JPH07224082A - アスパラギン結合型糖誘導体及びその製法 - Google Patents

アスパラギン結合型糖誘導体及びその製法

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JPH07224082A
JPH07224082A JP6017443A JP1744394A JPH07224082A JP H07224082 A JPH07224082 A JP H07224082A JP 6017443 A JP6017443 A JP 6017443A JP 1744394 A JP1744394 A JP 1744394A JP H07224082 A JPH07224082 A JP H07224082A
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JP
Japan
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protecting group
compound
formula
asparagine
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Application number
JP6017443A
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English (en)
Inventor
Ichiro Matsuo
一郎 松尾
Katsumi Ajisaka
勝美 鰺坂
Tomoya Ogawa
智也 小川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
RIKEN Institute of Physical and Chemical Research
Meiji Dairies Corp
Original Assignee
Meiji Milk Products Co Ltd
RIKEN Institute of Physical and Chemical Research
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Publication date
Application filed by Meiji Milk Products Co Ltd, RIKEN Institute of Physical and Chemical Research filed Critical Meiji Milk Products Co Ltd
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Publication of JPH07224082A publication Critical patent/JPH07224082A/ja
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/55Design of synthesis routes, e.g. reducing the use of auxiliary or protecting groups

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Abstract

(57)【要約】 【構成】 一般式(1) 【化1】 〔式中、R1 は水素原子又はα−アミノ基の保護基を示
し、R2 は水素原子又はカルボキシル基の保護基を示
し、R3a及びR4aは同一又は異なって水素原子又は中性
条件下で脱離可能な基を示し、Xは保護されていてもよ
いアミノ基を示す〕で表わされるアスパラギン結合型糖
誘導体、その中間体及びそれらの製造法。 【効果】 この化合物(1)は、どのような構造のアス
パラギン結合型糖鎖の合成にも対応できるのみならず、
不溶性の樹脂上でペプチド鎖を伸長させていくペプチド
固相合成法に組み入れ、更に大きな糖ペプチドにするこ
とも容易である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は種々の糖ペプチド、糖蛋
白質及び複合型糖アスパラギン等の合成中間体として有
用なアスパラギン結合型糖誘導体、五糖グリコシルアジ
ド及びそれらの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】アスパラギン結合型糖鎖は、高マンノー
ス型、複合型及び混成型に分類されるが、これらは何れ
もManα1→6(Manα1→3)Manβ1→4G
lcNAcβ1→4GlcNAcで示される共通の五糖
母核構造を持っている。この五糖の還元末端のN−アセ
チルグルコサミン残基と、L−アスパラギンあるいはポ
リペプチド鎖上のアスパラギン残基とが、β−N−グリ
コシド結合したアスパラギン結合型糖誘導体は、蛋白性
医薬品原料の中間体として、あるいは糖蛋白質糖鎖の機
能改変材料として極めて有用である。
【0003】しかしながら、これまでに化学合成された
アスパラギン結合型糖誘導体の糖鎖部分は、水酸基がア
セチル基で保護された単糖若しくは二、三糖〔Gunther,
W.and Kunz, H. (1990) Angew. Chem. Int. Ed. Engl.
29, 1050-1051〕であり、四糖以上については、羊の尿
