JPH07213300A - Dnaの点変異の検出方法及びそれに用いられるプライマー - Google Patents

Dnaの点変異の検出方法及びそれに用いられるプライマー

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JPH07213300A
JPH07213300A JP3416294A JP3416294A JPH07213300A JP H07213300 A JPH07213300 A JP H07213300A JP 3416294 A JP3416294 A JP 3416294A JP 3416294 A JP3416294 A JP 3416294A JP H07213300 A JPH07213300 A JP H07213300A
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dna
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Riyouji Aosaki
量二 青崎
Ryuji Kawaguchi
竜二 川口
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S R L KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 明確に、かつ再現性よくDNAの点変異を検
出することができる方法を提供すること。 【構成】 正常型のプライマーと異常型のプライマーを
それぞれ用いた遺伝子増幅法に試料DNAをかけ、各プ
ライマーを用いた場合に試料DNAが増幅されるか否か
によって、その試料DNA中の点変異を検出する方法で
あって、前記正常型プライマー及び前記異常型プライマ
ーは、そのそれぞれの3’末端が、点変異が予想される
ヌクレオチドに対応するものであり、前記正常型プライ
マーは、該プライマーの3’末端から2番目のヌクレオ
チドの塩基を除き正常型DNAの増幅領域の端部領域と
完全に相補的な塩基配列を有し、前記異常型プライマー
は、該プライマーの3’末端から2番目のヌクレオチド
の塩基を除き異常型DNAの増幅領域の端部領域と完全
に相補的な塩基配列を有する、DNAの点変異の検出方
法を提供した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、DNAの点突然変異の
検出方法及びそれに用いられるプライマーに関する。本
発明は、遺伝病の診断等に有用である。
【0002】
【従来の技術】遺伝子の点突然変異により引き起こされ
る遺伝病が種々知られており、それらの中には、遺伝子
のどの部位がどのように点突然変異することにより遺伝
病が引き起こされるかわかっているものも少なくない。
このような予想される点突然変異を検出する方法とし
て、従来より、遺伝子増幅法(PCR(polymerase cha
inreaction)法)を利用した遺伝子の点突然変異の検出
方法が知られている。この方法では、遺伝子増幅法に用
いる一対のプライマーのうち、一方のプライマーとし
て、正常型の遺伝子の増幅領域の端部領域に完全に相補
的な正常型プライマーと、異常型の遺伝子の増幅領域の
端部領域に完全に相補的な異常型プライマーとを用い
る。異常型のプライマーは、その3’末端が、予想され
る点突然変異を起こしたヌクレオチドに相補的なヌクレ
オチドになっている。このような正常型及び異常型プラ
イマーをそれぞれ別個に用いて試料遺伝子を遺伝子増幅
法にかける。試料遺伝子が正常型であれば、正常型プラ
イマーを用いた場合にはDNAの増幅が起きるが、異常
型プライマーを用いた場合には、プライマーの3’末端
が試料遺伝子の対応ヌクレオチドと相補的ではない(ミ
スマッチ)のでDNA鎖の伸長が起きず、DNAの増幅
は起きない。一方、試料遺伝子が異常型であれば、逆
