JPH07206771A - テトラキス〔3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル〕メタンの製造方法 - Google Patents

テトラキス〔3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル〕メタンの製造方法

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JPH07206771A JP6015872A JP1587294A JPH07206771A JP H07206771 A JPH07206771 A JP H07206771A JP 6015872 A JP6015872 A JP 6015872A JP 1587294 A JP1587294 A JP 1587294A JP H07206771 A JPH07206771 A JP H07206771A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高収率で着色のほとんどないテトラキス〔3
−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオニルオキシメチル〕メタンの製造方法を提供す
る。 【構成】 ペンタエリスリトールと3−(3,5−ジ第
三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキ
シアルキルのエステル交換反応において、ペンタエリス
リトールと3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキ
シフェニル)プロピオニルオキシアルキルのモル比を
1:4.1以上1:5.5以下の範囲で、触媒として無
水水酸化リチウムをペンタエリスリトールの1以上50
モル%以下、脂肪族炭化水素系溶媒を理論収量の5以上
100重量%未満の範囲で用いることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は酸化防止剤として有用な
テトラキス〔3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロ
キシフェニル)プロピオニルオキシメチル〕メタン(以
下、AO−60と称する)の製造方法に関し、詳しく
は、脂肪族炭化水素系の溶媒中での無水水酸化リチウム
を触媒とする3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロ
キシフェニル)プロピオニルオキシアルキルとペンタエ
リスリトールのエステル交換反応によるAO−60の製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】AO−
60は、ポリオレフィンをはじめ種々の合成高分子材料
の酸化防止剤として広く用いられている化合物である。
【0003】AO−60を製造する方法として、特公昭
42−18617号公報には水素化リチウムを触媒とす
る方法が提案されているが、水素化リチウムは発生する
水素ガスによる発火の危険性があり、実用上問題があ
る。また、特公昭42−19083号公報にはアルカリ
金属メトキシドを触媒として反応することが提案されて
いる。安全性には優れるものの収率が70%から80%
と低く、得られる製品が黄色に着色するなど工業的製法
としては満足のいくものではなかった。その他、特開昭
62−258343号公報にはリチウムアマイドを触媒
とする方法が提案されていて、安全性、収率に優れた方
法であるが、得られる製品が黄色に着色する欠点があっ
た。これらの提案はいずれも無溶媒での反応もしくは少
量のテトラリンのような芳香族系溶媒またはジメチルス
ルホキシド、ジメチルホルムアミドのような双極子性中
性溶媒中での反応であった。
【0004】この他、特開平3−284652号公報に
は、脂肪族炭化水素系溶媒中でエステル交換反応を行な
うことが提案されている。この提案においては触媒の優
劣に対する記述はなく、実施例においては無溶媒でのエ
ステル交換反応で優れるリチウムアマイドまたは高価な
有機錫化合物のみが用いられている。この方法により得
られる製品も、着色性においていまだ満足のいくもので
はなく、更なる着色の低下が望まれていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記の現状
に鑑み、より着色の小さい製法を見出すべく鋭意検討を
重ねた結果、無水水酸化リチウムを触媒として脂肪族炭
化水素系溶媒中でエステル交換反応をおこなうことによ
り、高収率で着色のほとんどないAO−60が得られる
ことを見出し本発明に到達した。
【0006】すなわち本発明は、ペンタエリスリトール
と3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオニルオキシアルキルのエステル交換反応に
おいて、ペンタエリスリトールと3−(3,5−ジ第三
ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ
アルキルのモル比を1:4.1以上1:5.5以下の範
囲で、触媒として無水水酸化リチウムをペンタエリスリ
トールの1以上50モル%以下、脂肪族炭化水素系溶媒
を理論収量の5以上100重量%未満用いることを特徴
とするテトラキス〔3−(3,5−ジ第三ブチル−4−
ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル〕メタ
ンの製造方法を提供するものである。また、反応混合物
を含水アルコール溶媒で晶析することを特徴とする前記
テトラキス〔3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロ
