JPH072127A - 車両の挙動制御装置 - Google Patents

車両の挙動制御装置

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JPH072127A
JPH072127A JP14750993A JP14750993A JPH072127A JP H072127 A JPH072127 A JP H072127A JP 14750993 A JP14750993 A JP 14750993A JP 14750993 A JP14750993 A JP 14750993A JP H072127 A JPH072127 A JP H072127A
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JP
Japan
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steering angle
rear wheel
wheel steering
vehicle
behavior
Prior art date
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Application number
JP14750993A
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English (en)
Inventor
Taketoshi Kawabe
武俊 川邊
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Publication date
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  • Steering Control In Accordance With Driving Conditions (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 後輪舵角制御に当りフィードバック補償を行
う車両がバンク付き湾曲路を走行する時、重力の加速度
による力を低周波の外乱と見做して、これを打ち消すよ
うな後輪舵角を与えることのないようにする。 【構成】 補償器4は、バンドパスフィルタの伝達関数
に、車両の後輪操舵に対する挙動応答を表す伝達関数の
逆特性を乗じた伝達特性を有し、センサ2,1で検出し
た車速Vおよび操舵角θから、車両挙動が所定の規範モ
デルの操舵応答に追従するのに必要な後輪舵角δ1 を求
める。推定部5はV,θ、後輪舵角指令値δを基に車両
挙動ym を推定し、補償器7は、この推定挙動ym と、
センサ3で検出した車両挙動yとの偏差eを基に、後輪
舵角修正量δ2 を求める。後輪舵角指令値演算部8は、
δ=δ1 −δ2 により後輪舵角指令値δを求める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は後輪操舵によって車両の
挙動を制御するための装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種車両挙動制御装置は、ヨーレイト
等の車両挙動が、規範モデルを用いて設定した目標挙動
に一致するよう、後輪を操舵するものであるが、通常の
乾燥路と路面摩擦係数の異なる圧雪路やウエット路を走
行する時や、積載荷重が変化した時などには、実車の操
舵に対する挙動の伝達特性が変化することから、車両挙
動を目標挙動に一致させることができなくなり、この場
合、運転者がステアリングホイールを切り増したり、切
り戻す必要があるものであった。
【0003】そこで本願出願人は先に特開平3−109
70号公報により、車両挙動が上記の規範モデルの操舵
応答に追従するのに必要な後輪舵角をそのまま後輪舵角
指令値とせず、これを車両挙動の実際値と推定値との偏
差に応じたフィードバック補償により修正する技術を提
案した。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、かかる従来の
車両挙動制御装置においては、フィードバック補償する
に当たって用いるフィルタがローパスフィルタで、その
ローパス特性Lが定常ゲイン1〔L(jω)=1,ω=
0〕であったため、以下の問題が生ずることを確かめ
た。
【0005】即ち、この場合フィードバックループの一
巡伝達関数Geは、ノミナルモデルにモデル化誤差がな
いとすると、
【数1】Ge=L/(1−L) ・・・ (1) で表され、Geのゲインは図4に点線aで示すようにω
→0で無限大に近づくことになる。このことは、低周波
