JPH07224292A - 電気粘性流体組成物 - Google Patents

電気粘性流体組成物

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JPH07224292A
JPH07224292A JP30664094A JP30664094A JPH07224292A JP H07224292 A JPH07224292 A JP H07224292A JP 30664094 A JP30664094 A JP 30664094A JP 30664094 A JP30664094 A JP 30664094A JP H07224292 A JPH07224292 A JP H07224292A
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JP
Japan
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polymer
carbon black
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parts
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Pending
Application number
JP30664094A
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English (en)
Inventor
Yoshinobu Asako
佳延 浅子
Yoshikuni Mori
悦邦 森
Satoru Ono
哲 小野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 導電性を有するカーボンブラック部分1に対
して重合体部部分2をグラフト化によって化学結合させ
たカーボンブラックグラフトポリマーである誘電体粒子
3を分散相として、分散媒としての電気絶縁油4中に分
散させる。 【効果】 安価に製造できる上に、電場印加時に大きな
粘度変化を与え、その際に流れる電流密度が小さいとい
う電流特性に優れ、かつ、電場を印加していない状態で
の分散安定性および流動性に特に優れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電場を印加することに
よって、大きな粘度変化が生じる電気粘性流体組成物に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】電気粘性流体は、例えば電気絶縁性の分
散媒中に分散相としての誘電性粒子を分散させて得られ
る流体であり、そのレオロジー的性質が電場変化を加え
ることによりニュートン型(Newtonian viscosity)から
粘塑性型(Bingham viscosity)の流体に変化するもので
あり、一般に外部電場を印加した時に粘度が著しく上昇
し大きいせん断応力を誘起する、いわゆるウィンズロー
効果を示す流体として知られている。
【0003】上記ウィンズロー効果は応答性が速いとい
う特徴を有するため、電気粘性流体はエンジンマウン
ト、クラッチ、ダンパー、ブレーキ、ショックアブソー
バー、アクチュエーター、バルブ、シリンダ、インクジ
ェット等への応用が試みられている。
【0004】従来、炭素系材料を分散相として用いた電
気粘性流体として、絶縁性を付与、つまり誘電性を付与
した炭素系材料を用いたもの、例えばメソフェーズカー
ボンを用いたもの(特開平4−45196号公報)、炭
素系粉末を用いたもの(特開平2−169025号公
報、特開平3−47896号公報、特開平3−2476
96号公報、特開平3−247698号公報、特開平3
−279206号公報、特開平4−211499号公
報、特開平4−348192号公報など)、カーボンブ
ラックを樹脂中に分散させた粒子を用いたもの(特開平
1−236291号公報)が知られている。しかしなが
ら、これらの電気粘性流体は、分散相が分散媒中にて沈
降したり凝集したりするために分散安定性が乏しいとい
う問題点を有していた。
【0005】そこで、導電体粒子の表面を電気絶縁性薄
膜で被覆した誘電体粒子を電気粘性流体の分散相に用い
ることが提案されている。例えば、電気絶縁性薄膜で、
表面が被覆された導電体粒子(特開昭64−6093号
公報)や、電気絶縁性薄膜で表面が被覆された炭素微粒
子(特開平2−169025号公報)が挙げられる。
【0006】これらの提案の中では、絶縁性薄膜にて被
覆される粒子として数ミクロン以上の粒子が検討されて
いる。これらの粒子を分散相として用いた電気粘性流体
は分散安定性が乏しいという問題を有していた。
【0007】また、導電体粒子あるいは炭素粒子がサブ
ミクロン以下と小さい場合、粒子同士の相互作用が強
い。よって、これらの提案の中で被覆方法として用いら
れているマイクロカプセル法やシランカップリング剤に
よる表面処理方法では、粒子同士の凝集が回避できず、
電気粘性流体の好適な誘電体が得られ難いという問題が
起こる。特に、誘電体粒子あるいは炭素微粒子がサブミ
クロン以下のカーボンブラックの場合、カーボンブラッ
ク粒子同士の相互作用が非常に強く、電気粘性流体に好
適な誘電体粒子が得られないという問題が起こる。
【0008】導電体粒子に絶縁性を付与し同時に分散安
定性を付与する方法として、無機導電性微粒子の表面を
シランカップリング剤で処理した後、反応性シリコーン
オイルと反応させ、分散安定性を付与する流体(特開平
4−120196号公報)が提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の流体では、シランカップリグ剤での処理工程が煩雑
となり流体の製造コストが高価になるということ、さら
にシランカップリング剤によるカップリング反応が脱水
縮合反応であるので、水が生成し、得られる電気粘性流
体の電流絶縁特性を劣化させるという問題が生じること
があった。
【0010】また、導電体粒子がサブミクロン以下のカ
ーボンブラックの場合、上記したようにカーボンブラッ
ク粒子同士の相互作用が非常に強い。そこで、シランカ
ップリング剤で処理したとき粒子の凝集が起こり、その
ような凝集した粒子は反応性シリコーンオイルと反応さ
せても電気粘性流体に好適な誘電体粒子とならないとい
う問題が起こる。
【0011】他に分散安定性に優れる電気粘性流体とし
ては、例えば液晶性化合物を用いたもの(特開平4−1
91511号公報、特開平4−266997号公報、特
開平4−337389号公報、特開平4−348194
号公報など)、誘電性の高分子を用いたもの(YURN
S研究レポート,2,58(1990))等の均一型電
気粘性流体が知られている。しかしながら、これらの電
気粘性流体は電場無印加時の粘度が高く流動性が乏しか
ったり、特に液晶性化合物の場合高価であるという問題
点を有していた。
【0012】本発明の目的は、電場の印加によって大き
な粘度変化が得られ、その際に流れる電流密度が小さい
という電流特性に優れ、安価に製造でき、且つ電場を印
加していない状態での分散安定性および流動性に特に優
れた電気粘性流体組成物を提供することにある。
【0013】なお、上記分散安定性とは、分散相を分散
媒中にて沈降あるいは浮上させずに電気粘性流体を長時
間均一に保持できる性質である。上記流動性とは、電場
を印加していない状態での粘度が低い性質のことであ
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、電気粘性
流体組成物における分散相について鋭意検討を行った結
果、導電性を有するカーボンブラック部分に対して重合
体部分がグラフト化されてなる誘電体粒子を分散相とす
る電気粘性流体組成物が、電場の印加によって大きな粘
度変化が得られ、優れた電流特性を有し、安価に製造で
き、かつ、電場を印加していない状態での分散安定性お
よび流動性に特に優れることを見いだし本発明に至っ
た。
【0015】すなわち、本発明の電気粘性流体組成物
は、電気絶縁油からなる分散媒と、カーボンブラック部
分と重合体部分がグラフト化されてなる誘電体粒子から
なる分散相とを含むものである。
【0016】上記の構成によれば、誘電体粒子が、カー
ボンブラック部分に対して、重合体部分がグラフト化さ
れてなることにより、電気絶縁油中で、重合体部分がカ
ーボンブラック部分の表面から電気絶縁油中に延びた状
態にでき、電気絶縁油中において、凝集し易い各カーボ
ンブラック部分の間に重合体部分を介在させることが可
能となる。
【0017】この結果、電気絶縁油中において、誘電体
粒子の凝集を防止できるので、電気粘性流体組成物に対
して優れた分散安定性を付与できる。また、導電性を有
する各カーボンブラック部分の接触を上記各重合体部分
の介在によって回避できるから、上記各カーボンブラッ
ク部分間の電気絶縁性を維持できて、電場印加時におけ
る上記組成物の電気的絶縁破壊を防止できる。
