JPH0722613Y2 - プレートフィン型熱交換器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、蒸気等の高温流体の熱交換に使用するプレー
トフィン型熱交換器の改良に関する。

〔従来の技術〕

一般に使用されているプレートフィン型熱交換器は、第
４図に示すように、上下のチューブプレート（板状隔
壁）1,1間に形成される空間の両側端部にスペーサーバ
ー2,2を配し、スペーサーバー2,2間にコルゲートフィン
（波状隔壁）３を配して形成した流体通路を数段高さに
積層し、一体ろう付けしたものである。同図に示す熱交
換器は、流体通路が一段ごとに直交させて組立ててあ
り、高温流体Ａと低温流体Ｂは隣接する側面4,5から流
体通路へ取り入れられ、矢印で示すように互いに段違い
に直交方向へ流動して熱交換される。

プレートフィン型熱交換器には、上記した直交流型のほ
か、第５図のような向流型に組立てたもの等がある。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら、上記第４図や第５図に示した従来のプレ
ートフィン型熱交換器は、例えば高温燃焼排ガスや蒸気
のような高温流体の熱交換に用いると、高温流体Ａの流
入口である一側面４において各段のチューブプレート１
の左右両端部（○で囲んで示す）が変形したり破損した
りするという問題があった。

これは、第６図に示すように、高温流体Ａが流れると、
チューブプレート１中央部に接するコルゲートフィン３
は急速に加熱されるのに対し、チューブプレート１左右
両端に接するスペーサーバー２は熱容量が大きく加熱さ
れにくいため、第７図に示すようにチューブプレート１
の中央部と左右両端部とで極端な温度差が生じ、この境
界部分に非常に大きな熱応力が過度的に発生するからで
ある。

本考案は、このような問題を解決するためになされたも
ので、高温燃焼排ガスや蒸気のような高温流体の熱交換
に使用しても、熱応力の発生による変形や破損を生じる
ことのないプレートフィン型熱交換器の提供を目的とす
るものである。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するために、本考案では、第１図および
第２図に示すように、チューブプレート1,1間に形成さ
れる空間の両側端部にスペーサーバー2,2を配し、スペ
ーサーバー2,2間にコルゲートフィン３を配して形成し
た流体通路を複数段に積層し、各流体通路に高温流体Ａ
と低温流体Ｂとを段違いに流して熱交換を行うプレート
フィン型熱交換器において、高温流体Ａが流通する流体
通路の流入口両側部分に、流体流通方向に直角なコルゲ
ートフィンよりなる一対の閉塞部材6,6を配設してい
る。

〔作用〕

上記の構成によれば、第２図に示すように、高温流体Ａ
は、一対の閉塞部材6,6に阻止されて、流体通路の両側
部を除く部分にのみ流入し、その両側部には流入しな
い。その結果、チューブプレート１の巾方向温度分布
は、第３図に示すように、スペーサーバー２に接する左
右両端部から、その間の中央部にかけての温度勾配が著
しく緩和されることとなり、熱応力の発生が防止される
のである。

〔実施例〕

第１図は、本考案を実施したプレートフィン型熱交換器
の一例である。

上下のチューブプレート1,1間に形成される空間の両側
端部にスペーサーバー2,2を配し、スペーサーバー2,2間
にコルゲートフィン３を配して形成した流体通路を数段
高さに積層してなる全ステンレス製のプレートフィン型
熱交換器は、流体通路が一段ごとに直交方向を向くいわ
ゆる直交流型に組立てられており、高温流体Ａと低温流
体Ｂに隣接する側面4,5から段違いに流体通路に入り、
矢印の如く直交方向へ流れて熱交換されるようになって
いる。

そして、高温流体Ａの流入口である一側面４において
は、スペーサーバー2,2近傍のコルゲートフィン３が直
方体状に切除されており、その切除部分に一対の閉塞部
材6,6が嵌め込まれている。一対の閉塞部材6,6は、上記
コルゲートフィン３に直交するコルゲートフィンよりな
る。従って、この一対の閉塞部材6,6によって両側のス
ペーサーバー2,2近傍の流体通路両側部へ高温流体Ａが
流入するのが阻止される。そして、高温流体Ａの流入が
阻止された部分のコルゲートフィン３は熱勾配の緩衝部
になり、これによりチューブプレート１幅方向の急激な
温度変化が解消され、その熱応力に起因する破損が防止
される。

閉塞部材6,6は、高温流体Ａが流通する全ての通路に配
設してもよいし、熱応力による破損が著しい一側面４の
四隅部（第４図参照）のみ配設してもよい。

閉塞部材6,6の長さは、熱応力緩和のためには長いほう
が良い。しかし、閉鎖部材6,6は熱応力緩和を図る一方
で熱交換器に高温流体Ａの不流通部分を形成し、熱交換
効率を低下させる原因になる。従って、閉塞部材6,6を
極端に長くするのは好ましくなく、その長さはスペーサ
ーバー2,2からの突出量で表わして５〜50mm程度が望ま
しい。

〔考案の効果〕

以上の説明したとおり、本考案のプレートフィン型熱交
換器は、高速流体の流入口両側部に閉塞部材を配設し、
スペーサーバー近傍の流体通路西側部に高温流体が流入
しないように構成したから、チューブプレートが中央部
と左右両端部とで極端な温度変化を生じることがない。
したがって、熱応力が発生せず、熱応力を原因とするチ
ューブプレートの変形や破損等の事故を防止することが
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案プレートフィン型熱交換器の斜視図、第
２図は本考案プレートフィン型熱交換器における高温流
体の流れを説明する横断平面図、第３図は本考案プレー
トフィン型熱交換器におけるチューブプレートの巾方向
温度分布を示すグラフ、第４図は従来のプレートフィン
型熱交換器を説明する斜視図、第５図は従来の他のプレ
ートフィン型熱交換器を説明する斜視図、第６図は従来
のプレートフィン型熱交換器における高温流体の流れを
説明する横断平面図、第７図は従来のプレートフィン型
熱交換器におけるチューブプレートの巾方向温度分布を
示すグラフである。 1:チューブプレート、2:スペーサーバー、3:コルゲート
フィン、4:一側面（高温流体流入口）、6:閉塞部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】チューブプレート（１），（１）間に形成
   される空間の両側端部にスペーサーバー（２），（２）
   を配し、スペーサーバー（２），（２）間にコルゲート
   フィン（３）を配して形成した流体通路を複数段に積層
   し、各流体通路に高温流体（Ａ）と低温流体（Ｂ）とを
   段違いに通過させて熱交換を行うプレートフィン型熱交
   換器において、高温流体（Ａ）が流通する流体通路の両
   側部分に、流体通路方向に直角なコルゲートフィンより
   なる一対の閉塞部材（６），（６）を配設したことを特
   徴とするプレートフィン型熱交換器。