JPH07232652A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 電動モータ駆動力の伝達部を構成するラック
・ピニオンギアの噛合部に発生する歯面応力を抑制する
ことのできる電動パワーステアリング装置を提供する。 【構成】 電動モータ（６）の駆動力を伝達するための
ピニオン（９）と、これに同期して電動モータ（６）に
より駆動される複数のピニオン（３）とを有し、ピニオ
ン（９）とピニオン（３）とを同期させてこれらと噛合
するラック（１０）を動作させるようにした電動パワー
ステアリング装置。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、電動パワーステアリン
グ装置に関し、詳しくは、運転者のステアリングホイー
ルを介してなされる車輪操舵の操作力を軽減するため
に、電動モータによりラックピニオンを介してリンク機
構を動作させるようにした電動パワーステアリング装置
に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のこの種の電動パワーステアリング
装置として、実開昭６２−９０２６９号公報に開示され
ているものがある。この例は、左右の車輪を連結する操
舵用リンク機構にラックを組込み、このラックを電動モ
ータにより減速機およびピニオンを介して変位させ、ス
テアリングホイール（ハンドル）操作による操舵力を助
勢するようにしたものである。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の電動パワーステアリング装置では、電動モータの出
力を減速機を介してピニオンに伝達し、ピニオンを回転
させラックを変位させることによりハンドルによる操作
力を助勢するように制御されるが、ハンドル側のピニオ
ンと噛合するラックは電動モータの出力にかかわりがな
いため電動モータ側のラックとピニオンとの噛合部には
その歯型同士の間に許容歯面応力を越えるような歯面応
力が発生し、歯面疲労や摩耗が生じ易いという問題があ
り、パワーステアリングの特性が劣化する虞があった。

【０００４】また、車両が大型の場合は出力の大きい電
動モータが要求されることから装置自体の大型化を招き
搭載が難しくなる。

【０００５】本発明の目的は、上述したような従来の問
題に着目し、その解決を図るべく、電動モータ駆動力の
伝達部を構成するラック・ピニオンギアの噛合部に発生
する歯面応力を抑制することのできる電動パワーステア
リング装置を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに、本発明は、電動モータの駆動力を伝達するための
ピニオンを有し、該ピニオンに噛合するラックを前記電
動モータの駆動により動作させてハンドル操作時の操作
力を軽減させるようにした電動パワーステアリング装置
において、前記電動モータにより駆動されるピニオンを
複数形成し、該複数のピニオンは同期して前記ラックを
動作させるようにしたことを特徴とするものである。

【０００７】

【作用】本発明によれば、ハンドル操作時に駆動される
電動モータの駆動力により第１のピニオンを介してラッ
クを動作させ、操作力を軽減させるように作用すると共
に電動モータによって複数のピニオンを同期して駆動さ
せるようにしたので、駆動力が複数のピニオンとに分散
されてラックに伝達されることによりラックとピニオン
との噛合部に発生する歯面応力の低減を図ることがで
き、疲労破壊や摩耗が生じるのを抑制することができ
る。また、ハンドル操作軸に連結されたピニオンを複数
のピニオンの中の１つとする形態にすれば、このハンド
ル操作軸に連結されたピニオンを電動モータにより同期
駆動させることであらたにピニオンを設けなくて済む。

【０００８】

【実施例】以下に、図面に基づいて本発明の実施例を詳
細かつ具体的に説明する。

【０００９】図１は本発明の一実施例を示す。ここで、
１は操作用のハンドル、２は操作軸、３は操作軸２の端
部に連結されたピニオン（第２ピニオンという）、４は
操作軸２に第２ピニオン３と同軸に設けられ、ピニオン
ギア５と噛合するホイールギアであり、６はパワーステ
アリング用の電動モータである。電動モータ６にはその
両側に電動モータ６によって駆動されるピニオンギア５
とピニオンギア７とが同軸に設けられていて、ピニオン
ギア７はホイールギア８と噛合し、ホイールギア８と同
軸のピニオン（第１ピニオンという）９を回転駆動させ
る。なお、第２ピニオン３および第１ピニオン９には共
にラック１０と噛合し、同方向の回転によりラック１０
を同方向に移動可能なようにそれぞれ歯形が形成されて
いる。

