JPH07216545A - 連続真空蒸着膜の形成方法 - Google Patents
連続真空蒸着膜の形成方法Info
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- JPH07216545A JPH07216545A JP1287194A JP1287194A JPH07216545A JP H07216545 A JPH07216545 A JP H07216545A JP 1287194 A JP1287194 A JP 1287194A JP 1287194 A JP1287194 A JP 1287194A JP H07216545 A JPH07216545 A JP H07216545A
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- vapor deposition
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 連続走行する板材の板幅方向の蒸着物質の空
間密度分布を、真空容器内にプローブ等を挿入すること
なく、リアルタイム蒸着モニタ装置を導入して連続真空
蒸着膜の形成方法を提供する。 【構成】 連続走行する広幅の板材に連続して真空蒸着
膜の形成方法であって、板材9の板幅方向に長く形成さ
れた少くとも1個の蒸発源10から蒸着しようとする物
質蒸気を板幅方向に直線状に噴射して得られる蒸気ビー
ム11の流れの直角方向からレーザ光を照射し物質蒸気
を蛍光発光させ、蛍光をレーザ光と直角方向又は斜め方
向に配置した電気式撮像装置6により可視化画像として
計測し、この計測結果から蛍光強度を解析する画像処理
装置7を備え、板幅方向の蒸気ビームの空間数密度分布
を計測することにより蛍光強度から板幅方向の蒸気ビー
ムの空間数密度分布を計測するその場蒸着モニタ装置を
用いて空間気相中の蒸着物質の蒸気分布を計測し、この
計測結果から予め決められている基準分布パターンとの
比較を行い、この比較結果から蒸発源の蒸発温度を制御
することにより板幅方向の膜厚分布を制御する。
間密度分布を、真空容器内にプローブ等を挿入すること
なく、リアルタイム蒸着モニタ装置を導入して連続真空
蒸着膜の形成方法を提供する。 【構成】 連続走行する広幅の板材に連続して真空蒸着
膜の形成方法であって、板材9の板幅方向に長く形成さ
れた少くとも1個の蒸発源10から蒸着しようとする物
質蒸気を板幅方向に直線状に噴射して得られる蒸気ビー
ム11の流れの直角方向からレーザ光を照射し物質蒸気
を蛍光発光させ、蛍光をレーザ光と直角方向又は斜め方
向に配置した電気式撮像装置6により可視化画像として
計測し、この計測結果から蛍光強度を解析する画像処理
装置7を備え、板幅方向の蒸気ビームの空間数密度分布
を計測することにより蛍光強度から板幅方向の蒸気ビー
ムの空間数密度分布を計測するその場蒸着モニタ装置を
用いて空間気相中の蒸着物質の蒸気分布を計測し、この
計測結果から予め決められている基準分布パターンとの
比較を行い、この比較結果から蒸発源の蒸発温度を制御
することにより板幅方向の膜厚分布を制御する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は連続走行する広幅の板材
に蒸着膜を形成する大規模ドライプロセス装置を使用し
て行う連続真空蒸着膜の形成方法に関し、特にその蒸着
量の制御を目的として蒸着物質の蒸気ビームの空間的な
密度分布をその場計測するリアルタイム蒸着モニタ装置
のモニタ情報に基づいて蒸着膜の蒸着制御を行う連続真
空蒸着膜の形成方法に関するものである。
に蒸着膜を形成する大規模ドライプロセス装置を使用し
て行う連続真空蒸着膜の形成方法に関し、特にその蒸着
量の制御を目的として蒸着物質の蒸気ビームの空間的な
密度分布をその場計測するリアルタイム蒸着モニタ装置
のモニタ情報に基づいて蒸着膜の蒸着制御を行う連続真
空蒸着膜の形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、例えば真空中で鋼板にコーティン
グする連続乾式めっきラインや8インチを越えるような
大口径半導体ウェハに薄膜を形成する半導体製造装置に
見られるように、大規模なドライプロセスによる成膜装
置が登場し始めている。このような大規模で工業的利用
を目的とする真空蒸着装置による連続真空蒸着膜の形成
方法では、特に得られた製品の品質と歩留まりの向上が
求められ、膜厚や組成の均一化乃至安定なプロセスの実
現のために成膜制御が重要な課題となっている。このた
め、今後の成膜装置の大面積化に対応して、蒸着物質の
粒子状集合体からなる前述の蒸気ビームの空間的な分布
の不均一性が膜厚分布に悪影響を及ぼすと考えられるた
め、空間的な密度分布等を計測する技術の確立が要望さ
れている。
グする連続乾式めっきラインや8インチを越えるような
大口径半導体ウェハに薄膜を形成する半導体製造装置に
見られるように、大規模なドライプロセスによる成膜装
置が登場し始めている。このような大規模で工業的利用
を目的とする真空蒸着装置による連続真空蒸着膜の形成
方法では、特に得られた製品の品質と歩留まりの向上が
求められ、膜厚や組成の均一化乃至安定なプロセスの実
現のために成膜制御が重要な課題となっている。このた
め、今後の成膜装置の大面積化に対応して、蒸着物質の
粒子状集合体からなる前述の蒸気ビームの空間的な分布
の不均一性が膜厚分布に悪影響を及ぼすと考えられるた
め、空間的な密度分布等を計測する技術の確立が要望さ
れている。
【0003】従来、イオンプレーティング、スパッタリ
ングやCVD(化学気相蒸着)のようなドライプロセス
装置において使用され、蒸着面に到達して堆積するまで
の空間に存在する粒子状の蒸着物質の量を計測する蒸着
モニタとしては、例えば水晶振動式、原子吸光式や電子
衝撃式等の蒸着モニタが市販され、工業的に利用されて
いる。図10は水晶式蒸着モニタを示す模式配置図であ
る。水晶式のものは、真空蒸着装置内の蒸発源となって
いるクヌーセンセル31内に充填された蒸着物質30が
熱せられて、オリフィス32から噴射してくる蒸気ビー
ム33中に水晶振動子からなるプローブ34を挿入配置
したものである。このようにして、発振器を構成するプ
ローブ34に直接蒸発物質を付着させ、その発振器の周
波数変化から間接的に空間蒸気ビームの量を計測するよ
うになっている。図11は原子吸光式蒸着モニタを示す
模式説明図である。これは蒸発源35から出射した蒸気
ビーム33を構成する蒸着物質の固有吸収線の波長と一
致した光36を真空容器(図示せず)の外から蒸気ビー
ム33の流れと直角方向に照射し、その透過光37の光
量測定から蒸気物質による光の吸収量を計測して、蒸気
ビーム33すなわち、空間の蒸着物質量を計測するもの
である。図12に示す電子衝撃式蒸着モニタは、そのプ
ローブとしてのセンサヘッド38が熱電子40発生用の
フィラメント39を有し、このフィラメントから放出さ
れた熱電子40を加速して付勢した電子ビーム41をセ
ンサヘッド38内で蒸気ビーム33の方向と直交状態で
衝撃させ、その結果励起されて発光した励起線42すな
わち蒸着物質固有の発光線の光強度から蒸着量を求める
ものである。
ングやCVD(化学気相蒸着)のようなドライプロセス
装置において使用され、蒸着面に到達して堆積するまで
の空間に存在する粒子状の蒸着物質の量を計測する蒸着
モニタとしては、例えば水晶振動式、原子吸光式や電子
衝撃式等の蒸着モニタが市販され、工業的に利用されて
いる。図10は水晶式蒸着モニタを示す模式配置図であ
る。水晶式のものは、真空蒸着装置内の蒸発源となって
いるクヌーセンセル31内に充填された蒸着物質30が
熱せられて、オリフィス32から噴射してくる蒸気ビー
ム33中に水晶振動子からなるプローブ34を挿入配置
したものである。このようにして、発振器を構成するプ
ローブ34に直接蒸発物質を付着させ、その発振器の周
波数変化から間接的に空間蒸気ビームの量を計測するよ
うになっている。図11は原子吸光式蒸着モニタを示す
模式説明図である。これは蒸発源35から出射した蒸気
ビーム33を構成する蒸着物質の固有吸収線の波長と一
致した光36を真空容器(図示せず)の外から蒸気ビー
ム33の流れと直角方向に照射し、その透過光37の光
量測定から蒸気物質による光の吸収量を計測して、蒸気
ビーム33すなわち、空間の蒸着物質量を計測するもの
である。図12に示す電子衝撃式蒸着モニタは、そのプ
ローブとしてのセンサヘッド38が熱電子40発生用の
フィラメント39を有し、このフィラメントから放出さ
れた熱電子40を加速して付勢した電子ビーム41をセ
ンサヘッド38内で蒸気ビーム33の方向と直交状態で
衝撃させ、その結果励起されて発光した励起線42すな
わち蒸着物質固有の発光線の光強度から蒸着量を求める
ものである。
【0004】上記のような従来の蒸着モニタに関連する
技術として、特開昭58−154627号公報、特開平
1−306561号公報及び特開平1−92371号公
報に開示されたものがある。特開昭58−154627
号公報はスパッタリングのモニタ方法に関する発明であ
り、スパッタ装置において、プラズマの発光スペクトル
を分光計測して、スパッタ粒子の速度を求めることによ
り、空間の蒸着物質の状態を計測するものである。特開
平1−306561号公報はスパッタ量測定装置の発明
に関し、スパッタ装置において、レーザ光がプラズマ密
度に対応して位相がずれることを利用し、参照用レーザ
光との干渉による空間の蒸着物質の量を計測している。
また、特開平1−92371号公報はプラズマ流速の測
定方法に係る発明であり、スパッタ装置において、2本
のレーザ光を平行して照射し、荷電粒子がレーザビーム
を横切る時の揺らぎを計測し、ビーム間の揺らぎ計測時
間の遅れから、粒子速度を測定して、空間の蒸着物質の
状態を計測するようになっている。
技術として、特開昭58−154627号公報、特開平
1−306561号公報及び特開平1−92371号公
報に開示されたものがある。特開昭58−154627
号公報はスパッタリングのモニタ方法に関する発明であ
り、スパッタ装置において、プラズマの発光スペクトル
を分光計測して、スパッタ粒子の速度を求めることによ
り、空間の蒸着物質の状態を計測するものである。特開
