、これにより図6
(A)に示すように磁性層4中の磁性粉3はその厚み方
向、すなわち上下方向に交番磁界による交流周波数の周
期間隔での磁場反転印加により激しく挙動し、その結
果、主として磁性層4の厚み方向における磁性粉同士の
絡みが緩和される。
【0042】次に、このフィルム1を第2の交番磁界発
生部15に入れ、この未乾燥状態の磁性層4の幅方向に
交番磁界を印加する。これにより図6(B)の特に平面
図側に示すように磁性層4中の磁性粉3はその幅方向に
交番磁界による交流周波数の周期間隔での磁場反転印加
により激しく挙動し、その結果、主として磁性層4の幅
方向における磁性粉同士の絡みが緩和される。このよう
に磁性層4の厚み方向及び幅方向に順次交番磁界を印加
することにより3次元的な磁性粉凝集による絡み付きを
開放することが可能となる。この時の状態は図6(C)
に示されており、断面図及び平面図ともに磁性粉3の絡
みがなくなっている。
【0043】その後は、図3にて説明したと同様にフィ
ルム1を第1直流ソレノイド部6及び乾燥部8と第2直
流ソレノイド部7の組み合わせ装置に順次導入し、任意
の角度で磁化容易軸を斜めに保持したままで強制的に乾
燥処理を行なう(図6(D)、(E))。磁化容易軸の
傾斜角度は、最終段の配向処理、この場合には第2直流
ソレノイド部7における磁場強度を調整することにより
制御する。
【0044】このように、磁性層4にその厚み方向及び
幅方向に順次交番磁場を印加することにより凝集磁性粉
は結果的に3次元的に激しく挙動し、図1及び図2に示
す装置で行なった無配向処理と比較して凝集度合を一層
緩和させることができる。従って、磁性粉3の回転自由
度を一層増加させて且つ回転モーメントを更に減少させ
ることができるので一層高い配向性を得ることが可能と
なる。このような無配向処理は、磁性層4の磁性粉充填
密度を向上させる点においても有効である。また、この
場合においても最終段の斜め配向処理と強制乾燥処理を
同時に行なうことにより磁性粉3の配向戻りを可及的に
防止でき、上述のように一層高い配向比を得ることがで
きる。
【0045】長軸長が0.01〜0.09μm、比表面
積が35m2 /g以上、抗磁力が1800Oe以上、飽
和磁化量が150emu以上の針状メタル磁性粉を図1
及び図2に示す1方向交番磁場印加用の配向装置で配向
処理した時には、ある程度以上改善された磁気性能を引
き出すことができたが、本実施例のように磁性層の厚み
方向及び幅方向の2方向に交番磁場を印加して無配向処
理を施した後に配向処理を施した場合には、更に大幅に
磁気性能を向上させることができた。
【0046】次に、図5に示す装置を用いて実際に製造
された磁気記録媒体の製造方法について説明する。 (実施例3)まず、図5に示すようにポリエステルフィ
ルム2上に、下記に示す組成物よりなる磁性塗料を塗布
装置(グラビア方式、リバース方式、ダイ方式等いずれ
の方式でもよい)によって塗布し、未乾燥の磁性層4を
形成する。
【0047】<磁性塗料組成物> 針状メタル磁性粉 100重量部 塩化ビニル系樹脂 12重量部 ポリウレタン系樹脂 13重量部 ポリイソシアネート 5重量部 研磨剤(アルミナ粉末) 5重量部 ミリスチン酸 1重量部 オレイン酸 1重量部 カーボンブラック 1重量部 トルエン 120重量部 シクロヘキサノン 100重量部
【0048】上記針状メタル磁性粉として、長軸長0.
