JPH07202324A - 半導体レーザ装置 - Google Patents

半導体レーザ装置

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JPH07202324A
JPH07202324A JP35421393A JP35421393A JPH07202324A JP H07202324 A JPH07202324 A JP H07202324A JP 35421393 A JP35421393 A JP 35421393A JP 35421393 A JP35421393 A JP 35421393A JP H07202324 A JPH07202324 A JP H07202324A
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JP
Japan
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semiconductor laser
wavelength
active
laser device
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JP35421393A
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English (en)
Inventor
Chie Takakuwa
智恵 高桑
Nobuo Suzuki
信夫 鈴木
Masaki Toyama
政樹 遠山
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】発振スペクトル線幅を細く保ったまま、発振波
長を高速、且つ大きく変化させることができる半導体レ
ーザ装置を提供する。 【構成】光を導波する光導波領域が第1および第2の光
導波領域からなる半導体レーザ装置であって、第1の光
導波領域が、活性領域を形成する活性層の上部に分布帰
還共振器を有する活性・分布帰還領域21,22であ
り、第2の光導波領域24,25が、光導波領域内の光
損失を制御する領域で、そのキャリア密度が実質的にゼ
ロであることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、発振波長を可変できる
半導体レーザ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より光通信技術の研究や開発が盛ん
に行なわれている。これは光信号伝送が電気信号伝送よ
り伝送速度や信号間の干渉等の点で優れているからであ
る。このような状況の中、近年、光周波数分割多重化シ
ステム(光FDM)が注目されている。これは光FDM
が大容量光通信システム、光インターコネクション、光
交換、光演算など様々な分野に応用できるからである。
【0003】ところで、光FDM向けのコヒーレント光
源として、コンパクトで信頼性があり、波長可変可能な
半導体レーザ装置の開発が進められている。大容量の光
FDMを実現するためには、波長可変範囲の広い半導体
レーザ装置の開発が必要である。
【0004】また、所定の波長範囲の中で高密度に多数
の周波数チャンネルを多重化するためには、各チャンネ
ルの占有する周波数範囲を狭くすること、すなわち、発
振波長スペクトル幅を狭くすることが必要である。特
に、光FDMで有望なコヒーレント光伝送方式において
は、信号光と局部発振光との干渉により受信信号を得る
ために、極狭線幅の光源が必要になる。
【0005】現在研究されている波長可変半導体レーザ
は、大きく分けて、 (1)多電極分布ブラッグ反射型(DBR)半導体レー
ザ装置 (2)ツインガイド型半導体レーザ装置 (3)超周期構造型またはモード干渉型半導体レーザ装
置 (4)温度制御型半導体レーザ装置 (5)多電極分布帰還型(DFB)半導体レーザ装置 の5つに分類される。
【0006】(1)の多電極DBR半導体レーザ装置
は、ブラッグ反射領域にキャリアを注入してブラッグ波
長を大きく変えるものである。しかし、波長可変範囲は
広いが、パッシブなブラッグ導波路にキャリアを注入す
るため、内部のキャリア密度揺らぎに起因して発振スペ
クトル線幅は10MHz以上に増大してしまい、コヒー
レント光伝送への適用は困難である。また、波長も多数
のモードをジャンプしながら変化するため、連続的に可
変できる波長範囲が狭い。更にまた、複数のモードを利