平1−306561号公報はスパッタ量測定装置の発明
に関し、スパッタ装置において、レーザ光がプラズマ密
度に対応して位相がずれることを利用し、参照用レーザ
光との干渉による空間の蒸着物質の量を計測している。
また、特開平1−92371号公報はプラズマ流速の測
定方法に係る発明であり、スパッタ装置において、2本
のレーザ光を平行して照射し、荷電粒子がレーザビーム
を横切る時の揺らぎを計測し、ビーム間の揺らぎ計測時
間の遅れから、粒子速度を測定して、空間の蒸着物質の
状態を計測するようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】例えば、連続して流れ
る広幅の鋼板に真空蒸着するような大規模装置による真
空蒸着膜の形成方法においては、蒸着物質が空間的に不
均一な分布を生じ易く、そのため、板幅方向に均一な膜
厚になるようコーティングする制御を行うためには、板
幅方向の空間的な蒸着物質の密度分布をリアルタイムで
計測する必要がある。また、鋼板等を連続的にコーティ
ングするためには、長時間の連続使用と高速な制御処理
を行う必要があり、さらに高蒸着レートにも対応可能で
なければならない。しかしながら、前述のような真空蒸
着膜の形成方法において使用される従来の蒸着モニタ装
置では、次に列挙するような問題点がある。まず、水晶
式蒸着モニタにおいては、プローブに直接蒸着しようと
する物質を付着させる必要があり、長時間の連続的な常
時使用が困難であること、さらに、板幅方向の分布を計
測するためには、板幅方向にプローブを複数個並設する
必要がある。その上、プローブを鋼板の直下に挿入する
ことを強いられる等、実験的にはともかく、実用上の問
題が多い。原子吸光式蒸着モニタは、蒸気ビームの流れ
の垂直方向から光を照射し、同一光軸上の反対側で光の
吸収量を測定するために、空間全体の密度のみの計測し
か得られないので、分布計測がモニタ装置1台では不可
能である点が問題である。電子衝撃式蒸着モニタは、水
晶式の場合と同様にプローブを挿入しなければならない
という問題がある。特開昭58−154627号公報、
特開平1−306561号公報及び特開平1−9237
1号公報に開示されている技術はスパッタ等のプラズマ
応用の成膜装置に限定されると共に、特開平1−306
561号公報及び特開平1−92371号公報では、レ
ーザ光軸上の空間の平均的な蒸着物質状態のみの計測し
かできないという問題がある。
る広幅の鋼板に真空蒸着するような大規模装置による真
空蒸着膜の形成方法においては、蒸着物質が空間的に不
均一な分布を生じ易く、そのため、板幅方向に均一な膜
厚になるようコーティングする制御を行うためには、板
幅方向の空間的な蒸着物質の密度分布をリアルタイムで
計測する必要がある。また、鋼板等を連続的にコーティ
ングするためには、長時間の連続使用と高速な制御処理
を行う必要があり、さらに高蒸着レートにも対応可能で
なければならない。しかしながら、前述のような真空蒸
着膜の形成方法において使用される従来の蒸着モニタ装
置では、次に列挙するような問題点がある。まず、水晶
式蒸着モニタにおいては、プローブに直接蒸着しようと
する物質を付着させる必要があり、長時間の連続的な常
時使用が困難であること、さらに、板幅方向の分布を計
測するためには、板幅方向にプローブを複数個並設する
必要がある。その上、プローブを鋼板の直下に挿入する
ことを強いられる等、実験的にはともかく、実用上の問
題が多い。原子吸光式蒸着モニタは、蒸気ビームの流れ
の垂直方向から光を照射し、同一光軸上の反対側で光の
吸収量を測定するために、空間全体の密度のみの計測し
か得られないので、分布計測がモニタ装置1台では不可
能である点が問題である。電子衝撃式蒸着モニタは、水
晶式の場合と同様にプローブを挿入しなければならない
という問題がある。特開昭58−154627号公報、
特開平1−306561号公報及び特開平1−9237
1号公報に開示されている技術はスパッタ等のプラズマ
応用の成膜装置に限定されると共に、特開平1−306
561号公報及び特開平1−92371号公報では、レ
ーザ光軸上の空間の平均的な蒸着物質状態のみの計測し
かできないという問題がある。
【0006】本発明は、広幅の例えば鋼板のような板材
に連続真空蒸着する大形ドライプロセス装置を用いる真
空蒸着膜の形成において、板幅方向の蒸着物質の空間密
度分布を、真空容器内にプローブ等を挿入することな
く、その場計測するリアルタイム蒸着モニタ装置を導入
して行う連続真空蒸着膜の形成方法を提供することを目
的とするものである。
に連続真空蒸着する大形ドライプロセス装置を用いる真
空蒸着膜の形成において、板幅方向の蒸着物質の空間密
度分布を、真空容器内にプローブ等を挿入することな
く、その場計測するリアルタイム蒸着モニタ装置を導入
して行う連続真空蒸着膜の形成方法を提供することを目
的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る連続真空蒸
着膜の形成方法は、連続走行する広幅の板材にドライプ
ロセスによる蒸着膜を形成する装置を使用する連続真空
蒸着膜の形成方法であって、板材の板幅方向に長く形成
された少くとも1個の蒸発源から蒸着しようとする物質
蒸気を板幅方向に直線状に噴射して得られる蒸気ビーム
の流れの直角方向からレーザ光を照射し物質蒸気を蛍光
発光させ、蛍光をレーザ光と直角方向又は斜め方向に配
置した電気式撮像装置により可視化画像として計測する
か、或いは、この計測結果から蛍光強度を解析する画像
処理装置を備え、板幅方向の前記蒸気ビームの空間数密
度分布を計測することにより蛍光強度から板幅方向の蒸
気ビームの空間数密度分布を計測するその場蒸着モニタ
装置を用いて空間気相中の蒸着物質の蒸気分布を計測
し、この計測結果から予め決められている(あるいは入
力されている)基準分布パターンとの比較を行い、この
比較結果から蒸発源の蒸発温度を制御することにより板
幅方向の膜厚分布を制御するものである。この場合、計
測結果から予め決められている(あるいは入力されてい
る)基準分布パターンとの比較を行い、この比較結果か
ら蒸発源の蒸発温度を制御する代りに、板材直下の空間
部に配設されたビームシャッタの位置調節によるビーム
制御を行うことにより板幅方向の膜厚分布を制御するよ
うにしてもよい。
着膜の形成方法は、連続走行する広幅の板材にドライプ
ロセスによる蒸着膜を形成する装置を使用する連続真空
蒸着膜の形成方法であって、板材の板幅方向に長く形成
された少くとも1個の蒸発源から蒸着しようとする物質
蒸気を板幅方向に直線状に噴射して得られる蒸気ビーム
の流れの直角方向からレーザ光を照射し物質蒸気を蛍光
発光させ、蛍光をレーザ光と直角方向又は斜め方向に配
置した電気式撮像装置により可視化画像として計測する
か、或いは、この計測結果から蛍光強度を解析する画像
処理装置を備え、板幅方向の前記蒸気ビームの空間数密
度分布を計測することにより蛍光強度から板幅方向の蒸
気ビームの空間数密度分布を計測するその場蒸着モニタ
装置を用いて空間気相中の蒸着物質の蒸気分布を計測
し、この計測結果から予め決められている(あるいは入
力されている)基準分布パターンとの比較を行い、この
比較結果から蒸発源の蒸発温度を制御することにより板
幅方向の膜厚分布を制御するものである。この場合、計
測結果から予め決められている(あるいは入力されてい
る)基準分布パターンとの比較を行い、この比較結果か
ら蒸発源の蒸発温度を制御する代りに、板材直下の空間
部に配設されたビームシャッタの位置調節によるビーム
制御を行うことにより板幅方向の膜厚分布を制御するよ
うにしてもよい。
【0008】
【作用】本発明においては、連続して走行する広幅の板
材にドライプロセス装置を用いて例えば金属の蒸着膜を
形成するに際して、板幅方向に長い蒸発源から出射して
蒸着までの過程にある物質すなわち金属蒸気ビームに対
して、蒸着物質の特定の固有吸収線に波長を一致させた
狭帯域のレーザ光を、金属蒸気ビームの流れ方向に対し
て垂直方向から照射し、金属蒸気を固有の蛍光波長で発
光させ、この発光強度の測定値から金属蒸気ビームの空
間密度分布を計測するようになっている。
材にドライプロセス装置を用いて例えば金属の蒸着膜を
形成するに際して、板幅方向に長い蒸発源から出射して
蒸着までの過程にある物質すなわち金属蒸気ビームに対
して、蒸着物質の特定の固有吸収線に波長を一致させた
狭帯域のレーザ光を、金属蒸気ビームの流れ方向に対し
て垂直方向から照射し、金属蒸気を固有の蛍光波長で発
光させ、この発光強度の測定値から金属蒸気ビームの空
間密度分布を計測するようになっている。
【0009】このような計測手法は、レーザ光の誘起に
よって励起された金属蒸気の蛍光を測定の対象としてい
るので、レーザ誘起蛍光法(Laser Induced Fluorescen
ce:通称してLIF法)と呼ばれている。このLIF法
において、金属の励起には2準位系と3準位系とに別れ
るが、金属蒸気の蛍光散乱信号SM は一般的に次の式
(1)で表される。 SM =hνnM Vηε(dΩ/4π)α1 α2 β …(1) ここで、hν:光子エネルギ、nM :金属原子数密度、
V:計測体積、η:励起率、ε:全金属原子の内照射波
長を吸収する準位にある割合、dΩ/4π:光源と検出
系がなす立体角、α1 :容器側石英ガラス透過率、
α2 :;レンズ透過率、β:検出系の変換率及びレーザ
発振繰り返し数である。金属原子の数密度nM は、式
(1)の右辺の各項の個々の値がわかれば、測定値のS
M から求められる。以上がLIF法による金属原子(蒸
気)の数密度の測定原理の基本的事項である。
よって励起された金属蒸気の蛍光を測定の対象としてい
るので、レーザ誘起蛍光法(Laser Induced Fluorescen
ce:通称してLIF法)と呼ばれている。このLIF法
において、金属の励起には2準位系と3準位系とに別れ
るが、金属蒸気の蛍光散乱信号SM は一般的に次の式
(1)で表される。 SM =hνnM Vηε(dΩ/4π)α1 α2 β …(1) ここで、hν:光子エネルギ、nM :金属原子数密度、
V:計測体積、η:励起率、ε:全金属原子の内照射波
長を吸収する準位にある割合、dΩ/4π:光源と検出
系がなす立体角、α1 :容器側石英ガラス透過率、
α2 :;レンズ透過率、β:検出系の変換率及びレーザ
