JPH07213879A - 親水性複合多孔質膜とその製法 - Google Patents

親水性複合多孔質膜とその製法

Info

Publication number
JPH07213879A
JPH07213879A JP1432494A JP1432494A JPH07213879A JP H07213879 A JPH07213879 A JP H07213879A JP 1432494 A JP1432494 A JP 1432494A JP 1432494 A JP1432494 A JP 1432494A JP H07213879 A JPH07213879 A JP H07213879A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
membrane
polysulfone
weight
porous membrane
hydrophilic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP1432494A
Other languages
English (en)
Inventor
Jun Kamo
純 加茂
Seiya Koyanagi
精也 小▲柳▼
Yoshio Kawai
美穂 河合
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Rayon Co Ltd filed Critical Mitsubishi Rayon Co Ltd
Priority to JP1432494A priority Critical patent/JPH07213879A/ja
Priority to US08/377,706 priority patent/US5746916A/en
Priority to TW084100633A priority patent/TW336899B/zh
Priority to DE69501337T priority patent/DE69501337T2/de
Priority to KR1019950001356A priority patent/KR100346880B1/ko
Priority to EP95101062A priority patent/EP0665049B1/en
Publication of JPH07213879A publication Critical patent/JPH07213879A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】水系液体を処理するに当たって、特別の前処理
を行うことなく高い親水性、水透過速度を有すると共
に、耐熱水性、機械的強度に優れた親水性複合多孔質膜
を得ること。 【構成】厚み方向に対して垂直な方向に配向したフィブ
リルとスリット状微細孔を持ち、且つ該スリット状微細
孔が厚み方向に均一に積層し、更に厚み方向に貫通して
いるポリスルホン多孔質膜の細孔表面に、エチレン−ビ
ニルアルコール系共重合体を密着保持する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、精密濾過及び限外濾過
に使用される親水性複合多孔質膜及びその製造法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】高分子化合物を材料とした多孔質膜は、
超純水の製造や、工業排水・工程水の処理等の工業分
野、人工臓器・血奬分離等の医療分野、食品関連分野、
家庭用浄水器など幅応い分野における精密濾過及び限外
濾過に利用されている。
【0003】このような用途に用いられる高分子化合物
を材料とした多孔質膜としては様々なものが知られてお
り、その素材の特性により親水性膜と疎水性膜とに大別
される。親水性多孔質膜としては、セルロース、セルロ
ース誘導体、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニル
アルコール系共重合体等からなる多孔質膜がよく知られ
ている。親水性多孔質膜は水に濡れやすく、水系溶液の
濾過を行う際に特に前処理を必要としない反面、湿潤時
の機械的強度の低下、水による膨潤等が大きいという欠
点を有する。
【0004】疎水性多孔質膜としては、ポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリスルホン、ポリテトラフルオロエ
チレン等からなる多孔質膜が知られている。疎水性膜は
水による膨潤が少なく、湿潤による機械的強度の低下も
少ないという特徴があり、水系液体の濾過に広く用いら
れている。しかし、水系液体は疎水性表面を濡らさない
ため、多孔質膜の細孔中ヘの液体の浸透が困難であり、