用しているため、任意の波長に切り替えるには、単純な
フィードバックループの基準値制御ではなく、各電極に
流す電流をあらかじめメモリーに記憶されている設定値
に合わせる等の手法を取る必要があった。したがって、
その処理速度により波長切り替え速度が制限される。そ
の上、発振波長と記憶している設定値との関係が少しで
もずれると動作不能となるため、従来と比べて厳しい電
流対波長の安定性および信頼性が要求される。
【0007】(2)のツインガイド型半導体レーザ装置
は、近接して積層されている活性層と光導波層とに流す
電流を独立に制御するものである。多電極DBR半導体
レーザ装置で領域を軸方向に分割する代わりに層方向に
分割したものと考えることができ、多電極DBR半導体
レーザ装置と類似の動作モードとなる。しかし、この場
合も、発振スペクトル線幅の制限からツインガイド型レ
ーザ装置をコヒーレント光伝送に適用するのは困難であ
る。
【0008】(3)の超周期構造型またはモード干渉型
半導体レーザ装置としては、例えば、SG(sampled gr
ating )型、SSG(super structure grating )型、
VCF(vertical coupled grating)型などがあるが、
この種の半導体レーザ装置も波長同調動作時の発振スペ
クトル線幅の制限からコヒーレント光伝送に適用するの
は困難である。
【0009】(4)の温度制御型半導体レーザ装置は、
活性領域近傍に加熱手段を設けて活性層の温度を上げら
れるようにしたものである。一般に、活性層の温度を上
昇させることにより、発振波長を長い方にシフト(レッ
ドシフト)させ、発振スペクトル線幅を狭く保ったまま
発振波長を大きく変化させることができる。しかし、発
振波長を大きく変化させると、発振波長が安定するまで
の時間が数ミリ秒と長くなるため、光LANなど光FD
Mのチャンネルを高速で切り替える用途に使用するのは
困難である。
【0010】(5)の多電極DFB半導体レーザ装置
は、DFB半導体レーザ装置を共振器方向に複数の領域
に分割して、キャリア密度分布と温度分布とを変え、発
振波長を変化させるものである。
【0011】多電極DFB半導体レーザ装置を用いれ
ば、電流注入時のキャリア密度の揺らぎが小さく、スペ
クトル線幅を狭く保ちながら発振波長を変えることがで
きる。
【0012】しかしながら、熱効果の応答速度が遅いた
め、多数の波長チャンネルを高速に切り替えて使う光F
DMシステムにこの半導体レーザ装置を使うと、波長切
り替えに伴う時間が長いため、非常に効率の悪いシステ
ムになってしまうという問題がある。
【0013】このほか、電界吸収型のツインガイド半導
体レーザも提案されている(山田ほか、信学技報O9E
91−41,1991年6月17日)。この半導体レー
ザはツインガイド半導体レーザの光吸収層に逆バイアス
を印加し、電界吸収による導波損失増加で発振しきいキ
ャリア密度を上昇させ、そのプラズマ効果により活性層
の屈折率を下げることで波長をブルーシフトさせようと
するものである。
【0014】受動光導波層で光吸収により発生したキャ
リアは、印加電界により効率的に引き抜かれるため、定
常的に光導波層に滞留するキャリアは少なく、その再結
合過程のゆらぎに起因する波長スペクトル広がりを抑制
できるとものと期待されている。
【0015】しかしながら、電界吸収の生じる条件で
は、光導波層の屈折率が増加してしまうため、活性層の
屈折率低下の効果が相殺されてしまう。このため、この
レーザでは波長を大きく変化させることができなかっ
た。上記文献における波長シフト量は、約0.4nmに
とどまっている。また、ツインガイド構造では共通電極
が基板とならないため、共振器方向の電極分割が困難、
電流狭窄構造や低容量化が困難という問題もあった。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】上述の如く、従来より
種々の波長可変可能な半導体レーザ装置が考えられ、そ
れなりの性能も認められているが、その欠点も顕著にな
り、光FDM向けのコヒーレント光源として本命視され
るものはまだ無い。
【0017】本発明は、上記事情を考慮してなされたも
ので、その目的とするところは、発振スペクトル線幅を
細く保ったまま、発振波長を高速、且つ大きく変化させ
ることができ、光FDM向けのコヒーレント光源として