05μm、保磁力1900Oe、飽和磁化量155(e
mu)のものを使用し、上記組成物をニーダにより60
時間混練後、サンドグラスミルで48時間分散して磁性
塗料を作成した。この磁性塗料をグラビアコータ、リバ
ースロールコータ、エクストルージョンダイコータに代
表されるコータの内、グラビアコータで下記の塗布条件
でポリエステルフィルム2に塗布した。
【0049】<塗布条件> 塗布層の厚さ:1.0μm 塗布速度:30m/分 ポリエステルフィルムの厚さ:10μm
【0050】次に、図5に示される交番磁界発生部5、
15と直流ソレノイド部6、7により配向処理を行な
い、カレンダー処理によって鏡面仕上げが施され、硬化
後スリッターによって裁断し、1/2インチテープを製
作した。交番磁界発生部5、15における発生磁場強度
は、0〜6000Oeの範囲を示し、第1直流ソレノイ
ド部6における発生磁場強度は、0〜8000Oeの範
囲を示し、第2直流ソレノイド部7における発生磁場強
度は0〜4000Oeを示す。実施例3においての配向
条件及び乾燥条件は次の様になる。
【0051】 第1の交番磁界発生部5 : 磁場強度 1900Oe 第2の交番磁界発生部15: 磁場強度 1900Oe 第1の直流ソレノイド部6: 磁場強度 5700Oe 第2の直流ソレノイド部7: 磁場強度 1900Oe 乾燥部8 : 乾燥温度80℃ 熱風速 10m/分
【0052】上記テープの磁性層厚み方向への斜めベク
トル配向度を調べるため、断面写真による解析を行な
い、更には東英工業製試料振動型磁束計(VSM)での
保磁力及び垂直方向の角型比の磁気特性を測定した。ま
たZYGO製3次元表面粗さ計による磁気テープの表面
粗度の測定とスチルテスターによる周波数特性の測定を
実施した。
【0053】これらの結果を下記の表2に示す。 (比較例3)実施例3と同様な方法で磁気テープサンプ
ルを製作した。この場合、第2の交番磁界発生部15の
磁場強度を0Oeとし、図2に示す本発明の実施例2と
同様な方法で製作した。これらの結果を表2に示す。
【0054】
【表2】
【0055】上記結果より、磁性層の厚み方向のみなら
ず磁性層幅方向の交番磁場の印加も行なうことによっ
て、磁性粉4の凝集が少なくなり、直流ソレノイド部
6、7によっての配向効率が格段に向上したことが判明
した。図7は実施例3と比較例3(実施例2)の記録周
波数に対する再生出力特性を示すものであるが、実施例
3の方が全体的に出力の向上が見られ、特に、高波長域
における出力特性の改善を一層図ることができた。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の磁気記録
媒体の製造方法によれば次のように優れた作用効果を発
揮することができる。まず交番磁界を印加して、無配向
状態とし、その後に面内長手方向の磁界と垂直方向の磁
界を別々に印加することによって、任意の角度の斜め方
向の一様な配向を行なうことができる。従って、面内長
手方向の記録と垂直方向の記録との長所を取り入れるこ
とができ、短波長域から長波長域までの広い帯域に渡っ
て良好な記録再生特性を得ることができる。また、一様
な斜め配向を行なうことができることから、磁性層表面
の平滑性も大幅に改善することができる。更には、本発
明方法を実施するための各配向装置は構造が簡単で済
み、コストの上昇を抑制することができる。また、無配
高処理として磁性層の厚み方向と幅方向に交番磁場を印
加して磁性粉を全体として3次元的に挙動させることに
より、磁性粉の凝集度合を大幅に緩和でき、配向比を一
層高めることができ、短波長域から長波長域までの広い
範囲に渡って記録再生特性を一層向上させることができ
る。以上のことにより、磁性粉の塗布型記録媒体でもデ
ジタル記録媒体や高密度アナログ記録媒体へ応用するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法の第1の実施例を実施するための磁
気記録媒体形成装置を示す概略構成図である。
【図2】本発明方法の第2の実施例を実施するための磁
気記録媒体形成装置を示す概略構成図である。
【図3】第1及び第2の実施例における未乾燥状態の磁
性層内の磁性粉の挙動を示す図である。
【図4】本発明方法の実施例2による磁気記録媒体と比
較例の磁気記録媒体の再生特性を示すグラフである。
【図5】本発明方法の第3の実施例を実施するための磁
気記録媒体形成装置を示す概略構成図である。
【図6】第3の実施例における未乾燥状態の磁性層内の
磁性粉の挙動を示す図である。
【図7】本発明方法の実施例3による磁気記録媒体と比
較例3(実施例2)の磁気記録媒体の再生特性を示すグ
ラフである。
【符号の説明】
1…磁気記録媒体、2…PETフィルム(非磁性支持
体)、3…磁性粉(針状メタル磁性粉)、4…磁性層、
5…(第1の)交番磁界発生部、6…第1直流ソレノイ
ド部、7…第2直流ソレノイド部、8…乾燥部、9,1
6…交流電源、10…第1直流電源、11…第2直流電
