JPH07233197A - 細胞増殖促進作用とマクロファージに対する遊走作用とを有する蛋白、その製法及び用途 - Google Patents

細胞増殖促進作用とマクロファージに対する遊走作用とを有する蛋白、その製法及び用途

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JPH07233197A
JPH07233197A JP6306124A JP30612494A JPH07233197A JP H07233197 A JPH07233197 A JP H07233197A JP 6306124 A JP6306124 A JP 6306124A JP 30612494 A JP30612494 A JP 30612494A JP H07233197 A JPH07233197 A JP H07233197A
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protein
activity
molecular weight
cell growth
gel
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JP6306124A
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Tadashi Yamaguchi
口 忠 志 山
Hiroshi Kamisaka
坂 博 上
Kazuo Watanabe
邊 一 雄 渡
Juichi Awatani
谷 壽 一 粟
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Sanwa Kagaku Kenkyusho Co Ltd
Original Assignee
Sanwa Kagaku Kenkyusho Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 クロストリジウム・パーフリンゲンスの新規
分離株である微工研、FERM BP-4584 の菌体から抽出分
離された蛋白であって、ゲル浸透クロマトグラフィー法
による分子量が 420000 ± 40000、等電点が 4.8 であ
り、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動によれば分子
量 130000 ± 20000 の単一サブユニットから構成され
る酸性の高分子量蛋白である。 【効果】 本物質は、細胞増殖促進作用の他に、マクロ
ファージに対する遊走作用を有しており、従って損傷部
位へのマクロファージの集合と、それによる壊死組織の
除去を促進し、又マクロファ−ジ等が産生する種々の細
胞増殖因子との共同作用により肉芽組織及び表皮の再生
を促し、しかも使用安全性が高い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は細胞増殖促進作用とマク
ロファ−ジに対する遊走作用とを有する新規な蛋白、そ
の製法及びその創傷及び潰瘍治療剤としての用途に係
る。
【0002】
【従来の技術】近年、平均寿命が延びる傾向にあり、延
命医療技術も進歩したが、寝たきり老人が増加して所謂
「床擦れ」の問題が深刻となり、更にはストレスやアレ
ルギーを原因とする皮膚潰瘍や皮膚炎症等も含めた皮膚
の創傷疾患が注目されつつある。このような皮膚疾患
は,患部が広範囲にわたる場合を除いて生命の危険に直
接的な関係はないものと考えられており、その治療に際
しては、一般に皮膚保護剤、抗感染症剤、ステロイドホ
ルモン剤等の局所的塗布投与が行われてきた。これらの
所謂、創傷治療剤としては古くから酸化亜鉛軟膏、ソル
コセリル軟膏 (幼牛全血除蛋白エキス)、ジルダザック
(商標) 軟膏 (ベンザダック)、エレース(商標) 軟膏
(フィブリノリジン、デオキシリボ核酸分解酵素)、カル
タベス (商標) (カルバゾクロム、アルキルジアミノエ
チルグリシン塩酸塩)、AD 軟膏 (強肝油)、アルキサ
(商標) 軟膏 (アルミニウムクロルヒ ドロキシアラント
イネート) 及びオロナイン (商標) 軟膏 (クロルヘキシ
ジン同族体) 等が知られている。しかしながら、これら
は対症療法的なものに過ぎず、抜本的な治療剤ではなか
った。
【0003】創傷による組織障害とその修復過程を検討
すると、その治癒に必要な重要要素としては組織の収
縮、上皮の再生及び肉芽の増殖が挙げられる。そこで最
近の創傷治療の一つの方向性として細胞を増殖させ、組
織修復を促進するような薬物が臨床において用いられつ
つある。そのような具体的な薬剤としてはリフラップ
(商標) 軟膏 (塩化リゾチーム)、オルセノン (商標) 軟
膏 (トレチノイン-トコフェリル)、アクトシン (商標)
軟膏 (ブクラデシンナトリウム) 等を例示することがで
きるが、充分満足するに足る薬物はなく、更に良好な創
傷治療剤の開発が要望されている。このような現状に鑑
みて、本発明者等は皮膚の創傷疾患治療薬物に関して従
前から種々の観点に立って検討を行ってきており、その
結果アルドース還元酵素阻害作用を有するヒダントイン
化合物が糖尿病合併症に伴う皮膚潰瘍の予防と治療に有
効性のあることを見い出し (特開平 3 - 215435 公
