JPH0721241U - 広幅薄肉鋳片の連続鋳造用サイド堰 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 サイド堰のベース部材にヒータを用いて、鋳
造開始前にサイド堰を予熱する場合に、ヒータがベース
部材の挿通孔に接触してスパークを発生することがな
く、また、サイド堰ケースから漏電することなく、サイ
ド堰の予熱を効率化できるサイド堰構造を提供する。 【構成】 金属ケースに収容されたベース部材に埋設さ
れ上記金属ケースに取り付けられるヒータの取り付け部
外周面に、耐熱性、断熱性、絶縁性に優れた物質からな
るスリーブを配し、この絶縁スリーブ部を前記金属ケー
スに固定し、上記ベース部材のヒータ挿通孔壁面とヒー
タ外周面間に絶縁空間を形成したことを特徴とする広幅
薄肉鋳片の連続鋳造用サイド堰。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、双ドラム式連続鋳造装置等の広幅薄肉鋳片の連続鋳造用サイド堰に に関する。より具体的にはこのサイド堰において、ベース部材に挿通・埋設され るヒータの取り付け構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来から一般に知られている例えば双ドラム式連続鋳造装置を用いた広幅薄肉 鋳片の連続鋳造においては、図３に示されるように、回転する一対の冷却ドラム Ｒａ、Ｒｂとこのドラムの両端面に当接されるサイド堰Ｓａ，Ｓｂによって形成 される移動鋳型内に、タンディッシュ内から内ノズルａ、外ノズルｂを介して溶 湯ｅを供給し、移動鋳型内に所定レベルの湯溜り部ｐをつくりつつ、冷却ドラム で冷却して凝固シェルを形成し、この凝固シェルを一対の冷却ドラムの最接近部 に形成されるロ−ル・ギャップにおいて圧接・一体化して広幅薄肉鋳片ｃを得る ようになっている。

【０００３】 このサイド堰Ｓａ、Ｓｂは図４に示されるように冷却ドラムＲａ，Ｒｂ間の溶 湯ｅ（ハッチングを施した部分）をシールするために必要不可欠なものであり、 一般にはこのようなサイド堰は例えば実開昭６３−９０５４８号に開示されてい るように、図５のように構成されている。

【０００４】 即ち、このサイド堰１は、枠板２と底板３とからなるサイド堰ケース４内に、 断熱材５と、この断熱材に植設されたベース部材と、このベース部材に埋設され たセラミックス層７が配設されており、このセラミックス層が冷却ドラムの両端 面に直接接触して溶湯をシールする。

【０００５】 即ち、セラミックス層７は、鋳造中に回転する冷却ドラムの両端面に密着して 摺動するので、形状的には該ドラム両端面に十分に適合する面を形成するととも に、材質的には適度の潤滑性を有することが必要である。

【０００６】 一方、サイド堰への急激な熱衝撃を緩和するとともに、サイド堰への地金付着 を防止するために、鋳造開始前に、このサイド堰の加熱を行なう必要があり、こ の加熱のため、このサイド堰のベース部材にヒータ８を埋設することが一般化さ れている。

【０００７】 このヒータ８は、サイド堰ケース４の挿入孔に挿通、固定されるが、この場合 、その外周面が挿入孔の孔壁と接触しないように、外周面と孔壁間に一定の間隙 がを設けられるが、鋳造開始前の予熱でサイド堰ケースが熱変形することが多く 、電力投入中のヒータ８と挿入孔の孔壁が接触してスパークが発生する。

【０００８】 その結果、ヒータが劣化して加熱ができなくなったり、ベース部材のに孔が大 きくなり、ドラム端面に押し付け時、座屈してしまいサイド堰の機能を失い鋳造 の継続が困難になる。

【０００９】 対策としては、サイド堰ケース内に配設される耐火物の熱変形量を考慮し、ヒ ータ外周面とベース部材の孔壁間の間隙を大きくすることが考えられるがこれに は限界がある。

【００１０】 適度の間隙を安定維持するためには、ヒータをサイド堰ケースに確実に固定す る必要があるが、サイド堰ケースは金属製であり、直接的に取り付けると漏電し てしまい、連続鋳造関連設備に悪影響を与える懸念がある。また、サイド堰の加 熱効率が低下してしまうといった問題がある。

【００１１】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は、サイド堰のベース部材にヒータを用いて、鋳造開始前にサイド堰を 予熱する場合に、ベース部材の挿通孔とヒータ間でのスパーク発生を防止して、 サイド堰の寿命を延長するとともに、金属ケースからの漏電を防止して、鋳造前 のサイド堰予熱を効率化できるヒータ取り付け構造を有する広幅薄肉鋳片鋳造用 サイド堰構造を提供するものである。