由来の天然オリゴ糖(七糖)の報告〔Nakabayashi,S.,
Warren, C. D. and Jeanloz, R. W. (1988) Carbohydr.
Res. 174, 279-289〕が唯一である。
【0004】通常アスパラギン結合型糖誘導体を化学合
成する場合、N−アセチルグルコサミン残基のC−1位
にアジド基を導入した後、これを還元してグリコシルア
ミンとし、次いでアスパラギン酸あるいはペプチド鎖上
のアスパラギン酸残基にカルボジイミドなどの縮合剤を
用いて、β−N−グリコシド結合させる。しかしなが
ら、アジド基を導入してグルコシルアジドに変換する方
法は、単糖以外では殆どなく一般性がない。
【0005】また、糖の水酸基の保護基には、通常アセ
チル基やベンゾイル基などのアシル系の保護基が用いら
れているが、アシル系保護基の脱保護は塩基性条件下で
行う必要があり、糖鎖に結合したアミノ酸のラセミ化が
避けられないという問題があった。
【0006】一方、糖の水酸基の保護基として中性条件
下で容易に脱離できるベンジル基を用いた五糖がポール
センらによって報告されている〔Paulsen,H.and Lebuh
n,R.(1984)Carbohydr.Res.130,85-101〕が、この五糖は
N−アセチルグルコサミン残基のC−1位がベンジル保
護されていることから直接アスパラギン酸を導入するこ
とができない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このように従来、アス
パラギン結合型糖鎖の母核であるアスパラギン結合型五
糖は未だ合成されていない。従って、本発明の目的は種
々のアスパラギン結合型糖鎖合成の中間体として有用な
アスパラギン結合型五糖類及びその製造法を提供するこ
とにある。また、本発明は当該アスパラギン結合型五糖
類の合成中間体、更には種々の糖類の合成中間体として
有用な五糖グリコシルアジド及びその製造法を提供する
ことにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
糖鎖部分の合成方法及び得られた糖鎖とアスパラギン酸
あるいはペプチド上のアスパラギン残基との結合反応に
ついて種々検討した結果、糖鎖部分の水酸基の保護基の
選択、糖の1位へのアジド基の導入方法、アジド基の導
入された糖を受容体として非還元末端に糖を伸長する方
法、及び得られたグリコシルアジドを還元してグリコシ
ルアミンとした後、これを単離することなくアスパラギ
ン酸無水物又は活性エステルとβ−N−グリコシド結合
させる方法を開発した。これらの方法を利用することに
より、目的とする五糖グリコシルアジド及びアスパラギ
ン結合型糖誘導体が得られることを見出し、本発明を完
成するに至った。
【0009】すなわち、本発明は次の一般式(1)
【0010】
【化9】
【0011】〔式中、R1 は水素原子又はα−アミノ基
の保護基を示し、R2 は水素原子又はカルボキシル基の
保護基を示し、R3a及びR4aは同一又は異なって水素原
子又は中性条件下で脱離可能な水酸基の保護基を示し、
Xは保護されていてもよいアミノ基を示す〕で表わされ
るアスパラギン結合型糖誘導体及びその製造法に係るも
のである。
【0012】また、本発明は次の一般式(2)
【0013】
【化10】
【0014】〔式中、R3 及びR4 は同一又は異なって
水素原子、アシル基又は中性条件下で脱離可能な水酸基
の保護基を示し、Xは保護されていてもよいアミノ基を
示す〕で表わされる五糖グリコシルアジド及びその製造
法に係るものである。
【0015】本発明において、α−アミノ基の保護基と
しては、通常ペプチド合成の際に利用されるα−アミノ
基の保護基であれば特に制限されないが、ウレタン型保
護基、アシル型保護基、アルキル型保護基、チオエーテ
ル型保護基、イミノ型保護基等が挙げられる。ここで、
ウレタン型保護基としてはベンジルオキシカルボニル、
置換ベンジルオキシカルボニル、フルオレニルメトキシ
カルボニル等のアラルキルオキシカルボニル基;t−ブ
トキシカルボニルに代表されるアルキルオキシカルボニ
ル基;トリフェニルホスフィノエチルオキシカルボニ
ル、メチルスルフェニルエチルオキシカルボニル等の置
換アルキルオキシカルボニル基;アリルオキシカルボニ
ルに代表されるアルケニルオキシカルボニル基;フェノ
キシカルボニル等のアリールオキシカルボニル基等が挙
げられる。アシル型保護基としては、アセチル基等のア
ルカノイル基;o−ニトロフェニルチオアセチル基等の
アリールチオアセチル基等が挙げられる。アルキル型保
護基としてはベンジル、ベンズヒドリル、トリフェニル
メチル基等のアラルキル基が挙げられる。チオエーテル
型保護基としては、トリフェニルメチルチオ、ジニトロ
フェニルチオ、トリクロロフェニルチオ等のアラルキル
チオ基又は置換フェニルチオ基が挙げられる。また、イ
ミノ型保護基としては、置換ベンジリデン基等が挙げら
れる。これらのα−アミノ基の保護基のうち、ウレタン
型保護基が特に好ましい。
【0016】カルボキシル基の保護基としては、通常ペ
プチド合成の際に利用されるカルボキシル保護基であれ
ば特に制限されないが、メチル、エチル、t−ブチル、
アリル等のアルキル又はアルケニル基;ベンジル、置換
ベンジル、2−トリフルオロメチル−6−クロモニルメ
チル、スルホベンジル、9−フルオレニルメチル等のア