に、正常型プライマーを用いた場合には増幅が起きず、
異常型プライマーを用いた場合に増幅が起きる。従っ
て、各プライマーを用いた場合に増幅が起きるか否かを
調べることにより、試料遺伝子が正常型か異常型かを判
別することができ、それによって試料遺伝子中の点突然
変異を検出することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記した原理によれ
ば、従来法により明確に点突然変異の検出が行えるよう
に思われるが、実際には、正常型プライマーと異常型プ
ライマーとはわずか1塩基の相違があるのみであり、異
常型プライマーを用いて正常型遺伝子を増幅した場合及
び正常型プライマーを用いて異常型遺伝子を増幅した場
合にもある程度の増幅が起きることが多く、明確な判定
が困難となる場合が少なくない。また、ミスマッチプラ
イマーを用いた場合に増幅が起きるか否かは、用いる機
器の種類やその他の微妙な条件によって左右され、再現
性も低い。従って、ミスマッチプライマーを用いた場合
に増幅が完全に起こらないようにするためには、遺伝子
増幅時の温度条件等を極めて厳密に制御する必要があ
り、かなり困難な作業になる。
【0004】従って、本発明の目的は、明確に、かつ再
現性よくDNAの点変異を検出することができる方法及
びそのための試薬を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本願発明者らは、鋭意研
究の結果、上記の従来法において、正常型プライマーが
異常型DNAとハイブリダイズする際及び異常型プライ
マーが正常型DNAとハイブリダイズする際に、プライ
マーの3’末端のみならず、3’末端から2番目のヌク
レオチドもミスマッチさせることにより、厳密な反応条
件の制御を行わなくともDNA鎖の伸長、ひいてはDN
Aの増幅を完全に阻害することができ、明確な判定が可
能となることを見出し本発明を完成した。
【0006】すなわち、本発明は、正常型のプライマー
と異常型のプライマーをそれぞれ用いた遺伝子増幅法に
試料DNAをかけ、各プライマーを用いた場合に試料D
NAが増幅されるか否かによって、その試料DNA中の
点変異を検出する方法であって、前記正常型プライマー
は、該プライマーの3’末端から2番目のヌクレオチド
の塩基を除き正常型DNAの増幅領域の端部領域と完全
に相補的な塩基配列を有し、前記異常型プライマーは、
該プライマーの3’末端から2番目のヌクレオチドの塩
基を除き異常型DNAの増幅領域の端部領域と完全に相
補的な塩基配列を有する、DNAの点変異の検出方法を
提供する。さらに、本発明は、この方法に用いることが
できる正常型プライマー及び異常型プライマーを提供す
る。
【0007】以下、本発明を詳細に説明する。
【0008】遺伝子増幅法(PCR法)は、試料DN
A、4種類のデオキシヌクレオシド三リン酸、一対のプ
ライマー及び耐熱性DNAポリメラーゼの存在下で、変
性、アニーリング、伸長の3工程からなるサイクルを繰
り返すことにより、上記一対のプライマーで挟まれる試
料DNAの領域を指数関数的に増幅させる方法である。
すなわち、変性工程で試料の二本鎖DNAを変性(一本
鎖二本に解離)し、続くアニーリング工程において各プ
ライマーと、それぞれに相補的な一本鎖試料DNA上の
領域とをハイブリダイズさせ、続く伸長工程で、各プラ
イマーを起点としてDNAポリメラーゼの働きにより鋳
型となる各一本鎖試料DNAに相補的なDNA鎖を伸長
させ、二本鎖DNAとする。この1サイクルにより、一
本の二本鎖DNAが2本の二本鎖DNAに増幅される。
従って、このサイクルをn回繰り返せば、理論上、上記
一対のプライマーで挟まれた試料DNAの領域は2n
に増幅される。増幅されたDNA領域は大量に存在する
ので、電気泳動等の方法により容易に検出できる。よっ
て、遺伝子増幅法を用いれば、従来では検出不可能であ