使用する前に親水化処理を施す必要性がある。
【0005】親水化処理の方法としては、a)水との相
溶性が良好なアルコールやケトン等の有機溶剤によって
微細孔部分を含めた表面全体を湿潤処理した後、この有
機溶剤を水と置換する有機溶剤湿潤・水置換法、b)ポ
リエチレングリコールや界面活性剤等の親水性物質を多
孔質膜の表面に吸着させて多孔質膜に親水性を付与する
物理的吸着法(特開昭54−153972号、特開昭5
9−24732号)、c)親水性単量体を多孔質フィル
ムの表面に保持させた状態で放射線を照射する方法(特
開昭56−38333号)や疎水性樹脂の多孔質構造物
をプラズマ処理する方法(特開昭56−157437
号)等の化学的表面変性法が挙げられる。
【0006】しかしながら、a)の有機溶剤湿潤・水置
換法では、保存中や使用中に一旦微細孔内の水が抜ける
とその部分は疎水性に戻るので、多孔質周囲に常時水を
満たしておくことが必要であり、取り扱いが煩雑であ
る。また、b)の物理的吸着法は、操作は簡単である
が、長時間にわたって使用しているうちに親水性物質が
脱離するので必ずしも十分な親水化法であるとは言えな
い。
【0007】また、c)の化学的表面変性法では、放射
線を照射する方法及びプラズマ処理する方法のいずれに
おいても、膜厚方向の均一な親水化が難しく、膜が厚い
場合や、膜が中空糸状である場合に膜厚方向の全体にほ
ぼ均一に親水化処理をしようとすると、多孔質膜基質の
損傷、機械的強度の低下が避けられない点等が問題であ
った。
【0008】これらの問題点を改良するために、エチレ
ン−ビニルアルコール系共重合体等の親水性高分子化合
物を、ポリオレフィン多孔質膜の表面に密着保持させた
親水性複合多孔質膜が提案されている(特開昭61−2
71003号)。
【0009】また、2種の異なるポリマーをブレンドし
て溶融紡糸した後、延伸処理して異種ポリマーの界面を
開裂させて微孔性多孔質中空繊維を形成し、構成ポリマ
ー中に存在する側鎖基の加水分解、スルホン化等の後処
理によって、細孔の表面が親水化された親水性多孔質中
空繊維を製造することが提案されている(特開昭55−
137208号)。
【0010】更に、ポリオレフィン多孔質膜の細孔表面
上に親水性の重合体が強固に保持されてなる多孔質膜及
びその製造方法が提案されている(特開昭63−190
602号)。その技術の詳細は、ジアセトンアクリルア
ミドと架橋性モノマーとを含むモノマー類からなる親水
性架橋重合体を、ポリオレフィン多孔質膜の少なくとも
一部の細孔表面上に保持させてなる親水性多孔質膜であ
り、また、ジアセトンアクリルアミドと架橋性モノマー
とを含むモノマー類をポリオレフィン多孔質膜の少なく
とも一部の細孔表面上に保持させた状態で加熱重合させ
る製造方法である。
【0011】これらの複合多孔質膜は水溶性高分子化合
物を使用していないため、疎水性多孔質膜と同様に水系
溶液との接触時に水による膨潤並びに水による強度低下
が殆どなく、また表面が親水性の被覆層で構成されてい
るため水漏れ性がよく、特に親水化の前処理を行うこと
なしに濾過膜として使用できる。
【0012】しかし該親水性複合多孔質膜は、多孔質膜
の基材としてポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオ
レフィンが使用されているために、100℃の熱水中で
使用したり121℃の蒸気を用いてのオートクレーブ滅
菌処理を行うと、熱収縮による水透過速度の低下が起こ
るなど、耐熱水性の面で問題があった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は水系液
体の濾過処理に当たって、親水化に係る特別の前処理を
行うことなく使用が可能であり、しかも水透過速度が高
く機械的強度に優れ、なお且つ耐熱水性に優れた複合多
孔質膜を提供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、厚み方
向に対して垂直な方向に配向したフィブリルとスリット
状微細孔を持ち、且つ該スリット状微細孔が厚み方向に
均一に積層し、更に、厚み方向に貫通しているポリスル
ホン膜の細孔表面に、エチレン−ビニルアルコール系共
重合体が密着保持されていることを特徴とする親水性複
合多孔質膜および、多孔質構造を有するポリスルホン膜
を、エチレン−ビニルアルコール系共重合体を2重量%
を超えない範囲で溶解させたエタノールの含有率が30
〜70%であるエタノール/水混合溶媒に含浸させ、後
に乾燥させることを特徴とする親水性複合多孔質膜の製
造法にある。
【0015】本発明のポリスルホン膜は、厚み方向に対
して垂直な方向に配向したフィブリルからなり、フィブ
リルとフィブリルとの間隙部分がスリット状の微細孔と
なる。該フィブリルの直径は0.05〜5μmで、長さ