ラルキル基;フェナシル、p−メトキシフェナシル等の
アリルカルボニルメチル基;カルバモイルメチル、メチ
ルチオメチル、トリフェニルホスフィノエチル等の置換
アルキル基等が挙げられる。これらのカルボキシル保護
基のうちアラルキル基が特に好ましい。
【0017】中性条件下で脱離可能な水酸基の保護基と
しては、エーテル系保護基、エステル系保護基が挙げら
れる。当該エーテル系保護基としては、ベンジル基、p
−メトキシベンジル基、アリル基、有機シリル基、トリ
チル基等が挙げられる。エステル系保護基としてはアリ
ルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0018】また、Xで示される基としては、前記α−
アミノ基の保護基で保護されたアミノ基と同じものがあ
げられるが、より好ましくは炭素数2〜6のアルカノイ
ルアミド、フタルイミド等が挙げられる。また、アシル
基としては、前記アシル型保護基と同じものが挙げられ
るが、炭素数2〜6のアルカノイル基が特に好ましい。
【0019】本発明化合物(1)及び(2)は、例えば
次に示す反応式に従って製造される。
【0020】
【化11】
【0021】
【化12】
【0022】
【化13】
【0023】
【化14】
【0024】
【化15】
【0025】〔式中、R1aはα−アミノ基の保護基を示
し、R2aはカルボキシル基の保護基を示し、R3b及びR
4bは同一又は異なってアシル基又は中性条件下で脱離可
能な基を示し、X′は保護アミノ基を示し、Yはハロゲ
ン原子を示し、R1 、R2 、R 3 、R4 、R3a、R4a
びXは前記と同じ〕
【0026】(1) 式(6)で示されるトリクロロア
セトイミデート体又は式(7)で示されるグリコシルハ
ライドを、活性化剤BF3・Et2O又はCp2HfCl2
/AgClO4の存在下、トリメチルシリルアジドで処
理し、次いでR4bを脱保護して式(9)で示されるグル
コシルアジドを得; (2) このグリコシルアジド(糖受容体)に、式(1
5)で示される二糖性フルオリド(糖供与体)を、活性
化剤の存在下β−グリコシド結合させ、次いでR 4bを脱
保護して、式(4)で示される三糖性グリコシルアジド
を得; (3) この三糖性グリコシルアジド(糖受容体)に、
式(5)で示される単糖類(糖供与体)を、活性化剤存
在下α−グリコシド結合させ、次いで所望により脱保
護、アシル化して、式(2)及び(2a)で示される五
糖性のグリコシルアジドを得; (4) この五糖性グリコシルアジド(2a)と式
(3)で示されるアスパラギン酸の無水物又は活性エス
テルとを接触水素化還元触媒の存在下に反応させ、所望
により脱保護することにより、一般式(1)で示される
アスパラギン結合型糖誘導体を得る。
【0027】化合物(8)は、まず糖1位の水酸基以外
の水酸基及びアミノ基が保護されたグルコサミンを一般
的に用いられる糖供与体へと変換し、次いでこれらの糖
供与体をBF3・Et2O又はCp2HfCl2/AgCl
4などの活性化剤の存在下トリメチルシリルアジド
(TMSN3)と反応させることにより得られる。即
ち、保護グルコサミンにチオニルクロライド、チオニル
ブロマイド、三フッ化ジエチルアミノ硫黄(DAST)
等のハロゲン化剤を反応させてグリコシルハライド(C
l、Br、F)(7)へ;又は1,8−ジアザビシクロ
[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)、水素化ナ
トリウム等の塩基の存在下、トリクロロアセトニトリル
を反応させてトリクロロアセトイミデート体(6)へ変
換する。糖1位へのアジド基の導入方法として、従来法
では、爆発性のあるAgN3などを用いていたため、特
別の注意を要し、収率もよくなかった。それ故に、本発
明では従来法を用いず、化合物(6)又は(7)と、ト
リメチルシリルアジドとをカップリングする方法を採用
した。この方法により、糖1位にアジド基を持った化合
物(8)を合成することができた。即ち化合物(6)又
は(7)をできるだけ無水の有機溶媒に溶かし、要すれ
ば冷却し、1〜20倍モル、好ましくは5〜12倍モル
のTMSN3を加えた後、Cp2HfCl2/AgCl
4、あるいは、BF3・Et2O等のルイス酸の活性化
剤を添加して反応を行う。30分〜12時間で反応を終
了し、常法により1N塩酸、飽和炭酸水素ナトリウムで
洗浄して、乾燥後濃縮することにより化合物(8)を得
ることができる。
【0028】化合物(9)は、化合物(8)のR4bの保
護基を脱保護することにより得られる。例えばR4bがア
シル基の場合、一般的な脱アシル化の条件でアシル基を
脱離して化合物(9)へと導くことができる。即ち、化
合物(8)をできるだけ無水のテトラヒドロフラン(T
HF)、ジオキサン、あるいはアルコール類に溶解し、
これに触媒量のナトリウムメチラート等のアルコキシ
ド、あるいはトリエチルアミン等のアミン化合物を加え
て反応を行う。反応温度は特に制限されないが、発熱す
る場合には冷却する。通常、0.5〜12時間で脱アシ
ル化された化合物(9)が得られる。
【0029】化合物(12)は、グルコース糖受容体
(10)とマンノース糖供与体(11)とを、不溶性銀
触媒の存在下反応させることにより得られる。即ち、糖
受容体(10)をできるだけ無水の有機溶媒、例えば塩
化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等の溶媒に溶解
