JPH07205358A - 積層フィルム - Google Patents

積層フィルム

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JPH07205358A
JPH07205358A JP6002167A JP216794A JPH07205358A JP H07205358 A JPH07205358 A JP H07205358A JP 6002167 A JP6002167 A JP 6002167A JP 216794 A JP216794 A JP 216794A JP H07205358 A JPH07205358 A JP H07205358A
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film
peak
laminated film
coating film
resistance
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JP6002167A
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English (en)
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Mutsuyuki Kawaguchi
睦行 河口
Toshitake Suzuki
利武 鈴木
Chikao Morishige
地加男 森重
Kazuhiro Abe
和洋 阿部
Tadashi Tahoda
多保田  規
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Toyobo Co Ltd
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Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 低湿度下での帯電防止性に優れ、かつ耐水
性、耐溶剤性にも優れている帯電防止性に優れた積層フ
ィルムを提供することにある。 【構成】 熱可塑性樹脂よりなる基材の少なくとも片面
に、帯電防止層が積層されたフィルムであって、この帯
電防止層面をX線光電子分光法により分析したとき、カ
チオン性窒素に基因するN+ピーク、イオン化されてい
ない窒素に基因するNピーク、およびN+の対アニオン
に基因するXピークが検出される、積層フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、低湿度下で帯電防止
性、耐水性および耐溶剤性に優れた積層フィルムに関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、ポリオレフィン、ポリエステ
ル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルなどの
熱可塑性樹脂よりなるフィルム、特に、配向されたポリ
プロピレン、ポリエステル、ポリアミドなどのフィルム
は、優れた力学的性質、耐熱性、透明性などを有してお
り、包装用フィルム、磁気記録媒体の基材、一般工業用
フィルムなどとして広く用いられている。
【0003】しかしながら、これらのフィルムは樹脂自
体が絶縁体であるので、静電気による帯電を受けやすい
という欠点を有している。
【0004】これらのフィルムに対し種々の方法で帯電
防止性を付与する工夫がなされてきた。例えば、帯電防
止性を有する界面活性剤、イオン性の化合物、金属粉ま
たは金属酸化物などよりなる導電性の物質などを、フィ
ルム組成物中に練り込んだり、塗料中に配合してフィル
ム表面に塗布したりする方法が取られていた。しかし、
帯電防止剤として界面活性剤またはイオン性の化合物を
用いる方法は、低湿度下では、帯電防止性が低下する。
導電性の物質を用いる方法は、低湿度の環境下でも帯電
防止性が低下することはないが、帯電防止性を付与する
ためには多量の導電性物質を添加する必要があり、透明
性が低下する。このような導電性物質はまた、高価であ
るという問題も有していた。
【0005】熱可塑性樹脂からなるフィルムは、単膜で
の用途は少なく、ほとんどが更に異種の層が積層または
塗布により形成された形で用いられる。このフィルムに
塗布を行う場合には、水系、溶剤系の塗料を使用するた
め、基材となる上記フィルムは、耐水性、および耐溶剤
性が要求される。
【0006】したがって、従来より透明で帯電防止性が
優れ、かつ耐水性および耐溶剤性の良好な熱可塑性フィ
ルムの開発が要望されていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来の課