発振繰り返し数である。金属原子の数密度nM は、式
(1)の右辺の各項の個々の値がわかれば、測定値のS
M から求められる。以上がLIF法による金属原子(蒸
気)の数密度の測定原理の基本的事項である。
【0010】その場計測への展開を考えた場合、LIF
法による蛍光散乱光の校正もその場計測が必要となる。
そのような方法として、レーザ光のアルゴン原子による
レイリー散乱を用いた数密度の絶対値校正法が適用でき
る。なお、この校正法に用いるアルゴンガスはこれに限
定されず、単原子分子型の不活性ガスであれば何でもよ
いが、経済性等を考慮すればアルゴンが最も望ましい。
この校正法は、後述の画像処理装置等を付設して、金属
蒸気ビームの可視化を可能とした真空容器と光学系及び
検出系をそのまま利用して行う。まず、真空容器内にア
ルゴンガスを300Torr程度封入した後、蒸着しよ
うとする金属原子の励起波長と同じ波長のレーザ光を容
器内に入射することにより、容器内のアルゴン原子によ
るレーザ光のレイリー散乱光を観測する。そして、既知
のアルゴンガスの数密度と散乱光強度との相関から校正
式を用いて、金属原子の蛍光強度が定量化される。この
方法を用いると、検出系の透過率や感度の変化や立体角
のような測定しにくいパラメータ等の影響を除くことが
できるので、工業的利用に適した方法である。ここで、
アルゴンのレイリー散乱光信号SArは次の式(2)で表
される。 SAr=(IL /hν)lnAr(3/8π)σArdΩa1 a2 b …(2) ここで、IL :レーザ光強度、hν:1光子あたりのエ
ネルギ、nAr:アルゴン原子の数密度、σAr:アルゴン
の散乱断面積、l:レーザビームに沿った散乱体積の長
さ、a1 、a2 、bの各係数はそれぞれ式(1)の
α1 :容器側石英ガラス透過率、α2 :;レンズ透過
率、β:検出系の変換率及びレーザ発振繰り返し数に対
応するもので、上記のような特定の励起波長の場合の値
を示すものである。式(1)及び(2)から、求める金
属原子の数密度は、次に示す校正式(3)として整理で
きる。 nM ={1/Vεη}・ {SM ([IL /hν)lnAr(3/2)σAr]/SAr}・ (a1 a2 b/α1 α2 β) …(3) 式(3)の右辺の各値は独立に求めることができるため
に、本方法で蛍光散乱光を計測することにより、金属原
子の数密度nM を求めることができる。なお、計測体積
Vはレーザビームの直径によって決まるものである。
法による蛍光散乱光の校正もその場計測が必要となる。
そのような方法として、レーザ光のアルゴン原子による
レイリー散乱を用いた数密度の絶対値校正法が適用でき
る。なお、この校正法に用いるアルゴンガスはこれに限
定されず、単原子分子型の不活性ガスであれば何でもよ
いが、経済性等を考慮すればアルゴンが最も望ましい。
この校正法は、後述の画像処理装置等を付設して、金属
蒸気ビームの可視化を可能とした真空容器と光学系及び
検出系をそのまま利用して行う。まず、真空容器内にア
ルゴンガスを300Torr程度封入した後、蒸着しよ
うとする金属原子の励起波長と同じ波長のレーザ光を容
器内に入射することにより、容器内のアルゴン原子によ
るレーザ光のレイリー散乱光を観測する。そして、既知
のアルゴンガスの数密度と散乱光強度との相関から校正
式を用いて、金属原子の蛍光強度が定量化される。この
方法を用いると、検出系の透過率や感度の変化や立体角
のような測定しにくいパラメータ等の影響を除くことが
できるので、工業的利用に適した方法である。ここで、
アルゴンのレイリー散乱光信号SArは次の式(2)で表
される。 SAr=(IL /hν)lnAr(3/8π)σArdΩa1 a2 b …(2) ここで、IL :レーザ光強度、hν:1光子あたりのエ
ネルギ、nAr:アルゴン原子の数密度、σAr:アルゴン
の散乱断面積、l:レーザビームに沿った散乱体積の長
さ、a1 、a2 、bの各係数はそれぞれ式(1)の
α1 :容器側石英ガラス透過率、α2 :;レンズ透過
率、β:検出系の変換率及びレーザ発振繰り返し数に対
応するもので、上記のような特定の励起波長の場合の値
を示すものである。式(1)及び(2)から、求める金
属原子の数密度は、次に示す校正式(3)として整理で
きる。 nM ={1/Vεη}・ {SM ([IL /hν)lnAr(3/2)σAr]/SAr}・ (a1 a2 b/α1 α2 β) …(3) 式(3)の右辺の各値は独立に求めることができるため
に、本方法で蛍光散乱光を計測することにより、金属原
子の数密度nM を求めることができる。なお、計測体積
Vはレーザビームの直径によって決まるものである。
【0011】また、金属原子の数密度を計測する場合に
は、金属原子のスペクトル線の拡がり(自然幅及び原子
の飛行速度によるドップラーシフトによる拡がり幅等)
を考慮する必要がある。このスペクトル線のプロファイ
ルは、次の式(4)で表される。 f(v)=exp{(mM v2 )/2kT} …(4) ここで、vは原子速度、mM は金属原子の質量、kはボ
ルツマン定数、Tは温度を示している。例えば、加熱さ
れて蒸気化した熱平衡原子のスペクトル線の半値幅(ド
ップラー半値幅)は、約1pm(ピコメートル)のオー
ダになる。従って、この半値幅よりも広いスペクトル幅
をもつレーザ光により金属原子を励起すれば、レイリー
散乱の条件が満たされるから、散乱光測定体積内の原子
数密度を計測できる。
は、金属原子のスペクトル線の拡がり(自然幅及び原子
の飛行速度によるドップラーシフトによる拡がり幅等)
を考慮する必要がある。このスペクトル線のプロファイ
ルは、次の式(4)で表される。 f(v)=exp{(mM v2 )/2kT} …(4) ここで、vは原子速度、mM は金属原子の質量、kはボ
ルツマン定数、Tは温度を示している。例えば、加熱さ
れて蒸気化した熱平衡原子のスペクトル線の半値幅(ド
ップラー半値幅)は、約1pm(ピコメートル)のオー
ダになる。従って、この半値幅よりも広いスペクトル幅
をもつレーザ光により金属原子を励起すれば、レイリー
散乱の条件が満たされるから、散乱光測定体積内の原子
数密度を計測できる。
【0012】上述のようにして発光させた蛍光をレーザ
光と垂直方向又は斜め方向の所定位置に配置した電気式
撮像装置のCCD(電荷結合素子型の撮像デバイス)カ
メラで計測することにより、金属原子の空間的な蛍光強
度分布が可視化画像として計測可能となる。レーザ励起
光(入射レーザ光)及び反射光(散乱光)が直接カメラ
系に入射しないように、カメラの配置を考慮して迷光に
対する処置を行うことにより、レーザ励起波長と螢光波
長とを分離して処理できる。また、原子からの散乱光は
極めて微弱であるから、その対策としてカメラレンズに
バンドパスフィルタを装着することにより、S/Nの高
い可視化画像が得られる。また、この可視化画像を適当
なディジタル処理を行う(例えば加算処理等)ことによ
り、S/Nが著しく向上された画像が得られる。以上の
説明から明らかなように、CCDカメラである範囲空間
の画像を得ることにより、レーザビームに沿って金属蒸
気ビームの数密度分布が計測される。この場合、レーザ
ビーム方向の強度変化及び金属原子による吸収等による
蛍光強度の揺らぎは、1mJ以上の十分大きなエネルギ
をもつレーザ光を使用すれば、計測上無視できる。そし
て、蒸気ビームの蛍光強度変化と金属原子数密度変化と
が対応することが実験的に確認されているので、この結
果を利用して、その蛍光強度から鋼板の板幅方向の蒸気
ビームの空間数密度分布を計測して空間気相中の蒸気分
布を求め、その計測結果から予め決められたあるいは既
に入力されている基準の分布形状との比較を行い、この
比較結果を用いて、例えばるつぼの加熱パターンを制御
してやれば、板幅方向の膜厚分布を例えば一定になるよ
うに制御することが可能となる。
光と垂直方向又は斜め方向の所定位置に配置した電気式
撮像装置のCCD(電荷結合素子型の撮像デバイス)カ
メラで計測することにより、金属原子の空間的な蛍光強
度分布が可視化画像として計測可能となる。レーザ励起
光(入射レーザ光)及び反射光(散乱光)が直接カメラ
系に入射しないように、カメラの配置を考慮して迷光に
対する処置を行うことにより、レーザ励起波長と螢光波
長とを分離して処理できる。また、原子からの散乱光は
極めて微弱であるから、その対策としてカメラレンズに
バンドパスフィルタを装着することにより、S/Nの高
い可視化画像が得られる。また、この可視化画像を適当
なディジタル処理を行う(例えば加算処理等)ことによ
り、S/Nが著しく向上された画像が得られる。以上の
説明から明らかなように、CCDカメラである範囲空間
の画像を得ることにより、レーザビームに沿って金属蒸
気ビームの数密度分布が計測される。この場合、レーザ
ビーム方向の強度変化及び金属原子による吸収等による
蛍光強度の揺らぎは、1mJ以上の十分大きなエネルギ
をもつレーザ光を使用すれば、計測上無視できる。そし
て、蒸気ビームの蛍光強度変化と金属原子数密度変化と
が対応することが実験的に確認されているので、この結
果を利用して、その蛍光強度から鋼板の板幅方向の蒸気
ビームの空間数密度分布を計測して空間気相中の蒸気分
布を求め、その計測結果から予め決められたあるいは既
に入力されている基準の分布形状との比較を行い、この
比較結果を用いて、例えばるつぼの加熱パターンを制御
してやれば、板幅方向の膜厚分布を例えば一定になるよ
うに制御することが可能となる。
【0013】なお、本発明による連続真空蒸着膜の形成
方法の動作原理は、例えばクヌーセンセル型蒸発源のよ
うに金属原子が空間を高速で走行して噴射状の蒸着ビー
ムを形成するような状況下で、しかもその空間密度が一
様でないような蒸着手段に限定されず、例えば自由蒸発
源やるつぼ型蒸発源からの蒸気のように、対象とする真
空系の空間に蒸着させようとする金属原子が適宜分布し
て存在するような系であっても適用可能である。また、
スパッタ型蒸着装置やプラズマCVD等の場合のよう
に、プラズマ等の雰囲気中においては、本発明手法は中
性原子のみを対象としているから、励起の際に、プラズ
マ発光波長と異なる励起波長を選択することにより、本
法を利用できる。例えばイオンプレーティングの場合、
蒸着対象の金属原子の約90%は中性原子であることか