は0.2〜100μmである。また、膜の水透過速度と
機械的強度とのバランスの面から、フィブリルの直径は
0.1〜3μmで長さ0.5〜50μmが好ましい。該
スリット状微細孔は厚み方向に対して垂直な方向に配向
しており、また厚み方向に均一に積層して貫通している
ため、膜全体としては、厚み方向に均一な構造を有する
三次元網目構造となっている。
【0016】該多孔質膜のスリット状の微細孔の平均幅
は、0.01〜10μmが好ましく、より好ましくは
0.1〜5μmである。該多孔質膜のスリット状の微細
孔の平均長さは、0.05〜50μmが好ましく、より
好ましくは0.5〜50μmである。スリットの幅が
0.01μm未満或いはスリットの長さが0.05未満
の場合は、膜の水透過速度が滅少する傾向にあり、好ま
しくない。逆にスリットの幅が10μmを越える場合或
いはスリットの長さが50μmを越える場合は、機械的
強度が劣る傾向にあり、膜としての使用に耐えられな
い。
【0017】スリット状微細孔の平均長さと平均幅の比
(平均長さ/平均幅)は特に制限されるものではない
が、機械的強度の面から、好ましくは3以上、より好ま
しくは5以上、更に好ましくは8以上である。
【0018】該多孔質膜は、厚み方向に対して垂直な方
向に配向したフィブリルからなり、且つ、厚み方向に垂
直な方向に配向したスリット状微細孔が厚み方向に積層
し貫通孔を形成しており、なお且つ厚み方向に均一な構
造を有しているため、湿式法で製造した非対称膜より
も、膜の水透過量が高く、なお且つ機械的強度に優れ
る。
【0019】また、該多孔質膜は、平均粒子径が0.0
1〜10μm好ましくは0.1〜5μmである微粒子を
60重量%を超えない範囲で含有していてもよい。微粒
子の含有量が60重量%を越えない範囲では、ポリスル
ホンのみの多孔質膜よりも耐熱性及び耐圧性に優れる
が、含有量が60重量%を越えると、膜が脆くなり、機
械的強度が低下する。
【0020】該微粒子は、平均粒子径が0.01〜10
μmであれば特に制限はなく、無機微粒子でも有機微粒
子でも使用することができる。無機微粒子としては、例
えば、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシ
ウム、酸化チタン、シリカ、アルミナ、硫酸アルミニウ
ム、硫酸バリウム、タルク、クレー等が挙げられ、有機
微粒子としてはナイロン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、
メラニン樹脂、架橋シリコーン樹脂、架橋ポリスチレン
樹脂、架橋PMMA樹脂、ゴム微粒子等が挙げられる。
また、該微粒子は、マトリックスとなるポリスルホンヘ
の分散性を向上させるために表面処理を施されていても
よい。
【0021】本発明のポリスルホンは、その分子中に−
SO2−基を有するモノマーユニットからなるポリマー
のうちの非晶性ポリマーである。例えば、下記の一般式
(1)で示されるポリスルホン(以下、一般式(1)か
ら(5)においてnは整数を表す。また、式中のベンゼ
ン環は、アルキル基、ハロゲン、ニトロ基、スルホニル
基、カルボキシル基等で置換されていてもよい)、一般
式(2)で示されるポリエーテルスルホン、一般式
(3)で示されるポリアリルスルホン、一般式(4)で
示されるポリフェニレンスルフィドスルホン、一般式
(5)で示される化合物等のポリマーが挙げられる。
【0022】
【化1】
【0023】多孔質膜の細孔表面に、エチレン−ビニル
アルコール系共重合体が密着保持されているとは、中空
糸内壁面より外壁面ヘ貫通している微細孔或いは平膜の
表面より裏面ヘ貫通している微細孔を形成している壁面
の少なくとも一部にエチレン−ビニルアルコール系共重
合体からなる薄膜が物理的或いは化学的に密着保持され
ているということである。
【0024】本発明は、疎水性ポリマーであるポリスル
ホンからなる多孔質膜と親水性ポリマーであるエチレン
−ビニルアルコール系共重合体からなる薄膜との複合多
孔質膜であるため、疎水性多孔質膜と同様に水系溶液と
の接触時に水による膨潤並びに水による強度低下が殆ど
なく、また表面が親水性の被覆層で構成されているため
水濡れ性がよく、特に親水化の前処理を行うことなしに
濾過膜として使用できる。
【0025】更に、多孔質膜の基材となるポリスルホン
が耐熱水性に優れた素材であるため、100℃の熱水中
で使用したり121℃の蒸気でのオートクレーブ滅菌処
理を施した時の熱による収縮が0.5%以下であり、水
透過速度の低下を起こすことなく使用できる。
【0026】本発明の親水性複合多孔質膜は、ポリスル
ホン40〜95重量%と平均粒子径が0.01〜10μ
mである微粒子60〜5重量%とからなる賦形物を延伸
することによって得られた多孔質構造を有するポリスル