った、極めて微量(1分子でも可)の試料DNAをも検
出することが可能であり、最近非常に広く用いられてい
る技術である。
【0009】上記の遺伝子増幅法を利用した本発明の方
法では、正常型DNAを増幅できる正常型プライマー
と、異常型DNAを増幅できる異常型プライマーをそれ
ぞれ別個に用いて遺伝子増幅法を行う。なお、ここで、
異常型DNAとは、正常型DNAのうちの1つのヌクレ
オチドのみが点変異して他のヌクレオチドに置換されて
いるものであり、どの部位のヌクレオチドが変異してい
るかわかっているものである。遺伝病の中にはこのよう
な遺伝子の点変異により引き起こされることがわかって
いるものも多く、どの部位のヌクレオチドがどのヌクレ
オチドに点変異しているかがわかっているものも少なく
ない。本発明の方法は、試料DNAがこのような予想さ
れる点変異を起こしているか否かを検査する方法であ
る。
【0010】なお、遺伝子増幅法を行うためには、常に
一対のプライマーが必要であるから、正常型プライマー
を用いて遺伝子増幅を行う場合でも、異常型プライマー
を用いて遺伝子増幅を行う場合でも、対になる第3のプ
ライマーが必要であることは言うまでもない。すなわ
ち、遺伝子増幅法は正常型プライマー/第3のプライマ
ーの組合せ及び異常型プライマー/第3のプライマーの
組合せをそれぞれ用いて別個に行われる。ここで第3の
プライマーは、点変異とは全く無関係な領域にハイブリ
ダイズするものであり、正常型プライマーの対になる第
3のプライマーと異常型プライマーの対になる第3のプ
ライマーとは同一でも異なっていてもよい。もっとも、
同一のプライマー(すなわち共通のプライマー)を用い
る方がプライマーの調製の手間が省ける。
【0011】正常型プライマーを用いて試料DNAを増
幅した場合、試料DNAが正常型であれば増幅が起きる
が、異常型では増幅が起きない。逆に、異常型プライマ
ーを用いて試料DNAを増幅した場合、試料DNAが異
常型であれば増幅が起きるが、正常型であれば増幅は起
きない。従って、1つの試料を2つに分け、一方は正常
型プライマーを用いて増幅を行い、他方は異常型プライ
マーを用いて増幅を行い、増幅が起きたか否かを調べる
ことにより、試料DNAが正常型であるか異常型である
かを明確に知ることができる。特に、ヒトを始め、高等
生物は、1種類の遺伝子について、父親由来の遺伝子と
母親由来の遺伝子をそれぞれ1つずつ有しているが、こ
の方法によれば、試料遺伝子が正常型のホモか、異常型
のホモか、ヘテロかを区別することもできる(ヘテロの
場合には、正常型遺伝子と異常型遺伝子が共に存在する
から正常型プライマーを用いた場合も異常型プライマー
を用いた場合も増幅が起きる)。
【0012】これまで説明したことは従来法とも共通す
るものであるが、上述のように、従来法では、正常型プ
ライマー/異常型DNA及び異常型プライマー/正常型
DNAの組合せにおいて、プライマーの3’末端のみが
鋳型DNAと非相補的(ミスマッチ)になっている(す
なわち、プライマーの3’末端が試料DNAの予想され
る点変異部位に対応する)ので、これらの組合せにおい
ても試料DNAが増幅される場合がある。このような場
合には、試料DNAが正常型か異常型かを判別すること
が困難になる。この問題を解決すべく、本発明では、プ
ライマーの配列に工夫がなされている。すなわち、本発
明のプライマーでは、上記組合せにおいて、プライマー
の3’末端のみならず、3’末端から2番目のヌクレオ
チドも鋳型DNAとミスマッチとなるように設計されて
いる(ダブルミスマッチ)。このように設計した場合、
正常型DNAと異常型DNAとは1つのヌクレオチドが
点変異しているだけで他の配列は完全に同一であるの
で、正常型プライマー/正常型DNA及び異常型プライ
マー/異常型DNAの組合せにおいても、プライマーの
3’末端から2番目のヌクレオチドはミスマッチにな
る。しかしながら、3’末端から2番目のヌクレオチド
