JPH07205981A - 生ビール樽 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 下鏡の凹陥を防止して経済性を向上させ、ま
た積卸し、段積み等に際し、衝撃音の発生を防止して作
業のスピードアップを図るようにした生ビール樽を提供
する。 【構成】 ステンレス製の生ビール樽本体１の上端部外
周と下端部外周に上部スカート壁２と下部スカート壁３
を一体的に設ける。下部スカート壁３はゴムからなる下
部スカート壁本体１３に円筒状の補強用芯材１４を埋設
する。積卸し、段積み等に際し、ゴムからなる下部スカ
ート壁本体１３により衝撃音の発生を防止することがで
きる。落下等の際には衝撃を補強用芯材１４により受け
止め、下鏡６の凹陥を防止することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、業務用の生ビール樽に
関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、生ビールを充填するステンレス製
の業務用の生ビール樽において、ステンレス製の生ビー
ル樽本体の上端部外周と下端部外周に硬度が７５〜８５
の硬質ゴムからなる円筒状の上部スカート壁と下部スカ
ート壁を一体的に設けた構成が知られている。

【０００３】従来の業務用の生ビール樽の他の例とし
て、ステンレス製の生ビール樽本体の上端部外周と下端
部外周にステンレス製の上部スカート壁と下部スカート
壁の基部を溶接により固定した構成が知られている。

【０００４】いずれの生ビール樽においても、下位の生
ビール樽の上部スカート壁に上位の生ビール樽の下部ス
カート壁を係合して段積みすることができるように構成
されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上記従来例のうち、前
者のように上部スカート壁と下部スカート壁に硬質ゴム
を用いた構成では、運搬や段積みの際に衝突による衝撃
音の発生を防止することはできる。しかしながら、積卸
し等に際し、生ビール樽が転倒して落下すると、上部ス
カート壁、若しくは下部スカート壁が変形して衝撃が上
鏡、若しくは下鏡に加わり、特に補強されていないそれ
らの周縁部の平板状部が比較的簡単に凹陥する。この凹
陥により生ビール樽の容量が減少するため、凹陥した生
ビール樽は使用することができず、非経済的である。

【０００６】一方、後者のように上部スカート壁と下部
スカート壁にステンレスを用いた構成では、積卸し等に
際し、生ビール樽が転倒落下しても、このステンレス製
の上部スカート壁、若しくは下部スカート壁により衝撃
を受け止め、生ビール樽本体の上鏡、若しくは下鏡の凹
陥を防止することができる。したがって、生ビール樽本
体の容量が減少するおそれがないので、上部スカート
壁、若しくは下部スカート壁の変形部を矯正することに
より繰り返して使用することができる。しかしながら、
上部スカート壁と下部スカート壁をステンレスにより形
成した構成では、生ビール樽の積卸しおよび段積み等に
際し、乱雑に扱うと衝撃音が発生する。この衝撃音の発
生を防止するため、丁寧に扱うと作業能率に劣るなどの
問題がある。

【０００７】本発明は、上記のような従来の問題を解決
するものであり、転倒落下等に際し、生ビール樽本体の
下鏡の凹陥を防止することができ、したがって、繰り返
して使用することができて経済性を向上させることがで
き、しかも、積卸し、段積み等に際し、乱雑に扱っても
衝撃音の発生を防止することができ、したがって、作業
のスピードアップを図ることができるようにした生ビー
ル樽を提供することを目的とするものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明の技術的手段は、ステンレス製の生ビール樽本
体の下端部外周に下部スカート壁が一体的に設けられ、
上記下部スカート壁はゴムから成る下部スカート壁本体
に円筒状の補強用芯材が埋設されたものである。

【０００９】

【作用】本発明は、上記構成により、積卸し、段積み等
に際し、転倒落下等による衝撃を下部スカート壁の補強
用芯材により受け止め、生ビール樽本体の下鏡に衝撃が
及ぶのを防止し、生ビール樽本体の容量が減少するのを
防止することができる。そして、下部スカート壁は補強
用芯材が変形してもこれを矯正し、若しくは下部スカー
ト壁を交換することにより再使用することができる。ま
た下部スカート壁はゴム製のスカート壁本体に補強用芯
材を埋設しているので、積卸し、段積み等に際し、乱雑
に扱っても衝撃音の発生を防止することができる。

