JPH07224016A - N−置換−3−ヨードプロピオール酸アミドおよびその合成中間体の製造方法 - Google Patents

N−置換−3−ヨードプロピオール酸アミドおよびその合成中間体の製造方法

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JPH07224016A
JPH07224016A JP3773194A JP3773194A JPH07224016A JP H07224016 A JPH07224016 A JP H07224016A JP 3773194 A JP3773194 A JP 3773194A JP 3773194 A JP3773194 A JP 3773194A JP H07224016 A JPH07224016 A JP H07224016A
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清治 松本
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 N−置換−3−ヨードプロピオール酸アミド
の改良製法、およびその製造に有用なN−置換−プロピ
オール酸アミドを高い選択率と収率で製造する方法を提
供する。 【構成】 化合物(1)と(2)とを、水とメタノー
ル、エタノールなどの親水性有機溶媒との割合が前者/
後者=1.5〜10/1(容量比)である混合溶媒中で
反応させ、化合物(3)を製造する。 (R1はアルキル基、R2はアルキル基を示す)また、プ
ロピオール酸から化合物(1),(3)を経由してN−
置換−3−ヨードプロピオール酸アミド(4)を製造す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高い抗菌活性を示し、
有害生物防除剤などとして有用なN−置換−3−ヨード
プロピオール酸アミドの製造方法、およびこの化合物を
得るために有用なN−置換−プロピオール酸アミドの製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】N−置換−3−ヨードプロピオール酸ア
ミドは、特開平5−255215号公報に開示されてい
るように、有害生物に対する防除効果が高く、高い抗菌
抗黴、防藻、殺ダニ、防蟻活性を示す。従って、この化
合物は、有害生物防除剤などとして広範囲に有用であ
る。
【0003】この先行文献には、N−置換−3−ヨード
プロピオール酸アミドの製造法の1つとして、N−置換
−プロピオール酸アミドをヨウ素化してN−置換−3−
ヨードプロピオール酸アミドを得る方法が開示されてい
る。前記N−置換−プロピオール酸アミドは、種々の方
法で製造することができる。例えば、プロピオール酸、
プロピオール酸ハライド、プロピオール酸無水物若しく
はプロピオール酸エステルと第1級アミンとを反応させ
ることにより製造できる。プロピオール酸エステルを用
いる反応としては、プロピオール酸エステルと、メチル
アミン又はエチルアミンとを用いて、50%メタノール
水溶液中で反応させ、N−置換−プロピオール酸アミド
を得る方法が報告されている(J. Org. Chem., 30 巻、
2660頁(1965年))。しかし、プロピオール酸エステル
と第一級アミンとの反応に際しては、第一級アミンの三
重結合への付加反応が生じ、目的化合物の収率および選
択率が小さく、工業的に満足し得るものではない。
【0004】上記特開平5−255215号公報には、
N−置換−3−ヨードプロピオール酸アミドの製造方法
に関し、N−置換−プロピオール酸アミドをヨウ素化剤
でヨウ素化し、N−置換−3−ヨードプロピオール酸ア
ミドを得る方法が開示されている。さらに、3−ヨード
プロピオール酸または3−ヨードプロピオール酸エステ
ルと第1級アミンとを反応させ、N−置換−3−ヨード
プロピオール酸アミドを得る方法も開示されている。し
かし、工業的観点からすると、これらの方法では、未だ
目的化合物の収率及び選択率が十分でなく、さらに改良
が望まれる。
【0005】より具体的には、前記特開平5−2552
15号公報の実施例には、次のような工程からなるN−
アルキル−プロピオール酸アミドおよびN−アルキル−
3−ヨードプロピオール酸アミドの製造方法が開示され
ている。
【0006】アクリロニトリルとアルコールとを反応
させてN−アルキルアクリル酸アミドを得る工程、N
−アルキルアクリル酸アミドに臭素を付加してN−アル
キル−2,3−ジブロモプロピオン酸アミドを得る工
程、N−アルキル−2,3−ジブロモプロピオン酸ア
ミドを脱臭化水素化してN−アルキルプロピオール酸ア
ミドを得る工程、およびN−アルキルプロピオール酸
アミドをヨウ素化してN−アルキル−3−ヨードプロピ
オール酸アミドを得る工程。
【0007】しかし、このプロセスは工業的製造面から
みた場合、必ずしも満足な方法といえるわけではない。
すなわち、前記工程のリッター反応は、一級アルコー
ルを用いると反応が円滑に進行しないか、または反応が
進行しても目的化合物の収率が非常に低い。また、前記
工程の脱臭化水素化反応が強い塩基性条件下で行われ
るため、副生物が多量に生成し、目的化合物の収率が低
下するとともに、精製操作が不可欠となる。さらに、各
反応工程での反応溶媒が異なるため、各工程毎にそれぞ
れの中間体を単離する必要がある。
【0008】そのため、このようなN−アルキル−プロ
ピオール酸アミドおよびN−アルキル−3−ヨードプロ
ピオール酸アミドの工業的製造上の課題を解決し、より
単純な操作で、より効率的で工業的に有利な方法が求め
られている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、高い選択率および高い収率でN−置換−プロピオー
ル酸アミドを得ることができる製造方法を提供すること
にある。
【0010】本発明の他の目的は、N−置換−プロピオ
ール酸アミドを中間体として経由することにより、経済
的および工業的に有利な方法でN−置換−3−ヨードプ
ロピオール酸アミドを効率よく製造できる方法を提供す
ることにある。
【0011】本発明のさらに他の目的は、N−置換−3
−ヨードプロピオール酸アミドを容易かつ全工程的にみ
て高い収率で製造できる方法を提供することにある。
【0012】本発明の他の目的は、繁雑な工程を経るこ
となく、N−置換−3−ヨードプロピオール酸アミドを
全工程からみて工業的に高い収率で製造できる方法を提
供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するため鋭意検討の結果、(A)水と親水性溶媒
とを特定の割合で含む混合溶媒中で、プロピオール酸エ
ステルと第1級アミンとを反応させると、N−置換−プ
ロピオール酸アミドが高い収率および選択率で得られる
こと、さらに(B)プロピオール酸のエステル化、プロ
ピオール酸エステルのアミド化およびプロピオール酸ア
ミドのヨウ素化を組合せると、N−置換−3−ヨードプ
ロピオール酸アミドが全工程的にみて高い収率で効率よ
く生成することを見いだし、本発明を完成した。
【0014】すなわち、本発明の1つの特徴は、(A)
下記一般式(1) HC≡C−COOR1 (1) (式中、R1はアルキル基を示す)で表される化合物
と、下記一般式(2) R2−NH2 (2) (式中、R2はアルキル基を示す)で表される化合物と
を、水と親水性有機溶媒との割合が前者/後者=1.5
〜10/1(容量比)である混合溶媒中で反応させ、下
記一般式(3) HC≡C−CONHR2 (3) (式中、R2は前記に同じ)で表されるN−置換−プロ
ピオール酸アミドを製造する改良方法に関わる。
【0015】本発明のもう1つの特徴は、(B)プロピ
