JPH07205680A - ヘッドアップディスプレイ - Google Patents

ヘッドアップディスプレイ

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Publication number
JPH07205680A
JPH07205680A JP6006326A JP632694A JPH07205680A JP H07205680 A JPH07205680 A JP H07205680A JP 6006326 A JP6006326 A JP 6006326A JP 632694 A JP632694 A JP 632694A JP H07205680 A JPH07205680 A JP H07205680A
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JP
Japan
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light
hologram
display
windshield
vehicle
Prior art date
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Pending
Application number
JP6006326A
Other languages
English (en)
Inventor
Norihito Nakazawa
伯人 中沢
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AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
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Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Glass Co Ltd filed Critical Asahi Glass Co Ltd
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Publication of JPH07205680A publication Critical patent/JPH07205680A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】風防ガラスの車内側表面とコンバイナーとで形
成される二重像を防止するヘッドアップディスプレイを
得る。 【構成】車両の風防ガラス6に備えられていて、発光表
示手段からの光を車両内の観察者に向けて回折するコン
バイナー5が、風防ガラス6の車内側表面で反射して生
ずる虚像と実質的に重なり合う位置に回折虚像を形成す
るホログラムであるヘッドアップディスプレイ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ヘッドアップディスプ
レイ(以下HUDとする)装置に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車内等の運転者に情報を表示する方
法として、HUDが最近用いられるようになっている。
これは、液晶表示装置等の情報投射手段から投射された
光学的情報を、自動車の風防ガラス等に組み込まれたホ
ログラムやハーフミラー等からなるコンバイナーに映
し、運転者が運転状態からほとんど視点を動かすことな
く情報を読み取れるようにしたものである。
【0003】特に、コンバイナーとしてホログラムを用
いたものは、運転者に向かって光学的情報を回折する機
能とともにレンズ機能等を併せ持つことができるので、
光学的情報を運転者の視野方向に回折したり、あるい
は、他にレンズ等の光学系を使用せず、任意の位置に結
像したりすることが可能である。また、回折スペクトル
の半値幅が狭いため、前景輝度を損なわずに高輝度の表
示像が得られるという特徴がある。さらに、ホログラム
への光の入射角と回折光の出射角を独立に変化させられ
るので、風防ガラス表面の反射による多重像を避けるこ
とができるとともに、システム設計の自由度が向上す
る。これらの利点からHUDのコンバイナーとしホログ
