JPH07197947A - ハブクラッチ装置 - Google Patents

ハブクラッチ装置

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Publication number
JPH07197947A
JPH07197947A JP6063225A JP6322594A JPH07197947A JP H07197947 A JPH07197947 A JP H07197947A JP 6063225 A JP6063225 A JP 6063225A JP 6322594 A JP6322594 A JP 6322594A JP H07197947 A JPH07197947 A JP H07197947A
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JP
Japan
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retainer
clutch device
hub
wheel
sprag
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Pending
Application number
JP6063225A
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English (en)
Inventor
Kenichiro Ito
健一郎 伊藤
Isao Hori
勲 堀
Shiro Goto
司郎 後藤
Koji Akiyoshi
幸治 秋吉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NTN Corp
Original Assignee
NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
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Publication date
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  • Arrangement And Mounting Of Devices That Control Transmission Of Motive Force (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 前輪車軸とホイールハブの回転差に応じて、
その両者の係合と離脱の切換えが自動的に行なえるハブ
クラッチ装置を提供する。 【構成】 前輪車軸50に連結する内輪2と、ホイール
ハブ52に連結する外輪1の間に、スプラグ20の大径
保持器12と小径保持器13を設け、大径保持器12と
内輪2を回転方向すき間を介して連結する。大径保持器
12の一端に、回転抵抗を発生させるスイッチバネ27
を、他端に、一方向クラッチ28を介して回転抵抗付与
手段6を連結する。前進する場合は一方向クラッチ28
が空転し、スプラグ20は前進スタンバイ状態で係合
し、後退する場合は、一方向クラッチ28がロックし、
スプラグ20が反対方向に係合状態となる。ホイールハ
ブの回転が前輪車軸より速いと、外輪がスプラグに対し
てオーバーランニングし、係合が外れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、前輪車軸とホイール
ハブとの間で駆動力の伝達と遮断を行なうハブクラッチ
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術及びその課題】パートタイム式の4輪駆動
車には、後輪を常時駆動すると共に、前輪の車軸とホイ
ールハブとの間にハブクラッチ装置を組込み、そのハブ
クラッチ装置によりホイールハブへの駆動力の伝達と遮
断を行なって、4輪駆動と2輪駆動を切換えるようにし
たものがある。
【0003】従来のハブクラッチ装置には、駆動の切換
え方法として手動式と自動式のものがあるが、いずれも
車軸とホイールハブを単に係合するか、切り離す機能し
かもたされていない。