のみがミスマッチであっても、遺伝子増幅法によりDN
Aの増幅が起きることがわかった。
【0013】上記した本発明の原理を図1及び図2に基
づき説明する。図1には、正常型プライマーを用いた場
合が模式的に示されている。図1に模式的に示されるよ
うに、正常型DNAと異常型DNAは、点変異した単一
のヌクレオチドが異なるのみであり、その他の部分は完
全に同一である。点変異するヌクレオチドが正常型では
凹で、異常型では凸で示されている。一方、正常型プラ
イマーは、その3’末端が点変異することがあるヌクレ
オチドに対応するヌクレオチドになっている。正常型プ
ライマーの3’末端は点変異していない正常型DNAの
対応ヌクレオチドに相補的であるから、図示のように凸
で示されている(すなわち、凹−凸が相補的な塩基の組
合せ(すなわち、A−T又はG−C)を示し、凸−凸又
は凹−凹が非相補的な塩基の組合せ(すなわち、A−T
及びG−C以外の組合せ)を示す)。すなわち、正常型
プライマーの3’末端は正常型DNAの対応ヌクレオチ
ドとは相補的であるが、異常型DNAの対応ヌクレオチ
ドとは非相補的である。この点は従来法と同様である。
本発明の方法では、正常型プライマーの3’末端から2
番目のヌクレオチドの塩基も試料DNAの対応ヌクレオ
チドの塩基と非相補的になっている(図では凸−凸で示
される)。なお、プライマーの3’末端から2番目のヌ
クレオチドに対応する試料DNAのヌクレオチドは、点
変異するヌクレオチドではないので正常型DNAでも異
常型DNAでも同じである(図では凸で示される)。な
お、正常型プライマーの3’末端から2番目の塩基以外
の塩基配列は、正常型DNAの対応領域(すなわち、遺
伝子増幅法により増幅される領域の端部領域)と完全に
相補的である。従って、図示のように、正常型プライマ
ー/正常型DNAの組合せでは、プライマーの3’末端
から2番目の塩基のみがミスマッチとなる。この場合に
は、遺伝子増幅法によりプライマーの3’末端に続いて
DNA鎖が伸長する。一方、正常型プライマー/異常型
DNAの組合せでは、プライマーの3’末端及び3’末
端から2番目の2つのヌクレオチドがミスマッチ(ダブ
ルミスマッチ)となり、遺伝子増幅法においてプライマ
ーの3’末端に続くDNA鎖の伸長は起きない。3’末
端のミスマッチであっても、従来法のようにシングルミ
スマッチの場合にはDNA鎖の伸長が起きることがある
が、本発明では、ダブルミスマッチとなっているので、
DNA鎖の伸長は完全に阻害される。
【0014】一方、図2に示されるように、異常型プラ
イマーは、その3’末端が凹になっており、正常型DN
Aの対応ヌクレオチドとは非相補的で異常型DNA対応
ヌクレオチドとは相補的になっている。異常型プライマ
ーの3’末端から2番目のヌクレオチドは、正常型プラ
イマーと同様に、試料DNAの対応ヌクレオチドとは非
相補的になっている。なお、異常型プライマーの3’末
端から2番目の塩基以外の塩基配列は、異常型DNAの
対応領域(すなわち、遺伝子増幅法により増幅される領
域の端部領域)と完全に相補的である。従って、図示の
ように、異常型プライマー/正常型DNAの組合せで
は、プライマーの3’末端及び3’末端から2番目のヌ
クレオチドがダブルミスマッチとなってDNA鎖の伸長
が起きないが、異常型プライマー/異常型DNAの組合
せでは、プライマーの3’末端から2番目のヌクレオチ
ドのみがミスマッチとなってDNA鎖の伸長が起きる。
【0015】このように、本発明の方法では、正常型プ
ライマー/異常型DNA及び異常型プライマー/正常型
DNAの組合せでは、ダブルミスマッチによりDNA鎖
の伸長が完全に阻害され、一方、正常型プライマー/正
常型DNA及び異常型プライマー/異常型DNAの組合
せではDNA鎖の伸長が起きる。よって、本発明の方法
によれば、従来法のように偽陽性を生じることなく、試
料DNA中の点変異を明確に検出することができる。