ホン膜を、エチレン−ビニルアルコール系共重合体を2
重量%を超えない範囲好ましくは1.5重量%溶解させ
たエタノールの含有率が30〜70%であるエタノール
/水混合溶媒に含浸させ、後に乾燥させることによって
製造することができる。
【0027】また、ポリスルホン40〜95重量%と平
均粒子径が0.01〜10μmである微粒子60〜5重
量%とからなる賦形物を延伸し、次いで該微粒子を抽出
することによって得られた多孔質構造を有するポリスル
ホン膜を、エチレン−ビニルアルコール系共重合体を2
重量%を超えない範囲好ましくは1〜1.5重量%溶解
させたエタノールの含有率が30〜70%であるエタノ
ール/水混合溶媒に含浸させ、後に乾燥させることによ
っても製造することができる。
【0028】微粒子は、賦形物中に均一に分散されてい
ることが好ましい。微粒子の分散に極端な偏りがある
と、後の工程である延伸が不均一となり高倍率に延伸す
ることが困難になる傾向にあり、また、延伸により生じ
るスリット状微細孔が厚み方向に対して不均一に存在
し、好ましくない。
【0029】ポリスルホンと微粒子との混合割合は、ポ
リスルホン40〜95重量%、微粒子60〜5重量%で
あることが好ましく、より好ましい範囲は、ポリスルホ
ン40〜90重量%、微粒子60〜10重量%であり、
更に好ましい範囲は、ポリスルホン40〜85重量%、
微粒子60〜15重量%である。微粒子の混合率が60
重量%を越えると、後の工程である延伸が困難となる傾
向にあり、好ましくない。
【0030】微粒子の平均粒子径は0.01〜10μm
であることが好ましく、より好ましくは0.1〜5μm
の範囲である。微粒子の平均粒子径が0.01μmより
小さい場合には延伸を行っても多孔化しにくい傾向にあ
り、逆に平均粒子径が10μmを越える場合には、延伸
により生じる微細孔のスリット幅が大きくなりすぎて、
機械的強度に劣る傾向にあり、膜としての使用に耐えに
くくなるため、好ましくない。
【0031】ポリスルホンと微粒子との混合方法は、特
に限定されず、公知の混合方法が使用できる。倒えば、
前記成分をヘンシェルミキサー等の混合機に添加し混合
することもできるし、一軸或いは二軸のスクリュー押し
出し機により溶融混練し、押し出し物を切断してぺレッ
トとした後に使用することもできる。次いで、上記混合
物を所定の形状に賦形する。賦形方法は、公知の種々の
成形法を用いることができる。
【0032】例えば、多孔質膜が平膜の場合には、Tダ
イによる溶融押し出し成形法、圧縮成形法、キャスト成
形法等公知の方法によりフィルム状に賦形できる。ま
た、多孔質膜が中空繊維膜の場合には、溶融賦形法によ
り中空繊維状に賦形できる。溶融賦形の際に用いる中空
繊維製造用ノズルとしては、二重円筒タイプ、ブリッジ
タイプ等の公知のものを用いることができる。
【0033】溶融賦形温度は、ポリスルホンのガラス転
移温度(Tg)〜Tg+200℃の範囲であることが好
ましい。Tg未満では賦形が困難であり、逆にTg+2
00℃を越えるとポリスルホンが熱劣化する恐れがあ
る。
【0034】多孔質膜が中空繊維膜の場合には、ノズル
から吐出された前記混合物は、ドラフト比1〜200の
範囲で巻き取られることが好ましく、より好ましいドラ
フト比の範囲は5〜100であり、更に好ましい範囲は
10〜50である。ドラフト比が1より小さい場合には
安定して巻き取ることが困難になる傾向にあり、逆に、
ドラフト比が200を越えると未延伸糸の配向が進み、
後の工程で高倍率に延伸することが困難になる傾向があ
る。
【0035】次いで得られた賦形物を延伸する。延伸
は、通常、厚みの方向に対して垂直な方向に行う。該賦
形物は、延伸することにより多孔質構造となる。延伸温
度は、ポリスルホンのTg以上が好ましく、より好まし
くはTg〜Tg+100℃の温度範囲であり、更に好ま
しくはTg〜Tg+50℃の温度範囲であり、最も好ま
しくはTg〜Tg+30℃の範囲である。Tg未満で
は、ポリスルホンの流動性が低いため、高倍率に延伸す
ることが困難となる。
【0036】しかし、50%までの延伸量(即ち延伸比
1.5倍)ならばTg未満の温度でも延伸が可能であ
り、この後Tg以上で延伸する方法も採用される。逆
に、Tg+100℃を超えた温度では、ポリスルホンの
流動性が高くなりすぎるため、変形に対してポリスルホ
ンが追従し、微細孔が形成されない傾向にあり、好まし
くない。
【0037】延伸時の変形速度は200%/分以上が必
要であり、より好ましくは500%/分以上、更に好ま
しくは1000%/分以上、最も好ましくは3000%
/分以上である。変形速度が200%/分未満では、延
伸が不均一となり延伸時に糸切れが発生しやすくなり、
安定して高倍率に延伸することが困難となる傾向にあ
り、好ましくない。