ラムは有効である。
【0004】図6は、ホログラムコンバイナーを用いる
従来のHUDの一例を示す概念図である。光源81から
発し、レンズ系82を介して透過型液晶表示素子83を
通過した表示すべき情報を含む光87は、収差補正用ホ
ログラム84で反射され車体の風防ガラス86に備えら
れたホログラムコンバイナー85に照射され、回折され
て運転者に観察位置88で視認される。
【0005】上記レンズ系82はコリメーターとしての
機能を持つものであり、また、この機能はホログラム8
4または85に持たせることもできる。またホログラム
84または85に倍率を持たせれば速度表示89、警告
表示90の表示像を遠方に結像させることも可能にな
る。
【0006】また、ホログラム84および85は波長選
択機能を持つので、希望する色の像が表示可能となる。
通常その色は単一であることも多いが、多重露光したホ
ログラムによる多色表示も可能であり、表示情報の量と
質を向上できる。例えば、速度表示89を緑色、警告表
示90を赤色とすることによって、運転者に対してより
的確に情報を伝達することが可能となる。
【0007】かかるホログラフィックコンバイナーとし
ては、通常、反射型のホログラムが用いられる。この反
射ホログラムの作製は、ホログラムの感光材料面の一方
の面から参照光、他方の面から物体光を照射して、回折
格子を作製する。
【0008】ホログラムの感光材料内部では、これら2
つのレーザー光が干渉して光の明暗の干渉縞が生じ、そ
れが感光材料の屈折率または密度などの物性の違いに基
づく回折格子として記録される。この種の反射型ホログ
ラムにおいては、光の入射角度と反射回折角度が異なる
場合、その回折格子面はホログラム表面に対して傾いて
おり、表面と平行ではない。
【0009】図4は風防ガラス内部に封入したホログラ
ムを示す概略断面図である。46はコンバイナーとして
機能する反射型ホログラムである。ホログラム46の内
部には図4に示すような表面に対して傾きを持った回折
格子が形成されている。ホログラム46は風防ガラスの
車内側ガラス板43に備えられ、ポリビニルブチラール
(PVB)よりなる中間膜45と共に、車外側ガラス板
44の内側に封入され安全合わせガラスを構成してい
る。中間膜45とホログラム46の界面47は、中間膜
中に含まれる可塑剤によりホログラムの特性が影響を受
けないような保護層となっている。
【0010】発光表示手段より放射された情報を含む光
41は車内側ガラス板43に対して角度θ1 で入射し、
空気とガラスの屈折率の差により屈折しガラス内部では
θ1’の角度となる。ガラス内部に入った光はホログラ
ム46によって運転者方向に反射回折される。ホログラ
ム内部の回折格子は表面に対して傾いているため、回折
光のガラス内部角はθ2 ’となりガラス表面で屈折して
車内側では角度θ2 で出射し光48として運転者等の観
察者に視認される。一般にθ1 とθ2 は風防ガラス表面
での反射光による二重像を防ぐため異なっており、また
乗用車では光源、コンバイナー、ドライバーの位置関係
によりθ1 <θ2 となっている。
【0011】また一方の、ハーフミラーをコンバイナー
とする従来のHUDにおける風防ガラスの概略断面図を
図5に示す。風防ガラスは車内側ガラス板63、ポリビ
ニルブチラール(PVB)よりなる中間膜65、および
車外側ガラス板64よりなり安全合わせガラスを構成し
ている。62はコンバイナーとして機能するハーフミラ
ーであり、風防ガラスの車内側ガラス板63の車内側表
面に備えられている。ハーフミラー62は車内側ガラス
板63あるいは車外側ガラス板64と中間膜65との界
面に備えられている場合もある。発光表示手段より放射
された情報を含む光61は車内側ガラス板63に対して
角度θ1 で入射し、ハーフミラー62において角度θ1
で68のように反射され運転者の観察位置に到達し、虚
像69として認識される。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上記のハーフミラーを
用いるタイプのHUDや、正反射のホログラムを用いた
HUDにおいては、次に示すような多重像の問題があ
る。図5で説明した通り、発光表示手段より放射された
情報を含む光61は車内側ガラス板63に対して角度θ
