JPH07216628A - 合成繊維の製造方法 - Google Patents

合成繊維の製造方法

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JPH07216628A
JPH07216628A JP722394A JP722394A JPH07216628A JP H07216628 A JPH07216628 A JP H07216628A JP 722394 A JP722394 A JP 722394A JP 722394 A JP722394 A JP 722394A JP H07216628 A JPH07216628 A JP H07216628A
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roll
yarn
oil
speed
finishing
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JP722394A
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Fumiaki Ise
史章 伊勢
Susumu Goto
進 後藤
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 【構成】 特定のロール給油方式を用い、下記式を満足
する様に給油ロール表面速度VS を調整することによっ
て実質的に希釈剤を含まない、粘度が10センチポイズ
以上100センチポイズ以下の仕上げ油剤を合成繊維に
付与することを特徴とする合成繊維の製造方法。 1≦RV≦0.1×(D)2 (1)式 RV=VF /VS (2)式 (ただし、RVは給油ロール上の糸条相対速度、VF は
糸条が給油ロール上を走行する速度、VS は給油ロール
表面速度、Dは給油ロールに接する繊維糸条の単糸デニ
ールで、3.2デニール以上60デニール以下であ
る。) 【効果】 実質的に希釈剤を含まない仕上げ油剤を直接
繊維に付与することができ、希釈剤の揮散を無くし、希
釈設備や回収設備をなくすことが可能である。さらに、
適切量を均一に、かつ安定して付与することが可能とな
り、到達延伸比が高く、また、毛羽発生量の少ない安定
した繊維製造が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、溶融紡糸法により製造
される合成繊維の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】溶融紡糸法により製造される合成繊維
は、その製造工程中や後加工に必要な平滑性、集束性、
制電性、その他の特性を付与するために仕上げ油剤が付
与される。この仕上げ油剤としては、水系エマルジョン
油剤や非水系の油剤(以降ストレート油剤と記す)が使
用されている。水系エマルジョン油剤は常温での粘度を
低くできるため、仕上げ油剤中に回転ローラーを浸漬
し、該ローラーに糸条を接触させることでローラー表面
に付着した仕上げ油剤を糸条に給油するというローラー
給油方式が広く用いられている。また、ストレート油剤
は常温では粘度が高いが、鉱物油等によって希釈されロ
ーラー給油法によって付与されている。さらに、こうし
た水系エマルジョン油剤や希釈剤を用いたストレート油
剤は、ノズルガイドに仕上げ剤を定量的に滲み出させて
走行糸条に給油するノズル給油法によって糸条に付与さ
れる方法も用いられている。
【0003】しかし、水や鉱物油等の希釈媒体を用いた
給油法は、引き続く加熱延伸工程ではその希釈媒体のほ
とんどが蒸発、飛散し、また、希釈された油剤の一部は
ミスト飛散しやすくなるため、設備費、原材料費ともに
コストアップとなり省資源にも反している。また、特に
鉱物油等の有機溶剤系希釈剤は、発煙による作業環境の
悪化、溶剤回収の問題がある。さらに、仕上げ油剤の希
釈剤が蒸発する際の潜熱で加熱延伸工程の熱効率が低下
するため、多数のフィラメントからなる糸条に付与され
た油剤の付着むらは糸物性の変動、品位低下に影響す
る。特に、ポリアミド繊維のように水分によって高分子
構造が変化する高分子を紡糸する際には、仕上げ油剤の
付着むらおよびその水分の乾燥速度むらによる糸品位低
下への影響は甚大である。
【0004】こうした問題を避けるために、希釈剤を用
いずに高粘度油剤を直接付与する方法が検討されてい
る。例えば、特開昭48−72410には、給油ロール
を複数本のロッドとし、円筒の鳥かご状に配列したもの
による付与法が開示されている。しかし、給油ロッド上