【００１０】

【実施例】以下、本発明の一実施例について図面を参照
しながら説明する。まず、本発明の第１の実施例につい
て説明する。図１は本発明の生ビール樽の第１の実施例
を示す平面図、図２は図１のＡーＡ矢視断面図である。

【００１１】図１および図２において、１は生ビール樽
本体、２は上部スカート壁、３は下部スカート壁であ
る。

【００１２】生ビール樽本体１はステンレス製で、胴部
４の上端に上鏡５が一体に設けられ、胴部４の下端に下
鏡６が一体に設けられている。胴部４の外周には補強用
リブ７が一本、若しくは複数本設けられている。上鏡５
には補強用リブ（ビード）８が複数条（図示例では８
条）中央部から放射状に設けられ、各リブ８の先端は周
縁部に達しないように設定されている。各リブ８は上方
へ突出され、両側壁が上端から下端に至るに従い、それ
らの間隔が台形状（波形状）に拡がるように傾斜され、
各突出上面が中央部で繋がり、その中央に穴９が形成さ
れている。この穴９にはステンレス製の口金１０の基部
が溶接により取付けられている。上鏡５には補強用のリ
ブ８の先端部に位置して環状の段差部１１が形成されて
上鏡５の外周部５ａが低くなるように形成されている。
環状の段差部１１は、例えば、緩やかな連続するウエー
ブ状の曲面により形成されている。

【００１３】上鏡５の外周部５ａおよび段差部１１上に
プライマーを介してゴム、例えば、硬度が７５〜９５、
好ましくは８５〜９５の硬質ゴムから成る円筒状の上部
スカート壁２がインジェクション成形により一体的に設
けられ、外周２箇所に把持用の穴１２が形成されてい
る。把持用の穴１２の下縁は上鏡５の上面に沿わされ、
排水を兼用することができる。上部スカート壁２は内周
面側の裾が段差部１１を覆って拡がるように形成され、
固着面積が拡げられている。

【００１４】下部スカート壁３は、ゴム、例えば、硬度
が７５〜９５、好ましくは８５〜９５の硬質ゴムからな
る下部スカート壁本体１３と、この下部スカート壁本体
１３に基端から先端部に至る高さで埋設されたステンレ
スからなる円筒状の補強用芯材１４とから構成され、補
強用芯材１４の基部が生ビール樽本体１の下鏡６の外周
部に溶接されて一体的に設けられるとともに、下部スカ
ート壁本体１３が生ビール樽本体１の下端部外周にプラ
イマーを介してインジェクション成形により一体的に設
けられている。補強用芯材１４の先端部は下部スカート
壁本体１３の先端部内側で内方へのカーリング部１５を
有するように成形されている。下部スカート壁本体１３
は内周面側の裾が生ビール樽本体１の中心側に向かって
拡がるように形成されて固着面積が拡げられ、先端部外
周に下位の生ビール樽の上部スカート壁２の上端部内側
に嵌合し得るように内方へ段状に凹入された嵌合部１６
が形成されている。下部スカート壁３の本体１３及び補
強用心材１４には必要に応じて排水用の穴１７が形成さ
れ、排水用の穴１７の上縁は下鏡６の外面に沿わされて
いる。

【００１５】以上の構成において、以下、その使用要領
について説明する。図２に鎖線で示す下位の生ビール樽
の上部スカート壁２の上部内側に実線で示す上位の生ビ
ール樽の下部スカート壁３の嵌合部１６が嵌合されて位
置規制されるとともに、嵌合部１６の段部が上部スカー
ト壁２の上縁部に支持される。このようにして生ビール
樽は段積みされる。