オール酸をエステル化し、下記一般式(1) HC≡C−COOR1 (1) (式中、R1はアルキル基を示す)で表される化合物を
生成させる工程、化合物(1)と、下記一般式(2) R2−NH2 (2) (式中、R2はアルキル基を示す)で表される化合物と
を反応させ、下記一般式(3) HC≡C−CONHR2 (3) (式中、R2は前記に同じ)で表される化合物を生成さ
せる工程、および化合物(3)とヨウ素化剤とを反応さ
せ、下記一般式(4) IC≡C−CONHR2 (4) (式中、R2は前記に同じ)で表される化合物を生成さ
せる工程を含むN−置換−3−ヨードプロピオール酸ア
ミドの新規な製造方法に関わる。
【0016】 で表すことができる上述の結合工程(B)において、化
合物(1)から化合物(3)を生成させるアミド化工程
としては、上述の(A)の方法のみならず、他の一般的
なアミド化反応が種々適用できる。
【0017】前記一般式(1)において、R1で表され
るアルキル基には、炭素数1〜10程度の直鎖状又は分
岐鎖状アルキル基、例えば、メチル、エチル、n−プロ
ピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec
−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソアミル、t
−アミル、n−ヘキシル、イソヘキシル、n−ヘプチ
ル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル基などが含
まれる。好ましいR1には、低級アルキル基、例えば、
炭素数1〜6程度、特に炭素数1〜4程度の直鎖状また
は分岐鎖状アルキル基が含まれる。特に好ましいアルキ
ル基は、炭素数1〜3の直鎖状または分岐鎖状アルキル
基、なかでもメチル基又はエチル基である。
【0018】前記一般式(1)で表される化合物として
は、前記R1に対応するプロピオール酸のアルキルエス
テルが挙げられる。好ましい化合物には、例えば、プロ
ピオール酸メチル、プロピオール酸エチル、プロピオー
ル酸n−プロピル、プロピオール酸イソプロピル、プロ
ピオール酸n−ブチルなどの炭素数1〜4のアルキルエ
ステルが好ましい。
【0019】前記一般式(2)において、R2で表され
るアルキル基には、炭素数1〜12程度の直鎖状又は分
岐鎖状アルキル基、例えば、メチル、エチル、n−プロ
ピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec
−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソアミル、t
−アミル、n−ヘキシル、イソヘキシル、n−ヘプチ
ル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウン
デシル、n−ドデシル基などが含まれる。好ましいR2
には、例えば、炭素数2〜10程度、特に炭素数3〜
8、なかでも炭素数4〜6程度のアルキル基が含まれ
る。R2は分岐鎖状アルキル基であってもよいが、反応
収率を高めるためには、α−位がメチレン基であるアル
キル基、特に直鎖状アルキル基が好ましい。さらに好ま
しいアルキル基は、N−置換−3−ヨードプロピオール
酸アミドにおいて活性の高いn−ブチル基である。
【0020】一般式(2)で表される第1級アミンとし
ては、前記R2に対応するアミンが挙げられる。すなわ
ち、R2として、炭素数1〜12程度の直鎖状又は分岐
鎖状アルキル基が置換したアミンが好ましい。このよう
な第1級アミンには、例えば、メチルアミン、エチルア
ミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチ
ルアミン、イソブチルアミン、n−ペンチルアミン、t
−アミルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルア
ミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デ
シルアミン、n−ウンデシルアミン、n−ドデシルアミ
ンなどが含まれる。
【0021】好ましい第1級アミンには、前記のよう
に、α−位がメチレン基であるアルキル基を有する下記
式(2a)で表される化合物で含まれる。
【0022】 R2a−CH2−NH2 (2a) (式中、R2aは、前記アルキル基R2よりも炭素数が1
つ少ないアルキル基を示す) さらに好ましい第1級アミンには、プロピルアミン、n
−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、t−アミルアミ
ン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オ
クチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミンな
どが含まれ、なかでも、n−ブチルアミン、n−ペンチ
ルアミン、t−アミルアミン、n−ヘキシルアミンなど
が好ましい。
【0023】以下、本発明の各工程について詳細に説明
する。なお、プロピオール酸またはその誘導体(例え
ば、プロピオール酸エステル)からN−置換−プロピオ
ール酸アミドを生成させる工程を単に「アミド化工
程」、プロピオール酸又はその誘導体をプロピオール酸
エステルへ誘導する工程を単に「エステル化工程」、N
−置換−プロピオール酸アミドからN−置換−3−ヨー
ドプロピオール酸アミドへ導く工程を単に「ヨウ素化工
程」という場合がある。
【0024】a.アミド化工程 N−置換−プロピオール酸アミドは、一般的な種々の製
法、例えば、プロピオール酸とアミンを縮合させる方法
(薬学雑誌、102 巻、276 貢(1982年);特公昭60−
58885号公報)、プロピオール酸ハライド又はプロ
ピオール酸無水物と第1級アミンを反応させる方法、前
記のように、プロピオール酸エステルを第1級アミンと
反応させる方法(J. Org. Chem.,30巻、2660頁(1965
年))、アクリル酸アミドに臭素などのハロゲンを付加
し、続いて脱ハロゲン化水素化する方法(特開平5−2
55215号公報)などにより製造できる。
【0025】これらの方法のうち、プロピオール酸又は
そのエステルと第1級アミンとを反応させる方法におい
ては、溶媒は有機溶媒単独でもよいが、水と親水性有機
溶媒(例えば、炭素数1〜3程度のアルコール)との混
合溶媒を用いるのが有利である。水と親水性有機溶媒と
の割合は適当に選択でき、例えば、親水性有機溶媒1容
量部に対して0.1以上、1.5容量部未満、好ましく
は0.5〜1.4容量部程度であってもよい。一般式
(2)で表される第1級アミンの使用量は、一般式
(1)で表されるプロピオール酸又はそのエステル1モ
ルに対して、1.0〜2.0モル、好ましくは1.1〜
1.5モル、さらに好ましくは1.2〜1.4モル程度
である。
【0026】アミド化工程の好ましい態様 アミド化工程のより好ましい態様として、前記の本発明
の方法(A)などが挙げられる。本発明の方法(A)で
は、一般式(1)で表される化合物(プロピオール酸エ
ステル)と一般式(2)で表される化合物(第1級アミ
ン)とを、特定の混合溶媒中で反応させ、前記一般式
(3)で表される化合物(N−置換−プロピオール酸ア
ミド)を生成させる。
【0027】前記一般式(1)で表される化合物と前記
一般式(2)で表される化合物との割合は、目的化合物
(3)の選択率および収率を低下させない範囲で選択で
きる。本発明の方法では、前記一般式(1)で表される
化合物1モルに対して、1.1モル以上、好ましくは
1.2〜1.5モル、さらに好ましくは1.25〜1.