【0018】特に、上記重合体部分が、電気絶縁油に対
して親和性を有する場合、上記重合体部分の周囲に電気
絶縁油の分子が集合するから、上記重合体部分だけでは
なく上記電気絶縁油によっても上記各カーボンブラック
部分間の電気絶縁性をより有効に維持できる。
【0019】本発明の電気粘性流体の分散媒は、電気絶
縁油であれば特に制限はなく、例えばポリジメチルシロ
キサン、部分オクチル置換ポリジメチルシロキサン、部
分フェニル置換ポリジメチルシロキサン、フルオロシリ
コーンオイル等のシリコーンオイル;流動パラフィン、
デカン、デセン、メチルナフタレン、デカリン、ジフェ
ニルメタン、トルエン、ジメチルベンゼン、エチルベン
ゼン、ジエチルベンゼン、プロピルベンゼン、シクロヘ
キサン、部分水添されたトリフェニル等の炭化水素;ク
ロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ブロモベンゼン、ク
ロロビフェニル、クロロジフェニルメタン等のハロゲン
化炭化水素;ダイフロイル(ダイキン工業株式会社
製)、デムナム(ダイキン工業株式会社製)等のフッ化
物;安息香酸エチル、安息香酸オクチル、フタル酸ジオ
クチル、トリメリット酸トリオクチル、セバシン酸ジブ
チル等のエステル化合物などを挙げることができ、これ
らの中から一種または二種以上用いることができる。電
気粘性流体組成物の流動性を考慮すると、電気絶縁油の
粘度は0.05Pa・s以下であることが好ましい。
【0020】上記電気絶縁油はシリコーン系絶縁油であ
ることが好ましい。シリコーン系絶縁油を用いること
で、流動性に特に優れた電気粘性流体組成物を得ること
ができる。
【0021】シリコーン系絶縁油とは、前述したシリコ
ーンオイルを主成分とし、実質的に電気絶縁性の液体で
有れば、特に制限はない。シリコーン系絶縁油の主成分
となるシリコーンオイルは、シロキサン構造をもち、一
般に制動油、空気絶縁油、含浸注入油、潤滑油、つや出
し剤、化粧品成分、離型剤、消泡剤等に用いられている
ものである。
【0022】本発明の電気粘性流体の分散相としての誘
電体粒子には、上記誘電体粒子が重合体部分がとカーボ
ンブラック部分とを有し、上記重合体部分が上記カーボ
ンブラック部分に対してグラフト化されたものであるこ
とが必要である。
【0023】本発明でいう「グラフト」とは、ドネ(Do
nnet)らが、その著書「カーボンブラック」にて定義し
ているように、カーボンブラックのような基質に対する
重合体の不可逆的な付加のことである。
【0024】不可逆的な付加反応を行うことにより、カ
ーボンブラック粒子表面に対し重合体を化学結合させる
ことができ、これにより、上記両者を確実に結合させる
ことができる。「グラフト」に用いることができる付加
反応には、求電子付加反応、ラジカル付加反応、求核付
加反応、付加環化反応がある。
【0025】本発明の分散相としての誘電体粒子は、導
電性を有するカーボンブラック部分に対して重合体部分
をグラフト化させてなるカーボンブラックグラフトポリ
マーとして捉えることができる。広義に、カーボンブラ
ックグラフトポリマーは、カーボンブラックの表面に重
合体を物理的にあるいは化学的に結合させた複合体であ
り、一般にインキ、複写機用トナー、塗料、プラスチッ
ク形成材料、あるいは各種高分子の改質剤として用いら
れている。
【0026】このような従来公知のカーボンブラックグ
ラフトポリマーとしては、例えば、特公昭42−220
47号公報、特公昭44−3826号公報、特公昭45
−17248号公報、特公昭46−26970号公報、
特公平2−24868号公報などを挙げることができ
る。
【0027】このようにカーボンブラックグラフトポリ
マーは、これまで着色剤や改質剤として用いられてき
た。しかし、本発明の誘電体粒子は、カーボンブラック
表面に重合体を付加反応により化学的に接合させたカー
ボンブラックグラフトポリマーということができる。
【0028】その理由は、電気粘性流体組成物の分散相
なる誘電体粒子は、優れた電気絶縁性および機械的強度
が必要とされることにある。カーボンブラック表面に重
合体を物理的に結合させたカーボンブラックグラフトポ
リマーの場合、カーボンブラックと重合体とが容易に分
離することから、上記カーボンブラックグラフトポリマ
ーは、電気絶縁性と機械的強度が不足する。
【0029】カーボンブラック表面に重合体を縮合反応
により化学的に結合させたカーボンブラックグラフトポ
リマーの場合、水やメタノールが縮合反応により生じる
ことによって、上記カーボンブラックグラフトポリマー
は、それを分散相として電気粘性流体組成物に用いる
と、上記電気粘性流体組成物において十分な電気絶縁性
を示さないことがある。
【0030】分散相として導電性を有するカーボンブラ
ックと重合体との混合物を用いたり、導電性を有するカ
ーボンブラックそのものを用いた場合、調製された電気
粘性流体組成物の分散安定性が得られなかったり、所望
する粘度変化が起こるまでの電場を印加すると、上記組
成物における電気絶縁性を維持できなくなるという問題
が起こる。
【0031】本発明の分散相に用いる誘電体粒子の平均
粒子径は、0.001 〜0.5 μmの範囲内にあることが好ま
しい。平均粒子径が0.001 μm未満の場合、電場を印加
しても大きな粘度変化が得られないことがある。一方、
平均粒子径が0.5 μmを越える場合、調製された電気粘
性流体組成物における分散相に対して所望する分散安定
性が得られないことがある。
【0032】本発明の誘電体粒子中の重合体部分は、主
鎖に炭素−炭素結合を有するものであることが好まし
い。重合体が導電性を有するカーボンブラックと化学的
に結合したカーボンブラックグラフトポリマーは、安価
に製造することができる。
【0033】上記カーボンブラックグラフトポリマーが
安価に製造できる理由は、上記重合体が多くの炭素分子
を有しており、カーボンブラックと上記重合体との親和
性が大きいため、上記カーボンブラックに重合体がより
有効にグラフト化できることであると考えられる。
【0034】ところで、主鎖に炭素−炭素結合を有しな
い重合体部分の原料として例えばポリシロキサンのみか
らなる重合体を用いた場合、カーボンブラックに対する
上記重合体のグラフト化が有効に進行せず、分散相とし
て好適なカーボンブラックグラフトポリマーが得られな
いことがある。
【0035】重合体部分は、主鎖に炭素−炭素結合を有
する重合体部分の中でも、ビニル系単量体の重合により
得られた主鎖を含有するものであることが好ましい。ビ
ニル系単量体の重合により得られる重合体は、炭素−炭
素結合のみからなる主鎖を有し、上記カーボンブラック
との親和性が大きいため、グラフト化を有効に行うこと
ができる。また、ビニル系単量体は、グラフト化を行う
ための反応性基を有する単量体が数多く知られている。
重合体部分がビニル系単量体の重合により得られた主鎖
を含有しない場合、グラフト化が有効に進行しないこと
がある。
【0036】重合体部分は、電気絶縁油に対して親和性
を有するものであることが好ましい。重合体部分が電気
絶縁油に対して親和性を有していない場合、得られた電
気粘性流体組成物に所望する分散安定性を付与できない
ことがある。
【0037】重合体部分は、シリコーン成分を含有する
ものであることが好ましく、特に、シリコーン成分を側
鎖に含有するものであることが好ましい。重合体部分
が、シリコーン成分を含有しない場合には、得られた電
気粘性流体組成物に分散安定性を付与できないことがあ
る。特に、分散媒として好適であるシリコーン系絶縁油
を用いた場合、上記した重合体部分がシリコーン成分を
含有しないと、得られた電気粘性流体組成物に対し所望
する分散安定性を付与できないことがある。
【0038】シリコーン成分とは、ポリジメチルシロキ
サン基、部分アルキル基置換のポリジメチルシロキサン
基、部分アリール基置換のポリジメチルシロキサン基、
トリス(トリアルキルシロキシ)シリルプロピル基等の
ポリオルガノシロキサン基を含有する成分のことであ
る。
【0039】上記した重合体部分は、シリコーン成分の
構造単位として一般式(1)で示されるポリシロキサン
含有の構造単位を含有するものが好ましい。上記した重
合体部分が、ポリシロキサン含有の構造単位を含有しな
い場合、得られた電気粘性流体組成物に分散安定性を付
与できないことがある。
【0040】
【化3】
【0041】ただし、一般式(1)中、Aは−COO−
またはフェニレン基を示し、R1 は水素原子またはメチ
ル基を、R2 は炭素数1〜6のアルキレン基を、R3
13は、個々にアリール基、炭素数1〜6のアルキル基
または炭素数1〜10のアルコキシ基をそれぞれ示し、
aは自然数を、bおよびcは個々に0〜10の整数を、
dは0〜200の整数をそれぞれ示す。
【0042】本発明の誘電体粒子に用いることのできる
導電性を有するカーボンブラック部分と重合体部分との
割合は、前者 100重量部に対して後者10〜3000重量部の
