JPH07205146A - 塗膜付樹脂の連続再生処理方法 - Google Patents

塗膜付樹脂の連続再生処理方法

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JPH07205146A
JPH07205146A JP526994A JP526994A JPH07205146A JP H07205146 A JPH07205146 A JP H07205146A JP 526994 A JP526994 A JP 526994A JP 526994 A JP526994 A JP 526994A JP H07205146 A JPH07205146 A JP H07205146A
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芳蔵 椋梨
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    • Y02W30/62Plastics recycling; Rubber recycling

Abstract

(57)【要約】 【構成】 本発明は、塗膜付樹脂の破砕品を圧力調整機
構を備えてなる押出機、特に2軸スクリュー型押出機に
供給し、該押出機中で高温・高圧の処理液または処理液
蒸気と一定の温度・圧力条件下に接触させるとともに、
溶融・混練して塗膜を分解・微細化して溶融樹脂中へ均
一微細分散し、吐出ノズルから押出す一方、圧力調整機
構から排出される塗膜分解生成物を含む処理液廃蒸気か
ら処理液を回収して循環再使用することによる塗膜付樹
脂の連続再生方法に関する。 【効果】 本発明の方法によれば、処理条件および処理
工程が簡単であり、かつ、元の基材樹脂に対して物性の
低下が極めて少なく、また、安価で無公害な方法で塗膜
付樹脂から連続的・安定的にバンパー材等に再利用可能
な再生品を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、安価で無公害な塗膜付
樹脂の再生方法に関する。さらに詳しくは、圧力調整機
構を備えてなる押出機を使用して、溶融した樹脂中に含
まれる塗膜を高温・高圧の水、アルコールまたは両者の
混合液である処理液および/またはその蒸気と接触させ
て微細化し、溶融樹脂中に均一分散させるに際し、圧力
調整機構を通して押出機系外へ排出される水、アルコー
ルまたは両者の混合物の蒸気を回収し、塗膜付樹脂の処
理液として循環使用することにより、再生樹脂の物性を
低下させず、かつ、生産性の高い安価で無公害な塗膜付
樹脂の連続再生方法に関する。
【0002】本発明の方法によれば、加水分解される塗
料、特にアルキッド−メラミン(またはアクリル−メラ
ミン)樹脂塗装された自動車用バンパーの廃材を2軸ス
クリュー型押出機に供給可能なレベルに破砕したもの
を、該2軸スクリュー型押出機に供給して高温・高圧の
処理液および/またはその蒸気と接触させることによっ
て、塗膜付樹脂を加水分解もしくはアルコーリシスし、
再利用に際し該塗膜付樹脂が有害にならないレベルまで
微細化し、溶融樹脂内に均一に分散させることにより、
すなわち、塗膜の加水分解もしくはアルコーリシスと樹
脂中への均一分散を同時に行うことにより、バンパー、
インパネなどの材料として再利用が可能となる。また、
圧力調整機構を通して押出機系外へ排出されるホルムア
ルデヒドなどの塗膜分解生成物を含む処理液の蒸気から
ホルムアルデヒドなどの塗膜分解生成物を蒸留・分離
し、該塗膜分解生成物を適切な処理設備で無害化処理す
る一方、塗膜分解生成物が除去された処理液を回収し、
塗膜付樹脂の処理液として押出機へ循環使用することに
より、公害問題の発生を防止するとともに、押出機を使
用する塗膜付樹脂の再生処理プロセスの経済性を向上さ
せるのである。
【0003】
【従来の技術およびその問題点】自動車の製造段階で発
生する塗装不良バンパーや廃車、修理交換などにより発
生する廃バンパーは、一部は粉砕した後、フォークリフ
ト用のパレット材などとしてリサイクル使用しているも
のの近年埋め立て処分を主としてきた。しかしながら、
埋め立て地の制約などからリサイクル技術の開発が課題
となり、その試みの1つとして、塗装したバンパーを単
に粉砕、ペレット化し成形しただけの再生材をバンパ
ー、インパネなどの材料として再利用しようとする検討
がなされた。
【0004】しかし、このような単純リサイクル材で
は、比較的大きな塗膜片(100μm以上)が樹脂中に
分散し、異物として物性、特に耐衝撃性(衝撃強さ、脆
化温度)に悪影響を及ぼし、バンパー、インパネなどの
要求性能である耐衝撃性が悪化すること、また、大きな
塗膜片が成形体の表面に存在すると、外観、品質にも悪
影響を与えることなどにより、バンパー、インパネなど
に再利用することは品質上不可能であった。従って、塗
装された廃バンパーを元のバンパー、インパネなどにリ
サイクルするためには、塗膜の剥離など、塗膜に対して
何らかの処理を施すことが必要であったのである。
【0005】塗膜付樹脂からの塗膜処理方法としては、
以下の機械的剥離方法が一般に知られている。押出し/
スクリーンメッシュ法は、熱可塑性の基材樹脂を加熱溶
融し、不溶・不融の塗膜を押出機フィルターで瀘過・除
去するものであるが、メッシュ以下の大きさの塗膜が残
存するため塗膜の除去率が低い。比重差分離法は、バン
パー基材であるポリプロピレンと塗膜の比重の差を利用
し、塗膜を分離する方法であるが、バンパーを微粉砕す
ることが必要なので、経済的な微粉砕技術の開発が必要
となる。ショットブラスト法は、高圧エアーを用い適当
な熱硬化性樹脂などの有機物粉体もしくは無機物粉体を
高速でバンパー表面に吹き付けて塗膜を機械的に剥す方
法であるが、処理時間が長く、複雑曲面上の塗膜剥離が
困難であるなどの問題がある。ウォータージェット法
は、ショットブラスト法の粉体の代りに高圧水を用いる
ものであるが、この方法もショットブラスト法と同様の
問題がある。振動圧縮法は、特殊装置を使用して塗装バ
ンパー粉砕品に圧縮と振動を与え、塗膜を分離するとい
う特異な方法であり、環境負荷が小さいことや廃バンパ
ーに付着している砂や砂利の混合に対処できるなどの利
点があるものの、再生バンパーの外観をさらに改善する
ためには、残存塗膜量がなお満足のいくものではないな
どの問題があった。
【0006】また、溶剤膨潤法、アルカリ液煮沸法、酸
性液煮沸法、有機塩系溶剤処理法などの公知の化学的剥
離法は、酸あるいはアルカリの溶剤に浸漬し塗膜を分解
もしくは物理的に剥離する方法であるが、溶剤の種類に
よっては基材樹脂が膨潤したり浸食されたりし、再生材
の品質が低下するなどの問題がある。また、基材樹脂へ
のダメージがない溶剤では、剥離に非常に時間がかか
り、生産性の点で問題がある。さらには、中和工程を必
要とするなど、廃液処理にかなりコストがかかる点の
他、処理に使用される有機溶剤による二次公害など環境
に及ぼす影響が懸念されるなどの問題点があった。
【0007】他の方法として、塗膜付樹脂の加水分解再
生法がWO93−1232号公報に開示されている。す
なわち、この方法は、塗装ポリプロピレンバンパーを粉
砕洗浄した後、オートクレーブ中で、110〜240℃
の温度および1.5〜35kg/cm2 Gの圧力まで加
熱加圧した水、アルコールまたは両者の混合物あるいは
それらの蒸気を使って、酸、アルカリなどの触媒の存在
下または不存在下に5〜240分間かけて加水分解およ
び/またはアルコーリシスを行い、次いで遠心脱水した
ものを2軸押出機で溶融混練してペレット化し、再生バ
ンパー材を得るものである。
【0008】この方法の欠点は、塗膜をオートクレーブ
中で加水分解および/またはアルコーリシスするため
に、(1)150℃より低温にすると、塗膜の加水分解
および/またはアルコーリシスに時間がかかり過ぎ、逆
に、160℃より高温にすると、基材樹脂のポリプロピ
レンが溶融・固着してブロックを形成し、次工程の遠心
脱水処理が困難となるなど、操作温度が150〜160
℃の狭い範囲に限定される、(2)バッチ処理となり、
昇温・昇圧に時間がかかり非能率的である。従って再生
材の生産効率が悪い、(3)塗膜の加水分解および/ま
たはアルコーリシスが静的であり、剪断力の作用が少な
いため、機械的な塗膜の破砕がない、などである。
【0009】さらに、押出機中で、塗膜付樹脂を水およ
び/または水蒸気と接触させて塗膜成分を加水分解させ
る塗膜付樹脂の再生処理方法が上記WO93−1232
号公報や特開平5−228936号公報に示唆されてい
るが、押出機内での塗膜と水および/または水蒸気との
接触に際して、一定した温度・圧力条件を維持すること
が困難であり、得られる再生樹脂の物性にバラツキがあ
るなど、安定した連続再生処理ができないなどの問題が
ある。一方、押出機の排気口からは、有害物質のホルム
アルデヒドなどの塗膜分解生成物を含む水やアルコール
の廃蒸気が排出されるが、公害を防止し、地球環境を保
護するためには、これら廃蒸気に対し何らかの無公害化
処理が必要である。しかし、前記の特許公報には、これ
ら廃蒸気の無公害化処理に関する何らの開示も示唆もな
い。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、処理
条件および処理工程が簡単であり、かつ、元の基材樹脂
に対して物性低下が少なく、また、安価で無公害な塗膜
付樹脂の連続的で安定的な再生方法を提供することであ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】発明者らは、押出機中で
溶融した塗膜付樹脂を高温・高圧の水および/またはア
