JP4591259B2 - 隠蔽性良好なヒートシール性ポリオレフィン系発泡フイルム - Google Patents
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本発明における発泡層(A)、シール層(B)から構成されたヒートシール性ポリオレフィン系発泡フィルムの発泡層(A)に使用されるベースポリマーは、プロピレンを主たるモノマー単位として含むものであり、プロピレンの単独重合体のほか、プロピレンと共重合可能なα―オレフィン、すなわち、エチレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンなどを共重合せしめた共重合体を使用することができる。該共重合体においてはプロピレンが90モル%以上の重合体であることが好ましい。また上記ポリプロピレン樹脂はメルトフローレイト(MFR、JIS−K−7210;230℃、2.16kg荷重)が0.5〜40g/10分、特に1〜15g/10分のものが好ましい。また融点は一般的に120〜180℃、好ましくは150〜170℃である。
また炭酸カルシウムの粒経が本発明においては重要であり、すなわち平均粒子径が0.8μm以上、1.8μm以下、標準偏差が2.0以下であり、比表面積が20000cm2/g以上、25000cm2/g以下の場合に良好な隠蔽性を達成する。明確なメカニズムは検証できていないが、発泡核剤の大きさと粒度分布がボイドの生成に寄与し、光線を遮蔽するのに適当な大きさのボイドを均一に発生せしめるものと推測する。
ここでいう、発泡とはポリオレフィン系樹脂に非相溶の樹脂や無機又は有機微粒子を配合し、製膜後延伸することにより、ポリオレフィン系樹脂と非相溶の樹脂や微粒子との界面に微細な空洞が生成することあり、その程度はボイド率で表すのが一般的である。
本発明において、好ましいボイド率は、25%〜35%である。
添加する無機質あるいは有機質の微細粒子の平均粒径は0.1〜0.3μmが好適であり、含有量は0.5〜18重量%であることが好適である。この微細粒子は、ボイドを形成しないものが好ましい。特に二酸化チタンが好適である。
有機質の粒子としては、アクリル、アクリル酸メチル、スチレン−ブタジエンなどの架橋体粒子を使用することができ、形状、大きさに関しては無機質微細粒子と同様に様々なものを使用することが可能である。また、これら無機質あるいは有機質の微細粒子表面に各種の表面処理を施すことも可能であり、また、これらは単独で使用し得るほか、2種以上を併用することも可能である。
また、通常ポリオレフィンフイルムに配合される公知の安定剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、加工助剤、可塑剤も適宜配合できる。
添加する微細粒子の平均粒径は1〜7μm、添加量は1000〜5000ppmが好適である。
これらの粒子の粒径は、粒子の製造メーカーのカタログの記載の測定方法によるものである。
また、本発明においては、発泡層厚みが20μm以下であるのが、ボイド率増加による層間強度向上の点で好ましい。
該ヒートシール性ポリオレフィン系発泡フィルムの中間層(C)及びに使用されるポリマーとしては、上記シール層(B)を形成する樹脂の、少なくとも1種のポリオレフィン系樹脂種を含有することが好ましい。
ここでいう、少なくとも1種のポリオレフィン系樹脂とは、上記シール層(B)を形成するポリオレフィン系樹脂と同じ共重合成分を含むポリプロピレン樹脂を意味する。
ここでいう、少なくとも1種のポリオレフィン系樹脂とは、上記シール層(B)を形成するポリオレフィン系樹脂と同じ共重合成分を含むポリプロピレン樹脂を意味する。
また、実質的に発泡していないことが好ましい。中間層が発泡することで、層間強度が低下し、本発明の目的の一つに挙げられる良好なシール性が達成できなくなる。
また、ヒートシール温度90℃、シール圧力1MPa、シール時間1秒間でのシール強度が3.0N/15mm以上であることが好適である。
但し、本発明のフィルムは少なくとも2種類の樹脂層を積層することが必須であり、その積層方法は、発泡層(A)、シール層(B)をそれぞれ別々の押し出し機より溶融混錬し、Tダイ内で積層した上で押し出すことが好ましい実施態様である。