範囲にあることが好ましく、特に50〜1000重量部の範囲
にあることが好ましい。上記の割合が10重量部未満の場
合、電場を印加した時に流れる電流密度が大きくなるこ
とがある。上記の割合が3000重量部を越える場合、調製
された電気粘性流体組成物に電場を印加しても大きな粘
度変化が得られないことがある。
【0043】本発明の誘電体粒子では、導電性を有する
カーボンブラック部分と重合体部分とは、カーボンブラ
ックに対する反応性基を有する重合体と上記カーボンブ
ラックとを付加反応によってグラフト化されて得られた
ものである。
【0044】上記カーボンブラックと、それに対する反
応性基を有する重合体とを付加反応させることにより、
上記カーボンブラックの表面官能基と、重合体中の反応
性基とが効率よく付加反応しグラフト化するため、本発
明に好適な誘電体粒子が得られる。反応性基を有しない
重合体を用いた場合、重合体の上記カーボンブラックへ
のグラフト化が有効に行われず、調製された電気粘性流
体組成物に電場を印加した時に流れる電流密度が大きく
なる。
【0045】本発明に用いられるカーボンブラックは導
電性を有することが必要である。本発明でいう導電性と
は、電気伝導に対する電気抵抗の小さい性質をいう。カ
ーボンブラックは、通常半導体と考えられている。本発
明では導電性のカーボンブラックに加えて、半導体性の
カーボンブラックを用いることができる。
【0046】カーボンブラックが導電性を有するか否か
を簡便に評価する方法として、以下の方法が挙げられ
る。カーボンブラック自体、あるいはカーボンブラック
と電気絶縁性の大きなポリジメチルシロキサン(シリコ
ーンオイル)の前者 100重量部に対して後者50〜300 重
量部の混合物を、間隔1mmの各電極間に充填する。それ
ら電極間に3kVの電場を印加したとき、300mA/cm2 以上
の電流密度が流れるもの、または電気絶縁破壊を生じ3
kVの電場を印加できないものを導電性を有するカーボン
ブラックという。
【0047】本発明に用いることのできるカーボンブラ
ックは、10-10 S ・cm-1以上の電気伝導率を有するも
のが好ましい。上記カーボンブラックとしては、従来公
知のものを用いることができ、例えばサーマルブラッ
ク、チャネルブラック、ファーネスブラック、アセチレ
ンブラック、カラーブラック等を挙げることができる。
【0048】導電性を有しないカーボンブラックを電気
粘性流体組成物の調製に用いた場合、上記電気粘性流体
組成物において、電場を印加した際に大きな粘度変化を
誘起しないという問題が起こる。
【0049】上記カーボンブラックは、その表面にカル
ボキシル基、ヒドロキシル基等の官能基を有するものが
好ましく、中でも、カルボキシル基を有するものが好ま
しい。さらに、上記カーボンブラックとしては、pH6
未満のカーボンブラックを用いることが好ましい。中性
あるいは塩基性のカーボンブラックを酸化処理すること
により得られるものも本発明のカーボンブラックとして
好適に用いることができる。カーボンブラックが、カル
ボキシル基等の官能基を有しない場合、あるいはpH6
以上である場合、グラフト化が有効に行われないことが
ある。
【0050】本発明に用いることのできるカーボンブラ
ック中の炭素含有量は、85重量%以上であることが好
ましい。炭素含有量は、85重量%未満である場合、カ
ーボンブラックが導電性を示さないことがある。
【0051】本発明における反応性基を有する重合体と
しては、カーボンブラックの表面官能基と反応できる反
応性基を有する重合体であれば特に制限はなく、例えば
ビニル系重合体、ポリエステル、ポリエーテル等を挙げ
ることができる。中でも、ビニル系単量体を重合して得
られた主鎖を含むビニル系重合体が好ましい。
【0052】上記ビニル系重合体が好ましい理由は、ビ
ニル系重合体が上記主鎖に炭素−炭素結合を有するこ
と、グラフト化を行うための反応性基を有する単量体が
種々知られていることにある。それゆえ、重合体として
ビニル系重合体を用いれば、導電性のカーボンブラック
へのグラフト化が有効に行える。
【0053】本発明における反応性基を有する重合体中
の反応性基は、エポキシ基、チオエポキシ基、アジリジ
ン基、およびオキサゾリン基よりなる群から選ばれる少
なくとも1種であることが好ましい。
【0054】カーボンブラックの表面官能基と付加反応
し得る反応性基としては必ずしもこれらの反応性基のみ
に限られるものではないが、これらの反応性基以外の基
を有する重合体を用いる場合、使用できるカーボンブラ
ックの種類に制限が生じることがある。
【0055】反応性基を有する重合体のグラフト化にお
いて、前記反応性基を有するものを用いることが好まし
い理由は次の通りである。まず、使用するカーボンブラ
ックの種類や状態にかかわらず、温和な条件においても
カーボンブラックと反応性基を有する重合体とが非常に
高いグラフト化効率で付加反応し、本発明の分散相とし
て好適なカーボンブラックグラフトポリマーが得られる
ところにある。
【0056】本発明で用いることのできる反応性基を有
する重合体を得る方法としては、例えば、導電性のカー
ボンブラックに対する反応性基を有する単量体(a)を
主成分として含む単量体混合物を重合する方法を挙げる
ことができる。また、上記単量体混合物には、必要に応
じて、一般式(2)で表されるシリコーン系マクロマー
(b)を含むことも可能であり、さらに、上記単量体混
合物に、必要に応じて他の単量体(c)を含有させるこ
とも可能である。
【0057】
【化4】
【0058】(ただし式中、Bは−COO−またはフェ
ニレン基を示し、R14は水素原子またはメチル基を、R
15は炭素数1〜6のアルキレン基を、R16〜R26は、個
々に、アリール基、炭素数1〜6のアルキル基または炭
素数1〜10のアルコキシ基をそれぞれ示し、eおよび
fは、個々に、0〜10の整数を、gは0〜200の整
数をそれぞれ示す。)反応性基を有する単量体(a)と
しては、例えば、下記の化学式(5)、(6)などの式
で表されるエポキシ基含有重合性単量体を挙げることが
できる。
【0059】
【化5】
【0060】
【化6】
【0061】(但し、これらの式中のR1 は水素または
メチル基を示し、nは0または1〜20の整数である。)
反応性基を有する単量体(a)としては、例えば、下記
の化学式(7)、(8)等の式で表されるチオエポキシ
基含有重合性単量体を挙げることができる。
【0062】
【化7】
【0063】
【化8】
【0064】(但し、これらの式中のR1 およびnは、
前記エポキシ基含有重合性単量体と同様である。)反応
性基を有する単量体(a)としては、例えば、下記の化
学式(9)ないし(14)などの式で表されるなどの式
で表されるアジリジン基含有重合性単量体を挙げること
ができる。
【0065】
【化9】
【0066】
【化10】
【0067】
【化11】
【0068】
【化12】
【0069】
【化13】
【0070】
【化14】
【0071】さらに、反応性基を有する単量体(a)と
しては、2−ビニル−2ーオキサゾリン、2−ビニル−
4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチ
ル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−エチル−2オ
キサゾリン、2−ビニル−5−エチル−2−オキサゾリ
ン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソ
プロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソ
プロペニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソ
プロペニル−4−エチル−2−オキサゾリン、2−イソ
プロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン、2−イソ
プロペニル−4,5−ジメチル−2−オキサゾリンなど
のオキサゾリン基含有単量体等を挙げることができる。
【0072】上記単量体(a)としては、上記の各エポ
キシ基含有重合性単量体、各チオエポキシ基含有重合性
単量体、各アジリジン基含有重合性単量体および各オキ
サゾリン基含有単量体からなる群から選ばれる少なくと
も1種のものを使用することができる。
【0073】一般式(2)で表すことのできるシリコー
ン系マクロマー(b)としては、例えば、(メタ)アク
リロイル基含有ポリジメチルシロキサン、スチリル基含
有ポリジメチルシロキサン、(メタ)アクリロイル基含
有部分オクチル置換ポリジメチルシロキサン、スチリル
基含有部分オクチル置換ポリジメチルシロキサン、(メ
タ)アクリロイル基含有部分フェニル置換ポリジメチル
シロキサン、スチリル基含有部分フェニル置換ポリジメ
チルシロキサンエチレン、トリス(トリメチルシロキ
シ)シリルプロピル(メタ)アクリレート等の重合性ポ