使用可能な半導体レーザ装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の半導体レーザ装置は、光を導波する光導
波領域が共振器方向に直列して接続された第1および第
2の光導波領域からなり、前記第1の光導波領域が、活
性領域内に分布帰還共振器を有する活性・分布帰還領域
であり、前記第2の光導波領域が、前記光導波路領域内
の光損失を制御する領域で、そのキャリア密度が実質的
にゼロであることを特徴とする。
【0019】
【作用】本発明の半導体レーザ装置は、活性領域が分布
帰還共振器(第1の領域)として機能するいわゆるDF
Bレーザにおいて、その一部を光損失を制御する領域で
ある第2の領域に置き換えた構成になっている。
【0020】第2の領域で光損失を大きく変化させれ
ば、発振に必要な誘導放出利得が増加する結果、活性領
域における発振しきいキャリア密度が大きく増加し、発
振波長も大きく変化する。
【0021】ここで、光損失を制御する手段として、例
えば、電界吸収効果を利用した光の導波損失や、電気光
学効果を利用した光の分岐あるいは散逸を用いれば、数
nsで発振波長を制御できるようになる。
【0022】また、本発明では、上記第2の領域のキャ
リア密度が実質的にゼロである。ここで、キャリア密度
が実質的にゼロとは、キャリア密度のゆらぎがあって
も、発振スペクトル線幅が影響を受けない程度にキャリ
ア密度が低いことをいう。
【0023】実際には、1016cm-3程度のキャリアが
存在しても、この条件は十分に満たされる。このような
状態は上述した電界吸収効果や、電気光学効果を利用し
た光損失制御の場合には自動的に満足される。
【0024】この原理は従来技術の電界吸収型ツインガ
イド半導体レーザと類似であるが、以下の点で大きく異
なる。
【0025】すなわち、従来技術の半導体レーザでは、
活性層と電界吸収光導波層が一体となって一つの導波路
を形成していたのに対して、本発明においては、これら
が一つの共振器内に別の領域として配列されている。
【0026】電界吸収によるしきい値の上昇は、活性・
分布帰還領域の屈折率を低下させ、ブラッグ波長をブル
ーシフトさせる。このため、電界吸収に伴う電界吸収領
域の屈折率増加があっても、この領域のブラッグ波長へ
の寄与は小さく、ブラッグ波長付近のストップバンド中
における発振モードの位置(位相)を変化させるだけで
ある。この位相は共振器内に位相調整領域(第3の領
域)を設けるなど、別の手段により補償可能である。
【0027】更に、電気光学効果を利用した共振器内の
光損失制御においては、バイアスのかけ方等によりブラ
ッグ波長に対する位相シフトの量や向きを制御すること
も可能である。その上、第2の領域と第1の領域とが離
れているため、第2の領域は第1の領域の発熱変化の影
響を受けにくい。
【0028】したがって、本発明によれば、発振スペク
トル線幅を狭く保ったまま、短い時間で発振波長を大き
く変化できるようになる。
【0029】
【実施例】以下、図面を参照しながら実施例を説明す
る。
【0030】図1は、第1の実施例に係る半導体レーザ
装置の光導波層に沿った断面図、図2は、この半導体レ
ーザ装置を上から見た平面図である。本実施例の半導体
レーザ装置は、大きく分けて、活性・分布帰還領域21
(第1の光導波領域)、電界吸収領域24(第2の光導
波領域)、位相調整・活性・分布帰還領域23(第1の
光導波領域)、電界吸収領域25(第2の光導波領
域)、活性・分布帰還領域22(第1の光導波領域)の
5領域からなる。これらの5領域は共振器方向に直列し
て接続された形になっている。
【0031】各領域の間には半絶縁性InPからなる分
離領域8が形成され、各領域は電気的に分離されてい
る。上記5つの領域21,24,23,25,22はこ
の順で共振方向に沿って形成されている。
【0032】ここで、活性(利得)領域である活性・分
布帰還領域21,22および位相調整・活性・分布帰還
領域23の長さは220μm、光損失を制御する領域で
ある電界吸収領域24,25の長さは110μm、分離
領域8の長さは35μmである。
【0033】活性・分布帰還領域21,22および位相
調整・活性・分布帰還領域23は、波長1.55μm付
近に利得ピークを持つ活性層3と、上部にブラッグ波長
約1.55μmの回折格子11が形成され、波長1.3
μm組成のInGaAsPからなる光導波層4とが、n
型InPクラッド層2とp型InPクラッド層6とで挟
まれた構造になっている。ここで、活性層3は量子井戸
構造のものであっても良い。