題を解決するものであり、その目的とするところは、低
湿度下での帯電防止性に優れ、かつ耐水性および耐溶剤
性が良好であり、透明なフィルムとし得る、熱可塑性フ
ィルムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の積層フィルム
は、熱可塑性樹脂よりなる基材の少なくとも片面に、帯
電防止層が積層されたフィルムであって、この帯電防止
層面をX線光電子分光法により分析したとき、カチオン
性窒素に基因するN+ピーク、イオン化されていない窒
素に基因するNピーク、およびNの対アニオンに基因
するXピークが検出され、そのことにより、上記従来問
題が解決される。
【0009】好ましい実施態様においては、上記Xピー
クは、Cl、PおよびSからなる群より選択される少な
くとも1つに基因するピークを含有する。
【0010】好ましい実施態様においては、上記N+
ークの面積と上記Nピークの面積との比が、下記(1)
式で表され、かつ上記N+ピークの面積と上記Xピーク
の面積との比が下記(2)式で表される: (1)N+/N=10/90〜99/1 (2)N+/X=20/80〜90/10。
【0011】以下に、本発明について詳しく説明する。
【0012】本発明の積層フィルムの基材として用いら
れる熱可塑性樹脂フィルムは、熱可塑性樹脂フィルムで
あれば特に制限はなく、透明なフィルムを作成する場合
には透明な基材が用いられる。フィルムの素材として
は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレ
フィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチ
レンイソフタレート、ポリエチレン2,6−ナフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレートおよびこれらの共重合
体に代表されるポリエステル樹脂;ポリオキシメチレン
に代表されるポリエーテル樹脂;ナイロン−6、ナイロ
ン−66、ポリメタキシレンアジポアミドなどに代表さ
れるポリアミド樹脂;ポリスチレン、ポリ(メタ)アク
リル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニ
ルおよびそれらの共重合体に代表されるビニル系樹脂;
ポリカーボネート系樹脂;セロファン、アセテートなど
に代表されるセルロース系樹脂;さらにはポリイミド、
ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリ
エーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルケト
ン、ポリエーテルケトンケトン、フッ素含有重合体、そ
の他種々の単一のモノマーからなる樹脂、共重合体およ
び混合体がある。本発明に用いられる基材には、上記素
材の単層のフィルムおよびこれらの積層体のいずれもが
使用され得る。
【0013】本発明の積層フィルムの帯電防止層を形成
するために用いられる組成物(以下、塗膜形成用組成物
という)は、カチオン性窒素を有する物質、イオン化さ
れていない窒素を有する物質およびN+の対アニオンを
含有する。
【0014】上記カチオン性窒素を有する物質として
は、例えば、有機のカチオン性の化合物が挙げられ、特
に4級化された窒素を有する化合物が好ましい。これら
は低分子、高分子のどちらでも構わない。好ましくはカ
チオン性ポリマーである。
【0015】上記カチオン性ポリマーとしては、ポリエ
チレンイミン、ポリジメチルジアリルアンモニウム塩、
ポリアルキレンポリアミンジシアノジアミドアンモニウ
ム縮合物、ポリビニルピリジウムハライド、(メタ)ア
クリル酸アルキル4級アンモニウム塩、(メタ)アクリ
ルアミドアルキル4級アンモニウム塩、ω−クロロ−ポ
リ(オキシエチレン−ポリメチレン−アルキル4級アン
モニウム塩)、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニ
ウム塩、ポリスチレン系カチオン性ポリマー、ポリ(メ
タ)アクリル系カチオン性ポリマー(メチルメタクリレ
ート、エチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタ
クリレート、塩化トリメチルアミノエチルメタクリレー
トなど)、ポリビニルピリジン系ポリマー、環状インテ
グラル型ポリマー、直線状インテグラル型ポリマー、ペ
ンダント型に4級アンモニウムイオン基を2個以上有す
る芳香族ビニル単量体の重合体、主鎖にピロリジウム環
を有するポリマーなどが挙げられる。これらのポリマー