【0004】すなわち、従来のハブクラッチ装置は、車
軸の動きに連動するカム機構等の作用によって車軸に嵌
合したスライドギヤを移動させ、そのスライドギヤをホ
イールハブに噛み合せて、車軸とホイールハブを断接す
るようにしている。しかし、この構造では、ハブクラッ
チ装置が係合した時は車軸とホイールハブが直結した4
輪駆動状態になるため、その状態でタイトコーナー等を
旋回した際、前輪と後輪の間に生じる旋回距離の差によ
って前後輪間にスリップが生じ、未舗装道路や滑りやす
い道路でしか走行することができない。
【0005】このため、舗装道路等を走行する場合は、
運転者がその都度ハブクラッチ装置の係合を切換えて前
後輪間の連結を切離す必要があり、その駆動の切換え操
作に手間がかかる問題があった。
【0006】そこで、この発明は、上記の問題を解決
し、前輪車軸とホイールハブの回転差に応じて自動的に
その両者の係合と離脱の切換えができ、直結型でフルタ
イムの4輪駆動走行を可能とするハブクラッチ装置を提
供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、この発明は、前輪車軸に連結する駆動部材と、ホイ
ールハブに連結する従動部材とを内外に回転可能に嵌合
させ、その駆動部材と従動部材の間に、第一保持器と、
駆動部材に保持される第二保持器を設け、この両保持器
に径方向に対向して設けたポケットに、両保持器が正逆
方向に相対回転したときに駆動部材と従動部材に係合し
て両部材を一体に連結する係合子を組込み、第一保持器
と駆動部材を遊びをもって回転するように連結し、この
第一保持器に、それぞれ逆方向の回転抵抗を付与する2
つの回転抵抗付与手段と、第一保持器に付与する回転抵
抗の作用方向を駆動部材の正逆の回転方向に対して切換
える手段とを連結したのである。
【0008】
【作用】上記の構造においては、自動車が前進して前輪
車軸が回転すると、第一保持器には一方の回転抵抗付与
手段の回転抵抗が作用し、その回転力により、遊びの分
だけ第一保持器と駆動部材が相対回転し、係合子が前進
の係合作動状態に移動する。逆に、自動車が後退して車
軸が逆方向に回転すると、切換え手段の作動により回転
抵抗の作用方向が切換り、他方の回転抵抗付与手段の回
転抵抗が作用して第一保持器と駆動部材が反対方向に相
対回転し、係合子が後退方向で係合作動状態になる。
【0009】この状態で、車両が旋回すると、前輪と一
体に回るホイールハブが車軸より速く回転することによ
り、従動部材が係合子に対して空回りし、後輪だけの2
輪走行となる。
【0010】一方、走行中に後輪がスリップすると、減
速するホイールハブに対して車軸の回転が上回ることに
より、係合子が駆動部材と従動部材に係合し、前輪に駆
動力が伝わって4輪駆動状態となる。
【0011】
【実施例】図1乃至図9は、この発明の第1の実施例を
示している。図1は、ハブクラッチ装置を車両の前輪車
輪に装着した状態を示し、この前輪車軸50には、その
先端部分を除いて車体に固定されるナックル51が嵌合
し、そのナックル51に、軸受を介してホイールハブ5
2が回転可能に支持されている。
【0012】このホイールハブ52には、タイヤホイー
ル53やブレーキ装置54等が取付けられ、ハブ52の
先端部分に、防水・防塵用のキャップ55が装着されて
いる。
【0013】上記前輪車軸50の先端部には、セレーシ
ョン溝7の嵌め合いによって、ハブクラッチ装置Aの駆
動部材である内輪2が一体に取付けられ、その内輪2の
外側に、軸受3を介して従動部材となる外輪1が回転可
能に嵌合している。
【0014】上記外輪1の端面1aは、ホイールハブ5
2の端面52aにすき間をもって対向しており、その各
端面1a、52aに、それぞれ係合するトルク伝達用突
起4、5が設けられている。このトルク伝達用突起4、
5は、図3に示すように互いに回転方向遊びY(Y=Y
1 +Y2 )をもって配列されており、外輪1とホイール
ハブ52は、直接結合せずに回転方向遊びYをもってト
ルク伝達するように形成されている。
【0015】上記外輪1の内径面と内輪2の外径面に
は、図2及び図4に示すように、同芯の円筒面10、1
1が形成され、その両円筒面10、11の間に、大径保