4モル程度の前記一般式(2)で表される化合物を用い
て反応させるのが好ましい。化合物(1)1モルに対し
て1.3モル以上の化合物(2)を用いると、さらに好
ましい。化合物(1)1モルに対して1.1モル未満の
化合物(2)を用いると、N−置換−プロピオール酸ア
ミドの選択率が低下し易い。なお、プロピオール酸エス
テル1モルに対して1.5モルを越える量の第1級アミ
ンを用いてもよいが、選択率がさほど向上しないので、
経済的ではない。
【0028】溶媒として、水と親水性有機溶媒との混合
溶媒を用いる場合、親水性有機溶媒としては、例えば、
メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノ
ール、ブタノール、イソブタノール、t−ブタノールな
どのアルコール類;アセトンなどのケトン類;ジオキサ
ン、テトラヒドロフランなどのエーテル類;メチルセロ
ソルブ、エチルセロソルブなどのセロソルブ類;ジエチ
レングリコールモノメチルエーテル、カルビトール(ジ
エチレングリコールモノエチルエーテル)などのカルビ
トール類;アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムア
ミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶
媒などが含まれる。これらの親水性有機溶媒は一種また
は二種以上使用できる。
【0029】好ましい親水性有機溶媒は、炭素数1〜4
の一価アルコール類、特に炭素数1〜3のアルコール
類、なかでもメタノール又はエタノールである。
【0030】水とアルコールなどの親水性有機溶媒との
割合は、前者/後者=1.5〜10/1(容量比)、好
ましくは1.5〜5/1(容量比)、さらに好ましくは
1.5〜3/1(容量比)、特に約2/1(容量比)程
度である。親水性有機溶媒1容量部に対する水の割合が
1.5容量部未満であると、一般式(2)で表される一
級アミンの三重結合への付加反応により副生物が生成
し、選択率が大きく低下する。このような混合溶媒は、
先行文献に記載の溶媒組成に比べて、アルコールなどの
親水性有機溶媒の濃度が小さいという特色がある。
【0031】特に、前記化合物(1)に対する化合物
(2)のモル比と、前記水と親水性有機溶媒との割合と
を組合せて反応させると、副反応を抑制しつつ、化合物
(3)を高い選択率および収率で得ることができる。
【0032】なお、プロピオール酸とアルコールとのエ
ステル化反応により化合物(1)を生成させる場合、ア
ミド化工程における親水性有機溶媒として、エステル化
工程でのアルコールをそのまま利用すると、化合物
(2)の単離操作が不要であるという利点がある。
【0033】アミド化工程での反応は、上記成分が反応
系に存在する限り特に制限されない。代表的な方法とし
ては、例えば、全量のプロピオール酸エステルおよび第
1級アミンの存在下で反応させる方法、プロピオール酸
エステルが存在する反応系に第1級アミンを連続的又は
間欠的に供給する方法、第1級アミンが存在する反応系
にプロピオール酸エステルを連続的又は間欠的に供給す
る方法などが挙げられる。これらの方法において、プロ
ピオール酸エステルおよび第1級アミンのうち少なくと
もいずれか一方の成分は、水、親水性有機溶媒、または
水及び親水性有機溶媒の混合溶媒との混合液として使用
してもよい。
【0034】反応温度は、目的化合物(3)の選択率が
低下しない限り、反応液の固化温度から還流温度までの
広い範囲から選択できるが、通常、−20℃〜30℃、
好ましくは−15℃〜20℃、さらに好ましくは−10
℃〜10℃程度である。反応温度が高すぎると、一級ア
ミンの三重結合への付加による副生物の生成が生じ易
く、反応温度が低すぎると反応速度が小さくなり、生産
効率が低下する。
【0035】反応時間は、反応温度に応じて適当に選択
でき、通常、5分〜6時間、好ましくは10分〜3時
間、さらに好ましくは30分〜2時間程度である。な
お、反応時間は、ガスクロマトグラフィーなどの分析手
段による反応の進行に基づいて容易に調整できる。
【0036】本発明の方法により生成した一般式(3)
で表される化合物(N−置換−プロピオール酸アミド)
は、必要に応じて、通常の分離、精製方法によって単離
してもよく、単離することなく反応混合液を、そのま
ま、N−置換−3−ヨードプロビオール酸アミドを生成
させるヨウ素化反応に供してもよい。
【0037】単離精製方法としては、例えば、濃縮、蒸
留、晶析、再結晶、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィ
ー、液体クロマトグラフィーやこれらを組合わせた方法
などが挙げられる。
【0038】b.エステル化工程 一般式(1)で表されるプロピオール酸エステルは、慣
用のエステル化反応により生成させることができる。例
えば、プロピオール酸又はその塩若しくは対応する酸ハ
ライド(例えば酸クロライド)や酸無水物と、R1に対
応するアルキル基を有するアルコールとの反応、あるい
はプロピオール酸の塩と、R1に対応するアルキル基を
有するハロゲン化物との反応などにより、プロピオール
酸エステルを生成させることができる。
【0039】エステル化工程の好ましい態様 好ましいエステル化工程においては、プロピオール酸と
前記一般式(1)におけるR1に対応するアルコールと
の反応によりプロピオール酸エステルを生成させる。
【0040】アルコールとしては、前記「アミド化工程
の好ましい態様」の項で述べたアルコールが使用でき
る。好ましいアルコールには、炭素数1〜3程度の直鎖
状又は分岐鎖状アルコール、特に、メタノール、エタノ
ール及びイソプロパノールが含まれる。特に好ましいア
ルコールはメタノールおよエタノールである。
【0041】アルコールの使用量は、通常、プロピオー
ル酸1モルに対して過剰モル使用される。アルコールの
使用量は、プロピオール酸1モルに対して1.1モル以
上、好ましくは1.3モル〜50モル、さらに好ましく
は2〜25モル程度である。好ましい方法では、プロピ
オール酸に対して過剰量のアルコール、特に反応溶媒を
兼ねてアルコール中でプロピオール酸をエステル化す
る。このような方法は、アミド化工程において化合物
(3)を工業的に有利に製造する上で極めて有用であ
る。すなわち、前記エステル化反応に使用した過剰量の
アルコールを、前記アミド化工程における親水性有機溶
媒としてそのまま利用できるので、アミド化工程におい
て水とアルコールとの割合を調整することにより、アミ
ド化工程での副反応を抑制しつつ化合物(3)を生成さ
せることができる。そのため、エステル化工程で生成し
たプロピオール酸エステルを単離、精製することなく、
一貫したプロセスで(ワンポットの反応で)プロピオー
ル酸から一般式(3)で示される化合物(N−置換−プ
ロピオール酸アミド)を高い収率及び選択率で製造で
き、工業的に極めて有用である。
【0042】エステル化反応は、触媒の非存在下で行な
ってもよいが、酸触媒の存在下で行なう場合が多い。酸
触媒としては、例えば、硫酸などの無機酸、p−トルエ
ンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン
酸、エタンスルホン酸などの有機酸又はスルホン酸、三
フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素−ジエチルエーテル錯
体、酸性イオン交換樹脂などが挙げられる。これらの酸
触媒は一種又は二種以上使用してもよい。好ましい酸触
媒には、硫酸、p−トルエンスルホン酸などが含まれ
る。触媒の使用量は、広い範囲で選択でき、例えば、プ
ロピオール酸1モルに対して0.01〜0.5モル、好
ましくは0.1〜0.2モル程度である。
【0043】エステル化の反応温度は、通常、反応成分
の種類などにより異なるが、室温から還流温度の範囲で
適当に選択でき、通常、還流温度で行なう場合が多い。
反応時間は、反応成分および触媒の種類や使用量、反応
温度によって異なるが、通常、30分〜24時間、好ま
しくは1〜12時間程度である。プロピオール酸とアル
コールとのエステル化反応に際しては、反応により生成
する水を共沸脱水のような手段により系中から除去しな
がら反応を行ってもよいが、プロピオール酸に対して過
剰量のアルコール、特にアルコールを反応溶媒として使
用する場合には、共沸脱水しなくても反応は円滑に進行
する。
【0044】c.ヨウ素化工程 前記一般式(3)で表される化合物(N−置換−プロピ
オール酸アミド)をヨウ素化剤で処理してヨウ素化する
ことにより、下記一般式(4)で表される化合物(N−
置換−3−ヨードプロピオール酸アミド)を効率よく高
収率で生成させることができる。
【0045】IC≡C−CONHR2 (4) (式中、R2は前記に同じ) ヨウ素化剤としては、例えば、ヨウ素、ヨウ素−モルホ
リン錯体、ヨウ素、アルカリ金属ヨウ化物、ヨウ化第一
銅、ヨウ化亜鉛などが使用できる。ヨウ素化剤の使用量
は、一般式(3)で示される化合物1モルに対して1〜
1.5モル、好ましくは1〜1.2モル程度である。前
記ヨウ素化剤のうち、ヨウ素およびアルカリ金属ヨウ化
物は、酸化剤と組合せて使用する場合が多い。このよう
なヨウ素化剤としては、例えば、ヨウ素−次亜塩素酸又
はその塩(例えば、ヨウ素−次亜塩素酸ナトリウムな
ど)、アルカリ金属ヨウ化物−次亜塩素酸又はその塩
(例えば、ヨウ化カリウム−次亜塩素酸ナトリウムな
ど)などが含まれる。
【0046】ヨウ素化反応には、種々の塩基、例えば、
アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム)、アルカリ金属炭酸塩(例えば、炭酸ナ
トリウム、炭酸カリウム)、アルカリ金属炭酸水素塩
(例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム)、
水素化ナトリウム、ナトリウムアミドなどの無機塩基;
三級アミン(例えば、トリエチルアミン、ピリジンな
ど)などの有機塩基;ナトリウムメトキシド、ナトリウ
ムエトキシドなどのアルコラート、n−ブチルリチウム
などを使用してもよい。塩基を使用すると、反応が円滑
に進行する場合が多い。塩基の使用量は、前記一般式
(3)で表される化合物1モルに対して、通常1〜1.
