JPH0720552Y2 - 熱処理炉 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は熱処理炉に関し、より詳細には、二重壁構造を
有する炉本体と開閉扉とから成り、該炉本体には送風機
構及び加熱機構が設けられているとともに、前記壁間に
気流通路が形成され、該気流通路と炉内空間との間を熱
風が循環することによって所定の物品に対しての熱処理
が行なわれる熱処理炉に関する。

（従来技術及びその問題点） プラスチックの接着や金属の焼鈍等の熱処理を行なう熱
処理炉として、上記の様なタイプのものは古くから使用
されている。このタイプの熱処理炉は、炉内に熱風を循
環させることによって炉内に導入された被処理物の熱処
理を行なうものであるが、例えば炉内の熱風の通過風速
が不均一であると温度のバラツキを生じ、均一な熱処理
を行なうことが困難であるという問題を有している。

この様な問題を解決したものとして、実公昭62−42753
号公報には、開閉扉の内壁に、空気通路から炉内空間に
流れる熱風の流れを均一化するための整流板が配設され
たオートクレーブが開示されている。

このオートクレーブは、炉内の熱風の風速分布の不均一
性を、前記整流板の作用によって解消しようというもの
である。

然しながら、上記先行技術のオートクレーブでは、非常
に厳密な熱処理温度の管理を要求される場合には、未だ
満足し得る効果が得られていない。例えば、航空機部品
の熱処理を行う場合には、加熱温度300℃において、定
常時における温度偏差が±2.8℃以内という厳格な規定
がなされているが、この規定を十分に満足し得るもので
はなかった。

（問題点を解決するための手段） 従って本考案の目的は、二重壁構造を有する炉体と開閉
扉とから成り、炉内で熱風の循環が行われる熱処理炉に
おいて、非常に厳密な熱処理温度管理の要求にも応え得
る熱処理炉を提供することにある。

本考案によれば、二重壁構造を有する炉本体と開閉扉と
から成り、該炉本体は送風機構及び加熱機構を備えてい
るとともに、前記壁間に気流通路が形成され、該気流通
路と炉内空間との間で熱風の循環が行われる熱処理炉に
おいて、 前記開閉扉は、扉内壁面と間隔を置いて設けられた気流
分散隔壁を備え、且つ該隔壁と扉の内壁面によって区画
された気流室が形成されており、 前記気流分散隔壁は、互いに等間隔で平行に配置された
複数の桶状ロッドと、該桶状ロッドと直交するように重
ねられ且つ互いに等間隔で平行に配置された複数の桶状
ロッドとから成るものであり、該気流分散隔壁の周縁部
には、開閉扉を閉めた状態で前記気流通路と炉内空間と
の連通を遮断する遮蔽板が設けられていることを特徴と
する熱処理炉が提供される。

即ち、本考案の第１の特徴は、気流分散隔壁として、互
いに直交するように重ねられた複数の桶状ロッドから成
るものを使用したことにある。このような構造の気流分
散隔壁を用いることによって熱風の均一化が著しく向上
し、非常に厳密な熱処理温度管理の要求にも応えること
が可能となるものである。例えば、前述した先行技術の
オートクレーブにおいては、気流分散隔壁として、多数
の透孔を有する整流板が使用されているが、かかる整流
板を用いたのでは、熱風の均一化が不十分となる。

また本考案の第２の特徴は、気流分散隔壁の周縁部に遮
蔽板を設け、炉壁に形成されている気流通路と直接炉内
空間との連通を遮断した点にある。即ち、前記先行技術
のオートクレーブでは、気流分散隔壁の周縁部と気流通
路との間に開放された空間が存在しており、気流通路か
らの熱風がこのような空間を通って直接炉内空間に流れ
込むために、非常に厳密な熱処理温度管理を困難にして
いるものと思われる。通常、このような空間から炉内に
流れ込む熱風の量は僅かであり、しかも、扉の内壁面に
曲率を持たせたり、或いは適当な案内板を設けることに
よって極めて微量とすることができるのであるが、非常
に厳密な熱処理温度管理を行う場合には、このような熱
風の量が微量であっても大きな影響を与えると思われ
る。本考案では、前記遮蔽板により、このような空間を
閉じ、気流通路を流れる熱風の実質上全量が気流分散隔
壁を通して炉内空間に循環されるので、熱風の均一化効
果はさらに向上し、非常に厳密な熱処理温度管理にも適
応し得るのである。