持器12と小径保持器13が組込まれている。
【0016】上記大径保持器12は、後端部に延長腕1
4が一体に形成され、その延長腕14が軸受8の案内に
より外輪1と内輪2に対して回転自在に支持されてい
る。
【0017】一方、小径保持器13は、前端部に、内径
側に向かって屈曲する屈曲部15が形成され、その屈曲
部15が内輪2の端面2aにすべり回転可能に接触して
おり、この屈曲部15と軸受3の止め輪17との間に、
皿バネから成る圧着バネ16が組込まれている。この圧
着バネ16は、屈曲部15を内輪2の端面2aに向かっ
て圧着する方向の付勢力を与えており、その押圧力によ
って両者の接触部に摩擦を生じさせ、その摩擦力により
小径保持器13を内輪2に圧着している。
【0018】上記大径保持器12と小径保持器13の周
面には、図4及び図8に示すように、径方向に対向して
複数のポケット18、19が形成され、その各ポケット
18、19に係合子としてのスプラグ20と、スプラグ
20を保持するバネ21とが組込まれている。
【0019】このスプラグ20は、外径側と内径側に、
スプラグの内側或いは外側に曲率中心をもつ左右対称形
の円弧面22と22aが形成され、左右の両方向に所定
角度傾くと両円筒面10、11と係合し、外輪1と内輪
2を一体化する。また、バネ21は、大径保持器12に
一端が支持されてスプラグ20を両側から押圧し、各ス
プラグ20を円筒面10、11と係合する位置に保持し
ている。
【0020】また、上記小径保持器13の前端部には、
図2及び図5に示すようにストッパピン23が取付けら
れ、そのストッパピン23が大径保持器12に設けた角
孔24に嵌合しており、この角孔24の周壁とピン23
との間に回転方向すき間Xが設けられている。ここで、
上記回転方向すき間Xは、上述したトルク伝達用突起
4、5間の回転方向遊びYよりも小さく(X<Y)設定
されている。
【0021】上記大径保持器12及び小径保持器13の
周面には、それぞれ径方向に貫通するスリット25、2
6が形成され、そのスリット25、26に、C字形のリ
ング形状をしたスイッチバネ27の両端部が係合してい
る。このスイッチバネ27は、周方向に縮められた状態
でセットされ、一端を大径保持器12に、他端を小径保
持器13に押し付けて取付けられており、そのバネ力に
よって両保持器12、13に円周方向の力を与えてい
る。この力により大径保持器12は、後述する一方向ク
ラッチ28が噛み合い作動する回転方向とは逆方向の回
転抵抗を受け、角孔24の周壁が小径保持器13に圧入
したストッパピン23に当接する位置まで回転する。
【0022】また、上記ストッパピン23と角孔24の
間の回転方向すき間Xは、図8及び図9に示すようにス
プラグ20が傾いて円筒面10、11に噛み合い状態と
なるような大きさに設定されており、上記スイッチバネ
27のバネ力により、両保持器12、13とスプラグ2
0は、回転の一方向の噛み合い位置でスタンバイの状態
となっている。上記の構造では、スイッチバネ27が回
転抵抗を発生する一方の手段を構成する。
【0023】一方、上記大径保持器12の延長腕14の
後端部には、大径保持器12と後述する回転抵抗付与手
段6の連結を切換える一方向クラッチ28が組込まれて
いる。この一方向クラッチ28は、図6に示すように、
延長腕14の後端部に圧入するクラッチ外輪29の内周
に、周方向に一定間隔で複数の傾斜カム面30を形成
し、そのクラッチ外輪29と延長腕14との間に環状の
保持器32を設け、その保持器32に設けたポケット
に、係合子としてのローラ33と、そのローラ33を傾
斜カム面30と延長腕14の表面に押し付けるバネ34
とを組み込んで構成されている。
【0024】上記の一方向クラッチ28では、内輪2を
介して大径保持器12が図6の矢印イ方向に回転する
と、ローラ33がカム面30と延長腕14の間に噛み込
み、大径保持器12と回転抵抗付与手段6の入力リング
31とを一体化する。逆に、大径保持器12が図6の矢
印ロ方向に回転すると、ローラ33の係合が切れ、大径
保持器12と入力リング31が切り離される。
【0025】上記回転抵抗付与手段6は、図2に示すよ
うに、入力リング31と、ナックル51に設けた溝に回
転方向のみ固定される抵抗体ケース36とを備え、入力