数の外乱が車両挙動に影響を与えた場合、外乱の影響を
ほぼ完全に打ち消すべく後輪舵角の修正量が演算される
ことを意味する。
【0006】ところで、被制御車両がバンク付きの湾曲
路を旋回走行する場合、この車両は重力の加速度によ
り、湾曲路の曲率中心に向かう方向に力を受けて、運転
者の積極的な操縦によらずとも湾曲路に沿った旋回走行
が可能である。それにもかかわらず、上記従来の挙動制
御を取り入れた被制御車両にあっては、上記の通り車両
を旋回させようとする重力の加速度による力が、低周波
の外乱と見做され、これを打ち消すような後輪舵角を与
えられるため、運転者は積極的にステアリングホイール
を操舵して車両を湾曲路に沿わせるように操縦しなけれ
ば、バンク付き湾曲路での旋回走行を行うことができ
ず、違和感を伴う。
【0007】また、路面摩擦係数の変化により被制御車
両の操舵応答が変化すると、従来装置にあっては、ロー
パスフィルタLのカットオフ周波数以内の低周波数帯域
において、被制御車両の操舵応答を規範モデルの応答に
追従させるべく後輪操舵を実行する。ところで、操舵応
答の低域特性は圧雪路等の低摩擦路で大きく変化するこ
とがあり、このような場合、後輪舵角修正量が後輪操舵
系の舵角限界を越えてしまい、実際の後輪舵角が当該ハ
ードウエア限界に固定される。従って、かかる状態で横
風等の高周波の外乱が入力された時、この外乱に対する
後輪操舵がなされ得ないこととなり、後輪操舵の本来の
作用効果を奏し得なくなることが懸念される。
【0008】本発明は、従来装置においては低周波域で
のフィードバックゲインが大きい(定常値で無限大)た
めに上述の問題を生じていたとの観点から、ローパスフ
ィルタを、定常ゲインが0のバンドパスフィルタに置換
して、フィードバックループの一巡伝達関数の低周波ゲ
インを小さくする(低域でのフィードバックゲインを小
さくする)ことにより、上述の問題を解消することを目
的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】この目的のため本発明は
請求項1に記載の如く、車速Vを検出する車速検出手段
と、ステアリングホイールの操舵角θを検出する操舵角
検出手段と、これら手段で検出した車速Vおよび操舵角
θを入力され、車両挙動が所定の規範モデルの操舵応答
に追従するのに必要な後輪舵角δ1 を求める後輪舵角演
算手段と、前記検出した車速Vおよび操舵角θ、並びに
後輪舵角指令値δを基に車両挙動ym を推定する車両挙
動推定手段と、被制御車両の挙動yを検出する車両挙動
検出手段と、これら推定車両挙動ym および検出車両挙
動y間の偏差eを求める制御誤差演算手段と、該制御誤
差eを基に、前記後輪舵角δ1 の修正量δ2 を求める後
輪舵角修正量演算手段と、前記後輪舵角δ1 を該修正量
δ2 だけ修正して前記後輪舵角指令値δとする後輪舵角
指令手段とを具え、この指令値δに向け後輪を転舵する
よう構成したことを特徴とする車両の挙動制御装置にお
いて、前記後輪舵角演算手段は、所定の帯域通過特性を
有したバンドパスフィルタの伝達特性を表す伝達関数B
に、被制御車両の後輪操舵に対する車両挙動の応答特性
を表す伝達関数Grmの逆特性(Grm-1を乗じたB・
(Grm-1の伝達特性を有する構成にしたものである。
【0010】ところで上記の構成において、上記後輪舵
角演算手段の伝達特性B・(Grm -1は請求項2に記載
の如く、伝達関数Bを、上記車速検出手段で検出した車
速Vに応じ変化させるよう構成することができる。
【0011】また、上記の構成においては請求項3に記
載の如く、車両挙動yとして、車両のヨーレイト(d/
dt)φおよび横加速度αの線形結合D* =dα−(1
−d)V(d/dt)φ(但し、α≦d≦1)を用いる
よう構成することができる。
【0012】
【作用】請求項1の構成において後輪舵角演算手段は、
車速検出手段で検出した車速Vおよび操舵角検出手段で
検出したステアリングホイール操舵角θを入力され、車
両挙動が所定の規範モデルの操舵応答に追従するのに必
要な後輪舵角δ1 を求める。また、車両挙動推定手段は
当該検出した車速Vおよび操舵角θ、並びに後輪舵角指
令値δを基に車両挙動ym を推定する。制御誤差演算手
段は、この推定車両挙動ym および車両挙動検出手段で
検出した被制御車両の挙動y間の偏差eを求め、後輪舵
角修正量演算手段は、上記の制御誤差eを基に、上記後
輪舵角δ1の修正量δ2 を求める。後輪舵角指令手段
は、上記後輪舵角δ1 を該修正量δ 2 だけ修正して上記
後輪舵角指令値δとし、後輪をこの指令値δに向け転舵
する。
【0013】ところで上記後輪舵角演算手段は、所定の