報)、又人尿性キニノゲナーゼが血流障害に起因する皮
膚潰瘍の予防と治療に有効であることを見い出している
(特開平 5 - 163158 公報)。更に、本出願人会社はク
ロストリジウム属を含む種々の細菌の培養菌体から得ら
れる蛋白が細胞増殖促進作用を有しており、該蛋白を含
有する軟膏がラットの皮膚全層欠損創傷モデルにおいて
明らかな創傷治癒効果を有することを明らかにしている
(特公平 5 ー 38000 公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のような従来技術
に鑑みて、本発明が解決しようとする課題は、新規にし
て更に有効な創傷治療剤を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明者等は、
既述のように、皮膚の創傷疾患治療に関して様々な面か
らの検討を進め、創傷疾患の治療に有効な物質に関する
探索を鋭意継続して行っている。殊に、皮膚の創傷疾患
全般に有用性があると予測される細胞増殖促進作用を有
する蛋白を求めて、先入観に捉われることなく広く種々
の細菌菌株を探索した結果、クロストリジウム・パーフ
リンゲンス (Clostridium perfringens) の新規分離株
における菌体抽出液中に細胞増殖促進作用を有する未知
の蛋白を見い出した。そこで、上記の新規分離株を Clo
stridium perfringens 7544S と命名すると共に、当該
菌株の産生する細胞増殖促進性蛋白について検討を重ね
た処、この物質はゲル浸透クロマトグラフィーによる分
子量が約 420000 と極めて巨大な分子である点において
特異な蛋白であり且つ蛋白分解酵素活性を有すること並
びに細胞増殖促進作用のみならずマクロファージに対す
る遊走作用をも併せ有しており、細胞の増殖とマクロフ
ァージの遊走と云う創傷治療に極めて適した作用を有す
る蛋白であることを見い出して本発明を完成するに至っ
た。尚、本発明による蛋白を産生する上記の新菌株は、
工業技術院生命工学工業技術研究所 (微工研) に「FERM
P-14028」なる番号を以って寄託され、その後にブタペ
スト条約に基づく国際寄託に移管された (FERM BP-458
4)。
【0006】本発明者等は創傷疾患治療の一側面とし
て、早くから細胞増殖促進作用に着目し、探索を重ねて
きており、その細胞増殖促進作用の評価法は定量的評価
も可能なレベルにまで成熟したものとなっている。従っ
て、この評価系により詳細な解析を行った結果、本発明
による蛋白が有している細胞増殖促進作用は極めて強力
であり、前記の特公平 5 ー 38000 公報に開示されてい
るクロストリジウム・パーフリンゲンス ATCC 21510 由
来の蛋白 (分子量 : 約 160000) と比較した場合に遥か
に強く、約 50 倍の作用強度を有していることが判明し
た。即ち、本発明による蛋白は in vitro 試験において
数 ng/ml - 数10 ng/ml の濃度で細胞増殖促進作用を発
現するのである。更に、同じ濃度範囲でマクロファージ
に対する遊走作用も併せ有しているので、本発明による
蛋白は前記特公平 5 ー 38000 公報に開示されている蛋
白よりも創傷治療に関連して、更に目的に適した物質で
あると云うことができる。
【0007】本発明による蛋白は、クロストリジウム・
パーフリンゲンスの新規分離株 (微工研、FERM BP-458
4) 由来の蛋白であって、下記の物理化学的、生物学的
及び酵素学的特性、即ち (A) 分子量 :高速液体クロマトグラフィー用カラムを用
いたゲル浸透クロマトグラフィー法により求めた場合に
は 420000 ± 40000、 (B) サブユニット構成 :SDS-ポリアクリルアミドゲル電
気泳動を行うと、分子量 130000 ± 20000 の単一サブ
ユニット、 (C) 等電点 :4.8、 (D) 分子内金属 :分子内にカルシウムイオンを有する、 (E) 電気泳動特性 :4 - 20% の直線濃度勾配で作製され
たポリアクリルアミドのミニスラブゲルを用いて、Davi
s (1964 年) の方法に従い、該蛋白の電気泳動分析を p
H 8.3、ゲル当り 20mA の条件下で 2 時間実施した場合
に、単一の染色バンドを示し、その電気易動度は 0.1
以下、 (F) 生物学的活性 :細胞増殖促進作用及びマクロファー
ジに対する遊走作用を有する、 (G) 酵素学的活性 :蛋白分解酵素活性を有する、 (H) 酵素学的性質 : 1) セリンプロテアーゼ阻害剤で活性が低下する、 2) 各種の金属イオンで活性が増強される、 3) カルシウムイオンで活性が安定化される ことによって特徴付けられる。
【0008】本発明方法によれば、上記の蛋白はクロス
トリジウム・パーフリンゲンスFERM BP-4584 を培養
し、その培養菌体又は培養液から抽出分離することによ
り得ることができる。本発明による蛋白の抽出分離は、
一般的な、菌体からの蛋白の抽出方法と蛋白の分離精製
手法により達成できるが、本発明による蛋白は比較的不
安定なために、この点を充分に考慮に入れた方法を選択
採用すべきである。即ち、菌体からの抽出に際しては菌
体を予め、例えば冷アセトンで処理することにより乾燥
菌体となして菌体の自己融解を防止した後、これを超音
波処理若しくはホモジナイザー処理し、更に好ましくは