の油膜量すなわち油膜厚の調節は、浸漬引き上げの成り
ゆきであるため、油滴による不均一付着が回避できな
い。特開昭56−159311には、加水粘性によって
ペースト状またはゲル状にした仕上げ油剤をスリットボ
ックス中に定量供給し、糸条の剪断によって付与される
方法が開示されている。しかし、加水粘度はB型粘度計
で10万センチポイズを超えるような値であり、しかも
水分率で急激に高粘度化するために、この粘度を均一に
管理するためには多大の労力を必要とする。また、糸条
による剪断力を必要とするため、糸条にかかる張力を低
減できず、糸走の揺らぎによる変動の影響を受けやす
く、安定して運転しにくい。特開昭58−115114
には、給油ノズルで給油した後、加熱空気インターレー
サーで付着均一性を高める方法が開示されているが、繊
維に損傷を与えない範囲で繊維間の油剤の再分配を達成
するための空気圧の制御が困難であり、また、インター
レーサー中への油剤スカムの堆積によって長時間にわた
る安定運転ができない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】溶融紡糸法による合成
繊維の紡糸工程において、複数フィラメントからなる糸
条に均一に仕上げ剤を付与するためには、糸条をロール
上に広げて給油するロール給油方式が有利であるが、希
釈剤を含まない仕上げ油剤は高粘度であり、糸条への付
与量が多くなりすぎるばかりでなく糸条走行状態が不安
定になり、毛羽の発生で糸品位が低下し、糸切れによっ
て操業性が低下する。
【0006】本発明の課題は、溶融紡糸法による合成繊
維製造において、特に、複数フィラメントからなる繊維
糸条を紡糸する工程において、実質的に希釈剤を含まな
い高粘度の仕上げ油剤を、ロール給油方式によって走行
糸条に適切量かつ均一に安定して付与できる合成繊維の
製造方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、溶融紡糸
法による合成繊維製造工程において、複数フィラメント
からなる糸条に対して実質的に希釈剤を含まない仕上げ
油剤を均一に付与するためにロール給油法を用いること
を鋭意検討した結果、以下の仕上げ油剤付与方法によっ
て目的を達成することを見いだし、本発明に至った。
【0008】すなわち、本発明は、溶融紡糸法による合
成繊維製造工程において、ロール給油方式によって実質
的に希釈剤を含まない、粘度が10センチポイズ以上1
00センチポイズ以下の仕上げ油剤を付与する合成繊維
の製造方法であって、(a)ロール表面速度が同速度で
逆方向に回転する、直径が10mm以上40mm以下の
給油ロールと仕上げ油剤を汲み上げるロールのロール表
面間距離を制御し、または、(b)ロール表面速度が同
速度で逆方向に回転する、直径が10mm以上40mm
以下の給油ロールと仕上げ油剤を汲み上げるロールのロ
ール間圧力を制御し、または、(c)直径が10mm以
上40mm以下の給油ロール表面上の仕上げ油剤を掻き
落とす板状の弾性体の給油ロールに対する押圧力を制御
し、且つ、下記式を満足する給油ロール表面速度VS で
該仕上げ油剤を合成繊維に付与することを特徴とする合
成繊維の製造方法である。
【0009】 1≦RV≦0.1×(D)2 (1)式 RV=VF /VS (2)式 (ただし、RVは給油ロール上の糸条相対速度、VF は
糸条が給油ロール上を走行する速度、VS は給油ロール
表面速度、Dは給油ロールに接する繊維糸条の単糸デニ
ールで、3.2デニール以上60デニール以下であ
る。)ロール給油法で希釈剤を用いない高粘度仕上げ油
剤を糸条に付与する場合、紡口からほぼ鉛直方向に走行
する糸条がロールに接する際に、単糸の一部が上方に跳
ね飛び、これが糸条の走行を乱し、毛羽の発生、糸切れ
の原因になることが観察できる。したがって、糸条がロ
ールに接する際のさまざまな張力を低減して走行安定性
を確保することが必要である。特に、紡口吐出後固化さ
れた段階での繊維は、延伸糸に比べて剛性が低く、ロー
ル上の張力の影響を受け易くなっている。
【0010】糸条がロールに接する際のさまざまな張力
を低減して走行安定性を確保するためには、まず仕上げ
油剤の粘度を調整する必要がある。一般的に、仕上げ油
剤は、紡糸工程やその後の加工工程で、平滑性、集束
性、制電性、その他の特性を糸条に付加するために付与
され、その総合的な目的を達成するために調合された仕
上げ油剤は、通常、希釈剤を用いないときの粘度は数1
00センチポイズ、希釈剤を用いたときの粘度は10セ
ンチポイズ以下のレベルである。しかし、粘度が高すぎ