リング31に設けたフランジ35を、抵抗体ケース36
とトルク調整部材37の間で摩擦体38、38を介して
擦り合わせ、その擦り合わせ部39を、トルク調整部材
37と止め輪40の間に組込んだバネ41により押圧し
て構成されている。
【0026】上記バネ41のバネ力は、擦り合わせ部3
9に所定の摩擦力を生じさせる大きさに設定され、この
摩擦力により擦り合わせ部39に引きずりトルクを生じ
させており、この引きずりトルクによって、大径保持器
12と一体に回転しようとする入力リング31に対して
その回転を遅れさせる抵抗力を与えている。
【0027】また、上記擦り合わせ部39で生じる回転
抵抗P1 は、上述したスイッチバネ27のバネ力によっ
て大径保持器12に加わる回転抵抗P2 よりも大きく設
定され、かつ、前輪車軸50に駆動経路から作用する回
転抵抗P3 よりも小さく設定されており、P2 <P1
3 の関係をもつように設定されている。これにより、
一方向クラッチ28が噛み合って大径保持器12と入力
リング31が共回りした場合、擦り合わせ部39による
回転抵抗がスイッチバネ27による回転抵抗に打ち勝
ち、大径保持器12と小径保持器13の位相を逆方向に
切換えることになる。
【0028】なお、上記の回転抵抗付与手段6の構造に
おいて、入力リング31と抵抗体ケース36の間に介在
する摩擦材38、38は、入力リングと抵抗体ケースの
相対回転により擦り合わせ部39で所要の摩擦抵抗を発
生させるための機能をもつが、この摩擦材38、38を
自己潤滑性のある樹脂材料で形成すると、擦り合わせ部
39での熱発生を抑えることができ、安定した抵抗発生
性能を長く維持することができる。
【0029】この実施例のハブクラッチ装置は、上記の
ような構造であり、図1に示すように内輪2を前輪車軸
50に連結し、外輪1とホイールハブ52をトルク伝達
用突起4、5を介して連結して装着する。この場合、車
両の前進走行時における内輪2の回転方向が、一方向ク
ラッチ28が切れる方向(図6の矢印ロ方向)に一致
し、後退時における回転方向が、一方向クラッチ28の
噛み込む方向(図6の矢印イ方向)に一致するように設
定する。
【0030】上記の装着状態で自動車が前進走行する
と、前輪車軸50の駆動により内輪2が回転を始め、そ
の内輪2と一体になった小径保持器13が同時に回転を
始める。また、大径保持器12は、スイッチバネ27の
付勢力によって回転するが、この回転方向では一方向ク
ラッチ28が空転状態になるため、回転抵抗付与手段6
の入力リング31は、抵抗体ケース36やバネ41と共
に停止状態におかれる。
【0031】上記とは逆に、自動車が後退する場合は、
内輪2と小径保持器13が回転を始め、大径保持器12
は、スイッチバネ27の付勢力により小径保持器13と
同時に回転するが、この回転方向は一方向クラッチ28
がロック状態となるため、大径保持器12と入力リング
31が一体に回転する。このとき、入力リング31が連
結する擦り合わせ部39の回転抵抗P1 を、スイッチバ
ネ27による回転抵抗P2 よりも大きく設定してあるの
で、回転抵抗付与手段6の抵抗により大径保持器12は
減速し、スプラグ20を図9に示すように上記とは反対
方向に傾かせて円筒面10、11の間に係合状態でスタ
ンバイさせる。その後は、擦り合わせ部39の回転抵抗
を受けながら大径保持器12が回転し、スプラグ20の
スタンバイ状態を保持する。
【0032】このようにスプラグ20の位相を変化させ
る大径保持器12には、自動車の前進走行時は一方向ク
ラッチ28が空転してスイッチバネ27の抵抗だけが作
用し、後退時では擦り合わせ部39のすべり抵抗がスイ
ッチバネ27に打ち勝って作用する。このため、前進時
に、前輪車軸50と共に内輪2が回転しても軸受や擦り
合わせ部39などからの発熱が少なく、擦り合わせ部3
9の摩耗も抑制される。
【0033】また、すべり接触する擦り合わせ部39
は、バネ41で押圧することにより引きずりトルクを生
じさせているため、接触面が摩耗してもバネ41の押圧
力は変化せず、急激なトルク変動を抑えることができ
る。
【0034】上記のようにスプラグ20が係合位置にス
タンバイした状態では、自動車がスリップせずに前進又