はホモポリマーであっても共重合体であっても構わな
い。これらのポリマーを製造するには、共重合可能な公
知の単量体を使用し得る。
【0016】上記イオン化されていない窒素を有する物
質としては、例えば、イオン化されていない窒素を含有
する化合物(特に、架橋剤)などが挙げられる。塗膜の
耐水性および耐溶剤性を考慮すると架橋剤が好ましい。
このような架橋剤は特に限定されないが、イソシアネー
ト系(例えば、第一工業(株)製のエラストロンMF−
9などのポリアルキレンオキサイドタイプのブロックイ
ソシアネート化合物など)、メラミン系などの架橋剤が
好ましい。
【0017】上記カチオンの対アニオンとしては、例え
ば、Cl-、ClO4 -、ClO-などの塩素系アニオン;
2PO4 -、HPO4 2-、PO4 3-などのリン系アニオ
ン;HSO4 -、SO4 2-、HSO3 -、SO3 2-、S
23 2-、S28 2-などの硫黄系アニオン;およびOH-
が挙げられる。これらの対アニオンを上記塗膜形成用組
成物中に含有させるには、N+とこれらの対アニオンと
を含む化合物を含有させるか、または他のアニオンを含
む化合物の該アニオンを、イオン交換樹脂により上記所
望のアニオンに変換することにより行われ得る。上記カ
チオンの対アニオンが、リン系、硫黄系アニオンの方が
一般的に耐熱性が向上し、好ましい。
【0018】上記塗膜形成用組成物を使用して基材の表
面に塗膜を形成するときに、上記架橋剤が含有されてい
る場合には、該架橋剤の架橋反応を促進させるために、
有機もしくは無機のアルカリ性化合物、例えば、アミ
ン、ポリアミン、アミドアミン、ポリアミドアミン、イ
ミダゾール、およびアルカリ金属炭酸塩、ならびにこれ
らの誘導体からなる架橋硬化剤を少量使用することが望
ましい。
【0019】上記塗膜形成用組成物は、水溶性であるの
で、水溶液として用いるのが好適であるが、ポリエステ
ルとのぬれ性を改良するなどの目的でアルコールなどの
有機溶剤を併用しても良い。水と水よりも沸点の低い溶
媒との混合溶剤を用いることが特に好ましい。必要に応
じてさらに他の架橋剤(すなわち、イオン化されていな
い窒素を有する物質以外の架橋剤)、触媒、ぬれ剤など
を加えることができる。さらに、この組成物の溶液に
は、本発明の目的を阻害しない限り、紫外線吸収剤、顔
料、有機フィラー、無機フィラー、潤滑剤、ブロッキン
グ防止剤などを加えてもよい。さらに、他のバインダー
樹脂を併用し、接着性やブロッキング性などの特性の改
良を行っても良い。上記塗膜形成用組成物を多成分を混
合することにより得る場合の混合手段もまた制限はな
く、高速攪はん法、高圧分散法、超音波分散法などの公
知の方法が任意に使用できる。これらの方法を組み合わ
せた方法も好適である。
【0020】上記塗膜形成用組成物中のカチオン性窒素
を有する物質と、イオン化されていない窒素を有する物
質との水溶性を一定の範囲にすることにより、得られる
積層フィルムの帯電防止性、耐水性および耐溶剤性をさ
らに向上することができる。さらに、上記塗膜形成用組
成物に用いられる溶剤の組成を適当に変化させることに
より、親水性と疎水性のバランスをとることもまた、上
記効果を向上させるのに有効である。
【0021】本発明の積層フィルムは、基材フィルムで
ある上記熱可塑性フィルムの少なくとも片面に、上記塗
膜形成用組成物を塗布し、帯電防止層を形成することに
より得られる。
【0022】上記塗膜形成用組成物の溶液を基材フィル
ム表面に塗布する方法としては、特に限定はないが、こ
の組成物の溶液あるいは分散液を基材フィルム表面に塗
布するコーティング法が特に好ましい。さらに、基材フ
ィルム表面に塗布した後、乾燥、熱処理をする方法が好
ましい。基材フィルム上に塗膜形成用組成物の溶液また
は分散液を塗布する方法としては、公知の方法が適用で
きる。例えば、スプレーコート法、エアーナイフ法、リ
バースコート法、キスコート法、グラビヤコート法、マ
イヤーバー法、ロールブラッシュ法などが適用できる。
【0023】塗布は、製造終了後の未延伸フィルムの表
面に行ってもよいし、延伸フィルムの表面に行ってもよ
い。例えば二軸延伸フィルムの場合、フィルム製造過程
すなわち未延伸フィルムあるいは一軸延伸後に塗布し、
その後延伸処理を行ってもよい。特に、未延伸フィルム
あるいは一軸延伸後に塗布後の塗膜の水分率が2%以下
の状態で延伸処理を行うことが好ましい。塗膜の水分率
が2%を越える割合の状態で延伸処理を行うと、フィル
ム表面のカチオン性窒素量が多くなり、得られる積層フ
ィルムの耐水性が不足する。
【0024】基材フィルム表面への塗膜形成用組成物の
溶液(または分散液)の塗布量は、固形分として、0.
