JPH07213896A - 排水処理用吸着剤及びその製造方法 - Google Patents

排水処理用吸着剤及びその製造方法

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JPH07213896A
JPH07213896A JP974694A JP974694A JPH07213896A JP H07213896 A JPH07213896 A JP H07213896A JP 974694 A JP974694 A JP 974694A JP 974694 A JP974694 A JP 974694A JP H07213896 A JPH07213896 A JP H07213896A
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元信 中岡
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恭啓 湯川
Yutaka Odawara
豊 小田原
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 排水処理のための実用的な吸着能を有するの
はもとより、吸着後の凝集性に優れ処理水の水質を低下
させることもなく、また母材が安価で大量入手が容易で
あり、最終処分の容易な排水処理用吸着剤及びその製造
方法の提供。 【構成】 安価で大量入手が容易な木粉に、当該木粉1
グラムあたり0.25モル当量以上のカチオン化剤を付
加した排水処理用吸着剤であるので、染料等に対する吸
着能が高い。この排水処理用吸着剤に用いられる木粉と
して、粒径が100メッシュ以上で40メッシュ以下の
ものであれば、吸着した後に不都合な自然浮上を生じる
ことがなく、カチオン化剤の付加量、即ち吸着能を実用
範囲まで向上させることができる。また、カチオン化剤
の付加に先立って、木粉をアルカリ処理する製造方法を
用いれば、カチオン化剤付加反応における反応性が高め
られ、処理水の水質も良好な排水処理用吸着剤が得られ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば染料や染料中間
物などの低分子量化合物を吸着することにより排水の脱
色を行う排水処理用吸着剤及びその製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】各種化学工場や染色工場等から排出され
る排水の中には、汎用の排水処理技術である活性汚泥法
や凝集沈澱法等では到底脱色できない化合物が多く含ま
れていることがある。これらの脱色技術として考えられ
るものは、汎用の凝集沈殿法や活性汚泥法の前処理又は
後処理として、オゾン処理法,嫌気性微生物による生分
解法,或いは活性炭処理法などを併用するものがある
が、高コストがかかったり未だ研究開発段階のものであ
ったりする等、一長一短があった。
【0003】そのため、カチオン性の凝集剤を用いて上
記の化合物を吸着・凝集させた後、凝集沈澱法または加
圧浮上法のいずれかの方法によって排水の脱色を行って
いるのが実状である。このような脱色技術に代表して用
いられているのは、カチオン性高分子凝集剤である。こ
れらは水溶性であり、色を発する化合物を吸着して排水
を脱色することができるが、吸着後の凝集性が乏しく、
染料等を吸着したまま水中を浮遊した状態で処理水とし
て系外に排出されたりすることがあり、従って処理水中
のBODやCODを高くして水質を低下させるおそれが
あった。
【0004】一方、天然物をカチオン化(ここで、カチ
オン化とは、カチオン系の化合物を付加させることをい
う。以下、同様である。)して得た排水処理用の吸着剤
が開発されている。このような吸着剤としては、天然物
としてセルロース繊維(例えば、木綿)やデンプンなど
を用いたものがあり、これらを用いた吸着剤は、染料等
に対する吸着性能が優れていることが報告されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、カチオ
ン化されたデンプンは、カチオン化の度合いが大きくな
るに伴って水への溶解性が増加してCODやBODが高
