JPH072190Y2 - 発泡樹脂押出装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は発泡樹脂ゴム、熱可塑
性エラストマー等の押出装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】スクリュシリンダの途中に発泡材（発泡
剤又は発泡用ガス）の注入孔をもつ発泡樹脂押出装置
は、スクリュの回転によって生じたシリンダ内圧に打勝
つ圧力で、発泡材を注入している。押出機の運転停止時
は、スクリュの回転も、発泡材注入も停めるが、その
際、シリンダ内の溶融樹脂が注入孔から逆流し凝固し
て、注入孔をふさいでしまう。またシリンダ内に溶融樹
脂を残したまゝ運転を中断した後、運転再開すると、溶
融樹脂が発泡材注入孔から逆流して、ふさぐ事もある。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】上述の溶融樹脂が発泡
材注入孔から逆流して孔をふさぐ問題の解決方法とし
て、特公平３−６０１２６号の発明のように、スクリュ
回転を停めても暫くは発泡材を注入し続けた後、注入を
停める事も提案されている。しかし、この方法は上述
の、シリンダ内に溶融樹脂を残して運転中断、再開した
場合の逆流現象は防げない。運転再開時、逆流を防止で
きる程度に発泡材注入圧を高く設定して運転を始めれ
ば、逆流現象を防止できると思われるかも知れないが、
発泡材注入圧は均質な発泡樹脂を作る最重要条件であ
る。これを変えると発泡状態も変わるため、この注入圧
は変えにくい。この考案はこの課題を抜本的に解決す
る。

【０００４】

【課題を解決するための手段】この考案の発泡樹脂押出
装置は、スクリュシリンダの途中に発泡材の注入孔をも
つ発泡樹脂押出装置において、上記注入孔付近のシリン
ダを内から外へ貫通した放出路と、その放出路の出口に
付けた開閉弁とを備え、スクリュ停止時、上記弁を開
き、スクリュの再回転時は、注入路閉塞の恐れが無くな
ってから弁を閉じるようにした事を特徴とする。

【０００５】

【作用】従来の溶融樹脂の逆流現象を研究すると、発泡
材注入孔付近のシリンダ内の溶融樹脂は内圧により逃げ
場を求めているので、注入圧が無いか、未だ弱い時は直
ちに注入孔から逆流するのである。本考案者は上の考察
から、溶融樹脂に別の逃げ場を用意した。それがこの考
案の放出路で、僅かの放出でもシリンダ内圧を下げてし
まうから、樹脂は注入孔へ向かわなくなる。なお発泡材
注入孔そのものに弁をつけて逆流を防ぐことも考えられ
るが、図示した注入口３の内側に弁を付けるわけにゆか
ず、外側に弁を付けると孔内に樹脂が詰まり塞がるのを
防げない。

【０００６】

【実施例】図１はこの考案の一実施例の発泡材注入孔お
よび放出路を含む断面を示す。その１はスクリュ、２は
シリンダ、３は発泡材注入孔、４は放出路、５はその出
口に付けた開閉弁で、この例では絞り弁を使っている。

【０００７】この考案の発泡樹脂押出装置は、発泡材注
入孔３付近のシリンダ２を内から外へ貫通した放出路４
を有するほかは、従来と変わった点がないので、装置全
体の立面図、平面図を略した。運転中はスクリュ１が回
転し、シリンダ２内部の合成樹脂をシリンダ２の出口の
方へ加圧する事により、シリンダ内圧（樹脂の内圧）を
高めている。発泡材注入孔３付近では、樹脂の多くの部
分がすでに溶融して、発泡材が混入しやすくなってい
る。

【０００８】従って装置の運転を休止し、スクリュ１の
回転及び注入孔からの発泡材注入を停めると、従来はシ
リンダ２の内圧はそのまゝ残り、シリンダ内圧に打勝つ
圧力で押込んでいた発泡材の注入が停まるため、シリン
ダ２内の樹脂が注入孔３へ逆流した。しかし、この考案
により、注入孔３付近のシリンダ２を内から外へ貫通し
た放出路４を設け、運転中止と同時または運転中止直前
に放出路４の開閉弁５を開くようにしたので、シリンダ
２内部を直接、大気圧の外気に通ぜしめる事になり、シ
リンダ２内の樹脂は、まだ圧力を残している注入孔３へ
行くよりも、大気圧に通じた放出路４へ向かうのであ
る。

【０００９】なお図示した実施例は、開閉弁５に絞り弁
を当て、普通の開閉弁で直接大気圧に通ぜしめると、シ
リンダ２内部の樹脂の放出量が過大になるのを加減する
ようにしている。運転再開、つまりスクリュ１を再び回
転させ、発泡材注入を始める際、直ちに開閉弁５を閉じ
ると、注入孔３の圧力が十分高まらないうちに、シリン
ダ内樹脂が注入孔３へ逆流して来る恐れがある。そのた
め開閉弁５を完全に閉じるのは、注入孔３の注入圧が十
分高まってからにする。なお、この考案の実施態様は図
１の実施例に限定されるものでなく、注入孔３の位置の
スクリュ１の溝を深めたり、山を低めたりするように、
放出路４の位置のスクリュ１も同様な工夫を加えてよ
い。注入部樹脂圧力が注入圧力より大になった場合も、
この開閉弁を開くことにより、注入孔への樹脂の逆流を
防ぐことが出来る。

【００１０】

【考案の効果】正確に作られたタンスの引出しは、開け
閉めが円滑でないが、引出しに空気抜き穴を明けるだけ
で、円滑に動くようになるから、素人は驚く。同様にこ
の考案は、運転停止時、及び再開時、発泡材注入孔から
逆流しやすかったシリンダ内樹脂を、シリンダ２に放出
路４を明けるだけで、ガス抜きをしたように、逆流のエ
ネルギを失わしたのである。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の発泡樹脂押出装置の発泡材注入孔及
び放出路付近の横断面図である。

【符号の説明】

３ 発泡材注入孔 ４ 放出路 ５ 開閉弁

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 スクリュシリンダの途中に発泡材の注入
   孔をもつプラスチック、ゴム、熱可塑性エラストマー等
   の発泡樹脂押出装置において、上記注入孔付近のシリン
   ダを内から外へ貫通した放出路と、その放出路の出口に
   付けた開閉弁とを備え、スクリュ停止時、上記弁を開
   き、スクリュの再回転時は、注入路閉塞の恐れが無くな
   ってから弁を閉じるようにした事を特徴とする発泡樹脂
   押出装置。