たり、希釈剤を用いると、上記のような問題が生じるた
め、本願発明では、実質的に希釈剤を含まない、粘度が
10センチポイズ以上100センチポイズ以下、好まし
くは20センチポイズ以上80センチポイズ以下の仕上
げ油剤を用いることが必要である。該仕上げ油剤として
は、元々の粘度が上記範囲内である仕上げ油剤を選択し
て用いても、また、水系エマルジョン油剤を乳化する前
の原油や非水系油剤で希釈剤を投入する前の原油など、
非常に粘度の高い仕上げ油剤を加熱して、上記粘度範囲
に調節してから用いてもよい。しかし、あまり加熱し過
ぎると、油剤の劣化を促進してしまうばかりでなく、延
伸前の糸条に熱を与えて悪影響を及ぼしてしまうため、
50〜80℃の範囲で加熱することが望ましい。 こう
した仕上げ油剤を、通常の繊維製品に要求される0.5
から2.0%の適正な量で糸条に付与するためには、更
に、給油ロール表面への仕上げ油剤の供給量を調整する
ことが必要である。
【0011】その調整方法としては、まず、図2に示す
ように、給油ロールと仕上げ油剤を汲み上げるロールが
対になり、ギアやベルト等の回転力伝達機構を用いてロ
ール表面速度が同速度で逆方向に回転する構造のオイリ
ング機構で、ロール表面間の距離によって給油ロールへ
の油剤供給量を調整する方法が挙げられる。また、同様
の機構でロール間の距離をゼロとし、ロール間の押圧力
によってさらに油剤給油量の制御が可能である。
【0012】こうした機構を有するロールを用いて、所
望の油付率になるようにロール回転数を設定すれば良
い。ロールの押圧力は、ロールおよびその支持アームの
重量またはロールの回転軸同志をばねなどを用いて結合
したときの張力で制御できる。このとき、ロール間の押
圧力すなわち線圧は、ロール表面を傷つけない範囲で自
由に選ぶことができる。
【0013】さらにまた、図3または図4に示すよう
に、給油ロール表面上の仕上げ油剤を板状の弾性体で掻
き落とす構造のオイリング機構では、該板状弾性体の弾
性率とロールに対する押圧力によってさらなる低給油量
の制御が可能である。このロールも所望の油付率になる
ようにロール回転数を設定すれば良い。弾性体として
は、ロール表面および弾性体自身がオイリング中に摩
耗、損傷しない素材であって、仕上げ油剤や温度によっ
て膨潤、変形しないものを用いる。たとえば、シリコン
ゴムやフッ素ゴムなどが好ましい。また、弾性体の弾性
率及び剛性率、いわゆる腰の強さは、油膜厚みに影響す
るため、所望の油付率に合わせて必要なものを選べば良
い。さらに、該弾性体のロールに接する板形状の端部ま
たは面は、油膜厚みの均一性すなわち糸条に対する付着
均一性に影響するため、その直線性、平坦性の良いもの
を用いることが必要である。
【0014】給油ロールに対する仕上げ剤の供給は、油
膜切れが無いように供給する方法を選べば良く、例え
ば、図3に示すように、汲み上げロールを用いる方法で
も良いし、図4に示すように並列ノズルで供給しても良
い。給油ロール径は、糸条が実質的にロールに接触する
面積に関係している。接触面積が少ない方が糸条への張
力を低減できるため、ロール径は小さい方がよいが、後
述するロール表面速度を確保するためにはロール回転数
を上げる必要があり、直径が10mmより小さくなると
設備的に困難になる。また、ロール径を大きくすると糸
条との接触面積が大きくなり、直径40mmを超える場
合は糸条走行の安定性が確保できない。この為、給油ロ
ール径は10mm以上40mm以下、好ましくは直径2
5mm以上35mm以下である。
【0015】給油ロール表面は、糸条が下方に走行する
のに対して順方向に回転させるが、通常その速度は糸条
速度に対して非常に遅く、糸条制動の因子になる。ロー
ル表面速度を、糸条がロール表面を走行する速度に近付
けるほど糸条走行は安定化する。しかし、上述のよう
に、ロール径を小さくして接触面積を減らす必要もある
ため、ロール表面速度の増加によりロール回転数は非常
に高くなり、設備的な困難をともない易い。ロール表面
速度に関して、糸条が安定走行可能な範囲が次式で示す
範囲である。
【0016】 1≦RV≦0.1×(D)2 (1)式 RV=VF /VS (2)式 (ただし、RVは給油ロール上の糸条相対速度、VF は
糸条がロール上を走行する速度、VS はロール表面速
度、Dはロールに接する際の繊維糸条の単糸デニールで
ある。) 単繊維が細いほど走行糸条は不安定になりやすく、ロー
ル表面速度の許容下限が引き上がってくるが、これは、
単繊維の曲げ剛さがデニールの2乗に比例することによ
るものである。ロールに接する際の単糸デニールが3.
