JPH0719855Y2 - スタビライザー用ピロボールシート - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は自動車の左右の車軸をトーションバーに連結
するスタビライザー用ボールジョイントのピロボールシ
ートに関する。

（従来の技術） 自動車の走行の高速化に伴い車輌の安全性の機能が求め
られている現状、コーナリングにおける車体の傾きは車
輌の転覆につながる。そこで、最近の車輌では左右の車
輪の上下差を極力防ぐために左右の車軸をトーションバ
ーで連結する方式が多く見られ、トーションバーと車軸
とを連結する部品として、或る程度の３次元的連結手段
を持つ一対のボールジョイントを使用する傾向になって
きた。

さて、第３図及び第４図は従来のボールジョイントであ
って、金属製のスタッドボール１の球状頭部２を合成樹
脂製のボールシート部材３の内周に、該部材３の弾性を
利用して圧入し、該球状頭部２の赤道圏４の回りを前記
ボールシート部材３の内周に形成した環状の凹球面５で
首振り可能に保持している。

そして、圧入したスタッドボールの球状頭部２がボール
シート部材３の内周から脱落するのを防ぐためと、対の
ボールジョイント同志を連杆６で連結するために、第３
図では内周の下端部に内向き張出し部７を有する鋼製の
外筒部材８に上からボールシート部材３を挿入して該部
材３の下端を前記内向き張出し部７上に受け止め、それ
から外筒部材８の内周に上から円形の鉄板蓋９を嵌入れ
てその周縁部をボールシート部材３の上面で受止め（第
３図左半参照）、次いで外筒部材８の上縁部全周８′を
鉄板蓋９の周縁部上に内向きに曲げてかしめる（第３図
右半参照）。

又、第４図では上壁10を一体に備え、且つ内周の上部に
ボールシート部材３の上面に当接する内向き張出し部11
を有する鋼製の盲筒形の外筒部材12を、上記内向き張出
し部11がボールシート部材３の上面に受止められるよう
ボールシート部材に上から被せ（第４図左半参照）、対
で外筒部材12の下端部全周12′をボールシート部材の下
面の下に重なるように内向きに曲げてかしめる（第４図
右半参照）。

（考案が解決しようとする課題） 第３図の外筒部材８は内向き張出し部７を有するよう
に、又、第４図の外筒部材12は内向き張出し部11を有
し、且つ上壁10を備えるように夫々鋼材から冷間鍛造で
成形しなければならず、成形に手数を要し、コストが嵩
む。

その上、組立てるには第３図の外筒部材８は上端部の全
周を、第４図の外筒部材12は下端部の全周を夫々内向き
に折曲げてかしめるかしめ工程を必要とし、コストアッ
プの原因となる。

更に、第４図の製品は外筒部材12の下端部全周を内向き
にかしめるため、防塵用の可撓ブーツの取付けが困難
で、溝による確実な取付けができず、外筒部材12に接着
剤により接着せざるを得ない。

（課題を解決するための手段） そこで、本考案は、スタッドボールの球状頭部を合成樹
脂製の筒形のボールシート部材の内周に圧入し、該球状
頭部の赤道圏の回りを前記ボールシート部材の内周に形
成した環状の凹球面で首振り可能に保持したスタビライ
ザー用ピロボールシートにおいて、上記ボールシート部
材の外周に金属のリング状筒形ピースを嵌合したことを
特徴とする。

（実施例） 第１、２図の実施例において、21は合成樹脂製のボール
シート部材で内周にスタッドボール１の球状頭部２にあ
る赤道圏４の回りを首振り可能に保持する環状の凹球面
５を有するが、その上端は一体の上蓋壁22により塞が
れ、又、外周の下部には段付きの外向き張出し部23を有
する。

24は上記ボールシート部材21の外周に嵌合する金属、例
えば鋼のパイプ材を輪切りにした筒形ピースで、その長
さはボールシート部材の外向き張出し部の段23′から上
面までの高さＨよりも少し短い。

25はボールシート部材21の上端部外周に嵌合すると共
に、その上蓋壁22の上に重なる上蓋26を一体に備えた合
成樹脂製のキャップである。

組立てを行うにはボールスタッドの球状頭部を内周に首
振り可能に保持したボールシート部材21の外周に上から
前記筒形ピース24を嵌合し、その下端を外向きに張出し
部23の段23′上に受止め、次いで、キャップ25を嵌合し
て被せ、キャップの上壁26の下面をボールシート部材の
上蓋壁22に対して固定すればよい。