5モル程度である。
【0047】反応は、通常、溶媒中で行なわれる。溶媒
としては、ヨウ素化剤との反応を含めて、反応に不活性
な種々の有機溶媒または有機溶媒−水の混合溶媒が使用
できる。
【0048】溶媒は含水溶媒であるのが好ましいが、無
水溶媒を用いても、一般式(4)で表される化合物を高
い収率で得ることができる。特に化合物(3)の製造の
際に用いた親水性有機溶媒(特にアルコール)−水の混
合溶媒をそのまま使用するのが好ましい。この場合、前
記アミド化工程で生成した化合物(3)を、単離又は精
製することなく、そのままヨウ素化反応に供することが
でき、経済性を含めて工業的に有利である。
【0049】反応は、副反応を抑制できる範囲で適当に
選択でき、例えば、冷却下または室温で行うことができ
る。反応は、冷却下、好ましくは−20℃〜30℃、さ
らに好ましくは−10℃〜10℃程度で行なう場合が多
い。反応時間は、ヨウ素化剤の種類や反応温度に応じて
選択でき、通常、1分〜6時間、好ましくは5分〜3時
間程度である。
【0050】反応終了後、慣用の分離精製手段により、
反応混合液から目的化合物を得ることができる。分離精
製方法としては、例えば、濃縮、蒸留、晶析、再結晶、
溶媒抽出、カラムクロマトグラフィー、液体クロマトグ
ラフィーやこれらを組合わせた方法などが挙げられる。
【0051】ヨウ素化工程の好ましい態様 好ましいヨウ素化工程を採用する目的は、一般式(4)
で表される化合物を、さらに容易かつ高い収率で製造す
る方法を提供することにある。
【0052】前記ヨウ素化工程においては、前記一般式
(3)で表される化合物1モルに対して、アルカリ金属
ヨウ化物1〜1.5モル、好ましくは1.1〜1.3モ
ル程度を用い、酸化剤の存在下、一般式(3)で表され
る化合物(N−置換−プロピオール酸アミド)をヨウ素
化し、前記一般式(4)で表されるN−置換−3−ヨー
ドプロピオール酸アミドを製造する。
【0053】アルカリ金属ヨウ化物としては、例えば、
ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウムな
どが挙げられる。これらのアルカリ金属ヨウ化物は一種
又は二種以上使用できる。好ましいアルカリ金属ヨウ化
物には、ヨウ化カリウムが含まれる。
【0054】酸化剤には、過酸化水素、次亜ハロゲン酸
(次亜塩素酸、次亜臭素酸、次亜ヨウ素酸など)又はそ
の塩が含まれる。次亜ハロゲン酸塩としては、例えば、
リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ
金属塩が繁用される。好ましい酸化剤には、次亜塩素酸
又はその塩、特に次亜塩素酸ナトリウムが含まれる。次
亜塩素酸ナトリウムなどの酸化剤は水溶液として使用さ
れる場合が多い。水溶液中の酸化剤の濃度は特に制限さ
れないが、濃度が低いと使用量が増加し、効率的ではな
い。そのため、酸化剤は、通常、5〜20%程度、特に
一般に市販されている12%程度の濃度で使用する場合
が多い。
【0055】アルカリ金属ヨウ化物と酸化剤との割合
は、例えば、アルカリ金属ヨウ化物1モルに対して酸化
剤0.5〜2倍モルの範囲で選択できるが、酸化剤の量
はアルカリ金属ヨウ化物と等モルまたはアルカリ金属ヨ
ウ化物よりも若干多いのが好ましい。アルカリ金属ヨウ
化物1モルに対する酸化剤の割合は、通常、1〜2倍モ
ル、好ましくは1.2〜1.8倍モル程度である。
【0056】ヨウ化カリウムと次亜塩素酸塩とを組合せ
て用い、前記一般式(3)で表される化合物をヨウ素化
すると、副反応を抑制しつつ高い収率で目的化合物が得
られる。
【0057】反応は、通常、溶媒中で行なわれる。溶媒
としては、親水性有機溶媒、例えば、メタノール、エタ
ノール、プロパノール、イソプロパノールなどのアルコ
ール類、メチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフ
ランなどのエーテル類、アセトンなどのケトン類、セロ
ソルブ類、これらの混合溶媒などが挙げられる。好まし
い有機溶媒には、アミド化工程での反応溶媒と共通する
溶媒、例えば、アルコール、特に炭素数1〜3程度のア
ルコール、なかでもメタノールおよびエタノールが含ま
れる。
【0058】特に好ましい溶媒には、アルカリ金属ヨウ
化物の溶解度の関係から、水−親水性有機溶媒の混合溶
媒、特に水−アルコールの混合溶媒が含まれる。さら
に、前記アミド化工程で生成した化合物(3)を反応混
合液から単離又は精製することなく、そのままヨウ素化
反応に供するため、好ましい溶媒は、前記アミド化工程
での反応溶媒と共通する溶媒、特に炭素数1〜3程度の
アルコールと水との混合溶媒である。水−親水性有機溶
媒の混合溶媒の組成は、前記アミド化工程で述べたのと
同様であり、必要に応じて水や親水性溶媒を添加し、水
/親水性有機溶媒=0.1〜10/1(容量比)、好ま
しくは0.5〜5/1(容量比)程度としてもよい。こ
のような混合溶媒を用いると、アミド化工程で生成した
化合物(3)を単離又は精製することなく、アミド化工
程から一貫したプロセスにより目的化合物(4)を収率
よく生成させることができ、工業的に極めて有利であ
る。
【0059】すなわち、N−置換−3−ヨードプロピオ
ール酸アミドは水に対する溶解度が小さいので、反応混
合液からの分離に先立って適当な量の水を添加すると、
高い収率で高純度の目的化合物(4)を簡単な操作で得
ることができる。そのため、工業的には、反応混合液に
水を添加して晶析したり、水を含む反応系で反応させる
ことにより晶析させる場合が多い。水の添加量は、水/
親水性有機溶媒=1〜100/1(容量比)、好ましく
は1.5〜50/1(容量比)、さらに好ましくは1.