リシロキサン類が挙げられ、これらの中から1種または
2種以上を用いることができる。
【0074】前記の単量体(c)としては、反応性基を
有する単量体(a)やシリコーン系マクロマー(b)と
共重合し得るものであれば特に制限はなく、例えばスチ
レン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−
メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メトキシス
チレン、p−tert−ブチルスチレン、p−フェニルスチ
レン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−
クロロスチレン等のスチレン系同族体;(メタ)アクリ
ル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)ア
クリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブ
チル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレ
ート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘ
キシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸系
同族体;エチレン、プロピレン、ブチレン、塩化ビニ
ル、酢酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)
アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ヒドロキ
シメチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチ
ル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられ、これらの1
種または2種以上を混合して用いることができる。
【0075】単量体混合物は、反応性基を有する単量体
(a)を 0.1〜50重量%の割合で、シリコーン系マクロ
マー(b)を0〜99.9重量%の割合で、かつ、上記単量
体(c)を0〜99.9重量%の割合で含むことが好まし
い。
【0076】上記単量体(a)の割合が 0.1重量%未満
の場合、グラフト化が有効に行われない場合がある。上
記単量体(a)の割合が50重量%を越える場合、グラフ
ト化の反応中に反応混合物のゲル化がしばしば起こり、
本発明に好適なカーボンブラックグラフトポリマーが得
られないことがある。
【0077】さらに、単量体混合物は、シリコーン系マ
クロマー(b)を10〜99重量%の割合で含むこと、特に
50〜95重量%の割合で含むことがより好ましい。シリコ
ーン系マクロマー(b)の割合が10重量%未満の場合、
得られた電気粘性流体組成物に望ましい分散安定性を付
与できないことがある。一方、シリコーン系マクロマー
(b)の割合が99重量%を越える場合、グラフト化が有
効に行われないことがある。
【0078】反応性基を有する重合体を得る際の重合方
法としては、公知の重合方法を用いればよく、例えば塊
状重合法、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法等があ
る。中でも、ラジカル触媒を用いての溶液重合法が好ま
しい。
【0079】ラジカル触媒としては、通常、ビニル系単
量体の重合に用いられているものであればいずれも使用
できる。代表的なものとしては、2,2’−アゾビスイ
ソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメ
チルバレロニトリル)等のアゾ系化合物;ベンゾイルパ
ーオキシド、ジ−tert−ブチルパーオキシド、tert−ブ
チルパーオクトエート、tert−ブチルパーオキシ−2−
エチルヘキサノエート等の過酸化物系化合物等が挙げら
れ、これらは、通常、単量体混合物 100重量部当たり
0.2〜10重量部、好ましくは 0.5〜8重量部の範囲内で
使用される。
【0080】重合は、単量体混合物およびラジカル触媒
を溶媒に溶解し、通常、反応温度が、60〜 100℃程度で
1〜15時間程度で行われる。
【0081】上記溶剤としては、ヘキサン、ヘプタン、
オクタン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、
キシレン等の芳香族炭化水素類;イソプロピルアルコー
ル、ブタノール等のアルコール類;メチルイソブチルケ
トン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、
酢酸イソブチル、酢酸アミル、2−エチルヘキシルアセ
テート等のエステル類;メチルセルソルブ(2−メトキ
シエタノール)、エチルセルソルブ(2−エトキシエタ
ノール)等のセルソルブ類等を使用することができる。
【0082】重合終了後、得られた反応性基を有する重
合体の溶液をそのままカーボンブラックとの反応に用い
ることもできるし、また、上記溶液の溶媒を留去して上
記重合体を取り出して用いることもできる。
【0083】本発明で用いることのできる反応性基を有
する重合体を得る別の方法としては、例えば、カーボン
ブラックに対する反応性基を有する化合物を、上記化合
物と反応し得る基を有する前駆重合体に反応させて上記
反応性基を上記前駆重合体中に導入する方法等を挙げる
ことができる。
【0084】上記化合物としては、例えば、カーボンブ
ラックに対する前記の反応性基の1種を分子内に2個以
上有する化合物、カーボンブラックに対する前記の反応
性基の2種以上を分子内に有する化合物、カーボンブラ
ックに対する前記の反応性基の1種以上と前記の反応性
基以外の官能基とを分子内に有する化合物等を挙げるこ
とができる。
【0085】ただし、上記の官能基とはエポキシ基、チ
オエポキシ基、アジリジン基、およびオキサゾリン基以
外のものであって、かつ、前記の前駆重合体の有する反
応し得る基と反応し得るものである。前駆重合体の有す
る反応し得る基としては、例えばイソシアネート基、ア
ミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、ビニル基等
を挙げることができる。
【0086】反応性基を有する重合体の分子量について
は特に制限はないが、導電性のカーボンブラックに対す
るグラフト化の効果や、上記カーボンブラックとの反応
時の作業性を考慮すると、上記分子量は、平均分子量 5
00〜1000000 の範囲とすることが好ましく、より好まし
くは1000〜100000の範囲内である。
【0087】本発明の電気粘性流体組成物の誘電体粒子
としては、導電性のカーボンブラックに対し、該カーボ
ンブラックに対する反応性基を有する重合体が付加反応
して得られたものが好ましい。
【0088】上記グラフト化としては、例えば、カーボ
ブラックに対して反応性基を有する重合体を上記カーボ
ンブラックに対して、通常の付加反応させる方法、ある
いは、カーボンブラックの存在下に重合体を生成する反
応を行い、上記重合体の生成と、上記重合体のカーボン
ブラックに対する反応とを同時に行って、結果として、
重合体がカーボンブラックに付加反応したものとしても
よい。ただし、高いグラフト化効率でカーボンブラック
グラフトポリマーを得るためには前者の方法を用いるこ
とが好ましい。
【0089】導電性のカーボンブラックと反応性基を有
する重合体との反応に際し、カーボンブラック 100重量
部に対して、上記重合体を、10〜3000重量部の割合で用
いることが好ましい。上記重合体の割合が10重量部未満
の場合、電場印加時に流れる電流密度が大きくなること
がある。上記重合体の割合が3000重量部を越える場合、
電場を印加しても大きな粘度変化が得られないことがあ
る。
【0090】カーボンブラックと反応性基を有する重合
体との反応は、0〜 350℃の範囲内で撹拌混合して行わ
れる方法が好ましい。反応時の温度が 350℃を越える場
合、上記重合体が変質し、調製された電気粘性流体組成
物に電場を印加した時に流れる電流密度が大きくなるこ
とがある。
【0091】導電性を有するカーボンブラックにおける
重合体に対する付加反応は、他の成分を含まないで行う
方法を用いることができる。この方法によれば、弱い凝
集力を示す状態の上記カーボンブラックを用いると、上
記凝集が、上記の反応に伴って解砕され、上記グラフト
化が効率よく進行する。それゆえ、得られた誘電体粒子
は、本発明に好適なものとなる。
【0092】上記の付加反応は、上記重合体に該当しな
いポリマー、重合性単量体、有機溶剤等の他の物質の混
在下でも可能である。このような場合、上記カーボンブ
ラックとの親和性が高く、かつ、上記重合体を溶解する
芳香族炭化水素類の共存下に反応することが、上記カー
ボンブラックと上記重合体とが速やかに混合、攪拌され
