JPH072219Y2 - インクリボン巻取り機構 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案はインクリボン巻取り機構に係り、特に各種イン
クリボンを適正な巻取りトルクで巻取ることができ、前
記インクリボンに形成された色識別用のマーカを正確に
検出することを可能としたインクリボン巻取り機構に関
する。

〔従来の技術〕

一般に、複数ドットの発熱体を有するサーマルヘッドに
よりインクリボンのインクを溶融して用紙上に所望の印
字を行なう熱転写プリンタが多く用いられており、この
ような熱転写プリンタにおいては、キャリッジにリボン
カセット内のインクリボンを所定のトルクおよび速度で
巻取る巻取り機構が配設されている。

第５図および第６図は前記従来のインクリボン巻取り機
構を示したもので、キャリッジ１の上面には、支持軸２
が固着されており、この支持軸２の外周側には、巻取り
軸３が回転自在に配設されている。この巻取り軸３の下
端部には、外方に突出する支持フランジ４が一体に形成
されており、この巻取り軸３には、巻取りギア５が前記
巻取り軸３と独立して回転自在に遊嵌されている。ま
た、前記巻取りギア５の下面側と前記巻取り軸３の支持
フランジ４との間には、スリップ機構としてのフェルト
６が介設されており、前記巻取り軸３の上端部には、前
記キャリッジ１の上面に露出して前記リボンカセットの
図示しない巻取り用コアに係合される巻取りボビン７が
固着されている。前記巻取り軸３の外周側には、上端部
が前記巻取りボビン７の下面に当接されるとともに、下
端部が前記巻取りギア５の上面に当接される付勢ばね８
が配設されており、この付勢ばね８の付勢力により、前
記巻取りギア５を前記フェルト６を介して前記巻取り軸
３の支持フランジ４に圧接させるようになされている。

また、前記巻取りギア５には、リボン巻取りモータ９の
回転軸10に固着された駆動ギア11が噛合されており、前
記リボン巻取りモータ９の回転駆動により前記駆動ギア
11を回転させ、前記巻取りギア５を回転させることによ
り、前記巻取りギア５の付勢ばね８の付勢力により生じ
るフェルト６の摩擦力により、この回転駆動力を前記巻
取り軸３に伝達するようになされている。

前記従来のインクリボン巻取り機構においては、前記キ
ャリッジ１を駆動するとともに、前記リボン巻取りモー
タ９を駆動して巻取りギア５を介して巻取り軸３を回転
させることにより、巻取りボビン７を回転させてリボン
カセット内のインクリボンを巻取りながら、図示しない
サーマルヘッドを所望の印字信号に基づいて駆動するこ
とにより、所望の用紙に印字を行なうものである。

また、前記リボンカセットに収容されるインクリボンと
して複数色のマルチカラーインクリボンを用いる場合
は、例えば、インクリボンのイエロー（Ｙ）、マゼンダ
（Ｍ）、シアン（Ｃ）の各色の境界部分に、各色毎に幅
寸法の異なるマーカを設けたり、各色毎に本数の異なる
マーカを設けるようにしている。そして、このインクリ
ボンの各色を検出する場合は、キャリッジ１やサーマル
ヘッドを駆動せず、前記インクリボン巻取り時と同様
に、前記リボン巻取りモータ９を駆動して巻取りボビン
７を回転させることにより、前記インクリボンを巻取り
ながら、前記マーカを読取ることにより、各色を検出す
るようになされている。

〔考案が解決しようとする課題〕

前記従来のインクリボン巻取り機構を用いたプリンタに
おいては、例えば、OHP紙や普通紙等印字する用紙の種
類に応じて異なるインクリボンを用いるようにしてい
る。一方のOHP紙用インクリボンの場合は、インクリボ
ンを冷却時剥離させ、他方の普通紙用インクリボンの場
合は、熱時剥離させるものであるため、各インクリボン
によって剥離時の負荷が異なる。すなわち、普通紙用イ
ンクリボンの剥離時の負荷がOHP紙用インクリボンの剥
離時の負荷より大きい。そこで、良好な印字品質を得る
ためには、各インクリボンに応じて巻取りトルクを変化
させる必要がある。

しかし、前記従来のインクリボン巻取り機構において
は、いずれのインクリボンを用いる場合でも、同一の巻
取りトルクにより巻取りギア５およびフェルト６を介し
て巻取り軸３を回転させるようにしているので、各種イ
ンクリボンに応じた適正な巻取りトルクで巻取りを行な
うことができず、印字品質の低下を招いてしまうという
問題を有している。