01〜5g/m2である。塗布量が0.01g/m2未満
の場合は、得られる積層フィルムの帯電防止性が不十分
である。5g/m2を越える割合で塗布するとブロッキ
ングが起こるおそれがある。
【0025】上記塗膜形成用組成物の溶液(または分散
液)を塗布する前に、基材フィルムにコロナ放電処理、
火炎処理、あるいはプラズマ処理を施すことによって、
溶液(または分散液)の塗布性を改良したり基材フィル
ムと塗膜との間の接着性を改善することができる。さら
に、塗膜形成後に、この塗膜表面に上記処理、窒素雰囲
気下での上記処理、紫外線照射処理などを施すことによ
って、フィルム表面のぬれ性や接着性を向上させること
ができる。
【0026】このようにして得られる本発明の積層フィ
ルムにおいては、X線光電子分光法(以下、ESCAと
いう)のスペクトルから得られるカチオン性窒素に基因
するN+ピークの面積とイオン化されていない窒素に基
因するNピークの面積との比(以下、N+/Nという)
は、10/90〜99/1であることが好ましく、さら
に好ましくは10/90〜90/10である。最も好ま
しくは上記面積比が10/90〜60/40の範囲であ
る。このピークの面積比が10/90未満の場合は、カ
チオン性窒素成分が少ないため、得られる積層フィルム
の帯電防止性が不足する。このピークの面積比が99/
1を越える場合は、カチオン性窒素が多いため、得られ
る積層フィルムの塗膜の水溶性が大きくなり、耐水性が
不足する場合がある。
【0027】上記N+ピークの面積とその対アニオンに
基因するXピークの面積との比(以下、N+/Xとい
う)は、20/80〜90/10であることが好まし
い。さらに好ましくは面積比が20/80〜70/30
である。最も好ましいくは、面積比が30/70〜60
/40の範囲である。ピークの面積比が20/80未満
の場合はカチオン性窒素成分が少ないため、得られる積
層フィルムの帯電防止性が不足する。このピークの面積
比が90/10を越える場合は、カチオン性窒素が多い
ため、得られる積層フィルムの塗膜の水溶性が大きくな
り、耐水性が不足する場合がある。
【0028】塗膜(すなわち、帯電防止層)を、上記E
SCAにより分析すると、この塗膜を形成するために用
いられる塗膜形成用組成物中に含まれるカチオン性窒素
の量に比べて、塗膜中に含まれるカチオン性窒素の量は
少ないことがわかる。これは、塗膜形成用組成物を、基
材の表面に塗布し、乾燥することにより、この塗膜形成
用組成物中に含まれる水溶性の高いイオン化されていな
い窒素含有化合物が、塗膜表面に多く存在するためであ
る。したがって、このことを考慮して、塗膜のESCA
による分析値が上記の好ましい範囲となるように、塗膜
形成用組成物の組成を設定する必要がある。
【0029】本発明の積層フィルムの帯電防止層には、
カチオン性窒素を有する物質、イオン化されていない窒
素を有する物質、およびN+の対アニオンが含有されて
いるが、その含有割合が、上記帯電防止層面をESCA
で分析したとき、N+ピークの面積とNピークの面積と
の比、およびN+ピークの面積とXピークの面積との比
が上記のような所定の割合である場合に、得られる積層
フィルムの帯電防止性、耐水性、および耐溶剤性が特に
良好となる。
【0030】本発明の積層フィルムは、特に磁気記録媒
体、例えば、磁気カード、ビデオテープ、オーディオテ
ープ、コンピューターテープ、フロッピーディスクなど
の基材として有用である。本発明の積層フィルムはま
た、一般工業用フィルム、例えば、メンブレン、テレホ
ンカード、ラベル、マイクロフィルム、ジアゾフィル
ム、アート紙、ポスター紙、制電プロッター用紙、感熱
紙、熱転写記録用画像受容シート、OHPフィルムなど
の基材としても有用である。さらに、一般包装用基材と
しても有用である。
【0031】
【実施例】以下に本発明の積層フィルムの実施例および
比較例を示す。本発明に用いる評価法を以下に示す。