るので好ましい。このようにカーボンブラックと反応性
基を有する重合体との反応は、各種撹拌機、混練機を用
いてなされるのが望ましい。
【0093】本発明の電気粘性流体組成物は、導電性の
カーボンブラック部分に対し重合体部分がグラフト化さ
れてなる誘電体粒子を分散相として、前記した電気絶縁
油からなる分散媒に混合することにより調製される。誘
電体粒子と電気絶縁油との比は、前者 100重量部に対し
て後者 100〜2000重量部の範囲であることが好ましい。
電気絶縁油の量が2000重量部を越える場合、調製された
電気粘性流体組成物に電場を印加しても大きな粘度変化
が得られないことがある。また、電気絶縁油の量が 100
重量部未満である場合、電場無印加時の粘度が増大し、
流動性が乏しくなることがある。
【0094】本発明の電気粘性流体組成物には、その粘
度調節のために、例えば界面活性剤、高分子増粘剤、そ
の他の添加剤などの従来公知の各種添加剤を添加するこ
とができる。
【0095】
【実施例】本発明の電気粘性流体組成物を、以下、各実
施例により説明するが、本発明の範囲がこれらの実施例
に限定されるものではない。
【0096】電気粘性流体組成物は、電気絶縁油からな
る分散媒と、誘電体粒子からなる分散相とを含むもので
あり、上記誘電体粒子が導電性のカーボンブラック部分
と重合体部分とを備え、上記重合体部分が上記カーボン
ブラック部分に対してグラフト化されてなっている。
【0097】まず、上記誘電体粒子としてのカーボング
ラフトポリマーの各例を、参考例1〜5として以下に説
明する。
【0098】〔参考例1〕撹拌機、不活性ガス導入管、
還流冷却管及び温度計を備えたフラスコにポリビニルア
ルコール0.2重量部を溶解した脱イオン水400重量
部を仕込んだ。そこへ、スチレン193重量部およびグ
リシジルメタクリレート7重量部からなる単量体混合物
にベンゾイルパーオキサイド14重量部を溶解して仕込
み、上記フラスコ内の内容物を高速で撹拌して均一な懸
濁液とした。
【0099】次いで窒素ガスを吹き込みながら上記懸濁
液を80℃に加熱し、この温度で6時間撹拌を続けて重
合反応を行った後、上記フラスコ内の内容物を冷却し
た。そのようにして得られた重合体懸濁液をろ過、洗浄
した後、乾燥して反応性基としてエポキシ基を分子内に
有する重合体を得た。この重合体の平均分子量はGPC
(Gel Permeation Chromatography)測定によりMn=6
500であった。
【0100】次に、得られた重合体50重量部とカーボ
ンブラックMA−100R(三菱化成株式会社製、粒子
径22mμ、pH3.5)50重量部とを、混練機(ラ
ボプラストミル、東洋精機株式会社製)を用いて160
℃、上記混練機の羽根の回転数100rpmの条件下に
て混練して反応させた後、その反応生成物を粉砕してカ
ーボンブラックグラフトポリマー(1)を得た。なお、
上記のmμは10-9メートルを示す。
【0101】〔参考例2〕参考例1で用いたものと同じ
フラスコにポリビニルアルコール0.2重量部を溶解し
た脱イオン水400重量部を仕込んだ。そこへ、メチル
メタクリレート44重量部、ブチルアクリレート150
重量部、および2,3−エピチオプロピルメタクリレー
ト6重量部からなる単量体混合物にベンゾイルパーオキ
サイド15重量部を溶解して仕込み、上記フラスコ内の
内容物を高速で撹拌して均一な懸濁液とした。
【0102】次いで、窒素ガスを吹き込みながら上記懸
濁液を80℃に加熱し、この温度で6時間撹拌を続けて
重合反応を行った後、上記フラスコ内の内容物を冷却し
て重合体懸濁液を得た。この重合体懸濁液を濾過、洗浄
した後乾燥して反応性基としてチオエポキシ基を分子内
に有する重合体を得た。この重合体の平均分子量はGP
C測定によりMn=6100であった。
【0103】次に、得られた重合体60重量部と、15
重量部のカーボンブラックMA−100Rとを、参考例
1に記載の混練機を用いて160℃、100rpmの条
件下にて混練して反応させた後、その反応生成物を粉砕
してカーボンブラックグラフトポリマー(2)を得た。
【0104】〔参考例3〕参考例1で用いたものと同じ
フラスコにイソプロピルアルコール400重量部を仕込
んだ。そこへ、メチルメタクリレート34重量部、スチ
レン20重量部、ブチルアクリレート40重量部、メタ
クリロイル基含有ポリジメチルシロキサン(チッソ株式
会社製のサイラプレーンFM0721、平均分子量=約
5000)100重量部、およびグリシジルアクリレー
ト6重量部からなる単量体混合物にベンゾイルパーオキ
サイド15重量部を溶解して仕込み、上記フラスコ内の
内容物を撹拌して均一な溶液とした。
【0105】次いで窒素ガスを吹き込みながら上記溶液
を80℃に加熱し、この温度で6時間撹拌を続けて重合
反応を行った後、上記フラスコ内の内容物を冷却して重
合体溶液を得た。この重合体溶液中の溶媒を留去後乾燥
して反応性基としてエポキシ基を分子内に有する重合体
を得た。この重合体の平均分子量はGPC測定によりM
n=10000であった。
【0106】次に、得られた重合体60重量部とカーボ
ンブラックMA−7(三菱化成株式会社製、粒子径24
mμ、pH3)15重量部とを、参考例1に記載の混練
機を用いて160℃、100rpmの条件下にて混練し
て反応させた後、粉砕してカーボンブラックグラフトポ
リマー(3)を得た。
【0107】〔参考例4〕参考例1で用いたものと同じ
フラスコにポリビニルアルコール0.2重量部を溶解し
た脱イオン水400重量部を仕込んだ。そこへ、スチレ
ン145重量部、p−クロロスチレン50重量部、およ
びイソプロペニルオキサゾリン5重量部からなる単量体
混合物にベンゾイルパーオキサイド15重量部を溶解し
て仕込み、上記フラスコ内の内容物を高速で撹拌して均
一な溶液とした。
【0108】次いで窒素ガスを吹き込みながら上記溶液
を80℃に加熱し、この温度で6時間撹拌を続けて重合
反応を行った後、上記フラスコ内の内容物を冷却して重
合体懸濁液を得た。この重合体懸濁液をろ過、洗浄した
後、乾燥して反応性基としてオキサゾリン基を分子内に
有する重合体を得た。この重合体の平均分子量はGPC
測定によりMn=5100であった。
【0109】次に、得られた重合体60重量部とカーボ
ンブラックMA−600(三菱化成株式会社製、粒子径
18mμ、pH7.5)20重量部とを、参考例1に記
載の混練機を用いて160℃、100rpmの条件下に
て混練して反応させた後、その反応生成物を粉砕してカ
ーボンブラックグラフトポリマー(4)を得た。
【0110】〔参考例5〕参考例1で用いたものと同じ
フラスコにトルエン200重量部およびメチルイソブチ
ルケトン200重量部を仕込んだ。そこへ、メチルアク
リレート30重量部、スチレン150重量部、ステアリ
ルアクリレート10重量部、および2−(1−アジリジ
ニル)エチルメタクリレート10重量部からなる単量体
混合物にベンゾイルパーオキサイド5重量部を溶解した
混合物を調製した。上記混合物を2時間にわたって滴下
ロートより上記フラスコ内に滴下した。
【0111】更に、窒素ガスを吹き込みながら上記フラ
スコ内の溶液を80℃に加熱し、この温度で6時間撹拌
を続けて重合反応を行った後、上記フラスコ内の内容物
を冷却して重合体溶液を得た。この重合体溶液にメタノ
ールを加えて再沈した後乾燥して反応性基としてアジリ
ジン基を分子内に有する重合体を得た。この重合体の平
均分子量はGPC測定によりMn=4500であった。
【0112】次に、得られた重合体80重量部と、カー
ボンブラックMA−600(参考例4記載)20重量部
とを、参考例1記載の混練機を用いて160℃、100
rpmの条件下にて混練して反応させた後、その反応生
成物を粉砕してカーボンブラックグラフトポリマー
(5)を得た。
【0113】次に、上記各参考例1〜5のカーボングラ
フトポリマーを、誘電体粒子として各電気絶縁油に混合
して分散させた本発明の電気粘性流体組成物の各実施例
例について説明する。
【0114】〔実施例1〕参考例1で得られたカーボン
ブラックグラフトポリマー(1)15重量部をトルエン
85重量部中に混合・分散させ、本発明の電気粘性流体
組成物(1)を得た。組成物(1)中でのカーボンブラ
ックグラフトポリマー(1)の平均粒子径は、沈降式粒
度分布計を用いて測定したところ、0.045μmであ
った。
【0115】〔実施例2〕参考例2で得られたカーボン
ブラックグラフトポリマー(2)20重量部を安息香酸
エチル80重量部中に混合・分散させ、本発明の電気粘
性流体組成物(2)を得た。組成物(2)中でのカーボ
ンブラックグラフトポリマー(2)の平均粒子径は、測
定したところ、0.14μmであった。
【0116】〔実施例3〕参考例3で得られたカーボン
ブラックグラフトポリマー(3)15重量部を、動粘性
率10×10-6m2/sのシリコーンオイル(信越化学工業株式
会社製のKF96−10CS)85重量部中に混合・分
散させ、本発明の電気粘性流体組成物(3)を得た。組