くなりやすい。そこで、水への溶解性を低くして処理水
のCODやBODを抑えるため、デンプンに対し比較的
手間と時間のかかる部分架橋工程をカチオン化工程に先
立って施しておく必要があった。
【0006】また、このような吸着剤の母材となるデン
プンやセルロースは、排水処理用として用いるには、比
較的高価であり、また勿体ないものでもあった。
【0007】他方、活性炭も、染料等の化合物をよく吸
着するが、それ自体が高価であって、飽和吸着量に達し
た後に行われる再生工程での比較的高いランニングコス
トの問題やこのとき脱着された染料等の処分に苦慮する
といった問題点があった。
【0008】そこで、本発明者らは、従来技術のかかる
問題点を解決するために種々検討を重ねた結果、脱色の
ための実用的な吸着能を有するのはもとより、吸着後の
凝集性に優れ処理水の水質を低下させることもなく、ま
た母材が安価で大量入手が容易であり、最終処分の容易
な排水処理用吸着剤及びその製造方法を提供するに至っ
たのである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記従来の問題点を解決
するために、本発明者らは、請求項1記載の発明(以
下、「第1発明」という)に係る排水処理用吸着剤とし
て、木粉に、当該木粉1グラムあたり0.25モル当量
以上のカチオン化剤を付加した構成を完成し、採用し
た。
【0010】第1発明の構成に用いられる木粉として
は、一般的に、親水性を備えるとともに架橋構造を有す
る天然樹木から得たものが好ましく、特に限定されない
が、例えば安価であって大量入手可能な木材、例えば米
国産つが材や米国産松材等から得たものが好適である。
【0011】また、第1発明の構成に用いられるカチオ
ン化剤としては、大別すると、例えば、第4級アンモニ
ウム塩,第3級スルホニウム塩等が好適であり、その他
に第4級ホスホニウム塩等を挙げることもできる。
【0012】上記の第4級アンモニウム塩としては、例
えば、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチル
アンモニウム・クロリド,エポキシプロピルトリメチル
アンモニウム・クロリド,2−ヒドロキシエチルトリメ
チルアンモニウム・クロリド,或いはトリアジノアルキ
ルトリメチルアンモニウム・クロリドに代表されるトリ
アジン基を有した第4級アンモニウム塩等が挙げられ
る。
【0013】上記の第3級スルホニウム塩としては、例
えば、ジフェニル−4−チオフェノキシ・フェニルスル
ホニウム・クロリド,(チオジ−1,4−フェニレン)
ビス〔ジフェニルスルホニウム〕ジクロリド等が挙げら
れる。また、ビス−β−イソシアナート・エチルスルフ
ィドを用いることもできる。この場合、先ず、ビス−β
−イソシアナート・エチルスルフィドをグルコース単位
の水酸基と反応させた後に、ヨウ化メタン等で還元した
ものを用いればよい。
【0014】そして、第1発明において1グラムあたり
の木粉に付加されるカチオン化剤量は、0.25モル当
量以上とするのが好ましい。これは、木粉への付加量が
0.25モル当量/g未満であれば、例えば染料等に対
する吸着能が極めて低すぎて実用的に用をなさないから
である。ここでいうモル当量とは、原料としての木粉1
gに付加される、例えば第4級アンモニウム塩としての
濃度が何モルであるかをいう。
【0015】また、請求項2記載の発明(以下、「第2
発明」という)に係る排水処理用吸着剤において、木粉
は、粒径が100メッシュ以上で40メッシュ以下のも
のを用いた構成にしてある。
【0016】第2発明の構成において用いられる木粉の
粒径は、細かいほうが反応サイトが多くなるため、カチ
オン化剤の付加量を大きく(即ち、吸着能を大きく)し
やすい。しかしながら、木粉の粒径が100メッシュよ
りも小径であれば、例えば染料等を吸着した後に膨潤し
て自然浮上するため、引続いて汎用の凝集処理に供する
ことができず実用的でない。一方、40メッシュよりも
大径であれば、吸着剤の母材として得やすいが、上記し
た理由でカチオン化剤の付加量を実用的な程度まで大き
くすることができないからである。