加圧破砕処理等により菌体を速やかに破砕してから目的
蛋白を抽出するのである。更に、菌体の破砕、蛋白成分
の抽出に際しては当該蛋白の安定性を確保するためにカ
ルシウムイオンの存在下で操作することが好ましい。菌
体を破砕し、蛋白成分を抽出した後に、細胞壁や核等の
不溶性成分を除去する目的で遠心分離を行い、上清画分
を得る。得られた上清画分中には核酸が含まれているた
めに、硫酸プロタミン等の通常使用される除核酸剤によ
る除核酸を行う。
【0009】核酸を除去した抽出液をイオン交換クロマ
トグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、ヒドロキ
シアパタイトクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロ
マトグラフィー等の蛋白精製に通常使用されるカラムク
ロマトグラフィーによって処理して菌体に由来する糖成
分、夾雑蛋白及び残存する硫酸プロタミンを除去し、目
的とする蛋白が存在する画分を分画する。殊に、第一段
階の処理としてはイオン交換クロマトグラフィーが好ま
しく、これに使用するカラム担体としてはDEAE セファ
ロース CL-6B 或いは CM セファロース CL-6B (何れ
も、スウェーデン国在のファルマシア社製) 等の市販ゲ
ルが使用可能である。何れのカラムクロマトグラフィー
を使用する場合にも、本発明による蛋白の安定化のため
に、使用する緩衝液はカルシウムイオンを含有している
ことが望ましい。尚、本発明による蛋白は単離状態では
不安定であり、精製度が高くなるにつれて失活し易くな
るので、カラムクロマトグラフィーは 10℃ 以下の低温
で実施することが望ましく、可能な範囲で高速液体クロ
マトグラフィー装置と高速液体クロマトグラフィー (HP
LC) 用カラムを使用して精製を短時間で迅速に行うこと
が好ましく、余り高度に精製を行わず、薬学的に不活性
で毒性を呈しない範囲で不純物を含有している部分精製
品で留めることが肝要である。
【0010】本発明の 1 観点によれば、上記の蛋白を
有効成分とし、医薬的に受容し得る担体とからなる医薬
組成物が提供される。この医薬組成物は細胞増殖促進が
疾病の治療に有効な分野、例えば創傷、潰瘍 (胃潰瘍、
下腿潰瘍等) の治療に用いられる。これらの目的に使用
するための、本発明による蛋白は、殊に内服とする場合
には、なるべく精製したものを用いることが望ましい
が、既述のように精製度が高いほど安定性が低くなるの
で、医薬として不活性で副作用を呈しない範囲で不純物
を含有していても差し支えはない。これらの目的に使用
する医薬組成物は通常外用もしくは内服の型が好まし
い。外用剤としては軟膏、水性製剤、乳化製剤、点眼
剤、坐剤等を例示することができる。これらの内で、創
傷治療用として最も好ましいのは軟膏である。軟膏の基
剤としては白色ワセリン、精製ラノリン、流動パラフィ
ン、ポリエチレングリコール類、高級脂肪族アルコー
ル、植物油等の通常使用される基剤を用いることができ
る。軟膏剤の調製には常法を適用することができる。こ
れらの製剤中における、本発明による医薬組成物の至適
濃度は製剤の種類によって異なるが、軟膏の場合には、
例えば 0.0025 - 0.08 重量% 程度である。尚、軟膏と
する場合に亜鉛化合物を添加することが好ましい。この
ような軟膏は、本発明による医薬組成物の創傷治癒効果
を更に増強したものとなる。亜鉛化合物としては酸化亜
鉛、脂肪酸亜鉛、有機酸亜鉛、無機酸亜鉛等が含まれ、
例えばステアリン酸亜鉛、乳酸亜鉛、酢酸亜鉛、塩化亜
鉛等を例示することができる。これらの内でも酸化亜
鉛、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸亜鉛及び乳酸亜鉛、酢
酸亜鉛等の有機酸亜鉛が好適であり、殊に酸化亜鉛及び
脂肪酸亜鉛が好ましい。本発明による医薬組成物と亜鉛
化合物、例えば酸化亜鉛との使用割合 (重量比) は 1 :
2000 - 8000 が適切である。又、本発明による医薬組
成物と脂肪酸亜鉛との使用割合 (重量比) は 1 : 400-
4000 が適切である。軟膏は患部に通常 1 日当り 1 -
数回塗布すればよい。軟膏には品質特性を向上させるた
めに湿潤剤、安定剤、防腐剤、ゲル化剤等の従来汎用さ
れているものを含有させることもできる。本発明による
蛋白を用いて内服用医薬組成物を調製する場合に、剤型
としては錠剤、散剤、カプセル剤、水性製剤、乳化製剤
等であることができ、基剤や調製法自体は慣用の技術を
利用することができる。内服する場合に、本発明による
蛋白の投与量は創傷部位、創傷の大きさ等により増減さ
れるが、通常成人 1 日当り 50mg - 2g であり、 2 - 3
回に分けて投与するのが好ましい。尚、本発明による
蛋白は約 10 倍の水に溶解させることにより容易に水溶
液となすことができる。この水溶液を用いて内服用或い
は外用水性製剤、内服用又は外用乳化製剤、点眼剤等に
製剤化することができる。
【0011】
【実施例等】次に、製造例及び試験例により本発明を更
に詳細に且つ具体的に説明する。製造例 (1) 菌体の培養 凍結乾燥され、バイアルに保存されていたクロストリジ
ウム・パーフリンゲンスの新規分離株 [「Clostridium