【００１０】１１は車輪１２Ａおよび１２Ｂとラック１
０との間に設けられているリンク機構であり、ラック１
０の矢印Ｓ方向の変位によりリンク機構１１を介して車
輪１２Ａおよび１２Ｂを同方向に変向させることができ
る。また、ホイールギア４とピニオンギア５およびホイ
ールギア８とピニオンギア７とはそれぞれ減速機１３お
よび１４として機能し、これらの減速機１３および１４
を介して第２ピニオン３および第１ピニオン９を同時に
同方向に回転させ、ラック１０を変位させる。

【００１１】本実施例によれば電動モータ６の出力が上
述したように同時に第２ピニオン３および第１ピニオン
９に伝達され、これらの第２ピニオン３および第１ピニ
オン９の回転駆動によりラック１０が変位されるもの
で、ラック１０への出力伝達が第２ピニオン３および第
１ピニオン９の双方に分散されて伝達されることにな
る。よって、第１ピニオン９とラック１０との噛合歯形
間に発生する歯面応力を低く抑制することができ、それ
だけ歯面疲労や摩耗が生じるのを防止することができ
る。なお、電動モータ６の回転制御は操作ハンドル１に
よる操作が不図示の制御回路に伝達されることによって
行われるもので、かかる制御系の構成については特に変
わるところがないのでその説明を省略する。

【００１２】図２は本発明の第２の実施例を示す。

【００１３】本実施例は、減速機１４を介して駆動され
る第１ピニオン９と操作ハンドル１側の第２ピニオン３
との間に駆動力伝達手段としてベルト２０を張設し、電
動モータ５の出力を第１ピニオン９から第２ピニオン３
にベルト２０を介して伝達し、ピニオン３を同時同方向
に回転駆動させるようにしたものである。なお、かかる
駆動力伝達手段としてはベルト２０に限られるものでは
なく、同時に同方向に第２ピニオン３を第１ピニオン９
の回転に同期させて回転させるように構成する限り、例
えば歯車列あるいは接触プーリの組合せ等どのような構
成であってもよい。

【００１４】また、以上に述べた実施例では、操作ハン
ドル側の操作にかかわる第２ピニオンをパワーステアリ
ング用モータによって同時回転駆動させるようにした
が、ラックに噛合する操作ハンドル側のピニオンとは別
に電動モータによって駆動されるいま１つのピニオンを
設け、このピニオンと減速機を介して駆動されるピニオ
ンとを共にラックに噛合させて同時同方向に回転させる
ように構成し、操作ハンドル側のピニオンは操作ハンド
ルの操作にかかわる情報を制御部に供給することのみに
使用されるよう構成可能なことはいうまでもない。要は
複数のピニオンをステアリング用の電動モータによって
駆動し、これらのピニオンと噛合するラックとの間の歯
面応力を分散させるように構成されるものであればよ
い。

【００１５】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
電動モータの駆動力を伝達するためのピニオンを有し、
該ピニオンに噛合するラックを前記電動モータの駆動に
より動作させてハンドル操作時の操作力を軽減させるよ
うにした電動パワーステアリング装置において、前記電
動モータにより駆動される第２のピニオンを複数形成
し、該複数のピニオンは同期して前記ラックを動作させ
るようにしたので、電動モータからの出力が複数のピニ
オンを介してラックに伝達されることになり、ピニオン
とラックとの歯面応力を小さく抑制することができて歯
面疲労や摩耗の発生を防止し、装置の延命に貢献する。

【００１６】また、電動モータを大型化することなくそ
の出力伝達が容易なことから大型車両への搭載が可能で
ある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例を模式的に示す構成図であ
る。

【図２】本発明の第２実施例を模式的に示す構成図であ
る。

【符号の説明】

１ 操作ハンドル ３ 第２ピニオン ６ 電動モータ ９ 第１ピニオン １０ ラック １１ リンク機構 １２Ａ，１２Ｂ 車輪 １３，１４ 減速機 ２０ ベルト

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 電動モータの駆動力を伝達するためのピ
   ニオンを有し、該ピニオンに噛合するラックを前記電動
   モータの駆動により動作させてハンドル操作時の操作力
   を軽減させるようにした電動パワーステアリング装置に
   おいて、 前記電動モータにより駆動されるピニオンを複数形成
   し、該複数のピニオンは同期して前記ラックを動作させ
   るようにしたことを特徴とする電動パワーステアリング
   装置。
2. 【請求項２】 ハンドルの操作軸に連結されたピニオン
   を前記複数のピニオンの中の１つとしたことを特徴とす
   る請求項１に記載の電動パワーステアリング装置。