【0017】更に、請求項3記載の発明(以下、「第3
発明」という)は、第1発明若しくは第2発明のいずれ
かにおけるカチオン化剤の付加に先立って、木粉をアル
カリ処理する構成の排水処理用吸着剤の製造方法として
ある。
【0018】この第3発明の構成において、アルカリ処
理は、排水処理用吸着剤を使用する際に母材たる木粉か
ら溶け出して水質を低下させるものを予め除去するとと
もに、木粉の架橋構造の一部を破壊する程度の、処理条
件で行うのが好ましい。例えば、第3発明の構成に使用
できるアルカリとしては、例えばNaOH(カセイソー
ダ),KOH(カセイカリ),Ca(OH)2 等が挙げ
られる。
【0019】また、使用されるアルカリの水溶液濃度と
しては、例えばカセイソーダを用いた場合、10〜25
wt%程度が好ましい。そして、アルカリ処理温度とし
ては、常温でもよいが、40〜100℃程度が反応効率
の面から好ましい。更に、アルカリ処理時間としては、
6〜24時間程度とするのが、反応を十分に進める上で
望ましい。
【0020】
【作用】第1発明の構成によれば、元来より親水性で架
橋構造を有しているとともに、安価で容易に大量入手し
得る木粉にカチオン化剤を付加するようにしたので、例
えば染料等に対する吸着能の高い実用的な排水処理用吸
着剤を実現することができた。
【0021】また、第2発明の構成によれば、カチオン
化剤の付加される木粉の粒径を100メッシュ以上の大
径としたので、例えば染料等を吸着した後に不都合な自
然浮上を生じることがなく、汎用の凝集処理にも供する
ことができる。一方、粒径を40メッシュ以下の小径と
したので、カチオン化剤の付加量、即ち吸着能を実用範
囲まで向上させることができる。
【0022】一般的に、木材の組成は、ほぼ3割ずつが
セルロース,アミロース,リグニンでそれぞれ占められ
ている。そこで、第3発明の構成によれば、木粉に対し
て例えば40から100℃で高濃度アルカリによるアル
カリ処理を行い、木粉の架橋構造を一部破壊しておく。
このとき、アミロースは溶出してほとんど除去される。
これにより、後続のカチオン化剤付加反応における反応
性が高められる。但し、木粉を用いたことによって、処
理水のCODやBODが高くなるのは不都合である。そ
のため、実使用時に水に溶け出してCODやBODを高
くしてしまうようなもの、例えばアミロース等を、アル
カリ処理により予め取り除いておくのである。加えて、
カチオン化剤付加反応はアルカリ性の条件下で行われる
ため、前処理としてのアルカリ処理後に、軽く水洗する
だけで連続的にカチオン化剤付加反応に移行させること
ができる。
【0023】
【実施例】本発明の技術内容を明確にするため、以下に
示す代表的な実施例により本発明を具体的に説明する。
尚、以下の各実施例は本発明を具体化した単なる例に過
ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものでないのはい
うまでもない。
【0024】〔実施例1〜実施例3,及び比較例1,比
較例2.〕実施例1〜3に係る排水処理用吸着剤の母材
となる木粉としては、米国産つが材,及び米国産松材の
原木から得たもの(平均粒径:100メッシュ)を用い
た。また、比較例1,比較例2に係る試料としては、濾
紙粉末(即ちセルロース粉であって、東洋濾紙製,粒径
分布:100〜200メッシュのもの)を用いた。これ
らの各実施例や比較例に係る試料は、それぞれ水洗乾燥
後、カチオン化供試用の試料とした。
【0025】そして、カチオン化反応の前処理として、
試料に対しアルカリ処理を行う場合、このアルカリ処理
の処理条件は、16.7wt%カセイソーダ水溶液を、
試料に対し18倍量加えて室温にて15時間反応させた
後、蒸留水にて洗浄後乾燥させることとした。
【0026】試料をカチオン化するためのカチオン化剤
としては、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメ
チルアンモニウムクロリド(昭和電工製、製品名:パピ
ロールQ)を用いた。カチオン化反応は、木粉,又はセ
ルロース粉5gに対し、カセイソーダ5gと蒸留水18