perfringens 7544S」と命名、微工研に寄託("FERM P-14
028"、後に国際寄託に移管 "FERM BP-4584")] を取り出
し、予めオートクレーブ滅菌した 10ml の GYPC 培地に
移植し、嫌気条件下で復元培養(37℃、20 時間) した。
復元した培養菌懸濁液 10ml をオートクレーブ滅菌した
400ml の GYPC 培地に接種し、嫌気条件下で増菌培養
(37℃、20 時間) した。この増菌培養した培養菌懸濁液
を 200 リットル容の培養槽に入れ、オートクレーブ滅
菌した 200 リットルの GYPC 培地に接種し、窒素ガス
通気下に 37℃ で培養した。培養開始後、経時的に培養
菌懸濁液の一部を抜き取り、濁度を日立分光光度計100-
20 型を用い 660nm で測定した。培養開始後 4 - 6 時
間目で吸光度が定常期を示した培養菌懸濁液を連続遠心
分離機にかけて 15000rpm で遠心分離して生菌を得た。
得られた生菌を 0.9% 食塩水溶液 300ml で洗浄した。
洗浄後に冷アセトン 3 リットルを添加して充分に懸濁
させ、次いで濾過してアセトンを除去した。得られた菌
体を乾燥し、乾燥菌体 130g を得た。尚、200 リットル
の培養液について同定試験を行った結果、クロストリジ
ウム・パーフリンゲンスに属するものであることが確認
された。
【0012】(2) 菌体からの抽出 前項で得た乾燥菌体 3kg を 200 リットルの 2mM 塩化
カルシウム含有 0.02Mトリス塩酸緩衝液 (pH 8.0) に懸
濁させ、この懸濁液を APV ゴーリン社製のマントンゴ
ーリン型高圧破砕機に 450kg/cm2 の操作圧で流して菌
体を破壊させた。次いで、8000 x g で 30 分間遠心し
て上清を採取し、4℃ で 8% 硫酸プロタミン水溶液 (pH
7.0) を 1 リットル添加し、4℃ で 15 分間攪拌する
ことにより除核酸処理した。得られた液を 4℃ におい
て 8000 x g で 30 分間遠心して上清を採取し、これを
粗抽出液とした。これらの操作によって該粗抽出液に細
胞増殖促進作用が認められるようになった。
【0013】(3) 細胞増殖促進蛋白の部分精製品の製造 以降の全ての操作は 4℃ の低温室内で実施された。先
ず、2mM 塩化カルシウムを含有する 20mM トリス塩酸緩
衝液 (pH 8.0) で洗浄・平衡化した DEAE-セファロース
CL-6B カラム (直径 37cm x 長さ 30cm) に前項で得た
粗抽出液を吸着させ、同じ緩衝液により非吸着成分を洗
除した後、280nm での吸光度が充分下がったことを確認
し、次に 0.2M 塩化ナトリウムと2mM 塩化カルシウムを
含有する 20mM トリス塩酸緩衝液 (pH 8.0) で溶出さ
せ、細胞増殖促進活性を有する画分を集め、排除限界分
子量 50000 の限外濾過装置(旭化成工業株式会社製) に
より蛋白成分を濃縮した。この濃縮液に冷却した蒸留水
を添加して限外濾過による脱塩を更に行い、充分に脱塩
された濃縮液を透析チューブに入れ、4℃ に冷却された
蒸留水に対して透析処理した。透析内液の不溶物を除去
した後に凍結乾燥を行い、凍結乾燥粉末を得た。乾燥菌
体 3kg 当りの収量は約 100g である。この部分精製品
が後記の「製剤例」に示されるように軟膏として製剤化
され、この軟膏が薬理試験例 3 において使用された。
【0014】(4) 蛋白の精製 (別法) 全ての操作は 4℃ 又は氷冷下で実施し、又精製操作に
際しては常にカルシウムイオン含有緩衝液を使用した。
2mM 塩化カルシウムを含有する 20mM トリス塩酸緩衝液
(pH 8.0) で平衡化した DEAE-セファロース CL-6B カ
ラム (直径 37cm x 長さ 30cm) に、既述の第(2) 項で
得た粗抽出液を吸着させ、同緩衝液で非吸着部分を洗除
した後、280nmでの吸光度が充分下がったことを確認
し、次に 0.2M 塩化ナトリウムと 2mM 塩化カルシウム
を含有する 20mM トリス塩酸緩衝液 (pH 8.0) で溶出さ
せ、細胞増殖促進活性を有する画分を集め、排除限界分
子量 100000 の限外濾過膜 (富士フィルター株式会社
製) により蛋白成分を濃縮した。次ぎに、この濃縮液を
0.1M塩化ナトリウム及び 2mM 塩化カルシウムを含有す
る 10mM ビストリス塩酸緩衝液 (pH 6.8) で平衡化した
セファクリル S-300HR カラム (5cm x 90cm, ファルマ
シア社製) に流してゲル濾過を行うことにより分子量 4
00000 - 450000 の位置に溶出する活性画分を集め、排
除限界分子量 30000 の限界濾過膜 (富士フィルター株
式会社製) で蛋白成分を濃縮した。これ以降の精製操作
には高速液体クロマトグラフィー (HPLC) を用いること
によって分離能を高め、又操作を迅速に行うことによっ
て活性の低下を抑えた。即ち、この濃縮した活性画分を
東ソー株式会社製のヒドロキシアパタイトカラム TSKge
l HA-1000 (21.5 x 150mm) に吸着せしめた後、1 - 400
mM 燐酸ナトリウム緩衝液 (pH 6.8) の直線濃度勾配に
より吸着成分を溶出させた。その後に活性画分を集め、
ファルマシア社製のイオン交換カラム Mono Q HR10/10