ら、膜厚の均一性の観点からみても、十分に適用できる
ことがわかる。さらに、該空間に蒸着しようとする2種
類以上の金属原子が混在するような場合であっても、被
蒸着物質毎に発光スペクトルが異なるため、それぞれの
固有波長のレーザ波長を入射させることにより、各励起
波毎に各成分濃度の選択的な計測が独立的に達成され
る。
方法の動作原理は、例えばクヌーセンセル型蒸発源のよ
うに金属原子が空間を高速で走行して噴射状の蒸着ビー
ムを形成するような状況下で、しかもその空間密度が一
様でないような蒸着手段に限定されず、例えば自由蒸発
源やるつぼ型蒸発源からの蒸気のように、対象とする真
空系の空間に蒸着させようとする金属原子が適宜分布し
て存在するような系であっても適用可能である。また、
スパッタ型蒸着装置やプラズマCVD等の場合のよう
に、プラズマ等の雰囲気中においては、本発明手法は中
性原子のみを対象としているから、励起の際に、プラズ
マ発光波長と異なる励起波長を選択することにより、本
法を利用できる。例えばイオンプレーティングの場合、
蒸着対象の金属原子の約90%は中性原子であることか
ら、膜厚の均一性の観点からみても、十分に適用できる
ことがわかる。さらに、該空間に蒸着しようとする2種
類以上の金属原子が混在するような場合であっても、被
蒸着物質毎に発光スペクトルが異なるため、それぞれの
固有波長のレーザ波長を入射させることにより、各励起
波毎に各成分濃度の選択的な計測が独立的に達成され
る。
【0014】
[実施例1]本実施例は、例えば広幅の鋼板の連続真空
蒸着装置による膜形成の場合について説明する。図1は
本発明によるリアルタイム蒸着モニタ装置を使用する連
続真空蒸着膜の形成方法の一実施例を示す模式斜視説明
図である。図において、まず、鋼板用の連続真空蒸着装
置1は、内部が真空用の空間部からなり、図示のように
広幅の鋼板のストリップ9が狭いスリットの入出口近辺
の壁に設けられた真空シール材(図示せず)を介して矢
印のように奥から入って手前の方に出るように連続して
供給され、かつ気密性を保有する格好で構成されている
真空容器である。そして、内部の空間部には板幅に匹敵
する長さのオリフィス及び開口部を有するるつぼ10
と、このるつぼを電子衝撃して加熱する付勢電子用の熱
電子を供給する電子ビーム銃(EBガンともいう)8
と、外部との境界壁に所要数の光学用窓(一部機能的に
図示している)とが配設されている。真空容器は図示し
ないクライオポンプ等により到達真空度として10−6
Torr以下まで排気できるようになっている。排気後
は、図示しないストップパルブを閉じることにより、内
部を外部と気密遮断して静真空の状態に保持することが
できる。また、真空容器には、前述のレイリー散乱によ
るビーム蒸気の数密度の絶対値校正にアルゴンを使用す
るためのアルゴンガスの導入装置(図示せず)が付設さ
れ、所望量のアルゴンが上述の静真空の空間に導入さ
れ、所定の圧力を保持するようになっている。なお、容
器内のアルゴン原子によるレーザ光のレイリー散乱光
は、レーザ光の容器からの出射窓側の真空容器外に設け
られた光検出器(図示せず)によって、前記の式(2)
のアルゴンのレイリー散乱光信号SArとして測定され
る。なお、前述の光学用窓としては、レーザ光の入出窓
及び蛍光(散乱光)観測用窓に光学石英ガラスを使用
し、特にレーザ光用窓にはブリュースタ窓を装着して、
迷光の低減に留意している。
蒸着装置による膜形成の場合について説明する。図1は
本発明によるリアルタイム蒸着モニタ装置を使用する連
続真空蒸着膜の形成方法の一実施例を示す模式斜視説明
図である。図において、まず、鋼板用の連続真空蒸着装
置1は、内部が真空用の空間部からなり、図示のように
広幅の鋼板のストリップ9が狭いスリットの入出口近辺
の壁に設けられた真空シール材(図示せず)を介して矢
印のように奥から入って手前の方に出るように連続して
供給され、かつ気密性を保有する格好で構成されている
真空容器である。そして、内部の空間部には板幅に匹敵
する長さのオリフィス及び開口部を有するるつぼ10
と、このるつぼを電子衝撃して加熱する付勢電子用の熱
電子を供給する電子ビーム銃(EBガンともいう)8
と、外部との境界壁に所要数の光学用窓(一部機能的に
図示している)とが配設されている。真空容器は図示し
ないクライオポンプ等により到達真空度として10−6
Torr以下まで排気できるようになっている。排気後
は、図示しないストップパルブを閉じることにより、内
部を外部と気密遮断して静真空の状態に保持することが
できる。また、真空容器には、前述のレイリー散乱によ
るビーム蒸気の数密度の絶対値校正にアルゴンを使用す
るためのアルゴンガスの導入装置(図示せず)が付設さ
れ、所望量のアルゴンが上述の静真空の空間に導入さ
れ、所定の圧力を保持するようになっている。なお、容
器内のアルゴン原子によるレーザ光のレイリー散乱光
は、レーザ光の容器からの出射窓側の真空容器外に設け
られた光検出器(図示せず)によって、前記の式(2)
のアルゴンのレイリー散乱光信号SArとして測定され
る。なお、前述の光学用窓としては、レーザ光の入出窓
及び蛍光(散乱光)観測用窓に光学石英ガラスを使用
し、特にレーザ光用窓にはブリュースタ窓を装着して、
迷光の低減に留意している。
【0015】入射させるレーザビームのレーザ波長を広
い範囲にわたって任意に可変とするために、レーザ装置
には波長変換用の色素レーザ2を用い、色素レーザ2の
ポンピング(励起)にはエキシマレーザのレーザ発振器
4から出射するレーザ光を使用した。すなわち、本装置
に適用するレーザ装置は、レーザ発振器4と、偏向用の
反射ミラー3と、色素レーザ2と、レーザ光走査用のス
キャンニング装置5とからなり、蒸着しようとする対象
金属に対応した波長のレーザ光を色素レーザ2から出射
して、真空容器の内部に入射するようになっている。
い範囲にわたって任意に可変とするために、レーザ装置
には波長変換用の色素レーザ2を用い、色素レーザ2の
ポンピング(励起)にはエキシマレーザのレーザ発振器
4から出射するレーザ光を使用した。すなわち、本装置
に適用するレーザ装置は、レーザ発振器4と、偏向用の
反射ミラー3と、色素レーザ2と、レーザ光走査用のス
キャンニング装置5とからなり、蒸着しようとする対象
金属に対応した波長のレーザ光を色素レーザ2から出射
して、真空容器の内部に入射するようになっている。
【0016】次に、上記のような構成を有する実施例装
置の動作を説明する。装置が所定の高真空度に排気され
た後、まず連続真空蒸着装置1の内部に配置されている
板幅方向に長く形成されたるつぼ10が電子ビーム銃8
から出射して加速・付勢された電子ビーム18によって
衝撃されて所定の温度に加熱されると、その中に蓄えら
れた蒸着金属(図示せず)が蒸発する。そして、この蒸
発金属が蒸気ビーム11となってるつぼ10の開口部か
ら噴射し、連続走行中のストリップ9の表面に到達して
固化(蒸着)し、次第に堆積されながらストリップ9に
蒸着金属膜が流れ作業的に形成(コーティング、乾式め
っき)されるようになっている。
置の動作を説明する。装置が所定の高真空度に排気され
た後、まず連続真空蒸着装置1の内部に配置されている
板幅方向に長く形成されたるつぼ10が電子ビーム銃8
から出射して加速・付勢された電子ビーム18によって
衝撃されて所定の温度に加熱されると、その中に蓄えら
れた蒸着金属(図示せず)が蒸発する。そして、この蒸
発金属が蒸気ビーム11となってるつぼ10の開口部か
ら噴射し、連続走行中のストリップ9の表面に到達して
固化(蒸着)し、次第に堆積されながらストリップ9に
蒸着金属膜が流れ作業的に形成(コーティング、乾式め
っき)されるようになっている。
【0017】この段階で、蒸着膜の膜厚や品質を制御す
るために、レーザ光照射による蒸着モニタを使用する。
すなわち、初めに、真空容器の排気後、ストップバルブ
を閉じてこれを前述の静真空にした後、アルゴンガスを
導入して数100Torr程度の圧力(真空度)になる
ように封入する。そして、上述の操作により蒸着金属の
蒸気ビーム11が噴射し始めると、前述のレーザ装置を
作動させて蒸気ビーム11に対して直角方向から蒸着金
属に対応した波長のレーザ光を入射して金属蒸気原子を
光励起する。入射レーザ光は、色素レーザ励起用レーザ
のレーザ発振器4から出射したレーザ光(例えばエキシ
マレーザ光)を反射ミラー3を介して色素レーザ2に照
射しポンピングして得られた色素レーザ光であり、スキ
ャンニング装置5を介して真空容器に入射される。スキ
ャンニング装置5は、入射させるレーザビームを矢印の
ようにx,y方向に適時走査させ得るようになってい
る。この場合、色素レーザの波長は、蒸着金属が例えば
鉄Feの場合であれば、鉄原子の励起波長302.064 nm
と同じ波長に調節したものを使用する。
るために、レーザ光照射による蒸着モニタを使用する。
すなわち、初めに、真空容器の排気後、ストップバルブ
を閉じてこれを前述の静真空にした後、アルゴンガスを
導入して数100Torr程度の圧力(真空度)になる
ように封入する。そして、上述の操作により蒸着金属の
蒸気ビーム11が噴射し始めると、前述のレーザ装置を
作動させて蒸気ビーム11に対して直角方向から蒸着金
属に対応した波長のレーザ光を入射して金属蒸気原子を
光励起する。入射レーザ光は、色素レーザ励起用レーザ
のレーザ発振器4から出射したレーザ光(例えばエキシ
マレーザ光)を反射ミラー3を介して色素レーザ2に照
射しポンピングして得られた色素レーザ光であり、スキ
ャンニング装置5を介して真空容器に入射される。スキ
ャンニング装置5は、入射させるレーザビームを矢印の
ようにx,y方向に適時走査させ得るようになってい
る。この場合、色素レーザの波長は、蒸着金属が例えば
鉄Feの場合であれば、鉄原子の励起波長302.064 nm
と同じ波長に調節したものを使用する。
【0018】この入射レーザ光により、蒸気ビーム11
の金属原子が励起されて蒸着金属特有の蛍光を発光する
と共に、入射レーザ光は系外へ出射する。この出射光は
前述の校正用散乱光のSArとして校正処理に供される。
ここで、上記の蛍光はその領域範囲が、真空容器外にセ
ットされた1個又は複数個のCCDカメラ6により蒸着
物質の流れ方向全域にわたってレーザ光を照射して撮影
され、その定量化を前記の式(1)を用いて金属原子数