1 で入射し、ハーフミラー62において角度θ1 で68
のように反射され運転者の観察位置に到達し、虚像69
として認識される。一方ハーフミラー62を透過した光
は66のように風防ガラス内部に入射し、車外側ガラス
板表面で反射され再び運転者側に角度θ1 で67のよう
に出射する。この内部反射光67は虚像70として運転
者に認識される。風防ガラスが有限の厚さを持つため6
7、68の二つの光の出射位置は車内側ガラス板表面に
おいて距離hだけずれる。そのため、二つの虚像69、
70は空間的にずれて二重像として観察される。
【0013】また中間膜65とガラス板63、64の屈
折率が異なるとそれらの界面でも反射光が発生するた
め、強度的には弱いながらも更に三重像、四重像が発生
する場合もある。これらの多重像が発生すると表示像の
視認性が著しく劣化し、微細な表示の場合には読み取れ
なくなってしまう。読み取り易い単純な表示像の場合で
も、多重像は非常に目障りでありHUDの商品性を損な
ってしまうという問題があった。
【0014】そこで、図6に示すようにホログラムをコ
ンバイナーとして用いて、上記のような二重像の問題を
解決することが提案されている。それは、ホログラムの
回折角を車内側ガラス板で正反射する発光表示手段から
の光の反射方向と大きく変え、ホログラムからの回折光
が車両内の観察者の視野に入るように構成することによ
って、車内側ガラス板での正反射光を車両内の観察者の
視野の外に向けるものである。
【0015】ところが、このように構成したHUDは次
のような欠点を有する。図6に示す太陽や街路灯などの
光源91からの外光92が特定の角度でホログラムコン
バイナー85に入射すると、外光は情報を含む光87と
共に93のように運転者に到達する。この外光によるノ
イズ光をフレアー光と呼ぶ。
【0016】フレアー光の発生する原因は次のように理
解できる。図4の点線で示した外部光49が入射すると
き、その入射角θinがある特定の角度である場合に外部
光は車内側ガラス板の表面に対しθ1 ’で到達し再びθ
1 ’でガラス内部方向に50のように反射する。この角
度は情報を含む光41の合わせガラス内部での角度と同
じであるため、外部光はホログラム46によって反射回
折され車内側ガラス板表面から角度θ2 で出射すること
になり、情報を含む光48と共に51のように運転者等
の観察者に到達することになる。図4からわかる通り、
車内側ガラス板43の表面と車外側ガラス板44の表面
が平行であれば、θin’とθ1 ’が等しくなるので、ガ
ラス外部での入射角はθin=θ1 の場合にフレアー光が
観察されることになる。一般の車両の風防ガラスは曲面
形状をしているが、その曲率はそれほど大きくないので
目安として概略θin=θ1 の場合にフレアー光が観察さ
れると考えられる。
【0017】前述の説明は、外光49の波長がホログラ
ム46に回折される情報を含む光48の波長と等しい場
合のものである。一般の外光は広い波長範囲の光を含む
ため、必ず上記の条件を満たす波長が含まれフレアー光
が発生すると考えてよい。しかも、外光49の入射角θ
inがθ1 とわずかにずれたとしても、いわゆる回折のブ
ラッグ条件を満足する波長の光が外光49に含まれれば
ホログラム46に回折され情報を含む光48とわずかに
ずれた方向に進ことになる。その方向が運転者等の観察
者の視域から大きくずれなければやはりフレアー光とし
て観察されることになる。
【0018】このようなフレアー光が発生すると車外か
らの光の入射角度によって、明るいむらとして見えた
り、スポット状の輝点として見えたりして、HUDの表
示像の視認性を低下させるなどの悪影響をもたらす。特
に太陽光がフレアー光として観察されると輝度が高いた
め眩惑を起こす可能性もあり安全上も問題があった。ま
た、夜間では周囲が暗いため昼間には気付かないような
街路灯などの弱い光も、フレアー光として観察されてし
まい運転する際に非常に目障りであった。このフレアー
光は太陽や街路灯などの外部の光源を直線的に見るのと
は異なる角度で観察されるため、1つの光源が複数個に
見えることとなりまことに目障りな存在であった。
【0019】逆に、前述のように、コンバイナーとして
ハーフミラーや正反射型のホログラムを用いたHUDで