【0034】電界吸収領域24,25は、波長1.47
μm組成のアンドープInGaAsPからなる光導波層
5がn型InPクラッド層2とp型InPクラッド層6
とで挟まれた構造になっている。ここで、光導波層5と
p型InPクラッド層6との間に、キャリアのパイルア
ップを防止するための中間バンドギャップ層を設けてあ
っても良い。
【0035】活性領域の活性層3、光導波層4、並びに
電界吸収領域の光導波層5は波長1.55μmの光に対
して横モードが単一となるように設計されており、その
接続部は等価屈折率が急激に変化しないように作製され
ている。
【0036】p型InPクラッド層6の上部には、オー
ミックコンタクト層7を介して、オーミック電極9が形
成されている。
【0037】半導体基板1の下部には共通のn型オーミ
ック電極10が形成されている。へき開により形成され
た両端面には、反射率0.1%以下のSiNx からなる
無反射膜12がコーティングされ、これによってファブ
リ・ペロ・モードの発振が抑圧され、安定な単一モード
発振が実現されるようになっている。
【0038】このように構成された半導体レーザ・チッ
プは、AuSnはんだにより接地電極となる金属ヒート
シンク(不図示)の上に固定されており、上記金属ヒー
トシンクは温度センサとペルチェ素子とからなる温度調
整機構により一定温度になるように制御される。
【0039】各電極パッドは、セラミック基板上に形成
されたそれぞれの給電線とボンディングにより接続され
ており、活性領域の電流と制御領域の電圧を独立に制御
できるようになっている。
【0040】これらは、レンズ系、光アイソレータ、ビ
ームスプリッタ、周波数弁別用エタロン、モニタ・フォ
トダイオード、駆動制御用IC、ピグテールなどととも
にモジュール内に実装されている。
【0041】自動周波数制御(AFC)と自動パワー制
御(APC)は、後部の出口をモニタして所定の電極に
帰還をかけることで実現される。帰還をかける電極とし
て様々な組み合わせが考えられる。
【0042】電界吸収領域24,25に電界を加えない
ときの光導波損失はほとんど無視できる程度に小さく、
活性領域21,22,23にバランスよく電流を注入す
ることで、低しきい値の単一縦モード発振が実現され
る。
【0043】従来の三電極DFBレーザの場合と同様
に、発振波長は主として両端部の活性領域21,22の
ブラッグ波長で決まり、位相調整・活性・分布帰還領域
23は主としてストップバンド中での発振波長の位相に
寄与する。
【0044】活性領域の三つの電極の電流バランスを変
えると、発振波長や出力パワーが変化するが、活性領域
21,22,23の発振しきいキャリア密度はそれほど
大きく変化しない。
【0045】電界吸収領域24,25に逆バイアスを加
えると、電界吸収効果により波長約1.55μmの発振
光に対する吸収が増加し、発振に必要な利得が増大す
る。
【0046】例えば、2Vの電圧印加で、吸収は約12
0cm-1に増大する。電界吸収領域の長さ比が活性領域
長のそれの約1/3なので、活性領域の導波損失に換算
して40cm-1程度の損失増加が得られる。
【0047】この結果、活性領域21,22,23の発
振しきいキャリア密度が倍以上に増加し、発振波長は短
波長側に5nm以上シフトする。このとき、パワーの低
下や発振停止を避けるためには、活性領域21,22,
23に流す電流を増加させねばならない。これは発熱を
介して発振波長をレッドシフトさせる方向に働くが、発
振キャリア密度変化が大きいため、正味の波長変化はブ
ルーシフトとなる。
【0048】このとき、電界吸収により生じたキャリア
は、電界により効率的に光導波層5から引き抜かれる。
したがって、共振器内部の光は光導波層5におけるキャ
リア密度のゆらぎをほとんど感じることがないので、発
振スペクトル線幅は5nm波長を変化させた場合でも5
MHz前後に抑えられる。
【0049】電界吸収領域における屈折率変化は、スト
ップバンド中での発振波長の位相を変化させる。この影
響は位相調整領域23により制御することができる。電
界吸収の応答速度はCR時定数制限である。ツインガイ
ド型と異なり、狭窄化で低容量化が図れるので、10G
Hz以上の帯域は容易に実現できる。制御系の応答時間
が十分に速いと仮定すれば、内部の電界分布とキャリア
分布が平衡して波長が安定化するまでの時間は活性領域
の実効的なキャリア寿命で制限され、数nsオーダー、
大きく波長をふっても数十nsで安定化させることがで
