JPH072232Y2 - ノック式筆記具 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、興趣に富んだノック式筆記具に関するもので
ある。

〔従来技術とその問題点〕

ノック式筆記具は、軸筒内にカム、回転子、ノック棒な
どからなる出没機構とボールペンなどのレフィールが内
蔵され、軸筒後端から突出するノック棒をノックすると
回転子がカムに沿って前後進して軸筒先端からレフィー
ルのペン体が出没するものが多い。つまり、ノック操作
にともなって押圧力がレフィールに機械的に伝達されて
前進するが、筆記者は、軸筒が不透明であっても、ノッ
クと同時にペン体が軸筒先端から出没するので、部品が
軸筒内で移動していることを無意識に感知している。

ところで筆記具は、本来の筆記機能の他に、楽しくて遊
びごころがあり、興趣に富んだものが要求されることが
ある。筆記具を興趣に富ませる手法として、筆記機能に
関連する部品や筆記機能に関係のない部品などをなんら
かの機構で移動可能にし、その移動の過程ないし移動の
前後で変化する構図に興趣を持たせるものがよく知られ
ている。一方、移動している筈の部品が静止して見える
のもきわめて興趣に富むが、かかる手法は機構的に困難
であり、ほとんど実用化されていないのが実情である。

〔考案の目的〕

そこで本考案は、ノック操作を行ったときに、軸筒の中
間部で分割されてノックによる押圧力がペン体に伝達さ
れないと錯覚し、きわめて興趣に富んだノック式筆記具
を提供することを目的とするものである。

〔考案の構成とその作用〕

本考案の構成は、軸筒内に出没機構とレフィールが内蔵
され、軸筒後端から突出するノック棒をノックすると軸
筒の先端開口からレフィールのペン体が出没するノック
式筆記具において、前記軸筒は、出没機構が内蔵された
有底筒状の後軸と、レフィールが収容された有底筒状の
前軸からなり、対向した後軸の底部と前軸の底部の周辺
近傍が複数の細いパイプで連結されるとともに、このパ
イプ内に押し棒が挿通され、ノック操作により押し棒が
移動してペン体が出没することを特徴とするものであ
る。

すなわち、出没機構が内蔵された後軸とレフィールが収
容された前軸がともに有底筒状であり、この底部同志が
対向した状態で細いパイプで連結されているので、軸筒
が完全に２分割されたものに見える。そして、ノック操
作を行うとパイプに挿通された押し棒が移動してペン体
を出没させるが、パイプが細く、かつ底部の中央を避け
て周辺近傍を連結しているので、パイプは外見上単なる
連結棒に見え、パイプ内を押し棒が移動していることに
気付かない。従って、前軸と後軸が完全に分離されて単
に連結棒で連結されたものに見え、それにもかかわらが
後軸の後端から突出するノック棒を押圧するとペン体が
前軸の先端開口から出没するので、マジック的なおもし
ろさがあり、きわめて興趣に富んだノック式筆記具とな
る。

〔実施例〕

以下に図面に示す実施例に基いて本考案を具体的に説明
する。

図面はノック式のボールペンを示す。第２図において、
軸筒は、不透明の合成樹脂で成形された後軸11と前軸12
で構成されている。後軸11と前軸12はともに有底筒状で
あり、後軸11の底面11aと前軸12の底面12aが対向して配
置され、３本の細くて剛性の大きなパイプ７で連結され
ている。パイプ７の本数は３本に限られないが、底面11
a,12aの中央部を避けて周辺部の同一円周上で連結され
ており、外観上は上下に分割された軸筒が細い連結棒で
連結されているのみであり、上下の軸筒が機構的に無関
係に見える。

後軸11内には、第１図に示すように、カム３、回転子
５、ノック棒４およびノックカバー６からなる周知の回
転ノック式出没機構が内蔵されている。つまり、カム３
は軸線方向の３本の深カム溝と浅カム溝が交互に等間隔
で形成されており、先端が鋸歯状に傾斜している。ノッ
ク棒４の先端部外周には、先端が傾斜した６個の押圧突
起41が形成されており、この押圧突起41がカム３の深カ
ム溝と浅カム溝にそれぞれ嵌め込まれている。そして、
ノック棒４の後端にノックカバー６が嵌着され、後軸11
の後端開口から突出している。次に、回転子５の先端部
外周に、後端面が傾斜した３本の突起51が形成されてお
り、この突起51がカム３の深カム溝に嵌め込まれてい
る。従って、ノック棒４が前進する回転子５は回転力を
付与された状態で前進する。

前軸12内にはスプリング22で後方に弾発されたボールペ
ンレフィール２が収容されている。ボールペンレフィー
ル２の後端は受け部材81に衝合しており、受け部材81か
ら３本の細い押し棒８が伸びている。そして、この押し
棒８がパイプ７内に挿通されて回転子５に衝合した押し
部材82に連結されている。従って、回転子５が前後に移
動すると押し棒８およびボールペンレフィール２も前後
に移動してペン体21が前軸12の先端開口12bから出没す
るが、押し棒８は、パイプ７内に挿通されているので、
前後に移動してもその動きは見えない。

しかして、後軸11の後端から突出したノックカバー６を
押圧してノック操作を行うと、回転子５の突起51はノッ
ク棒４によって回転力を付与された状態でカム３に沿っ
て前進し、カム３を抜け出すと60°回転し、カム３の先
端に係合するとともに、ノック解除によってノック棒４
が後退する。従って、ペン体21が前軸12の先端開口12b
から突出して筆記可能になる。そして、再びノック操作
を行うと、カム３の先端に係合している回転子５の突起
51を回転力を付与した状態で少し突き上げる。従って、
突起51は60°回転してカム３に沿って後退するので、ペ
ン体21が前軸12内に没入し、第１図に示す状態に戻る。

このとき、押し棒８もパイプ７内を移動するが、その動
きが見えないので、ノック操作を行っても外観上は後軸
11と前軸12が機構的に無関係に見え、それにもかかわら
ずペン体21が前軸12の先端開口12bから出没する。従っ
て、マジック的なおもしろさがあり、きわめて興趣に富
んだノック式筆記具となる。

〔考案の効果〕

以上説明したように、本考案のノック式筆記具は、軸筒
が出没機構が内蔵された後軸とレフィールが収容された
前軸の底面同士を中央部を避けて周辺部において細いパ
イプで連結し、このパイプ内を押し棒が移動して出没機
構の押圧力をレフィールに伝達するようにしたので、ノ
ック操作を行ったときに、軸筒の中間部で分割されて出
没機構の押圧力がペン体に伝達されないと錯覚し、マジ
ック的なおもしろさがあって、きわめて興趣に富んだノ
ック式筆記具となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案実施例の断面図、第２図は斜視図を示
す。 11……後軸、12…前軸、11a,12a……底面 ２……レフィール、21……ペン体、22……スプリング ３……カム、４……ノック棒、５……回転子 ６……ノックカバー、７……パイプ、８……押し棒

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】軸筒内に出没機構とレフィールが内蔵さ
   れ、軸筒後端から突出するノック棒をノックすると軸筒
   の先端開口からレフィールのペン体が出没するノック式
   筆記具において、 前記軸筒は、出没機構が内蔵された有底筒状の後軸と、
   レフィールが収容された有底筒状の前軸からなり、対向
   した後軸の底部と前軸の底部の周辺近傍が複数の細いパ
   イプで連結されるとともに、このパイプ内に押し棒が挿
   通され、ノック操作により押し棒が移動してペン体が出
   没することを特徴とするノック式筆記具。