は、外部光源の直接透過光とフレアー光との方向が一致
するため、フレアー光は実質的には観察されない。とこ
ろが、この構成が二重像が生じるという欠点を有するこ
とは、前述した通りである。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明は、前述の課題を
解決すべくなされたものであり、光源と表示すべき情報
を表示する表示体とを少なくとも備えて表示すべき情報
を光として発生する発光表示手段と、車両の風防ガラス
に備えられていて前記光を車両内の観察者に向けて回折
するホログラムからなるコンバイナーとを少なくとも有
するヘッドアップディスプレイにおいて、前記ホログラ
ムは、前記光が前記風防ガラスで反射して生ずる虚像と
実質的に重なり合う位置に回折虚像を形成することを特
徴とするヘッドアップディスプレイを提供するものであ
る。
【0021】また、本発明は、光源と表示すべき情報を
表示する表示体とを少なくとも備えて表示すべき情報を
光として発生する発光表示手段と、車両の風防ガラスに
備えられていて前記光を車両内の観察者に向けて反射す
るコンバイナーとを少なくとも有するヘッドアップディ
スプレイにおいて、前記コンバイナーは風防ガラスに封
入された反射型ホログラムと風防ガラスの車内面側に設
けられたハーフミラーとからなっていて、前記ホログラ
ムは、前記光が前記ハーフミラーで反射して生ずる虚像
と実質的に重なり合う位置に回折虚像を形成することを
特徴とするヘッドアップディスプレイを提供するもので
ある。
【0022】
【作用】本発明におけるHUDは、風防ガラスの車内面
側あるいはハーフミラーによって形成される発光表示手
段からの光の虚像と、実質的に同じ位置にホログラムに
よって虚像を形成していて、本来の表示像であるホログ
ラムにより回折されて生ずる虚像と、余分な多重像の原
因となる風防ガラス表面やハーフミラーで反射されて生
ずる虚像とが重なり合い、実質的に多重像が無くなり視
認性の良いHUDを実現することができる。詳しくは、
上記の重なりは厳密には寸分変わらず重なり合っていな
くてもよく、観察者たる人間の眼で識別できない程度に
ずれていてもよい(本発明では、この程度のずれがある
ことを含めて、実質的に重なり合うことを意味するもの
とする。)。このようなずれの範囲内での上記のような
重なりは、従来提案されてきたHUDに用いられていた
ホログラムの入射角と回折角との差に比べて、きわめて
小さな差を本発明におけるホログラムの入射角と反射角
との間に与えることによって、実現することができる。
【0023】すなわち、従来のハーフミラーや正反射型
ホログラムを用いたHUDでは、前述のように二重像が
生じてしまう。ホログラムの入射角と反射角とに差をつ
けていくと、徐々に二重像の原因である二つの虚像の位
置の差が小さくなってくる。やがて、実質的に二つの虚
像が重なり合うようにホログラムの入射角と回折角とに
差をつけることが可能であり、この差を更に大きくする
ことによって、また問題となる二重像が形成されるもの
である。こうして、上記の実質的に二つの虚像が重なり
合うような入射角と回折角とを有するホログラムを用い
ることによって、実質的に多重像のないHUDを得るこ
とができる。
【0024】さらに、入射角と回折角との差を大きくし
たものが、従来のホログラムを用いたHUDであり、こ
の場合、観察者の視野に同時に入射することがない程、
二つの虚像の位置にはずれがある。しかしながら、この
場合にはフレアー光の問題が残る。
【0025】本発明におけるホログラムは、ホログラム
への入射角θ1 と回折角θ2 との差が上述のようにわず
かであるため、フレアー光の入射角θin≒θ1 と直接透
過光の入射角θin=θ2 との差もわずかである。したが
って、外部光源の直接透過光とフレアー光とのズレ(視
差)は極くわずかとなり、フレアー光は強度の大きな直
接透過光に隠れて実質的には観察できなくなり、フレア
ー光の無いHUDを実現することができる。
【0026】
【実施例】以下、図面に基づいて本発明におけるホログ
ラムをコンバイナーとする実施例を説明する。図1は、
本発明のHUDの一例を示す概念図である。風防ガラス
6の下方には発光表示手段が備えられており、この発光
表示手段は熱陰極管を用いた光源1から発した光がコリ