0mlを加え室温にて1時間放置後、パピロールQ20
mlを加え室温にて反応させた。反応終了後、水洗し乾
燥させた。
【0027】これらの吸着剤の母材等の供試条件やアル
カリ処理条件を表1に示す。
【0028】カチオン化度の評価試験としては、通常の
塩素分析で試料中の塩素濃度を測定し、この塩素濃度か
らアンモニウムクロリド濃度を換算して得た。吸着度
(吸着能)の評価試験としては、モデル液(反応染料で
あるオレンジ12の17.5wt%水溶液2.0ml、
硫酸ナトリウム30g、炭酸ナトリウム15gをそれぞ
れ蒸留水に溶かし、1000mlに調製したもの。)を
各試料の吸着量に合わせて希釈して用いた。
【0029】各試料の吸着等温線は、JIS K−14
74(粒状活性炭試験方法)の参考1(液相吸着におけ
る吸着等温線の求め方)に基づき25℃で試験した。ま
た、活性炭(三菱化成製の石炭系粒状活性炭,製品名:
ダイヤホープ008)を、参考例1の試料として用い
た。
【0030】
【表1】
【0031】これらの各吸着系に対する高分子凝集剤の
凝集力評価試験として、各吸着剤0.05gに対し、モ
デル排水として染料濃度70ppmになるように調整し
た溶液を50ml加え0.5時間攪拌した後、100p
pm濃度のアニオン性高分子凝集剤(住友化学工業製,
製品名:スミフロックFA−40)水溶液を凝集するま
で加え、凝集状態を観察するとともに、凝集に最小限必
要(安定なフロックになった状態)な凝集剤の量(凝集
剤濃度)を求めた。
【0032】
【表2】
【0033】表2に示すように、各試料を直接カチオン
化すると、カチオン化度は低かった。しかしながら、カ
チオン化反応に先立ってアルカリ処理を施したものは、
カチオン化度が上昇した。また、得られた試料は、粒形
を保ち、アルカリ処理しないものと比べて柔らかい物に
なった。セルロースでは、カチオン化が進むにつれて粉
末状から塊状となり、使用に際して粉砕を行う必要が生
じた。
【0034】一方、木粉では、カチオン化が進むにつ
れ、木粉同志の凝集が認められるものの、すぐに粉末状
になるため非常に使いやすい材料であることがわかっ
た。尚、カチオン化がどの程度進行しているかについて
は、「セルロース綿に対するカチオン化」に関して既に
知られており、セルロース綿を構成するグルコース単位
100個に対し1ないし2個のカチオン基が付加するも
のとされている。そして、グルコース単位中の反応する
水酸基は1級アルコール型のもののみであることも知ら
れている。因に、グリコース単位1ケ当たりに付加され
るカチオン基の数をカチオン化度と称している。
【0035】これをもとに表2の結果から計算してみる
と、アルカリ処理しない場合には、グルコース単位10
0個に対し1.6個のカチオン基が付加し、アルカリ処
理した場合には、グルコース単位100個に対し6個の
カチオン基が付加していることになる。
【0036】次に、吸着度を測定するために、フロイン
ドリッヒの吸着等温線を求めた。フロインドリッヒの実
験式を以下の(1)式に示す。 X/M=KCi 1/n ・・・ (1) ここで、(1)式中の各記号は、それぞれ、 X:被吸着物質の吸着量(C0 −Ci ) M:吸着剤添加量 X/M:吸着剤単位質量あたりに吸着された被吸着物質
量 Ci :平衡時の溶液中の被吸着物質濃度 K及び1/n:吸着剤と吸着系により決まる定数 C0 :空試験液中の被吸着物質濃度 を表している。
【0037】また、被吸着物質としては、前述したオレ
ンジ12を用いた。オレンジ12は、染料のなかでも粒
子径が比較的小さいものであるため、これを被吸着物質
として供試しておけば、粒径の大きな他の染料等の場合
は当然ながら評価できると考えたからである。また、発
色団を有していない染料製品直前の中間体も吸着される
と考えられる。
【0038】各吸着系における吸着等温線の結果を図1
に示した。すべての吸着系で直線性が得られた。尚、オ
レンジ12の濃度範囲は、実用面を考慮して、ここでは
極めて希薄な範囲(例えば、約1ppm以下)としてい
る。図1より明らかなように、カチオン化したものの吸
着度は、活性炭の吸着度と比べて非常に大きい。また、
セルロースと木粉とでは、アルカリ処理を行ったものに