きる。
【0050】熱効果によるレッドシフトの時定数は数m
sオーダーなので、比較的短い時間の間に必ず数回は波
長を変化させるような光FDMによる光ネットワークや
光ATM交換機等のシステムにおいては、熱効果による
遅いレッドシフトが大きな場合でも、速いキャリア密度
変化による大きなブルーシフトのみで数μs程度の時間
に渡って所定の波長に発振波長を制御しておくことがで
きる。もちろん、温度上昇の影響が小さくなるように、
電気的な抵抗や熱抵抗を小さく抑えて作製することが好
ましい。
【0051】このように、本実施例の半導体レーザ装置
によれば、発振スペクトル線幅を狭く保ったまま、高速
に大きく波長を変化させることができる。このレーザを
0.1nm間隔で光FDMされた2.5Gb/sFSK
(周波数シフトキーイング)遅延検波コヒーレント光伝
送システムの局部発振光源に用いれば、約50ある任意
のチャンネルに数十ns以内にアクセス可能である。
【0052】なお、内部の光子密度が高く、単位長さ当
たりの吸収も大きいときには、電界吸収で発生するキャ
リアが増大して、発振スペクトル線幅が増大したり、吸
収飽和で応答速度の低下や非線形性が生じたりする。
【0053】したがって、このような問題が発生しない
ように、電界吸収領域の単位長さ当たりの吸収を小さめ
に抑え、代わりに長さを長めにする必要がある。しか
し、電界吸収の応答速度はCR制限となるので、電界吸
収領域24,25を極端に長くすることは好ましくな
い。これらの問題を解決するために、利得領域と電界吸
収領域を細分して極端に光子密度の高い領域を作らない
ようにする方法も考えられる。ツインガイド型と比べて
共振器方向に構造を変える自由度は遥かに高い。また
は、十分な電界を加えてキャリアを効率的に電界吸収領
域24,25から引き出せるようにすれば、受動的な制
御領域である電界吸収領域24,25のキャリア密度を
低く保てるので、その影響を十分に低く抑えることがで
きる。
【0054】次に図3と図4を用いて本発明の第2の実
施例に係る半導体レーザ装置について説明する。
【0055】図3は、本実施例の半導体レーザ装置を上
から見た平面図、図4は、同半導体レーザ装置の光導波
層に沿った断面図である。
【0056】この半導体レーザ装置は、大きく分けて、
活性・分布帰還領域31と、電界吸収領域32と、活性
・位相調整領域33とからなる。
【0057】基本的な構造は第1の実施例のそれと同様
であるが、活性層3と光導波層5がいずれも量子井戸か
らなり、マスク選択成長により一回の成長で同時に形成
されている。
【0058】すなわち、選択成長マスクの幅を変えるこ
とで、利得領域31,33の活性層3は波長1.55μ
m付近に利得ピークを持つように、電界吸収領域32の
光導波層5は1.47μmに吸収端を持つように、それ
ぞれ量子井戸の厚さと組成が調整されている。なお、量
井戸層は基板と孔し整合していなくても良い。他の層構
造や電極は第1の実施例のそれとほぼ同じである。
【0059】各領域の間や活性層3、光導波層5の側面
は半絶縁性InP層8で分離されている。回折格子11
は活性・分布帰還領域31にのみ形成されている。出射
面には無反射コーティング12と窓領域14が形成され
ており、端面反射の影響を小さく抑えている。一方、位
相調整領域33の側のへき開面には高反射コーティング
13が形成されている。
【0060】本実施例の場合、高反射コーティング膜1
3のあるへき開面と回折格子11とにより共振器が形成
されているが、動作は第1の実施例と基本的に同じであ
る。
【0061】すなわち、電界吸収領域32に電界をかけ
て吸収を増やすと、活性領域31,33のしきいキャリ
ア密度がかなり大きくなり、等価屈折率が小さくなる。
このため、ブラッグ波長が従来の半導体レーザに比べて
大きくブールシフトする。
【0062】また、光導波層5のキャリア密度はそれほ
ど高くならないので、スペクトル線幅はそれほど劣化せ
ず、更に、キャリア密度変化による波長変化なので高速
で応答する。位相調整領域33はしきい値近傍にバイア
スされており、安定な単一モード発振を維持するように
高反射コーティング端面の位相が制御されている。
【0063】なお、電界吸収層に量子井戸を用いた場
合、バルク型の場合よりも電界印加による屈折率変化が
大きくなる傾向にあるが、この影響は活性・位相調整領
域33により補償可能である。
【0064】図5は、本発明の第3の実施例に係る半導
