JPH07203470A - 偏向ヨークのミスコンバーゼンス補正コイル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 取付場所の選択が容易で、使用部材が少な
く、性能・感度が良好で且つコストが低廉な偏向ヨーク
用ミスコンバーゼンス補正コイルを提供すること。 【構成】 ラッパ状ボビンに水平偏向コイルと垂直偏向
コイル６を巻回した偏向ヨークに使用するミスコンバー
ゼンス補正コイルにおいて、垂直偏向コイルに直列に接
続されたＰＱＨ・ＰＱＶ補正コイル１、２、３、４なら
びにＦＣコイル８、８を有し、ＰＱＨ・ＰＱＶ補正コイ
ルはそれぞれダイオード９を直列に接続した上部と下部
のＰＱＨ・ＰＱＶ補正コイルを並列に接続して構成さ
れ、ＦＣコイルが円筒状ボビン２０の中央巻線部に巻回
され且つＰＱＨ・ＰＱＶ補正コイルが円筒状ボビンの中
央巻線部の両側の端部巻線部にＦＣコイルと逆方向に巻
回され、円筒状ボビンを貫通し且つ円筒状ボビンの両端
および端部巻線部と中央巻線部の境界部から脚部１８を
突出させたコアー部１７を有し、コアー部をラッパ状ボ
ビンのネック部１１に取り付けた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は３本の電子銃がインライ
ン状に配列されたカラーテレビジョン受像機やカラー陰
極線管ディスプレイ装置等に使用する偏向ヨークのミス
コンバーゼンス補正コイルに関する。

【０００２】

【従来の技術】ブルー、グリーン、レッドの３本の電子
銃が水平方向に一列に配置され、内部にフィールドコン
トローラを備えていないテレビジョン受像機やＣＲＴデ
ィスプレイ装置等の陰極線管すなわちブラウン管には、
その電子銃から出る電子ビームを垂直方向および水平方
向に偏向させて画面の隅々まで正しく画像を送るための
偏向ヨークがブラウン管外面のネックとファンネルとの
境界部に取り付けられている。

【０００３】この偏向ヨークは偏向コアとラッパ状ボビ
ンに巻回された水平偏向コイルと垂直偏向コイルとから
構成されている。偏向コイルには偏向電力を小さくする
ためサドル型が多く用いられている。サドル型偏向コイ
ルは一対の並行な長手方向部とブラウン管の映像面側と
電子銃側の後端部とにより中央に窓部を形成している。
また、サドル型偏向コイルをブラウン管の管軸方向に区
分すると、電子ビームの進入側における進入側領域と主
偏向領域と映像面側における出口側領域となり、管軸方
向の各横断面の磁束分布は不均一性をもった曲線にな
る。

【０００４】サドル型偏向コイルの出口側領域における
偏向磁界は映像面のコーナー部におけるコンバーゼンス
に強く作用するので前端の窓幅が規制される。また、主
偏向領域は強いピン型の磁束分布となり、この偏向磁界
は特に映像面上における中央部とコーナー部との中間に
最も強く作用し、エスイングと称する波形ミスコンバー
ゼンスを発生する。この磁気歪の８０％はピン歪、２０
％はバレル歪である。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】このような欠点を除去
するため、従来次のような方法がとられてきた。 （１）偏向ヨークのコイルボビンの大径部に取り付けた
磁性片を変えることによりミスコンバーゼンス補正をし
ている。しかし、磁性片による補正では磁気歪にうねり
を発生する欠点がある。 （２）また、ミスコンバーゼンス調整のため、例えば特
公昭５８ー２２８５２号に開示するような偏向ヨークが
開発されている。この偏向ヨークはサドル型偏向コイル
を主偏向コイル部と補助偏向コイル部で構成し、主偏向
コイル部を並行状の一対の長手方向部と、この長手方向
部の前端および後端を連接する前端部と後端部とによっ
て中央に窓部を有するサドル型に形成し、一方、補助偏
向コイル部は並行状の一対の長手方向部と、この長手方
向部の前端および後端を連接する前端部と後端部とによ
って中央に窓部が形成されるが、補助偏向コイル部は主
偏向コイル部より管軸方向に短く、主偏向コイル部の偏
向磁界における電子ビームの進入領域および主偏向領域
内に位置するよう主偏向コイル部の窓部内に設けられて
いる。このような構成を有する結果、主偏向コイル部に
対し、主として主偏向領域における磁束分布をバレル傾
向に補助してピン傾向を弱めるよう作用する補助偏向コ
イル部を付与することになる。