ついてセルロースの方が吸着度は大きいが、アルカリ処
理を行わないものについては逆に小さくなった。これ
は、アルカリ処理をしないセルロースに対してカチオン
化すると、それら自身の凝集力が大きくなりすぎて水中
で塊状になり、従って粉末状になりにくいことに起因し
ているものと考えられる。
【0039】一方、表2に示した参考例1の活性炭と、
実施例1〜3のカチオン化木粉とを性能比較すると、低
い被吸着剤濃度域では、表中に示したように、カチオン
化木粉の吸着能が活性炭よりも極めて大きい。また、高
濃度域(表中に示さず)では、活性炭のほうが吸着能が
幾分大きくなるが、その場合には活性炭の再生処理が大
変困難になる。
【0040】それに対し、カチオン化木粉は、極めて安
価で大量入手も容易であるため、再生処理は行わず使用
後にそのまま焼却処分するのが好適である。
【0041】更に、カチオン化木粉は、アルカリ処理し
ない場合にも粉末状を維持することができるため、吸着
力に優れているものと考えられる。各吸着系の吸着等温
線における定数Kと1/nの値も前記の表2に示した。
そこで、吸着度の目安となる定数Kの値から単純に計算
すると、カチオン化木粉の吸着度は活性炭の約50ない
し150倍大きいことが認められる。
【0042】また、カチオン化木粉に関するカチオン化
度(第4級アンモニウム塩の塩素イオン濃度に対応して
表される)と吸着度(K値)との関係を図2に示す。そ
れによると、カチオン化度の増加に伴い、吸着度が指数
関数的に増加することが認められた。
【0043】カチオン化された木粉又はセルロースに対
し、高分子凝集剤による凝集力評価試験の観察を行って
みると、高分子凝集剤を添加する前の吸着系において、
セルロース粉と木粉を用いたものでは若干の差異が認め
られた。セルロース粉を用いた系では、その上澄み液の
濁りが大きかった。一方、木粉を用いた系では、上澄み
液は透明に近いものであった。
【0044】一方、高分子凝集剤を添加した後では、セ
ルロース粉を用いた系では、高分子凝集剤の添加量が3
0ないし40ppmで、木粉を用いた系では、高分子凝
集剤の添加量が10ないし20ppmで凝集に十分なフ
ロックが形成された。
【0045】〔実施例4.〕木粉としては、米国産つが
材及び米国産松材から得た平均粒径40メッシュのもの
を使用した。この木粉10gに20wt%カセイソーダ
水溶液を100mlいれ、80℃にて攪はんしながら2
4時間放置した。反応後水洗したのち、カチオン化剤と
して3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルア
ンモニウムクロリド20mlおよび2wt%カセイソー
ダ水溶液150mlを加え、6時間室温にて攪はんしカ
チオン化を行った。反応後、塩酸水溶液にて中和洗浄
し、乾燥させた。
【0046】このように得られたカチオン化木粉のカチ
オン化度は0.500モル当量/gであり、高い値であ
った。この実施例4の吸着効果は、表2に示したように
極めて優れている。
【0047】〔実施例5.〕木粉としては、米国産つが
材及び米国産松材から得た平均粒径100メッシュのも
のを使用した。この木粉10gに20wt%カセイソー
ダ水溶液を100mlいれ、室温にて攪はんしながら2
4時間放置した。反応後水洗したのち、カチオン化剤と
して3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルア
ンモニウムクロリド20mlを入れ、さらに2%カセイ
ソーダ水溶液150mlを加えて6時間室温にて攪はん
しカチオン化反応を行った。反応後、塩酸水溶液にて中
和洗浄し、乾燥させた。
【0048】ここで、得られたカチオン化木粉のカチオ
ン化度は、表2に示したように、0.300モル当量/
gであり、吸着効果は実施例4の場合と比べて低いもの
の、実用上十分なものが認められた。
【0049】〔実施例6〜10,及び参考例2〜4.〕
モデル排水として、染料(オレンジ12)濃度70pp
mとなるように調整した溶液50mlに対し、実験条件
を変えて異なるカチオン化度に調製したカチオン化木粉
(実施例6〜10)、又は活性炭(参考例2〜4)0.