2デニール未満になると、ロール表面速度は糸条走行速
度とほぼ同等にしなければならなくなり、安定速度領域
が極端に狭くなってしまう。逆に、単糸デニールが60
デニールより太くなると糸条走行は安定化するが、仕上
げ剤付与の際の片面付きにより、2段の対向ロール給油
を行っても均一付着が望めなくなるため、ロールに接す
る際の繊維糸条の単糸デニールは、3.2デニール以上
60デニール以下である。
【0017】こうしたオイリング機構では、仕上げ油剤
が持つ粘度や浸透性などの物性によっても給油量が異な
るが、試行して条件設定することができる。給油量を減
らすことによって、オイリング機構を糸条走行方向に多
段に設けて対向で給油することも可能である。また、こ
れらの給油ロールのロール表面粗度は、走行糸条に対す
る張力と油剤の供給量に影響する。本発明においては、
粗度が低いいわゆる鏡面でも給油量と糸条への張力が制
御できる。また、粗度が高いいわゆる梨地では糸条張力
は低減できるが、給油量は多くなる。好ましくは粗度
0.1sから5sの範囲で実施できる。
【0018】以上に示したとおり、本願発明では、油剤
の粘度、ロール給油方式の具体的な方式、給油ロール表
面速度、給油ロール径等を限定することによって、仕上
げ油剤を適切量かつ均一に安定して付与することができ
る。
【0019】
【実施例】次に、実施例および参考例によって本発明を
さらに詳細に説明する。
【0020】
【実施例1〜10および比較例1〜7】図1に示すよう
な紡糸工程に引き続く延伸工程のうち、オイリング機構
を変更した以外は、特開昭59−199812号公報に
開示されているような方法で、90%蟻酸相対粘度80
のポリヘキサメチレンアジパミドを用い、1890デニ
ールの繊維を巻取った。このときの実施条件と結果を、
表1または表2に示した。
【0021】表中で、給油速度比RVは、ロール上を走
行する糸条速度をロール表面速度で割った値である。給
油速度比安定上限は、本文中に記載の計算式(1)で計
算されるRVの上限界である。また、単糸デニールおよ
び総デニールは延伸後調湿して測定した正デニールであ
る。仕上げ油剤の粘度は、汲み上げロールが浸漬してい
る浴の制御温度における粘度をウベローデ型粘度管で測
定した動粘度から求めた粘度である。
【0022】また、評価方法は以下の通りである。 (1)単糸飛び:給油ロール上で走行糸条中の単糸がロ
ールの上方へとたるんで走行する様子を目視で観察した
状況を示しており、3分間に単糸飛びが観察されない場
合を○、10回以下で観察される場合を×、それ以上観
察される場合を××とした。 (2)毛羽量:東レフライカウンターTD−106を毛
羽検知機として用い、糸速500m/分で20分間測定
したときの毛羽数カウントの値である。 (3)動的摩擦係数変動率:糸速度100m/分で直径
7mmのセラミックピン(粗度0.5s)の外周90度
を滑らせ、ピン前張力T1を約20gになるように糸送
りを調節した際のピン後の張力T2を測定して、サンプ
リングタイム100m秒で動的摩擦係数のデータを10
00点得た。さらに、これらの値の標準偏差から変動係
数を求めた。動的摩擦係数μd及びその変動率CVは、
以下の式から求めた。
【0023】 μd=2ln(T2/T1)/π (3)式
【0024】
【数1】
【0025】動的摩擦係数変動率は仕上げ油剤の付着む
らを表している。ただし、毛羽量が著しく大きい場合
は、それによる変動が加算された値である。 (4)切れ糸率:9Kgの巻量で巻取の切り替えを行
い、500Kgのポリマー量を紡糸、巻取り、途中で糸
切れした回数。 (5)最高到達延伸比:巻取速度一定で延伸比を変え、
10分間の巻取が可能な延伸比で最高の値。 (6)仕上げ油剤付与率(OPU):巻取り糸サンプル
を、約2g精秤した後、ジクロルメタン3mlで3回洗