（実施例） 本考案の熱処理炉を添付図面に示す具体例に基づいて詳
細に説明する。

本考案の熱処理炉の全体を簡単に示す第１図において、
この熱処理炉は、炉本体１と開閉扉２とから成ってい
る。

炉本体１は、外壁５と内壁６との２重壁構造となってお
り、これら壁間には気流通路７が形成されている。

この気流通路７にはヒーター等の加熱機構８が設けられ
ており、ファン等の送風機構９により、気流通路７と炉
内空間1aとの間を熱風が循環し、炉内空間1aに導入され
た被処理物品10に対しての熱処理が行なわれる様になっ
ている。

また前記開閉扉２の内面側には支持部材11によって保持
された気流分散隔壁12が設けられており、開閉扉２の内
面側上に該隔壁12によって区画された気流室13が形成さ
れる。

即ち、気流通路７からの熱風は、一度気流室13を通り、
隔壁12を通って炉内空間1a内に流れる様になっている。

本考案の熱処理炉においては、前記隔壁12に遮弊板15を
設けることが重要な特徴である。

即ちこの遮弊板15は、第１図から明らかな通り、開閉扉
２を閉めた場合において、その先端部分が気流通路７を
構成する内壁６の先端部分に当接し、該気流通路７と気
流室13とが完全に連通し、且つこの連通部分16が炉内空
間1aと完全に遮断される様になっている。前述した実公
昭62−42753号公報に開示されたオートクレーブにおい
ては、上記連通部分16に対応する箇所から直接炉内空間
に流れる熱風が多いため、熱風を均一分散させるために
設けられた整流板を通過する熱風は一部のものに限られ
ることとなって、被処理物品の均一加熱を未だ有効に行
ない得なかったのである。

而して本考案によれば、上記の様な遮弊板15を設けるこ
とによって、気流通路７から炉内空路1aに直接熱風が流
れるのが完全に防止され、すべての熱風が気流分散隔壁
12を通って炉内空間1a内に流れ込むこととなり、被処理
物品10に対しての熱処理が均一且つ有効に行なわれる。

また本考案において用いる気流分散隔壁12は、第２図に
示すような構造のものである。即ち、この隔壁は、複数
の桶状のロッド20が等間隔で平行に配列されて形成され
ている壁21と、該ロッド20と直交する複数のロッド22が
やはり等間隔で平行に配列されて形成されている壁23と
からなっており、全体として格子状となっている。かか
る構造の隔壁は、例えば多数の透孔が形成されている整
流板に比して、気流の均一分散効果が高く、これを用い
ることにより、均一な熱処理をさらに有効に行うことが
可能となる。

尚、上記隔壁12においては、各ロッドの凹面が炉内空間
1a側に面している。また平行に配置されている各ロッド
間の間隙は、10乃至50mmの範囲にあり、お互い直交する
関係にあるロッド間の間隙（即ち壁21と23との間隔）は
20乃至100mmの範囲にあることが望ましい。

（効果） かかる本考案によれば、炉内空間に熱風を均一分散させ
て循環供給することが可能となり、例えば300℃の設定
に対して±2.8℃の偏差範囲で物品の加熱処理を行なう
ことができた。

本考案の熱処理炉は物品の均一加熱処理をきわめて厳格
な範囲内で行ない得るので、例えば航空機部品のように
熱処理の精度が要求される物品の熱処理にもきわめて有
効に使用される。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の熱処理炉の全体の構成を示す平面図
であり、 第２図は、本考案の熱処理炉に用いられる気流分散隔壁
の構造を示す斜視図である。 １…炉本体、２…開閉扉 ７…気流通路、12…隔壁 13…気流室、15…遮弊板

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】二重壁構造を有する炉本体と開閉扉とから
   成り、該炉本体は送風機構及び加熱機構を備えていると
   ともに、前記壁間に気流通路が形成され、該気流通路と
   炉内空間との間で熱風の循環が行われる熱処理炉におい
   て、 前記開閉扉は、扉内壁に間隔を置いて設けられた気流分
   散隔壁を備え、且つ該隔壁と扉の内壁面によって区画さ
   れた気流室が形成されており、 前記気流分散隔壁は、互いに等間隔で平行に配置された
   複数の桶状ロッドと、該桶状ロッドと直交するように重
   ねられ且つ互いに等間隔で平行に配置された複数の桶状
   ロッドとから成るものであり、該気流分散隔壁の周縁部
   には、開閉扉を閉めた状態で前記気流通路と炉内空間と
   の連通を遮断する遮蔽板が設けられていることを特徴と
   する熱処理炉。