し、これにAg−シリカアルミナ、Ag−シリケート等
の触媒、モレキュラーシーブス(MS)等の脱水剤を加
える。これにできるだけ無水の溶媒に溶かした糖供与体
(11)を加えて反応を行う。反応温度は、糖供与体
(11)の添加時は0〜−78℃、好ましくは−20〜
−40℃とし、その後室温にて撹拌することにより、
0.5〜36時間で反応が終了する。要すればカラムク
ロマトグラフィーを用いて精製することによりグルコー
ス糖受容体にマンノース糖供与体がβ−グリコシド結合
した二糖(12)及びα−グリコシド結合した二糖(1
3)を得る。
【0030】化合物(12)は3〜10当量の硝酸第二
セリウムアンモニウム(CAN)と共にトルエン、アセ
トニトリル、水の混合溶媒中、4〜50℃で0.5〜6
時間処理することにより、アノメリック位の保護基が脱
離された二糖(14)へと導くことができる。トルエ
ン、アセトニトリル、水の混合溶媒の組成比は、通常
3:3:4が用いられるが、この組成比に限定されるも
のではない。
【0031】化合物(14)の還元末端の1位を活性化
して、糖供与体(15)へと変換する反応は、通常の活
性化反応により行うことができる。即ち、(14)にチ
オニルクロライド、チオニルブロマイド、DAST等の
ハロゲン化剤を反応させてグリコシルハライド(Cl、
Br、F)へ、又は、DBU、水素化ナトリウム等の塩
基の存在下トリクロロアセトニトリルを反応させて、ト
リクロロアセトイミデートに変換する。まず化合物(1
4)を塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等の溶
剤に溶解し、これに氷冷下1〜10倍モルのDASTを
加えて反応を行う。5分〜2時間で反応が終了したら、
少量のメチルアルコールでDASTを不活性化し、酢酸
エチルにより抽出して二糖性のグリコシルフルオリド
(15)を得る。
【0032】三糖〜五糖の合成は、糖の1位にアジド基
を導入したグリコシルアジド(9)を糖受容体として、
これに順次糖又は糖鎖を縮合させていくことにより行わ
れる。この方法は従来全く知られていなかったものであ
り、この方法を用いれば糖鎖部分を自由にデザインする
ことができる。即ち、グリコシルアジド(9)とCp2
HfCl2、AgClO4などの活性化触媒、およびMS
等の脱水剤を、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭
素等の溶媒に加えて撹拌する。これに−10〜−78
℃、好ましくは−20〜−40℃において、等モル〜3
倍モルのグリコシルフルオリド(15)を同溶媒に溶解
して添加する。その後室温において6〜36時間撹拌し
た後、反応液をセライトを通して濾過する。常法により
後処理し、要すればカラムクロマトグラフィーにより精
製して三糖(4′)を得る。
【0033】化合物(4′)の保護基R4bがアリル基の
場合の脱離は、塩化パラジウム、ルテニウム錯体、イリ
ジウム錯体等の触媒を用いて行う。例えばイリジウム錯
体によるアリル基の脱離反応の場合、以下の通りであ
る。まず、THF、ジオキサンなどの溶媒に化合物
(4′)を溶解し、これに1/5〜1/20重量部のイ
リジウム錯体を添加して撹拌する。水素ガス気流下、溶
液が無色になるまで撹拌した後、酢酸エチルを加えて濃
縮する。残渣をアセトン・水混合溶媒(9:1)に溶解
した後、HgCl2/HgO又はH2O/I2を加えて1
時間撹拌する。酢酸エチルにより抽出することによりア
リル基の脱離された三糖(4)が得られる。
【0034】化合物(4)と(5)との縮合反応も、通
常のグリコシル化反応に従って行うことができる。即
ち、化合物(4)を塩化メチレン、クロロホルム、四塩
化炭素等の溶剤に溶解し、これにシルバートリフレート
(AgOTf)などの触媒、及びMSなどの脱水剤を加
えて室温で30分撹拌する。これを−20〜−78℃、
好ましくは−40℃に冷却した後、同溶媒に溶解した2
〜10倍モルのマンノース糖供与体(5)を滴下する。
反応温度を室温に戻し、12〜36時間撹拌する。要す
ればカラムクロマトグラフィーを行い精製することによ
り、還元末端の糖1位にアジド基が導入された五糖性化
合物(2)を得、所望により脱保護、アシル化等するこ
とにより化合物(2a)を得る。この五糖はアスパラギ
ン結合型糖鎖に共通の母核構造を有する。
【0035】五糖(2)のアミノ基の保護基がフタロイ
ル基の場合は、常法によりアミン類又はヒドラジンによ
って脱離する。即ち、化合物(2)をTHF、ジオキサ
ン等の溶媒、あるいはn−ブタノール等のアルコールに
溶解した後、これにエチレンジアミンなどのアミン類、
あるいはメチルヒドラジン、ヒドラジン等のヒドラジン
類を加えて撹拌する。TLCで反応を追跡し、要すれば
アルゴンガス気流下、50〜100℃、あるいは溶媒の
沸点まで加熱する。反応終了後、メタノールに溶解した
無水酢酸を加えて2時間撹拌後、溶媒を留去した後カラ
ムクロマトグラフィーにより精製してアミノ基を有する
五糖性化合物(2)を得る。
【0036】五糖性化合物(2a)とアスパラギン酸の
無水物又は活性エステルとの反応は化合物(2a)のア
ジド基を還元してアミノ基に変換して五糖性グルコサミ
ンを得る反応と、アスパラギン酸の無水物又は活性エス
テルとの縮合反応を同時に行う方法を採用した。即ち、