この固定は適当な接着剤を用いて行うこともできるし、
高周波溶着によって行ってもよい。

高周波溶着する際は、キャップの上壁26の下面、又はボ
ールシート部材の上蓋壁22の上面に、一重又は内、外複
数重の山形断面形状の低い環状突起27を一体に形成し、
この突起27を上蓋壁の上面又はキャップの上壁の下面に
押し当てて溶融し、消失させて溶着し、過剰の溶融部分
はキャップの上壁に設けた細孔28から外に流出させれば
よい。

そして、組合わせて使用する対のボールジョイントは連
杆６の各端部を筒形ピース24に溶接し、連結する。

キャップ25を固定すると、キャップの下端は筒形ピース
24の上端に当接し、筒形ピースの下端はボールシート部
材の外向き張出し部の段23′上に当接するように定め、
これにより筒形ピース24を上下動不能にする。

又、ボールシート部材21の外向き張出し部23には段23′
の下にもう一つの段29を形成して置くと、組立てたとき
に筒形ピース24の下端と段29の間に環状凹部が生じるの
で、予めスタッドボールに嵌めて置いた防塵用の可撓ブ
ーツ30の上端部を上記環状凹部に収容し、必要に応じ収
容した部分の外をＣ形などのリング31で締付けて取付
け、ボールシート部材の内部にダストが入るのを有効に
防止できる。更に、筒形ピース24の形状により、ボール
シート部材21並びに球状頭部２の筒形ピース24に対する
挿入は第５図又は第６図に示すように一方向に制約され
ないので、組立の自由度が大きく、多種類に対応させる
ことができる。

そして、筒形ピース24は、パイプ材を輪切りにすればよ
いので、経済的に製作できる。

尚、13はスタッドボール１の球状頭部から垂下する首軸
部、14は首軸部の下に連なるねじ軸部であり、首軸部13
の下半部の上部に外形が六角形のドライブプレート15を
圧入して固定し、首軸部の下半部の下部を車軸のアーム
や、トーションバーの孔に通し、ねじ軸部14にねじ込ん
だナット16で上記アームや、トーションバーをドライブ
プレート15に対して強固に締付けて固定する。

（考案の効果） 本考案ではボールシート部材の外周に上下動不能に嵌合
する筒形ピースには内周からの内向き張出し部や、一体
の上壁が不要であると共に、その上端部や下端部の全周
を内向きにかしめる工程も無いため、従来の外筒部材を
冷間鍛造で成形するのに比べて遥かに容易に得ることが
できる。

又、筒形ピースの形状により、ボールシート部材並びに
球状頭部の筒形ピースに対する挿入は一方向に制約され
ないので、組立の自由度が大きく、多種類に対応させる
ことができる。

更に、筒形ピースは、パイプ材を輪切りにすればよいの
で、経済的に製作できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例のボールジョイントの断面
図、第２図は同上の高周波溶着用キャップの一部欠載斜
視図、第３図と第４図は夫々従来のボールジョイントの
一半を断面にした正面図、第５図及び第６図は本考案の
一実施例のボールジョイントの連結状態を示す断面図で
ある。 図中、１はスタッドボール、２はその球状頭部、４は赤
道圏、５は凹球面、21はボールシート部材、22は上蓋
壁、23は外向き張出し部、24は筒形ピース、25はキャッ
プ、26はその上壁を示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】スタッドボールの球状頭部を合成樹脂製の
   筒形のボールシート部材の内周に圧入し、該球状頭材の
   赤道圏の回りを前記ボールシート部材の内周に形成した
   環状の凹球面で首振り可能に保持したスタビライザー用
   ピロボールシートにおいて、 前記ボールシート部材の上端に上蓋壁を一体に設けると
   共に、外周に外向き張出し部を設け、該ボールシート部
   材の外周に前記上蓋壁側から金属の筒形ピースを嵌合さ
   せて前記外向き張出し部に当接させると共に、前記ボー
   ルシート部材の上端部に合成樹脂で成形したキャップを
   被せて前記上蓋壁に対して固定し、前記筒形ピースを上
   下動不能にしたことを特徴とするスタビライザー用ピロ
   ボールシート。