【0032】1)表面抵抗 タケダ理研社製固有抵抗測定器で印加電圧500V、2
3℃、40%RHの条件下で測定した。
【0033】2)耐水性の評価 水にフィルムを浸漬し、室温(26℃)で16時間放置
後の表面抵抗を測定した。浸漬前後で表面抵抗の変化の
ないものを○、浸漬後、表面抵抗やや増加するものを
△、浸漬後、表面抵抗が大きくなるものを×とした。
【0034】3)耐溶剤性の評価 メチルエチルケトン、酢酸エチル、およびアセトンのそ
れぞれの液に、フィルムを浸漬し、室温(26℃)で1
6時間放置後の表面抵抗を測定した。3種類の液につい
て総合的に評価し、その結果、浸漬前後で表面抵抗の変
化のないものを○、浸漬後、表面抵抗がやや増加するも
のを△、浸漬後、表面抵抗が大きくなるものを×とし
た。
【0035】4)ESCA測定 積層フィルムの塗膜表面のESCAスペクトルを、島津
製作所製ESCA−850を用いて光源にMg−Kαを
使用し、出力8kW×30mA、真空度5×10-6Pa
で測定した。カチオン性窒素のピーク(N+ピーク)は
403eV付近、イオン化されていない窒素のピーク
(Nピーク)は400eV付近に検出される。N+の対
イオンのピーク(Xピーク)に関しては、例えば、塩素
イオンのピークは198eV付近に検出される。各々の
ピークの面積を求め、N+/NおよびN+/Xを計算し
た。
【0036】(実施例1)常法によりメチルメタクリレ
ート/エチルアクリレート/2−ヒドロキシエチルメタ
クリレート/塩化トリメチルアミノエチルメタクリレー
トを、重量組成比として50/5/15/30の割合で
共重合して共重合体水溶液aを得た。この共重合体水溶
液に、ブロックイソシアネート化合物としてエラストロ
ンMF−9(第一工業(株)製、ポリアルキレンオキサ
イドタイプ)を共重合体水溶液aの固形分(樹脂A)と
の合計重量に対して20重量%添加し、さらに架橋硬化
剤としてCat64(第一工業(株)製)を上記ブロッ
クイソシアネート化合物に対して、5.0重量%の割合
で添加混合して固形分7重量%の塗膜形成用組成物の水
溶液とした。極限粘度0.65のポリエチレンテレフタ
レートを280〜300℃で溶融押し出して、15℃の
冷却ロールで冷却して未延伸フィルムを得、この未延伸
フィルムを周速の異なる85℃の一対のロール間で縦方
向に3.5倍延伸した後、前記塗膜形成用組成物の水溶
液を、キスコート法で10g/m2塗布し、70℃の熱
風で乾燥して塗膜の水分率が約1%になるようにして、
次いでテンターで98℃で横方向に3.5倍延伸し、さ
らに200〜210℃で熱固定し厚み100μmの二軸
延伸コーティングポリエステルフィルムを得た。得られ
た積層フィルムについて上記表面抵抗、耐水性および耐
溶剤性の評価およびESCAの測定を行った。
【0037】その結果を表1に示す。以下の実施例2〜
13および比較例1〜4の結果についても併せて表1に
示す。
【0038】(実施例2〜13)基材フィルムおよび塗
膜形成用組成物の組成を表1に示すように変更し、延伸
および熱固定条件を適宜変更したこと以外は実施例1と
同様にして積層フィルムを得、実施例1と同様の試験を
行った。
【0039】表1において、樹脂B、CおよびDとは、
共重合水溶液aのCl-をイオン交換樹脂により、それ
ぞれ、OH、H2PO4 -およびHSO4 -に変換したも
のを使用し、塗膜形成用組成物の水溶液としたものであ
る。
【0040】(比較例1〜3)塗膜形成用組成物の組成
を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同
様にして積層フィルムを得、実施例1と同様の試験を行
った。
【0041】(比較例4)塗膜形成用組成物の水溶液を
塗布しなかったこと以外は、実施例1と同様にしてフィ
ルムを得、実施例1と同様の試験を行った。
【0042】
【表1】
【0043】表1に示すように、実施例1〜13の積層
フィルムは、低湿度下でも表面抵抗が小さく、帯電防止
性に優れ、かつ耐水性、耐溶剤性にも優れている。比較