体レーザ装置を上から見た平面図である。
【0065】図中、51,52は分布帰還・利得領域を
示しており、これら二つの分布帰還・利得領域51,5
2の間には低損失受動導波路による方向性結合器部53
が形成されている。
【0066】端面には無反射コート膜12が形成され、
へき開面の影響は無視できる。発振波長は主として分布
帰還領域51,52のブラッグ波長で決まり、方向性結
合器53で調整される回折格子間の位相でストップバン
ド内の発振波長が決まる。
【0067】方向性結合器53により光導波領域である
共振器内の光の一部を光吸収領域54,55へ分岐され
るようになっており、その分岐比と回折格子間の位相は
二つの電極を介して制御されるようになっている。
【0068】分岐した光は吸収領域54,55で吸収さ
れ、共振器には戻ってこない。したがって、分岐比を増
やすことは共振器からみれば、光損失の増加と等価であ
り、第1および第2の実施例と同様の原理で発振波長を
大きく変化させることができる。
【0069】例えば、分岐比を0:1から10:1まで
変化させたとすると、この部分のロスが約0dBから約
10dBに増加することになる。この結果、分布帰還・
利得領域51,52で発振に必要なしきいキャリア密度
が大幅に上昇し、波長が短波長側へシフトすることにな
る。ここで、先の実施例と同様に、損失増加による出力
低下を補償するために、分布帰還・利得領域51,52
に流す電流を増やさねばならない。
【0070】方向性結合器53(光の分岐)は電気光学
効果を利用しているので、電流注入や光吸収によるキャ
リアの発生がなく、発振スペクトル線幅は狭く保たれ
る。
【0071】また、方向性結合器53の応答も先に説明
した電界吸収型の場合と同様にCR制限であり、共振器
損失の変化による分布帰還・利得領域51,52のキャ
リア密度の変化は、実効的なキャリア寿命に制限され、
約数nsのオーダである。したがって、全体としてns
オーダの速度で波長変化を実現できる。
【0072】なお、方向性結合器53で光が共振器に戻
って来ると、共振器内部の光と干渉したり、キャリア分
布や光分布を揺るがしたりして、発振スペクトル線幅が
広くなる可能性があるので、確実に発振スペクトル線幅
を狭くするには、共振器からいったん失われた光が共振
器に戻ってこないように特別な工夫を施すと良い。ま
た、リーク電流等の寄生的な影響があると発振スペクト
ル線幅に影響ができるが、その影響は十分小さいので無
視できる。
【0073】図6は、本発明の第4の実施例に係る半導
体レーザ装置の断面図であり、これは第3の実施例の変
形に相当するものである。
【0074】すなわち、共振器の一端は導波領域である
利得領域61の回折格子、他端は高反射コート膜13に
より構成されている。方向性結合器63の電極は一つで
あり、高反射コート膜13と回折格子との間の位相は、
位相調整領域62によって調整できるようになってい
る。また、光吸収領域の代わりに、モニタ用フォトダイ
オード64が集積化されている。動作原理と効果は第3
の実施例のそれと同様である。
【0075】図7、図8には、それぞれ、本発明の第
5、第6の実施例に係る半導体レーザ装置の断面図が示
されている。
【0076】図7、図8の半導体レーザ装置は、それぞ
れ、第3、第4の実施例の半導体レーザ装置と類似して
いるが、方向性結合器の代わりにマッハツェンダー干渉
計73、モード干渉型の導波路83を使用している点で
異なっている。
【0077】図7の第5の実施例に係る半導体レーザ装
置の場合、電極74,75に同相で電圧をかけると、活
性・分布帰還領域71,72の間の位相が変化し、ま
た、差動で動作させるとY分岐部76,77で放射モー
ドとなって、散逸する光の割合を制御できる。
【0078】光の散逸は電気光学効果を利用しているの
で、電流注入や光吸収によるキャリアの発生がなく、発
振スペクトル線幅は狭く保つことができる。
【0079】また、方向性結合器の場合と同様に、共振
器損失の変化による活性領域のキャリア密度の変化は、
実効的なキャリア寿命に制限され、約数nsのオーダ
で、全体としてnsオーダの速度で波長変化を実現でき
る。
【0080】マッハツェンダー干渉計は通常波長フィル
タとしても使用されるが、本実施例の場合には、活性・
分布帰還領域71,72の波長選択性が強いため、利得
領域71,72,73で決まる波長に対する放射損失の
制御器として動作する。
【0081】図8の第6の実施例に係る半導体レーザ装