密度nM を測定値の蛍光散乱信号SM から求める。この
ようにして求めた空間的な蛍光強度のデータは、画像解
析装置7により空間的な蛍光分布に変換され、これを処
理して蒸気ビーム11の空間分布として画面上に可視化
表示され、金属原子の数密度が計測される。このように
蒸着物質の流れ方向の全域を可視化することにより、蒸
着金属の流れ方向が確認できるため、時々刻々と変化す
る蒸着物質の蒸発状況に対して、シャッタ(後述)の開
閉制御及び加熱パターンの最適化を図るためのデータを
入手できる。
の金属原子が励起されて蒸着金属特有の蛍光を発光する
と共に、入射レーザ光は系外へ出射する。この出射光は
前述の校正用散乱光のSArとして校正処理に供される。
ここで、上記の蛍光はその領域範囲が、真空容器外にセ
ットされた1個又は複数個のCCDカメラ6により蒸着
物質の流れ方向全域にわたってレーザ光を照射して撮影
され、その定量化を前記の式(1)を用いて金属原子数
密度nM を測定値の蛍光散乱信号SM から求める。この
ようにして求めた空間的な蛍光強度のデータは、画像解
析装置7により空間的な蛍光分布に変換され、これを処
理して蒸気ビーム11の空間分布として画面上に可視化
表示され、金属原子の数密度が計測される。このように
蒸着物質の流れ方向の全域を可視化することにより、蒸
着金属の流れ方向が確認できるため、時々刻々と変化す
る蒸着物質の蒸発状況に対して、シャッタ(後述)の開
閉制御及び加熱パターンの最適化を図るためのデータを
入手できる。
【0019】一方、この計測と並行して、前述の方法に
よりレーザ光のアルゴン原子によるレイリー散乱光信号
SArの測定が前記の式(2)を用いて実施され、式中の
アルゴン原子の数密度nAr(アルゴンの圧力からの算出
値)を使用してSArの絶対値が算出される。そして、こ
れらの数値から、対象とする金属原子の数密度nM が式
(3)で示す校正式により求められ、前述と同様にし
て、この校正値を用いた空間的な金属原子の定量的なよ
り正確な空間分布が画面にも可視化表示できる。図2
は、本実施例における制御系を含めた装置構成を示す模
式ブロック図である。これまでの説明の他に図示は省略
したが、るつぼ(蒸発源)10には例えば抵抗加熱式の
金属加熱方式による板幅方向に長くなるように数分割し
て配設した複数個の小蒸発源集合体で構成されているも
のを使用した。この加熱方式は電子衝撃式のものであっ
てもよいが、加熱手段の制御には特に有利であるのでこ
こでは抵抗加熱式を採用している。なお、るつぼ10
は、図1で示したような細長るつぼに複数個の埋込式又
は貼付式の抵抗加熱ヒータを長さ方向に均等配設してお
き、この各ヒータをそれぞれの制御電源によって電流制
御することによりるつぼの部分的な温度制御ができるよ
うなものであってもよい。計測した蛍光画像のデータを
画像解析装置7により上述のように処理し、蒸気ビーム
11の空間分布を求出する。このようにして得られた蒸
着物質の空間分布に対応して、中央制御装置19により
例えば予め決められている仕様によつて基準となる最適
な空間密度分布と計測結果とを比較して、その結果に基
づいてるつぼ10の加熱制御量を割り出し、加熱系制御
機器例えば図示しない加熱用抵抗体に供給する電流電源
17a(電子ビーム銃用コントローラ17の代替電源)
にデータを送ることにより、るつぼの加熱パターンと蒸
着量を制御するようになっている。
よりレーザ光のアルゴン原子によるレイリー散乱光信号
SArの測定が前記の式(2)を用いて実施され、式中の
アルゴン原子の数密度nAr(アルゴンの圧力からの算出
値)を使用してSArの絶対値が算出される。そして、こ
れらの数値から、対象とする金属原子の数密度nM が式
(3)で示す校正式により求められ、前述と同様にし
て、この校正値を用いた空間的な金属原子の定量的なよ
り正確な空間分布が画面にも可視化表示できる。図2
は、本実施例における制御系を含めた装置構成を示す模
式ブロック図である。これまでの説明の他に図示は省略
したが、るつぼ(蒸発源)10には例えば抵抗加熱式の
金属加熱方式による板幅方向に長くなるように数分割し
て配設した複数個の小蒸発源集合体で構成されているも
のを使用した。この加熱方式は電子衝撃式のものであっ
てもよいが、加熱手段の制御には特に有利であるのでこ
こでは抵抗加熱式を採用している。なお、るつぼ10
は、図1で示したような細長るつぼに複数個の埋込式又
は貼付式の抵抗加熱ヒータを長さ方向に均等配設してお
き、この各ヒータをそれぞれの制御電源によって電流制
御することによりるつぼの部分的な温度制御ができるよ
うなものであってもよい。計測した蛍光画像のデータを
画像解析装置7により上述のように処理し、蒸気ビーム
11の空間分布を求出する。このようにして得られた蒸
着物質の空間分布に対応して、中央制御装置19により
例えば予め決められている仕様によつて基準となる最適
な空間密度分布と計測結果とを比較して、その結果に基
づいてるつぼ10の加熱制御量を割り出し、加熱系制御
機器例えば図示しない加熱用抵抗体に供給する電流電源
17a(電子ビーム銃用コントローラ17の代替電源)
にデータを送ることにより、るつぼの加熱パターンと蒸
着量を制御するようになっている。
【0020】図3は、図1、図2の実施例でのべた制御
手段の流れを計測データと制御パターンとの模式的なパ
ターン図により説明する対比線図である。図3の上側図
で示す例1は板幅の中央部の蒸着膜が端部より厚くなっ
ている場合、図3の下側図で示す例2は板幅の方向に蒸
着膜厚がやや傾斜している場合に対して、いずれも全体
に膜厚が一様になるように制御する方法を示すものであ
る。まず、図3のaは板幅方向(横軸)の膜厚分布を厚
さ(縦軸)との関係で示したものである。これは図3の
bに示す気相部の数密度(縦軸)で示した計測データと
相関するものである。このデータを受けて画像解析装置
7はデータ処理の結果、図3のcに示すような制御パタ
ーンを基準パターンの中から選出し、横軸のるつぼ幅に
対応してその加熱時間(加熱温度)を制御してやれば、
図3のdに示すような加熱パターンで加熱が実施され
る。この結果、図3のeに示す板幅方向に均一な数密度
が計測されるようになる。そして、eに相関する形で板
幅方向に対する蒸着膜の一様な厚さを示す図3のfのよ
うな測定結果が得られる。図3の下側図(例2)につい
ても例1の場合と同様であるので、詳細説明は省略す
る。
手段の流れを計測データと制御パターンとの模式的なパ
ターン図により説明する対比線図である。図3の上側図
で示す例1は板幅の中央部の蒸着膜が端部より厚くなっ
ている場合、図3の下側図で示す例2は板幅の方向に蒸
着膜厚がやや傾斜している場合に対して、いずれも全体
に膜厚が一様になるように制御する方法を示すものであ
る。まず、図3のaは板幅方向(横軸)の膜厚分布を厚
さ(縦軸)との関係で示したものである。これは図3の
bに示す気相部の数密度(縦軸)で示した計測データと
相関するものである。このデータを受けて画像解析装置
7はデータ処理の結果、図3のcに示すような制御パタ
ーンを基準パターンの中から選出し、横軸のるつぼ幅に
対応してその加熱時間(加熱温度)を制御してやれば、
図3のdに示すような加熱パターンで加熱が実施され
る。この結果、図3のeに示す板幅方向に均一な数密度
が計測されるようになる。そして、eに相関する形で板
幅方向に対する蒸着膜の一様な厚さを示す図3のfのよ
うな測定結果が得られる。図3の下側図(例2)につい
ても例1の場合と同様であるので、詳細説明は省略す
る。
【0021】なお、上記の連続真空蒸着装置1による蒸
着膜の形成において対象とする蒸着物質Mとしては、上
述の鉄Feの他では以下に示す金属群であるが、本発明
は特にこれらに限定されないことはいうまでもない。金
属名とその励起波長を各金属元素名の後に付した括弧内
に記す。励起波長の単位はnm(ナノメートル)であ
る。アルミニウムAl(396.150 )、モリブデンMo
(379.820 )、ニッケルNi(341.480 )、亜鉛Zn
(360.120 )、シリコンSi(288.160 )、クロムCr
(425.430 )、チタンTi(498.170 )等。
着膜の形成において対象とする蒸着物質Mとしては、上
述の鉄Feの他では以下に示す金属群であるが、本発明
は特にこれらに限定されないことはいうまでもない。金
属名とその励起波長を各金属元素名の後に付した括弧内
に記す。励起波長の単位はnm(ナノメートル)であ
る。アルミニウムAl(396.150 )、モリブデンMo
(379.820 )、ニッケルNi(341.480 )、亜鉛Zn
(360.120 )、シリコンSi(288.160 )、クロムCr
(425.430 )、チタンTi(498.170 )等。
【0022】ここで、本装置による実験結果の一例を示
す。この実験は蒸着対象金属を鉄Feとし、るつぼ10
としてクヌーセンセルを用いて、1240〜1300℃
の温度範囲で加熱蒸気化して、レーザビーム照射により
発光したFeの蛍光強度とるつぼ温度変化(金属蒸気密
度変化に対応)との関係を求めたものである。図9は、
測定された蛍光強度(ピーク値)とるつぼ加熱温度との
関係を示す線図である。 この図による蛍光強度の測定
結果から、蒸気ビーム11中の金属蒸気は、るつぼ10
の温度の1〜2%の温度変化に対応する蒸気密度変化を
計測できることがわかる。そして、この結果から、蛍光
強度は蒸気ビーム11の金属原子数密度と精密に対応す
ることが確認されることを示すものである。
す。この実験は蒸着対象金属を鉄Feとし、るつぼ10
としてクヌーセンセルを用いて、1240〜1300℃
の温度範囲で加熱蒸気化して、レーザビーム照射により
発光したFeの蛍光強度とるつぼ温度変化(金属蒸気密
度変化に対応)との関係を求めたものである。図9は、
測定された蛍光強度(ピーク値)とるつぼ加熱温度との
関係を示す線図である。 この図による蛍光強度の測定
結果から、蒸気ビーム11中の金属蒸気は、るつぼ10
の温度の1〜2%の温度変化に対応する蒸気密度変化を
計測できることがわかる。そして、この結果から、蛍光
強度は蒸気ビーム11の金属原子数密度と精密に対応す
ることが確認されることを示すものである。
【0023】[実施例2]図4は本発明による蒸気ビー
ムの空間分布の可視化表示の一実施例を示す立体的模式