また、マルチカラーインクリボンの色検出を行なう場合
に、インクリボンの通常の巻取り動作と同様に巻取り軸
３を回転させるようにしているので、前記インクリボン
の巻取り時における負荷が、前記巻取りギア５を付勢ば
ね８により支持フランジ４に圧接させる際に生じる摩擦
力を越えてしまうと、前記巻取りギア５と巻取り軸３と
の間にすべりが生じ、前記巻取り軸３の回転むらが発生
してしまい、この巻取り軸３の回転むらにより、前記マ
ーカの正確な検出が不可能になったり、異なる色を検出
してしまうという問題を有している。

本考案はこれらの点に鑑みてなされたものであり、各種
インクリボンに応じた巻取りトルクによりインクリボン
の巻取りを行なうことができ、しかも、マルチカラーイ
ンクリボンのマーカを正確に検出することのできるイン
クリボン巻取り機構を提供することを目的とするもので
ある。

〔課題を解決するための手段〕

前記目的を達成するため本考案に係るインクリボン巻取
り機構は、巻取り軸の先端部にリボンカセットの巻取り
用コアに係合される巻取りボビンを固着し、前記巻取り
軸にリボン巻取りモータにより回転駆動される巻取りギ
アをスリップ機構を介して接続してなるインクリボン巻
取り機構において、前記巻取り軸の基部にインクリボン
のマーカ検出用の検出駆動ギアを固着するとともに、こ
の検出駆動ギアの軸先端側に普通紙用巻取りギアおよび
OHP紙用巻取りギアを順次スリップ機構を介して回転自
在に配設し、前記リボン巻取りモータと前記各巻取りギ
アおよび検出駆動ギアとの間に、通常のインクリボン巻
取り時に前記各巻取りギアに、前記インクリボンのマー
カ検出時に前記検出駆動ギアにそれぞれ選択的に噛合し
て前記リボン巻取りモータの回転駆動力を伝達する伝達
ギアを配設し、前記巻取り軸を前記伝達ギアに普通紙用
巻取りギアおよびOHP紙用巻取りギアをそれぞれ選択的
に噛合させるように軸方向移動自在に形成したことをそ
の特徴とするものである。

〔作用〕

本考案によれば、普通紙用インクリボンの巻取りを行な
う場合は、普通紙用巻取りギアが伝達ギアに噛合され、
スリップ機構を介して巻取り軸を回転させるようになっ
ており、また、OHP紙用インクリボンの巻取りを行なう
場合は、巻取り軸が軸方向に移動させられてOHP紙用巻
取りギアが伝達ギアに噛合され、普通紙用巻取りギアお
よびスリップ機構を介して巻取り軸を回転させるように
しているので、前記OHP紙用巻取りギアを回転駆動させ
る場合の巻取りトルクを、普通紙用巻取りギアを回転駆
動させる場合に比べて低減させることができる。

さらに、インクリボンのマーカを検出する場合に、リボ
ン巻取りモータの回転力を伝達ギアを介して巻取り軸に
固着された検出駆動ギアに直接伝達するようにしたの
で、インクリボンの回転負荷がかかった場合でも、巻取
り軸がスリップしてしまうことがなく、巻取り軸の回転
むらの発生を防止することができ、インクリボンのマー
カを確実に検出することができるものである。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を第１図から第４図を参照して説
明する。

従来と同一部分には同一符号を付してある。

第１図および第２図は本考案に係るインクリボン巻取り
機構の一実施例を示したもので、キャリッジ１の上面に
は、支持軸２が固着されており、この支持軸２の外周側
には、巻取り軸３が回転自在にかつ前記支持軸２に沿っ
て昇降自在に配設されている。前記巻取り軸３の基部と
なる下端部には、支持フランジの代わりに外方に突出す
る検出駆動ギア12が一体に形成されており、前記巻取り
軸３の下面側には、前記巻取り軸３を上方に付勢する押
し上げばね13が配設されている。前記巻取り軸３の前記
検出駆動ギア12の上方すなわち軸方向先端側には、普通
紙用巻取りギア14およびOHP紙用巻取りギア15がそれぞ
れ前記巻取り軸３と独立して回転自在に遊嵌されてお
り、前記検出駆動ギア12と普通紙用巻取りギア14および
普通紙用巻取りギア14とOHP紙用巻取りギア15の間に
は、それぞれフェルト6,6が介設されている。また、巻
取り軸３の先端部には、リボンカセットの巻取り用コア
に係合される巻取りボビン７が固着されており、この巻
取りボビン７と前記OHP紙用巻取りギア15との間には、
前記各巻取りギア14,15を前記検出駆動ギア12に各フェ
ルト６をそれぞれ介して圧接させる付勢ばね８が配設さ
れている。さらに、前記巻取りボビン７の上面には、ス
トッパ16が取付けられている。