【0016】上記した正常型プライマーと異常型プライ
マーの3’末端から2番目の塩基は同一であっても異な
っていてもよい。また、正常型プライマーと異常型プラ
イマーの長さは同一でも異なっていてもよい。正常型プ
ライマーと異常型プライマーの長さが、下記実施例2の
場合のように有意に異なっておれば、第3のプライマー
として共通のものを用いた場合であっても、正常型プラ
イマーを用いて得た増幅産物と異常型プライマーを用い
て得た増幅産物を混合し、この混合物を電気泳動にかけ
ても増幅産物の大きさが異なるためにどちらのプライマ
ーを用いて増幅が起きたかを知ることができ、電気泳動
の手間を減らすことができる。また、正常型プライマー
と異常型プライマーの長さが同じ場合でも、第3のプラ
イマーとして異なったものを用い、増幅産物の長さが正
常型プライマーを用いた場合と異常型プライマーを用い
た場合とで異なるようにすれば同様の効果を得ることが
できる。
【0017】上述のダブルミスマッチを利用する点を除
けば、本発明の方法は従来と同様にして行うことができ
る。すなわち、正常型プライマー及び異常型プライマー
は、オリゴデオキシヌクレオチドから成り、その長さは
特に限定されないが、通常18〜25ヌクレオチド、好
ましくは18〜20ヌクレオチド程度である。また、遺
伝子増幅法の操作そのものは、この分野において周知で
あり、用いるプライマーの長さやプライマーと試料DN
Aとの親和性等を考慮して当業者ならば容易に条件を設
定することができる。この場合、本発明の方法では、上
述のように、ダブルミスマッチを利用することにより偽
陽性の発生を完全に防止できるので、遺伝子増幅法の温
度条件をそれほど厳密に設定しなくても正確な結果を得
ることができる。換言すれば、異なる機器等を用いるこ
と等に起因して温度条件が多少ずれているような場合で
も、再現性良く正確な判定結果を得ることができる。
【0018】これまでに説明した本発明の方法は、正常
型プライマー及び異常型プライマーの両方ともダブルミ
スマッチを利用したものである。しかし、正常型プライ
マー/正常型DNAと正常型プライマー/異常型DNA
の結合力の差が比較的大きい場合(塩基が対合した場合
(非相補的に対合した場合も含む)、その結合力の強さ
は、各塩基の組合せによりそれぞれ異なるので、同じミ
スマッチといっても、結合力に強弱がある)には、遺伝
子増幅法の温度条件を厳密に設定すれば、正常型プライ
マーの3’末端のみをミスマッチとした、従来の正常型
プライマーを用いても点変異の検出が可能な場合があ
る。同様に、異常型プライマー/異常型DNAと異常型
プライマー/正常型DNAの結合力の差が比較的大きい
場合には、遺伝子増幅法の温度条件を厳密に設定すれ
ば、異常型プライマーの3’末端のみをミスマッチとし
た、従来の異常型プライマーを用いても点変異の検出が
可能な場合がある。従って、このような場合、正常型プ
ライマー及び異常型プライマーのいずれか一方のみ上記
ダブルミスマッチとした方法も本発明の方法に含まれる
(請求項2及び4に記載)。なお、この場合に、正常型
プライマーをダブルミスマッチとする場合には、正常型
プライマーの3’末端から2番目のヌクレオチドとして
前記正常型DNAの対応ヌクレオチドと同一骨格の塩基
を有するものを用い、異常型プライマーをダブルミスマ
ッチとする場合には、異常型プライマーの3’末端から
2番目のヌクレオチドとして異常型DNAの対応ヌクレ
オチドと同一骨格の塩基を有するものを用いることが好
ましい。塩基の骨格が同一であれば、結合温度に差がな
いので、このようにすれば、正常型プライマーを用いた
場合も異常型プライマーを用いた場合も同じ条件で遺伝
子増幅法を行うことができるので好都合である。
【0019】本発明はまた、上述したダブルミスマッチ
を利用した、正常型プライマー及び異常型プライマーを
も提供する。