【0038】延伸量は、100〜900%(即ち延伸比
2.0〜10.0倍)が好ましく、より好ましくは20
0〜800%(延伸比3.0〜9.0倍)であり、膜の
水透過速度の面から更に好ましくは300〜800%
(延伸比4.0〜9.0倍)である。延伸量が100%
未満では、微粒子の周りに発生したスリット状微細孔
は、それぞれ独立しており、貫通孔を形成しにくい傾向
にあり、好ましくない。100%以上延伸することによ
り、発生したスリット状微細孔同士が連結して厚み方向
に貫通した孔となる。逆に延伸量が900%を越える
と、延伸時に糸切れが発生しやすくなる傾向にあり、好
ましくない。多孔質膜が平膜の場合には、1軸延伸して
もよいし、機械的強度を低下させない程度に2軸延伸し
てもよい。
【0039】また、該多孔質膜から微粒子を抽出しても
よい。抽出は、公知の方法で抽出できる。抽出液は、微
粒子を溶解し、なお且つポリスルホンを溶解しない液体
であれば、酸性水溶液、アルカリ水溶液、有機溶媒等何
でも使用できる。抽出条件は、微粒子の種類と抽出液の
溶解性により異なるが、微粒子は多孔質膜中にあるた
め、微粒子単独での溶解条件より厳しくすることが好ま
しい。即ち、抽出温度、抽出液濃度を高く、また抽出時
間を長くすることが好ましい。また、抽出は静的浸漬の
みでもよいが、抽出を速やかに行うために抽出液を攪拌
するか、多孔質膜を抽出液中で動かすかするほうが好ま
しい。
【0040】以上の方法で得られたポリスルホンの多孔
質膜の特徴は、ポリスルホンと微粒子からなる賦形物を
延伸することにあり、延伸することによってフィブリル
とスリット状微細孔が厚み方向に対して垂直な方向に配
向する。即ち、延伸によって微粒子周辺のマトリックス
ポリマーにボイドやクレーズが発生し、これらが延伸と
ともに拡大してスリット状の微細孔となると同時に、非
晶性ポリマーであるポリスルホンの分子鎖が引き伸ばさ
れてフィブリル化する。
【0041】従って、フィブリルとフィブリルとの間隙
部分がスリット状微細孔となり、フィブリル及びスリッ
ト状微細孔はともにその長手方向が、延伸方向と同一方
向、即ち厚み方向に対して垂直な方向に配向する。多孔
質膜が中空繊維膜である揚合に、延伸は通常繊維軸方向
に行うため、フィブリル及びスリット状微細孔の長手方
向は、繊維軸方向に配向する。また、微粒子はポリスル
ホン中に均一に分散しているため、延伸により生じるス
リット状微細孔は、厚み方向に積層し、且つ、厚み方向
に均一に存在することになる。
【0042】上記の方法で得られたポリスルホン多孔質
膜を、エチレン−ビニルアルコール系共重合体を2重量
%を超えない範囲好ましくは1〜1.5重量%溶解させ
たエタノールの含有率が30〜70%であるエタノール
/水混合溶媒に含浸させ、次いで50〜80℃の窒素雰
囲気下で予備乾燥させた後に40〜60℃で乾燥させる
ことによって親水性複合多孔質膜が得られる。
【0043】エチレン−ビニルアルコール系共重合体
は、2重量%を超えない範囲で溶解させるのが好まし
い。水透過速度と親水性(即ち透水圧)のバランスか
ら、1〜1.5重量%がより好ましい。2重量%を超え
て溶解させると、エチレン−ビニルアルコール系共重合
体は完全に溶解できないために、溶解できなかった該エ
チレン−ビニルアルコール系共重合体が多孔質膜に不均
一に付着したりするので、膜の製造工程の面から好まし
くない。逆に、エチレン−ビニルアルコール系共重合体
の含有率があまりに少なすぎると、該多孔質膜ヘの付着
量が少ないために満足のいく親水性が発現されにくいの
で好ましくない。
【0044】
【実施例】以下、実施例によって本発明を説明する。
「水透過速度」は、微細孔の孔径及び空孔率が同一であ
っても膜厚に依存するため、膜性能の指標としては膜厚
で換算することが好ましい。水透過速度は膜厚に反比例
するので以下の式により換算し、水透過速度WFrを計
算した。 WFr=WF×t ここで、tは膜厚(μm)、WFは多孔質膜の一方から
25℃の水を流して、膜間差圧が50mmHgにおける
水透過量の実測値から求めた水透過速度(l/m2・h
r・mmHg)である。
【0045】〔実施例1〕ポリスルホン70重量%に粒
子径0.8μmの架橋シリコーン微粒子(東芝シリコー
ン(株)製、商品名;トスパール108)30重量%を
混合し、2軸押し出し機により330℃で混練し、ペレ
ットを得た。
【0046】得られたペレットを2重円筒型中空繊維製
造ノズルを用いて、紡糸温度330℃、ドラフト比25
で紡糸した。次いで得られた未延伸中空繊維を、延伸温
度205℃、変形速度5000%/分で、延伸量が40
0%となるよう熱延伸した。得られたポリスルホン多孔
質中空糸膜は内径410μm、外径470μmであっ
た。この多孔質中空糸膜を、エチレン−ビニルアルコー
ル系共重合体を1.5重量%溶解させたエタノールの含