メーターであるレンズ系2を介し、透過型カラー液晶表
示素子からなる表示体3を通過した表示すべき情報を光
7として発するものである。この光7は、遠方表示用ホ
ログラム4および車体の風防ガラス6に備えられた反射
型ホログラムからなるコンバイナー5に照射されて、回
折され、運転者に観察位置8で視認される。
【0027】上記レンズ系2はコリメーターとしての機
能を持つものであり、ハロゲンランプのようなスポット
状の光源の場合に特に有効である。また、遠方表示用ホ
ログラム4は、レンズや曲面ミラーを用いても同様の効
果を得ることができる。
【0028】また、ホログラムは波長選択機能を持つの
で、希望する色の像が表示可能であり、さらに、多重露
光や複数枚のホログラムの積層によって多色表示が可能
となり、表示情報の量と質の向上ができる。本実施例で
は熱陰極管の発光ピーク波長に対応する545nmおよ
び612nmと、ホログラムを透過する外光の色調がホ
ログラムの回折波長の補色となり色づくのを防ぐための
460nmの光を回折する多重露光のホログラムを用
い、速度表示9を緑色、警告表示10を緑色と赤色とを
混合したアンバー色(橙色)として表示した。その結
果、運転者に対してより的確に情報を伝達することが可
能となった。
【0029】なお、ホログラムは通常数10mmから数
100mm角程度の面積で、数μmから数10μm程度
の厚みである。このようなホログラムは、リップマンタ
イプ等の体積・位相型のホログラムが高い回折効率を得
られるという点で望ましいが、エンボスタイプ、レイン
ボータイプ等のホログラムと呼ばれるものを広く用いる
ことができる。また、ホログラム材料としては、ポリビ
ニルカルバゾールやアクリル系などのフォトポリマー、
重クロム酸ゼラチン、光レジスト、銀塩など種々の感光
材料を用いることができる。
【0030】本実施例ではコンバイナーとして横150
mm×縦200mmの大きさで、厚さが20μmのアク
リル系フォトポリマーよりなる感光材料を用い、体積位
相型の反射型ホログラムを用いた。
【0031】また、ホログラムを通して車両外から車両
内に透過する外光の色調を、無色に近づけるように選択
した複数の色に対応する複数の波長の光によって露光さ
れたホログラムを作製する場合、本実施例のように1枚
の感光材料の中に3重に露光することが好ましいが、複
数の感光材料に個別に露光したホログラムを積層しても
もちろん支障ない。また、感光する波長帯域の異なる複
数の感光材料をあらかじめ積層しておいて、複数の波長
で露光するのも有効な方法である。
【0032】かかるホログラムは風防ガラスに備えられ
るものであり、例えば風防ガラスの表面(車両内表面)
に備えられてもよいが、特にホログラムの保護の点に鑑
みて、本実施例のように合わせガラスである風防ガラス
の内部に封入して用いることが好ましい。
【0033】本発明における発光表示手段は光を発して
表示する機能を持つものであり、液晶表示素子等のいわ
ゆる受光型表示素子からなる表示体に熱陰極管(HC
T)、冷陰極管、蛍光表示管(VF)、ハロゲンラン
プ、LEDなどからなる光源から発した光を照射するも
のであり、また、これらの機能を併せ持つものであって
もよい。
【0034】本発明におけるコンバイナーをカラー表示
に用いる場合、この液晶表示素子としては、カラーフィ
ルターと透過型のツイストネマチック型液晶素子や、ス
ーパーツイストネマチック型液晶表示素子等からなるカ
ラー液晶表示素子等が好ましく使用でき、一つの光源か
ら発せられた光を所望の色の光として照射することがで
きる。
【0035】このようにして複数の色の光は、同一の発
光表示手段から発することができ、これら複数の色の光
が同時に表示される場合には表示像が重なって表示さ
れ、逆にこの表示像の重なりを防ぐためには、必要に応
じてカラーフィルターと光源の組み合わせによって、あ
るいはカラー液晶表示素子を制御することによって、複
数の色の光が同時に照射されないようにしてもよい。
【0036】また、それとは別に、受光型表示素子を用
いず、上記の光源自体をパターン化して配列し特定の情
報を光として発生するものであってもよい。受光型表示
素子に上記光源を併用したものの場合は、この受光型表
示素子と光源との間にレンズ系や曲面反射鏡等の適当な