【0020】本発明の方法は、遺伝病の原因となる遺伝
子の点変異の検出や、ガン遺伝子、ガン抑制遺伝子等の
検出に利用できる。また、本発明の方法により点変異が
検出されるものは、必ずしも遺伝子に限定されるもので
なく、遺伝子以外のDNAであってもよい。
【0021】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明をより具体的に
説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定される
ものではない。
【0022】下記の実施例ではコレステリルエステル転
送蛋白(CETP)遺伝子の点変異を検出した。高HD
Lコレステロール(高HDL−C)患者の多くではCE
TP遺伝子に異常が存在することが知られており、現
在、イントロン14スプライスドナー部位中に一箇所の
点変異が報告されている。すなわち、正常型遺伝子のG
が異常型遺伝子ではAに変異している。下記の実施例及
び比較例はいずれもこの点変異を検出すべく行った。
【0023】比較例1 (1) 試料の調製 高HDL−C患者及び健常人から遺伝子試料を調製し
た。これは次のように行った。EDTA・2ナトリウム
採血を行った血液から低速遠心を行ってリンパ球を分離
した。次にこのリンパ球から、フェノール−クロロホル
ム抽出による除タンパク操作を行ってヒトゲノム遺伝子
を抽出した。さらに、エタノール沈殿を行ってヒトゲノ
ム遺伝子の精製を行った。0.1μg/μlの濃度に調
整して、これを遺伝子試料とした。
【0024】(2) プライマーの調製 次の塩基配列を有する3種類のプライマーを市販のDN
A合成機を用いて作製した。 共通のフォワードプライマー(14F) 5'-CATGAGGATGAATGCTTGTC-3'(20 mer) 正常型プライマー(14W1) 5'-CCCCTCCAGCCCACACTTAC-3'(20 mer) 異常型プライマー(14M1) 5'-CCCCTCCAGCCCACACTTAT-3'(20 mer) 正常型プライマー(14W1)の3’末端は、正常型遺
伝子のGに相補的であり、一方、異常型プライマー(1
4M1)の3’末端は、異常型遺伝子のAに相補的にな
っている。14Fと14W1の組合せ又は14Fと14
M1のプライマーの組合せを用いて遺伝子増幅法を行う
と、14Fと14W1又は14M1によって挟まれる1
87塩基対の領域が増幅される。
【0025】(3) 遺伝子増幅法(PCR) 遺伝子増幅法に供した反応混合物の組成は次のとおりで
あった。共通のフォワードプライマー5μM、正常型又
は異常型プライマー5μM、基質(dATP、dGT
P、dCTP、dTTP)各125μM、10mM Tr
is-HCl (pH 8.3)、50mM KCl、1.5mM MgCl
2 、0.001%(w/v) ゼラチン、遺伝子試料0.1μg、T
aqポリメラーゼ0.5 unit 、反応液量25μlで行
った。この反応混合物を、変性(94℃、1分)、アニ
ーリング(66℃、2分)のサイクルにかけ、30サイ
クル行った(なお、この系では、アニーリングと変性の
間の機械の温度上昇中にDNA鎖が伸長されるため、伸
長工程を別途設ける必要はなかった)。
【0026】(4) 検出 得られたPCR産物を常法に従ってアガロースゲル電気
泳動にかけ、染色して増幅産物のバンドを検出した。そ
の結果、下記表1に示す、3種類の結果が得られた。
【0027】
【表1】
【0028】このように、試料2と3では、正常型プラ
イマー及び異常型プライマーを用いたいずれの場合にも
DNAの増幅が見られ、試料の遺伝子型を明確に判定す
ることができなかった。
【0029】実施例1 上記比較例1において、異常型プライマーを用いた場合
には、試料1では明確に「増幅せず」という結果が得ら
れたので、上記の系では正常型プライマーにダブルミス
マッチを導入すれば明確な検出が可能であると考えられ