浄し、洗液をシャーレ上にて120℃乾固する。乾固残
渣を精秤して油重量とする。巻取り糸サンプルを別途1
05℃の熱風乾燥器で2時間乾燥して、含水率を求め、
OPU測定サンプル重量から含水率分を差し引いたもの
を乾燥サンプル重量とした。乾燥サンプル重量に対する
油重量の百分率を仕上げ油剤付与率(OPU)として求
めた。
【0026】なお、(1)から(4)の評価は、紡糸状
況評価延伸比の欄に示した延伸比で約10.3g/dの
繊維を紡糸延伸する際のものである。実施例1、2はロ
ールギャップ法で、図2に示すオイリング装置を用い、
隙間ゲージにてロール表面間距離を設定して使用した。
表1に給油ロール2と汲み上げロール3の表面の距離を
0.1mmに設定した場合の条件と結果を示す。単糸6
dでは仕上げ剤付与率、すなわち、OPUを1.6%と
して、給油ロール速度を制御して安定に毛羽少なく紡糸
できる。単糸デニールを3デニールと細くすると、実施
例1、2と同条件では、OPUが多すぎる。OPUを適
正にするためには、比較例1のようにロール表面速度を
下げねばならないが、このとき糸条走行に大きな乱れが
生じて、巻取ることは不可能であった。
【0027】実施例3から6はロールギャップゼロの例
である。オイリング装置は図2に示すものを用い、給油
ロール2と汲み上げロール3の表面の距離をゼロとし、
ロール間に50g重/cmの線圧をかけて使用した。給
油ロール上の油量をさらに少なく制御できるため、給油
ロール速度を上げて安定した紡糸が行え、毛羽量が少な
い。比較例2には、ロールギャップゼロでも給油ロール
直径を76mmと大きくした例を示した。ロール上での
単糸飛びが観察され、毛羽量が多く、最高到達延伸比が
低く延伸性が劣っている。切れ糸率も大きく安定運転に
も難がある。
【0028】実施例7から10はラバーブレード法で、
図3に示すオイリング装置を用い、表1に示す条件で行
った。板状弾性体として厚み4mmのシリコンラバープ
レートを用い、その端部を給油ロールの軸に平行に押し
当て、線圧が7.5g重/cmとなるように固定して使
用した。給油ロール上の油量はさらに少量に制御され、
給油ロール表面速度を上げることができる。OPUを
1.2%として、毛羽少なく、動的摩擦係数の変動率も
小さく均一付着した状態で、切れ糸無く安定に運転でき
た。また、最高到達延伸比も高く延伸性に優れている。
比較例3には、ロールギャップゼロで給油ロール直径を
76mmと大きくした例を示した。比較例2のように、
ロール上での単糸飛びが観察され、毛羽量が多く、最高
到達延伸比が低く延伸性が劣っている。切れ糸率も大き
く安定運転にも難がある。
【0029】比較例4から7では、水系エマルジョン仕
上げ油剤を用い、図1のオイリング機構を変えずに、そ
のまま用いた通常のロール給油法で仕上げ油剤の付与を
行った。毛羽の発生量はやや多く、到達延伸比も低めで
ある。尚、仕上げ油剤は、実施例1から10及び比較例
1から3では、下記の仕上げ油剤Aをオイリング装置の
油浴に循環供給し、60℃に温度制御して糸条に付与し
た。比較例4から7では、下記の仕上げ油剤Bの25%
エマルジョンを常温で用いた。
【0030】 仕上げ油剤A 仕上げ油剤B ナタネ油 44部 32部 ネオペンチルグリコール 44部 30部 ジオレート 硬化ヒマシ油/ステアリ 10部 12部 ン酸/マレイン酸縮合物 酸化防止剤 2部 2部 硬化ヒマシ油EO(25) ── 16部 2エチルヘキシルアルコ ── 8部 ールEOPO
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【発明の効果】本発明により、実質的に希釈剤を含まな
い仕上げ油剤を直接繊維に付与することができ、希釈剤
の揮散を無くし、希釈設備や回収設備をなくすことが可
能である。さらに、適切量を均一に、かつ安定して付与