また、リボン巻取りモータ９の回転軸10には、駆動ギア
11が固着されており、この駆動ギア11には、大径の主伝
達ギア17が噛合されている。この主伝達ギア17の上部に
は同軸にして揺動アーム18が揺動自在に取付けられてお
り、この揺動アーム18の一端部（第２図において上方側
端部）には、前記主伝達ギア17に噛合され前記揺動アー
ム18の反時計方向の揺動により前記各巻取りギア14,15
に噛合される巻取り用補助伝達ギア19が回転自在に取付
けられている。また、前記揺動アーム18の他端部には、
前記主伝達ギア17に噛合され前記揺動アーム18の時計方
向の揺動により前記検出駆動ギア12に噛合される２つの
歯車列状の検出駆動用補助伝達ギア20,20が回転自在に
取付けられている。

さらに、普通紙用インクリボンを収納するリボンカセッ
トの普通紙用の巻取り用コア21は、第３図に示すよう
に、円筒状を有しており、この巻取り用コア21の内周面
には、前記巻取りボビン７に係合する係合突起22が形成
されている。また、OHP紙用の巻取り用コア23は、第４
図に示すように、同様に係合突起22が形成された円筒状
を有しており、この巻取り用コア23の上端部内側には、
前記巻取りボビン７の肩部に当接して前記巻取り軸３を
下降させる環状の押し下げ用環状部24が形成されてい
る。そして、前記普通紙用インクリボンが収納されたリ
ボンカセットをキャリッジ１に装着した状態で、巻取り
用コア21が前記巻取りボビン７に係合されて、前記巻取
り用補助伝達ギア19と普通紙用巻取りギア14が係合され
るものである。また、前記OHP紙用インクリボンが収納
されたリボンカセットがキャリッジ１に装着されると、
前記巻取り用コア23の押し下げ用環状部24が前記巻取り
ボビン７の肩部に当接して、前記巻取りボビン７および
巻取り軸３を下降させ、これにより、OHP紙用巻取りギ
ア15を巻取り用補助伝達ギア19に係合させるようになさ
れている。

次に、本実施例の作用について説明する。

まず、普通紙用インクリボンの巻取りを行なう場合は、
普通紙用インクリボンが収納されたリボンカセットをキ
ャリッジ１に装着し、巻取り用コア21を前記巻取りボビ
ン７に係合させる。そして、リボン巻取りモータ９を駆
動して駆動ギア11を第２図において矢印Ａ方向に回転さ
せることにより、主伝達ギア17が反時計方向に回転さ
れ、これに伴い、前記揺動アーム18が反時計方向に揺動
され、前記巻取り用補助伝達ギア19が普通紙用巻取りギ
ア14に噛合される。これにより、前記普通紙用巻取りギ
ア14が回転駆動され、前記普通紙用巻取りギア14を回転
させることにより、１枚のフェルト６の摩擦力によりこ
の回転駆動力を前記巻取り軸３に伝達し、前記巻取りボ
ビン７を回転させ、普通紙用インクリボンの巻取りを行
なうようにしている。

また、OHP紙用インクリボンの巻取りを行なう場合は、O
HP紙用インクリボンが収納されたリボンカセットをキャ
リッジ１に装着し、前記巻取り用コア23の押し下げ用環
状部24を前記巻取りボビン７の肩部に当接させて、前記
巻取りボビン７および巻取り軸３を押し上げばね13の付
勢力に抗して下降させる。そして、同様にリボン巻取り
モータ９により駆動ギア11を回転させると、前記巻取り
軸３が下降しているため、前記巻取り用補助伝達ギア19
がOHP紙用巻取りギア15に噛合され、これにより、前記O
HP紙用巻取りギア15が回転駆動される。更にこのOHP紙
用巻取りギア15を回転させることにより、前記普通紙用
巻取りギア14および２枚のフェルト６をそれぞれ介して
この回転駆動力を前記巻取り軸３に伝達し、前記巻取り
ボビン７を回転させ、OHP紙用インクリボンの巻取りを
行なうようにしている。このとき、前記OHP紙用巻取り
ギア15の回転力が２枚のフェルト６を介して伝達される
ことになるので、１枚のフェルト６を介して普通紙用巻
取りギア14を回転駆動させる場合に比べて、巻取りトル
クを低減されることができる。