ルコールもしくはそれらの蒸気と接触させることによ
り、塗膜付樹脂を連続的、かつ、安定的に再生するに際
し、経済的で公害のない処理方法を開発すべく、鋭意検
討した結果、その際の装置として、シリンダー加熱装
置、スクリュー構成、注入・排気システムなどに工夫を
こらした押出機、特に2軸スクリュー型押出機を使用す
るとともに、押出機の排気口から排出される塗膜分解生
成物を含む廃蒸気を蒸留処理することにより可能となる
ことを見出し、本発明に到達した。
【0012】すなわち、本発明の方法は、 (a)塗膜付樹脂供給口 (b)固体輸送ゾーン (c)溶融ゾーン (d)溶融体輸送ゾーン (e)再生樹脂吐出口(ダイ) からなり、シリンダーの(c)溶融ゾーンおよび/また
は(d)溶融体輸送ゾーンとなる個所に少なくとも1つ
の高圧の処理液および/またはその蒸気の注入口および
少なくとも1つの排気口(ベント)を設け、そして両口
の中間には圧力調整機構を設け、かつ、シリンダーの前
記注入口の上流側(塗膜付樹脂供給口側)となる個所お
よびシリンダーの前記圧力調整機構取付口と前記排気口
との間となる個所に、注入して高温・高圧状態となった
処理液および/またはその蒸気を封入するための溶融樹
脂によるシール部を形成し、また、該シール部間には、
混練を主体とした働きをする形状のスクリューを設けた
ような構造を有する押出機、特には2軸スクリュー型押
出機を使用し、該押出機中で、溶融した樹脂中に含まれ
る塗膜を高温・高圧の処理液および/またはその蒸気と
接触させて微細化し、該塗膜を溶融樹脂中に均一微細分
散させる一方、前記圧力調整機構を通して前記押出機系
外へ排出される塗膜分解生成物と、前記処理液の蒸気と
を含む排ガスを蒸留塔へ導き、前記塗膜分解生成物を留
去せしめ、前記処理液を塗膜付樹脂の分解処理液として
使用するために循環させることにより達成できる。
【0013】以下に本発明の方法を詳しく説明する。本
発明の方法は、前述の如く、基本的には次の2つの工程
からなる。1つは、圧力調整機構を備えた押出機中で、
塗膜付樹脂と、高温・高圧の処理液および/またはその
蒸気とを接触させ、一定の温度・圧力条件下で塗膜を分
解し、該塗膜を溶融樹脂中に微細分散させて再生樹脂を
得る『塗膜付樹脂処理工程』である。そして、もう1つ
は、上記圧力調整機構を通して押出機系外へ排出され
る、塗膜分解生成物と上記処理液の蒸気とを含んでなる
排ガスから上記処理液を回収し、循環再使用する『処理
液回収工程』である。
【0014】そこで、まず、本発明の方法における『塗
膜付樹脂処理工程』について詳しく説明する。本発明の
方法においては、塗膜が高温・高圧の処理液および/ま
たはその蒸気と接触して分解・劣化を起こすと同時に機
械的に粉砕され、低分子量化して微粒子にまで分解し、
基材樹脂中に分散するのである。従って、本発明に使用
される塗膜付樹脂の塗膜成分としては、高温・高圧の処
理液および/またはその蒸気と接触して分解・劣化など
により細分化するものであれば良く、特に限定されるも
のではないが、加水分解もしくはアルコーリシス可能な
アルキッド−メラミン樹脂塗膜、アクリル−メラミン樹
脂塗膜などが好適である。
【0015】しかしながら、本発明の方法では、前記塗
膜付樹脂の、高温・高圧の処理液および/またはその蒸
気との接触において、塗膜に対して適宜、塗膜分解促進
剤を接触させることもできる。従って、本発明に使用さ
れる塗膜付樹脂の塗膜成分としては、前記加水分解もし
くはアルコーリシス可能なアルキッド−メラミン樹脂塗
膜やアクリル−メラミン樹脂塗膜以外にも高温・高圧の
処理液および/またはその蒸気との接触によっても加水
分解もしくはアルコーリシスしにくいとされる、ポリイ
ソシアネート樹脂とポリオール樹脂とからなる加熱硬化
型のウレタン系塗料、つまり、1液型ウレタン系塗料や
2液型ウレタン系塗料なども含まれる。
【0016】前記の塗膜分解促進剤としては、塩酸、燐
酸、酢酸、シュウ酸などの酸類、水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム
などのアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物など
のアルカリ類、そして燐酸ナトリウム、燐酸水素ナトリ
ウム、酢酸ナトリウムなどのナトリウム塩や燐酸アンモ
ニウム、酢酸アンモニウムなどのアンモニウム塩などの
塩類が好適に挙げられる。これらの酸、アルカリや塩
は、好ましくは水溶液もしくは粉末の形で供給され、前
記塗膜成分の、高温の処理液および/またはその蒸気と
の接触による分解反応に対し、触媒作用をするのであ
る。
【0017】また、本発明に使用される基材樹脂として
は、塗膜と高温・高圧の処理液および/またはその蒸気
との接触条件下で分解されにくい熱可塑性樹脂であれば
特に限定されるものではないが、例えば、ポリプロピレ
ン、エラストマー変性ポリプロピレン、ポリエチレンな
どのポリオレフィン、ポリフェニレンオキシド、変性ポ
リフェニレンオキシド(スチレン変性ポリフェニレンエ
ーテルを含む)などのポリフェニレンオキシド系樹脂、
ABS樹脂、AS樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル
樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂など
が好ましい。これらの中でも自動車バンパー材料の主流
となっているポリオレフィン、特にポリプロピレンを主
体とした樹脂を好適に挙げることができる。
【0018】本発明の方法における前記塗膜付樹脂との
接触において、塗膜を分解する処理液としては、水およ
びアルコールがそれぞれ単独または両者の混合液として
用いられる。アルコールとしては、メチルアルコール、
エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロ
ピルアルコール、エチレングリコール、メチルセルソル
ブ、エチルセルソルブなどの親水性のアルコールを好適
に挙げることができる。なお、処理液として水およびア
ルコールの混合液を使用する場合は、両者の混合割合
は、重量比で水/アルコール=100/0〜0/100
であり、特に限定されるものではない。
【0019】本発明の方法において、押出機中で塗膜付
樹脂を前記処理液および/またはその蒸気と接触させる
際の温度は、使用される基材樹脂や塗膜の種類などによ
って選定されるものであり、通常、基材樹脂の溶融点以
上、熱劣化温度以下であればよく、この範囲内で前記塗
膜の加水分解またはアルコーリシス、もしくは塗膜分解
促進剤による分解に適した一定の温度に維持すればよ
い。しかし、基材樹脂の劣化が起こらない範囲では、温
度はできるだけ高い方が塗膜の分解・微細化が効率よく
行われるので好ましい。そして、この時の圧力は、押出
機内の塗膜付樹脂と前記処理液および/またはその蒸気
との接触ゾーンに気液共存状態を創出できるような圧力
であればよい。従って、本発明の方法において使用され
る押出機内での高温・高圧の処理液および/またはその
蒸気の温度および圧力は、使用される塗膜付樹脂の種類
によって該塗膜の加水分解またはアルコーリシス、もし
くは塗膜分解促進剤による分解に最適の条件が選ばれる
べきであり、一概には限定できないが、アルキッド−メ
ラミン樹脂塗装を施されたポリプロピレンバンパー材で
は、160〜250℃、8〜50kg/cm2 Gが適当
であり、180〜235℃、10〜30kg/cm2
がより好ましい。
【0020】ところで、本発明の方法は、塗膜付樹脂の
破砕品を溶融し、次いで、高温・高圧の処理液および/
またはその蒸気と接触させて塗膜を分解・微細化すると
ともに、微細化した塗膜と溶融した樹脂とを混練し、塗
膜を溶融樹脂中に均一分散した後、系外へ排出できるよ
うな機能を有する押出機を使用することを特徴としてお
り、このような押出機としては、2軸スクリュー型押出
機(噛合い型/非噛合い型、同方向回転型/異方向回転
型)、特殊単軸押出機、多軸押出機、2軸反応機などが
好適に挙げられる。これらの中では、2軸噛合い型同方
向(または異方向)回転の2軸スクリュー型押出機が特
に好ましい。
【0021】本発明の方法に特に好適に使用される2軸
スクリュー型押出機は、前述したように、一端に塗膜付
樹脂供給口が、そして他端に再生樹脂吐出口、すなわち
ダイがそれぞれ設けられたシリンダーと、前記シリンダ
ー内に、回転駆動され、互いに噛み合う2軸のスクリュ
ーと、前記シリンダーの外周囲に前記シリンダーを外側
から加熱または冷却する伝熱装置とが備えられたもので
ある。
【0022】そして、前記シリンダー内のスクリュー構
成としては、固体輸送ゾーン、溶融ゾーン(可塑化ゾー
ン)および溶融体輸送ゾーンからなっており、溶融体輸
送ゾーンは、さらに、高温・高圧の処理液(または処理
液蒸気)との接触ゾーン、脱揮ゾーンおよび昇圧ゾーン
からなっていることが好ましい。塗膜付樹脂は、前記シ
リンダー内に前記シリンダーと前記スクリューとで構成
される空間部を、前記スクリューの回転駆動によって、
固体輸送ゾーン、溶融ゾーン、接触ゾーン、脱揮ゾーン
および昇圧ゾーンの順で移動していくのであるが、特に
接触ゾーンでの塗膜を含む樹脂の滞留時間を長くするた
めに、スクリュー長さは、可能な限り長くした方がよ
い。通常は、シリンダー径の20〜60倍の長さが好ま
しい。なお、2軸反応機については、シリンダー径の5
〜20倍の長さが好ましい。
【0023】本発明の方法における前記スクリューを構
成する前記各ゾーンは、以下に示すような機能を持つも
のである。固体輸送ゾーンは、前記シリンダーの上流端
に設けられた塗膜付樹脂供給口から供給された塗装バン