【０００６】しかしながら、このような補助偏向コイル
部を設けた偏向ヨークによる補正では、磁気歪の補正量
に限界がある。 （３）ＰＱＨ・ＰＱＶ補正コイルによりミスコンバーゼ
ンスを調整する方法がある。ここでＰＨＱとはブラウン
管の画面の４隅におけるＢ（ブルー）とＲ（レッド）の
水平方向のずれ、ＰＱＶとは同じく画面の４隅における
Ｂ（ブルー）とＲ（レッド）の垂直方向のずれである。

【０００７】図３はＰＱＨ・ＰＱＶ補正コイルを備えた
従来の偏向ヨークの概略構成を示す図である。図２はＦ
ＣコイルとＰＱＨ・ＰＱＶ補正コイルを接続した垂直偏
向コイルの回路図である。

【０００８】４個のＰＱＨ・ＰＱＶ補正コイル１、２、
３、４が偏向ヨークのボビンの頭部５に取り付けられて
いる。補正コイル１、２が上部、補正コイル３、４が下
部である。図中の矢印Ａは上部方向を示す。ＰＱＨ・Ｐ
ＱＶ補正コイルは偏向ヨークの４対角上に局所的な磁界
を発生させ、ミスコンバーゼンスを、画面中間部はその
ままで、画面の周辺コーナー部のみをＰＱＶを正クロス
方向、ＰＱＨをアンダー方向に補正する作用がある。上
下２個のＦＣコイル８、８が同ボビンのネック部に取付
けられている。このＦＣコイル８、８はフィールドコン
トローラーコイルと称し、センターガンの垂直方向の感
度を調整することでコマ収差を打ち消す作用がある。こ
の４個のＰＱＨ・ＰＱＶ補正コイル１、２、３、４と２
個のＦＣコイル８、８が偏向ヨーク特性補正コイルを構
成する。

【０００９】図２において、偏向ヨークの垂直偏向コイ
ル６に直列にＰＱＨ・ＰＱＶ補正コイル１、２、３、４
ならびにＦＣコイル８、８が接続されている。ＰＱＨ・
ＰＱＶ補正コイルはダイオード９を直列に接続した上部
のＰＱＨ・ＰＱＶ補正コイル１、２と、同じようにダイ
オード９を直列に接続した下部のＰＱＨ・ＰＱＶ補正コ
イル３、４を並列に接続して構成されている。感度調整
用抵抗７がＰＱＨ・ＰＱＶ補正コイル１、２、３、４に
並列に接続されている。

【００１０】しかしながら、このようなＦＣコイル８、
８とＰＱＨ・ＰＱＶ補正コイル１、２、３、４からなる
ミスコンバーゼンス補正コイルを備えた従来の偏向ヨー
クでは、ＦＣコイルとＰＱＨ・ＰＱＶ補正コイルはそれ
ぞれ独立して離れた場所、すなわち一方はボビンの頭
部、他方はボビンのネック部に配置されているので、部
品代や加工費が嵩む欠点がある。また、ＰＱＨ・ＰＱＶ
補正コイル１、２、３、４を接続する偏向ヨークの垂直
コイル６、６の感度が低下する欠点がある。更に、偏向
ヨークのボビン頭部５にＰＱＨ・ＰＱＶ補正コイルを取
り付けるスペースの無い機種ではこの方法を採用できな
い欠点がある。

【００１１】本発明は上述の点にかんがみてなされたも
ので、取付場所の選択が容易で、使用部材が少なく、性
能・感度が良好で且つコストが低廉な偏向ヨーク用ミス
コンバーゼンス補正コイルを提供することを目的とす
る。

