JPH0723435Y2 - 圧力タンク型粉粒体切出し装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は圧力タンク型粉粒体切出
し装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術及びその技術的課題】金属精錬設たとえば
溶解炉、混銑炉、取鍋、転炉などの溶湯中に、加炭剤、
脱炭剤、脱酸剤、造さい剤などの粉粒体を吹き込む手段
として、圧力タンクを使用し、これの天井部に投入口
を、下部に切り出し機構と吐出口を設けたものは従来公
知である。このような圧力タンク型粒体切出し装置にお
いては、粉粒体をタンク内に充填し、圧縮エアを併用し
た切り出し機構によって定量的に切り出し、ホースなど
によって目的場所に気流搬送する。したがって、タンク
内の粉粒体が一定残量になるごとに、投入口から粉粒体
を補給することが必要であり、このため、従来では、タ
ンクに投入口に通じるホッパを設け、投入口内にはコー
ン型やバタフライ型などの開閉弁を設け、投入口より側
方にはタンク内の圧力を調整するための排気弁を設けて
いる。そして、粉粒体は一般にコンテナバッグと称する
丈夫な布袋に入れられ、投入に際して、クレーンなどに
よってホッパまで運び、排気弁を開いてタンクの内圧が
大気圧になったところで、コンテナバッグの下端の開閉
蓋部を開放し、タンク内に自由落下させる方法がとられ
る。

【０００３】しかし、この投入時に、粉粒物の流下、堆
積によってタンク内の空間容積が減少する。もとより、
この投入時には排気弁が開かれており、タンク内のエア
を排気しているが、開口面積の大きな投入口から流下す
る粉粒体によるタンクの空間容積の減少速度が早いた
め、排気管によるエア排気が間に合わなくなる。ことに
排気管にはフィルターなどが取付けられている場合に
は、排気効率が低くなるためなおさらである。このた
め、タンク内の圧力が大気圧よりも高くなり、投入の進
行とともに粉粒状物の落ち込み具合が悪くなるととも
に、タンク内で加圧されたエアが逃げ場を失って投入口
からホッパを通って外方に突ぷつする現象が間欠的に反
復される。また、投入の衝撃でタンク内でもダストが発
生しそれが排気管から放出される。このため、大量のダ
ストが発生し、それが周辺にまき散らされるため、作業
環境がきわめて悪化したり、作業員の健康を害するとい
う大きな問題が生じていた。また、加圧エアが排気管か
ら直接放出されるため、甚だしい騒音が発生し、これも
作業環境の面から大きな問題であった。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本考案は前記のような問
題点を解消するために考案されたもので、その目的とす
るところは、比較的簡単な構造により、粉粒体の補給を
迅速に、しかもダストを外部に放出させず、騒音も押え
て円滑に行うことができるこの種の加圧タンク型粉粒体
切出し装置を提供することにある。上記目的を達成する
ため本考案は、耐圧製のタンクの下部に切り出し装置を
内蔵し、タンク上部には開閉弁を有する投入口とその側
方に排気弁を有する排気管とを設け、投入口の上方にガ
イドホッパを設けた形式の加圧タンク型粉粒体切出し装
置において、前記ガイドホッパの外周にフイルタを内蔵
した底付きリング状の処理室を画成し、前記処理室の下
部を排気管に接続するとともに、排気管には排気管下流
方向にエアを導くエゼクタ部を設けたものである。ま
た、本考案の他の目的は、上記に加えて粉粒体の投入に
伴うダストを回収しタンク内に自動的に戻すことができ
るこの種の加圧タンク型粉粒体切出し装置を提供するこ
とにある。この目的を達成するため本考案は、処理室の
下部を下向き傾斜状に構成し、その下端部を回収弁を介
してタンク上部に接続したものである。本考案は、金属
精錬などのための副原料吹込み機、不定形炉材を破損部
位に吹付け補修する炉材吹付け機、モルタルやコンクリ
ートの吹付け機などに使用することができる。