パー廃材などの塗膜付樹脂の破砕品を、回転駆動によっ
て互いに噛み合う2軸のスクリューによる推進力によっ
て、次の溶融ゾーン、すなわち、可塑化ゾーンへ移送す
るものである。なお、該固体輸送ゾーンに供給される塗
膜付樹脂は、前記シリンダーの上流端に設けられた塗膜
付樹脂供給口から供給でき、かつ、下流側の高温・高圧
の処理液(または処理液蒸気)との接触ゾーンで、塗膜
の分解・微細化が効率的に行えるよう、予め、粉砕機な
どで30mm以下、好ましくは10mm以下に破砕され
た破砕品を使用するのが望ましい。
【0024】溶融ゾーンは、前記塗膜付樹脂の破砕品を
混練エレメント(ニーディングディスク)で加熱溶融し
て可塑化するものである。この溶融ゾーンとなる個所、
もしくは、次の溶融体輸送ゾーンの最上流部である高温
・高圧の処理液(または処理液蒸気)との接触ゾーンと
なる個所の上流端部近くの前記シリンダーには、高圧の
処理液および/または高温・高圧の処理液蒸気の注入口
が少なくとも1つ設けられている。そして、溶融ゾーン
となる個所または高温・高圧の処理液(または処理液蒸
気)との接触ゾーンとなる個所であって、前記高圧の処
理液および/または高温・高圧の処理液蒸気の注入口の
上流側(塗膜付樹脂供給口側)には、前記シリンダーと
前記スクリューとで構成される空間部に、前記接触ゾー
ンで高温・高圧状態となった処理液および/またはその
蒸気を封入し、従って、該高温・高圧の処理液(または
処理液蒸気)の圧力に打ち勝って蒸気圧を保持できるよ
うに溶融樹脂の充満域、すなわち、シール部が形成され
ており、これにより、塗膜付樹脂フィード側への蒸気の
逆流を防止することができるようになっている。
【0025】溶融体輸送ゾーンの最上流部である高温・
高圧の処理液(または処理液蒸気)との接触ゾーンで
は、前記溶融ゾーンで溶融・可塑化した塗膜を含む樹脂
が、前記注入口から供給され高温・高圧状態となった処
理液および/またはその蒸気との接触によって、加水分
解またはアルコーリシス反応を起こすことにより、ある
いはまた、前述した酸、アルカリや塩などの塗膜分解促
進剤の存在下で、前記注入口から供給され高温・高圧状
態となった処理液および/またはその蒸気との接触によ
って、分解反応を起こすことにより、溶融した樹脂中の
塗膜が低分子量化し、微細化するのである。接触ゾーン
における塗膜の微細化の程度は、前記シリンダーの終端
部に設けられた再生樹脂吐出口(ダイ)から押出される
塗膜を含む樹脂をバンパー材などとして再利用するに際
し、該塗膜の存在が物性などに有害にならないレベルで
あればよく、25μm以下にすることが好ましいが、よ
り好ましくは15μm以下にするのがよい。
【0026】また、本発明の方法では、前記接触ゾーン
での塗膜の分解反応を効率的に行うために、供給された
高圧の処理液および/または高温・高圧の処理液蒸気に
よる蒸気の保持領域、すなわち、処理液蒸気/処理液−
溶融樹脂系の気液共存状態に基づく空隙部を設ける必要
があり、そのためには、前述したように、溶融ゾーンも
しくは接触ゾーン内の、前記シリンダーと前記スクリュ
ーとで構成される空間部に溶融樹脂の充満域(シール
部)を形成する一方、前記接触ゾーンに設けられた後述
する処理液の蒸気の排出孔の下流側(再生樹脂吐出口
側)から、次の脱揮ゾーンに設けられた後述する排気口
(ベント)の上流側(塗膜付樹脂供給口側)にかけて
の、前記シリンダーと前記スクリューとで構成される空
間部にも溶融樹脂の充満域(シール部)が形成されてい
る。これら溶融樹脂の充満域長さは、上述した目的から
して、前記空隙部の圧力に抗する樹脂シール部を創出で
きるような長さにするべきであり、供給される塗膜付樹
脂の種類や処理量、高圧の処理液(または高温・高圧の
処理液蒸気)の注入量、押出機内の処理液(または処理
液蒸気)の温度・圧力、使用される押出機のシリンダー
内径などによって決まってくるものであり一概には言え
ないが、通常、シリンダー径の1〜10倍が好ましい。
【0027】なお、前記処理液および/またはその蒸気
の注入口から供給される処理液および/またはその蒸気
の圧力は、前記接触ゾーン内に高温・高圧の処理液およ
び/またはその蒸気による蒸気の保持領域を創出するた
めに、該接触ゾーンでの処理液の蒸気圧以上の圧力とす
るのが好ましい。前記注入口から高圧の処理液を注入す
る場合、処理液の温度は特に限定されないが、常温の処
理液が取扱い上便利である。そして、押出機内に注入さ
れた高圧の処理液は、該押出機内で加熱され、前述した
ような塗膜の分解に適した高温・高圧状態にされるので
ある。
【0028】さらに、本発明では、前記接触ゾーン内の
前記空隙部を形成する領域において、前記スクリューの
回転駆動によって溶融樹脂の内部に存在する塗膜を積極
的に表面(樹脂と空隙部との境界面)に露出させるとと
もに、処理液または処理液蒸気を溶融樹脂内に積極的に
浸透させて樹脂内部の塗膜との接触機会を多くするよう
な表面更新部が設けられるようにするのが望ましい。
【0029】ところで、前記接触ゾーンを通過し、前記
所望の程度にまで微細化された塗膜を含む樹脂は、処理
液蒸気または処理液を含んでおり、そのまま後述する前
記シリンダーの再生樹脂吐出口(ダイ)に設けられたダ
イスノズル部より押出すと該樹脂が発泡状態となり、ス
トランドが引けなくなる恐れがある。そこで、本発明の
方法で使用される押出機には、前記溶融体輸送ゾーンの
前記接触ゾーンの下流側に脱揮ゾーンが設けられてお
り、該ゾーンを形成する個所の前記シリンダーに少なく
とも1つの排気口(ベント)が設けられている。そし
て、この排気口(ベント)から大気中へ放出するか、ま
たはナッシュポンプなどの公知の真空装置によって真空
ベントすることにより樹脂中の処理液成分を取除くよう
にしている。
【0030】しかしながら、前記排気口からの大気放出
または真空ベントでは処理液成分などの揮発成分のみし
か除去できないので、不純物を積極的に排出する目的
で、該不純物を樹脂と一緒に前記再生樹脂吐出口(ダ
イ)のダイスノズル部より発泡状態で放出させ、その後
熱水などで洗浄することもできる。従って、本発明の方
法で使用される押出機のスクリュー構成として、該脱揮
ゾーンは絶対に必要とされるものではない。
【0031】溶融体輸送ゾーンの最終段階は、昇圧ゾー
ンである。この昇圧ゾーンには、その終端部の前記再生
樹脂吐出口(ダイ)にダイスノズル部が設けられてお
り、前記脱揮ゾーンで脱揮された溶融樹脂、あるいは、
その目的によっては脱揮されていない処理液成分を含ん
だままの溶融樹脂を、圧縮して該ダイスノズル部の抵抗
に打ち勝ってノズル穴を通過できるだけの十分な圧力を
与えることにより、前記ノズル穴より押出してストラン
ド状、あるいはまた、発泡状態で前記再生樹脂吐出口
(ダイ)から放出するのである。従って、昇圧ゾーンの
圧力は、押出機に供給される塗膜付樹脂の種類・処理量
などによっても異なるが、2〜150kg/cm2 G程
度が望ましい。
【0032】以上のようにして、前記塗膜付樹脂供給口
から押出機中に供給された塗膜付樹脂は、前記スクリュ
ーの回転駆動によって前記溶融体輸送ゾーン、つまり接
触ゾーン、脱揮ゾーンおよび昇圧ゾーンを順次移動する
間に再生材として利用可能なレベルまで塗膜が微細化さ
れるとともに、該塗膜が溶融樹脂中に混練・包含される
ことによって、該塗膜が前記溶融樹脂内に均一微細分散
されるのである。なお、前記再生樹脂吐出口(ダイ)か
らストランド状で放出される再生溶融樹脂は、特に限定
されないが、さらに水冷水槽にて冷却した後、ペレタイ
ザーにて切断し、ペレット化するのが望ましい。これら
水冷水槽やペレタイザーは、通常使用されているもので
十分である。本発明の方法では、前記再生樹脂吐出口
(ダイ)から放出される再生溶融樹脂をホットカットや
アンダーウォーターカッターでの切断などの方法で切断
することも可能である。また、再生溶融樹脂のペレット
化は必須のものではなく、射出成形、押出成形、ブロー
成形、トランスファー成形、プレス成形などの各種成形
法により、前記再生樹脂吐出口(ダイ)からストランド
状で放出される再生溶融樹脂から最終製品を直接成形す
ることも可能である。
【0033】次に、本発明の方法における押出機、特に
上述したようなスクリュー構成を有する2軸スクリュー
型押出機の運転パラメータのうち、主要なものについて
説明する。塗膜の分解・微細化の程度は、前記接触ゾー
ンでの塗膜を含む樹脂の温度・圧力および滞留時間、樹
脂内部の塗膜を処理液(または処理液蒸気)が介在する
表面に露出させ、あるいは逆に、処理液(または処理液
蒸気)を樹脂内部に浸透分散させて樹脂内部の塗膜と接
触させる能力などにより決まってくるものであり、従っ
て、これらには、前記接触ゾーンでの反応条件(温度お
よび圧力)はもちろんのこと、塗膜付樹脂の処理量、処
理液および/またはその蒸気の供給量、塗膜分解促進剤
の供給量、スクリュー構成、スクリュー回転数などが影
響を与えるのである。
【0034】前記接触ゾーンでの反応温度が供給される
基材樹脂の溶融点未満の場合は、前記接触ゾーンでの基
材樹脂の溶融が不十分であり、結果として、塗膜と基材
樹脂との混練も不十分となるため、樹脂内部の塗膜が処
理液または処理液蒸気が介在する表面へ露出したり、あ
るいは、処理液または処理液蒸気が樹脂内部へ浸透して
樹脂内部の塗膜と接触したりする機会も少なくなり、塗
膜の分解反応率が低くなるので好ましくない。また、前
記接触ゾーンでの反応温度が供給される基材樹脂の熱劣
化温度を越える場合には、塗膜付樹脂が局部的に基材樹
脂の熱劣化温度以上に加熱されて、基材樹脂が劣化を起
こし、得られる樹脂が再生材として使用できなくなるの
で好ましくない。
【0035】一方、本発明においては、前記接触ゾーン