説明図である。図において、鋼板用の連続真空蒸着装置
1は、この中に導入される鋼板のストリップ9と、蒸発
源のるつぼ10及び電子ビーム銃8と、ポンピング用の
レーザ発振器4と波長変換器12、レーザ光分配器1
3、レーザ光分配器13の指令を受けて所定波長のレー
ザ光を図示を省略したるつぼ10からの蒸気ビームに向
けて照射するスキャンニング素子14が図示されてい
る。そして、図1等で示した光センサのCCDカメラ
6、画像処理装置7、電子ビーム18、蒸気ビーム11
等の図示を省略している。
ムの空間分布の可視化表示の一実施例を示す立体的模式
説明図である。図において、鋼板用の連続真空蒸着装置
1は、この中に導入される鋼板のストリップ9と、蒸発
源のるつぼ10及び電子ビーム銃8と、ポンピング用の
レーザ発振器4と波長変換器12、レーザ光分配器1
3、レーザ光分配器13の指令を受けて所定波長のレー
ザ光を図示を省略したるつぼ10からの蒸気ビームに向
けて照射するスキャンニング素子14が図示されてい
る。そして、図1等で示した光センサのCCDカメラ
6、画像処理装置7、電子ビーム18、蒸気ビーム11
等の図示を省略している。
【0024】本実施例装置の動作を説明する。まず、つ
ぼ10から蒸気ビームを噴出させると同時にレーザ装置
を働かせてスキャンニング素子14からレーザ光を照射
する。ここで、スキャンニング素子14は図示のように
ストリップ9の走行方向に整列して複数個配設されてい
るから、スキャンニング素子14を1つづつ片側から順
に作動させてレーザビームを出射してやれば、蒸気ビー
ムのストリップ走行方向の数密度分布を蒸気ビームの金
属原子が励起して発光する光の蛍光強度を介して知るこ
とができる。すなわち、ストリップ9の板幅方向の蛍光
強度を複数の図示しないCCDカメラ6で撮像し、画像
解析装置7による処理により、図の15に示したような
蛍光可視化分布図が表示装置に表示されるようになる。
図示のように、分布図の蛍光強度の例えば等強度線を描
くことにより、等強度線表示による金属原子の数密度分
布が計測される。このようにして、走査された各スキャ
ンニング素子14の蛍光可視化分布図の総合解析的デー
タ処理から、ストリップ走行方向の金属原子の数密度分
布が求められる。強度等の補正は、実施例1で説明した
レーザ光のアルゴン原子によるレイリー散乱を用いた数
密度の絶対値校正法を適用して計測精度を高めることは
容易である。なお、図示の蛍光可視化分布図15は実際
には図示の位置で得られるものではなく、画像解析装置
7による処理により得られるものを便宜上この位置での
画面として2次元的に図示したものである。得られたこ
れらの情報は、最適制御の制御因子として制御手段に適
用される。
ぼ10から蒸気ビームを噴出させると同時にレーザ装置
を働かせてスキャンニング素子14からレーザ光を照射
する。ここで、スキャンニング素子14は図示のように
ストリップ9の走行方向に整列して複数個配設されてい
るから、スキャンニング素子14を1つづつ片側から順
に作動させてレーザビームを出射してやれば、蒸気ビー
ムのストリップ走行方向の数密度分布を蒸気ビームの金
属原子が励起して発光する光の蛍光強度を介して知るこ
とができる。すなわち、ストリップ9の板幅方向の蛍光
強度を複数の図示しないCCDカメラ6で撮像し、画像
解析装置7による処理により、図の15に示したような
蛍光可視化分布図が表示装置に表示されるようになる。
図示のように、分布図の蛍光強度の例えば等強度線を描
くことにより、等強度線表示による金属原子の数密度分
布が計測される。このようにして、走査された各スキャ
ンニング素子14の蛍光可視化分布図の総合解析的デー
タ処理から、ストリップ走行方向の金属原子の数密度分
布が求められる。強度等の補正は、実施例1で説明した
レーザ光のアルゴン原子によるレイリー散乱を用いた数
密度の絶対値校正法を適用して計測精度を高めることは
容易である。なお、図示の蛍光可視化分布図15は実際
には図示の位置で得られるものではなく、画像解析装置
7による処理により得られるものを便宜上この位置での
画面として2次元的に図示したものである。得られたこ
れらの情報は、最適制御の制御因子として制御手段に適
用される。
【0025】[実施例3]図5は本発明による連続真空
蒸着膜の形成方法の他の実施例を示す模式斜視説明図で
ある。本実施例においては、リアルタイム蒸着モニタ装
置を用いて広幅の鋼板の連続真空蒸着装置に多元の蒸発
源を適用した場合について説明する。この場合、実施例
1で示した幾つかの対象蒸着物質の中から選択された例
えば2種の金属からなる2層型乃至2元合金型の蒸着膜
を形成するのに使用される。図5においては真空容器の
図示は省略しているが、真空容器内には図1の実施例構
成に加えて、るつぼ10の脇の所定位置にもう1つのる
つぼ10a及びこのるつぼ加熱用の電子銃8a(図示省
略)を配設している。レーザ装置は色素レーザ2、この
色素レーザをポンピングするためのレーザ発振器4、反
射ミラー3、スキャンニング装置5a〜5dからなるも
のとし、るつぼ10a側には光センサ6aを追加配設し
ている。ここで、スキャンニング装置5a〜5dは、図
示の4個に限られず、必要に応じて増設することができ
る。なお、色素レーザ2の出力するレーザ光は、中央制
御装置19の指令により、スキャンニング装置5a〜5
dを介して順次蒸気ビーム33,33aの測定領域内に
入射させられるようになっている。そして、その他の構
成は図1で示した構成とほぼ同一構成である。るつぼ1
0aには、所望の元素構成からなる2層型乃至2元合金
型の蒸着膜を形成するために、るつぼ10に充填した金
属とは異なる金属が充填される。例えば、目的に応じ
て、蒸着物質としてるつぼ10に亜鉛Znを、るつぼ1
0aにはニッケルNiを充填するといった具合である。
そして、レーザ光の入射に当たっては、色素レーザ2か
ら出射させるレーザ光は、それぞれるつぼ10、るつぼ
10aに充填したそれぞれZn、Niの各励起波長に合
わせた波長のものが使用される。
蒸着膜の形成方法の他の実施例を示す模式斜視説明図で
ある。本実施例においては、リアルタイム蒸着モニタ装
置を用いて広幅の鋼板の連続真空蒸着装置に多元の蒸発
源を適用した場合について説明する。この場合、実施例
1で示した幾つかの対象蒸着物質の中から選択された例
えば2種の金属からなる2層型乃至2元合金型の蒸着膜
を形成するのに使用される。図5においては真空容器の
図示は省略しているが、真空容器内には図1の実施例構
成に加えて、るつぼ10の脇の所定位置にもう1つのる
つぼ10a及びこのるつぼ加熱用の電子銃8a(図示省
略)を配設している。レーザ装置は色素レーザ2、この
色素レーザをポンピングするためのレーザ発振器4、反
射ミラー3、スキャンニング装置5a〜5dからなるも
のとし、るつぼ10a側には光センサ6aを追加配設し
ている。ここで、スキャンニング装置5a〜5dは、図
示の4個に限られず、必要に応じて増設することができ
る。なお、色素レーザ2の出力するレーザ光は、中央制
御装置19の指令により、スキャンニング装置5a〜5
dを介して順次蒸気ビーム33,33aの測定領域内に
入射させられるようになっている。そして、その他の構
成は図1で示した構成とほぼ同一構成である。るつぼ1
0aには、所望の元素構成からなる2層型乃至2元合金
型の蒸着膜を形成するために、るつぼ10に充填した金
属とは異なる金属が充填される。例えば、目的に応じ
て、蒸着物質としてるつぼ10に亜鉛Znを、るつぼ1
0aにはニッケルNiを充填するといった具合である。
そして、レーザ光の入射に当たっては、色素レーザ2か
ら出射させるレーザ光は、それぞれるつぼ10、るつぼ
10aに充填したそれぞれZn、Niの各励起波長に合
わせた波長のものが使用される。
【0026】図5に示す鋼板用の連続真空蒸着装置1a
の構成は、上記のように蒸発源(るつぼ)を2個、スキ
ャンニング装置及び光検出系をいずれも複数個備えてい
る以外は実施例1の連続真空蒸着装置1の基本構成と同
様であり、その基本的な動作も同じである。すなわち、
連続真空蒸着装置1aの真空容器内に広幅のストリップ
9が連続的に供給されるが、このストリップ9の直下に
配置され、板幅方向に長い開口部を有するるつぼ10,
10aが設けられ二元の金属蒸発源を構成している。こ
れらのるつぼ10,10aは例えば電子ビーム銃8,8
a等からの付勢電子の各電子ビーム18,18aの衝撃
によりそれぞれ所定の温度に加熱されて、各蒸着物質を
蒸発させ、蒸気ビーム33,33aをストリップ9の方
向に噴出し、ストリップ9の表面に2元の金属蒸着膜を
堆積する。
の構成は、上記のように蒸発源(るつぼ)を2個、スキ
ャンニング装置及び光検出系をいずれも複数個備えてい
る以外は実施例1の連続真空蒸着装置1の基本構成と同
様であり、その基本的な動作も同じである。すなわち、
連続真空蒸着装置1aの真空容器内に広幅のストリップ
9が連続的に供給されるが、このストリップ9の直下に
配置され、板幅方向に長い開口部を有するるつぼ10,
10aが設けられ二元の金属蒸発源を構成している。こ
れらのるつぼ10,10aは例えば電子ビーム銃8,8
a等からの付勢電子の各電子ビーム18,18aの衝撃
によりそれぞれ所定の温度に加熱されて、各蒸着物質を
蒸発させ、蒸気ビーム33,33aをストリップ9の方
向に噴出し、ストリップ9の表面に2元の金属蒸着膜を
堆積する。
【0027】この2つの蒸気ビーム33,33aはいず
れもある出射角をもって出射し、ストリップ9に近づく
につれて広がってゆくが、ストリップ9面上で蒸気ビー
ム33,33aが互いに重ならないようにすれば、2元
2層型の層状蒸着膜が得られる。また、例えばるつぼ1
0,10aを近付けるなどして、ストリップ9面上で蒸
気ビーム33,33aが互いに重なるようにすれば、2
元合金型の合金蒸着膜が得られる。しかし、本実施例で
は、るつぼ10,10aとストリップ9の間の空間に、
ビーム33,33aの拡がり、角度等を制御するための
ビーム角度範囲制御板23及びシャッタ24乃至/及び
十字形衝立25を付設した場合について説明する。この
有様を図6及び図7の部分模式説明図に示す。
れもある出射角をもって出射し、ストリップ9に近づく
につれて広がってゆくが、ストリップ9面上で蒸気ビー
ム33,33aが互いに重ならないようにすれば、2元