る。従って、実施例1では、正常型プライマーにのみダ
ブルミスマッチを導入し、異常型プライマーとしては比
較例1と同じものを用いた。
【0030】すなわち、正常型プライマーとして次の塩
基配列を有する14W2プライマーを用いた。 正常型プライマー(14W2) 5'-CCCCTCCAGCCCACACTTTC-3'(20 mer) このように、14W2では、比較例1で用いた14W1
と比較すると、3’末端から2番目の塩基が試料DNA
と非相補的な塩基に置換しており、他の配列は14W1
と同じである。
【0031】正常型プライマーとして上記14W2を用
いることを除き、その他は比較例1と全く同様な操作を
行った。結果を下記表2に示す。
【0032】
【表2】
【0033】この結果から、試料1が正常型のホモ接合
体、試料2が正常型と異常型のヘテロ接合体、試料3が
異常型のホモ接合体であることが判定された。このよう
に、本発明によれば、従来法では不可能であった点変異
の検出を明確に行うことができた。
【0034】実施例2 実施例2は、正常型プライマー及び異常型プライマーの
両方ともにダブルミスマッチを導入した例である。正常
型プライマーとしては、実施例1で用いた14W2を用
いた。共通のフォワードプライマーとしては、下記塩基
配列を有する14F3を用いた。また、異常型プライマ
ーとしては、下記塩基配列を有する14M2を用いた。 共通のフォワードプライマー(14F3) 5'- GGACTCACCATGGGCATTTG-3' (20 mer) 異常型プライマー(14M2) 5'-CTCGGCACCCAGTTTCCCCTCCAGCCCACACTTTT-3' (35 me
r) これらのプライマーを用いた場合、14F3と14W2
の組合せではCETP遺伝子エクソン14を含む120
塩基対の領域が増幅され、14F3と14M2の組合せ
ではCETP遺伝子エクソン14を含む135塩基対の
領域が増幅される。
【0035】14F3と14M2を用いた場合のアニー
リング条件を65℃、2分に変えたことを除き、比較例
1と全く同様に遺伝子増幅法を行った。反応後、各反応
混合物を混合し、常法によりアガロースゲル電気泳動に
かけて、バンドを染色した。なお、上述のように、正常
型プライマーを用いた場合には増幅産物の長さは120
塩基対であり、異常型プライマーを用いた場合には増幅
産物の長さは135塩基対であるので、単一のゲル上で
電気泳動を行ったにもかかわらず、染色されたバンドが
正常型プライマーを用いて増幅されたものか異常型プラ
イマーを用いて増幅されたものかを容易に識別すること
ができた。結果を下記表3に示す。
【0036】
【表3】
【0037】この結果から、試料1が正常型のホモ接合
体、試料2が正常型と異常型のヘテロ接合体、試料3が
異常型のホモ接合体であることが判定された。このよう
に、本発明によれば、従来法では不可能であった点変異
の検出を明確に行うことができた。
【0038】
【発明の効果】本発明により、試料DNA中の点変異を
明確に検出できる方法が提供された。本発明の方法で
は、ダブルミスマッチを利用することにより、偽陽性が
生じないので、遺伝子増幅法の条件をそれほど厳密にし
なくても再現性良く結果が得られ、機種の違い等によっ
て判定結果が異なることはなくなった。また、本発明の
方法によれば、従来法では不可能であったホモ接合とヘ
テロ接合の識別も可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法の一部を模式的に説明する図であ
る。
【図2】本発明の方法の他の一部を模式的に説明する図
である。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 正常型のプライマーと異常型のプライマ
    ーをそれぞれ用いた遺伝子増幅法に試料DNAをかけ、
    各プライマーを用いた場合に試料DNAが増幅されるか