での反応圧力は、前述したように、前記接触ゾーン内に
処理液蒸気/処理液−溶融樹脂系の気液共存状態を創出
できるよう、上述の条件で選定された反応温度に相当す
る処理液の蒸気圧であることが望ましいが、前記接触ゾ
ーンに処理液蒸気/処理液−溶融樹脂系の気液共存状態
を維持しさえすれば、前記接触ゾーン内に第3成分(例
えば窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスなどの不活
性ガスなど)を圧入することもできる。しかしながら、
設定された反応温度に相当する処理液の蒸気圧より低い
場合には、塗膜の分解反応速度が遅くなるため、塗膜を
含む樹脂を再利用するために所望される程度にまで塗膜
を微細化できないので好ましくない。また、前記接触ゾ
ーンでの反応圧力を設定された反応温度に相当する処理
液の蒸気圧より高くした場合は、その圧力のために、前
記接触ゾーンに高温・高圧の処理液および/またはその
蒸気による蒸気圧保持領域、すなわち、気液共存状態に
基づく空隙部を適正に形成するための、前記高圧の処理
液および/または高温・高圧の処理液蒸気の注入口の上
流側となる個所および次記処理液蒸気の排出孔と前記排
気口との間となる個所での溶融樹脂によるシールが不十
分となり、従って、塗膜を含む樹脂と熱い処理液または
処理液蒸気との接触が効率的に行われず、塗膜の分解反
応率が低くなるので好ましくない。
【0036】そこで本発明の方法は、前記接触ゾーン内
に、圧力調整機構を設けることを1つの特徴とするもの
である。圧力調整機構は、前記接触ゾーンに形成される
高温・高圧の処理液および/またはその蒸気による蒸気
圧保持領域を気液共存状態にするとともに、該処理液の
蒸気圧を維持し、従って、該処理液の蒸気圧に相当する
温度を維持し、これによって前記接触ゾーンでの高温・
高圧状態を塗膜の分解反応に好適な一定条件(温度およ
び圧力)に保つことを目的とするものである。従って、
圧力調整機構は、上記の目的を達成し得るものであれば
特に制限されるものではないが、前記脱揮ゾーンの上流
側であって、前記接触ゾーンの終端近くに位置する前記
シリンダー(前記高圧の処理液および/または高温・高
圧の処理液蒸気の注入口と前記排気口との中間部)に処
理液蒸気の排出孔と、それに接続された配管と、該配管
内に設けられた圧力調整弁とで構成されることが好まし
い。
【0037】なお、前記圧力調整機構が設けられること
により、押出機内に存在する過剰の処理液やその蒸気が
前記処理液蒸気の排出孔から配管を通して押出機系外へ
排出され、従って、絶えず新鮮な処理液および/または
その蒸気が押出機内に供給されることになる。そして、
前記過剰な処理液やその蒸気は、前記圧力調整弁を通過
するまでは、その一部もしくは全部が熱液状態に保たれ
ており、該熱液に可溶な成分である前記接触ゾーンでの
分解生成物は、該熱液とともに押出機系外へ排出され、
本発明の方法のもう1つの特徴である後記の処理液回収
工程へ導かれるのである。これにより、再生樹脂に対す
る不純物が減少する他、分解した塗膜成分の再結合も少
なくできるのである。
【0038】前記接触ゾーンでの塗膜を含む樹脂の滞留
時間、すなわち、塗膜の分解反応時間は、長い程、塗膜
の分解・微細化が進む。そこで、前記接触ゾーンでの塗
膜を含む樹脂の圧力・温度、高温・高圧の処理液および
/またはその蒸気の供給量、押出機のシリンダー径、ス
クリュー構成、スクリュー長さ、スクリュー回転数な
ど、さらに場合によってはこれらの他に、塗膜分解促進
剤の供給量などの運転パラメータを一定にして押出機を
運転する限り、反応時間は、塗膜を含む樹脂の処理量に
比例するのである。すなわち、前記塗膜を含む樹脂の処
理量が少ない程、塗膜の分解反応が進行し、該塗膜の微
細化は良くなるが、再生樹脂の生産効率の面からは逆効
果となる。本発明の方法における前記塗膜を含む樹脂の
処理量の好ましい範囲は、上述した種々の運転パラメー
タが複雑に影響し、一概には言えないが、実際的には5
5mmφのシリンダー径およびL/D(シリンダー径に
対するスクリュー長さの比)=60の押出機では10〜
70kg/H、特に20〜60kg/Hが望ましい。そ
して、55mmφ以外のシリンダー径の場合には、下記
数式1によって限定される範囲内の処理量であることが
好ましい。
【0039】
【数1】
【0040】本発明の方法では、前記接触ゾーンでの塗
膜を含む樹脂と高温・高圧の処理液および/またはその
蒸気との接触を効率的に行うためには、前述したよう
に、前記接触ゾーンに処理液蒸気/処理液−溶融樹脂系
の気液共存状態を創出し、前記高温・高圧の処理液およ
び/またはその蒸気による蒸気圧を保持した空隙部を適
正に形成する必要があり、従って、前記接触ゾーンでの
空隙率、つまり、前記接触ゾーン内での前記空隙部の占
める割合および処理液供給率、すなわち、前記高圧の処
理液および/または高温・高圧の処理液蒸気の供給量を
適正化する必要があるのである。前記高圧の処理液およ
び/または高温・高圧の処理液蒸気の適正な供給量は、
塗膜や基材樹脂の種類、前記接触ゾーンでの塗膜を含む
樹脂の圧力・温度、供給される処理液および/またはそ
の蒸気の圧力・温度などによっても異なるが、55mm
φのシリンダー径の押出機では、処理されるべき塗膜付
樹脂(塗膜を含む樹脂)1kg/H当り0.1〜0.8
kg/Hであるのが好ましい。前記高圧の処理液および
/または高温・高圧の処理液蒸気の供給量が0.1kg
/Hより少ない場合は、前記接触ゾーンでの塗膜の分解
反応率が低くなるので好ましくない。また逆に、前記高
圧の処理液および/または高温・高圧の処理液蒸気の供
給量が0.8kg/Hより多い場合には、脱揮ゾーンで
の塗膜付樹脂からの処理液またはその蒸気の除去が不十
分となり、前述したように、前記シリンダーの再生樹脂
吐出口(ダイ)から放出される再生樹脂が発砲状態とな
り、ストランドが引けなくなる恐れがあるなど好ましく
ない。本発明の方法では、上述の如く、前記高圧の処理
液および/または高温・高圧の処理液蒸気の注入口から
高圧の処理液および/または高温・高圧の処理液を注入
することができるが、前記接触ゾーンでの塗膜を含む樹
脂と高温・高圧の処理液および/またはその蒸気との接
触効率を高めるためには、前記注入口から高圧の処理液
を注入し、前記接触ゾーン内で処理液の蒸気を発生せし
めることにより、前記接触ゾーン内に、処理液蒸気/処
理液−溶融樹脂系の気液共存状態を創出する方が好まし
い。
【0041】なお、本発明では、前述した高圧の処理液
および/または高温・高圧の処理液蒸気の注入口に配管
を接続し、該配管の上流端に、定量ポンプなど、前記高
圧の処理液および/または高温・高圧の処理液蒸気を定
量的に供給する装置を設けることにより、前記高圧の処
理液および/または高温・高圧の処理液蒸気を前記接触
ゾーン内に上述した適正量で定量フィードできるのであ
る。
【0042】次に、ウレタン系塗料などの加水分解また
はアルコーリシスしにくい塗膜を含む樹脂を処理する場
合など、前記塗膜分解促進剤の存在下に塗膜付樹脂を高
温・高圧の処理液および/またはその蒸気と接触する場
合、前記塗膜分解促進剤の供給量としては、該塗膜付樹
脂の処理量1kg/H当り0.01〜10g/H程度が
適量である。前記塗膜分解促進剤の供給量が該適量より
少ない場合は、前記塗膜の分解反応が不十分であり、該
適量より多い場合は、塗膜分解促進剤が基材樹脂を浸食
したり、再生樹脂中へ混入していく塗膜分解促進剤が再
生樹脂の物性に悪影響を与えるなど、いずれも好ましく
ない。塗膜分解促進剤の添加方法としては、塗膜を含む
樹脂の破砕品に添加して、押出機のシリンダー上流端の
塗膜付樹脂供給口から供給する方法、あるいは、前記注
入口から押出機内に供給する処理液に溶解して供給する
方法などが適当である。
【0043】押出機のスクリュー回転数は、塗膜付樹脂
の処理量や前記接触ゾーンでの溶融樹脂の表面更新機
能、すなわち、前記接触ゾーンでの溶融樹脂中に含まれ
る塗膜の分解反応に影響を与える。本発明の方法では、
55mmφのシリンダー径の押出機を使用する場合、ス
クリュー回転数を100〜400rpm程度にするのが
好ましい。スクリュー回転数が100rpmより少ない
場合は、前記接触ゾーンでの塗膜と基材樹脂との混練が
不十分となり、樹脂内部の塗膜が処理液または処理液蒸
気の介在表面へ露出したり、あるいは、処理液または処
理液蒸気が樹脂内部へ浸透して、樹脂内部の塗膜と接触
したりする機会が少なくなり、いわゆる溶融樹脂の表面
更新機能が低下し、塗膜の分解反応率が低くなるので好
ましくない。スクリュー回転数が400rpmより多く
なると、スクリューの回転駆動による溶融樹脂の送出力
が大きくなり、前記接触ゾーンでの前記高圧の処理液お
よび/または高温・高圧の処理液蒸気の供給量に対する
塗膜付樹脂の搬送量が増大し、該塗膜付樹脂の前記接触
ゾーンでの滞留時間が短くなるとともに、樹脂シール部
での溶融樹脂の充満域が短くなり、溶融樹脂によるシー
ルが弱くなるので塗膜の分解反応率が低下する一方、基
材樹脂の温度が高くなり、基材樹脂の劣化が起こるので
好ましくない。スクリュー回転数の制御は、公知の方法
で行うことができ、例えば駆動装置として可変速モータ
ーを使用する方法などが好適に採用できる。
【0044】ところで、本発明の方法では、再生された
材料の品質を安定させるためには、前記シリンダー内
の、前記シリンダーと前記スクリューとで構成される空
間部に存在する塗膜を含む樹脂の温度条件を一定に保つ
必要がある。つまり、スタート時の昇温や処理すべき塗
膜付樹脂の種類によって異なる設定温度の調整には、加
熱機構が必要である一方、溶融樹脂と前記シリンダーと