光平行化手段、導光板等の適当な導光手段を配置しても
よい。さらに、ホログラムに光が投射されるまでの光径
路内に、必要に応じて、光偏光手段、あるいは、KNO
3 等の非線形光学素子を配置してもよい。
【0037】また本発明のHUDをカラー表示とする場
合、コンバイナーから表示像までの距離は各色で同一と
すれば同一平面内にカラー表示ができ、また、色によっ
て変えた場合には表示色によって表示像の観察される距
離の異なる立体的な像を得ることができる。
【0038】本実施例のHUDのホログラムコンバイナ
ーを含む風防ガラスの概略断面図を図2に示す。前述の
ように本実施例のホログラム26は熱陰極管の発光ピー
ク波長に対応する545および612nmと、外光の透
過光の色調を無色に近づけるための460nmの光を回
折する3重露光のホログラムを用いている。その回折効
率は各々約60%であり、半値幅は10nm程度であっ
た。
【0039】本実施例のホログラム26は風防ガラスの
車内側ガラス板23の中間膜25側表面に接着されポリ
ビニルブチラールよりなる中間膜25と共に、車外側ガ
ラス板24の内側に封入され安全合わせガラスを構成し
ている。中間膜25とホログラム26の界面27は中間
膜中に含まれる可塑剤によりホログラムの特性が影響を
受けないような保護層27となっている。保護層として
はポリビニルアルコールフィルムなどを用いている。
【0040】発光表示手段より発生した情報を含む光2
1は車内側ガラス板23に角度θ1で入射する。本実施
例ではθ1 =60゜である。光21は22のようにガラ
ス表面で約5%程度反射し、運転者には虚像29として
認識される。本実施例では虚像の距離はr=300mm
である。一方、車内側ガラス板23の内部に入射した光
は反射型ホログラム26により反射回折され、28のよ
うに車内側に角度θ2で出射する。出射角θ2 はホログ
ラムによる虚像が、ガラス表面反射による虚像29と重
なるようにθ1 とわずかにずらしてある。
【0041】θ2 は次のように決定される。図2からわ
かる通り、まず車内側ガラス板表面からの光22および
28出射位置のズレhは、ガラスによる屈折を考慮した
内部角θ1 ’、θ2 ’によって、数1のように表され
る。
【0042】
【数1】
【0043】ここで、tはガラスの厚さ、スネルの法則
からsinθ’=(sinθ)/n、nはガラスの屈折
率(約1.52)である。また、空気の屈折率は1.0
とした。いま、θ1 ≒θ2 であるから、hは数2のよう
に表される。
【0044】
【数2】
【0045】車外側における2光の位置のズレh’はθ
1 ≒θ2 であるから、h’≒hと考えてよい。したがっ
て、tanθ2 は数3のようになる。
【0046】
【数3】
【0047】本実施例の条件θ1 =60゜、r=300
mm、t=2mmを用いて計算すると、θ2 =60.2
6゜が得られる。このようにしてθ1 とθ2 とを0.2
6゜程度ずらすことによって、二つの虚像が重なって多
重像の無いクリアーな表示のHUDが実現できた。
【0048】本実施例のホログラムHUDでフレアー光
が発生する条件は、図4でも説明した通りθin=θ1
なるような方向から光が入射する場合である。一方、外
部光源の直接透過光の角度はθin=θ2 である。θ1
θ2 との差はわずか0.26゜であるので、フレアー光
は強度の大きい直接透過光とほとんど重なっており、実
質的には認識することができない。
【0049】以上のようなホログラムコンバイナーを備
えた風防ガラスを車両に組み合わせることにより、多重
像およびフレアー光の無いHUDを実現することができ
た。
【0050】ハーフミラーとホログラムをコンバイナー
とする本発明の第2の実施例における、風防ガラスの概
略断面図を図3に示す。本実施例でのホログラム26は
熱陰極管の発光ピーク波長に対応する545と612お
よび433nmの光を回折する3重露光のホログラムを
用いており、カラー液晶による表示体を併用しフルカラ
ー表示のHUDを構成している。ホログラムの回折効率
は各々約60%であり、半値幅は10nm程度であっ
た。ホログラムへの入射角θ1 は60゜とし、表示像の
距離は500mmとした。出射角θ2 は上記の計算から
60.16゜とした。
【0051】本実施例のHUDにおいても、ハーフミラ