α−アミノ基及びα−カルボキシル基が保護されたアス
パラギン酸(3)を塩化メチレン、あるいはクロロホル
ム、四塩化炭素等の溶媒に溶解し、氷冷下ジシクロヘキ
シルカルボジイミド(DCC)を加えて30分撹拌すれ
ばアスパラギン酸無水物が得られる。またα−アミノ基
及びα−カルボキシル基が保護されたアスパラギン酸と
N−ヒドロキシマクシンイミドや1−ヒドロキシベンゾ
トリアゾールとを縮合剤の存在下に反応させれば、アス
パラギン酸活性エステルが得られる。ここで用いる縮合
剤としては、DCCの代わりに、N−エチル−N’−3
−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド(EDC)
や、ジイソプロピルカルボジイミド(DIPC)など
の、通常ペプチド合成に用いられているカルボジイミド
であれば何ら差し支えない。生じたN,N’−ジシクロ
ヘキシル尿素(DCU)を濾過により取り除き、これに
MS等の脱水剤、リンドラー(Lindlar)触媒及
び五糖性化合物(2a)を加えた後、溶媒を留去する。
残渣をメチルアルコールなどのアルコール類に溶解し、
水素ガスによりアジド基の還元を行い、同時に生じたア
ミノ基とアスパラギン酸βカルボキシル基との縮合反応
を行う。室温にて2〜20時間撹拌後、濾過、濃縮、さ
らに要すればクロマトグラフィー処理を行うことにより
本発明の五糖性のアスパラギン結合型糖誘導体(1)を
得る。
【0037】アスパラギン結合型糖誘導体(1)を温和
な酸処理、例えばトリフルオロ酢酸(TFA)で室温処
理しトルエン共沸した後、モルホリン処理し、次いでP
d−C及び酢酸存在下で水素ガスを吹き込みつつ撹拌
し、全ての保護基が脱離されたアスパラギン結合型糖誘
導体を得ることができる。またR1 、R2 、R3a及びR
4aがそれぞれ異なる基である場合には、脱離反応条件を
選択すれば、これらの基のうちで所望する基のみが脱離
した化合物を得ることができる。
【0038】アスパラギン結合型糖誘導体(1)から高
マンノース型糖鎖を合成するには、非還元末端側のマン
ノースの水酸基に適当に保護されたマンノオリゴ糖を適
宜選択して結合すればよく、また、複合型糖鎖を合成す
るには、同じく保護されたラクトサミン誘導体を結合す
ればよい。ラクトサミン誘導体に適当に保護されたシア
ル酸あるいはフコースが結合していても、その場合の反
応には全く問題がない。また、本発明のアスパラギン型
糖誘導体(1)を用いて、固相法あるいは液相法によ
り、ペプチド鎖の伸長を容易に行うことができる。即
ち、カルボキシル基の保護基をはずした後、既知の方法
によりカルボキシル基を活性化し、それをペプチドのフ
リーのアミノ基と結合すれば、糖ペプチドが合成され
る。逆に、アミノ基の保護基をはずせば、その位置にカ
ルボキシル基を活性化したアミノ酸あるいはペプチドを
結合することもできる。この場合、カルボキシル基を固
定化してペプチド鎖伸長反応を行うこともできる。即
ち、固相法によるペプチド合成も可能である。従ってこ
の化合物を利用すれば、市販のペプチド合成機によるペ
プチド鎖伸長も可能である。
【0039】以上に記述したように本発明のアスパラギ
ン結合型糖誘導体(1)は、どのような構造のアスパラ
ギン結合型糖鎖の合成にも対応できるのみならず、還元
末端側にペプチド鎖を伸長することも可能である。従っ
て本発明は、高マンノース型糖ペプチドあるいは複合型
糖ペプチドを合成するための万能の合成中間体として有
用である。
【0040】本発明のアスパラギン結合型糖誘導体
(1)は、例えば下記の如き用途に使用し得る。 (1)フリーの水酸基にマンノオリゴ糖を結合すること
により、高マンノース型糖アスパラギンを合成する。更
に例えば、これを抗癌剤と結合した蛋白質に結合するこ
とにより、高マンノース型糖鎖を有する新規な糖蛋白性
抗癌剤とすることができる。 (2)フリーの水酸基にシアリルラクトサミンを結合し
て、複合型糖アスパラギンを合成する。更に例えば、こ
れを各種リンホカインに結合して、薬剤の血中滞留時間
を延長するのに用いることができる。
【0041】また、五糖性アジド(2)を糖受容体とし
て、これに順次糖又は糖鎖を縮合させることにより従来
製造が困難だった高マンノース型糖鎖を容易に製造する
ことができる。
【0042】
【実施例】以下に実施例を挙げ本発明を更に詳細に説明
するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0043】実施例1
【0044】
【化16】
【0045】MSAW300を一晩真空乾燥した。これ
にTMSN3 1g(8.7mmol)、塩化メチレン3ml、
BF3・Et2O 12mg(0.08mmol)を加え、−7
8℃にて30分間撹拌した。これにトリクロロアセトイ
ミデート体(6a)600mg(0.89mmol)/塩化メ
チレン溶液(3ml)を滴下した。1時間後、フィルター
濾過し、酢酸エチルにて抽出した。1N HCl、飽和
NaCl水、飽和NaHCO3水、飽和NaCl水で各
々1回づつ洗浄後、有機層を無水硫酸マグネシウムにて
乾燥した。溶媒を減圧除去した後、残渣をシリカゲルカ
ラムにかけ、トルエン−酢酸エチル(8:1、v/v)
で溶出し、化合物(8a)を得た。