    否かによって、その試料DNA中の点変異を検出する方
    法であって、前記正常型プライマー及び前記異常型プラ
    イマーは、そのそれぞれの3’末端が、点変異が予想さ
    れるヌクレオチドに対応するものであり、前記正常型プ
    ライマーは、該プライマーの3’末端から2番目のヌク
    レオチドの塩基を除き正常型DNAの増幅領域の端部領
    域と完全に相補的な塩基配列を有し、前記異常型プライ
    マーは、該プライマーの3’末端から2番目のヌクレオ
    チドの塩基を除き異常型DNAの増幅領域の端部領域と
    完全に相補的な塩基配列を有する、DNAの点変異の検
    出方法。
  2. 【請求項2】 正常型のプライマーと異常型のプライマ
    ーをそれぞれ用いた遺伝子増幅法に試料DNAをかけ、
    各プライマーを用いた場合に試料DNAが増幅されるか
    否かによって、その試料DNA中の点変異を検出する方
    法であって、前記正常型プライマー及び前記異常型プラ
    イマーは、そのそれぞれの3’末端が、点変異が予想さ
    れるヌクレオチドに対応するものであり、前記正常型プ
    ライマーは、該プライマーの3’末端から2番目のヌク
    レオチドの塩基を除き正常型DNAの増幅領域の端部領
    域と完全に相補的な塩基配列を有し、前記異常型プライ
    マーは、異常型DNAの増幅領域の端部領域と完全に相
    補的な塩基配列を有する、DNAの点変異の検出方法。
  3. 【請求項3】 前記正常型プライマーの3’末端から2
    番目のヌクレオチドは、前記正常型DNAの対応ヌクレ
    オチドと同一骨格の塩基を有する請求項2記載の方法。
  4. 【請求項4】 正常型のプライマーと異常型のプライマ
    ーをそれぞれ用いた遺伝子増幅法に試料DNAをかけ、
    各プライマーを用いた場合に試料DNAが増幅されるか
    否かによって、その試料DNA中の点変異を検出する方
    法であって、前記正常型プライマー及び前記異常型プラ
    イマーは、そのそれぞれの3’末端が、点変異が予想さ
    れるヌクレオチドに対応するものであり、前記正常型プ
    ライマーは、正常型DNAの増幅領域の端部領域と完全
    に相補的な塩基配列を有し、前記異常型プライマーは、
    該プライマーの3’末端から2番目のヌクレオチドの塩
    基を除き異常型DNAの増幅領域の端部領域と完全に相
    補的な塩基配列を有する、DNAの点変異の検出方法。
  5. 【請求項5】 前記異常型プライマーの3’末端から2
    番目のヌクレオチドは、前記異常型DNAの対応ヌクレ
    オチドと同一骨格の塩基を有する請求項4記載の方法。
  6. 【請求項6】 正常型のプライマーと異常型のプライマ
    ーをそれぞれ用いた遺伝子増幅法に試料DNAをかけ、
    各プライマーを用いた場合に試料DNAが増幅されるか
    否かによって、その試料DNA中の点変異を検出する方
    法に用いられる正常型プライマーであって、その3’末
    端から2番目のヌクレオチドの塩基を除き正常型DNA
    の増幅領域の端部領域と完全に相補的な塩基配列を有す
    るプライマー。
  7. 【請求項7】 正常型のプライマーと異常型のプライマ
    ーをそれぞれ用いた遺伝子増幅法に試料DNAをかけ、
    各プライマーを用いた場合に試料DNAが増幅されるか
    否かによって、その試料DNA中の点変異を検出する方
    法に用いられる異常型プライマーであって、その3’末
    端から2番目のヌクレオチドの塩基を除き異常型DNA
    の増幅領域の端部領域と完全に相補的な塩基配列を有す
    るプライマー。
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