5〜10/1(容量比)程度となる量である。
【0060】晶析した目的化合物は、遠心分離などの分
離機による分離回収工程、乾燥工程に供される場合が多
い。
【0061】なお、反応温度および反応時間、並びに目
的化合物の分離精製は、前記ヨウ素化工程と同様に行な
うことができる。
【0062】前記好ましい態様でヨウ素化すると、前記
一般式(4)で表される化合物を簡単な操作で容易かつ
高い収率及び選択率で得ることができる。
【0063】前記の3工程を組合せた本発明の方法
(B)において、エステル化工程、アミド化工程および
ヨウ素化工程では、対応する各工程における方法が、そ
れぞれそのまま援用できる。
【0064】好ましい方法では、少なくとも1つの工程
において、前記「エステル化工程の好ましい態様」の項
で述べた方法、「アミド化工程の好ましい態様」の項で
述べた方法、前記「ヨウ素化工程の好ましい態様」の項
で述べた方法が採用できる。さらに好ましい方法では、
前記「エステル化工程の好ましい態様」、「アミド化工
程の好ましい態様」および「ヨウ素化工程の好ましい態
様」の項で述べた工程を組合せて行なわれる。
【0065】上記各工程で生成した化合物(1)又は
(3)はそれぞれの工程、又は任意の工程で単離精製し
た後、後続する反応工程に供してもよく、ヨウ素化工程
で生成した化合物(4)は単離精製などの後処理工程に
供してもよい。好ましい方法には、エステル化工程で生
成した化合物(1)及びアミド化工程で生成した化合物
(3)を単離又は精製することなく、前段の工程で生成
した化合物を順次、後続する工程に供する連続的な方法
が含まれる。
【0066】特に、炭素数1〜3のアルコールを用いて
プロピオール酸をエステル化するエステル化工程、上記
アルコールの存在下でアミド化工程およびヨウ素化工程
を組合せると、工業的に極めて有利である。
【0067】すなわち、エステル化工程で、プロピオー
ル酸1モルに対して過剰モルのアルコールを用いてエス
テル化すると、残存するアルコールをアミド化工程での
親水性溶媒として利用できる。そのため、エステル化工
程で生成した化合物(1)を単離することなく、反応混
合液をアミド化工程に供することができる。
【0068】また、アミド化工程において、親水性有機
溶媒に対する水の割合を調整した含水溶媒中でアミド化
反応を行なうと、副反応を抑制しつつ高い選択率および
収率で化合物(3)が生成する。
【0069】さらに、アミド化工程で生成した化合物
(3)を単離することなく、反応混合液をヨウ素化工程
に供すると、含水溶媒により、アルカリ金属ヨウ化物お
よび酸化剤の溶解度を高めことができるとともに、高い
収率および選択率で目的化合物(4)を生成させること
ができる。しかも、目的化合物であるN−置換−3−ヨ
ードプロピオール酸アミドは水に対する溶解度が小さい
ので、反応過程で水を添加したり、反応終了後に反応混
合液に水を添加すると、高純度の目的化合物(4)を高
い収率で効率よく晶析させることができる。なお、反応
混合液からアルコールを回収し、前記エステル化工程の
反応成分として再利用してもよい。
【0070】このようなエステル化工程、アミド化工程
およびヨウ素化工程を組合せたプロセスでは、各工程で
単離精製操作を行なうことなく、一貫したプロセスで
(ワンポットの反応で)、プロピオール酸から、化合物
(1)及び化合物(3)を経由して、一般式(4)で示
される化合物(N−置換−3−ヨードプロピオール酸ア
ミド)を高い収率及び選択率で製造でき、工業的に極め
て有用である。
【0071】なお、前記エステル化工程bで用いられる
出発化合物プロピオール酸は、通常、プロパルギルアル
コールを酸化することにより得られる。この工程を単に
「酸化工程」ということがある。
【0072】d.酸化工程 プロピオール酸はプロパルギルアルコールを酸化反応に
供することにより製造できる。
【0073】プロパルギルアルコールからプロピオール
酸を誘導する酸化反応は、慣用の方法で行なうことがで
きる。例えば、アルカリ水溶液中でプロパルギルアルコ
ールをニッケルパーオキサイドで酸化する方法(J. Or
g. Chem., 27, 1597(1962) )、陽極酸化法、例えば、
硫酸水溶液中、陽極として過酸化鉛/鉛電極を、陰極と
して鉛電極を備えた隔膜付電解槽を用いて陽極酸化する
方法(特公昭55−43510号公報)、アセトン−硫
酸水溶液中、クロム酸などのJones 試薬で酸化する方法
(例えば、Chem. 6, 735(1953))などを利用して、プロ
パルギルアルコールからプロピオール酸を製造すること
ができる。これらの方法のうち、Jones 試薬で酸化する
方法は、工業的製造方法として比較的優れている。
【0074】一方、アセトン−硫酸水溶液中でクロム酸
で酸化する方法では、反応混合液からプロピオール酸を
単離する際、クロム酸の混入を避けるのが好ましい。ク
ロム酸の混入を避けるためには、抽出溶媒を用いてプロ
ピオール酸を抽出するのが好ましい。抽出溶媒として
は、種々の有機溶媒、例えば、ヘキサン、オクタンなど
の脂肪族炭化水素系溶媒、シクロヘキサンなどの脂環族
炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの
芳香族炭化水素系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン
などのハロゲン化炭化水素系溶媒、エチルエーテル、テ
トラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、酢酸エチルな
どのエステル系溶媒、メチルエチルケトンなどのケトン
系溶媒、これらの混合溶媒などが挙げられる。
【0075】プロピオール酸を抽出した有機層を、例え
ば、水洗などの洗浄、濃縮、蒸留、晶析、再結晶、カラ
ムクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィーやこれ
らを組合わせた分離精製手段に供することによりプロピ
オール酸を単離精製できる。このような方法は、溶剤抽
出だけでなく、溶媒の分離・回収という煩雑な操作を必
要とし、工業的に効率よくプロピオール酸を製造するの
が困難である。
【0076】酸化工程の好ましい態様 好ましい酸化工程を採用する目的は、煩雑な操作を必要
とせず、プロピオール酸を効率よく単離できる製造方法
を提供することにある。
【0077】本発明者らは、プロパルギルアルコールを
クロム酸で酸化する際、反応溶媒としてメチルエチルケ
トンなどの水に対して非混和性のケトンを使用すると、
抽出溶媒を用いることなくプロピオール酸を単離できる
ことを見いだした。
【0078】すなわち、水に対して非混和性のケトンを
溶媒として、プロパルギルアルコールを、クロム酸又は
重クロム酸で酸化し、プロピオール酸を製造する。な
お、プロパルギルアルコールは工業的に容易に入手でき
る。
【0079】前記ケトンとしては、水に対する溶解度が
小さく分液可能な非混和性ケトンであればいずれのケト
ン系溶媒も使用できる。好ましいケトンは、下記一般式
(6)で表される化合物である。
【0080】R4COR5 (6) (式中、R4およびR5は炭素数1〜4のアルキル基から
選ばれ、かつ少なくともいずれか一方は炭素数2〜4の
アルキル基である) 前記アルキル基には、例えば、メチル、エチル、プロピ
ル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチ
ル、t−ブチル基などが含まれる。この方法で用いるケ
トンは、前記R4およびR5の少なくともいずれか一方
が、炭素数2〜4のアルキル基である点に特色がある。
【0081】一般式(6)で表されるケトンの具体例と
しては、例えば、メチルエチルケトン、メチルプロピル
ケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルブチルケト
ン、メチルイソブチルケトン、メチルt−ブチルケトン