また、インクリボンのマーカの検出を行なう場合は、前
記リボン巻取りモータ９を逆方向に回転駆動して駆動ギ
ア11を第２図において矢印Ｂ方向に回転駆動させる。こ
れに伴い、前記揺動アーム18が時計方向に揺動され、前
記巻取り用補助伝達ギア19と巻取りギアとの噛合が解除
されて、前記検出駆動用補助伝達ギア20が検出駆動ギア
12に噛合される。これにより、前記検出駆動ギア12が、
主伝達ギア17および各検出駆動用補助伝達ギア20を介し
て直接回転駆動され、巻取りボビン７を回転させて所定
のインクリボンのマーカを検出するようにしている。

したがって、本実施例においては、普通紙用インクリボ
ンおよびOHP紙用インクリボンの巻取りを行なう場合
に、それぞれ巻取りトルクを変化させることができるの
で、インクリボンの種類に応じた適正な巻取りを行なう
ことができ、印字品質の向上を図ることができる。

また、インクリボンのマーカを検出する場合に、リボン
巻取りモータ９からの回転力を巻取り軸３に直接伝達す
るようにしたので、インクリボンの回転負荷がかかった
場合でも、巻取り軸３がスリップしてしまうことがな
く、巻取り軸３の回転むらの発生を防止することがで
き、インクリボンのマーカを確実に検出することができ
る。

なお、前記実施例は巻取り軸３を鉛直方向に設けている
が、必要に応じて水平方向等に配設してもよい。

また、巻取り軸３の軸方向移動は電磁ソレノイド等の駆
動機構を用いてもよい。

また、本考案は前記実施例に限定されるものではなく、
必要に応じて種々変更することが可能である。

〔考案の効果〕

以上述べたように本考案に係るインクリボン巻取り機構
は、普通紙用インクリボンおよびOHP紙用インクリボン
の巻取りを行なう場合に、それぞれ巻取りトルクを変化
させることができるので、インクリボンの種類に応じた
適正な巻取りを行なうことができ、印字品質の向上を図
ることができる。また、インクリボンのマーカを検出す
る場合に、リボン巻取りモータからの回転力を直接伝達
するようにしたので、インクリボンの回転負荷がかかっ
た場合でも、巻取り軸がスリップしてしまうことがな
く、巻取り軸の回転むらの発生を防止することができ、
インクリボンのマーカを確実に検出することができる等
の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図から第４図は本考案に係るインクリボン巻取り機
構の実施例を示したもので、第１図は巻取り軸部分の縦
断面図、第２図は斜視図、第３図（ａ），（ｂ）はそれ
ぞれ普通紙用の巻取り用コアを示すそれぞれ縦断面図お
よび平面図、第４図（ａ），（ｂ）はそれぞれOHP紙用
の巻取り用コアを示すそれぞれ縦断面図および平面図、
第５図は従来の巻取り機構の巻取り軸部分の縦断面図、
第６図は従来の巻取り機構の斜視図である。 ３…巻取り軸、６…フェルト、７…巻取りボビン、８…
付勢ばね、９…リボン巻取りモータ、11…駆動ギア、12
…検出駆動ギア、13…押し上げばね、14…普通紙用巻取
りギア、15…OHP紙用巻取りギア、16…押圧板、17…主
伝達ギア、18…揺動アーム、19…巻取り用補助伝達ギ
ア、20…検出駆動用補助伝達ギア、21…普通紙用の巻取
り用コア、23…OHP紙用の巻取り用コア、24…押し下げ
用環状部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】巻取り軸の先端部にリボンカセットの巻取
   り用コアに係合される巻取りボビンを固着し、前記巻取
   り軸にリボン巻取りモータにより回転駆動される巻取り
   ギアをスリップ機構を介して接続してなるインクリボン
   巻取り機構において、前記巻取り軸の基部にインクリボ
   ンのマーカ検出用の検出駆動ギアを固着するとともに、
   この検出駆動ギアの軸先端側に普通紙用巻取りギアおよ
   びOHP紙用巻取りギアを順次スリップ機構を介して回転
   自在に配設し、前記リボン巻取りモータと前記各巻取り
   ギアおよび検出駆動ギアとの間に、通常のインクリボン
   巻取り時に前記各巻取りギアに、前記インクリボンのマ
   ーカ検出時に前記検出駆動ギアにそれぞれ選択的に噛合
   して前記リボン巻取りモータの回転駆動力を伝達する伝
   達ギアを配設し、前記巻取り軸を前記伝達ギアに普通紙
   用巻取りギアおよびOHP紙用巻取りギアをそれぞれ選択
   的に噛合させるように軸方向移動自在に形成したことを
   特徴とするインクリボン巻取り機構。