【００１２】

【課題を解決するための手段】

本考案の要旨は、回転する一対の冷却ドラムの両端面に当接されこの一対の冷 却ドラムとの間に移動鋳型を形成する広幅薄肉鋳片の連続鋳造用サイド堰であっ て、金属ケースに収容された不定形耐火物と、この不定形耐火物に植設されたベ ース部材と、このべ−ス部材に冷却ドラム端面と摺動するごとく植設されたセラ ミック当板と、上記ベース部材に挿通・埋設されたヒータとからなり、このヒー タの上記金属ケースへの取り付け部外周面に、耐熱性、断熱性、絶縁性に優れた 物質からなるスリーブを配し、この絶縁スリーブ部を前記金属ケースに固定し、 上記ベース部材のヒータ挿通孔壁面とヒータ外周面間に絶縁空間を形成したこと を特徴とする広幅薄肉鋳片の連続鋳造用サイド堰にある。

【００１３】

【作用】

本考案においては、ヒータの外周面に耐熱性、断熱性、絶縁性に優れた適度の 厚みのスリーブを配し、ベース部材のヒータ挿通孔に挿通・埋設し、金属ケース のに固定するので、このスリーブによって、ヒータ外周面とベース部材の挿通孔 間に適度の絶縁空間を安定形成できるので、ここにスパークを発生することはな い。

【００１４】 また、ヒータは金属ケースに絶縁性のスリーブを介して確実に固定されるので 、金属ケースを介して漏電する心配もない。したがって、サイド堰の予熱を効率 的に行いサイド堰機能の長期安定化を図ることができ、また、関連設備への漏電 による悪影響を回避することができるので、連続鋳造操業を安定化し、均質な鋳 片を鋳造することができる。

【００１５】

【実施例】

以下に本考案を図１（ａ）〜（ｂ）に示す実施例に基づいて説明する。 本考案のサイド堰９は、ＳＳ４１からなる金属ケース１０と、この金属ケース に収容された電融ＳｉＯ₂ 質の不定形耐火物１１と、この不定形耐火物に植設さ れた高アルミナ質耐火物からなるベース部材１２と、このベース部材に冷却ドラ ムＲａ，Ｒｂの端面と摺動するごとく植設されたＳｉ₃ Ｎ₄ −ＢＮ−ＡｌＮ質耐 火物からなＹ字型のセラミックス当板１３と、上記ベース部材に挿通・埋設され たＳｉＣ発熱体からなるヒータ１４で構成されている。

【００１６】 ヒータ１４は、ベース部材１２に上下多段に設けられたヒータ挿通孔１２ａに それぞれ挿通され、金属ケースに固定されている。このヒータ１４の金属ケース １０との取り付け部外周面には、耐熱性、断熱性、絶縁性に優れた例えば高アル ミナ質からなるスリーブ１５が外装されている。

【００１７】 このスリーブの厚みは、ベース部材が鋳造開始に際しての予熱により熱変形し た場合に、ヒータ外周面とベース部材１２のヒータ挿通孔壁面と１２ａと接触し ないように、ベース部材のヒータ挿通孔壁面とヒータ外周面間に適度の間隙Ｏを 形成できる範囲で設定される。

【００１８】 このスリーブ１５は、金属ケース１０にヒータ１４を取り付ける場合に、この ヒータと金属ケース間に介在し、ヒータから金属ケースに漏電することを防止す る役割も果たす。このヒータと金属ケースの取り付け構造は、例えば図２に示す ように、金属ケースの底板（側板）１０ａに設けた絶縁性のヒータ支持部１６に よって支持・固定されている。

【００１９】 このスリーブ１５に要求される材質面での特性は、耐熱性、断熱性、絶縁性で あり、耐熱性に関しては、金属ケースの取り付け部近傍が１２００℃程まで上昇 するので、耐熱温度１２００℃以上であることが望ましい。

【００２０】 また、断熱性に関しては金属ケース１０の取り付け部の温度が上昇して変形す ると、ヒータ１４の取り付けが困難になるとともにベース部材とヒータ間に一定 の絶縁空間Ｏの形成ができなくなるので、この変形に対して柔軟性のある可縮性 の耐火繊維であることが望ましい。

【００２１】 そして、金属ケース１０を介して漏電の心配のないものという観点を考慮する と、例えば、高アルミナ質の繊維状のものを成型して得られる多量の空気層を含 む、耐熱温度１６００℃レベルの耐火物が適性が高いものといえる。

【００２２】 このスリーブ１５の厚みについては、強度、金属ケースへの取り付け時のハン ドリング性も考慮して決めるが、例えば２５mmφのヒータを用い、サイド堰のセ ラミックス当板の表面温度を１５００℃まで昇温させると、サイド堰の熱変形は 、最大２mmであり、ヒータとベース部材間の絶縁空間は片側３mmもあれば十分で あり、両者が接触してスパークを発生することはない。

【００２３】 したがって、通常の場合、この絶縁空間は片側で１〜５mmであることが望まし く、スリーブの厚みは１．５〜６mmが適領域といえる。 絶縁空間が１．５mm以下では、サイド堰の熱変形で、ベース部材とヒータが直 接接触し、またはヒータがＳｉＣ発熱体である場合、ここに含浸されているＳｉ が高温化により吹き出し、ベース部材と接触して、スパークが発生する危険が大 である。 また、５mm以上ではヒータからベース部材への熱伝達が不十分になり、サイド 堰に対する熱衝撃緩和、地金付着防止が図れる所定温度まで予熱することが困難 になる。

