JPH0722731Y2 - 回転ヘッド装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、ヘリカルスキャン方式を用いたVTR用の回転
ヘッド装置に関するものである。

〔考案の概要〕

本考案の回転ヘッド装置は、回転フランジと、その回転
フランジの外周に複数のねじによって着脱可能に取付け
られた回転ディスクと、その回転ディスクの外周に着脱
可能に取付けられた回転ヘッドとを有し、上記回転ディ
スクに完全円筒状の内周リブ及び外周リブを一体に設
け、上記内周リブ部分に複数のねじ挿通孔を設けて上記
回転ディスクを上記フランジに着脱可能にねじ止めする
ことによって、上記回転ディスクを上記回転フランジに
取付ける際の上記回転ディスクにおける変形を防止し、
また、上記外周リブ部分にヘッド挿通孔を設けて上記回
転ヘッドを上記ヘッド挿通孔に挿通することによって、
上記回転ヘッドを上記回転ディスクに取り付ける際の上
記回転ディスクにおける変形を防止するようにしたもの
である。

〔従来の技術〕

従来のアナログ式VTRの回転ヘッド装置は、複数の回転
ヘッドが取付けられた回転式の上ドラムと固定式の下ド
ラムとを用いた構造であり、上ドラムの交換時における
サービス性が良好なこと、部品点数が少ないこと等の長
所を有していた。しかし、VTRのビデオ信号をアナログ
信号からデジタル信号へ変えることで、より高密度の記
録を行なおうとするVTRのデジタル化に伴い、回転ヘッ
ドはより高回転することが要求されている。ところが、
従来の回転ヘッド装置では、回転式の上ドラムを高速回
転させた場合上ドラムと磁気テープとの間の空気膜の厚
さが必要以上に大きくなって、回転ヘッドが磁気テープ
に接触しなくなる問題が生じる。従って、従来の回転ヘ
ッド装置を用いてデジタル化は困難であった。

この問題を解決するために上ドラム固定型の回転ヘッド
装置が考えられるが、これは上ドラムをドラムホルダを
介して下ドラムに固定し、複数の回転ヘッドを取付けた
回転ディスクを、回転フランジに取付けて回転させるよ
うにしたものである。

この従来の回転ディスクを第４図に示すが、回転ディス
ク26には、回転フランジ取付用で回転フランジに対する
位置決めも兼ねた複数の挿通孔26a及び回転ヘッド取付
用の複数のねじ挿通孔26bが軸方向にそれぞれ設けら
れ、回転ヘッド７のヘッド先端部８を回転ディスク26の
半径方向外方に突出させるために、回転ディスク26の外
周の一部で下端側を切欠くことにより下端側に開口した
切欠26cが設けられている。

〔考案が解決しようとする課題〕

ところが、上記回転ディスク26を用いた回転ヘッド装置
には次のような問題点がある。

即ち、第５図に示すように、回転ディスク26を回転フラ
ンジ27に複数の挿通孔26bを通して２点でねじ止めして
締付けると、回転ディスク26に変形が、回転ディスク26
の外周において未締付部を中心にそり上がるように生じ
るために、回転ディスク26が上に湾曲してしまう。ま
た、回転ヘッド７を回転ディスク26のねじ挿通孔26aに
ねじ止めして締付けると、回転ディスク26の切欠26cの
近傍に変形が生じる。

以上のような変形のために、回転ディスクを回転フラン
ジに取付ける際の回転ディスクの平面度が悪くなった
り、あるいは、回転ヘッドの交換等のサービス時に、ヘ
ッド高さの再現性が損なわれて再調整が必要となってし
まうという問題点があった。

なお、回転ディスク26を回転フランジ27に例えば４点で
ねじ止めすることも考えられる。しかし、この場合は、
変形の絶対量は若干小さくなるが、回転ディスク６の波
形に変形してしまい、やはり回転ディスクの平面度が悪
くなる。

また、回転ディスク26の肉厚を厚くすれば上述の変形は
防止できるが、現在、VTRはポータブル化のために軽量
化が図られており、回転ヘッド装置の例えば回転ディス
クもその肉厚は薄くなる傾向にある。従って、回転ディ
スクの肉厚を大きくすることは、上述の軽量化に逆行す
ることになるから、望ましくない。