【００１２】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明はラッパ状ボビンに水平偏向コイルと垂直偏
向コイルを巻回した偏向ヨークに使用するミスコンバー
ゼンス補正コイルにおいて、前記垂直偏向コイルに直列
に接続されたＰＱＨ・ＰＱＶ補正コイルならびにＦＣコ
イルを有し、該ＰＱＨ・ＰＱＶ補正コイルはそれぞれダ
イオードを直列に接続した上部と下部のＰＱＨ・ＰＱＶ
補正コイルを並列に接続して構成され、前記ＦＣコイル
が円筒状ボビンの中央巻線部に巻回され且つ前記ＰＱＨ
・ＰＱＶ補正コイルが前記円筒状ボビンの中央巻線部の
両側の端部巻線部に前記ＦＣコイルと逆方向に巻回さ
れ、前記円筒状ボビンを貫通し且つ該円筒状ボビンの両
端および端部巻線部と中央巻線部の境界部から脚部を突
出させたコアー部を有し、該コアー部を前記ラッパ状ボ
ビンのネック部に取り付けたことを特徴とする。

【００１３】

【作用】ＰＱＨ・ＰＱＶ補正コイルは、偏向ヨークの４
対角上に局所的な磁界を発生させることで、ミスコンバ
ーゼンスを中間点はほぼそのままで、周辺コーナー部の
みＰＱＶ正クロス方向、ＰＱＨアンダー方向に補正する
作用がある。

【００１４】ＦＣコイルは、３本の電子銃がインライン
状に配列された陰極線管ディスプレイ装置等において、
３本のビームの中央に作用する磁界と両端に作用する磁
界は同一でないために、画面上でレッド、ブルーに対し
てグリーンのみが色ズレを起こすことがあり、これをコ
マ収差と呼び、この各偏向磁界間の差を調整する作用が
ある。本発明のＦＣコイルではこのコマ収差の内センタ
ーガンの垂直方向の感度のみを調整する働きがある。

【００１５】

【実施例】以下、本発明の偏向ヨークのミスコンバーゼ
ンス補正コイルを図面に基づいて説明する。

【００１６】図１は本発明の偏向ヨークのミスコンバー
ゼンス補正コイルの正面図である。

【００１７】図１において、補正コイルボビン２０にミ
スコンバーゼンス補正コイルが巻回されている。補正コ
イルボビン２０は中空円筒体で、中央巻線部とその両側
に接続した端部巻線部の三つの巻線部からできている。
中央巻線部に上下のＦＣコイル８、８が巻回され、端部
巻線部にＰＱＨ・ＰＱＶ補正コイル１、２、３、４が巻
回されている。ただし、ＰＱＨ・ＰＱＶ補正コイルはＦ
Ｃコイルと逆方向に巻回されている。円筒状の補正コイ
ルボビン２０の中空部をコアー部１７が貫通し、該ボビ
ン２０の両端および端部巻線部と中央巻線部の境界部の
４個所において、このコアー部１７から４本のコアー脚
部１８を分岐突出させ、コアー脚部１８の先端を拡大し
てボビンネック部１１に密着させ、磁界の分布を良くし
ている。本発明のミスコンバーゼンス補正コイルのＰＱ
Ｈ・ＰＱＶ補正コイル１、２、３、４とＦＣコイル８、
８の回路は図２と同一である。

【００１８】上記構成になるミスコンバーゼンス補正コ
イルにより図１に示すような磁界を発生する。すなわ
ち、中央部のＦＣコイル８、８は通常のＦＣコイルの場
合と同様に磁界を上下に引っ張り上げる方向に働き、左
右の端部巻線部のＰＱＨ・ＰＱＶ補正コイル１、２、
３、４は磁界を押し戻す方向に働く。したがって、上下
のＦＣコイル８、８と左右のＰＱＨ・ＰＱＶ補正コイル
１、２、３、４からなる一組のミスコンバーゼンス補正
コイルはＦＣコイルとＰＱＨ・ＰＱＶ補正コイルの両者
の機能を合わせ持つことになる。