延伸工程では、面積倍率で8〜50倍程度、好ましくは10〜40倍程度に延伸することができる。また、延伸方法は、1軸延伸、2軸延伸を問うものではなく、2軸延伸の場合も、同時2軸延伸法、逐次2軸延伸法などで実施することができるが逐次2軸延伸が一般的である。
そのメカニズムは現在検証中であるが、以下のように推定している。すなわち冷却ロール温度が50℃以上100℃以下で溶融樹脂が徐冷された場合、ベース樹脂であるポリオレフイン系樹脂の結晶化が次工程の縦延伸、横延伸工程まで進行しつづけることで結晶化度が高くなり、延伸時の延伸応力が高くなる。すなわち延伸時に発泡核剤との剥離が発生しやすくなり、ボイドの大量発生、隠蔽性能向上が可能となる。一方50℃未満の場合は溶融樹脂の急冷にて樹脂の結晶化度は低くなり、延伸時の延伸応力低下するためボイドの生成が抑えられていると推定する。通常、フイルム製膜時には延伸応力の低減、透明性向上、シートの平面性維持のため、低温ロールでの急冷が一般的であるが本発明では隠蔽性を付与するために高温で冷却するのが好適である。
接触式温度計(アンリツ製HA−400E)にて測定。
JIS K7105に準拠して全光線透過率を測定した。
サンプルを280mm×400mmのサイズにカットし、化学天秤にて重さを測定する。その後ダイヤルゲージを用いて厚みを測定する。それらの結果を以下の式(1)に当てはめ算出する。
見かけ比重(g/cm3) = 重さ(g)/(面積(cm2)×厚み(μm)) (1)
150mm×150mmにカットしたサンプルフイルム1枚を、片手で無作為に3秒間握りつぶし、その後そのサンプルを広げ、シワの入り方を目視観察する事で腰感の評価実施した。
○・・・握りつぶしによるシワのみ存在する。
×・・・握りつぶしによるシワとそのシワを起因とした細かいシワが多数存在する。
JIS Z1707に準拠してシール強度測定実施した。具体的な手順を簡単に以下に記す。ヒートシーラーにて、サンプルのシール層面同士を接着。該接着サンプルを、引張強度試験機(東洋測機社製:商品名テンシロンUTM)を使用して、T時剥離強度の測定を行った。この時のシール圧力は10N/cm2、シール時間は1秒、シール温度は130℃、引張速度は200mm/分、試験片幅は15mm幅である。単位はN/15mmで示す。
フィルム製膜時のTダイリップ口のリップ汚れの発生状況を目視観察し、リップ汚れによる樹脂流下異常発生しないようにリップ掃除必要と判断されるまでの時間を測定した。
マイクロトラック HRA X−100にて測定。
恒圧通気式粉体比表面積測定装置にて測定。
本実施例としては、シール層(B)/発泡層(A)/シール層(B)の2種3層構成からなる発泡フィルムであり、シール層(B)は、同一の押出し機から押出しし、ダイス前のアダプターにて分流させた同一の樹脂組成物からなる構成である。
詳細には一方の押し出し機より発泡層(A)としてポリプロピレン単独重合体(住友化
学製「FS2011DG3」MFR=2.5g/10分)55重量部、炭酸カルシウム・二酸化チタン混合マスターバッチ(ポリプロピレン40%、炭酸カルシウム(備北粉化工業製「PO−220B−10」平均粒子径が1.5μm、比表面積が22000cm2/g )48%、二酸化チタン12%)25重量部、二酸化チタンマスターバッチ(大日本インキ製「L−11145M」ポリプロピレン40%、二酸化チタン60%)20重量部を混合後、250℃の樹脂温度で溶融押し出しし、もう一方の押し出し機によりシール層(B)として、プロピレン−ブテン共重合体(住友化学製「FSX89E3」MFR=9g/10分、ブテン成分18%)70重量部、プロピレン−エチレン−ブテン共重合体(住友化学製「FSX66E8」MFR=3g/10分、エチレン成分2%、ブテン成分5%)30重量部にアンチブロッキング剤として炭酸カルシウム粒子(平均粒子径5μm)1500ppmを添加し、260℃の樹脂温度で溶融押し出しし、Tダイ内にて発泡層(A)、シール層(B)を積層し、50℃の冷却ロールにて冷却固化し未延伸シートを得た。