帯域通過特性を有したバンドパスフィルタの伝達特性を
表す伝達関数Bに、被制御車両の後輪操舵に対する車両
挙動の応答特性を表す伝達関数Grmの逆特性(Grm-1
を乗じたB・(Grm-1の伝達特性を有する構成にした
から、低周波域でのフィードバックゲインを小さくする
ことができ、従って、バンク付きの湾曲路を旋回走行す
る場合において、車両が重力の加速度により、湾曲路の
曲率中心に向かう方向に力を受けても、これを低周波の
外乱と見做すことがなく、従ってこれを打ち消すような
後輪舵角を与えることもないため、運転者の積極的な操
縦によらずとも上記の湾曲路に沿った旋回走行が可能で
ある。よって、運転者が積極的にステアリングホイール
を操舵して車両を湾曲路に沿わせるように操縦する必要
もなく、バンク付き湾曲路での旋回走行においても違和
感を伴うことがない。
【0014】また同様の理由から、路面摩擦係数の変化
により被制御車両の操舵応答が変化しても、従来装置の
ように、低周波数帯域において、被制御車両の操舵応答
を規範モデルの応答に追従させるべく後輪操舵を実行す
ることがなく、操舵応答の低域特性が圧雪路等の低摩擦
路で大きく変化することがあっても、後輪舵角がハード
ウエア限界に固定される程に大きくなることはない。従
って、かかる状態で横風等の高周波の外乱が入力された
時、この外乱に対する後輪操舵を可能ならしめ、後輪操
舵の本来の作用効果を奏し得ることができる。
【0015】なお上記の構成において、上記後輪舵角演
算手段の伝達特性B・(Grm-1は請求項2に記載の如
く、伝達関数Bを、上記車速検出手段で検出した車速V
に応じ変化させるよう構成するのが良く、この場合広範
の車速域において上記の作用効果を確実に達成すること
ができる。
【0016】また請求項3に記載の如く、車両挙動yと
しては、車両のヨーレイト(d/dt)φおよび横加速
度αの線形結合D* =dα−(1−d)V(d/dt)
φ(但し、α≦d≦1)を用いるよう構成するのが良
く、この場合車両のヨーレイト(d/dt)φおよび横
加速度αの双方について所望の挙動制御を実現すること
ができる。
【0017】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づき詳細に
説明する。図1は本発明挙動制御装置の一実施例を示す
後輪操舵系の機能ブロック線図で、1は運転者によるス
テアリングホイールの操舵角θを検出する操舵角検出手
段としての操舵角センサ、2は車速Vを検出する車速検
出手段としての車速センサ、3は車両挙動yとして後述
の如く、車両重心点を通る鉛直軸線周りのヨーレイト
(d/dt)φを検出するヨーレイトセンサ(車両挙動
検出手段)を夫々示す。
【0018】そして後輪操舵系は、これらセンサの検出
値を入力情報とするフィードフォワード補償器4および
車両挙動推定部5を具える他、制御誤差演算部6、フィ
ードバック補償器7、および後輪舵角指令値演算部8を
有して、これらで構成される。
【0019】フィードフォワード補償器4は本発明にお
ける後輪舵角演算手段の用をなし、センサ1,2で検出
した操舵角θおよび車速Vを基に、車両挙動(本例では
ヨーレイト)が所定の規範モデルの操舵応答に追従する
のに必要な後輪舵角δ1 を演算する。この演算に当たっ
ては、例えば特開昭63−97470号公報に記載の方
式を採用する。
【0020】ここで、車両挙動としてヨーレイト(d/
dt)φを制御する場合につき、後輪舵角δ1 の演算例
を以下に説明するに、前輪舵角δF (ステアリングギヤ
比をNとすると、δF =θ/Nで表される)に対するヨ
ーレイト応答の伝達関数をG F とし、後輪舵角指令δに
対するヨーレイト応答の伝達関数をGr とすると、被制
御車両のヨーレイト(d/dt)φは、GF /N=Gf
とすると、
【数2】(d/dt)φ=GF ・δF +Gr ・δ1 =Gf ・θ +Gr ・δ1 ・・・(2) で表される。
【0021】そして、ヨーレイト(d/dt)φが追従
すべき規範モデルを
【数3】ym =R・θ ・・・(3) と設定すると、ヨーレイト(d/dt)φの操舵応答を
上記規範モデルの推定挙動ym に一致させるには、上記
(2)式,(3)式より
【数4】Gf ・θ+Gr ・δ1 =R・θ ・・・(4)
【数5】δ1 =〔(R−Gf )/Gr 〕θ・・・(5) である必要がある。即ち、フィードフォワード補償器4
は(5)式の入出力特性を満足するものであれば、ヨー
レイト(d/dt)φの操舵応答を規範モデルの推定挙
動ym に一致させるための後輪舵角δ1 を、操舵角θか
ら演算することができる。
【0022】具体的にはフィードフォワード補償器4は