(ピナコロン)、ジエチルケトン(プロピオン)、エチ
ルプロピルケトン、エチルイソプロピルケトン、エチル
ブチルケトン、エチルイソブチルケトン、ジプロピルケ
トン(ブチロン)、ジイソプロピルケトンなどが挙げら
れる。これらのケトン系溶媒は一種又は二種以上使用で
きる。工業的に有利なケトンには、メチルエチルケトン
およびメチルイソブチルケトン、特にメチルエチルケト
ンが含まれる。
【0082】酸化剤としては、クロム酸又は重クロム酸
(二クロム酸)若しくはそれらの塩(例えば、クロム酸
アンモニウム、クロム酸ナトリウム、クロム酸カリウ
ム、重クロム酸アンモニウム、重クロム酸ナトリウム、
重クロム酸カリウムなど)などが使用できる。これらの
酸化剤はクロム酸混液として用いる場合が多い。
【0083】クロム酸混液は慣用の方法(例えば、第4
版実験化学講座、23巻に記載の方法)に従って調製す
ることができる。クロム酸混液には、例えば、クロム
酸、無水クロム酸、二クロム酸またはこれらの塩と、硫
酸、酢酸との混合物が含まれる。クロム酸混液の具体例
としては、例えば、無水クロム酸−硫酸、無水クロム酸
−酢酸、二クロム酸ナトリウム−硫酸、二クロム酸ナト
リウム−酢酸などが挙げられる。これらクロム酸混液の
うち無水クロム酸−硫酸が繁用される。
【0084】クロム酸混液の量は、酸化効率を損わない
範囲で選択でき、例えば、理論必要量に対して1.0〜
2.0倍量、好ましくは1.0〜1.5倍量程度であ
る。
【0085】酸化反応は特に制限されず、前記ケトン溶
媒中、プロパルギルアルコールと、クロム酸、重クロム
酸又はそれらの塩とが存在する反応系で行なえばよい
が、プロパルギルアルコールとケトンとの混合液に、ク
ロム酸混液を滴下する場合が多い。
【0086】反応温度は、副反応を抑制できる限り特に
制限されないが、通常、20℃以下(例えば、−20℃
〜15℃程度)、好ましくは10℃以下(例えば、−2
0℃〜10℃程度)である。反応時間は反応温度に応じ
て選択でき、通常、1〜24時間、好ましくは2〜20
時間程度である。
【0087】酸化反応により生成したプロピオール酸
は、極めて簡単にかつ効率よく分離できる。すなわち、
反応終了後の反応混合液は、クロム酸成分を含む水層と
プロピオール酸を含む有機層(ケトン層)とに迅速かつ
明瞭に分離する。しかも、有機層へのクロム酸成分の混
入が著しく抑制される。そのため、ケトン層を分離し、
必要に応じて水洗し、ケトン溶媒を除去するだけで、高
純度のプロピオール酸を高い収率および選択率で得るこ
とができる。なお、ケトン溶媒の除去は、慣用の方法、
例えば、常圧又は減圧下で留去することにより行なうこ
とができる。
【0088】好ましい方法では、メチルエチルケトンを
溶媒として、プロパルギルアルコールを含水クロム酸混
液を用いて酸化し、有機層からプロピオール酸を回収す
ることにより、プロピオール酸を製造できる。
【0089】前記のような方法では、抽出溶媒を必要と
せず、単一の溶媒を用いるだけで全操作を行うことがで
きるとともに、プロピオール酸を簡単な操作で工業的に
高収率で製造できる。そのため、工業的に極めて有利な
方法である。
【0090】本明細書は、前記のように、新規なヨウ素
化方法および酸化方法に加えて、さらに次のような新規
な工程の組合せによる方法(C)及び(D)も開示す
る。
【0091】(C)アミド化工程とヨウ素化工程との組
合せにより化合物(4)を製造する方法 この方法では、下記反応工程式で表されるように、一般
式(1)で表される化合物(プロピオール酸エステル)
と一般式(2)で表される化合物(第1級アミン)とを
反応させて一般式(3)で表される化合物(N−置換−
プロピオール酸アミド)を生成させる工程、化合物
(3)とヨウ素化剤とを反応させて一般式(4)で表さ
れる化合物(N−置換−3−ヨードプロピオール酸アミ
ド)を生成させる工程を含む。
【0092】 (式中、R1およびR2は前記に同じ) 前記の各工程においては、前記のアミド化工程およびヨ
ウ素化工程における方法がそれぞれ援用できる。
【0093】好ましい方法では、少なくとも1つの工程
において、前記「アミド化工程の好ましい態様」の項で
述べた方法、前記「ヨウ素化工程の好ましい態様」の項
で述べた方法が採用できる。さらに好ましい方法では、
前記「アミド化工程の好ましい態様」および「ヨウ素化
工程の好ましい態様」の項で述べた工程を組合せて行な
われる。
【0094】さらに、前記アミド化工程で生成した化合
物(3)は単離してヨウ素化工程に供してもよい。好ま
しい方法においては、アミド化工程で生成した化合物
(3)を単離精製することなく、反応混合液をヨウ素化
工程に供する方法が含まれる。すなわち、アミド化工程
では、特定の割合で含む水と親水性有機溶媒(例えば、
アルコール)との混合溶媒中で反応させて、化合物
(3)の選択率及び収率を高める。次いで、生成した化
合物(3)を単離することなく、アミド化工程での反応
混合物をヨウ素化工程に供し、酸化剤の存在下、アルカ
リ金属ヨウ化物を用いてヨウ素化し、化合物(4)を生
成させる。そして、ヨウ素化工程の反応溶媒又は反応終
了後の反応混合液において、水と親水性有機溶媒との割
合を調整することにより、目的化合物(4)を反応系か
ら効率よく析出させることができる。
【0095】このような方法は、親水性有機溶媒に対す
る水の割合を調整するという簡単な操作で、各工程での
反応生成物を単離することなく、一貫したプロセスで化
合物(4)を高い選択率および収率で製造することがで
きる。
【0096】(D)前記酸化工程、エステル化工程、ア
ミド化工程およびヨウ素化工程の組合せにより化合物
(4)を製造する方法 この方法では、下記反応工程式で表されるように、プロ
パルギルアルコールを酸化してプロピオール酸を生成さ
せる工程、プロピオール酸とアルコールとを反応させて
一般式(1)で表される化合物(プロピオール酸エステ
ル)を生成させる工程、化合物(1)と一般式(2)で
表される化合物(第1級アミン)とを反応させて一般式
(3)で表される化合物(N−置換−プロピオール酸ア
ミド)を生成させる工程、化合物(3)とヨウ素化剤と
を反応させて一般式(4)で表される化合物(N−置換
−3−ヨードプロピオール酸アミド)を生成させる工程
を含んでいる。
【0097】 (式中、R1およびR2は前記に同じ。R1OHはアルキ
ル基R1を有するアルコールを示す。) 前記(D)の新規な方法の各工程においては、前記の酸
化工程、エステル化工程、アミド化工程およびヨウ素化
工程における方法がそれぞれ援用できる。
【0098】好ましい方法では、少なくとも1つの工程
において、前記「酸化工程の好ましい態様」の項で述べ
た方法、前記「エステル化工程の好ましい態様」の項で
述べた方法、前記「アミド化工程の好ましい態様」の項
で述べた方法、前記「ヨウ素化工程の好ましい態様」の
項で述べた方法が採用できる。さらに好ましい方法で
は、前記各工程での「好ましい態様」の項で述べた方法
を組合せて行なわれる。また、前記の方法において、そ
れぞれの工程で又は任意の工程で生成した化合物は、そ
れぞれ単離して後続する工程に供してもよい。好ましい
方法では、「酸化工程の好ましい態様」の項で述べた方
法を採用して、プロパルギルアルコールからプロピオー
ル酸を高い収率で効率よく生成させた後、少なくともエ
ステル化工程以降の工程において、反応生成物から化合
物(1),(3)を単離することなく、前段の反応混合
液を後続する反応工程に順次供する方法が含まれる。こ
のような方法では、簡単な操作でプロピオール酸を高い
収率で得ることができることに加えて、前記本発明の方
法の項で述べたように、親水性有機溶媒に対する水の割
合を調整するだけで、エステル化工程、アミド化工程お
よびヨウ素化工程を経て、化合物(4)を高い選択率お
よび収率で製造できる。
【0099】このようにして得られた化合物(4)は、
幅広い細菌類および黴類に対して発育阻害作用を示すこ
とに加えて、殺虫、殺ダニなどの活性も有するので、防
