JPH0721996B2 - 偏向ヨーク - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は偏向ヨーク、特に高品位のテレビジョン受像
機等に用いて好適な偏向ヨークに関する。

〔従来の技術〕

従来、テレビジョン受像機等に用いられる偏向ヨークの
偏向コイル例えば水平偏向ヨークの水平コイルはシリー
ズ結線まよりもパラ結線の方がラスタリンギングに対し
て有利であると考えられていた。ところが、最近高品位
のテレビジョン受像機の開発に伴ってハイスキャン対応
の偏向ヨークも考えられ、このような偏向ヨークにおい
ては、温度上昇の対策から水平コイルの線材はより細か
いものを何本も束ねて使用することが多く、このため水
平コイルの分布容量が増加し、パラ結線においてもラス
タリンギングが発生する場合がある。

このラスタリンギングは通常水平コイル自身の持つ分布
容量の巻始め側と巻終り側における分布容量の水平衡に
よって生じる。すなわち、水平コイルの断面図を示す第
６図において、水平コイル（１）は上コイル（1a）と下
コイル（1b）とから成り、これ等コイル（1a），（1b）
はいずれもその巻始め側より巻終りの側の巻数が多くな
るようになされており、従って上コイル（1a）の巻始め
側に発生する分布容量C₁と巻終り側に発生する分布容量
C₂とはC₂＞C₁の関係にあり、同様に下コイル（1b）の巻
始め側に発生する分布容量C₁′と巻終り側に発生する分
布容量C₂′にはC₂′＞C₁′の関係にある。

第７図は水平コイル（１）を構成する上コイル（1a）と
下コイル（1b）の結線状態を示すもので、これ等のコイ
ル（1a），（1b）には上述の如く、巻始め側には分布容
量C₁，C₁′が存在し、巻終り側には分布容量C₂，C₂′が
存在している。（２）は水平コイル（１）に並列接続さ
れた共振用コンデンサであって、この水平コイル（１）
とコンデンサ（２）の並列回路に水平パルスが印加され
る。

第８図は第７図の等価回路を示すもので、同図におい
て、C₁₂は分布容量C₁，C₂の合成容量を表し、C₁₂′は分
布容量C₁′，C₂′の合成容量を表す。これ等は共振用コ
ンデンサ（２）の容量C₀に比べるときわめて小さく、す
なわちC₀》C₁₂，C₀》C₁₂′の関係にあり、従って無視で
きる。そして、コイル（1a），（1b）に残るのは分布容
量C₁とC₂及びC₁′とC₂′の差分に相当する分布容量（不
平衡容量）ΔＣ及びΔＣ′を考えればよい。こゝで水平
パルスが印加されると、ΔＣには正、ΔＣ′には負の電
荷が夫々充電され、結局各コイル（1a），（1b）には電
流I₁，I₂とI₁′，I₂′が流れ、この充放電によりリンギ
ング磁界が振動し、ラスタリンギングが生じることにな
る。

第９図は第８図の等価回路を実際の水平コイルの形状に
もどした状態を示しており、この第９図の矢印からもわ
かるように、水平コイル（１）の内部では６極のリンギ
ング磁界が振動していることがわかる。

〔発明が解決しようとする問題点〕

ところで、このように水平コイル（１）の内部にリンギ
ング磁界が生じると、第10図に示すように、ブラウン管
の画面上でラスタの明暗じまや水平走査のうねりが生
じ、画質の劣化の原因となる。

この発明は斯る点に鑑みてなされたもので、すぐれた画
質を得ることができる偏向ヨークを提供するものであ
る。

〔問題点を解決するための手段〕

それぞれ線材がクラ型状に巻回された一対のクラ型コイ
ルを有する偏向ヨークであって、分布容量の不均衡を補
償するように線材との間で容量を形成する導電部材を各
コイルに付加して構成している。

〔作用〕

偏向コイル（10）の巻始め側と巻終り側の分布容量の水
平衡を解消すべく偏向コイルに対して導電部材（13）を
付加してコイルとの間で容量を形成しリンギング磁界を
打ち消す。

〔実施例〕

以下、この発明の第１図〜第５図に基いて詳しく説明す
る。

第１図はこの発明の説明に供する偏向ヨークの接続図を
示すもので、同図において、（10）は上コイル（10a）
及び下コイル（10b）から成る水平コイルであって、上
コイル（10a）の巻始め側と巻終り側に発生する分布容
量の差分に相当する容量（不平衡容量）ΔＣに対して、
中間タップ（10c）と上コイル（10a）の巻始め側との間
に容量ΔＣと等価な容量Cxを有するコンデンサ（11）を
接続する。同様に下コイル（10b）の巻始め側と巻終り
側に発生する分布容量の差分に相当する容量（不平衡容
量）ΔＣ′に対して、中間タップ（10d）と下コイル（1
0b）の巻始め側との間に容量ΔＣ′と等価な容量Cx′を
有するコンデンサ（12）を接続する。