ー32の反射光38により生ずる虚像と、ホログラム3
6の回折光39により生ずる虚像とが40のように重な
るため、多重像の発生を防ぐことができた。また、θ1
とθ2 とがほぼ等しいため、フレアー光も実質的に無く
すことができた。また、このようなホログラムおよびハ
ーフミラーを備えた風防ガラスを車両に組み合わせるこ
とにより、多重像およびフレアー光の無いHUDを実現
することができた。
【0052】ここで、本発明におけるホログラムの入射
角と反射角との差について説明する。本発明におけるホ
ログラムは、ハーフミラーや風防ガラスの車内側表面あ
るいは車外側表面、特に車内側表面で生じる虚像と実質
的に重なり合う位置に回折虚像を形成するものである。
このようなホログラムは、例えば、上記の数1、数2、
数3によって規定されるホログラムの入射角と反射角と
の差を有するホログラムであるが、実質的に重なり合う
ことが人間の眼の識別力にによるものであるため、二つ
の虚像が人間の眼にとって十分重なり合うものであれ
ば、上記の式によって決定されたものと多少の違いがあ
ってもよい。
【0053】すなわち、上記式は、ホログラムの入射角
と反射角との差を決定する一つの目安であって、HUD
を車両に搭載するために、構成上計算結果と若干の違い
があっても、二つの虚像が実質的に重なり合ってさえい
れば、計算結果にとらわれることはない。
【0054】さらに、前述のように、ホログラムの入射
角と反射角とに差をつけていくと、徐々に二重像の原因
である二つの虚像の位置の差が小さり、やがて、実質的
に二つの虚像が重なり合うような、ホログラムの入射角
と回折角とに差をつけることができるため、トライアン
ドエラーによってホログラムの入射角と回折角との差を
決定することも可能である。
【0055】これまでの実施例ではホログラムコンバイ
ナーとして反射型のホログラムを用いる例を示したが、
透過型のホログラムであっても同様の効果を得ることが
できる。
【0056】さらに、これまでの実施例では、光源とし
てスペクトル半値幅の狭い熱陰極管を用いる。従来のホ
ログラムコンバイナーでは本来の像の方向と二重像の方
向とを大きくずらすために、θ1 とθ2 との差を大きく
している。そのようなホログラムでは波長分散が大き
く、半値幅の広い光源では色収差のため像がぼけてしま
う。ところが本発明のホログラムはθ1 とθ2 との差が
ごくわずかであるため、ほとんど色収差が発生しない。
したがって、本発明のHUDでは半値幅の広いハロゲン
ランプや蛍光表示管などを用いても、特別な収差補正無
しでも色収差によるボケの無い表示像を得ることができ
る。
【0057】また、実際には発光表示手段から発せられ
た光は、風防ガラスの車外面側まで到達するものもあ
り、この車外側面で反射して車両内の観察者に向かうも
のもある。通常この光の強度は、ホログラムや風防ガラ
スの車内面側、あるいはハーフミラーによって回折、反
射される光の強度よりも小さい。それでも、車外面側か
らの反射光がある程度の強度を有する場合には、やはり
多重像の要因となり得ることもある。このような場合、
ホログラムによって形成される回折虚像の位置を車外面
側からの反射虚像に重ねることによって、多重像をなく
すことも可能である。なお、この場合には、車内面側あ
るいはハーフミラーで形成される虚像の光の強度が、ホ
ログラムと車外面側で形成される虚像の光の強度に比べ
て、多重像として認められる程度よりも小さいことが要
求される。
【0058】
【発明の効果】本発明によれば、ホログラムにより回折
されて生ずる虚像と、余分な多重像の原因となる風防ガ
ラス表面で反射されて生ずる虚像とが重なり合うよう
に、ホログラムへの入射角と回折角とがわずかに異なっ
ているため、実質的に多重像が無くなり視認性の良いH
UDを実現することができる。
【0059】また、ハーフミラーをコンバイナーとする
HUDにおいては、本来の表示像であるハーフミラーに
より反射されて生ずる虚像と、余分な多重像の原因とな
るハーフミラーを透過した光を、ホログラムにより回折
させて生ずる虚像とが重なり合うように、ホログラムへ
の入射角と回折角とがわずかに異なっているため、実質
的に多重像が無くなり視認性の良いHUDを実現するこ
とができる。
【0060】また、ホログラムへの入射角θ1 と回折角