本考案は、回転ヘッド装置の回転ディスクを回転フラン
ジに着脱可能にねじ止めして取付ける際の回転ディスク
における変形を防止し、また、回転ヘッドを回転ディス
クに着脱可能にねじ止めして取付ける際の回転ディスク
における変形を防止するようにした回転ヘッド装置を提
供することを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するために、本考案は、回転フランジ
と、その回転フランジの外周に複数のねじによって着脱
可能に取付けられた回転ディスクと、その回転ディスク
の外周に着脱可能に取付けられた回転ヘッドとを有する
回転ヘッド装置において、上記回転ディスクの内周及び
外周に完全円筒状の内周リブ及び外周リブを一体に設
け、上記内周リブ部分を軸方向に貫通する複数のねじ挿
通孔を設け、上記外周リブ部分を半径方向に貫通するヘ
ッド挿通孔を設け、上記ねじ挿通孔に挿通された複数の
ねじによって上記回転ディスクの上記内周リブ部分を上
記回転フランジに着脱可能にねじ止めし、上記回転ヘッ
ドを上記ヘッド挿通孔を挿通して上記回転ディスクの半
径方向外方に突出させたことを特徴とするものである。

〔作用〕

回転ディスクの内周に設けられた完全円筒状の内周リブ
によって剛性が増えるから、回転ディスクを回転フラン
ジにねじ止めしても、回転ディスクの内周リブで変形が
生じない。

また、回転ディスクの外周に完全円筒状の外周リブが設
けられ、この部分に設けられた半径方向に貫通するヘッ
ド挿通孔は、外周リブの下端側に開口した切欠ではな
く、回転ヘッドが突出する孔であるから、その挿通孔近
傍の強度が増える。従って、回転ヘッドが回転ディスク
に取付けられても、回転ディスクの外周リブの挿通孔近
傍で変形が生じない。

また、変形に関与しない部分では回転ディスクの肉厚を
薄くできる。

〔実施例〕

以下、本考案を適用した一実施例について図面を参照し
て説明する。

第１図〜第３図は、本考案の回転ヘッド装置を示すもの
である。

最初に、回転ヘッド装置について第３図を用いて説明す
る。この回転ヘッド装置は、同径で固定の上ドラム10と
下ドラム４との間に、多チャンネルの回転ヘッド（磁気
ヘッド）７が外周に取付けられた回転アッセンブリ15を
配置して構成したものである。なお、回転アッセンブリ
15は回転フランジ５の外周に回転ディスク６を複数のね
じ12で固着し、また、回転ディスク６の外周に回転ヘッ
ドを複数のねじ13で固着したものである。そして、図示
省略したシャーシ上に設けられたドラム台９上に下ドラ
ム４のベース部4aが複数のねじで固着され、その下ドラ
ム４の上部にヘッド回転用スリット21をあけて配置され
た上ドラム10がこれらの外周円筒部10a、4bでドラムホ
ルダ11によって複数のねじで相互に固着されている。そ
して、下ドラム４の中心に配置された回転軸１の下端と
上下中間部とが、ドラム台９と下ドラム４の中心円筒部
4cの上端とに取付けられた上下一対の軸受（ベアリン
グ）14a、14bで回転自在に軸支され、その回転軸１の上
端に回転アッセンブリ15の回転フランジ５の中心がねじ
及びナットによって固着されて、回転ヘッド７の先端部
８がヘッド回転用スリット21の外に僅かに突出して回転
されるように構成されている。

そして、下ドラム４のベース部4aと、外周円筒部4bと、
内周円筒部4cとによって囲まれた円筒状の内部空間３
に、即ち、第３図に示す一点鎖線内に回転ヘッド７の駆
動用のモータと、そのモータの回転検出器（FG）と、多
チャンネルの回転ヘッド７に対するデジタル信号授受用
の多チャンネルのロータリートランス２とが収納されて
いる。

また、特に図示しないが、回転ディスク６には、記録・
再生用アンプ基板及びヘッドシールドが設けられてい
る。

次に、回転ヘッド装置の回転ディスク６について説明す
る。この回転ディスク６は、第１図に示すように内周上
側に完全円筒状の内周リブ16がボス状の小突出部として
一体に設けられ、また、外周下側に完全円筒状の外周リ
ブ17が一体に設けられている。そして、内周リブ16部分
を軸方向に貫通する複数のねじ挿通孔16aが設けられ、
また、外周リブ17部分を半径方向に貫通する長穴のヘッ
ド挿通孔18が設けられている。そして、ヘッド挿通孔18
の近くに、回転ヘッド７を取付けるための軸方向に貫通
する複数のねじ挿通孔20が、回転ディスク６の中心と上
記ネジ挿通孔16aとを結ぶ線の延長線上に上記ネジ挿通
孔16aと同じ数だけ設けられている。なお、上記外周リ
ブ17には、回転アッセンブリ15のバランス調整用のウエ
イト取付溝が設けられている。