例えば、Gf のノミナルモデルを次式のGfmとし、Gr
のノミナルモデルを次式のGrmとし、前記規範モデルの
Rを次式のように設定すると、
【数6】
【数7】
【数8】 R=〔re /(τS+1)〕e-ST ・・・(8) 前記(5)式の後輪舵角δ1 は次式のように表すことが
できる。
【数9】
【0023】ここで、bf1,bf0,af1,af0,br1
r0,ar1,ar0,Tr ,Tf は被制御車両のヨーレイ
ト(d/dt)φと、操舵角θと、後輪舵角指令値δと
から予め決定される伝達関数の係数で、特にTr ,Tf
は夫々Gfm,Grmの無駄時間である。これら係数は車速
Vに応じて変化するので、上記(9)式の係数は予め計
算しておき、車速Vのマップとしてメモリに格納してお
くことができる。なお、r0 は規範モデルの定常ゲイ
ン、τは規範モデルの時定数、Tは規範モデルの無駄時
間で、これらも車速Vに応じ変化させ得ることは言うま
でもない。
【0024】車両挙動推定部5は本発明における車両挙
動推定手段の用をなし、センサ1,2で検出した操舵角
θおよび車速Vと、前記後輪舵角指令値δとから、前記
(6)式および(7)式を基に、車両挙動(ここではヨ
ーレイト)推定値ym を次式により演算する。
【数10】 ym =Gfm・θ+Grm・δ ・・・・(10)
【0025】制御誤差演算部6は本発明における制御誤
差演算手段の用をなし、上記の車両挙動(ヨーレイト)
推定値ym と、センサ3で検出した車両挙動y、つまり
ヨーレイト(d/dt)φとの偏差(制御誤差)eを次
式により算出する。
【数11】e=y−ym ・・・・(11)
【0026】フィードバック補償器7は本発明における
後輪舵角修正量演算手段の用をなし、上記の制御誤差e
に応じた後輪舵角修正量δ2 を次式により演算する。
【数12】δ2 =B・Grm -1・e ・・・・(12) ここで、Bはバンドパスフィルタで、例えば次式により
表現し得るようなものとする。
【数13】 なお、バンドパスフィルタBの係数は車速Vに応じ変え
ても良い。また、(12)式におけるGrm -1の係数も予
め計算しておき、車速Vのマップとしてメモリしておく
ことができる。更にバンドパスフィルタとしては、
【数14】 で表される高次のフィルタを選んでもよい。
【0027】後輪舵角指令値演算部8は本発明における
後輪舵角指令手段の用をなし、フィードフォワード補償
器4からの後輪舵角δ1 を、フィードバック補償器7か
らの後輪舵角修正量δ2 だけ修正して、次式による後輪
舵角指令値δを求め、図示せざる後輪操舵装置に供給す
る。
【数15】δ=δ1 −δ2 ・・・・(15)
【0028】上述の後輪舵角決定メカニズムを制御系統
図として表すと、図2に示す如くになる。この図におい
て11は被制御車両、12は規範モデルで、被制御車両
11は操舵角θによる前輪舵角および後輪舵角指令値δ
による後輪舵角を与えられ、これらによってGf ・θ+
r ・δの車両挙動(ヨーレイト)を発生するが、同時
に外乱dによっても挙動変化を呈し、車両の実挙動yは
これらによって決まる。
【0029】一方、規範モデル12においては、同じ操
舵角θおよび後輪舵角指令値δに対応して生ずるであろ
う推定挙動ym がGfm・θ+Grm・δとして求められ、
制御誤差演算部6はこの推定挙動ym と上記実挙動yと
の偏差eを求め、この偏差に応じた後輪舵角修正量δ2
=B・Grm -1・eが後輪舵角指令値演算部8に印加され
る。後輪舵角指令値演算部8は、フィードフォワード補
償器4で前述の如くに求めた後輪舵角δ1 を、当該修正
量δ2 だけ修正して後輪舵角指令値δとする。
【0030】ところで図2において、モデル化誤差がな
い(Gf =Gfm,Gr =Grm)として、フィードバック
特性に係わる部分のみを抽出すると、図3のように表現
し得る。図3において、フィードバックループの一巡伝
達関数Geを計算すると、
【数16】 Ge=〔1/(1−B)〕〔B/Grm〕Gr ・・・・(16) となり、ところでGrm=Gr であることから、
【数17】Ge=B/(1−B) ・・・・(17) になる。ここで、Bの周波数特性B(jω)を考察する
に、(13),(14)式より
【数18】 であるから、Geのゲイン特性は図4に実線bで示すよ
うにω=0の時と、ω→∞の時に0になることが判る。
【0031】Geのゲイン特性はフィードバックゲイン
の周波数特性であるから、本例においては低周波域でフ
ィードバックがなされず、δ2 がほとんど0になること
となる。これがため、バンク付きの湾曲路を旋回走行す
る場合において、車両が重力の加速度により、湾曲路の