(10 x 100mm) に吸着せしめた後、塩化ナトリウムの 50
- 250mM の直線濃度勾配により吸着成分を溶出させ
た。この活性画分を上記のヒドロキシアパタイトカラム
TSKgel HA-1000 に再度吸着させ、今度は 1 -200mM の
燐酸ナトリウム緩衝液 (pH 6.8) の直線濃度勾配により
吸着成分を溶出させた。活性を有する主要ピ−ク画分を
集め、この活性画分を排除限界分子量 30000の遠心分離
式限外濃縮装置 (アミコン社製の「セントリプレップ」
商標) にて濃縮し、最後に 0.1M 塩化ナトリウムと 0.1
mM 塩化カルシウムを含有する 20mMビストリス塩酸緩衝
液 (pH 6.8) で平衡化したゲル浸透クロマトグラフィー
カラム TSKgel G3000SW (21.5 x 600mm, 東ソー株式会
社製)に流して増殖促進活性を有する分子量 400000 以
上の位置に溶出する主要な蛋白ピ−ク部分を集め、20%
グリセロールを添加して ー80℃ で凍結させ、これを最
終精製品として保存した。この精製品が、蛋白の物理化
学的、生物学的及び酵素学的特性の同定並びにin vitro
試験 (薬理試験例 1 及び 2) に供された。
【0015】(5) 物理化学的性質 この細胞増殖促進蛋白の物理化学的性質は下記の通りで
あった。 (A) 分子量 高速液体クロマトグラフィー装置としてウォーターズ社
製 625LC system を用い、東ソー株式会社製のゲル浸透
クロマトグラフィー用カラム TSKgelG4000SWXL (内径
7.8mm, 長さ 300mm) を 0.1M 塩化ナトリウム含有 0.05
M 燐酸緩衝液 (pH 6.8) で平衡化し、蛋白の分析に供し
た。別に、分子量算出のための検量線用にβ-ガラクト
シダーゼ (分子量 : 465000)、グルタミン酸デヒドロゲ
ナーゼ (分子量 : 290000)、乳酸デヒドロゲナーゼ (分
子量 : 142000)、エノラーゼ (分子量 : 67000)、アデ
ニル酸キナーゼ (分子量 : 32000)、チトクロームC (分
子量 : 12400) についても同じ条件で分析し、それぞれ
の保持時間と分子量との関係を線形化した回帰式から導
いた当該蛋白の分子量は約 420000 (誤差範囲 : 420000
± 40000) であった。
【0016】(B) サブユニット構成 該蛋白を Laemmli の方法 ["Nature", Vol. 227, pages
680 (1970 年)] に従って、SDS 含有 10% ポリアクリ
ルアミドゲル電気泳動に供した。分子量算出のための検
量線用にミオシン (分子量 : 212000)、α2-マクログロ
ブリン (分子量: 170000)、β-ガラクトシダーゼ (分子
量 : 116000)、トランスフェリン (分子量 : 76000)、
グルタミン酸デヒドロゲナーゼ (分子量 : 53000) につ
いても同じ条件で分析し、それぞれの易動度と分子量と
の関係を線形化した回帰式から分子量を算出した。ゲル
中の蛋白の染色はクーマジーブリリアントブルー R-250
を用いて行った。該蛋白は分子量 130000 (誤差範囲 :
130000 ± 20000) の単一の蛋白染色バンドを示し、蛋
白を構成するペプチド鎖の最小単位が分子量約130000
のサブユニットであることが判明した。
【0017】(C) 等電点 該蛋白をバイオラッド社製の無担体等電点電気泳動装置
(「ロトフォア」商標) により分析した。pH 勾配形成
試薬として、pH 3.0 - 10.0 のバイオライト(バイオラ
ッド社製) を使用し、泳動後に全体を 20 画分に分けて
それぞれのpH、蛋白濃度、蛋白分解酵素活性、細胞増殖
促進活性を測定した。蛋白濃度、蛋白分解酵素活性、細
胞増殖促進活性はすべて pH 4.8 の同じ画分に存在し、
等電点は 4.8 であった。
【0018】(D) アミノ酸組成 該蛋白を 6 規定塩酸により 110℃ で 24 時間又は 48
時間処理して加水分解させることにより検体とし、これ
を日立製作所製 L-8500 型高速アミノ酸分析装置により
分析した。システインについては該蛋白を過蟻酸で酸化
することにより、システイン酸に変換後、上記の条件下
で 24 時間加水分解して検体とした。そのアミノ酸組成
は下記の表 1 に示される通りであった。このアミノ酸
組成から明らかなように、該細胞増殖促進性蛋白を構成
するアミノ酸はアスパラギン/アスパラギン酸が最も多
く、次いでリジンとグルタミン/グルタミン酸が多かっ
た。尚、システインの量割合が極めて少ないという特徴
を有しており、トリプトファンはこの分析法では検出す
ることができなかった。
【0019】
【表1】
【0020】(E) 構成金属イオン 偏光ゼーマン原子吸光光度計 (日立製作所製、180-80
型) により、該蛋白に含まれる金属イオンの分析を行っ
た処、下記の表 2 に示される通りであり、分子量約 13
0000 のサブユニット 1 分子当り 4 個のカルシウム原
子が検出された。マグネシウム及び亜鉛は検出されなか
った。
【0021】
【表2】
【0022】(F) 電気泳動特性 4 - 20% の直線濃度勾配で作製されたポリアクリルアミ
ドのミニスラブゲルを用い且つ Davis の方法 ["Ann.