は後退している間は、外輪1と内輪2が同速度で回転
し、スプラグ20がスタンバイ状態で維持されるため、
内輪2から外輪1に駆動力が伝わらず、見かけ上後輪だ
けの2輪走行になる(なお、実際には走行中後輪にわず
かなスリップが伴なうため、前輪へのトルク配分はあ
る。)。
【0035】自動車が旋回して舵角をもつと、前輪に連
結する外輪1が内輪2よりも速く回転するため、外輪1
がスプラグ20に対してオーバランニングする。このた
め、前輪と後輪は切り離されて回転し、タイトコーナで
のブレーキング現象が生じない。
【0036】一方、前進後退の走行中、後輪がスリップ
すると、車速の低下に伴って減速する前輪に対して、前
輪車軸50に連結する内輪2の回転が上回るため、スプ
ラグ20が円筒面10、11に係合し、外輪1と内輪2
が一体化される。これにより、前輪に駆動力が加わり、
4輪駆動状態に切換わる。
【0037】上記の駆動力の伝達時において、スプラグ
20に高トルクが負荷された場合、スプラグ20と円筒
面10、11が弾性変形し、そのスプラグ20との干渉
によって小径保持器13には大きな力が作用する。
【0038】この作用力が、圧着バネ16の圧着によっ
て小径保持器13の屈曲部15と内輪2の接触部に生じ
る摩擦力よりも上回ると、小径保持器13が内輪2に対
してすべり始め、スプラグ20との干渉量だけ回転す
る。このため、上記作用力は緩和され、小径保持器13
とスプラグ20に無理な力が加わらず、保持器の破損事
故やスプラグの異常摩耗が防止される。
【0039】また、小径保持器13が内輪2に対してす
べり回転した場合、その回転量がわずかな間は大径保持
器12に動きが生じないが、回転量がストッパピン23
と角孔24間の回転方向すき間Xよりも大きくなると、
大径保持器12はストッパピン23で駆動され、小径保
持器13と共回りする。このため、大径保持器12と小
径保持器13の位置関係はほぼ同一に保持され、スプラ
グを作動するスイッチ機能が損なわれない。
【0040】また、この実施例では、外輪1をホイール
ハブ52に直接固定せず、トルク伝達用突起4、5によ
り回転方向遊びYをもってトルク伝達をするようにして
いるが、これは、前輪車軸50とホイールハブ52の間
に回転方向遊びを設けたことと同じであり、次のような
働きがある。
【0041】車両を前進走行後、坂道等に停止させる
と、スプラグ20は前進方向でスタンバイ状態となる
が、車両が坂道の傾きによって自然に後退した場合、前
輪車軸50が停止した状態でホイールハブ52だけが後
退方向に回転する。このときスプラグ20は前進方向に
スタンバイ状態のまま回されるために、その状態でハン
ドル操作等した場合に、タイトコーナーのブレーキング
現象が発生する場合がある。
【0042】これに対して、外輪1とホイールハブ52
の間(すなわち、車軸50とホイールハブ52の間)に
回転方向遊びYがあると、停止した車軸50に対してホ
イールハブ52が後退回転しても、その遊びYの分だけ
ホイールハブ52が回転する間に前輪車軸50がプロペ
ラシャフトにより回されるため、スプラグ20は前進方
向のスタンバイ状態から後退方向のスタンバイ状態に切
換わる。したがって、外輪1がスプラグ20に対してオ
ーバーランニング可能となり、上記のようなタイトコー
ナーのブレーキング現象の発生が防止される。
【0043】図10及び図11は、第2の実施例を示し
ている。この例では、外輪1の外側に、軸受42を介し
て外筒43を回転可能に嵌合させ、その外筒43を環部
材44を外してホイールハブ52の端面に固定してい
る。
【0044】また、外筒43の内側端面43aと外輪1
の端面1aに、それぞれ回転方向に係合するトルク伝達
用突起4、5を設け、この各トルク伝達用突起4、5の
間に、それぞれ回転方向遊びYを設けている。
【0045】上記外筒43は、ハブクラッチ装置A全体
を覆うために、装置への雨水や土砂等の侵入を防止し、
小石等の衝突から装置を防護する機能がある。
【0046】一方、図12及び図13は第3の実施例を
示し、この例では、外輪1を覆う外筒45をボルト46
によって直接ホイールハブ52に固定している。
【0047】また、外筒45の内周面に複数のトルク伝
達用溝47を形成し、外輪1の外周面に、その各溝47