【００１９】なお、図２に示すようにＰＱＨ・ＰＱＶ補
正コイルはダイオード９を直列に接続した上部のＰＱＨ
・ＰＱＶ補正コイル１、２（この回路を上部回路と称す
る）と、同じようにダイオード９を直列に接続した下部
のＰＱＨ・ＰＱＶ補正コイル３、４（この回路を下部回
路と称する）を並列に接続して構成されている。この回
路では次の二つの効果を得ることができる。 （１）例えばショットキーバーダイオードの立上り特性
は０．２Ｖ〜０．３Ｖで効き出すので、０．２Ｖ〜０．
３Ｖ以下のとき中間部を変化させず、０．２Ｖ〜０．３
Ｖ以上のとき画面周辺部のみに効果を与えるこができ
る。 （２）ビームを上に振っている時に下側の補正コイル
に、下に振っている時に上側の補正コイルに流れる補正
に無効な電流をカットすることで、補正効率をアップさ
せることができる。

【００２０】

【発明の効果】以上説明したように、ＦＣコイルを円筒
状ボビンの中央巻線部に巻回し且つＰＱＨ・ＰＱＶ補正
コイルを円筒状ボビンの中央巻線部の両側の端部巻線部
にＦＣコイルと逆方向に巻回し、コアー部を円筒状ボビ
ンに貫通し且つ円筒状ボビンの両端および端部巻線部と
中央巻線部の境界部の４個所でコアー部からコアー脚部
を突出させ、このコアー脚部を偏向ヨークボビンのネッ
ク部に取り付けたので、次のような優れた効果が得られ
る。 （１）本発明のミスコンバーゼンス補正コイルの１個が
ＦＣコイルとＰＱＨ・ＰＱＶ補正コイルという二種の補
正コイルの機能を合わせ持つので、部品点数を減少する
ことができる。 （２）従来のＦＣコイルの機能を損なうことなく、ＰＱ
Ｈ・ＰＱＶ補正が可能なため、上下ＦＣコイルの代替品
として使用できる。 （３）従来のＰＱＨ・ＰＱＶ補正コイルと違い、取付け
場所をＦＣコイルと共用できるので、ボビン等の改造が
少なくてすむ。 （４）中央のＦＣコイルと左右のＰＱＨ・ＰＱＶ補正コ
イルが互いに磁界を共有しているため、損失が少なく、
従来のＰＱＨ・ＰＱＶ補正コイルに比べて感度が良くな
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の偏向ヨークのミスコンバーゼンス補正
コイルの正面図である。

【図２】ＦＣコイルとＰＱＨ・ＰＱＶ補正コイルを接続
した垂直偏向コイルの回路図である。

【図３】ＰＱＨ・ＰＱＶ補正コイルを備えた従来の偏向
ヨークの概略構成を示す図である。

【符号の説明】

１ ＰＱＨ・ＰＱＶ補正コイル ２ ＰＱＨ・ＰＱＶ補正コイル ３ ＰＱＨ・ＰＱＶ補正コイル ４ ＰＱＨ・ＰＱＶ補正コイル ６ 垂直偏向コイル ８ ＦＣコイル ９ ダイオード １１ ボビンネック部 １７ コアー部 １８ コアー脚部 ２０ ボビン

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ラッパ状ボビンに水平偏向コイルと垂直
   偏向コイルを巻回した偏向ヨークに使用するミスコンバ
   ーゼンス補正コイルにおいて、 前記垂直偏向コイルに直列に接続されたＰＱＨ・ＰＱＶ
   補正コイルならびにＦＣコイルを有し、 該ＰＱＨ・ＰＱＶ補正コイルはそれぞれダイオードを直
   列に接続した上部と下部のＰＱＨ・ＰＱＶ補正コイルを
   並列に接続して構成され、 前記ＦＣコイルが円筒状ボビンの中央巻線部に巻回され
   且つ前記ＰＱＨ・ＰＱＶ補正コイルが前記円筒状ボビン
   の中央巻線部の両側の端部巻線部に前記ＦＣコイルと逆
   方向に巻回され、 前記円筒状ボビンを貫通し且つ該円筒状ボビンの両端お
   よび端部巻線部と中央巻線部の境界部から脚部を突出さ
   せたコアー部を有し、該コアー部を前記ラッパ状ボビン
   のネック部に取り付けたことを特徴とする偏向ヨークの
   ミスコンバーゼンス補正コイル。