曲率中心に向かう方向に力を受けても、これを低周波の
外乱と見做すことがなく、従ってこれを打ち消すような
後輪舵角を与えることもないため、運転者の積極的な操
縦によらずとも上記の湾曲路に沿った旋回走行が可能で
ある。よって、運転者が積極的にステアリングホイール
を操舵して車両を湾曲路に沿わせるように操縦する必要
もなく、バンク付き湾曲路での旋回走行においても違和
感を伴うことがない。
【0032】また同様の理由から、路面摩擦係数の変化
により被制御車両の操舵応答が変化しても、前記した従
来装置のように、低周波数帯域において、被制御車両の
操舵応答を規範モデルの応答に追従させるべく後輪操舵
を実行することがなく、操舵応答の低域特性が圧雪路等
の低摩擦路で大きく変化することがあっても、後輪舵角
がハードウエア限界に固定される程に大きくなることは
ない。従って、かかる状態で横風等の高周波の外乱が入
力された時、この外乱に対する後輪操舵を可能ならし
め、後輪操舵の本来の作用効果を奏し得ることができ
る。
【0033】また、外乱dから車両挙動yまでの伝達関
数を計算すると、
【数19】 y={(1−B)/〔1−B+(Gr /Grm)B〕}d・・・(19) となるが、Gr =Grmであるから、上式は結局
【数20】y=(1−B)d ・・・・(20) で表される。従って、B(jω)が小さくなる低周波数
域では、車両挙動が外乱dの影響を直接受けることにな
る。しかし運転者は、高周波の外乱に対しては、これに
よる車両挙動変化を修正し難く、なかなか対処し得ない
のが実情であるが、低周波の外乱による車両挙動への影
響はこれを容易に修正できる人がほとんどで、上記のよ
うにB(jω)が小さくなる低周波数域で、車両挙動が
外乱dの影響を直接受けることになっても、支障はほと
んどない。
【0034】また、周波数が高くなると、外乱dそのも
のが小さくなるため、高周波域でのフィードバックゲイ
ンは小さくてよいことになる。
【0035】本例においては図4に示す通り、フィード
バックが最も効果的になる中間周波数域で最大のフィー
ドバックゲインが得られることから、人間から見た制御
の効果を損なうことなしに、上述した作用効果を奏し得
ることになる。
【0036】なお、Bの特性としては、上記した実施例
のものに限らず、以下の如きものでも同様な作用効果を
達成することができる。
【数21】
【0037】図5は上記実施例のフローチャートを示
す。先ず、車速Vを読み込み、次いでK1 =(R−
f )/Gr によって表されるK1 のゲインをマップ検
索する。そして、操舵角θを読み込み、これを基にδ1
=K1 ・θにより後輪舵角δ1 を演算し、更にGfm,G
rmのゲインを検索する。次いで、ym =Gfm・θ+Grm
・δを算出し、車両挙動yを読み込み、制御誤差e=y
−ym を求める。そして、この誤差eに対応した後輪舵
角修正量δ2 =B・Grm -1・eを演算し、後輪舵角指令
値δ=δ1 −δ2 を求めて制御を終了する。
【0038】
【発明の効果】かくして本発明の車両挙動制御装置は請
求項1に記載の如く、車速Vおよび操舵角θから、車両
挙動が所定の規範モデルの操舵応答に追従するのに必要
な後輪舵角δ1 を求める後輪舵角演算手段として、所定
の帯域通過特性を有したバンドパスフィルタの伝達特性
を表す伝達関数Bに、被制御車両の後輪操舵に対する車
両挙動の応答特性を表す伝達関数Grmの逆特性(Grm
-1を乗じたB・(Grm-1の伝達特性を有する構成のも
のを用いるようにしたから、低周波域でのフィードバッ
クゲインを小さくすることができ、従って、バンク付き
の湾曲路を旋回走行する場合において、車両が重力の加
速度により、湾曲路の曲率中心に向かう方向に力を受け
ても、これを低周波の外乱と見做すことがなく、従って
これを打ち消すような後輪舵角を与えることもないた
め、運転者の積極的な操縦によらずとも上記の湾曲路に
沿った旋回走行が可能である。よって、運転者が積極的
にステアリングホイールを操舵して車両を湾曲路に沿わ
せるように操縦する必要もなく、バンク付き湾曲路での
旋回走行においても違和感を伴うことがない。
【0039】また同様の理由から、路面摩擦係数の変化
により被制御車両の操舵応答が変化しても、従来装置の
ように、低周波数帯域において、被制御車両の操舵応答
を規範モデルの応答に追従させるべく後輪操舵を実行す
ることがなく、操舵応答の低域特性が圧雪路等の低摩擦
路で大きく変化することがあっても、後輪舵角がハード
ウエア限界に固定される程に大きくなることはない。従
って、かかる状態で横風等の高周波の外乱が入力された
時、この外乱に対する後輪操舵を可能ならしめ、後輪操
舵の本来の作用効果を奏し得ることができる。