【0046】収量 326mg 収率 65% Rf 0.44(トルエン−酢酸エチル=3:1(v/v)) 分子式 C30H28O7N4 分子量 化合物(2): 675.92 化合物(4): 556.57 〔α〕D 27=+50.26°(C=1.006、クロロホルム) FT-IR 2120.0cm-1
【0047】実施例2
【0048】
【化17】
【0049】MS4A、AgClO4 51mg (0.2
4mmol)、Cp2HfCl2 46mg(0.12mmol)を
真空乾燥した。これにTMSN362μl(0.47mmo
l)、塩化メチレン2mlを加え、30分間撹拌した。−
78℃に冷却した後、グリコシルフルオリド(7a)5
0mg(0.094mmol)を加えた。30分後、フィルタ
ー濾過し、酢酸エチルにて抽出した。飽和NaCl水、
飽和NaHCO3水、飽和NaCl水で各々1回づつ洗
浄後、有機層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶
媒を減圧除去し、残渣をシリカゲルカラムにかけ、トル
エン−酢酸エチル(8:1、v/v)で溶出し、化合物
(8a)を得た。
【0050】収量 45mg 収率 86% Rf 0.44(トルエン−酢酸エチル=3:1(v/v))
【0051】実施例3
【0052】
【化18】
【0053】化合物(8a)175mg(0.31mmo
l)をTHF 5mlに溶かし、氷冷下0.2N NaO
Me/MeOHを1.5ml加えた。45分後、アンバー
リスト15E(約100mg)にて中和した。アンバーリ
スト15Eを濾別し、濾液を減圧濃縮した。シリカゲル
カラムにかけ、トルエン−酢酸エチル(5:1、v/
v)で溶出し、化合物(9a)を得た。
【0054】収量 145mg 収率 90% Rf 0.31(トルエン−酢酸エチル=3:1(v/v)) 分子式 C28H26O6N4 分子量 化合物(5): 514.54 〔α〕D 28 =+15.8゜(C=1、クロロホルム) FT-IR 2118.1cm-1(N3基)
【0055】実施例4
【0056】
【化19】
【0057】乾燥MS4A、Agシリカ−アルミナ
(1.5g)、化合物(10a)125mg(0.21mm
ol)を5mlの塩化メチレンに溶かし、−20℃にて撹拌
した。塩化メチレン5mlに溶かした化合物(11a)5
50mg(1.09mmol)を加えた後、室温にて一晩撹拌
した(12時間)。反応液をセライト濾過した後、酢酸
エチルにて抽出した。飽和NaCl水、飽和NaHCO
3水、飽和NaCl水で各々1回づつ洗浄後、有機層を
無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶媒を減圧除去
し、残渣をカラムクロマトにかけて精製して化合物(1
2a)及び化合物(13a)を得た。
【0058】 元素分析 化合物 (12a)β体 化合物 (13a)α体 C H N C H N 計算値 71.96 6.23 1.38 71.96 6.23 1.38 実測値 71.62 6.27 1.33 71.05 6.31 1.25 分子式 C61H63O13N 分子量 化合物(13a): 1018.15
【0059】実施例5
【0060】
【化20】
【0061】化合物(12a)77mg(0.076mm
ol)をトルエン3mlに溶かし、これにアセトニトリル4
mlを加えた。CAN171mgを加えた後、水3mlを加
え、室温で2時間撹拌した。酢酸エチルで希釈し、飽和
NaCl水で2回洗浄後、飽和NaHCO3水、飽和N
aCl水で各々1回づつ洗浄した。有機層を無水硫酸マ
グネシウムにて乾燥後、溶媒を減圧除去し、残渣をカラ
ムクロマトにかけ、トルエン−酢酸エチル(3:1、v
/v)で溶出して、化合物(14a)を得た。
【0062】収量 48mg 収率 70% Rf 0.19(トルエン−酢酸エチル=3:1(v/v)) 分子式 C54N57O12N 分子量 化合物(14a): 912.02
【0063】実施例6
【0064】
【化21】
【0065】化合物(14a)48mg(0.053mmo
l)を塩化メチレン2mlに溶かし、氷冷下DAST
0.013mlを加えた。10分後メタノール0.1mlで
DASTをつぶし、酢酸エチルにて抽出した。飽和Na
Cl水、飽和NaHCO3水、飽和NaCl水で各々1
回づつ洗浄後、有機層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥
した。溶媒を減圧除去した後、残渣をカラムクロマトに
かけ、トルエン−酢酸エチル(3:1、v/v)で溶出
して化合物(15a)を得た。
【0066】収量 48mg (0.653mmol) 収率 100% Rf 0.65(トルエン−酢酸エチル=3:1(v/v)) 元素分析 分子式 C54H56O11NF 分子量 化合物(15a): 914.02
【0067】実施例7
【0068】
【化22】
【0069】化合物(9a)28mg(0.054mmol)
とAgClO4 29mg、Cp2HfCl2 27mg、MS
4Aを2mlの塩化メチレンに溶かして撹拌した。−20
℃に冷却し、化合物(15a)48mg(0.053mmo
l)を2mlの塩化メチレンに溶かした溶液を加えた。1
2時間後、反応液をセライト濾過し、濾液を酢酸エチル
で希釈し、飽和NaHCO3水、飽和NaCl水で各々
1回づつ洗浄後、有機層を無水硫酸マグネシウムにて乾
燥した。溶媒を減圧除去した後、残渣をバイオビーズS
X−2にてゲル濾過して化合物(4′a)を得た。