また、内周リブ16のさらに内周には、回転ディスク６の
回転フランジ５に対する位置決め用の比較的肉薄の内周
リブ19が全周に設けられている。この内周リブ19は、全
周ではなく間欠的に設けてもよい。

第２図及び第３図に示すように、複数のねじ挿通孔16a
に挿通された複数のねじ12によって、回転ディスク６の
内周リブ16を回転フランジ５に着脱可能に４点でねじ止
めして締付けている。上記内周リブ16の剛性のために、
第２図に示すように、回転ディスク６には従来の回転デ
ィスク26のような変形は生じない。

また、回転ディスク６に、回転の遠心力に十分に耐えう
る締結トルクでねじ挿通孔20に挿通された複数のねじ13
によって、回転ヘッド７が着脱可能にねじ止めされて取
付けられている。この場合、回転ヘッド７のヘッド先端
部８が、上述した長穴のヘッド挿通孔18から突出するよ
うに取付けられている。なお、ヘッド高さを調整するた
めの調整ねじ7aが回転ヘッド７の上部に設けられてい
る。上記ヘッド挿通孔18は長穴に構成された比較的小さ
な孔であるから、従来の回転ディスクの切欠26cと比べ
て挿通孔18近傍の強度が増える。従って、ヘッド挿通孔
18の近傍において、回転ヘッド７が取付けられた回転デ
ィスク６に変形が生じない。

そして、回転ディスク６が上述のように変形せずに、回
転ディスク６の未締付部外周でそり上がらないから、回
転ディスク６を回転フランジ５に取付ける際の回転ディ
スク６の平面度は、当初の加工によって得られている平
面度から変化しない。また、上記ねじ挿通孔16aと上記
ねじ挿通孔20とは同一線上にあるから、ヘッド高さには
殆んど変化が生じない。

上述のように構成された回転ディスク６を用いると、回
転ディスク６に変形が生じないから支障なく回転アッセ
ンブリ15を構成できると共に、内周リブ16以外はかなり
肉厚を薄くすることができ、しかもその内周リブ16は小
突出部であるから、回転ディスクの計量化及び低慣性化
が実現できる。また、回転ヘッド７の交換等のサービス
時におけるヘッド高さ調整の際の再現性がよくなる。

〔考案の効果〕

本考案は上述のとおりに構成されているので、回転ヘッ
ド装置の回転ディスクを回転フランジに着脱可能にねじ
止めして取付ける際の回転ディスクにおける変形を防止
できると共に、回転ヘッドを回転ディスクに着脱可能に
取付ける際の回転ディスクにおける変形を防止できる。
しかも、回転ディスクの軽量化が実現できる。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第３図は、本考案を適用した一実施例を示すも
のであって、第１図は回転ディスクの斜視図、第２図は
回転ディスクと回転フランジとの締付け状態を示す概略
的な側面図、第３図は回転ヘッド装置の断面図である。
第４図は従来例の回転ディスクの斜視図、第５図は同じ
く回転ディスクと回転フランジとの締付け状態を示す概
略的な側面図である。 なお図面に用いた符号において、 ５……回転フランジ ６……回転ディスク ７……回転ヘッド 16……内周リブ 16a……ねじ挿通孔 17……外周リブ 18……ヘッド挿通孔 である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】回転フランジと、その回転フランジの外周
   に複数のねじによって着脱可能に取付けられた回転ディ
   スクと、その回転ディスクの外周に着脱可能に取付けら
   れた回転ヘッドとを有する回転ヘッド装置において、 上記回転ディスクの内周及び外周に完全円筒状の内周リ
   ブ及び外周リブを一体に設け、上記内周リブ部分を軸方
   向に貫通する複数のねじ挿通孔を設け、上記外周リブ部
   分を半径方向に貫通するヘッド挿通孔を設け、 上記ねじ挿通孔に挿通された複数のねじによって上記回
   転ディスクの上記内周リブ部分を上記回転フランジに着
   脱可能にねじ止めし、 上記回転ヘッドを上記ヘッド挿通孔を挿通して上記回転
   ディスクの半径方向外方に突出させたことを特徴とする
   回転ヘッド装置。