2層型の層状蒸着膜が得られる。また、例えばるつぼ1
0,10aを近付けるなどして、ストリップ9面上で蒸
気ビーム33,33aが互いに重なるようにすれば、2
元合金型の合金蒸着膜が得られる。しかし、本実施例で
は、るつぼ10,10aとストリップ9の間の空間に、
ビーム33,33aの拡がり、角度等を制御するための
ビーム角度範囲制御板23及びシャッタ24乃至/及び
十字形衝立25を付設した場合について説明する。この
有様を図6及び図7の部分模式説明図に示す。
【0028】図6は本発明による多層膜作成の状態を示
す要部模式説明図であり、るつぼ10,10a側に広い
開口を有するビーム角度制御板(以下制御板という)2
3、ストリップ9側に制御板23より少し狭い開口を有
するシャッタ24が接近して設けられ、るつぼ10とる
つぼ10aの間に十字形衝立25が設けられている。シ
ャッタ24は矢印のようにストリップ9と平行方向に、
十字形衝立(生産現場ではじゃま板ともいう)25は直
角方向にそれぞれ移動調整できるようになっている。
図示のように、シャッタ24、十字形衝立25を適宜位
置調整することにより、ストリップ9面における蒸気ビ
ーム33,33aは重なることなく分離して別々に蒸着
するようになる。従って、ストリップ9を走行させる
と、蒸気ビーム33による蒸着膜(Zn膜)の上に蒸気
ビーム33aによる蒸着膜(Ni膜)が堆積され、連続
して順次2層膜(Zn/Ni膜)が形成される。なお、
◎印はスキャンニング装置5a〜5dによって切替え走
査状態で照射されるレーザビームの照射位置である。
す要部模式説明図であり、るつぼ10,10a側に広い
開口を有するビーム角度制御板(以下制御板という)2
3、ストリップ9側に制御板23より少し狭い開口を有
するシャッタ24が接近して設けられ、るつぼ10とる
つぼ10aの間に十字形衝立25が設けられている。シ
ャッタ24は矢印のようにストリップ9と平行方向に、
十字形衝立(生産現場ではじゃま板ともいう)25は直
角方向にそれぞれ移動調整できるようになっている。
図示のように、シャッタ24、十字形衝立25を適宜位
置調整することにより、ストリップ9面における蒸気ビ
ーム33,33aは重なることなく分離して別々に蒸着
するようになる。従って、ストリップ9を走行させる
と、蒸気ビーム33による蒸着膜(Zn膜)の上に蒸気
ビーム33aによる蒸着膜(Ni膜)が堆積され、連続
して順次2層膜(Zn/Ni膜)が形成される。なお、
◎印はスキャンニング装置5a〜5dによって切替え走
査状態で照射されるレーザビームの照射位置である。
【0029】図7は本発明による合金膜作成の状態を示
す要部模式説明図であり、図6の実施例と異なる点は、
十字形衝立25を除外したことと、図示のようにるつぼ
10とるつぼ10aとを近付けて配置したことである。
すなわち、図6における2つのるつぼの間隔D1よりも
図7に示す両るつぼの間隔D2が小さくなるように配置
する。本実施例の場合、るつぼを互いに近付けたことに
より一般的に制御板23とシャッタ24の開口の大きさ
も狭くセットされるが、この構成によりストリップ9面
における蒸気ビーム33,33aは重畳する部分が生ず
るので、図6の場合の蒸着物質でいえば、ZnとNiと
が同時に蒸着するようになるから、ストリップ9面には
連続的にZn/Ni合金膜が形成されるようになる。
す要部模式説明図であり、図6の実施例と異なる点は、
十字形衝立25を除外したことと、図示のようにるつぼ
10とるつぼ10aとを近付けて配置したことである。
すなわち、図6における2つのるつぼの間隔D1よりも
図7に示す両るつぼの間隔D2が小さくなるように配置
する。本実施例の場合、るつぼを互いに近付けたことに
より一般的に制御板23とシャッタ24の開口の大きさ
も狭くセットされるが、この構成によりストリップ9面
における蒸気ビーム33,33aは重畳する部分が生ず
るので、図6の場合の蒸着物質でいえば、ZnとNiと
が同時に蒸着するようになるから、ストリップ9面には
連続的にZn/Ni合金膜が形成されるようになる。
【0030】なお、図6、図7の実施例において、蒸気
ビームの原子数密度は所望の蒸着膜に対して所定の原子
数密度である場合について、制御板23や十字形衝立2
5による遮蔽効果を利用して蒸着量の制御をしている
が、この他の方法として、実施例1,2で説明したよう
に、るつぼの加熱温度を変えることにより蒸気ビームの
数密度をリアルタイム蒸着モニタを活用して制御し、所
望の蒸着膜を得る制御方法を採用してもよい。
ビームの原子数密度は所望の蒸着膜に対して所定の原子
数密度である場合について、制御板23や十字形衝立2
5による遮蔽効果を利用して蒸着量の制御をしている
が、この他の方法として、実施例1,2で説明したよう
に、るつぼの加熱温度を変えることにより蒸気ビームの
数密度をリアルタイム蒸着モニタを活用して制御し、所
望の蒸着膜を得る制御方法を採用してもよい。
【0031】上記の層状又は合金蒸着膜の形成工程中
に、各蒸着物質の特定の励起スペクトル線に波長を一致
させた狭帯域のレーザ光を各蒸気ビームの垂直方向から
照射し、レーザ光の照射により励起されて発光する蒸着
物質の蛍光強度分布を二次元表示する画像処理と、例え
ばアルゴンガスのレイリー散乱法を適用した蒸着物質の
蛍光散乱光のその場計測による絶対値校正と、画像処理
装置の蛍光強度をディジタル処理して板幅方向の蒸気ビ
ームの空間数密度分布を求める表示変換とを実施する。
しかし、その基本的な手法は実施例1で説明したので、
本実施例での説明は省略して、図7の合金膜の場合にお
ける形成方法について図8の状態線図に基づいて説明す
る。
に、各蒸着物質の特定の励起スペクトル線に波長を一致
させた狭帯域のレーザ光を各蒸気ビームの垂直方向から
照射し、レーザ光の照射により励起されて発光する蒸着
物質の蛍光強度分布を二次元表示する画像処理と、例え
ばアルゴンガスのレイリー散乱法を適用した蒸着物質の
蛍光散乱光のその場計測による絶対値校正と、画像処理
装置の蛍光強度をディジタル処理して板幅方向の蒸気ビ
ームの空間数密度分布を求める表示変換とを実施する。
しかし、その基本的な手法は実施例1で説明したので、
本実施例での説明は省略して、図7の合金膜の場合にお
ける形成方法について図8の状態線図に基づいて説明す
る。
【0032】まず、図8のaは、図7の装置の動作中の
ある時点での2つの異なる蒸着物質A,Bの割合(縦
軸)の膜厚方向(横軸)に対する割合を示し、これは板
走行方向(横軸)に対する気相部数密度(縦軸)を示す
図8のbの関係に相関している。従って、このデータか
ら計測範囲及び実際の蒸着範囲に対して、るつぼ10,
10aの加熱温度の調整(或いはシャッタ又は十字形衝
立の移動調整)による制御を行う。その結果、図8のb
に対応する図8のcの関係が得られ、この図と相関する
図8のdに示すようなA,B両物質がほぼ等しい成分か
らなる合金膜が形成されるようになる。すなわち、はじ
め図8のaのような膜質の蒸着膜が当初形成されていた
ものが、本発明による形成方法により、図8のdに示す
ような均質合金膜が得られるようになる。
ある時点での2つの異なる蒸着物質A,Bの割合(縦
軸)の膜厚方向(横軸)に対する割合を示し、これは板
走行方向(横軸)に対する気相部数密度(縦軸)を示す
図8のbの関係に相関している。従って、このデータか
ら計測範囲及び実際の蒸着範囲に対して、るつぼ10,
10aの加熱温度の調整(或いはシャッタ又は十字形衝
立の移動調整)による制御を行う。その結果、図8のb
に対応する図8のcの関係が得られ、この図と相関する
図8のdに示すようなA,B両物質がほぼ等しい成分か
らなる合金膜が形成されるようになる。すなわち、はじ
め図8のaのような膜質の蒸着膜が当初形成されていた
ものが、本発明による形成方法により、図8のdに示す
ような均質合金膜が得られるようになる。
【0033】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、連続走行
する広幅の板材の板幅方向に長く形成された少くとも1
個の蒸発源から、蒸着しようとする物質蒸気を板幅方向
に直線状に噴射して得られる蒸着物質の蒸気ビームの流
れの直角方向から、蒸着物質の特定の励起スペクトル線
に波長を一致させた狭帯域のレーザ光を照射し、物質蒸
気を蛍光発光させ、この蛍光をレーザ光と直角方向又は
斜め方向に配置した電気式撮像装置により可視化画像と
して計測するようにし、この計測結果から蛍光強度を解
析して蒸着物質の蛍光強度分布を二次元表示する画像処
理装置を備え、不活性ガス例えばアルゴンガスのレイリ
ー散乱法を適用した蒸着物質の蛍光散乱光のその場計測
により絶対値校正を行い、板幅方向の蒸気ビームの空間
数密度分布を求めるから、広幅の例えば鋼板のような板
材に連続真空蒸着する大形ドライプロセス装置におい
て、板幅方向の蒸着物質の空間密度分布の測定を行いな
がらの蒸着膜の形成を真空容器内にプローブ等を挿入す
ることなく実施することができる。このように、蒸着前
のつまり飛行中の蒸着物質量を可視化画像として直接測
定しながら蒸着量を制御するので、その場計測で蒸着対
象物質の蒸着量を精度よく、かつ確実にモニタしながら
蒸着膜の製造が可能となる効果が得られる。そして、合
金層や多元多層膜の形成において、2つの蒸気ビームの
混合域においても、各物質の濃度が正確に測定できるの
で、膜厚方向の層分布が正確に制御されている蒸着膜の
形成における制御が可能となったという効果が得られ
る。
する広幅の板材の板幅方向に長く形成された少くとも1
個の蒸発源から、蒸着しようとする物質蒸気を板幅方向
に直線状に噴射して得られる蒸着物質の蒸気ビームの流
れの直角方向から、蒸着物質の特定の励起スペクトル線
に波長を一致させた狭帯域のレーザ光を照射し、物質蒸
気を蛍光発光させ、この蛍光をレーザ光と直角方向又は
斜め方向に配置した電気式撮像装置により可視化画像と
して計測するようにし、この計測結果から蛍光強度を解
析して蒸着物質の蛍光強度分布を二次元表示する画像処
理装置を備え、不活性ガス例えばアルゴンガスのレイリ
ー散乱法を適用した蒸着物質の蛍光散乱光のその場計測
により絶対値校正を行い、板幅方向の蒸気ビームの空間
数密度分布を求めるから、広幅の例えば鋼板のような板
材に連続真空蒸着する大形ドライプロセス装置におい