【００１６】そして、上記のように生ビール樽が段積み
される場合は勿論のこと、１個ずつ並べられる場合に
も、その積卸しに際し、下部スカート壁３の本体１３と
上部スカート壁２が硬質ゴム製であるので、乱雑に扱っ
ても衝突による衝撃音の発生を防止することができる。
この積卸しの際、生ビール樽が転倒して下部側から落下
しても下部スカート壁３の補強用芯材１４により衝撃を
受け止め、下鏡６に衝撃が加わるのを防止することがで
きる。また、生ビール樽が転倒して上部側から落下した
場合には、上部スカート壁２が変形して衝撃が上鏡５に
加わっても、中央部では放射状の補強用リブ８により衝
撃を受け、周縁部では強度に優れた段差部１１により衝
撃を受けることができる。したがって、上鏡５、若しく
は下鏡６が凹陥するのを防止し、生ビール樽本体１の容
量が減少するのを防止することができる。そして、下部
スカート壁３は補強用芯材１４が変形してもこれを矯正
することにより再使用することができ、または交換する
ことができる。また、上部スカート壁３が損傷した場合
には交換することができる。

【００１７】次に、本発明の第２の実施例について説明
する。図３は本発明の生ビール樽の第２の実施例を示
し、図２と同様の断面図である。

【００１８】本実施例においては、図３に示すように、
下部スカート壁３における円筒状の補強用芯材１４の先
端部が外側へのカーリング部１５を有する点に特徴を有
し、その他の構成および使用容量については上記第１の
実施例と同様であるので、同一部分には同一符号を付し
てその説明を省略する。

【００１９】次に、本発明の第３の実施例について説明
する。図４は本発明の生ビール樽の第３の実施例を示
し、図２と同様の断面図である。

【００２０】本実施例においては、図４に示すように、
下部スカート壁３における円筒状の補強用芯材１４を肉
厚で、強度に優れた合成樹脂により形成した点に特徴を
有し、その他の構成および使用要領については上記第１
の実施例と同様であるので、同一部分には同一符号を付
してその説明を省略する。

【００２１】なお、上記各実施例では、上鏡５に段差部
１１を設けて補強しているが、段差部１１を設けること
なく、上部スカート壁２をステンレスにより形成して衝
撃を受けるようにしてもよく、上部スカート壁２がステ
ンレス製であっても上位の生ビール樽の下部スカート壁
３に載せた際、下部スカート壁本体１３が硬質ゴム製で
あるので、衝撃音の発生を防止することができる。ま
た、補強用芯材１４の材質については適宜選択すること
ができる。また、上記第３の実施例においては、下鏡６
の外周部に上鏡５と同様の段差部１１を形成してもよ
い。本発明は、このほか、その基本的技術思想を逸脱し
ない範囲で種々設計変更することができる。

【００２２】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、積
卸し、段積み等に際し、転倒落下等により衝撃を下部ス
カート壁の補強用芯材荷より受け止め、生ビール樽本体
の下鏡に衝撃が及ぶのを防止し、生ビール樽本体の容量
が減少するのを防止することができる。そして、下部ス
カート壁は補強用芯材が変形してもこれを矯正し、若し
くは下部スカート壁を交換することにより再使用するこ
とができる。したがって、繰り返して使用することがで
きて経済性を向上させることができる。また、下部スカ
ート壁はゴム製のスカート壁本体に補強用芯材を埋設し
ているので、積卸し、段積み等に際し、乱雑に扱っても
衝撃音の発生を防止することができる。したがって、作
業のスピードアップを図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の生ビール樽の第１の実施例を示す平面
図である。

【図２】同生ビール樽を示し、図１のＡーＡ矢視断面図
である。

【図３】本発明の生ビール樽の第２の実施例を示し、図
２と同様の断面図である。

【図４】本発明の生ビール樽の第３の実施例を示し、図
２と同様の断面図である。

【符号の説明】

１ 生ビール樽本体 ２ 上部スカート壁 ３ 下部スカート壁 ４ 胴部 ５ 上鏡 ６ 下鏡 １３ 下部スカート壁本体 １４ 補強用芯材

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ステンレス製の生ビール樽本体の下端部
   外周に下部スカート壁が一体的に設けられ、上記下部ス
   カート壁はゴムから成る下部スカート壁本体に円筒状の
   補強用芯材が埋設された生ビール樽。