成物(3)中でのカーボンブラックグラフトポリマー
(3)の平均粒子径は、測定したところ、0.12μm
であった。
【0117】〔実施例4〕参考例4で得られたカーボン
ブラックグラフトポリマー(4)20重量部をエチルベ
ンゼン80重量部中に混合・分散させ、本発明の電気粘
性流体組成物(4)を得た。組成物(4)中でのカーボ
ンブラックグラフトポリマー(4)の平均粒子径は、測
定したところ、0.15μmであった。
【0118】〔実施例5〕参考例5で得られたカーボン
ブラックグラフトポリマー(5)15重量部をトルエン
85重量部中に混合・分散させ、本発明の電気粘性流体
組成物(5)を得た。組成物(5)中でのカーボンブラ
ックグラフトポリマー(5)の平均粒子径は、測定した
ところ、0.16μmであった。
【0119】次に、誘電体粒子としての非修飾のカーボ
ンブラックを用いた比較用流体組成物について比較例
1、2として説明する。
【0120】〔比較例1〕カーボンブラックMA−10
0R(参考例1記載)15重量部をトルエン85重量部
中に混合し、比較用流体組成物(1)を得た。比較用流
体組成物(1)中のカーボンブラックMA−100Rは
トルエン中に分散せず、凝集していた。
【0121】〔比較例2〕15重量部のカーボンブラッ
クMA−7を、シリコーンオイル(信越化学工業株式会
社製のKF96−10CS)85重量部中に混合し、比
較流用体組成物(2)を得た。比較流用体組成物(2)
中のカーボンブラックMA−7はシリコーンオイル中に
分散せず、凝集していた。
【0122】〔測定結果1〕実施例1〜5で得られた電
気粘性流体組成物(1)〜(5)および比較例1と2で
得られた比較用流体組成物(1)と(2)のそれぞれに
ついて、温度25℃での電場を印加していない状態での
粘度を測定した。
【0123】さらに、上記各組成物の分散安定性をそれ
ぞれ測定した。上記測定方法としては、各組成物をそれ
ぞれ高さ150mm、直径15mmの試験管に底から1
00mmまで充填し、その後室温で放置して分散相の沈
降状況を追跡した。1ヶ月間放置後の沈降状況によっ
て、各組成物の分散安定性を評価した。それらの結果を
表1に示した。
【0124】また、上記各組成物に対して電場を印加し
て、それらの粘度変化を次に示すようにそれぞれ測定し
た。まず、各組成物をそれぞれ電場付き二重円筒型回転
粘度計にいれ、内/外筒間隙1.0mm、せん断速度1
00/sの条件下で、電場を印加していない時のせん断
応力(PE )と2kV/mmの交流電場を印加した時の
せん断応力(P0 )をそれぞれ測定した。その比(PE
/P0 )を、相対的な粘度変化とし、それらの結果を表
1に示した。また、電場印加時には、その際に流れる電
流密度を測定した。それらの結果を表1に示した。
【0125】
【表1】
【0126】上記表1のAは、1ヶ月後においても分散
相の沈降が起こらず、上記分散相が分散媒中にて均一な
分散状態を保っていたことを示す。
【0127】上記表1の*1は、カーボンブラックが沈
降・凝集し、均一な流体にならなかったことを示す。
【0128】上記表1の*2は、絶縁破壊が生じて、2
kV/mmの電場を印加することができなかったことを
示す。
【0129】表1から明らかなように、本発明の電気粘
性流体組成物(1)〜(5)は電場印加時に大きな粘度
変化が得られ、電場印加時の際に流れる電流密度は小さ
かった。また、本発明の電気粘性流体組成物(1)〜
(5)の電場無印加時の粘度は0.04Pa・s 以下と非常に
小さく流動性に優れていた。更に、本発明の電気粘性流
体組成物(1)〜(5)は1ヶ月間放置後においても分
散相の沈降等が起こらず、非常に優れた分散安定性を有
していることが分かった。
【0130】しかし、比較用流体組成物(1)と(2)
中のカーボンブラックはそれぞれの分散媒に分散せず凝
集しており、分散安定性が非常に悪かった。また、比較
用流体組成物(1)と(2)とは、絶縁破壊が生じて、
2kV/mmの電場を印加することができなかった。
【0131】次に、電気粘性流体組成物における分散相
の他の各例を参考例6〜11として説明する。
【0132】〔参考例6〕温度計、撹拌羽根、冷却管を
備え付けたフラスコにトルエン200重量部を仕込ん
だ。そこへ、メタクリロイル基含有ポリジメチルシロキ
サン(チッソ株式会社製のサイラプレーンFM072
1、平均分子量=約5000)190重量部、グリシジ
ルメタクリレート10重量部、ベンゾイルパーオキサイ
ド15重量部を仕込み、上記フラスコ内の内容物を撹拌
して均一な溶液とした。
【0133】このようにして得られた溶液を70℃に加
熱し4時間重合反応を行った。得られた重合体溶液の溶
媒を減圧下留去して、エポキシ基を分子内に有する重合
体を得た。この重合体の平均分子量はGPC測定により
Mn=10000であった。
【0134】次に、温度計、撹拌羽根、冷却管を備え付
けたセパラブルフラスコ内に、得られた重合体40重量
部と、20重量部のカーボンブラックMA−100Rと
を分散した。さらに200重量部のキシレンと、200
0重量部のSUS製ビーズを上記セパラブルフラスコ内
に仕込んだ。
【0135】その後、上記セパラブルフラスコ内の内容
物を回転数600r.p.m.で撹拌しながら160℃で3時
間グラフト化を行った。反応終了後、反応内容物とSU
S製ビーズを分離し、上記反応内容物から減圧下にて溶
媒を留去し、真空ポンプにて十分に乾燥してカーボンブ
ラックグラフトポリマー(6)を得た。
【0136】〔参考例7〕参考例6と同様にしてフラス
コにトルエン200重量部を仕込んだ。そこへ、メタク
リロイル基含有ポリジメチルシロキサン(チッソ株式会
社製のサイラプレーンFM0711、平均分子量=約1
000)195重量部、グリシジルメタクリレート5重
量部、およびアゾビスイソブチロニトリル5重量部を溶
解した混合物を仕込み、撹拌して均一な溶液とした。
【0137】この溶液を65℃に加熱し4時間重合反応
を行った。得られた重合体溶液の溶媒を減圧下留去し
て、エポキシ基を分子内に有する重合体を得た。この重
合体の平均分子量はGPC測定によりMn=7000で
あった。
【0138】次いで、セパラブルフラスコ内に、得られ
た重合体40重量部と20重量部のカーボンブラックM
A−100Rとを分散し、さらに、200重量部のキシ
レンとSUS製ビーズ2000重量部とを仕込んだ。
【0139】上記セパラブルフラスコ内の内容物を回転
数600r.p.m.で撹拌しながら160℃で3時間反応さ
せた。反応終了後、反応内容物とSUS製ビーズを分離
し、上記反応内容物中の溶媒を減圧下で留去した。真空
ポンプにて十分に乾燥して上記反応内容物からカーボン
ブラックグラフトポリマー(7)を得た。
【0140】〔参考例8〕参考例6と同様にフラスコに
トルエン200重量部を仕込んだ。そこへ、メタクリロ
イル基含有ポリジメチルシロキサン(チッソ株式会社製
のサイラプレーンFM0721、平均分子量=約500
0)90重量部、スチレン90重量部、グリシジルアク
リレート20重量部、ベンゾイルパーオキサイド10重
量部を仕込み、上記フラスコ内の内容物を撹拌して均一
な溶液とした。
【0141】この溶液を65℃に加熱し4時間重合反応
を行った。得られた重合体溶液の溶媒を減圧下留去し
て、エポキシ基を分子内に有する重合体を得た。この重
合体の平均分子量はGPC測定によりMn=8000で
あった。
【0142】次いで、セパラブルフラスコに、得られた
重合体40重量部と、40重量部のカーボンブラックM
A−100R、およびキシレン200重量部を分散さ
せ、さらにSUS製ビーズ2000重量部を仕込んだ。
【0143】上記セパラブルフラスコ内の内容物を回転
数600r.p.m.で撹拌しながら160℃で3時間反応さ
せた。反応終了後、反応内容物とSUS製ビーズを分離
し、反応内容物中の溶媒を減圧下で留去した。真空ポン
プにて十分に乾燥して上記反応内容物からカーボンブラ
ックグラフトポリマー(8)を得た。
【0144】〔参考例9〕参考例6と同様にフラスコに
トルエン200重量部を仕込んだ。そこへ、メタクリロ
イル基含有ポリジメチルシロキサン(チッソ株式会社製
のサイラプレーンFM0721、平均分子量=約500
0)170重量部、メチルメタクリレート20重量部、
グリシジルメタクリレート10重量部、ベンゾイルパー
オキサイド10重量部を仕込み、上記フラスコ内の内容
物を撹拌して均一な溶液とした。
【0145】この溶液を65℃に加熱し4時間重合反応
を行った。得られた重合体溶液の溶媒を減圧下留去し
て、上記重合体溶液からエポキシ基を分子内に有する重
合体を得た。この重合体の平均分子量はGPC測定によ
りMn=7000であった。
【0146】次いで、セパラブルフラスコ内に、得られ
た重合体40重量部と、20重量部のカーボンブラック
MA−600とを分散し、さらに、キシレン200重量
部と、SUS製ビーズ2000重量部とを仕込んだ。
【0147】上記フラスコ内の内容物を回転数600r.