これによって、コイル（10a），（10b）における分布容
量が全体にわたって平衡となり、ラスタリンギングが減
少される。なお、この時使用するコンデンサ（11），
（12）の容量は通常同一のものを使用し得るが、対アー
ス間の分布容量の関係によっては異なる値のものを用い
てもよい。

第２図はこの発明の一実施例を示すもので、本実施例で
は水平コイル（10）の上コイル及び下コイルの表面に、
例えばコイルの巻始め側から中央付近にわたって薄い導
電部材（13）を貼着し、導電部材（13）とコイル線材間
で容量を作り、これにより上コイル及び下コイルに発生
する分布容量の平衡化をはかり、ラスタリンギングを減
少するものである。

因みに、第２図はクラ型を成す水平コイル（10）の一方
のコイル例えば下コイルの巻始め側より中央付近に導電
部材（13）を２枚貼着した場合を示している。また、第
３図は、上述の如く水平コイル（10）の上コイル（10
a）と下コイル（10b）の巻始め側から中央付近にわたっ
て薄い導電部材（13）を貼着した場合の等価回路を示す
ものである。

なお、本実施例において、導電部材（13）は渦電流損の
影響を受け難くするため、細く裁断されたものを使用す
ることが好ましい。また分布容量の大きさによっては、
水平コイル（10）の内側と外側に導電部材（13）を貼着
してもよい。更にフレキシブル基板を使用して細く裁断
された導電部材のパターンを作るようにしてもよい。

また、第３図において、貼着された導電部材（13）の所
定部分を、第４図に示すようにコイル（10a），（10b）
の巻始め側に接続するようにしても良く、これによって
も上述と同様の作用効果が得られ、更にこの場合、細い
分布容量の調整が可能である利益もある。

第５図はこの発明の参考例を示すもので、この参考例で
は、水平コイル（10）に対して、互いに電気的に接続さ
れた複数個例えば４個のサブコイル（14）を設ける。そ
してこれ等のサブコイル（14）を水平コイル（10）の内
面に配列してリンギング磁界による電界を誘起させ、一
方サブコイル（14）の両端（14a），（14b）に例えばコ
ンデンサ（15）と抵抗器（16）から成るインピーダンス
素子或いは抵抗器（17）単体から成るインピーダンス素
子を接続し、このインピーダンス素子により誘起された
電界をダンピングしてラスタリンギングを減少しようと
するものである。

なお、このサブコイル（14）はフレキシブル基板を使用
して、簡単に作ることができる。

なお、上述の実施例では偏向コイルとして水平コイルの
場合を例にとり説明したが、垂直コイルの場合も同様に
適用可能である。

〔発明の効果〕

上述の如くこの発明によれば、それぞれ線材がクラ型状
に巻回されて構成されたコイルに生じる分布容量の不均
衡を補償するようにコイル線材との間で容量を形成する
導電部材を各コイルに付加して構成したことにより、コ
イル形状に起因する容量の不均衡を細かく調整すること
が可能になり、リンキング磁界が打ち消された偏向ヨー
クが実現できて、ブラウン管の画面上でのラスタの明暗
じまや水平走査のうねりの発生を抑え、良好な画質が得
られる顕著な効果を有する。

また、各コイルに導電部材を付加することによりコイル
線材との間で容量を形成するのでコンデンサを用いるも
のに比して回路構成が簡単になると共に部品費が安価
で、コストの低減化が可能になる等の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の説明に供する偏向ヨークの接続図、
第２図はこの発明の一実施例を示す側面図、第３図はこ
の発明の一実施例の等価回路図、第４図は第３図の変形
例を示す接続図、第５図はこの発明の参考例を示す正面
図、第６図〜第10図は従来例の説明に供するための図で
ある。 （10）は水平コイル、（11），（12）はコンデンサ、
（13）は導電部材、（14）はサブコイル、（15）はコン
デンサ、（16），（17）は抵抗器である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】それぞれ線材がクラ型状に巻回された一対
   のクラ型コイルを有する偏向ヨークであって、分布容量
   の不均衡を補償するように前記線材との間で容量を形成
   する導電部材を各コイルに付加したことを特徴とする偏
   向ヨーク。