【０００５】

【実施例】以下本考案の実施例を添付図面に基いて説明
する。図１ないし図３は本考案による加圧タンク型粉粒
体切出し装置の一例を示している。１は加圧タンク(サ
イロ)であり、天井部を有する筒状の主部１ａと底部１
ｂからなっており、中間にはつば１０が設けられ、この
つば１０は架台３に設けたロードセル等の計重器３０を
介して支持されている。前記加圧タンク１の底部１ｂに
は切出し装置２が内蔵されている。この切出し装置２は
モータ２２によって駆動される回転軸２２０に取付けら
れた回転フィーダ（ないしはロータ）２０を有し、この
回転フィーダ２０は周縁部にポケット部２１を有してい
る。そして底部１ｂには、前記ポケット部２１に吹出口
を臨ませるようにエア吹込みノズル２３が設けられてお
り、そのエア吹込みノズル２３は配管によって圧縮エア
供給源１８に接続されている。また、前記ポケット部２
１の側方には吐出口としてのノズル２４が設けられ、そ
のノズル２４はホース２５によって所望の粉粒体使用場
所に導かれるようになっている。

【０００６】前記加圧タンク１の主部１ａの天井部に
は、中央に投入口１１が設けられるとともに、それより
も側方には排気管１２が接続されている。前記投入口１
１には外部から操作される開閉弁（投入弁）Ｖ₁が設け
られている。さらに前記投入口１１にはガイドホッパ４
が下部のフランジ４３をもって分離可能に固定されてい
る。前記ガイドホッパ４は図２のようにテーパ部４０と
そのテーパ部４０から上方に伸びる直筒部４１を有し、
さらにその直筒部４１の上端には後述のコンテナバッグ
６を支えるためのラッパ状の支持部４２が設けられてい
る。さらにその支持部４２の外側には、水平状に伸びる
上部プレート４３が設けられている。この上部プレート
４３は開放できるように、好ましくは中間にヒンジ４３
０を有し、後記するダスト処理体５のフィルター８の点
検や交換を容易にしている。

【０００７】５は前記ガイドホッパ４と組み合わされた
ダスト処理体である。このダスト処理体５は、ガイドホ
ッパ４をほぼ同心状に囲む囲壁５０と、その囲壁５０の
下部に設けられた傾斜底壁５３を有し、傾斜底壁５３は
前記テーパー部４０と気密に結合され、かつ前記加圧タ
ンク１の天井部から立ち上がる支柱１７，１７により支
持されている。前記囲壁５０は上方に伸び、上部プレー
ト部４３の下方に対応する部位に排気孔５２，５２が設
けられており、ここからクリーンエアを外部に放出する
ようになっている。

【０００８】前記ダスト処理体５は、したがってガイド
ホッパ４の回りに環状の処理室７を構成しており、その
処理室７の中間部には仕切り壁５１が設けられている。
そしてこの仕切り壁５１の上には、フィルター８が配置
されている。そのフィルター８としては、ろ材に含鹿ガ
スを通して粒子を捕集する形式のものであればどのよう
なものでもよい。この実施例ではバグフィルターを用い
ている。詳しく述べると、仕切り壁５１には開口５１０
が設けられ、その開口５１０の上には金網などからなる
多孔性の支持体８０が設けられ、その支持体８０の外周
にろ布８１が外装されている。前記フィルター８は全体
がリング状でもよいが、この実施例では筒状の支持体８
０とフィルターとろ布８１とを図３に示すように所定の
間隔で配置している。

【０００９】そしてダスト処理体５の上部から所要の領
域にかけては図３に示すように開口５５が設けられ、こ
れに対応してガイドホッパ４の直筒部４１には内部と通
じる開口４５が設けられている。これらの開口４５，５
５はコンテナバッグ６の底蓋を開放操作するための操作
口である。コンテナバッグ６は上部に吊部材６０を有
し、吊部材６０は天井クレーンなどによって吊られ、ガ
イドホッパ４の前記テーパー状支持部４２に据え付けら
れる。前記排気管１２はダスト処理体５の傾斜底壁５３
に上端が接続されている。この接続は実施例では上向き
であるが、横向きすなわちガイドホッパ４のテーパー部
４０の接線方向に開口していても良い。また前記傾斜底
壁５３の最も下位側にはダスト回収管９が接続されてお
り、そのダスト回収管９はダスト回収弁Ｖ₄を介して前
記加圧タンク１の天井部に接続されている。また前記排
気管１２は、中間に排気弁Ｖ₂を有するとともに、これ
よりも下流側にはエゼクター部１３が設けられている。
前記エゼクター部１３は圧縮エアを排気管１２の下流側
に導いて排気管に吸引力を持たせるためのもので、排気
管１２に斜めに通じる導孔１３１を有するリング１３０
を取付け、その導孔１３１にエアホース１３２を接続
し、そのエアホース１３２をエゼクター弁Ｖ₃を介して
圧縮エア供給源に接続している。