置の場合、単一モードの活性導波路がテーパ部86で3
モード受動導波路83に結合しており、高反射コート膜
13で反射して活性領域81に戻る光の割合を電極8
4,85で制御できるようになっている。
【0082】第5、第6の実施例のいずれの場合も、Y
分岐76,77やテーパ部86で放射モードとなって失
われた光が共振器に戻ってこないよう工夫しておけば、
共振器内部の光損失を制御できることになり、先の実施
例と同様に、しきいキャリア密度変化を介して、発振ス
ペクトル線幅を狭く保ったまま、高速に大きく波長を変
化させることができる。
【0083】なお、本発明は、他の素子と集積化した
り、アレイ化するなど、上記実施例以外にも様々な変形
が可能である。
【0084】例えば、上記実施例では、n型基板上にレ
ーザが作成された例であったが、p型基板や半絶縁性基
板の上にも作製することができる。
【0085】また、材料系もInGaAsP/InP系
に限定されるものではなく、波長も1.55μm帯に限
定されるものではない。
【0086】また、本発明はコヒーレント光通信以外に
も様々な用途に応用できる。
【0087】また、本発明の半導体レーザ装置に周波数
変調をかける場合、活性領域に変調をかけても、電界吸
収領域や分岐比制御領域に変調をかけても良い。また、
位相調整領域がある場合には、位相調整領域に変調をか
けても良い。
【0088】また、第1、第2の実施例においては、共
振器の外部にも同一プロセスで強度変調器を集積化する
ことも可能である。
【0089】その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲
で、種々変形して実施できる。
【0090】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、発
振スペクトル線幅を狭く保ったまま、短い時間で発振波
長を大きく変化させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係る半導体レーザ装置
の光導波層ストライプに沿った断面図
【図2】図1の半導体レーザ装置を上部から見た平面図
【図3】本発明の第2の実施例に係る半導体レーザ装置
を上部から見た平面図
【図4】図3の半導体レーザ装置の光導波層ストライプ
に沿った断面図
【図5】本発明の第3の実施例に係る半導体レーザ装置
を上部から見た平面図
【図6】本発明の第4の実施例に係る半導体レーザ装置
を上部から見た平面図
【図7】本発明の第5の実施例に係る半導体レーザ装置
を上部から見た平面図
【図8】本発明の第6の実施例に係る半導体レーザ装置
を上部から見た平面図
【符号の説明】
1…半導体基板 2…n型InPクラッド層 3…活性層 4,5…光導波層 6…p型InPクラッド層 7…オーミックコンタクト層 8…分離領域 9,10…オーミック部電極 11…回折格子 12…無反射コーティング膜 13…高反射コーティング膜 21,22…活性・分布帰還領域(第1の光導波領域) 23…位相調整・活性・分布帰還領域(第1の光導波領
域) 24,25…電界吸収領域(第2の光導波領域) 31…活性・分布帰還領域 32…電界吸収領域 33…位相調整領域 51,52…活性・分布帰還領域 53…光方向性結合器 54,55…光吸収領域 61…活性・分布帰還領域 63…光方向性結合器 64…フォトダイオード 71,72…活性・分布帰還領域 73…マッハツェンダー干渉計 74,75…光位相変調器 76,77…Y分岐部 81…活性・分布帰還領域 82…位相調整領域 83…3モード導波路 84,85…光位相変調器 86…テーパ部

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光を導波する光導波領域が共振器方向に直
    列して接続された第1および第2の光導波領域からな
    り、 前記第1の光導波領域が、活性領域内に分布帰還共振器
    を有する活性・分布帰還領域であり、 前記第2の光導波領域が、前記光導波路領域内の光損失
    を制御する領域で、そのキャリア密度が実質的にゼロで
    あることを特徴とする半導体レーザ装置。
JP35421393A 1993-12-28 1993-12-28 半導体レーザ装置 Pending JPH07202324A (ja)

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