引き続き、130℃に加熱された金属ロール間で、周速差を利用してタテ方向に4.5倍延伸し、さらにテンター延伸機に導入し、ヨコ方向に9.0倍の延伸を行った上で、フィルムワインダーにより巻き取ってフィルムを得た。最終的なフィルム厚みは、22μmである。また発泡層(A)シール層(B)のそれぞれの層構成はシール層(B)/発泡層(A)/シール層(B)=2μm/18μm/2μmであった。
本フィルムは、隠蔽性良好でシール性の付与されたフィルムであった。またTダイリップ掃除回数は16時間に1回であった。特性値を表1に示す。
本実施例としては、シール層(B)/発泡層(A)/シール層(B)の2種3層構成からなる発泡フィルムであり、シール層(B)は、同一の押出し機から押出しし、ダイス前のアダプターにて分流させた同一の樹脂組成物からなる構成である。
詳細には一方の押し出し機より発泡層(A)としてポリプロピレン単独重合体(住友化学製「FS2011DG3」MFR=2.5g/10分)55重量部、炭酸カルシウム・二酸化チタン混合マスターバッチ(ポリプロピレン40%、炭酸カルシウム(備北粉化工業製「PO−220B−10」平均粒子径が1.5μm、比表面積が22000cm2/g )48%、二酸化チタン12%)25重量部、二酸化チタンマスターバッチ(大日本インキ製「L−11145M」ポリプロピレン40%、二酸化チタン60%)20重量部を混合後、250℃の樹脂温度で溶融押し出しし、もう一方の押し出し機によりシール層(B)として、プロピレン−ブテン共重合体(住友化学製「FSX89E3」MFR=9g/10分、ブテン成分18%)70重量部、プロピレン−エチレン−ブテン共重合体(住友化学製「FSX66E8」MFR=3g/10分、エチレン成分2%、ブテン成分5%)30重量部にアンチブロッキング剤として炭酸カルシウム粒子(平均粒子径5μm)1500ppmを添加し、260℃の樹脂温度で溶融押し出しし、Tダイ内にて発泡層(A)、シール層(B)を積層し、80℃の冷却ロールにて冷却固化し未延伸シートを得た。
引き続き、130℃に加熱された金属ロール間で、周速差を利用してタテ方向に4.5倍延伸し、さらにテンター延伸機に導入し、ヨコ方向に9.0倍の延伸を行った上で、フィルムワインダーにより巻き取ってフィルムを得た。最終的なフィルム厚みは、23μmである。また発泡層(A)シール層(B)のそれぞれの層構成はシール層(B)/発泡層(A)/シール層(B)=2μm/19μm/ 2μmであった。
本フィルムは、隠蔽性良好でシール性の付与されたフィルムであった。またTダイリップ掃除回数は16時間に1回であった。特性値を表1に示す。
実施例2において、発泡層(A)に添加する炭酸カルシウムを平均粒子径が2.1μm、比表面積が19000cm2/g にした以外は全く同様の方法でヒートシール性ポリオレフィン系発泡フィルムを得た。本フィルムは、隠蔽性良好でシール性の付与されたフィルムであった。特性値を表1に示す。
層構成を、シール層(B)/中間層(C)/発泡層(A)/表面層(D)とし、シール層(B)、発泡層(A)は実施例1と同じ組成とし、中間層(C)、表面層(D)として、ポリプロピレン単独重合体(住友化学製「FS2011DG3」 MFR=2.5g/10分)20重量部、ポリプロピレン単独重合体(住友化学製「FS7053G3」MFR=7.0g/10分)30重量部、プロピレン−エチレン−ブテン共重合体(住友化学製「FSX66E8」 MFR=3g/10分、エチレン成分2.5%、ブテン成分7%)50重量部を260℃の樹脂温度にて第三の押し出し機より溶融押し出しし、Tダイ内にて積層した以外は全く実施例1と同様の方法でヒートシール性ポリオレフィン系発泡フィルムを得た。本フィルムは実施例1のフィルムと比較し、シール強度の向上したフィルムとなった。特性値を表2に示す。