【００１０】

【実施例の作用】次に本実施例の使用方法と作用を説明
する。粉粒状物Ａはコンテナバッグ６に充填され、保存
スペース等に置かれている。図１の状態では加圧タンク
１内には粉粒状物Ａが充填されており、投入弁Ｖ₁，排
気弁Ｖ₂，エゼクター弁Ｖ₃およびダスト回収弁Ｖ₄は閉
じられている。この状態で駆動モータ２２を回転すると
ともに圧縮エア供給源１８からエア吹込みノズル２３に
圧縮エアを供給すれば、回転フィーダ２０が回転するこ
とによって、タンク内の紛粒状物Ａはポケット部２１に
充填され、その回転フィーダ２０の回転によってそのポ
ケット部２１が吐出口２４と合致したときに、エア吹込
みノズル２３から吹き込まれる圧縮エアによって吐出口
２４に突出され、ホース２５によって目的場所に気流搬
送され、吹込みや吹付けが行なわれる。

【００１１】このようにして粉粒状物は定量的に切りだ
され、そのタンク内の残量が一定に達すると、計重器３
０からの信号によって粉粒状物の補給の必要性が確認さ
れる。そこでこの補給が必要になった時には、モータ２
２の駆動を止めると共に圧縮エア供給源１８からエア吹
込みノズル２３への圧縮エアの供給を止める。そして、
排気弁Ｖ₂を開く。これによって加圧タンク１内とダス
ト処理体５の処理室７とは排気管１２によって連通す
る。それによって加圧タンク１内の加圧エアは排気管１
２で抽出され、処理室７内に送りこまれ、処理室７内に
はフィルター８が配置されているため、ダストを含むタ
ンク内のエアはフィルター８１を通過することによって
ダストが捕集され、クリーンエアだけダスト処理体上部
の開口５２から放出される。

【００１２】このようにして、加圧タンク１内の圧力が
大気圧に達した段階で、投入弁Ｖ₁を開くとともに、エ
ゼクター弁Ｖ₃を開く。そして操作用の開口４５，５５
から手を挿入し、ガイドホッパー４に配置されているコ
ンテナバッグ６の底蓋を開く。これにより粉粒状物Ａは
ガイドホッパー４を流下して、投入口１１から加圧ンク
１内に自由落下する。そこで投入の開始とともにエゼク
ター弁Ｖ₃を開く。そうすれば圧縮エアはエアホース１
３２を通ってエゼクター部１３に到り、エゼクター部の
導孔１３１から排気管１２に吹き込まれる。この吹込み
によって排気管１２には下流への吸引力が働き、それに
よって加圧タンク１内のエアは効率良く吸引される。こ
のため、コンテナバッグ６から流下する粉粒状物Ａは加
圧タンク１内に吸い込まれることになり、粉粒状物Ａの
落ち込みが非常に良くなる。さらに前記排気管１２の吸
引作用によってタンク内のエアは効率良く処理室７内に
吸引されるため、加圧タンク１内の発塵が防止される。
そして、加圧タンク１から処理室７内に送りこまれた含
鹿エアは、開口５１０からフィルター８を通ることによ
って集塵され、クリーンエアとなって上部の開口５２か
ら外方へ放出される。

【００１３】捕集されたダストは処理室７内に落下し、
その処理室７は傾斜底壁５３を有しているため、ダスト
は傾斜底壁５３の底に溜る。このように効率よく排気が
行なわれるため、加圧タンク１内は、粉粒状物Ａの投入
量が増しても内圧が高くならず、従ってダストを含む加
圧エアがガイドホッパ４を通して外部に突ぷつするとい
うことがなくなり、発塵が押さえられた状態でしかも迅
速にタンク内に投入される。粉粒状物Ａの投入が終了し
たときは投入弁Ｖ₁を閉じる。しかし、このときにはま
だ排気弁Ｖ₂とエゼクター弁Ｖ₃は開の状態に保たれる。
このためタンク内の空間にあるエアは排気管１２を通り
処理室７に入る。そして一方前記投入弁Ｖ₁の閉弁時に
ダスト回収弁Ｖ₄を開放するもので、これによって処理
室７の底に溜っていたダストは、ダスト回収管９を通っ
て、加圧タンク１内に戻される。従って、ダストを別途
回収する作業を要さず、自動的に加圧タンク内に戻すこ
とができる。