【0070】収量 59mg(0.042mmol) 収率 79%(ドナーから計算) Rf 0.57(トルエン−酢酸エチル=3:1(v/v)) 分子式 C84H81O19N5 分子量 化合物(16a): 1408.54 〔α〕D 28 =+4.5゜(C=1、クロロホルム) FT-IR 2116.2cm-1(N3基)
【0071】実施例8
【0072】
【化23】
【0073】イリジウム触媒5mgをTHFに加え撹拌
し、水素雰囲気下とした。反応液が無色になったので、
水素を除き、窒素置換した。1mlのTHFに化合物
(4′a)を51mg(0.036mmol)溶かし、イリ
ジウム錯体溶液に加えた。1時間後、酢酸エチルで希釈
し、減圧濃縮した。これをアセトン9mlに溶かし、水1
mlを加えた後、HgCl2 35mg、HgO 0.7mg
を加えて撹拌した。1時間後、酢酸エチルで希釈し、飽
和NaCl水、飽和NaHCO3水、飽和NaCl水で
洗浄後、シリカゲルカラムクロマトにかけてトルエン−
酢酸エチル(3:1(v/v))で溶出して精製し、化
合物(4a)を得た。
【0074】収量 48mg(0.036mmol) 収率 100% Rf 0.1(トルエン−酢酸エチル=3:1(v/v)) 分子式 C76H73O17N5 分子量 化合物(4a): 1328.41 〔α〕D 21 =+21.8゜(C=0.38、クロロホルム)
【0075】実施例9
【0076】
【化24】
【0077】化合物(4a)112mg(0.084mmo
l)を10mlの塩化メチレンに溶かし、MS4A、Ag
OTf 153mg(0.59mmol)の中に加え、室温で
30分間撹拌した。これを−40℃に冷却した後、化合
物(5a)172mg(0.034mmol)の塩化メチレン
(2ml)溶液を滴下した。反応溶液を室温に戻し、18
時間撹拌した。セライト濾過後、濾液を濃縮し、バイオ
ビーズSX−1でゲル濾過をした。更にシリカゲルカラ
ム(溶離液、トルエン:酢酸エチル=7:1)にて精製
し、化合物(2−1)を得た。
【0078】収量 154mg(0.068mmol) 収率 80% Rf 0.56(トルエン−酢酸エチル=2:1(v/v)) 分子式 C134H133O29N5 分子量 化合物(2-1): 2277.49 〔α〕D 26 =+17.05゜(C=0.44、クロロホルム)
【0079】実施例10
【0080】
【化25】
【0081】化合物(2−1)25mg(0.011mmo
l)をエチレンジアミン15mlとn−ブタノール8mlに
溶かし、アルゴン雰囲気下、90℃にて16時間加熱し
た。溶媒を減圧除去した後、メタノールを加え、0℃に
冷却した。これに無水酢酸を加え、2時間撹拌した。溶
媒を減圧除去した後、PTLCにて精製し化合物(2−
2)を得た(展開溶媒、クロロホルム:メタノール=2
0:1)。
【0082】収量 18mg(0.009mmol) 収率 80% Rf 0.48(クロロホルム:メタノール=20:1) 分子式 C118H129O25N5 分子量 化合物(2-2): 2017.29 〔α〕D 27 =-8.9゜(C=1.007、クロロホルム)
【0083】実施例11
【0084】
【化26】
【0085】α−アミノ基をFmoc基で、α−カルボ
キシル基をt−Bu基でそれぞれ保護したアスパラギン
酸20mgを塩化メチレン1mlに溶かし、氷冷下DCC
5mgを加え、30分間撹拌した。メンブランフィルター
にてDCUreaを濾別し、濾液を濃縮し、化合物(3
a)を得た。これにMS3Aとリンドラー触媒13mgを
加え、更に化合物(2−2)17mgを1mlのCH2Cl2
に溶かした溶液を加えた。減圧下CH2Cl2を除きメタ
ノール5mlを加えた後、水素ガス雰囲気下とした。5時
間後フィルター濾過し、濾液を濃縮後セファデックスL
H−20にてゲル濾過してアスパラギン結合型糖誘導体
(1a)を得た。
【0086】収量 16mg 収率 79% Rf 0.72(クロロホルム:メタノール=10:1) 分子式 C141H134O30N4 分子量 化合物(1a): 2384.72 〔α〕D 26 =+9.02 (C=0.82、クロロホルム)
【0087】実施例12
【0088】
【化27】
【0089】化合物(1a)9mg(3×10-3mmol)
を、TFA1mlに溶かし、室温で40分間撹拌した。T
FAを減圧除去し、トルエンで2回共沸した。モルホリ
ン1mlを加え、室温で1時間撹拌した後、モルホリンを
除去し、セファデックスLH−20(メタノール)でゲ
ル濾過後、水/酢酸=1/4 5mlに溶かし、Pd−C
触媒20mgを加え、水素ガス雰囲気下、19時間撹拌し
た。触媒をメンブレンフィルターで除き、濾液を濃縮
後、バイオゲルP−2でゲル濾過して化合物(1b)を
得た。
【0090】収量 3mg 収率 79% Rf 0.22(n-ブタノール:メタノール:水:酢酸=4:2:
2:1) 分子式 C38H64O28N4 分子量 化合物(1b): 1024.906
【0091】実施例13
【0092】
【化28】
【0093】化合物(1a)18mg(0.0075mmo
l)を塩化メチレン1ml、TFA0.5mlに溶かし、室
温下撹拌した。1時間後、溶媒を減圧除去し、ODSカ
ラムを用いたHPLC(溶離溶媒:0.1%TFA/C
3CN 0.1%/TFA/H2O)にて化合物(1
c)を分取した。