キシフェニル)プロピオニルオキシメチル〕メタンの製
造方法を提供するものである。
【0007】以下、上記要旨をもってなる本発明のAO
−60の製造方法についてさらに詳細に説明する。
【0008】本発明でAO−60を製造するために用い
られる3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロピオニルオキシアルキルのアルキルとして
はメチル、エチルが挙げられ、通常はメチルが用いられ
る。
【0009】本発明で用いられるペンタエリスリトール
と3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオニルオキシアルキルの配合量は、副生する
トリス体などの低減と未反応3−(3,5−ジ第三ブチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシアル
キルが回収再使用および回収に必要なエネルギーのコス
トから、ペンタエリスリトール:3−(3,5−ジ第三
ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ
アルキルはモル比で1:4.1以上1:5.5以下の範
囲が好ましく、1:4.5以上1:5.0以下の範囲が
特に好ましい。3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒド
ロキシフェニル)プロピオニルオキシアルキルの使用量
比が4.1より小さいとトリス体が増加して収率や純度
を低下させ、5.5より大きくしても反応率はそれ以上
改善されず、かえって未反応の原料が残存して純度が低
下する傾向があるばかりでなく、同一容積での反応にお
ける収量の低下と製品単位重量当たりの未反応原料の回
収コストが増大する。
【0010】また、脂肪族炭化水素系溶媒としては、ヘ
キサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデ
カン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ヘキサデ
カン、シクロヘキサン等の鎖状または脂環式炭化水素が
挙げられ、これらは単独でも2種以上の混合物でもよ
く、安全性と反応温度および反応終了後の脱溶媒の容易
性との関係から沸点150℃から250℃のものが好ま
しい。また、溶媒の30%以下であれば芳香族炭化水素
系溶媒を含有してもよく、反応初期においてジメチルス
ルホキサイド、ジメチルホルムアミド、ジオキサン等の
双極子性中性溶媒を用いても良い。双極子性中性溶媒を
用いる場合には、初期反応終了後に脂肪族炭化水素系溶
媒と置換してもよい。溶媒の使用量は、理論収量の5%
以上100重量%未満の範囲が好ましく、10%以上5
0重量%以下の範囲が特に好ましい。5%未満では着色
が強く、100重量%以上では収率が低下する。
【0011】また、反応の触媒として使用される無水水
酸化リチウムは、その使用量は反応に用いられるペンタ
エリスリトールに対して、1以上50モル%以下が好ま
しく、より好ましくは1以上30モル%以下である。1
モル%未満では収率が低く、50モル%を超えて用いて
も収率の向上は認められず着色が強くなる。
【0012】反応終了後、反応混合物から目的物を取り
出すために用いられる晶析用溶媒としては、低級アルコ
ールや低級アルコールの含水品が挙げられ、これらは単
独でも2種以上の混合物でもよく、変性アルコール溶媒
として市販されているものを用いることもできる。これ
らの変性アルコール溶媒の使用量は特に制限を受けない
が、通常は、AO−60の理論生成量に対して100以
上500重量%以下の範囲で用いられる。特に、150
以上300重量%以下の範囲を用いることが好ましい。
少ないと純度が低くなり、多いと収率が低くなる。
【0013】晶析工程で用いられる低級アルコールとし
ては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノ
ール、プロパノール、ブタノール、第二ブタノール、イ
ソブタノール等があげられる。また、AO−60の溶解
度を調整するためにこれらの低級アルコールは30重量
%以下、好ましくは20重量%以下の水を含有していて
もよく、特に5から20重量%の水を含有するものが好
ましい。
【0014】反応温度は100℃を超え200℃以下の
範囲が好ましく、150℃以上200℃以下の範囲がよ
り好ましい。100℃以下では反応速度が遅く、最終生
成率が低くなり、200℃を超えると得られる製品の着
色が強くなる。
【0015】反応時の圧力は生成するメタノールが留去
できる範囲であればとくに限定されるものではないが、
反応の終点近くでは20mmHg以下が好ましく、より
好ましくは10mmHg以下である。
【0016】反応原料、触媒および反応溶媒の仕込手順
は、はじめから全て仕込んでもよいが、反応の進行に応
じて分割して仕込んでもよい。
【0017】
【実施例】以下、実施例によって本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定され
るものではない。
【0018】実施例1および比較例1 攪拌機、還流冷却器、温度計及び窒素導入管を備えた容
量2リットルの4口フラスコに、3−(3,5−ジ第三
ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ
メチルとペンタエリスリトールを表−1に記載の比率に
なるように、かつ、合計で100gになるように仕込
み、無水水酸化リチウムをペンタエリスリトールの15
モル%になるように仕込み、IP−1620(出光石油
化学株式会社製脂肪族炭化水素系溶媒で沸点166℃か
ら205℃)26gを加え、100を超え190℃以下