θ2 との差はわずかであるため、θ1 とほぼ等しいフレ
アー光の入射角θinと回折角θ2 との差もわずかであ
る。したがって、外部光源の直接透過光とフレアー光と
のズレ(視差)は極くわずかとなり、フレアー光は強度
の大きな直接透過光に隠れて実質的には観察できなくな
り、フレアー光の無いHUDを実現することができる。
【0061】また、ホログラムへの入射角θ1 と回折角
θ2 との差がごくわずかであるため、スペクトル半値幅
の広い光源を用いた場合でも、特別な収差補正無しに色
収差によるボケの無い表示像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のHUDの一例を示す概念図
【図2】本発明のHUDの一例を示す風防ガラスの概略
断面図
【図3】本発明のHUDの別の一例を示す風防ガラスの
概略断面図
【図4】風防ガラス内部に封入したホログラムおよびフ
レアー光の発生メカニズムを説明する概略断面図
【図5】ハーフミラーコンバイナーを用いる従来のHU
Dを示す概念図
【図6】ホログラムコンバイナーを用いる従来のHUD
を示す概念図
【符号の説明】
1:光源 2:レンズ系 3:表示素子 4:遠方表示用ホログラム 5:ホログラムコンバイナー 6:風防ガラス 7:情報を含む光 8:運転者の観察位置 9:速度表示 10:警告表示

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光源と表示すべき情報を表示する表示体と
    を少なくとも備えて表示すべき情報を光として発生する
    発光表示手段と、車両の風防ガラスに備えられていて前
    記光を車両内の観察者に向けて回折するホログラムから
    なるコンバイナーとを少なくとも有するヘッドアップデ
    ィスプレイにおいて、前記ホログラムは、前記光が前記
    風防ガラスで反射して生ずる虚像と実質的に重なり合う
    位置に回折虚像を形成することを特徴とするヘッドアッ
    プディスプレイ。
  2. 【請求項2】前記ホログラムは、その入射角と回折角と
    に、前記光が前記風防ガラスの車内側表面で反射して生
    ずる虚像と、前記光が前記ホログラムで回折されて生ず
    る虚像とが実質的に重なり合う程度の差を有することを
    特徴とする請求項1のヘッドアップディスプレイ。
  3. 【請求項3】光源と表示すべき情報を表示する表示体と
    を少なくとも備えて表示すべき情報を光として発生する
    発光表示手段と、車両の風防ガラスに備えられていて前
    記光を車両内の観察者に向けて回折するコンバイナーと
    を少なくとも有するヘッドアップディスプレイにおい
    て、前記コンバイナーは風防ガラスに封入されたホログ
    ラムと風防ガラスの車内面側に設けられたハーフミラー
    とからなっていて、前記ホログラムは、前記光が前記ハ
    ーフミラーで反射して生ずる虚像と実質的に重なり合う
    位置に回折虚像を形成することを特徴とするヘッドアッ
    プディスプレイ。
  4. 【請求項4】前記ホログラムは、その入射角と回折角と
    に、前記ハーフミラーで反射して生ずる虚像と、前記光
    が前記ホログラムで回折されて生ずる虚像とが実質的に
    重なり合う程度の差を有することを特徴とする請求項3
    のヘッドアップディスプレイ。
JP6006326A 1994-01-25 1994-01-25 ヘッドアップディスプレイ Pending JPH07205680A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023008576A1 (ja) * 2021-07-30 2023-02-02 大日本印刷株式会社 コンバイナ、ヘッドアップディスプレイ、移動体、及び自動車

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WO2023008576A1 (ja) * 2021-07-30 2023-02-02 大日本印刷株式会社 コンバイナ、ヘッドアップディスプレイ、移動体、及び自動車

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