1gを加え攪拌して得たそれぞれの吸着系に対し、吸光
度測定を行った。
【0050】そして、モデル排水の吸光度に対する各吸
着系における吸光度の低下度合により、脱色率の評価を
行った。即ち、脱色率の値が大きいほど吸着能が高いこ
とを示し、完全に脱色された場合は100%になること
を表している。尚、活性炭としては、武田薬品工業製の
もの(参考例2、製品名:タケダシラサギE−45)、
日本シーベルヘグナー製のもの(参考例3)、二村化学
製のもの(参考例4、製品名:大閣)をそれぞれ用い
た。
【0051】これらの吸着系における脱色率の評価結果
を、以下の表3に示す。
【0052】
【表3】
【0053】表3に示したように、これらの実施例のカ
チオン化木粉は、カチオン化度が高くなるほど脱色率も
大きくなっており、市販の高価な活性炭(参考例2〜
4)と比べても遜色のないものであることが判る。但
し、カチオン化度を約0.6モル当量/g程度にしたカ
チオン化木粉が最大の脱色率を示している。従って、こ
れ以上にカチオン化度を増加、即ち塩素イオン濃度を増
加(電荷密度の増加)させても、吸着度の直線的な増加
は期待できないものと推定する。
【0054】他方、カチオン化度が約0.2モル当量/
gよりも低いカチオン化木粉を用いた場合、木粉への着
色が肉視で全く認められず、染料に対する吸着能が低す
ぎることが判った。
【0055】
【発明の効果】以上述べたように、本発明は排水処理用
吸着剤及びその製造方法に係るものであって、染料や染
料中間体等の低分子量有機化合物に対する吸着能が実用
上大きなものであり、吸着後の凝集性も大きいため、処
理水の水質を良好に保持できるのはもとより、カチオン
化吸着剤の母材として木粉を用いているため、この安価
な母材を容易に大量入手できるのみならず、天然物たる
木粉は架橋構造がしっかりしているため、吸着後に水中
においてほとんど膨潤せず嵩張らない利点がある。
【0056】従って、本発明の排水処理用吸着剤及びそ
の製造方法の実現によって、吸着・凝集・脱水後に焼却
等による後処理が可能になるといった効果を奏し、特に
近年うたわれている省資源化に寄与する効果は絶大であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の各実施例に係るカチオン化木粉及び比
較・参考例に係る各吸着剤の吸着等温線を示すグラフ図
である。
【図2】本発明の各実施例に係るカチオン化木粉に付加
している塩素イオンの濃度とフロインドリッヒ吸着等温
式のK値との関係を示すグラフ図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 湯川 恭啓 西宮市豊楽町2番10号 ヤマヒロ株式会社 内 (72)発明者 小田原 豊 西宮市豊楽町2番10号 ヤマヒロ株式会社 内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 木粉に、当該木粉1グラムあたり0.2
    5モル当量以上のカチオン化剤を付加したことを特徴と
    する排水処理用吸着剤。
  2. 【請求項2】 木粉は、粒径が100メッシュ以上で4
    0メッシュ以下のものを用いたことを特徴とする請求項
    1に記載の排水処理用吸着剤。
  3. 【請求項3】 請求項1若しくは請求項2のいずれかに
    記載のカチオン化剤の付加に先立って、木粉をアルカリ
    処理することを特徴とする排水処理用吸着剤の製造方
    法。
JP6009746A 1994-01-31 1994-01-31 排水処理用吸着剤及びその製造方法 Expired - Lifetime JP2558222B2 (ja)

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