の範囲で10mmHgまで除々に減圧しながら8時間攪
拌した。次に210℃で2mmHgまで減圧して脱溶媒
した後100℃まで冷却して酢酸を加えて中和した。7
0℃以上を保ちながら10%含水メタノールを150g
加え、除々に冷却して20℃で析出する白色固体を乾燥
して、融点115℃の白色粉末をろ取した。
【0019】得られたAO−60の純度は液体クロマト
グラフィーにより、また着色性は10%トルエン溶液の
50セルでの425nmと500nmにおける透過率に
より評価した。実施例1と比較例1の評価結果を表−1
に示す。なお、収率はペンタエリスリトールを基準とし
た。
【0020】
【表1】
【0021】実施例2 触媒の無水水酸化リチウムの使用量を表−2に記載の量
に変えた以外は実施例1−3と同様にして反応を行い、
融点115℃の白色粉末を得た。
【0022】比較例2 実施例1の無水水酸化リチウムの使用量を増量したも
の、および無水水酸化リチウムを表−2に記載の量比で
リチウムアミドおよび水酸化ナトリウムに変更した以外
は、実施例1−3と同様にして、融点115℃の白色粉
末を得た。
【0023】実施例2および比較例2の評価結果を表−
2に示す。
【0024】
【表2】
【0025】実施例3 反応溶媒を表−3に示す溶媒および溶媒量に変更した以
外は実施例1−3と同様にして融点115℃の白色固体
を得た。
【0026】比較例3 反応溶媒を表−3に示す種類および量にした他、比較例
3−2においては触媒を水酸化リチウムから等モルのリ
チウムアミドに置き換えて反応し、その他の条件は実施
例1−3と同様にして融点115℃の白色固体を得た。
【0027】実施例2と同様にして得られた評価結果を
表−3に示す。
【0028】
【表3】
【0029】上記実施例から明らかなように、3−
(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プ
ロピオニルオキシメチルとペンタエリスリトールのエス
テル交換反応によってAO−60を製造する際に、脂肪
族炭化水素系溶媒中で無水水酸化リチウムを触媒として
用いることで、着色の小さいAO−60を高収率で、効
率良く製造できる。
【0030】これに対し、リチウムアミドを触媒に使用
した方法では、得られる生成物が黄色に着色して商品性
を低下させてしまうことが明らかである。水酸化ナトリ
ウムを触媒として用いた場合には生成率が低く目的物を
単離できなかった。
【0031】また、無水水酸化リチウムを用いても、溶
媒を用いない場合は、着色が強く収率も低いため実用的
でないことが明らかである。しかも、無溶媒では無水水
酸化リチウムは、リチウムアミドに収率、着色共に劣っ
ているが、脂肪族炭化水素系溶媒を用いた場合には、優
劣が逆転していて、通常の予測される性能とは異なるこ
とも明らかである。
【0032】
【発明の効果】テトラキス〔3−(3,5−ジ第三ブチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチ
ル〕メタンを製造する際に、脂肪族炭化水素溶媒中で無
水水酸化リチウムを触媒とすることによって、ほとんど
着色のない目的物を高収率で効率良く得ることができ
る。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ペンタエリスリトールと3−(3,5−
    ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル
    オキシアルキルのエステル交換反応において、ペンタエ
    リスリトールと3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒド
    ロキシフェニル)プロピオニルオキシアルキルのモル比
    を1:4.1以上1:5.5以下の範囲で、触媒として
    無水水酸化リチウムをペンタエリスリトールの1以上5
    0モル%以下、脂肪族炭化水素系溶媒を理論収量の5以
    上100重量%未満の範囲で用いることを特徴とするテ
    トラキス〔3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキ
    シフェニル)プロピオニルオキシメチル〕メタンの製造
    方法。
  2. 【請求項2】 ペンタエリスリトールと3−(3,5−
    ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル
    オキシアルキルのモル比を1:4.5以上1:5.0以
    下の範囲で、無水水酸化リチウムをペンタエリスリトー
    ルの5以上30モル%以下、脂肪族炭化水素系溶媒を理
    論収量の10以上50重量%以下の範囲で用いることを
    特徴とする請求項1記載のテトラキス〔3−(3,5−
    ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル
    オキシメチル〕メタンの製造方法。
  3. 【請求項3】 反応混合物を含水アルコール溶媒で晶析
    することを特徴とする請求項1記載のテトラキス〔3−
    (3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プ
    ロピオニルオキシメチル〕メタンの製造方法。
JP01587294A 1994-01-14 1994-01-14 テトラキス〔3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル〕メタンの製造方法 Expired - Lifetime JP3436403B2 (ja)

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