源、12…バインダー樹脂、15…第2の交番磁界発生
部。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体の表面に、磁性粉を含む磁
    性層を前記表面に対して斜め方向に配列させる磁気記録
    媒体の製造方法において、前記磁性粉に対して無配向処
    理を施し、その後、前記磁性粉に対して前記磁性層の面
    内長手方向に磁界を印加する水平配向処理と前記磁性層
    の厚み方向に磁界を印加する垂直配向処理とを時間的に
    別々に施すことにより前記磁性粉を、前記磁性層の表面
    に対して斜め方向に配列させるように構成したことを特
    徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記無配向処理は、前記磁性層の厚み方
    向或いは幅方向のいずれか一方に交番磁場を印加するこ
    とにより行なうことを特徴とする請求項1記載の磁気記
    録媒体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記無配向処理は、前記磁性層の厚み方
    向に交番磁場を印加する操作と前記磁性層の幅方向に交
    番磁場を印加する操作を時間的に別々に施すことにより
    行なうことを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 前記水平配向処理と前記垂直配向処理の
    内、後段で行なわれる配向処理を施す時に、前記磁性層
    を強制的に乾燥する強制乾燥処理を同時に施すようにし
    たことを特徴とする請求項1乃至3記載の磁気記録媒体
    の製造方法。
JP7810394A 1993-12-29 1994-03-24 磁気記録媒体の製造方法 Pending JPH07235053A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7810394A JPH07235053A (ja) 1993-12-29 1994-03-24 磁気記録媒体の製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5-354480 1993-12-29
JP35448093 1993-12-29
JP7810394A JPH07235053A (ja) 1993-12-29 1994-03-24 磁気記録媒体の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH07235053A true JPH07235053A (ja) 1995-09-05

Family

ID=26419175

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7810394A Pending JPH07235053A (ja) 1993-12-29 1994-03-24 磁気記録媒体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07235053A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH0127487B2 (ja)
JPH07235053A (ja) 磁気記録媒体の製造方法
JPH0156452B2 (ja)
JPS6343811B2 (ja)
JPH0247012B2 (ja)
US5229173A (en) Method of producing a magnetic recording media
JPH02257429A (ja) 垂直磁気記録媒体の配向装置
EP0450956B1 (en) Method of producing magnetic recording media
JPH06103530B2 (ja) 磁気記録媒体の製法
JP2822212B2 (ja) 斜め配向方法及び斜め配向装置
JPH0250531B2 (ja)
JPS6250888B2 (ja)
JPH0370854B2 (ja)
JPH0969229A (ja) 磁気記録媒体の製造方法及び装置
JPS61177632A (ja) 磁気記録塗膜媒体の製造法
JPS6083224A (ja) 磁気デイスクの製造方法
JPH0489623A (ja) 垂直磁気記録媒体の製造法
JPH0489624A (ja) 垂直磁気記録媒体の製造法
JPH0319133A (ja) 磁気記録媒体の配向装置
JPH01235029A (ja) 磁気記録媒体の製造方法
JPH03295028A (ja) 磁気記録媒体の製造方法
JPH06267057A (ja) 磁気記録媒体及びその製造方法
JPH0620274A (ja) 磁気記録媒体の製造方法及び磁気記録媒体製造装置
JPH01185835A (ja) 磁気記録媒体の製造方法
JPH02312017A (ja) 垂直磁気記録媒体の配向装置