N. Y. Acad. Sci.", Vol. 121, page 404,(1964)] に従
い、該蛋白の電気泳動分析を pH 8.3、ゲル当り 20mA
の条件下で2 時間泳動した。ゲル中の蛋白の染色はクー
マジーブリリアントブルー R-250を用いて行った。本物
質は単一の染色バンドを示し、その電気易動度は 0.07
であった。
【0023】(6) 酵素学的性質 本細胞増殖促進蛋白は蛋白分解酵素活性を有しており、
生物活性との相関が高いことが判明した。この活性の酵
素学的性質は下記の通りであった。 (A) 天然基質 (蛋白) に対する反応性 カゼイン、ウシ血清アルブミン、コラーゲン、ウシ γー
グロブリン及び卵白リゾチームに対する該蛋白の反応性
を検討した処、下記の表 3 に示されるようにカゼイン
を分解したが、他の蛋白は分解されなかった。
【0024】
【表3】
【0025】(B) 発蛍光性合成基質に対する反応性 各種の発蛍光性合成基質に対する、本発明による蛋白の
反応性を検討した。結果は下記の表 4 に示される通り
であり、該蛋白は C 末端に芳香族アミノ酸を有する合
成基質を選択的に分解し、殊にサクシニル-アラニルーア
ラニループロリルーフェニルアラニン 4ーメチルークマリル
ー7ーアミドに対する反応性が最も高かった。
【0026】
【表4】
【0027】(C) カゼイン分解活性の至適 pH Kunitz の方法 ["J. Gen. Physiol.", Vol. 30, page 2
91 (1947)] に準じてカゼイン分解活性を測定し、その
至適 pH を求めた処、8.0 であった。
【0028】(D) 合成基質分解活性に関する速度論的解
析 サクシニル-アラニルーアラニループロリルーフェニルアラ
ニン 4ーメチルークマリルー7ーアミドを基質とした場合の
至適 pH は 6.2 - 7.0 であった。この基質に対する速
度論定数を求めた結果は下記の表 5 に示される通りで
あった。
【0029】
【表5】
【0030】(E) 酵素活性阻害物質 サクシニル-アラニルーアラニループロリルーフェニルアラ
ニン 4ーメチルークマリルー7ーアミドを基質とした本発明
による蛋白の酵素活性に対する各種の酵素阻害剤の影響
を調べた。結果は下記の表 6 に示されている通りであ
り、強い阻害作用を示したのはセリン酵素の阻害剤であ
るジイソプロピルフルオロ燐酸とトルエンスルホニルフ
ルオライドおよび金属キレート剤であるエチレンジアミ
ン四酢酸であった。
【0031】
【表6】
【0032】(7-A) 活性に対する金属イオンの影響 サクシニル-アラニルーアラニループロリルーフェニルアラ
ニン 4ーメチルークマリルー7ーアミドを基質とした、本発
明による蛋白の酵素活性に対する各種の金属イオンの影
響を調べた。結果は下記の表 7 に示されている通りで
あり、何れの金属イオンも活性を増強させる作用を示し
たが、殊に鉄と亜鉛が、次いでカルシウムとマグネシウ
ムが顕著な作用を示した。
【0033】
【表7】
【0034】(7-B) 安定性に対する金属イオンの影響 本発明による蛋白の安定性に対する金属イオンの影響を
サクシニル-アラニルーアラニループロリルーフェニルアラ
ニン 4ーメチルークマリルー7ーアミドを基質とした酵素活
性により評価した。即ち、各濃度の金属イオンと 37℃
で 4 時間反応させた後の残存活性を調べた結果は下記
の表 8 に示されている通りであり、ナトリウムとカリ
ウムのイオンは 10mM で影響を与えなかったが、1mM の
二価鉄、三価鉄、銅及び亜鉛イオンは該蛋白の安定性を
低下させた。尚、カルシウムイオンは該蛋白に対する安
定化作用を示した。
【0035】
【表8】
【0036】薬理試験例 1 (細胞増殖促進作用) 細胞増殖促進作用は、BHK-21(C-13) 細胞を用いた細胞
培養系で評価した。細胞は、10% ウシ胎児血清含有イ−
グルの MEM 培地を用い、37℃ の炭酸ガスインキュベー
タ (5% 二酸化炭素, 95% 空気環境下) で 3 日間培養し
たものを96 穴マイクロプレ−トに細胞 1200個/穴 で播
種し、更に 24 時間培養して試験に供した。本発明によ
る蛋白は、10% ウシ胎児血清含有イ−グルの MEM 培地
で希釈・調製した。この溶液で既述の 96 穴マイクロプ
レ−トの培地を交換した後に、更に上記の炭酸ガスイン
キュベータで 2 日間インキュベ−トした。次いで、培
地を除去し、細胞 を PBS (0.9% 食塩を含む燐酸緩衝
液) で洗浄し、0.6 規定のトリクロロ酢酸で固定し、更
にエタノ−ルで洗浄し乾燥させた。細胞の増殖は、3,5-
ジアミノ安息香酸による DNA 定量法 [Kissane, J. M.