に嵌合するトルク伝達用突起48を設け、この各突起4
8と溝47の間に回転方向遊びYを設けている。
【0048】なお、上記の第2及び第3の実施例は、ホ
イールハブ52に外筒43、45を装着した以外は、前
述した第1の実施例と基本的な構造や作用が同じであ
り、同一部品には同一の符号を付して説明を省略する。
【0049】図14は第4の実施例を示している。この
例では、前述した第3の実施例の構造において、回転抵
抗付与手段6の擦り合わせ部39の摩擦材38、38を
取除き、その代わり、入力リング31を自己潤滑性のあ
る樹脂材料で形成し、この入力リング31を直接抵抗体
ケース36とトルク調整部材37に接触させて、所要の
摩擦抵抗を得ている。
【0050】上記の構造では、入力リング31のもつ自
己潤滑性能により擦り合わせ部39での熱発生が抑制さ
れるため、摩擦力発生機構の耐久性を向上させることが
できる。
【0051】また、この実施例では、外輪1の外側に嵌
合する外筒45を、アルミニウム合金などの加工成形が
容易な軽合金で形成している。このように外筒45をア
ルミニウム合金等で形成すると、鉄で形成したものに比
べて、外筒単体で約60%程度の重量軽減となり、ハブ
クラッチ装置Aの重量を軽くすることができる。これに
より、図1においてハブクラッチ装置Aが装着される前
輪車軸50の上下動の慣性力を小さくすることができ、
車両の燃費改善と乗り心地の向上を図ることができる。
【0052】また、鉄製のものに比べて、外筒45の加
工成形が容易になるため、機械加工の工数を少なくで
き、製造コストを低減することができる。
【0053】一方、外筒45を合成樹脂で形成してもよ
く、これによって、軽合金以上の重量軽減が可能とな
り、また、射出成形により外筒を一体に成形することが
できるため、製作性の向上とコストを低減させることが
できる。
【0054】図15は、第5の実施例を示す。この例で
は、ハブクラッチ装置Aの従動部材である外輪1を、ボ
ルト49を用いてホイールハブ52に一体に連結し、内
輪2とスプラグ20を通して伝わるトルクを、遊びを生
じることなく外輪1から直接ホイールハブ52に伝達す
るようにしている。
【0055】このように外輪1とホイールハブ52を直
結した構造とすると、スプラグ20が前進方向にスタン
バイした状態で車両が後退した場合、ハンドル操作によ
りタイトコーナーのブレーキング現象が生じることがあ
るが、しかし、上記現象発生の条件をみたす頻度が現実
には少なく、また、ブレーキング現象の程度が許容でき
る範囲である場合が多いので、上記のような直結構造と
してもハブクラッチ装置として実用上充分な性能を発揮
することができる。
【0056】なお、上記の第1乃至第5の各実施例で
は、外輪と内輪を係合する係合子として正逆方向に係合
するスプラグを示したが、回転の一方向だけに係合する
スプラグを左右対称に配列して使用するようにしてもよ
い。
【0057】
【効果】以上のように、この発明のハブクラッチ装置
は、機械式クラッチの係合とフリーランニングを利用
し、前輪車軸とホイールハブとの間の回転差に応じて自
動的に両者の係合と離脱を切換えるので、4輪直結状態
でタイトコーナーを旋回してもブレーキング現象を引き
起こすことがなく、フルタイムで直結型の4輪駆動を実
現できる。
【0058】また、係合子を常に係合作動状態におくの
で、車輪のスリップ等により車軸とホイールハブとの間
にわずかでも回転差が生じると、瞬時に係合子を係合さ
せることができ、応答性のよい駆動力の切換えと強力な
駆動力の伝達が行なえる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例を示す一部縦断正面図
【図2】同上の要部の拡大断面図
【図3】図2のIII−III線に沿った断面図
【図4】図2のIV−IV線に沿った断面図
【図5】図2のV−V線からみた図
【図6】一方向クラッチを示す断面図
【図7】図2のVII−VII線の断面図
【図8】前進時のスプラグの作動状態を示す断面図
【図9】後退時のスプラグの作動状態を示す断面図
【図10】第2の実施例を示す断面図
【図11】図10のXI−XIの断面図
【図12】第3の実施例を示す断面図