有率が60%であるエタノール/水混合溶媒に含浸さ
せ、60℃の窒素雰囲気下で予備乾燥した後に50℃で
乾燥した。
【0047】得られた親水性複合多孔質中空糸膜の最大
孔径(バブルポイント測定法)は0.61μm、平均孔
径(エアーフロー法)は0.37μmであり、水透過速
度は4.0×102μm・l/m2・hr・mmHgであ
った。この中空糸100本をU字型に束ね、中空糸端部
を樹脂でハウジングに固定して中空糸有効長10cmの
濾過モジュールを作製した。このモジュールに0.2k
g/cm2という低い水圧で水を透過したところ優れた
透水性を示した。
【0048】得られた中空糸に、121℃の蒸気を用い
てオートクレーブ滅菌処理を30分間施したところ、収
縮率は0.16%と大変低い値であった。
【0049】〔実施例2〕ポリスルホン70重量%に粒
子径1μmの炭酸カルシウム(備北粉化工業(株)製、
商品名;ライトンP.O.220B−10)を30重量
%を混合し、2軸押し出し機により330℃で混練し、
ぺレットを得た。
【0050】得られたペレットを2重円筒型中空繊維製
造ノズルを用いて、紡糸温度330℃、ドラフト25で
紡糸した。次いで得られた未延伸中空繊維を、延伸温度
205℃、変形速度5000%/分で、延伸量が400
%となるように熱延伸した。得られたポリスルホン多孔
質中空糸膜は、内径410μm、外径470μmであっ
た。この多孔質中空糸膜を、1規定塩酸中に24時間浸
漬し、炭酸カルシウムを抽出した。
【0051】この中空糸膜を、エチレン−ビニルアルコ
ール系共重合体を1.5重量%溶解させたエタノールの
含有率が60%であるエタノール/水混合溶媒に含浸さ
せ、60℃の窒素雰囲気下で予備乾燥した後に50℃で
乾燥した。得られた親水性複合多孔質中空糸膜の最大孔
径(バブルポイント測定法)は1.6μm、平均孔径
(エアーフロー法)は0.9μmであり、水透過速度は
2.1×103μm・l/m2・hr・mmHgであっ
た。この中空糸100本をU字型に束ね、中空糸端部を
樹脂でハウジングに固定して中空糸有効長10cmの濾
過モジュールを作製した。このモジュールに0.2kg
/cm2という低い水圧で水を透過したところ優れた透
水性を示した。
【0052】得られた中空糸に121℃の蒸気を用いて
オートクレーブ滅菌処理を30分間施したところ、収縮
率は0.21%という大変低い値であった。
【0053】〔比較例1〕高分子量ポリプロピレン(三
井石油化学(株)製)を2重円筒型中空繊維製造ノズル
を用いて、紡糸温度200℃、ドラフト比460で紡糸
した。この未延伸中空糸を、145℃の加熱空気中で8
時間、定長下で熱処理した。この中空糸を室温で延伸量
が25%となるよう延伸した後、150℃で総延伸量が
420%になるまで熱延伸し、その後152℃で定長下
熱セットを行った。得られた中空糸膜は内径が310μ
m、外径は450μmであった。
【0054】この中空糸膜をエチレン−ビニルアルコー
ル系共重合体を1.5重量%溶解させたエタノールの含
有率が40%であるエタノール/水混合溶媒に含浸さ
せ、60℃の窒素雰囲気下で予備乾燥した後に50℃で
乾燥した。得られた親水性複合多孔質中空糸膜の最大孔
径(バブルポイント測定法)は0.22μm、平均孔径
(エアーフロー法)は0.18μmであった。得られた
中空糸に、121℃の蒸気を用いてオートクレーブ減菌
処理を30分間施したところ、収縮率は8.06%であ
った。
【0055】
【発明の効果】以上詳述した如く、本発明における複合
多孔質膜では、膜基材としてポリスルホンを用い、膜表
面にエチレン−ビニルアルコール系共重合体を密着保持
しているので、特別の前処理を行うことなく、高い親水
性及び水透過速度を有するとともに、耐熱水性、機械的
強度に優れた複合多孔質膜を得ることができる。この様
な複合多孔質膜は、例えば蒸気減菌が必要とされる医療
用途、食品関連分野、家庭用浄水器分野、工業排水処理
や石油精製等の工業分野、その他の高温での濾過分離用
等幅広い分野への応用が可能である。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】厚み方向に対して垂直な方向に配向したフ
    ィブリルとスリット状微細孔を持ち、且つ該スリット状
    微細孔が厚み方向に均一に積層し、更に、厚み方向に貫
    通しているポリスルホン膜の細孔表面に、エチレン−ビ
    ニルアルコール系共重合体が密着保持されていることを
    特徴とする親水性複合多孔質膜。
  2. 【請求項2】スリット状の微細孔の寸法が、平均幅0.
    01〜10μmであり、平均長さ0.05〜50μmで
    あることを特徴とする請求項1記載の親水性複合多孔質
    膜。