層構成を、シール層(B)/中間層(C)/発泡層(A)/表面層(D)とし、シール層(B)、発泡層(A)は実施例2と同じ組成にし、中間層(C)、表面層(D)として、ポリプロピレン単独重合体(住友化学製「FS2011DG3」 MFR=2.5g/10分)20重量部、ポリプロピレン単独重合体(住友化学製「FS7053G3」MFR=7.0g/10分)30重量部、プロピレン−エチレン−ブテン共重合体(住友化学製「FSX66E8」 MFR=3g/10分、エチレン成分2.5%、ブテン成分7%)50重量部を260℃の樹脂温度にて第三の押し出し機より溶融押し出しし、Tダイ内にて積層した以外は実施例2と全く同様の方法でヒートシール性ポリオレフィン系発泡フィルムを得た。本フィルムは実施例2のフィルムと比較し、シール強度の向上したフィルムとなった。特性値を表2に示す。
実施例1において、発泡層(A)に添加する炭酸カルシウムを備北粉化工業製「PO−150B−10」平均粒子径が3.2μm、比表面積が15000cm2/g にした以外は全く同様の方法でヒートシール性ポリオレフィン系発泡フィルムを得た。本フィルムは実施例1のフィルムと比較し、隠蔽性に劣るフィルムとなった。特性値を表3に示す。
実施例1において、発泡層(A)のポリプロピレン単独重合体、炭酸カルシウム・二酸化チタン混合マスターバッチの配合量をそれぞれ45重量部、35重量部にした以外は全く同様の方法でヒートシール性ポリオレフィン系発泡フィルムを得た。本フィルムは実施例1のフィルムと比較し、腰感悪く、Tダイリップ汚れの掃除は12時間に1回必要であった。特性値を表3に示す。
実施例3において、溶融樹脂の冷却温度が20℃である以外は全く同様の方法でヒートシール性ポリオレフィン系発泡フィルムを得た。本フィルムは実施例3のフィルムと比較し、隠蔽性に劣るフィルムとなった。特性値を表3に示す。
Claims (5)
- 少なくともシール層と発泡層の2層を含む事を特徴とする、ヒートシール性ポリオレフィン系発泡フィルムであって、その厚みが30μm以下の場合にJIS K7105による全光線透過率が15%以下であり、かつシール強度が5.0N/15mm以上であり、前記発泡層がポリオレフィン系樹脂を主とし、発泡層に添加する炭酸カルシウムの平均粒子径が0.8μm以上、1.8μm以下、標準偏差が2.0以下、比表面積が20000cm 2 /g以上、25000cm 2 /g以下であることを特徴とする、ヒートシール性ポリオレフィン系発泡フィルム。
- 請求項1記載のヒートシール性ポリオレフィン系発泡フィルムであって、前記フィルムの発泡層厚みが20μm以下である事を特徴とするヒートシール性ポリオレフィン系発泡フィルム。
- 請求項1または2記載のヒートシール性ポリオレフィン系発泡フィルムであって、前記発泡層のポリオレフィン系樹脂がプロピレンの単独重合体または90モル%以上のプロピレンとα−オレフィンとの共重合体であって、メルトフローレイトが1〜15g/10分であることを特徴とするヒートシール性ポリオレフィン系発泡フィルム。
- 請求項1、2または3記載のヒートシール性ポリオレフィン系発泡フィルムであって、前記フィルムの発泡層の炭酸カルシウム添加量が5重量%以上、14重量%以下、二酸化チタン等の無機顔料微粒子の添加量が0.5重量%以上、18重量%以下であることを特徴とするヒートシール性ポリオレフィン系発泡フィルム。
- 請求項1、2、3または4記載のヒートシール性ポリオレフィン系発泡フィルムの製造方法であって、押出し機より吐出した樹脂を50℃以上100℃以下の表面温度を有する冷却ロールにて冷却固化する工程を含むことを特徴とするヒートシール性ポリオレフィン系発泡フィルムの製造方法。
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JPH07213879A (ja) * | 1994-02-08 | 1995-08-15 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | 親水性複合多孔質膜とその製法 |
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JPH11293015A (ja) * | 1998-04-07 | 1999-10-26 | Toyobo Co Ltd | ポリプロピレン系発泡フィルム |
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