菌防黴剤、有害生物防除剤として有用である。化合物
(4)は、例えば、特開平5−255215号公報に記
載の方法で、乳剤、水和剤、粉剤、粒剤、油剤などの剤
型として、常法に従って用いることができる。
【0100】
【発明の効果】本発明の方法(A)では、化合物(1)
と化合物(2)とを、水と親水性有機溶媒とを特定の割
合で含む混合溶媒中で反応させるので、N−置換−プロ
ピオール酸アミドを高い選択率および高い収率で得るこ
とができる。また、N−置換−プロピオール酸アミドを
経由することにより、N−置換−3−ヨードプロピオー
ル酸アミドを効率よく製造でき、経済的および工業的に
有利である。
【0101】さらに、本発明の方法(B)では、エステ
ル化工程、アミド化工程(上記(A)の方法のみならず
他の方法を適用してもよい)およびヨウ素化工程を組合
せることにより、N−置換−3−ヨードプロピオール酸
アミドを容易かつ高い収率で製造できる。この方法にお
いて、アルコールを用いたり、各工程で反応生成物を単
離精製することなく順次反応させる場合には、一貫した
プロセスにより、繁雑な工程を経ることなく、N−置換
−3−ヨードプロピオール酸アミドを工業的に高い収率
で製造できる。
【0102】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明する。
【0103】実施例1(アミド化工程) プロピオール酸メチル6g、メタノール40mlおよび
水80mlの混合溶液に、n−ブチルアミン7.05g
[1.35当量(エステル1モルに対して1.35モ
ル)]を0±3℃で徐々に滴下し、1時間撹拌した。反
応混合液をジクロロメタンによる抽出に供し、抽出液を
乾燥、濃縮して、微黄色の残渣を得た。この残渣をガス
クロマトグラフィーにより分析したところ、N−n−ブ
チル−プロピオール酸アミドの収率は94%であった。
なお、N−n−ブチル−プロピオール酸アミドと三重結
合へアミンが付加した副生物との割合は23:1(重量
比)であった。
【0104】実施例2(アミド化工程) n−ブチルアミン7.05g(1.35当量)および水
80mlの混合溶液に、メタノール40mlとプロピオ
ール酸メチル6gとの混合液を0±3℃で徐々に滴下
し、1時間撹拌した。反応混合液をジクロロメタンによ
る抽出に供し、抽出液を乾燥、濃縮して、微黄色の残渣
を得た。この残渣をガスクロマトグラフィーにより分析
したところ、N−n−ブチル−プロピオール酸アミドの
収率は94%であった。なお、N−n−ブチル−プロピ
オール酸アミドと三重結合へアミンが付加した副生物と
の比率は23:1(重量比)であった。
【0105】参考例(アミド化工程) プロピオール酸メチル6g、メタノール40ml、水4
0mlおよびn−ブチルアミン6.27g(1.2当
量)を用いて、実施例2と同様に反応を行った。その結
果、N−n−ブチル−プロピオール酸アミドの収率は6
4%であり、N−n−ブチル−プロピオール酸アミドと
三重結合へアミンが付加した副生物との比率は3:1
(重量比)であった。
【0106】実施例3(アミド化工程) プロピオール酸メチル6g、メタノール40ml、水8
0mlおよびn−ブチルアミン6.27g[1.2当量
(エステル1モルに対して1.2モル)]を用いて実施
例2と同様に反応を行った。その結果、N−n−ブチル
−プロピオール酸アミドの収率は75%であり、N−n
−ブチル−プロピオール酸アミドと三重結合へアミンが
付加した副生物との比率は4:1(重量比)であった。
【0107】実施例4(アミド化工程) n−ブチルアミンに代えてn−ヘキシルアミンを用いる
以外、実施例2と同様に反応を行ったところ、N−n−
ヘキシル−プロピオール酸アミドの収率は85%であ
り、N−n−ヘキシル−プロピオール酸アミドと三重結
合へアミンが付加した副生物との比率は9:1(重量
比)であった。
【0108】実施例5(アミド化工程) n−ブチルアミンに代えてn−デシルアミンを用いる以
外、実施例1と同様に反応を行ったところ、N−n−デ
シル−プロピオール酸アミドの収率は80%であり、N
−n−デシル−プロピオール酸アミドと三重結合へアミ
ンが付加した副生物との比率は8:1(重量比)であっ
た。
【0109】実施例6(エステル化工程、アミド化工程
およびヨウ素化工程の組合わせ) 撹拌装置および還流冷却器を備えた100mlのコルベ
ンに、プロピオール酸5g、p−トルエンスルホン酸一
水和物2.03g(0.15当量)、メタノール37.
5mlを入れ、メタノールが穏やかに還流する温度で5
時間撹拌した。得られた反応混合液を室温まで冷却し、
この混合液を、水75mlとn−ブチルアミン7.05
gとの混合液に0±3℃で徐々に滴下し、1時間撹拌し
た。その後、この反応混合液にヨウ化カリウム11.8
5gを添加して溶解し、メタノール112.5ml、1
2%次亜塩素酸ナトリウム水溶液66.42gを、順
次、0±3℃で徐々に滴下し、30分間撹拌した。反応
混合液に水100mlを加えて、さらに1時間撹拌し
た。析出した白色結晶を濾取し、水洗、乾燥してN−n
−ブチル−3−ヨードプロピオール酸アミド13.08
gを得た(プロピオール酸からの一貫収率73%)。
【0110】実施例7 撹拌装置及び還流冷却器を備えた100mlコルベンに
プロピオール酸5g、p−トルエンスルホン酸一水和物
2.03g、メタノール37.5mlを入れ、メタノー
ルが穏やかに還流する温度で5時間撹拌した。得られた
反応混合液を0℃以下にまで冷却し、水75mlを0℃
以下で滴下した。混合液にn−ブチルアミン7.05g
を0±3℃で徐々に滴下し、1時間撹拌した。その後、
この反応混合液にヨウ化カリウム11.85gを添加し
て溶解し、メタノール112.5ml、12%次亜塩素
酸ナトリウム水溶液66.42gを、順次、0±3℃で
徐々に滴下し、30分間撹拌した。反応混合液に水10
0mlを加え、さらに1時間撹拌した。析出した白色結
晶を濾取し、水洗、乾燥してN−n−ブチル−3−ヨー
ドプロピオール酸アミド13.01gを得た(プロピオ
ール酸からの一貫収率73%)。
【0111】実施例8 n−ブチルアミンに代えてn−ヘキシルアミンを用いる
以外、実施例6と同様に反応を行ったところ、プロピオ
ール酸からN−n−ヘキシル−3−プロピオール酸アミ
ドへの一貫収率は68%であった。
【0112】実施例9 n−ブチルアミンに代えてn−デシルアミンを用いる以
外、実施例6と同様に反応を行ったところ、プロピオー
ル酸からN−n−デシル−3−ヨードプロピオール酸ア
ミドへの一貫収率は64%であった。
【0113】実施例10 (1)エステル化工程 撹拌装置および還流冷却器を備えた100mlのコルベ
ンにプロピオール酸5g、パラトルエンスルホン酸一水
和物2.03g(0.15当量)、メタノール37.5
mlを入れ、メタノールが穏やかに還流する温度で5時
間撹拌した。反応混合液に水100mlを加えた後、ジ
クロロメタン100mlにより3回抽出した。抽出液を
無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下に留去す
ることにより、プロピオール酸メチル4.92gを得た
(収率82%)。
【0114】(2)アミド化工程 上記エステル化工程で得られたプロピオール酸メチル6
g、メタノール40mlおよび水80mlの混合溶液
に、n−ブチルアミン7.05g(1.35当量)を0
±3℃で徐々に滴下し、1時間撹拌した。反応混合液を
ジクロロメタンによる抽出に供し、抽出液を乾燥、濃縮
して、微黄色の残渣を得た。この残渣をガスクロマトグ
ラフィーにより分析したところ、N−n−ブチル−プロ
ピオール酸アミドの収率は94%であり、N−n−ブチ
ル−プロピオール酸アミドと三重結合へアミンが付加し
た副生物との割合は23:1(重量比)であった。
【0115】(3)ヨウ素化工程 上記アミド化工程で得られたN−n−ブチル−プロピオ
ール酸アミド8.0g、メタノ−ル160ml、水80
mlの混合溶液に、ヨウ化カリウム12.73g(1.