することが可能となり、到達延伸比が高く、また、毛羽
発生量の少ない安定した繊維製造が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例及び比較例に使用した試験用紡
糸機および延伸機を模式的に示した説明図である。
【図2】給油ロールと汲み上げロールを対にして給油す
るロール給油法の一実施態様を示す図である。
【図3】給油ロール表面上の仕上げ油剤を板状の弾性体
で掻き落とすロール給油法で、給油ロールに対して汲み
上げロールにて仕上げ剤を供給する方法の一実施態様を
示す図である。
【図4】給油ロール表面上の仕上げ油剤を板状の弾性体
で掻き落とすロール給油法で、給油ロールに対して並列
ノズルで仕上げ剤を供給する方法の一実施態様を示す図
である。
【符号の説明】
1:スピンヘッド 2:紡糸口金 3:加熱筒 4:フィラメント 5:冷風チャンバー 6:オイリングロール 7:プレテンションロール 8:第1ゴデットロール 9:第2ゴデットロール 10:第3ゴデットロール 11:第4ゴデットロール 12:巻取機 13:走行糸条 14:給油ロール 15:汲み上げロール 16:仕上げ油剤 17:ロール浸漬浴 18:給油ロールを汲み上げロールに対して押しつける
押圧ばね 19:給油ロールを汲み上げロールに接触できるまで移
動できる可動式支えアーム 20:給油ロールと汲み上げロールの表面距離をゼロか
ら一定の値まで設定するため挿入する隙間ゲージ 21:仕上げ油剤の入り口 22:仕上げ油剤の循環戻り口 23:仕上げ油剤の温度制御用ヒーター 24:板状弾性体 25:板状弾性体を支え、給油ロール表面に押しつける
ための可動式アーム 26:板状弾性体を給油ロールに対して押しつける押圧
ばね 27:板状弾性体の給油ロールに対する押圧の限界を設
定するための支え 28:給油ロール表面に仕上げ油剤を供給する並列ノズ
ル 29:余剰の油剤の受け皿

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融紡糸法による合成繊維製造工程にお
    いて、ロール給油方式によって実質的に希釈剤を含まな
    い、粘度が10センチポイズ以上100センチポイズ以
    下の仕上げ油剤を付与する合成繊維の製造方法であっ
    て、(a)ロール表面速度が同速度で逆方向に回転す
    る、直径が10mm以上40mm以下の給油ロールと仕
    上げ油剤を汲み上げるロールのロール表面間距離を制御
    し、または、(b)ロール表面速度が同速度で逆方向に
    回転する、直径が10mm以上40mm以下の給油ロー
    ルと仕上げ油剤を汲み上げるロールのロール間圧力を制
    御し、または、(c)直径が10mm以上40mm以下
    の給油ロール表面上の仕上げ油剤を掻き落とす板状の弾
    性体の給油ロールに対する押圧力を制御し、且つ、下記
    式を満足する給油ロール表面速度VS で該仕上げ油剤を
    合成繊維に付与することを特徴とする合成繊維の製造方
    法。 1≦RV≦0.1×(D)2 (1)式 RV=VF /VS (2)式 (ただし、RVは給油ロール上の糸条相対速度、VF は
    糸条が給油ロール上を走行する速度、VS は給油ロール
    表面速度、Dは給油ロールに接する繊維糸条の単糸デニ
    ールで、3.2デニール以上60デニール以下であ
    る。)
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114164506A (zh) * 2021-12-28 2022-03-11 新凤鸣集团股份有限公司 一种化纤加工用控油型上油装置
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