【図13】図12のXIII−XIII線の断面図
【図14】第4の実施例を示す断面図
【図15】第5の実施例を示す断面図
【符号の説明】
1 外輪 2 内輪 6 回転抵抗付与手段 10、11 円筒面 12 大径保持器 13 小径保持器 16 圧着バネ 18、19 ポケット 20 スプラグ 23 ストッパピン 24 角孔 25、26 スリット 27 スイッチバネ 28 一方向クラッチ 31 入力リング 39 擦り合わせ部 43、45 外筒 50 前輪車軸 52 ホイールハブ A ハブクラッチ装置

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 前輪車軸に連結する駆動部材と、ホイー
    ルハブに連結する従動部材とを内外に回転可能に嵌合さ
    せ、その駆動部材と従動部材の間に、第一保持器と、駆
    動部材に保持される第二保持器を設け、この両保持器に
    径方向に対向して設けたポケットに、両保持器が正逆方
    向に相対回転したときに駆動部材と従動部材に係合して
    両部材を一体に連結する係合子を組込み、上記第一保持
    器と駆動部材を遊びをもって回転するように連結し、こ
    の第一保持器に、それぞれ逆方向の回転抵抗付与する2
    つの回転抵抗付与手段と、第一保持器に付与する回転抵
    抗の作用方向を駆動部材の正逆の回転方向に対して切換
    える手段とを連結したハブクラッチ装置。
  2. 【請求項2】 上記駆動部材と第二保持器とを、第二保
    持器に所定のトルクが作用したときに両者が相対回転す
    るように連結し、第二保持器と第一保持器の間に、両保
    持器の相対的な位置を保持する弾性部材を組込んだ請求
    項1に記載のハブクラッチ装置。
  3. 【請求項3】 上記従動部材とホイールハブの連結部
    に、上記第一保持器と駆動部材間の回転方向遊びよりも
    大きな回転方向遊びを設けた請求項1又は2に記載のハ
    ブクラッチ装置。
  4. 【請求項4】 上記従動部材の外側に、ホイールハブに
    連結する外筒を嵌合させ、その外筒と従動部材を、上記
    第一保持器と従動部材間の回転方向遊びよりも大きな遊
    びをもって共回りするように連結した請求項1又は2に
    記載のハブクラッチ装置。
  5. 【請求項5】 上記外筒を、軽合金製又は合成樹脂製と
    した請求項4に記載のハブクラッチ装置。
  6. 【請求項6】 上記回転抵抗付与手段の1つを、固定部
    材と回転部材を接触させて摩擦力を発生させる構造と
    し、その両部材の接触部に、自己潤滑性のある材料を介
    在させて成る請求項1乃至5のいずれかに記載のハブク
    ラッチ装置。
JP6063225A 1993-06-10 1994-03-31 ハブクラッチ装置 Pending JPH07197947A (ja)

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13835793 1993-06-10
JP5-138357 1993-11-26
JP5-296627 1993-11-26
JP29662793 1993-11-26

Publications (1)

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JPH07197947A true JPH07197947A (ja) 1995-08-01

Family

ID=26471411

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JP6063225A Pending JPH07197947A (ja) 1993-06-10 1994-03-31 ハブクラッチ装置

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108662112A (zh) * 2018-06-29 2018-10-16 刘勇 一种配置单向器的汽车止滑差速机构

Cited By (1)

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