及び Robins, E., "J. Biol. Chem.", Vol. 238, page
184 (1958)] で測定した。その結果、本発明による細胞
増殖促進蛋白は、10% ウシ胎児血清含有イ−グルの MEM
培地で増殖する BHK-21(C-13) 細胞を更に増殖促進さ
せる作用を有していることが確認された。又、本発明に
よる蛋白の細胞増殖促進作用を既述の特公平 5 ー 38000
公報に開示されている、クロストリジウム・パーフリ
ンゲンスATCC 21510 由来の分子量約 160000 を有する
蛋白の細胞増殖促進作用とを比較した結果、本発明によ
る蛋白の方が約 50 倍強力であることが判明した (図 1
参 照)。
【0037】薬理試験例 2 (マクロファージ遊走作用) マクロファージ遊走作用は、マウス腹腔マクロファージ
に対する作用をボイデンのチャンバー法 [Boyden, S.,
"J. Exp. Med.", Vol. 115, page 453 (1962)]に従っ
て評価した。マクロファージは、C3H/He マウス (雄性,
5 - 6 週齢) の腹腔に 10% プロテオースペプトンを投
与し、4 日後に脱血後採取した。これを 0.5% ウシ血清
アルブミンを含有する RPMI 1640 培地に懸濁し、細胞
浮遊液 (1.5 x 106 個/ml) として試験に供した。本発
明による蛋白は、0.5% ウシ血清アルブミンを含有する
RPMI 1640 培地で希釈・調製したものを試料溶液とし
た。ボイデンチャンバー ("CHEMOTAXICELL", 膜孔径 5
μm, クラボウ株式会社製)は、上室に細胞浮遊液 200μ
l、下室に試料溶液を各々入れた。これを、炭酸ガスイ
ンキュベータ (5% 二酸化炭素, 95% 空気環境下) を用
い 37℃ において 90分間インキュベートし、膜下面に
遊走した細胞を染色し、顕微鏡下 (x 400) で染色され
た細胞数の計数を行なった。その結果、本発明による蛋
白は、マウス腹腔マクロファージに対して、正の走化性
を示した (図 2 参照)。
【0038】薬理試験例 3 (皮膚潰瘍に対する臨床効
果) 本発明による蛋白を使用した製剤の臨床使用における有
用性について検討し、その臨床的有用性を以下のように
確認した。 (1) 至適用量設定試験 皮膚潰瘍 [褥瘡、熱傷潰瘍、外傷性潰瘍、下腿潰瘍 (静
脈瘤症候群を含む)、その他の皮膚潰瘍 (帯状疱疹後潰
瘍、放射線潰瘍、薬物潰瘍、糖尿病性潰瘍、術後潰瘍
等)] を有する患者 (256 名) を対象とし、二重盲検法
により、本発明による蛋白の至適濃度を軟膏剤に関して
比較検討した。軟膏基剤群を含む 4 群[軟膏基剤群 (P
群)、低用量群 (L 群)、中用量群 (M 群)、高用量群 (H
群) を設定し、4 週間の投与期間で評価した。結果は
下記の表 9 に示される通りであり、本発明による蛋白
を含有している軟膏は有用な皮膚潰瘍治療剤であり、そ
の至適濃度は中用量の 0.01 重量% であることが確認さ
れた。
【0039】
【表9】
【0040】(2) 長期使用試験 上記の第 (1) 項における試験により軟膏剤の場合の至
適濃度が 0.01 重量%であることが判明したので、当該
蛋白濃度の軟膏剤を難治性皮膚潰瘍に対して長期間使用
して、その有効性及び安全性をオープン法により検討し
た。即ち、皮膚潰瘍を有する患者であって、4 週間以上
の治療が必要と診断された患者 (279名) を対象に実施
した。使用期間は原則として 12 週間とし,治癒した場
合はその時点で終了することとし、尚、12 週使用時の
評価で有用性が認められ且つ被験者が希望する場合は継
続使用してもよいこととした。結果は下記の表 10 に示
される通りであり、難治性の皮膚潰瘍患者に対する有効
性及び長期間使用における安全性が確認された。
【0041】
【表10】
【0042】製剤例 下記の処方で、常法により軟膏剤を調製した。 部分精製蛋白 [製造例の (3) 項による] 10 (mg) 白色ワセリン 72.5 (g) 流動パラフィン 10 (g) 晒しミツロウ 10 (g) ステアリン酸亜鉛 7.5 (g)
【0043】
【発明の効果】本発明による蛋白は細胞増殖促進作用
と、従来、この種の薬物には認められないマクロファー
ジに対する遊走作用とを併せ有しているために、マクロ
ファージの集合により壊死組織の除去を促進し、又マク
ロファージ等が産生する種々の増殖因子と共同して肉芽
組織及び表皮の再生を促し、更に使用安全性も極めて高
いので、創傷や潰瘍の治療用として優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による蛋白と、特公平 5 - 38000 公報
に開示されているクロストリジウム・パーフリンゲンス
ATCC 21510 由来の分子量約 160000 の蛋白との細胞増
殖促進作用における比較を示したグラフである。
【図2】本発明による蛋白がマクロファージに対する遊
走作用を示すことをボイデンチャンバー法により調べた
結果を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 38/00 ADS C12P 21/00 A 9282−4B //(C12P 21/00 C12R 1:145) (72)発明者 粟 谷 壽 一 愛知県名古屋市東区東外堀町35番地 株式 会社三和化学研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クロストリジウム・パーフリンゲンスの