の摩擦力で大きな摩擦熱が発生し、温度が上昇すること
に対しては、冷却機構が必要であるなど、前記シリンダ
ーに対しては、前記スクリューの長さに応じ、幾つかの
区間に分けて加熱、冷却などの温度制御を行うことが必
要である。そこで、本発明において使用される押出機
は、前記シリンダーにブロック方式を採用し、各ブロッ
ク単位で前記シリンダーの外周囲に、前記シリンダーを
外側から加熱または冷却する伝熱装置を備えていること
が望ましい。このような伝熱装置としては、シリンダー
外周に巻きつけた電気ヒーターやジャケット構造など公
知の装置を使用することができ、シリンダーの各ブロッ
ク毎に、所望に応じて、スチームなどの加熱媒体、ある
いは、冷却水などの冷却媒体を該伝熱装置に流せばよ
い。
【0045】以上、述べたように、本発明の方法におい
て使用される押出機、特に好適に使用される噛合い型同
方向(または異方向)回転の2軸スクリュー型押出機
は、セルフクリーニング性が優れ、温度制御が正確であ
り、また、溶融樹脂の表面更新機能や脱揮能力にも優れ
ている機械装置であるとともに、(1)塗膜付樹脂の処
理量、スクリュー構成、スクリュー回転数などの調整に
より、前記押出機内に溶融樹脂が滞留する時間を容易に
制御することができること、(2)スクリューがセグメ
ント方式であり、かつ、シリンダーがブロック方式であ
るため、目的に応じて、脱揮ゾーンを付設したり、ある
いは、削除したりするなどのスクリュー構成の変更や、
混練部の軸方向長さの変更が簡単であること、(3)取
付けられた圧力調整弁の設定圧力の変更により、処理す
べき塗膜付樹脂の種類に応じて塗膜の分解反応に適した
条件(圧力および温度)に容易に保持することができる
こと、など、処理条件にかなりの自由度を持つ、生産プ
ロセスの柔軟性に富んだ機械装置でもある。
【0046】なお、本発明の方法においては、再生品に
対する要求品質が厳しい場合には、押出機内の混練過程
で衝撃改質材や相溶化剤などを添加したり、再生ペレッ
トを再度押出機の塗膜付樹脂供給口に供給し該押出機に
通したり、必要に応じて該押出機の再生樹脂吐出口(ダ
イ)に、大きな塗膜を連続的に除去するための自動逆洗
フィルターを取付けたりすることにより、再生品の品質
をさらにバージン材に近づけることができることはいう
までもない。
【0047】そこで、本発明の塗膜付樹脂処理工程を、
添付図面を参照しながら以下に詳細に説明する。図1
は、本発明の方法における塗膜付樹脂処理工程の一実施
例を示す概略フロー図である。図1において、1はタン
ク、2は定量ポンプ、3は圧力調整弁、4は2軸スクリ
ュー型押出機、41はシリンダー、42はスクリュー、
43はシリンダー41に取付けられた塗膜付樹脂供給
口、44はシリンダー41に取付けられた再生樹脂吐出
口、45はシリンダー41に取付けられた高圧の処理液
(または処理液蒸気)注入口、46はシリンダー41に
取付けられた処理液蒸気排出孔、47はシリンダー41
に取付けられた排気口、そして48は伝熱装置である。
【0048】2軸スクリュー型押出機4のシリンダー4
1内にはスクリュー42が配置されており、該スクリュ
ー42は、その一端にて図1に示されていない駆動装置
により、回転駆動されるようになっている。シリンダー
41の前記駆動装置側には塗膜付樹脂供給口43が設け
られるとともに、シリンダー41の他端には再生樹脂吐
出口44が設けられており、塗膜付樹脂供給口43に塗
膜付樹脂が供給されると、樹脂はスクリューの回転とと
もに再生樹脂吐出口44側へ運ばれる。シリンダー41
の外周には伝熱装置48が付設され、シリンダー41が
加熱または冷却されているので、塗膜付樹脂は、シリン
ダー41内のシリンダー41とスクリュー42とで構成
される空間部420内を進行する間に、溶融されて適温
に維持される。
【0049】スクリュー42は、固体輸送ゾーン42
1、溶融ゾーン422および溶融体輸送ゾーン423で
構成されており、溶融体輸送ゾーン423は、さらに接
触ゾーン424、脱揮ゾーン425および昇圧ゾーン4
26で構成されており、そして、接触ゾーン424の少
なくとも一部分は表面更新部427となっている。図1
に示されていない粉砕装置で適度の粒径に破砕され、塗
膜付樹脂供給口43に供給された塗膜付樹脂の破砕品
は、溶融ゾーン422内で、これもやはり図1に示され
ていない混練エレメント(ニーディングディスク)で加
熱溶融されて可塑化し、溶融体輸送ゾーン423の最上
流部である接触ゾーン424へ送出される。
【0050】シリンダー41の接触ゾーン424の上流
端部近くに位置する部位には、高圧の処理液(または処
理液蒸気)注入口45が設けられ、これは、定量ポンプ
2を介してタンク1と配管で接続されている。適量の処
理液がタンク1から配管を通って定量ポンプ2に入り、
定量ポンプ2で所定の圧力まで昇圧され、再び配管を通
って高圧の処理液(または処理液蒸気)注入口45に供
給される。そして、高圧の処理液(または処理液蒸気)
注入口45から接触ゾーン424にフィードされた処理
液は、同じく接触ゾーン424に送出された塗膜を含む
溶融樹脂と接触し、高温の溶融樹脂によって加熱される
とともに、その一部もしくは全量が蒸発して処理液の蒸
気が発生する。それと同時に、この接触によって塗膜の
加水分解またはアルコーリシス反応が進行し、塗膜は低
分子量化して所望なレベルにまで微細化する。
【0051】シリンダー41の接触ゾーン424の終端
部近くに位置する部位には、高圧の処理液(または処理
液蒸気)注入口45から接触ゾーン424にフィードさ
れた処理液の蒸発により発生した処理液蒸気を排出する
処理液蒸気排出孔46が設けられており、それに接続さ
れた配管内には圧力調整弁3が備えられている。そし
て、前記空間部420のうち、溶融ゾーン422の終端
部近くから、高圧の処理液(または処理液蒸気)注入口
45の上流側であって、かつ、接触ゾーン424の上流
端部近くである位置にかけての部位と、処理液蒸気排出
孔46の下流側であって、かつ、接触ゾーン424の終
端部近くである位置から脱揮ゾーンの上流端部近くにか
けての部位とには、それぞれ混練エレメント(図1には
示されていない)を設けることによって、接触ゾーン4
24にフィードされた処理液に基づく高温・高圧の処理
液および/またはその蒸気のシールが可能となるよう溶
融樹脂の充満域(シール部)428および429が形成
される。
【0052】これによって、接触ゾーン424内に、高
圧の処理液(または処理液蒸気)注入口45から接触ゾ
ーン424内にフィードされた処理液の蒸発に基づく蒸
気圧保持領域430が確保される。そのために、接触ゾ
ーン424内には、該接触ゾーン424内に設けられた
混練を主体とした働きをするスクリューによって樹脂の
内部に存在する塗膜を積極的に表面(処理液蒸気層と樹
脂層との境界面)に露出させる一方、処理液または処理
液蒸気を溶融樹脂内に積極的に浸透させて樹脂内部に存
在する塗膜との接触機会を多くするような表面更新部4
27が発現する。
【0053】そして、蒸気圧保持領域430を接触ゾー
ン424内に確保することによって、圧力調整弁3を塗
膜の分解反応に適した温度での処理液の飽和蒸気圧に相
当する圧力に設定すれば、蒸気圧保持領域430が飽和
蒸気状態に維持され、温度も、この飽和蒸気圧に相当す
る温度に自ら維持され、接触ゾーン424の高温・高圧
状態は、塗膜の分解反応に最適な一定の温度・圧力条件
下に保たれるのである。
【0054】以上のようにして、所望なレベルまで微細
化された塗膜を含む溶融樹脂は、次の脱揮ゾーン425
へ運ばれる。この脱揮ゾーン425に位置するシリンダ
ー41には排気口47が取付けられており、該排気口4
7は、さらに、それに接続された配管を通して図1に示
されていない真空装置に連結されている。脱揮ゾーン4
25へ送出された溶融樹脂は、後記する再生樹脂吐出口
44からの放出の際の発泡の原因となる処理液蒸気およ
び/または処理液を含んでおり、前記真空装置によって
減圧されることにより、前記溶融樹脂が膨張し、含有す
る処理液成分などの揮発分が前記排気口47より前記真
空装置側へ放出されるのである。
【0055】脱揮ゾーン425で脱揮された溶融樹脂
は、2軸スクリュー型押出機4のスクリュー構成の最終
段階である昇圧ゾーン426へ送出される。この昇圧ゾ
ーン426の終端部に位置するシリンダー41には再生
樹脂吐出口44が取付けられており、そして、この再生
樹脂吐出口44にはダイスノズル部(図1には示されて
いない)が設けられている。昇圧ゾーン426へ送出さ
れた溶融樹脂は、加圧圧縮され、そして、前記ダイスノ
ズル部の抵抗に打ち勝って前記ダイスノズル部のノズル
穴(これも図1には示されていない)を通過できるだけ
の十分な圧力が与えられ、該ノズル穴より押出され、再
生樹脂吐出口44よりストランド状で放出される。
【0056】なお、接触ゾーン424を通過し、所望な
レベルにまで微細化された塗膜は、スクリュー42の回
転駆動によって脱揮ゾーン425および昇圧ゾーン42
6を前進する間に、溶融樹脂内に混練・包含される。そ
して、これによって再生材として利用可能なレベルまで
微細化された塗膜が基材樹脂内に均一微細分散された再
生樹脂が、前記再生樹脂吐出口44よりストランド状で
放出されるのである。
【0057】そして、再生樹脂吐出口44からストラン
ド状で放出された前記再生樹脂は、水冷水槽(図1に示
されていない)にて冷却固化された後、これもやはり図
1には示されていないペレタイザーにて切断されてペレ
ット化される。
【0058】次に、本発明の方法のもう1つの特徴であ
る処理液回収工程について、図面を参照しながら詳しく
説明する。本発明の方法における処理液回収工程の概略