【００１４】そして、所定時間の経過後に排気弁Ｖ₂を
エゼクター弁Ｖ₃を閉じ、処理室７内のダストが戻し終
わったときに、ダスト回収弁Ｖ₄を閉じる。ここで再び
前記のように回転フィーダ２０を駆動するとともにエア
吹込みノズル２３からエアを吹き込むことによって、切
出しが行なわれる。

【００１５】なお、前記のように粉粒状物の投入に先立
って加圧タンク内の排気をするときに、排気管１２を処
理室７内に導入し、フィルター８を通すことによってろ
過するようにしているため、ダストの外部への排出が防
止されると同時に、加圧タンク内のエアがボリュームの
大きな処理室７に入れられ、それがろ布を経由して放出
されることになるため、騒音も非常に少ないものにな
る。

【００１６】投入弁Ｖ₁を閉じた後、一定時間の間、排
気弁Ｖ₂とエゼクター弁Ｖ₃を開放したままに保持する
が、場合によっては排気弁Ｖ₂とエゼクター弁Ｖ₃は投入
弁Ｖ₁を閉じると同時に閉じてもよい。この場合には処
理室７内のダストはダスト回収弁Ｖ₄の開放によって自
由落下で加圧タンク１内に落下する。

【００１７】

【考案の効果】以上説明した本考案によれば、加圧タン
ク型の粉粒状物切出し装置において、ホッパー４の外周
にフイルタ８を内蔵した底付きリング状の処理室７を画
成し、前記処理室７の下部を排気管１２に接続するとと
もに、排気管１２には排気管下流方向にエアを導くエゼ
クタ部１３を設けているため、切出し終了後の加圧タン
ク１内のダストの飛散と騒音の低減を図ることができ、
しかも粉粒状物の投入時にはエゼクター部１３からエア
を排気管１２の下流に流すため加圧タンク１内が積極的
に減圧され、それによって粉粒状物の加圧タンク内への
落ち込みが非常によくなり、同時にダストが処理室内の
フィルター８によって集塵されるため、外部へのダスト
の飛散を確実に防止することができ、クリーンな状態で
粉粒状物を投入することができる。さらに処理室７の下
部を下向き傾斜状に構成し、その下部をダスト回収弁Ｖ
₄を介してタンク上部に接続しているため、前記のよう
にフィルター８で捕集されたダストを加圧タンク内に戻
すことができ、従ってダストの回収も自動的に行なわ
れ、排気管を集塵機に接続して吸引する場合のような煩
雑な作業が不要となり、しかもモータ等の特別な設備が
不必要になりスペースの増大を招かない利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案による加圧タンク型粉粒体切出し装置の
一実施例を示す部分切欠側面図である。

【図２】図１の部分的拡大断面図である。

【図３】図２のＸ−Ｘ線に沿う断面図である。

【図４】本考案装置における各弁の作動タイムチャート
を示す説明図である。

【符号の説明】

１…加圧タンク ２…切出し装置 ４…ガイドホッパー ５…ダスト処理体 ６…コンテナバッグ ７…処理室 ８…フィルター ９…ダスト回収管 １１…投入口 １２…排気管 １３…エゼクター部 Ｖ₁…投入弁 Ｖ₂…排気弁 Ｖ₃…エゼクター弁 Ｖ₄…ダスト回収弁

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】耐圧製のタンクの下部に切り出し装置を内
   蔵し、タンク上部には開閉弁を有する投入口とその側方
   に排気弁を有する排気管とを設け、投入口の上方にガイ
   ドホッパを設けた形式の加圧タンク型粉粒体切出し装置
   において、前記ガイドホッパの外周にフイルタを内蔵し
   た底付きリング状の処理室を画成し、前記処理室の下部
   を排気管に接続するとともに、排気管には排気管下流方
   向にエアを導くエゼクタ部を設けたことを特徴とする圧
   力タンク型粉粒体切出し装置
2. 【請求項２】処理室の下部を下向き傾斜状に構成し、そ
   の下端部を回収弁を介してタンク上部に接続したものを
   含む請求項１に記載の圧力タンク型粉粒体切出し装置。