p.m.で撹拌しながら160℃で3時間反応させた。反応
終了後、反応内容物からSUS製ビーズを分離し、上記
反応内容物中の溶媒を減圧下で留去した。真空ポンプに
て十分に乾燥してカーボンブラックグラフトポリマー
(9)を上記反応内容物から得た。
【0148】〔参考例10〕参考例6と同様にフラスコ
にトルエン200重量部を仕込んだ。そこへ、トリス
(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレート
(信越化学工業株式会社製のX−22−5002、平均
分子量=約422)180重量部、スチレン15重量
部、グリシジルメタクリレート5重量部、およびアゾビ
スイソブチロニトリル5重量部を仕込み上記フラスコ内
の内容物を撹拌して均一な溶液とした。
【0149】この溶液を65℃に加熱し4時間重合反応
を行った。得られた重合体溶液の溶媒を減圧下留去し
て、エポキシ基を分子内に有する重合体を得た。この重
合体の平均分子量はGPC測定によりMn=6000で
あった。
【0150】次いで、セパラブルフラスコ内に、得られ
た重合体40重量部と、20重量部のカーボンブラック
MA−100Rとを分散し、さらに、キシレン200重
量部と、SUS製ビーズ2000重量部を仕込んだ。
【0151】上記フラスコ内の内容物を回転数600r.
p.m.で撹拌しながら160℃で3時間反応させた。反応
終了後、反応内容物とSUS製ビーズを分離し、反応内
容物中の溶媒を減圧下で留去した。真空ポンプにて十分
に乾燥してカーボンブラックグラフトポリマー(10)
を上記反応内容物から得た。
【0152】〔参考例11〕参考例6と同様にフラスコ
にトルエン200重量部を仕込んだ。そこへ、メタクリ
ロイル基含有ポリジメチルシロキサン(チッソ株式会社
製のサイラプレーンFM0721、平均分子量=約50
00)180重量部、スチレン10重量部、イソプロペ
ニルオキサゾリン10重量部、およびアゾビスイソブチ
ロニトリル5重量部を仕込み、撹拌して均一な溶液とし
た。
【0153】この溶液を65℃に加熱し4時間重合反応
を行った。得られた重合体溶液の溶媒を減圧下留去し
て、エポキシ基を分子内に有する重合体を得た。この重
合体の平均分子量はGPC測定によりMn=7000で
あった。
【0154】次に、セパラブルフラスコ内に、得られた
重合体40重量部と、20重量部のカーボンブラックM
A−100Rとを分散し、さらに、キシレン200重量
部と、SUS製ビーズ2000重量部を仕込んだ。
【0155】上記フラスコ内の内容物を回転数600r.
p.m.で撹拌しながら160℃で3時間反応させた。反応
終了後、反応内容物とSUS製ビーズを分離し、反応内
容物中の溶媒を減圧下で留去した。真空ポンプにて十分
に乾燥してカーボンブラックグラフトポリマー(11)
を得た。
【0156】次に、上記各参考例6〜11のカーボンブ
ラックグラフトポリマーを、各電気絶縁油に混合して分
散させた本発明の電気粘性流体組成物の各例について説
明する。
【0157】〔実施例6〕参考例6で得られたカーボン
ブラックグラフトポリマー(6)30重量部をシリコー
ンオイル(信越化学工業株式会社製のKF96−20C
S)70重量部中に混合・分散させ本発明の電気粘性流
体組成物(6)を得た。上記電気粘性流体組成物(6)
中でのカーボンブラックグラフトポリマー(6)の平均
粒子径は測定したところ0.12μmであった。
【0158】〔実施例7〕参考例7で得られたカーボン
ブラックグラフトポリマー(7)30重量部をシリコー
ンオイル(信越化学工業株式会社製のKF96−20C
S)70重量部中に混合・分散させ本発明の電気粘性流
体組成物(7)を得た。電気粘性流体組成物(7)中で
のカーボンブラックグラフトポリマー(7)の平均粒子
径は測定したところ0.09μmであった。
【0159】〔実施例8〕参考例8で得られたカーボン
ブラックグラフトポリマー(8)30重量部を鉱物油系
電気絶縁油(株式会社コスモ石油製、高電圧絶縁油)7
0重量部中に混合・分散させ本発明の電気粘性流体組成
物(8)を得た。電気粘性流体組成物(8)中でのカー
ボンブラックグラフトポリマー(8)の平均粒子径は測
定したところ0.08μmであった。
【0160】〔実施例9〕参考例9で得られたカーボン
ブラックグラフトポリマー(9)30重量部をシリコー
ンオイル(信越化学工業株式会社製のKF96−20C
S)70重量部中に混合・分散させ本発明の電気粘性流
体組成物(9)を得た。電気粘性流体組成物(9)中で
のカーボンブラックグラフトポリマー(9)の平均粒子
径は測定したところ0.12μmであった。
【0161】〔実施例10〕参考例10で得られたカー
ボンブラックグラフトポリマー(10)30重量部をシ
リコーンオイル(信越化学工業株式会社製のKF96−
20CS)70重量部中に混合・分散させ本発明の電気
粘性流体組成物(10)を得た。電気粘性流体組成物
(10)中でのカーボンブラックグラフトポリマー(1
0)の平均粒子径は測定したところ0.12μmであっ
た。
【0162】〔実施例11〕参考例11で得られたカー
ボンブラックグラフトポリマー(11)30重量部をシ
リコーンオイル(信越化学工業株式会社製のKF96−
20CS)70重量部中に混合・分散させ本発明の電気
粘性流体組成物(11)を得た。電気粘性流体組成物
(11)中でのカーボンブラックグラフトポリマー(1
1)の平均粒子径は測定したところ0.09μmであっ
た。
【0163】次に、比較例としての比較用流体組成物に
用いた各誘電体粒子の各例を参考例12、13として説
明する。
【0164】〔参考例12〕参考例6と同様にしてフラ
スコ内に、トルエン200重量部を仕込んだ。そこへ、
メタクリロイル基含有ポリジメチルシロキサン(チッソ
株式会社製のサイラプレーンFM0721、平均分子量
=約5000)110重量部、スチレン90重量部、ベ
ンゾイルパーオキサイド10重量部を仕込み、上記フラ
スコ内の内容物を撹拌して均一な溶液とした。
【0165】この溶液を65℃に加熱し4時間重合反応
を行った。得られた重合体溶液の溶媒を減圧下留去し
て、重合体を得た。この重合体の平均分子量はGPC測
定によりMn=7000であった。
【0166】〔参考例13〕20重量部のカーボンブラ
ックMA−7をトルエン200重量部中に分散した。そ
こへ、キシレン、エタノール混合溶液に溶解したフェニ
ルトリエトキシシラン1重量部を加えた。さらに、少量
の水を加えた後、上記フラスコ内の内容物を80℃で、
3時間加熱することで反応を行った。反応終了後、上記
フラスコ内の内容物から溶媒を減圧下留去して得られた
混合物を乾燥して、凝集したカーボンブラックが得られ
た。
【0167】次に、誘電体粒子としての非修飾のカーボ
ンブラックを用いた比較用流体組成物の他の例について
比較例3、4として、また、上記参考例12、13の誘
電体粒子を用いた比較用流体組成物の他の例について比
較例5、6として説明する。
【0168】〔比較例3〕15重量部のカーボンブラッ
クMA−100Rを、動粘性率20×10-6m2/sのシリコー
ンオイル(信越化学工業株式会社製のKF96−20C
S)85重量部中に混合し、比較用流体組成物(3)を
得た。カーボンブラックMA−100Rはシリコーンオ
イル中に分散せず、凝集していた。
【0169】〔比較例4〕15重量部のカーボンブラッ
クMA−100Rを、鉱物油系電気絶縁油(株式会社コ
スモ石油製、高圧絶縁油)85重量部中に混合し、比較
用流体組成物(4)を得た。カーボンブラックMA−1
00Rは鉱物油系電気絶縁油中に分散せず、凝集してい
た。
【0170】〔比較例5〕参考例12で得られた重合体
20重量部と、10重量部のカーボンブラックMA−1
00Rとを、動粘性率20×10-6m2/sのシリコーンオイル
(信越化学工業株式会社製のKF96−20CS)70
重量部中に混合し、比較用流体組成物(5)を得た。
【0171】〔比較例6〕参考例13で得られた凝集し
たカーボンブラック20重量部、80重量部の動粘性率
20×10-6m2/sのシリコーンオイル(信越化学工業株式会
社製のKF96−20CS)中に混合し、比較用流体組
成物(6)を得た。上記カーボンブラックはシリコーン
オイル中に分散せず、凝集していた。
【0172】次に、比較例7として、シラン処理したカ
ーボンブラックを反応性シリコーンオイルと反応させた
ものを分散相として、分散媒としてのシリコーンオイル
に混合して得られたものについて説明する。
【0173】〔比較例7〕20重量部のカーボンブラッ
クMA−600を、脱イオン水に加え、分散機を用いて
10000rpmにて攪拌し、十分に分散した。次い