【0094】収量 15.6mg(0.0067mmol) 収率 89% Rf 0.33(クロロホルム:メタノール=10:1、0.1%酢
酸) 分子式 C137H146O30N4 分子量 化合物(1c): 2328.62 〔α〕D 26 =+10.39゜(C=0.51/mg/ml、クロロホルム)
【0095】実施例14
【0096】
【化29】
【0097】化合物(1c)8mg(0.0034mmol)
と化合物(16)2.5mg(0.0062mmol)を1ml
の塩化メチレンに溶かした。これにHOBt1.8mg
(0.01mmol)、EDC2.4mg(0.01mmol)を
加え、室温で30分間撹拌した。反応液をそのままセフ
ァデックスLH−20によりゲル濾過して化合物(1
7)を得た。
【0098】収量 9.2mg(0.032mmol) 収率 90% Rf 0.33(トルエン:エタノール=3:1) 〔α〕D 27 =-3.75°(C=0.24、クロロホルム)
【0099】実施例15
【0100】
【化30】
【0101】化合物(17)9mg(0.0031mmol)
をモルホリン1mlに溶かし、室温で1時間撹拌した。減
圧下モルホリンを除去し、トルエンで2回共沸した。こ
れをメタノール/水(10/1)に溶かし、ヘキサンを
加えた。ヘキサン層を除去し、メタノール/水層を濃縮
した。これをメタノールに溶かし、セファデックスLH
−20にてゲル濾過した。得られた脱Fmoc体(Rf
=0.63、トルエン/エタノール=7/2)を酢酸/
水(4/1)10mlに溶かし、Pd−C触媒29mgを加
えた後、水素ガス雰囲気とした。19時間後、Pd−C
触媒をセライトにて濾別し、濾液を濃縮後、バイオゲル
P−2にてゲル濾過しアスパラギン結合型糖ペプチド誘
導体(18)を得た。この糖ペプチドは、hCGホルモ
ンのαサブユニットのアミノ酸配列に含まれるものであ
る(52番目のアスパラギン残基)。
【0102】収量 2.2mg 収率 58% Rf 0.26(n-BuOH:メタノール:水:酢酸=5:2:2:1)
【0103】
【発明の効果】本発明のアスパラギン結合型糖誘導体
(1)は、どのような構造のアスパラギン結合型糖鎖の
合成にも対応できるのみならず、不溶性の樹脂上でペプ
チド鎖を伸長させていくペプチド固相合成法に組み入
れ、更に大きな糖ペプチドにすることも容易である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小川 智也 埼玉県和光市広沢2番1号 理化学研究所 内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1) 【化1】 〔式中、R1 は水素原子又はα−アミノ基の保護基を示
    し、R2 は水素原子又はカルボキシル基の保護基を示
    し、R3a及びR4aは同一又は異なって水素原子又は中性
    条件下で脱離可能な水酸基の保護基を示し、Xは保護さ
    れていてもよいアミノ基を示す〕で表わされるアスパラ
    ギン結合型糖誘導体。
  2. 【請求項2】 一般式(2) 【化2】 〔式中、R3 及びR4 は同一又は異なって水素原子、ア
    シル基又は中性条件下で脱離可能な水酸基の保護基を示
    し、Xは保護されていてもよいアミノ基を示す〕で表わ
    される五糖グリコシルアジド。
  3. 【請求項3】 一般式(2a) 【化3】 〔式中、R3a及びR4aは同一又は異なって水素原子又は
    中性条件下で脱離可能な水酸基の保護基を示し、Xは保
    護されていてもよいアミノ基を示す〕で表わされる五糖
    グリコシルアジドに、一般式(3) 【化4】 〔式中、R1aはα−アミノ基の保護基を示し、R2aはカ
    ルボキシル基の保護基を示す〕で表わされるアスパラギ
    ン酸の無水物又は活性エステルを接触水素化還元触媒の
    存在下に反応させ、所望によりR1a、R2a、R3a及びR
    4aの保護基を脱離せしめることを特徴とする一般式
    (1) 【化5】 〔式中、R1 は水素原子又はα−アミノ基の保護基を示
    し、R2 は水素原子又はカルボキシル基の保護基を示
    し、R3a及びR4aは同一又は異なって水素原子又は中性
    条件下で脱離可能な水酸基の保護基を示し、Xは保護さ
    れていてもよいアミノ基を示す〕で表わされるアスパラ
    ギン結合型糖誘導体の製造法。
  4. 【請求項4】 一般式(4) 【化6】 〔式中、R3bは同一又は異なってアシル基又は中性条件
    下で脱離可能な水酸基の保護基を示し、X1 は保護され
    たアミノ基を示す〕で表わされる三糖グリコシルアジド
    に、一般式(5) 【化7】 〔式中、R3b及びR4bは同一又は異なってアシル基又は
    中性条件下で脱離可能な水酸基の保護基を示し、Yはハ
    ロゲン原子を示す〕で表わされる単糖類を反応させ、所
    望により保護基を脱離せしめることを特徴とする一般式
    (2) 【化8】 〔式中、R3 及びR4 は同一又は異なって水素原子、ア
    シル基又は中性条件下で脱離可能な水酸基の保護基を示
    し、Xは保護されていてもよいアミノ基を示す〕で表わ
    される五糖グリコシルアジドの製造法。
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