【００２４】 このようにして構成された本発明のサイド堰を、図４に示すような双ドラム式 連続鋳造装置に取り付け、このサイド堰をヒータでセラミックス当板を予熱を行 った。その結果、短時間で所望の１２００℃まで予熱できた。この予熱過程では 、従来頻発していた昇温不能といった予熱トラブルは全くなかった。 そして、サイド堰予熱後、連続鋳造操業を実施し、幅１２００mm，厚さ５mmの 広幅薄肉鋳片を鋳造した。

【００２５】 その結果、本サイド堰は長時間に亘って、座屈することもなく、サイド堰とし ての機能を全うし、安定した連続鋳造操業を実施でき、形状の良好な鋳片を安定 的に鋳造することがてきた。 また、この間、サイド堰制御機構の電気系統への悪影響もなく、サイド堰制御 精度の低下といった現象の発生もなかった。

【００２６】 なお、本考案は上記の実施例に限定されるものではなく、例えば本サイド堰構 造、各構成要素、これらを形成する材料等は、冷却ドラム条件（端面の材質、寸 法、形状等）、サイド堰条件（構造、寸法、形状、材料の組み合わせ等）、連続 鋳造の操業条件（温度、速度、寸法等）に応じて、本考案請求項の範囲内で、適 宜選定、組み合わせて用いるものである。

【００２７】

【考案の効果】

本考案においては、ヒータの外周面に耐熱性、断熱性、絶縁性に優れた適度の 厚みのスリーブを配し、ベース部材のヒータ挿通孔に挿通・埋設し、金属ケース のに固定するので、このスリーブによって、ヒータ外周面とベース部材の挿通孔 間に適度の絶縁空間を安定形成できるので、ここにスパークを発生することはな い。また、ヒータは金属ケースに絶縁性のスリーブを介して確実に固定されるの で、金属ケースを介して漏電する心配もない。

【００２８】 したがって、サイド堰の予熱を効率的に行いサイド堰機能の長期安定化を図る ことができ、また、関連設備への漏電による悪影響を回避することができるので 、連続鋳造操業を安定化し、均質な鋳片を鋳造することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例を示す説明図であり、（ａ）図
は湯溜り部側から見たサイド堰の一部断面正面説明図、
（ｂ）図は（ａ）図のＡａ−Ａｂ矢視側面説明図。

【図２】図１（ａ）におけるヒータ取り付け構造を示す
拡大説明図で（ａ）図は取り付け部の一部断面正面説明
図、（ｂ）図は（ａ）図のＢａ−Ｂｂ矢視断面説明図。

【図３】本考案を実施する双ドラム式の広幅薄肉鋳片の
連続鋳造装置例を示す立面説明図。

【図４】本考案を実施する双ドラム式の広幅薄肉鋳片の
連続鋳造装置例におけるサイド堰配置状態を示す平面説
明図、（ｂ）図は、（ａ）図の正面説明図。

【図５】従来の双ドラム式連続鋳造装置例におけるサイ
ド堰例を示し、（ａ）図は湯溜り部側から見た正面説明
図、（ｂ）図は（ａ）図のＣａ−Ｃｂ矢視断面説明図。

【符号の説明】

１ サイド堰 ２ 枠板 ３ 底板 ４ サイド堰ケース ５ 耐火物 ６ ベース材 ７ セラミックス層 ８ ヒータ ９ サイド堰 １０ 金属ケース １０ａ 底板（側板） １１ 不定形耐火物 １２ ベース部材 １２ａ ヒータ挿通孔 １３ セラミックス当板 １４ ヒータ １５ スリーブ １６ 支持部 ａ 内ノズル ｂ 外ノズル ｃ 鋳片 ｅ 溶湯 Ｍ メニスカス ｐ 湯溜り部 Ｒａ，Ｒｂ 冷却ドラム Ｓａ，Ｓｂ サイド堰

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 新井 貴士 山口県光市大字島田3434番地 新日本製鐵 株式会社光製鐵所内 (72)考案者 脇山 洋一 広島県広島市西区観音新町４−６−22 三 菱重工業株式会社広島製作所内 (72)考案者 山根 孝 広島県広島市西区観音新町４−６−22 三 菱重工業株式会社広島研究所内

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 回転する一対の冷却ドラムの両端面に当
   接されこの一対の冷却ドラムとの間に移動鋳型を形成す
   る広幅薄肉鋳片の連続鋳造用サイド堰であって、金属ケ
   ースに収容された不定形耐火物と、この不定形耐火物に
   植設されたベース部材と、このべ−ス部材に冷却ドラム
   端面と摺動するごとく植設されたセラミック当板と、上
   記ベース部材に挿通・埋設されたヒータとからなり、こ
   のヒータの上記金属ケースへの取り付け部外周面に、耐
   熱性、断熱性、絶縁性に優れた物質からなるスリーブを
   配し、この絶縁スリーブ部を前記金属ケースに固定し、
   上記ベース部材のヒータ挿通孔壁面とヒータ外周面間に
   絶縁空間を形成したことを特徴とする広幅薄肉鋳片の連
   続鋳造用サイド堰。