  3. 【請求項3】スリット状微細孔の平均長さと平均幅の比
    (平均長さ/平均幅)が3以上である請求項1記載の親
    水性複合多孔質膜。
  4. 【請求項4】多孔質構造を有するポリスルホン膜が、平
    均粒子径が0.01〜10μmである微粒子を60重量
    %を超えない範囲で含有していることを特徴とする請求
    項1記載の親水性複合多孔質膜。
  5. 【請求項5】多孔質構造を有するポリスルホン膜が中空
    繊維膜であり、スリット状微細孔の長手方向が、繊維軸
    方向に配向していることを特徴とする請求項1記載の親
    水性複合多孔質膜。
  6. 【請求項6】多孔質構造を有するポリスルホン膜が平膜
    であることを特徴とする請求項1記載の親水性複合多孔
    質膜。
  7. 【請求項7】ポリスルホン40〜95重量%と平均粒子
    径が0.01〜10μmである微粒子60〜5重量%と
    からなる賦形物を変形速度200%/分以上で延伸する
    ことによって得られた多孔質構造を有するポリスルホン
    膜を、エチレン−ビニルアルコール系共重合体を2重量
    %を超えない範囲で溶解させたエタノールの含有率が3
    0〜70%であるエタノール/水混合溶媒に含浸させ、
    後に乾燥させることを特徴とする請求項1記載の親水性
    複合多孔質膜の製造法。
  8. 【請求項8】ポリスルホン40〜95重量%と平均粒子
    径が0.01〜10μmである微粒子60〜5重量%と
    からなる賦形物を変形速度200%/分以上で延伸し、
    次いで該微粒子を抽出することによって得られた多孔質
    構造を有するポリスルホン膜を、エチレン−ビニルアル
    コール系共重合体を2重量%を超えない範囲で溶解させ
    たエタノールの含有率が30〜70%であるエタノール
    /水混合溶媒に含浸させ、後に乾燥させることを特徴と
    する請求項1記載の親水性複合多孔質膜の製造法。
JP1432494A 1994-01-26 1994-02-08 親水性複合多孔質膜とその製法 Pending JPH07213879A (ja)

Priority Applications (6)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1432494A JPH07213879A (ja) 1994-02-08 1994-02-08 親水性複合多孔質膜とその製法
US08/377,706 US5746916A (en) 1994-01-26 1995-01-25 Microporous membrane made of non-crystalline polymers and method of producing the same
TW084100633A TW336899B (en) 1994-01-26 1995-01-25 Microporous membrane made of non-crystalline polymers and method of producing the same
DE69501337T DE69501337T2 (de) 1994-01-26 1995-01-26 Mikroporöse Membran aus nicht kristallinen Polymeren und Verfahren zu ihrer Herstellung
KR1019950001356A KR100346880B1 (ko) 1994-01-26 1995-01-26 비결정성중합체로제조된미공성막및그의제조방법
EP95101062A EP0665049B1 (en) 1994-01-26 1995-01-26 Microporous membrane made of non-crystalline polymers and method of producing the same

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1432494A JPH07213879A (ja) 1994-02-08 1994-02-08 親水性複合多孔質膜とその製法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH07213879A true JPH07213879A (ja) 1995-08-15

Family

ID=11857901