は、図2に示したとおりである。本工程で処理される被
処理物質は、塗膜付樹脂処理工程の押出機の圧力調整機
構を構成する圧力調整弁を通して押出機系外へ排出され
る排ガスである。この排ガスは、主として、押出機の接
触ゾーンでの塗膜付樹脂と処理液および/またはその蒸
気との接触に基づく塗膜の分解生成物および処理液の蒸
気を含むものである。そして該塗膜の分解生成物として
は、ホルムアルデヒド、n−ブチルアルコール、イソブ
チルアルコールなどの低沸点化合物や1.6−ヘキサン
ジオール、トリメチロールプロパン、メラミン、イソフ
タル酸などの高沸点化合物などが含まれている。また、
この排ガスの温度は、前記押出機の接触ゾーンでの塗膜
付樹脂温度、処理液および/または処理液蒸気の量、前
記押出機の保温状態などにより異なり、一概には言えな
いが、処理液の沸点以上塗膜付樹脂温度以下、例えば処
理液が水である場合には100〜250℃と高温であ
る。
【0059】本発明の処理液回収工程において、上述の
高温の排ガスは、まず、配管211を通して第1蒸留塔
21の下部に導入される。この第1蒸留塔21の上部に
は、配管223を通して精製処理液が供給され、第1蒸
留塔21内において、下部から上昇してくる前記排ガス
と向流接触させられる間に、上記の低沸点化合物と高沸
点化合物とが蒸留分離する。すなわち、缶液として第1
蒸留塔21の底部から抜き出された、前記高沸点化合物
を含む処理液の一部は、第1蒸留塔缶液ポンプ26の吐
出配管213から分岐した配管214を通して第1蒸留
塔の底部へ循環されるが、残部は、第1蒸留塔21の底
部の液面を一定に保つよう、第1蒸留塔缶液ポンプ26
の吐出配管213中に設けられた液面調節弁29でコン
トロールされながら、配管212および第1蒸留塔缶液
ポンプ26の吐出配管213を通して、第1蒸留塔缶液
ポンプ26によって系外へ抜き出される。この系外へ抜
き出される高沸点化合物含有処理液の量は、第1蒸留塔
21での排ガス処理流量や後述する第1蒸留塔21の操
作温度・圧力条件などによっても左右されるが、第1蒸
留塔21に導入される排ガス全体量の1〜3重量%程度
であることが好ましい。従って、この高沸点化合物含有
処理液は、かなり高いBOD値やCOD値を有するもの
であるが、第1蒸留塔21での排ガスの処理流量が少な
い場合は、そのまま廃棄処理することも可能である。し
かし、公害防止の面からは、活性汚泥処理設備、廃液燃
焼処理設備などの公知の適切な廃液処理設備に供給する
か廃棄物処理業者に引き渡しするなどして無公害化処理
することが好ましい。一方、第1蒸留塔21の頂部から
は前記低沸点化合物と前記処理液の蒸気とを含んでなる
排ガスが排出され、これは、配管215を通して第2蒸
留塔22の下部へ導入される。
【0060】第1蒸留塔21における操作圧力として
は、特に限定されるものではない。従って、第1蒸留塔
21は、減圧下でも加圧下でも操作可能であるが、減圧
操作の場合は、真空ポンプなどの減圧設備が必要となる
し、また、加圧操作の場合は、装置に耐圧性能が要求さ
れるなど設備コストが多大となるため、本発明の方法に
おいては、0〜0.2kg/cm2 Gの常圧で操作され
ることが好ましい。そして、第1蒸留塔21における操
作温度は、前記の操作圧力において、第1蒸留塔21に
導入される排ガスを、前述したように、その量の1〜3
重量%程度である高沸点化合物含有処理液と、低沸点化
合物および処理液の蒸気を含んでなる残部の排ガスとに
分離できるように適宜選定すればよい。すなわち、第1
蒸留塔21の操作温度は、排ガスの処理流量および組成
や操作圧力条件などを考慮の上、前述の分離が可能とな
るように選定されるべきであり、第1蒸留塔21を前記
の常圧下で操作する場合には、塔底温度を100〜12
0℃、塔頂温度を100〜105℃とすることが望まし
い。第1蒸留塔21の操作温度がこの範囲を外れると、
前述の分離が不十分となるので好ましくない。
【0061】次に、配管215を通して第2蒸留塔22
の下部へ導入された、低沸点化合物と処理液の蒸気とを
含んでなる排ガスは、第2蒸留塔22内を上昇する間
に、その上部より流下する還流液と向流接触される。こ
の接触処理により、第2蒸留塔22の頂部からは、低沸
点化合物含有処理液の蒸気が留出するが、これは配管2
25を通して凝縮器23に導かれ、ここで配管231お
よび配管232を通して流れる冷媒、例えば冷却水によ
って凝縮される。凝縮液、つまり、低沸点化合物含有処
理液は、配管226を通してさらに気液分離器24に導
かれ、ここで不凝縮性のガスが分離された後、配管22
7、配管228および配管229を通してポンプ28に
より、その一部が還流液として第2蒸留塔22の上部へ
還流される。そして、残部の凝縮液、つまり、低沸点化
合物含有処理液は、配管227および配管228を通し
てポンプ28により系外へ抜き出される。また、前記の
不凝縮性ガスも配管241を通して系外へ抜き出され
る。
【0062】前記系外へ抜き出される低沸点化合物処理
液の量は、第2蒸留塔22での、低沸点化合物と処理液
の蒸気とを含んでなる排ガスの処理流量、第2蒸留塔2
2の操作温度・圧力条件などによっても左右されるが、
第1蒸留塔21に導入される排ガス全体量の0.5〜5
重量%程度であることが好ましい。従って、この低沸点
化合物含有処理液は、1〜5重量%程度の前記低沸点化
合物を含有し、かなり高いBOD値やCOD値を有する
ものであるが、前述した高沸点化合物含有処理液の場合
と同様、第1蒸留塔21での排ガスの処理流量が少ない
場合は、そのまま廃棄処理することも可能である。しか
し、公害防止の面からは、活性汚泥処理設備、廃液燃焼
処理設備などの公知の適切な廃液処理設備に供給するか
廃棄物処理業者に引渡しするなどして無公害化処理する
ことが好ましい。
【0063】上述の如く、第2蒸留塔22の頂部から低
沸点化合物含有処理液の蒸気を、第1蒸留塔21に導入
される排ガス全体量の0.5〜5重量%程度の量で留去
せしめることにより、第2蒸留塔22の底部からは、精
製処理液が回収される。この精製処理液は、前述したよ
うに、第2蒸留塔22の頂部から留出する低沸点化合物
含有処理液が低沸点化合物を1〜5重量%程度含有する
ものであることからして、低沸点化合物を100〜30
0ppm程度含有しているものである。精製処理液は、
第2蒸留塔22の底部から抜き出され、その一部が缶液
として配管221、第2蒸留塔缶液ポンプ27の吐出配
管222および配管224を通して第2蒸留塔22の底
部へ循環される。また、精製処理液の別の一部が、第1
蒸留塔21に導入される排ガスの洗浄水として、第2蒸
留塔缶液ポンプ27の吐出配管222から分岐した配管
223を通して、第1蒸留塔21の上部に供給される。
第1蒸留塔21への洗浄水の供給は、前記配管223中
に設けられた流量調節弁31によって一定流量でもって
行われることが好ましい。なお、この洗浄水の供給量
は、前述した第1蒸留塔21における低沸点化合物と処
理液の蒸気とを含んでなる排ガスと、高沸点化合物含有
処理液との蒸留分離が達成され得るよう、第1蒸留塔2
1での排ガス処理流量および排ガス組成、第1蒸留塔2
1の操作温度・圧力条件などを考慮して決定すべきであ
るが、本発明の方法においては、第1蒸留塔21の底部
から系外へ抜き出される高沸点化合物含有処理液とほぼ
同量であることが好ましく、従って、第1蒸留塔21に
導入される排ガス全体量の1〜3重量%程度であること
が好ましい。そして、精製処理液の残部は、第2蒸留塔
22の底部の液面を一定に保つよう、第2蒸留塔缶液ポ
ンプ27の吐出配管222中に設けられた液面調節弁3
0でコントロールされながら、配管221および第2蒸
留塔缶液ポンプ27の吐出配管222を通して、第2蒸
留塔缶液ポンプ27によって塗膜付樹脂処理工程のタン
ク1(図1に示される)へ送られ、塗膜付樹脂の分解処
理液として循環再使用される。
【0064】第2蒸留塔22の操作条件は、第1蒸留塔
21の場合と同様、前述した第2蒸留塔22における低
沸点化合物含有処理液と精製処理液との分離が達成され
得るものであればよく、適宜選定すればよい。本発明の
方法においては、0〜0.2kg/cm2 Gの常圧、お
よび塔底が100〜105℃、塔頂が90〜100℃の
温度で操作されることが好ましい。上記範囲より高圧あ
るいは高温では、前記の低沸点化合物含有処理液と精製
処理液との所望した分離を達成するために、多くの熱量
を加えなければならず、運転コストが多大となるので好
ましくない。また、上記範囲より低圧あるいは低温で
は、前述したように、真空ポンプなどの減圧設備が必要
となったり、低沸点化合物の1つであるホルムアルデヒ
ドの凝縮器23での処理液への溶解が不十分となり、気
液分離器24から不凝縮性のガスとともに系外へ排出さ
れ、公害問題を起こしたり好ましくない。
【0065】ところで、本発明の方法において、前記第
1蒸留塔21および前記第2蒸留塔22に使用される蒸
留塔としては、泡鐘塔、多孔板塔などの柵段塔や充填塔
など通常の蒸留塔として使用されるものでよく、ホール
ドアップの大きい方が好ましいと考えるが、特に工夫さ
れた構造を持つ必要はない。例えば、充填塔を使用する
場合は、磁製、金属製あるいは樹脂製のラシヒリング、
レッシングリング、ポールリング、ベルルサドル、イン
タロックスサドルなどの公知の充填物が規則充填もしく
は不規則充填されたものであればよい。また、これら蒸
留塔の段数や充填層の長さは、これら蒸留塔へ導入され
る排ガスおよび処理液の流量および組成、塔頂より留出
させる蒸気および/またはガスの流量および組成、塔底
より抜き出す処理液の流量および組成、蒸留塔の操作温
度・圧力条件など、そして充填塔を使用する場合には、