例1の積層フィルムは、帯電防止性は優れているが、耐
水性、耐溶剤性に劣っており、比較例2の積層フィルム
は、帯電防止性がない。比較例3の積層フィルムは、帯
電防止性は優れているが耐水性、耐溶剤性には劣る。比
較例4のフィルムは、帯電防止性がまったくない。
【0044】
【発明の効果】以上より本発明の積層フィルムは、低湿
度下での帯電防止性に優れ、かつ耐水性、耐溶剤性にも
優れているので、磁気記録媒体の基材、一般工業用フィ
ルム、および各種包装用フィルムなどに広く好適に使用
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られる積層フィルムの塗膜表面の
ESCAスペクトルである。図中の縦軸はピークの強度
を表し、横軸は結合エネルギーを表している。縦軸は、
最も大きいピーク強度を100%として表している。図
中のピークは機械的にスムージングがなされている。
【符号の説明】 1 カチオン性窒素のピーク 2 イオン化されていない窒素のピーク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 阿部 和洋 滋賀県大津市堅田2丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 (72)発明者 多保田 規 滋賀県大津市堅田2丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂よりなる基材の少なくとも
    片面に、帯電防止層が積層されたフィルムであって、 該帯電防止層面をX線光電子分光法により分析したと
    き、カチオン性窒素に基因するN+ピーク、イオン化さ
    れていない窒素に基因するNピーク、およびN+の対ア
    ニオンに基因するXピークが検出される、積層フィル
    ム。
  2. 【請求項2】 前記XピークがCl、PおよびSからな
    る群より選択される少なくとも1つに基因するピークを
    含有する、請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 【請求項3】 前記N+ピークの面積と前記Nピークの
    面積との比が、下記( 1)式で表され、かつ該N+ピー
    クの面積と前記Xピークの面積との比が下記( 2)式
    で表される、請求項1に記載の積層フィルム: (1)N+/N=10/90〜99/1 (2)N+/X=20/80〜90/10。
JP6002167A 1994-01-13 1994-01-13 積層フィルム Pending JPH07205358A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010534272A (ja) * 2007-07-23 2010-11-04 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 帯電防止物品、その製造方法、及びそれを有するディスプレイデバイス

Cited By (2)

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JP2010534272A (ja) * 2007-07-23 2010-11-04 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 帯電防止物品、その製造方法、及びそれを有するディスプレイデバイス
US9260612B2 (en) 2007-07-23 2016-02-16 3M Innovative Properties Company Antistatic article, method of making the same, and display device having the same

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