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP1432494A Pending JPH07213879A (ja) 1994-01-26 1994-02-08 親水性複合多孔質膜とその製法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07213879A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003053164A (ja) * 2001-08-20 2003-02-25 Kuraray Co Ltd 病原性原生動物の除去方法およびこれに用いられる分離膜
KR100575113B1 (ko) * 2000-06-21 2006-05-03 가부시키가이샤 구라레 다공질 중공 섬유막 및 이의 제조방법
JP2007030471A (ja) * 2005-07-29 2007-02-08 Toyobo Co Ltd 隠蔽性良好なヒートシール性ポリオレフィン系発泡フイルム
WO2019168134A1 (ja) * 2018-02-28 2019-09-06 東レ株式会社 複合半透膜及び複合半透膜の製造方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100575113B1 (ko) * 2000-06-21 2006-05-03 가부시키가이샤 구라레 다공질 중공 섬유막 및 이의 제조방법
JP2003053164A (ja) * 2001-08-20 2003-02-25 Kuraray Co Ltd 病原性原生動物の除去方法およびこれに用いられる分離膜
JP2007030471A (ja) * 2005-07-29 2007-02-08 Toyobo Co Ltd 隠蔽性良好なヒートシール性ポリオレフィン系発泡フイルム
JP4591259B2 (ja) * 2005-07-29 2010-12-01 東洋紡績株式会社 隠蔽性良好なヒートシール性ポリオレフィン系発泡フイルム
WO2019168134A1 (ja) * 2018-02-28 2019-09-06 東レ株式会社 複合半透膜及び複合半透膜の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Dzinun et al. Morphological study of co-extruded dual-layer hollow fiber membranes incorporated with different TiO2 loadings
KR100346880B1 (ko) 비결정성중합체로제조된미공성막및그의제조방법
KR101930147B1 (ko) 중공사막, 및 중공사막의 제조 방법
KR20050109556A (ko) 불화비닐리덴계 수지 다공막 및 그의 제조 방법
JP2008543546A (ja) ポリマー膜の架橋処理
JPH0122003B2 (ja)
JP4012822B2 (ja) 微多孔膜およびその製造方法
WO2002102500A1 (en) Membrane polymer compositions
JPWO2017126501A1 (ja) 流体分離膜、流体分離膜モジュールおよび多孔質炭素繊維
US3933653A (en) Membranes of acrylonitrile polymers for ultrafilter and method for producing the same
EP1080777A1 (en) Ultrafiltration membrane and method for producing the same, dope composition used for the same
JPH07213879A (ja) 親水性複合多孔質膜とその製法
CN112619451A (zh) 一种亲水性聚四氟乙烯中空纤维微滤膜的制备方法
JPH0478729B2 (ja)
JPS62117812A (ja) 中空繊維およびその製造方法
JPS61164602A (ja) ポリスルホン系樹脂製中空糸膜
Wang et al. Preparation of poly (4‐methyl‐1‐pentene) asymmetric or microporous hollow‐fiber membranes by melt‐spun and cold‐stretch method
JPH03258330A (ja) 多孔性中空糸膜
JPH0468010B2 (ja)
JP4832739B2 (ja) フッ化ビニリデン系樹脂多孔膜の製造方法
KR20070103187A (ko) 폴리불화비닐리덴계 다공성 중공사막 및 이의 제조방법
CN114749035B (zh) 低压大通量中空纤维纳滤膜、其制备方法及其应用
JPH06128406A (ja) ポリテトラフルオロエチレン系樹脂多孔性膜の製法
JPH0952030A (ja) ポリビニルアルコール系中空繊維膜及びその製造方法
JPH0468011B2 (ja)