さらに充填物の種類およびその特性などを考慮して、適
宜決定すればよい。なお、本発明の方法においては、前
記第1蒸留塔21および前記第2蒸留塔22は、同一型
式のものを使用することが好ましく、特に充填塔である
ことが好ましい。
【0066】本発明の方法における処理液回収工程にお
いては、前述したように、第1蒸留塔21に導入される
排ガスが処理液の沸点以上塗膜付樹脂温度以下、例えば
処理液が水である場合には100〜250℃と高温であ
るため、定常運転時は、第1蒸留塔21における低沸点
化合物と処理液の蒸気とを含んでなる排ガスと、高沸点
化合物含有処理液との蒸留分離、および、第2蒸留塔2
2における低沸点化合物含有処理液蒸気と精製処理液と
の蒸留分離に、外部からの熱源を必要としないことを特
徴としている。しかし、本発明の方法においては、処理
液回収工程のスタートアップ時における精製処理液の品
質を確保するために、第2蒸留塔22の缶液循環ライン
である前記配管224中にリボイラー25を設けること
が好ましい。そして、処理液回収工程のスタートアップ
時、第2蒸留塔22の底部に新鮮な処理液を張り込み、
配管221、第2蒸留塔缶液ポンプ27の吐出配管22
2、リボイラー25および配管224を通して、第2蒸
留塔缶液ポンプ27によって第2蒸留塔22の底部へ循
環するとともに、リボイラー25において、配管251
および配管252を通して流れる熱媒、例えばスチーム
によって循環液を加熱することが好ましい。
【0067】本発明の方法では、上述したように、塗膜
分解生成物の低沸点化合物や高沸点化合物と処理液の蒸
気とを含んでなる排ガスから塗膜分解生成物と処理液と
を蒸留分離するために、第1蒸留塔21および第2蒸留
塔22の2本の蒸留塔を使用するものとしているが、こ
れらの蒸留塔を2段に積み重ねて1本の蒸留塔とし、塔
底からは高沸点化合物含有処理液を抜き出し、塔頂から
は低沸点化合物含有処理液を留出させ、そして塔中段か
らサイドカットで精製処理液を回収することも可能であ
る。また、第1蒸留塔21の塔底部からの缶液抜出配管
212、第2蒸留塔22の塔底部からの缶液抜出配管2
21および気液分離器24からの凝縮液抜出配管227
などをオーバーフロー形状にして、第1蒸留塔21や第
2蒸留塔22の底部液面および気液分離器24の液面な
どを一定に保つことにより第1蒸留塔缶液ポンプ26、
第2蒸留塔缶液ポンプ27、ポンプ28、液面調節弁2
9および液面調節弁30などを省略することもできる。
【0068】以上のようにして、押出機の圧力調整弁を
通して押出機系外へ排出される、低沸点化合物および高
沸点化合物からなる塗膜分解生成物と処理液の蒸気を含
んでなる排ガスから低沸点化合物および高沸点化合物を
蒸留分離して処理液を回収し、塗膜付樹脂中の塗膜を分
解するための処理液として循環再使用する一方、処理液
の回収に際して生成する低沸点化合物含有処理液や高沸
点化合物含有処理液の無公害化処理を行うことによっ
て、本発明の目的である公害のない経済的な塗膜付樹脂
の連続再生処理方法が達成されるのである。
【0069】
【実施例】次に実施例および比較例を挙げて本発明の方
法をさらに詳しく説明するが、本発明の方法は、これら
によって何ら限定されるものではない。
【0070】以下の実施例および比較例では、塗膜付樹
脂処理工程での原料として塗膜を含まない材料(塗装前
のバンパー成形品粉砕物)を使用した場合(比較例1)
に得られるペレットの表面平滑性および機械的物性の測
定結果をブランクとし、各実施例および比較例(比較例
1を除く)において得られるペレットの表面平滑性およ
び機械的物性の測定結果を、前記ブランクに対する相対
比較として表わした。すなわち、ブランクの値を良好と
した場合における各実施例および比較例の測定結果をブ
ランクの値と比較して、『良好・やや悪い・悪い』の3
段階で評価した。なお、機械的物性としては、引張り降
伏点強さ、引張り破断点伸び、曲げ強さ、曲げ弾性率、
アイゾット衝撃強さ(−30℃)および脆化温度を表1
に示す試験法によって測定した。
【0071】実施例1 (塗膜付樹脂の処理)図1に示すシリンダー構成および
スクリュー構成を持つシリンダー内径(D)が55mm
φ、軸間距離が46.0mm、かつ、スクリュー長さが
44Dの同方向回転2軸スクリュー型押出機4を用い、
該押出機4の塗膜付樹脂供給口43より原料(エチレン
−プロピレンラバーを含むプロピレン製バンパー廃材の
破砕品、アルキッド−メラミン塗膜付、平均粒径8m
m)を25kg/Hの割合で供給した。そして、タンク
1および定量ポンプ2を経由して高圧の処理液(または
処理液蒸気)注入口45からは、下記の処理液の回収に
よって得られた精製処理水を含む水を8.4kg/Hの
割合で供給し、シリンダー設定温度を、シリンダー41
内の溶融ゾーン422、接触ゾーン424、脱揮ゾーン
425および昇圧ゾーン426の各ゾーンとも220℃
とするとともに、圧力調整弁3を調整して、内部気相圧
力を10〜12kg/cm2 Gに保った。スクリュー4
2の回転数を300rpmとして押出機4を運転した
時、前記原料のシリンダー41内平均滞留時間は、約2
20秒であり、先端の再生樹脂吐出口44のノズル部か
らストランドが得られた。このストランドを水冷水槽で
冷却し、ペレタイザーで切断して得られたペレットを乾
燥し、表面平滑性および機械的物性を測定した。測定結
果の評価は、表面平滑性および機械的物性とも良好であ
った。なお、機械的物性の測定結果については、表1に
示す如くであった。
【0072】(処理液の回収)上記押出機4の運転中、
押出機4から、圧力調整弁3を通して排ガスが8.4k
g/Hの割合で排気された。この排ガスを凝縮して得ら
れる凝縮水は、ホルムアルデヒドを1200ppm、そ
の他の低沸点化合物を550ppm、そして高沸点化合
物を2000ppm含み、2680ppmのBOD値お
よび1040ppmのCOD値を有するものであった。
そこで、概略、図2に示すようなシステムで構成される
処理液回収設備を用いて、上記の排ガスの処理を行っ
た。この際、第1蒸留塔21および第2蒸留塔22とし
ては、両者とも、直径が80mmφおよび高さが3mの
充填塔を用い、充填物として、5/8″SUS304製
のポールリングを2mの高さに充填した。まず、第1蒸
留塔21の底部に水を張り込み、配管212、第1蒸留
塔缶液ポンプ26の吐出配管213および配管214を
通して、第1蒸留塔缶液ポンプ26によって水を循環さ
せた。次に、第2蒸留塔22の底部に水を張り込み、配
管221、第2蒸留塔缶液ポンプ27の吐出配管22
2、リボイラー25および配管224を通して、第2蒸
留塔缶液ポンプ27によって水を循環させるとともに、
配管251および配管252を通してリボイラー25の
加熱側にスチームを流して水を加熱沸騰させ、第2蒸留
塔22の頂部より配管225を通して水蒸気を留出させ
た。この状態で、第2蒸留塔缶液ポンプ27の吐出配管
222および配管223を通して第1蒸留塔21の上部
より、洗浄水として、水を200ml/Hの割合で流下
させるとともに、配管211を通して、上記の排ガスを
第1蒸留塔の下部に導入した。
【0073】定常状態に達した後、第1蒸留塔21およ
び第2蒸留塔22廻りの条件は、以下の様であった。す
なわち、第1蒸留塔21の下部からは、温度150℃の
排ガスを約8400ml/H(約8.4kg/H)の割
合で導入する一方、第1蒸留塔21の上部からは、洗浄
水を約200ml/H(約0.2kg/H)の割合で流
下させ、塔頂温度100℃および塔底温度105℃で排
ガスと洗浄水とを向流接触させた。塔底からは、液面を
一定に保てるように液面調節弁29にてコントロールし
ながら、高沸点化合物が7.7重量%含まれる高沸点化
合物含有廃水を、約200ml/H(約0.2kg/
H)の割合で、配管212および第1蒸留塔缶液ポンプ
26の吐出配管213を通して第1蒸留塔缶液ポンプ2
6によってドラム缶に抜き出した。この高沸点化合物含
有廃水は、37520ppmのBOD値および1456
0ppmのCOD値を有するものであり、後述する低沸
点化合物含有廃水と一緒に、廃棄物処理業者に引き渡
し、処理してもらった。一方、塔頂から低沸点化合物を
含む排ガスを、配管215を通して約8400ml/H
(約8.4kg/H)の割合で留出させるとともに、こ
れを第2蒸留塔22の下部へ導入した。第2蒸留塔22
は、塔頂温度98℃、塔底温度101℃および還流比1
で運転されており、塔頂から蒸気として留出し、配管2
25を通して凝縮器23に導かれ、ここで凝縮した後、
配管226、気液分離器24、配管227、ポンプ28
および配管228を通して系外へ抜き出される低沸点化
合物含有廃水の量は、約400ml/H(約0.4kg
/H)であった。この低沸点化合物含有廃水は、低沸点
化合物を3.28重量%(ホルムアルデヒド:2.25
重量%、その他の低沸点化合物:1.03重量%)含
み、かつ、37520ppmのBOD値と14560p
pmのCOD値を有しており、ドラム缶に集められた
後、前述したように、廃棄物処理業者に引き渡され、処
理された。そして、塔底からは、液面を一定に保てるよ
う液面調節弁30にてコントロールしながら、低沸点化
合物含有量が200ppmまで低下した精製処理水を、
約7800ml/H(約7.8kg/H)の割合で、配
管221および第2蒸留塔缶液ポンプ27の吐出配管2
22を通して第2蒸留塔缶液ポンプ27によって抜き出
し、前記塗膜付樹脂処理用の水として循環再使用するた
め、タンク1(図1に示されている)にフィードした。
なお、前述したように、この精製処理水の一部を洗浄水
として、流量調節弁31にて約200ml/H(約0.