て、板幅方向の蒸着物質の空間密度分布の測定を行いな
がらの蒸着膜の形成を真空容器内にプローブ等を挿入す
ることなく実施することができる。このように、蒸着前
のつまり飛行中の蒸着物質量を可視化画像として直接測
定しながら蒸着量を制御するので、その場計測で蒸着対
象物質の蒸着量を精度よく、かつ確実にモニタしながら
蒸着膜の製造が可能となる効果が得られる。そして、合
金層や多元多層膜の形成において、2つの蒸気ビームの
混合域においても、各物質の濃度が正確に測定できるの
で、膜厚方向の層分布が正確に制御されている蒸着膜の
形成における制御が可能となったという効果が得られ
る。
【図1】本発明の一実施例を示す模式斜視説明図であ
る。
る。
【図2】実施例1の制御系を含む装置構成を示す模式ブ
ロック図である。
ロック図である。
【図3】実施例1の制御手段の流れを計測データと制御
パターンとのパターン図により説明する対比線図であ
る。
パターンとのパターン図により説明する対比線図であ
る。
【図4】本発明による蒸気ビームの空間分布の可視化表
示の一実施例を示す立体的模式説明図である。
示の一実施例を示す立体的模式説明図である。
【図5】本発明の他の実施例を示す模式斜視説明図であ
る。
る。
【図6】本発明の多層膜形成の状態を示す要部説明図で
ある。
ある。
【図7】本発明の合金膜作成の状態を示す要部説明図で
ある。
ある。
【図8】図7の合金膜作成の状態を示す状態線図であ
る。
る。
【図9】本発明装置による実験結果の蛍光強度ピーク値
とるつぼ温度との関係を示す線図である。
とるつぼ温度との関係を示す線図である。
【図10】従来の水晶式蒸着モニタを示す模式配置図で
ある。
ある。
【図11】従来の原子吸光式蒸着モニタを示す模式配置
図である。
図である。
【図12】従来の電子衝撃式蒸着モニタを示す模式配置
図である。
図である。
1,1a 連続真空蒸着装置 2,2a 色素レーザ 3,3a 反射ミラー 4 レーザ発振器 5,5a,5b,5c,5d スキャンニング装置 6,6a CCDカメラ(光センサ) 7 画像解析装置 8,8a 電子銃 9 ストリップ 10,10a るつぼ 11 蒸気ビーム 12 波長変換器 13 レーザ光分配器 14 スキャンニング素子 15 蛍光可視化分布図 18,18a 電子ビーム 19 中央制御装置 23 ビーム角度範囲制御板23 24 シャッタ 25 十字形衝立 30 蒸着物質 31 クヌーセンセル 32 オリフィス 33,33a 蒸気ビーム 34 プローブ 35 蒸発源 36 光 37 透過光 38 センサヘッド 39 フィラメント 40 熱電子 41 電子ビーム 42 励起線
Claims (7)
- 【請求項1】 連続走行する広幅の板材にドライプロセ
スによる蒸着膜を形成する装置を使用する連続真空蒸着
膜の形成方法であって、 前記板材の板幅方向に長く形成された少くとも1個の蒸
発源から蒸着しようとする物質蒸気を板幅方向に直線状
に噴射して得られる蒸気ビームの流れの直角方向からレ
ーザ光を照射し前記物質蒸気を蛍光発光させ、 この蛍光を前記レーザ光と直角方向又は斜め方向に配置
した電気式撮像装置により可視化画像として計測するこ
とにより蛍光強度から板幅方向の前記蒸気ビームの空間
数密度分布を計測するリアルタイム蒸着モニタ装置を用
いて空間気相中の蒸着物質の蒸気分布を計測し、 この計測結果から予め決められている基準分布パターン
との比較を行い、この比較結果から前記蒸発源の蒸発温
度を制御することにより板幅方向の膜厚分布を制御する
ことを特徴とする連続真空蒸着膜の形成方法。 - 【請求項2】 前記蒸発源の蒸発温度を制御する代り
に、前記板材直下の空間部に配設されたビームシャッタ
の位置調節によるビーム制御を行うことを特徴とする請
求項1記載の連続真空蒸着膜の形成方法。 - 【請求項3】 連続走行する広幅の板材にドライプロセ
スによる蒸着膜を形成する装置を使用する連続真空蒸着
方法であって、 前記板材の板幅方向に長く形成された蒸発源から蒸着し
ようとする物質蒸気を板幅方向に直線状に噴射して得ら
れる蒸気ビームの流れの直角方向からレーザ光を前記蒸
気ビームの全域にわたって照射して前記物質蒸気を蛍光
発光させ、 この蛍光を前記レーザ光と直角方向又は斜め方向に配置
した電気式撮像装置により可視化画像として計測し、こ
の計測結果から蛍光強度を解析する画像処理装置を備
え、板幅方向の前記蒸気ビームの空間数密度分布を計測
するリアルタイム蒸着モニタ装置を用いて空間気相中の
蒸着物質の蒸気分布を計測し、 この計測結果から予め決められている基準分布パターン
との比較を行い、この比較結果から前記蒸発源の蒸発温
度を制御することにより板幅方向の膜厚分布を制御する
ことを特徴とする連続真空蒸着膜の形成方法。 - 【請求項4】 前記蒸発源の蒸発温度を制御する代り
に、前記板材直下の空間部に配設されたビームシャッタ
の位置調節によるビーム制御を行うことを特徴とする請
求項3記載の連続真空蒸着膜の形成方法。 - 【請求項5】 連続走行する広幅の板材にドライプロセ
スによる蒸着膜を形成する装置を使用する連続真空蒸着
方法であって、 前記板材の板幅方向に長く形成された蒸発源から蒸着し
ようとする物質蒸気を板幅方向に直線状に噴射して得ら
れる蒸気ビームの流れの直角方向からレーザ光を前記蒸
気ビームの前記板材走行方向に全域にわたってスキャン
ニング照射して前記物質蒸気を蛍光発光させ、 この蛍光を前記レーザ光と直角方向又は斜め方向に配置
した電気式撮像装置により可視化画像として計測するこ
とにより前記板材走行方向における蒸着物質の付着量の
制御因子を求めると共に、この計測結果から蛍光強度を
解析する画像処理装置を備え、板幅方向の前記蒸気ビー
ムの空間数密度分布を計測するリアルタイム蒸着モニタ
装置を用いて空間気相中の蒸着物質の蒸気分布を計測
し、 この計測結果から予め決められている基準分布パターン
との比較を行い、この比較結果から前記蒸発源の蒸発温
度を制御することにより板幅方向の膜厚分布を制御する
ことを特徴とする連続真空蒸着膜の形成方法。 - 【請求項6】 前記蒸発源の蒸発温度を制御する代り
に、前記板材直下の空間部に配設されたビームシャッタ
の位置調節によるビーム制御を行うことを特徴とする請
求項5記載の連続真空蒸着膜の形成方法。 - 【請求項7】 前記板材の板幅方向に長く形成された蒸
発源は、電子衝撃式、抵抗加熱式のうちのいずれか1つ
の加熱方式による前記板幅方向に数分割して配設した複
数個の小蒸発源集合体で構成されていることを特徴とす
る請求項1、3又は5記載の連続真空蒸着膜の形成方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1287194A JPH07216545A (ja) | 1994-02-04 | 1994-02-04 | 連続真空蒸着膜の形成方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1287194A JPH07216545A (ja) | 1994-02-04 | 1994-02-04 | 連続真空蒸着膜の形成方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07216545A true JPH07216545A (ja) | 1995-08-15 |
Family
ID=11817492
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1287194A Pending JPH07216545A (ja) | 1994-02-04 | 1994-02-04 | 連続真空蒸着膜の形成方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07216545A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008169457A (ja) * | 2007-01-15 | 2008-07-24 | Matsushita Electric Works Ltd | 真空蒸着装置 |
JP2012500339A (ja) * | 2008-08-20 | 2012-01-05 | ケンナメタル インコーポレイテッド | 物理蒸着機器及び方法 |
JP2012052180A (ja) * | 2010-08-31 | 2012-03-15 | Fujifilm Corp | 蒸着フラックス測定装置および真空蒸着装置 |
US20200408919A1 (en) * | 2018-03-12 | 2020-12-31 | Mitsubishi Electric Corporation | Fog determination apparatus, fog determination method, and computer readable medium |
-
1994
- 1994-02-04 JP JP1287194A patent/JPH07216545A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2008169457A (ja) * | 2007-01-15 | 2008-07-24 | Matsushita Electric Works Ltd | 真空蒸着装置 |
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US20200408919A1 (en) * | 2018-03-12 | 2020-12-31 | Mitsubishi Electric Corporation | Fog determination apparatus, fog determination method, and computer readable medium |
US12124001B2 (en) * | 2018-03-12 | 2024-10-22 | Mitsubishi Electric Corporation | Fog determination apparatus, fog determination method, and computer readable medium |
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