    新規分離株 (微工研、FERM BP-4584) 由来の蛋白であっ
    て、下記の物理化学的、生物学的及び酵素学的特性、即
    ち (A) 分子量 :高速液体クロマトグラフィー用カラムを用
    いたゲル浸透クロマトグラフィー法により求めた場合に
    は 420000 ± 40000、 (B) サブユニット構成 :SDS-ポリアクリルアミドゲル電
    気泳動を行うと、分子量 130000 ± 20000 の単一サブ
    ユニット、 (C) 等電点 :4.8、 (D) 分子内金属 :分子内にカルシウムイオンを有する、 (E) 電気泳動特性 :4 - 20% の直線濃度勾配で作製され
    たポリアクリルアミドのミニスラブゲルを用いて、Davi
    s (1964 年) の方法に従い、該蛋白の電気泳動分析を p
    H 8.3、ゲル当り 20mA の条件下で 2 時間実施した場合
    に、単一の染色バンドを示し、その電気易動度は 0.1
    以下、 (F) 生物学的活性 :細胞増殖促進作用及びマクロファ−
    ジに対する遊走作用を有する、 (G) 酵素学的活性 :蛋白分解酵素活性を有する、 (H) 酵素学的性質 : 1) セリンプロテアーゼ阻害剤で活性が低下する、 2) 各種の金属イオンで活性が増強される、 3) カルシウムイオンで活性が安定化される ことによって特徴付けられる、蛋白。
  2. 【請求項2】 クロストリジウム・パーフリンゲンスの
    新規分離株 (微工研、FERM BP-4584) 由来の蛋白であっ
    て、下記の物理化学的、生物学的及び酵素学的特性、即
    ち (A) 分子量 :高速液体クロマトグラフィー用カラムを用
    いたゲル浸透クロマトグラフィー法により求めた場合に
    は 420000 ± 40000、 (B) サブユニット構成 :SDS-ポリアクリルアミドゲル電
    気泳動を行うと、分子量 130000 ± 20000 の単一サブ
    ユニット、 (C) 等電点 :4.8、 (D) 分子内金属 :分子内にカルシウムイオンを有する、 (E) 電気泳動特性 :4 - 20% の直線濃度勾配で作製され
    たポリアクリルアミドのミニスラブゲルを用いて、Davi
    s (1964 年) の方法に従い、該蛋白の電気泳動分析を p
    H 8.3、ゲル当り 20mA の条件下で 2 時間実施した場合
    に、単一の染色バンドを示し、その電気易動度は 0.1
    以下、 (F) 生物学的活性 :細胞増殖促進作用及びマクロファ−
    ジに対する遊走作用を有する、 (G) 酵素学的活性 :蛋白分解酵素活性を有する、 (H) 酵素学的性質 : 1) セリンプロテアーゼ阻害剤で活性が低下する、 2) 各種の金属イオンで活性が増強される、 3) カルシウムイオンで活性が安定化される ことによって特徴付けられる蛋白を有効成分として含有
    していることを特徴とする、組成物。
  3. 【請求項3】 創傷及び潰瘍の治療に用いられることを
    特徴とする、請求項2 に記載の組成物。
  4. 【請求項4】 外用剤であることを特徴とする、請求項
    2 又は 3 に記載の組成物。
  5. 【請求項5】 軟膏であることを特徴とする、請求項 2
    - 4 の何れか 1 つに記載の組成物。
  6. 【請求項6】 クロストリジウム・パーフリンゲンスの
    新規分離株 (微工研、FERM BP-4584) を培養し、培養菌
    体又は培養液から下記の物理化学的、生物学的及び酵素
    学的特性、即ち (A) 分子量 :高速液体クロマトグラフィー用カラムを用
    いたゲル浸透クロマトグラフィー法により求めた場合に
    は 420000 ± 40000、 (B) サブユニット構成 :SDS-ポリアクリルアミドゲル電
    気泳動を行うと、分子量 130000 ± 20000 の単一サブ
    ユニット、 (C) 等電点 :4.8、 (D) 分子内金属 :分子内にカルシウムイオンを有する、 (E) 電気泳動特性 :4 - 20% の直線濃度勾配で作製され
    たポリアクリルアミドのミニスラブゲルを用いて、Davi
    s (1964 年) の方法に従い、該蛋白の電気泳動分析を p
    H 8.3、ゲル当り 20mA の条件下で 2 時間実施した場合
    に、単一の染色バンドを示し、その電気易動度は 0.1
    以下、 (F) 生物学的活性 :細胞増殖促進作用及びマクロファ−
    ジに対する遊走作用を有する、 (G) 酵素学的活性 :蛋白分解酵素活性を有する、 (H) 酵素学的性質 : 1) セリンプロテアーゼ阻害剤で活性が低下する、 2) 各種の金属イオンで活性が増強される、 3) カルシウムイオンで活性が安定化される ことによって特徴付けられる蛋白を抽出分離することを
    特徴とする、蛋白の製法。
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