2kg/H)の供給割合にコントロールしながら、第2
蒸留塔缶液ポンプ27の吐出配管222および配管22
3を通して、第1蒸留塔21の上部へ供給した。
【0074】実施例2 タンク1内において、処理液の回収によって得られた精
製処理水と純水と市販水酸化ナトリウム(試薬1級)と
を用いて0.1重量%水酸化ナトリウム水溶液を調整し
たこと、および、高圧の処理液(または処理液蒸気)注
入口45から処理液の回収によって得られた精製処理水
を含む水8.4kg/Hに変えて前記0.1重量%水酸
化ナトリウム水溶液を8.4kg/Hの割合で供給した
こと(水酸化ナトリウムは塗膜付樹脂に対して336p
pm)以外は、実施例1と同様の方法で乾燥ペレットを
製造し、表面平滑性および機械的物性を測定する一方、
押出機4の圧力調整弁3を通して排出される排ガスの処
理を行い、精製処理水を回収し、原料中のアルキッド−
メラミン塗膜の分解処理水として循環使用した。前記乾
燥ペレットの表面平滑性および機械的物性の測定結果の
評価は、両者とも良好であった。なお、機械的物性の測
定結果は表1に示す如くであり、特に、引張り破断点伸
びが、高圧の処理液(または処理液蒸気)注入口45か
ら処理液の回収によって得られた精製処理水を含む水の
みを供給した場合(実施例1)に比べて著しく優れてい
た。また、処理液の回収に際して得られた高沸点化合物
含有廃水や低沸点化合物含有廃水の量および品質、なら
びに、精製処理水の量および品質は、実施例1と同じで
あり、そして前記廃水は実施例1と同様、廃棄物処理業
者に引き渡し処理してもらった。
【0075】比較例1および2 比較例1においては、ブランク試験として、実施例1に
おける原料のエチレン−プロピレンラバーを含むポリプ
ロピレン製バンパー廃材の破砕品(アルキッド−メラミ
ン塗膜付、平均粒径8mm)を、塗膜を含まない材料
(塗装前バンパー成形品を破砕したもの、平均粒径8m
m)に変えたこと、および、押出機4の圧力調整弁3を
通して排出される排ガスの処理を行わなかったこと、そ
して、比較例2においては、高圧の処理液(または処理
液蒸気)注入口45から処理液または処理液蒸気のいず
れも供給しなかったこと、および、押出機4の圧力調整
弁3からの排気の処理を行わなかったこと以外は、実施
例1と同様の方法で乾燥ペレットを製造し、表面平滑性
および機械的物性を測定した。機械的物性の測定結果を
表1に、そして、表面平滑性および機械的物性の測定結
果の評価を表2に示す。
【0076】
【表1】
【0077】
【表2】
【0078】比較例3 図1に示す同方向回転2軸スクリュー型押出機4におい
て、圧力調整弁3を取り付けずに大気開放とした以外
は、実施例1と同様の方法で乾燥ペレットを製造した。
押出機4内の樹脂温度や内部気相圧力を一定の条件に維
持することが困難であり、押出機4の安定した連続運転
ができなかった。また、前記押出機4の圧力調整弁3か
ら排気される排ガスの量も一定せず、従って、排ガスの
処理設備の安定した運転ができなかった。そして、得ら
れた乾燥ペレットの機械的物性にかなりのバラツキが見
られ、表面平滑性および機械的物性の測定結果の評価な
らびに機械的物性の内、脆化温度の測定結果は、平均値
として表3に示す如くであった。
【0079】
【表3】
【発明の効果】
【0080】以上詳述したように、本発明の塗膜付樹脂
再生方法においては、圧力調整機構を備えてなる押出
機、特に2軸スクリュー型押出機中で、溶融した塗膜付
樹脂と高温・高圧の処理液または処理液蒸気とを、一定
の温度・圧力条件下に接触させ、塗膜を分解・微細化し
て樹脂中に均一微細分散させて押出機から押出している
ので、従来公知のオートクレーブで塗膜を加水分解やア
ルコーリシスして微細化することによる塗膜付樹脂の再
生方法におけるバッチ処理による再生材の生産効率の低
下や塗膜の静的加水分解(またはアルコーリシス)に基
づく塗膜の樹脂中への微細分散能の不十分さ、また、従
来公知の押出機での塗膜加水分解(またはアルコーリシ
ス)による塗膜付樹脂の再生法における運転の不安定さ
に起因する再生樹脂の物性のバラツキなどの問題点を解
決するとともに、処理条件や処理工程が簡単な方法で連
続的、かつ、安定的に塗膜付樹脂を再生することができ
る。そして、このようにして得られた再生品を用いてバ
ンパーを製造した場合、バージン材に対して外観(表面
平滑性)や物性などの低下が極めて少ない。一方、押出
機の圧力調整機構を通して排出される塗膜分解生成物お
よび処理液の蒸気を含んでなる排ガスから処理液の回収
を行い、循環再使用するとともに、その際生成する塗膜
分解生成物含有廃液に対し適切な無公害化処理を行うの
で、経済的、かつ、公害問題を発生することもなく塗膜
付樹脂の再生を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る塗膜付樹脂の連続再生方法の好適
な実施例を示す概略フロー図である。
【図2】本発明に係る塗膜付樹脂の連続再生に用いられ
る処理液の回収の好適な実施例を示す概略フロー図であ
る。
【符号の説明】
1 タンク 2 定量ポンプ 3 圧力調整弁 4 2軸スクリュー型押出機 21 第1蒸留塔 22 第2蒸留塔 23 凝縮器 24 気液分離器 25 リボイラー 26 第1蒸留塔缶液ポンプ 27 第2蒸留塔缶液ポンプ 28 ポンプ 29,30 液面調節弁 31 流量調節弁 41 シリンダー 42 スクリュー 43 塗膜付樹脂供給口 44 再生樹脂吐出口 45 高圧の処理液(または処理液蒸気)注入口 46 処理液蒸気排出孔 47 排気口 48 伝熱装置 211,212 配管 213 第1蒸留塔缶液ポンプの吐出配管 214,215 配管 221 配管 222 第2蒸留塔缶液ポンプの吐出配管 223〜229 配管 231,232 配管 241 配管 251,252 配管 420 空間部 421 固体輸送ゾーン 422 溶融ゾーン 423 溶融体輸送ゾーン 424 接触ゾーン 425 脱揮ゾーン 426 昇圧ゾーン 427 表面更新部 428,429 溶融樹脂の充満域 430 蒸気圧保持領域

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 押出機中で、溶融した塗膜付樹脂と、高
    温・高圧の処理液および/またはその蒸気とを接触さ
    せ、塗膜を溶融樹脂中に微細分散させて、前記塗膜付樹
    脂を再生するに際し、(1)前記塗膜付樹脂と、前記高
    温・高圧の処理液および/またはその蒸気との接触ゾー
    ンに、圧力調整機構を設け、前記塗膜を一定の温度・圧
    力条件で分解し、溶融樹脂中に微細分散させる一方、
    (2)該圧力調整機構を通して押出機系外へ排出され
    る、前記塗膜の分解生成物と前記処理液の蒸気とを含ん
    でなる排ガスを蒸留塔に連続的に導入して前記塗膜分解
    生成物と前記処理液とを分離し、(3)前記処理液を前
    記塗膜付樹脂の分解処理液として循環再使用することを
    特徴とする塗膜付樹脂の連続再生処理方法。
  2. 【請求項2】 押出機が、(a)塗膜付樹脂供給口
    (b)固体輸送ゾーン(c)溶融ゾーン(d)溶融体輸
    送ゾーン(e)再生樹脂吐出口(ダイ)からなり、 シリンダーの(c)溶融ゾーンおよび/または(d)溶
    融体輸送ゾーンとなる個所に少なくとも1つの高圧の処
    理液および/またはその蒸気の注入口および少なくとも
    1つの排気口(ベント)を設けるとともに、シリンダー
    の前記注入口と前記排気口との中間部には、処理液蒸気
    の排出孔とそれに接続された配管と該配管内に設けられ
    た圧力調整弁とを備えてなる圧力調整機構を設け、か
    つ、シリンダーの前記注入口の上流側(塗膜付樹脂供給
    口側)となる個所およびシリンダーの前記処理液蒸気の
    排出孔と前記排気口との間となる個所に、注入して高温
    ・高圧状態となった処理液および/またはその蒸気を封
    入するための溶融樹脂によるシール部を形成し、また、
    該シール部間には、混練を主体とした働きをする形状の
    スクリューを設けた2軸押出機である請求項1記載の塗
    膜付樹脂の連続再生処理方法。
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