【0040】なお上記の構成において、上記後輪舵角演
算手段の伝達特性B・(Grm-1は請求項2に記載の如
く、伝達関数Bを、上記車速検出手段で検出した車速V
に応じ変化させるよう構成するのが良く、この場合広範
の車速囲において上記の作用効果を確実に達成すること
ができる。
【0041】また請求項3に記載の如く、車両挙動yと
しては、車両のヨーレイト(d/dt)φおよび横加速
度αの線形結合D* =dα−(1−d)V(d/dt)
φ(但し、α≦d≦1)を用いるよう構成するのが良
く、この場合車両のヨーレイト(d/dt)φおよび横
加速度αの双方について所望の挙動制御を実現すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による車両挙動制御装置の一実施例を示
すブロック線図である。
【図2】同例の制御系統図である。
【図3】同制御系統のうちのフィードバック部分を抽出
して示す系統図である。
【図4】同例におけるフィードバックゲイン特性を、従
来装置におけるそれと比較して示す周波数特性図であ
る。
【図5】同例を制御プログラムとして示すフローチャー
トである。
【符号の説明】
1 操舵角センサ(操舵角検出手段) 2 車速センサ(車速検出手段) 3 ヨーレイトセンサ(車両挙動検出手段) 4 フィードフォワード補償器(後輪舵角演算手段) 5 車両挙動推定部(車両挙動推定手段) 6 制御誤差演算部(制御誤差演算手段) 7 フィードバック補償器(後輪舵角修正量演算手段) 8 後輪舵角指令値演算部(後輪舵角指令手段) 11 被制御車両 12 規範モデル

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車速Vを検出する車速検出手段と、 ステアリングホイールの操舵角θを検出する操舵角検出
    手段と、 これら手段で検出した車速Vおよび操舵角θを入力さ
    れ、車両挙動が所定の規範モデルの操舵応答に追従する
    のに必要な後輪舵角δ1 を求める後輪舵角演算手段と、 前記検出した車速Vおよび操舵角θ、並びに後輪舵角指
    令値δを基に車両挙動ym を推定する車両挙動推定手段
    と、 被制御車両の挙動yを検出する車両挙動検出手段と、 これら推定車両挙動ym および検出車両挙動y間の偏差
    eを求める制御誤差演算手段と、 該制御誤差eを基に、前記後輪舵角δ1 の修正量δ2
    求める後輪舵角修正量演算手段と、 前記後輪舵角δ1 を該修正量δ2 だけ修正して前記後輪
    舵角指令値δとする後輪舵角指令手段とを具え、 この指令値δに向け後輪を転舵するよう構成したことを
    特徴とする車両の挙動制御装置において、 前記後輪舵角演算手段は、所定の帯域通過特性を有した
    バンドパスフィルタの伝達特性を表す伝達関数Bに、被
    制御車両の後輪操舵に対する車両挙動の応答特性を表す
    伝達関数Grmの逆特性(Grm-1を乗じたB・(Grm
    -1の伝達特性を有する構成にしたことを特徴とする車両
    の挙動制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記後輪舵角演算手
    段の伝達特性B・(Grm-1は、伝達関数Bを、前記車
    速検出手段で検出した車速Vに応じ変化させるよう構成
    したことを特徴とする車両の挙動制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項1において、車両挙動yとして、
    車両のヨーレイト(d/dt)φおよび横加速度αの線
    形結合D* =dα−(1−d)V(d/dt)φ(但
    し、α≦d≦1)を用いるよう構成したことを特徴とす
    る車両の挙動制御装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20100241314A1 (en) * 2007-06-04 2010-09-23 Continental Teves Ag & Co. Ohg Steering device for adjusting a wheel steering angle
KR20190034831A (ko) * 2017-09-25 2019-04-03 현대모비스 주식회사 차량의 후륜 조향장치 및 그 제어방법
JP2021059267A (ja) * 2019-10-09 2021-04-15 国立大学法人東京農工大学 転舵制御装置、転舵制御プログラム

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