で、この分散液にシランカップリング剤として、0.5
重量部のγ−アミノプロピルトリエトキシシランをメタ
ノール200mlに溶解したものを加え、さらに、分散
機を用いて1000rpmにて攪拌した。
【0174】このようにしてγ−アミノプロピルトリエ
トキシシランは、γ−アミノプロピルトリヒドロキシシ
ランを介してカーボンブラックの表面のハイドロキシ基
(OH基)と反応させた後、得られた混合物から水洗に
よって過剰なシランカップリング剤を除去し、上記混合
物を回収し、乾燥してγ−アミノプロピルトリエトキシ
シランで処理したカーボンブラック粒子を得た。
【0175】次に、γ−アミノプロピルトリエトキシシ
ランで処理したカーボンブラック粒子20重量部と末端
エポキシ基を有する片末端反応性シリコーンオイル10
重量部および分散媒としてのシリコーンオイル(信越化
学工業株式会社製のKF96−20CS)70重量部を
ボールミルで3時間粉砕、混合して比較用流体組成物
(7)を得た。
【0176】〔測定結果2〕実施例6〜11で得られた
電気粘性流体組成物(6)〜(11)および比較例3〜
7で得られた比較用流体組成物(3)〜(7)のそれぞ
れについて、温度25℃での電場を印加していない状態
での粘度、分散安定性、電場印加時の相対的な粘度変化
および電流密度を、前述と同様に測定した。それらの結
果を表2に合わせて示した。なお、下記の表2では、前
記表1と同一の評価の場合、表1と同一の略号を用い
た。
【0177】
【表2】
【0178】上記表2におけるBは1ヶ月後には分散相
の沈降により、組成物中に上澄みが生じていたことを示
す。
【0179】表2から明らかなように、本発明の電気粘
性流体組成物(6)〜(11)は電場印加時に大きな粘
度変化を示し、その際に流れる電流密度は小さかった。
また、本発明の電気粘性流体組成物(6)〜(11)の
電場無印加時の粘度は 0.1Pa・s 以下と小さく、優れた
流動性を示した。さらに、本発明の電気粘性流体組成物
(6)〜(11)は1ヶ月後においても分散相の沈降等
が起こらず、非常に優れた分散安定性が付与されてい
た。
【0180】しかし、比較用流体組成物(3)、
(4)、(6)のカーボンブラックはそれぞれの分散媒
に分散せず凝集しており、また、比較用流体組成物
(1)、(2)は分散安定性が悪かった。
【0181】比較用流体組成物(5)、(7)は、分散
媒に一旦分散したものの、1ヶ月後には、分散相が沈降
し上澄みが生じていた。また、比較用流体組成物(3)
〜(7)は、絶縁破壊が生じたため2kV/mmの電場
を印加することができなかった。
【0182】上記各実施例における組成物の特性は下記
の理由によるものと考えられた。上記各組成物は、図1
に示すように、カーボンブラック部分1と重合体部分2
とからなる誘電体粒子3を、電気絶縁性を有する油4中
に分散させたものである。上記重合体部分2は、炭素−
炭素結合を有する重合体を含むものである。
【0183】さらに、上記誘電体粒子3は、重合体部分
2とカーボンブラック部分1とを化学結合する部分2a
を有している。上記部分2aは、カーボンブラック部分
1のカルボキシル基と、上記重合体部分2におけるエポ
キシ基等の反応性基とが付加反応によって形成されてな
っている。
【0184】それゆえ、誘電体粒子3が、カーボンブラ
ック部分1と重合体部分2とが化学結合してなることに
より、油4中で、重合体部分2がカーボンブラック部分
1の表面から油4中に延びた状態で、油4中において、
凝集し易い各誘電体粒子3のカーボンブラック部分1の
間に重合体部分2を安定に介在させることができる。
【0185】この結果、油4中において、誘電体粒子3
の凝集を防止できるので、上記組成物に対して誘電体粒
子3の優れた分散安定性を付与できる。
【0186】その上、上記組成物は、導電性を有する各
カーボンブラック部分1の相互間の接触を上記各重合体
部分2の介在によって回避できるから、上記誘電体粒子
間の電気絶縁性や上記誘電体粒子の誘電性を維持でき
て、電場印加時における上記組成物の電気的絶縁破壊を
防止できるものとなっている。
【0187】
【発明の効果】本発明の電気粘性流体組成物は、以上の
ように、電気絶縁油からなる分散媒と、カーボンブラッ
ク部分と重合体部分がグラフト化されてなる誘電体粒子
からなる分散相とを含む構成である。
【0188】それゆえ、上記構成は、安価に製造できる
上に、電場の印加によって大きな粘度変化が得られ、そ
の際に流れる電流特性に優れ、かつ、電場を印加してい
ない状態での分散安定性および流動性に特に優れてい
る。
【0189】この結果、上記構成は、エンジンマウン
ト、クラッチ、ダンパー、ブレーキ、ショックアブソー
バー、アクチュエーター、バルブ、シリンダ、インクジ
ェット等に好適に用いることができるという効果を奏す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電気粘性流体組成物の概略構成図であ
る。
【符号の説明】
1 カーボンブラック部分 2 重合体部分 3 誘電体粒子 4 油(電気絶縁性油)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10N 20:00 20:06 30:04 40:14

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電気絶縁油からなる分散媒と、誘電体粒子
    からなる分散相とを含むものであり、該誘電体粒子が導
    電性のカーボンブラック部分と重合体部分とを備え、該
    重合体部分が該カーボンブラック部分に対してグラフト
    化されてなっていることを特徴とする電気粘性流体組成
    物。
  2. 【請求項2】誘電体粒子の平均粒子径は0.001 〜0.5 μ
    mの範囲内である請求項1記載の電気粘性流体組成物。
  3. 【請求項3】電気絶縁油は、シリコーン系絶縁油である
    請求項1または2に記載の電気粘性流体組成物。
  4. 【請求項4】重合体部分は、ビニル系単量体の重合によ
    り得られ、炭素−炭素結合を有する主鎖を含有するもの
    である請求項1、2または3に記載の電気粘性流体組成
    物。
  5. 【請求項5】重合体部分は、一般式(1) 【化1】 (ただし、一般式(1)中、Aは−COO−またはフェ
    ニレン基を示し、R1 は水素原子またはメチル基を、R
    2 は炭素数1〜6のアルキレン基を、R3 〜R13は同一
    または異なってアリール基、炭素数1〜6のアルキル基
    または炭素数1〜10のアルコキシ基をそれぞれ示し、
    aは任意の自然数を、bおよびcは同一または異なる0
    〜10の整数を、dは0〜200の整数をそれぞれ示
    す)で表されるポリシロキサン含有構造単位を有するも
    のである請求項4に記載の電気粘性流体組成物。
  6. 【請求項6】誘電体粒子は、カーボンブラックと該カー
    ボンブラックに対する反応性基を有する重合体とを付加
    反応させて、上記重合体部分を上記カーボンブラック部
    分にグラフト化させたものである請求項1、2、3、4
    または5に記載の電気粘性流体組成物。
  7. 【請求項7】カーボンブラックは、重合体中の反応性基
    と反応し得るカルボキシル基を有するものである請求項
    6に記載の電気粘性流体組成物。
  8. 【請求項8】重合体は、分子内にエポキシ基、チオエポ
    キシ基、アジリジン基およびオキサゾリン基よりなる群
    から選ばれる少なくとも1種の反応性基を有するもので
    ある請求項6または7に記載の電気粘性流体組成物。
  9. 【請求項9】重合体は、カーボンブラックに対する反応
    性基を有する重合性単量体(a)を含む単量体混合物が
    重合されたものである請求項6、7または8に記載の電
    気粘性流体組成物。
  10. 【請求項10】単量体混合物は、さらに、一般式(2) 【化2】 (ただし一般式(2)中、Bは−COO−またはフェニ
    レン基を示し、R14は水素原子またはメチル基を、R15
    は炭素数1〜6のアルキレン基を、R16〜R26は同一ま
    たは異なってアリール基、炭素数1〜6のアルキル基ま
    たは炭素数1〜10のアルコキシ基をそれぞれ示し、e
    およびfは同一または異なる0〜10の整数を、gは0
    〜200の整数をそれぞれ示す)で表されるシリコーン
    系マクロマー(b)を含む請求項9に記載の電気粘性流
    体組成物。
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