2当量)を溶解させ、混合液に12%次亜塩素酸ナトリ
ウム水溶液69.38g(1.75当量)を0±3℃で
徐々に滴下し、30分間撹拌した。反応混合液に水11
0mlを0±3℃で加え、さらに30分間撹拌した。析
出した白色結晶をガラスフィルターで濾過し、水洗、乾
燥してN−n−ブチル−3−ヨードプロピオール酸アミ
ド13.16gを得た(収率82%)。
【0116】実施例11 (1)酸化工程 無水クロム酸28.8gを水40mlに溶解し、この溶
液に10℃以下で硫酸46gを徐々に滴下した。滴下終
了後、水60mlを加えて希釈し、クロム酸混液を調製
した。
【0117】プロパルギルアルコール11.2gとメチ
ルエチルケトン240mlとの混合液に、上記クロム酸
混液を5℃以下で徐々に滴下し、そのまま15時間攪拌
した。反応終了後、有機層を分液し、水24mlで2回
洗浄した。溶媒を減圧下に留去し、得られた濃縮残渣に
メタノール100mlを加えて十分に混合し、さらに減
圧下で溶媒を留去した。
【0118】(2)エステル化工程 得られた濃縮残渣にメタノール100ml、p−トルエ
ンスルホン酸一水和物4.83gを加え、メタノールが
穏やかに還流する温度で5時間撹拌した。
【0119】(3)アミド化工程 得られた反応混合液を室温まで冷却し、水180mlと
n−ブチルアミン16.78gとの混合液を0±3℃で
徐々に滴下し、1時間撹拌した。
【0120】(4)ヨウ素化工程 得られた反応混合液にヨウ化カリウム28.20gを加
えて溶解させ、メタノール270ml、12%次亜塩素
酸ナトリウム水溶液158.08g、水240mlを、
順次、0±3℃で徐々に滴下し、1時間撹拌した。析出
した白色結晶を濾取し、水洗、乾燥してN−n−ブチル
−3−ヨードプロピオール酸アミド31.13gを得た
(プロパルギルアルコールからの一貫収率62%)。
【0121】実施例12 (1)酸化工程 無水クロム酸28.8gを水40mlに溶解し、この溶
液に10℃以下で硫酸46gを徐々に滴下した。滴下終
了後、水60mlを加えて希釈し、クロム酸混液を調製
した。
【0122】プロパルギルアルコール11.2gをメチ
ルエチルケトン240mlに溶解した混合液に、上記ク
ロム酸混液を5℃以下で徐々に滴下し、15時間撹拌し
た。反応終了後、有機層を分液し、水24mlで2回洗
浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒
を減圧下に留去したところ、僅かに着色した濃縮残渣を
得た。濃縮残渣を減圧下に蒸留し、プロピオール酸1
1.6gを得た(収率82%、沸点72〜74℃/40
mmHg)。
【0123】(2)エステル化工程 撹拌装置および還流冷却器を備えた100mlのコルベ
ンに、上記酸化工程で得られたプロピオール酸5g、パ
ラトルエンスルホン酸一水和物2.03g(0.15当
量)、メタノール37.5mlを入れ、メタノールが穏
やかに還流する温度で5時間撹拌した。反応混合液に水
100mlを加えた後、ジクロロメタン100mlによ
り3回抽出した。抽出液を無水硫酸マグネシウムで乾燥
し、溶媒を減圧下に留去することにより、プロピオール
酸メチル4.92gを得た(収率82%)。
【0124】(3)アミド化工程 上記エステル化工程で得られたプロピオール酸メチル6
g、メタノール40mlおよび水80mlの混合溶液
に、n−ブチルアミン7.05g(1.35当量)を0
±3℃で徐々に滴下し、1時間撹拌した。反応混合液を
ジクロロメタンによる抽出に供し、抽出液を乾燥、濃縮
して、微黄色の残渣を得た。この残渣をガスクロマトグ
ラフィーにより分析したところ、N−n−ブチル−プロ
ピオール酸アミドの収率は94%であり、N−n−ブチ
ル−プロピオール酸アミドと三重結合へアミンが付加し
た副生物との割合は23:1(重量比)であった。
【0125】(4)ヨウ素化工程 上記アミド化工程で得られたN−n−ブチル−プロピオ
ール酸アミド8.0g、メタノ−ル160mlおよび水
80mlの混合溶液に、ヨウ化カリウム12.73g
(1.2当量)を溶解させ、混合液に12%次亜塩素酸
ナトリウム水溶液69.38g(1.75当量)を0±
3℃で徐々に滴下し、30分間撹拌した。反応混合液に
水110mlを0±3℃で加え、さらに30分間撹拌し
た。析出した白色結晶をガラスフィルターで濾過し、水
洗、乾燥してN−n−ブチル−3−ヨードプロピオール
酸アミドを13.16g得た(収率82%)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 231/12

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1) HC≡C−COOR1 (1) (式中、R1はアルキル基を示す)で表される化合物
    と、下記一般式(2) R2−NH2 (2) (式中、R2はアルキル基を示す)で表される化合物と
    を、水と親水性有機溶媒との割合が前者/後者=1.5
    〜10/1(容量比)である混合溶媒中で反応させ、下
    記一般式(3) HC≡C−CONHR2 (3) (式中、R2は前記に同じ)で表されるN−置換−プロ
    ピオール酸アミドを製造する方法。
  2. 【請求項2】 水とアルコールとの混合溶媒中で反応さ
    せる請求項1記載のN−置換−プロピオール酸アミドの
    製造方法。
  3. 【請求項3】 一般式(1)で表される化合物1モルに
    対して1.1モル以上の一般式(2)で表される化合物
    を用いる請求項1記載のN−置換−プロピオール酸アミ
    ドの製造方法。
  4. 【請求項4】 一般式(1)で表される化合物1モルに
    対して一般式(2)で表される化合物1.2〜1.5モ
    ルを用いる請求項1記載のN−置換−プロピオール酸ア
    ミドの製造方法。
  5. 【請求項5】 R1がメチル基又はエチル基である請求
    項1記載のN−置換−プロピオール酸アミドの製造方
    法。
  6. 【請求項6】 プロピオール酸をエステル化し、下記一
    般式(1) HC≡C−COOR1 (1) (式中、R1はアルキル基を示す)で表される化合物を
    生成させる工程、 化合物(1)と、下記一般式(2) R2−NH2 (2) (式中、R2はアルキル基を示す)で表される化合物と
    を反応させ、下記一般式(3) HC≡C−CONHR2 (3) (式中、R2は前記に同じ)で表される化合物を生成さ
    せる工程、および化合物(3)とヨウ素化剤とを反応さ
    せ、下記一般式(4) IC≡C−CONHR2 (4) (式中、R2は前記に同じ)で表される化合物を生成さ
    せる工程を含むN−置換−3−ヨードプロピオール酸ア
    ミドの製造方法。
  7. 【請求項7】 炭素数1〜3のアルコールを用いてプロ
    ピオール酸をエステル化し、上記アルコールの存在下、
    一般式(1)で表される化合物から一般式(4)で表さ
    れる化合物へ導く反応を順次行なう請求項6記載のN−
    置換−3−ヨードプロピオール酸アミドの製造方法。
  8. 【請求項8】 一般式(1)で表される化合物および一
    般式(3)で表される化合物を単離することなく、プロ
    ピオール酸から一般式(4)で表される化合物を生成さ
    せる反応を順次行なう請求項6記載のN−置換−3−ヨ
    ードプロピオール酸アミドの製造方法。
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