JPH07197035A - 残油又は重質油から有機硫黄化合物を回収する方法及びその装置 - Google Patents

残油又は重質油から有機硫黄化合物を回収する方法及びその装置

Info

Publication number
JPH07197035A
JPH07197035A JP30160794A JP30160794A JPH07197035A JP H07197035 A JPH07197035 A JP H07197035A JP 30160794 A JP30160794 A JP 30160794A JP 30160794 A JP30160794 A JP 30160794A JP H07197035 A JPH07197035 A JP H07197035A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oil
solvent
organic sulfur
sulfur compound
heavy oil
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP30160794A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2928466B2 (ja
Inventor
Izumi Funakoshi
泉 舟越
Tetsuo Aida
哲夫 相田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Individual
Original Assignee
Individual
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Individual filed Critical Individual
Priority to JP30160794A priority Critical patent/JP2928466B2/ja
Publication of JPH07197035A publication Critical patent/JPH07197035A/ja
Priority to CA002159785A priority patent/CA2159785C/en
Priority to US08/538,370 priority patent/US5753102A/en
Priority to DE0711819T priority patent/DE711819T1/de
Priority to EP95307064A priority patent/EP0711819B1/en
Priority to DE69524848T priority patent/DE69524848T2/de
Application granted granted Critical
Publication of JP2928466B2 publication Critical patent/JP2928466B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、残油又は重質油仲に含有される有
機硫黄化合物を元の化学構造を維持した状態で効率的に
且つ経済的に回収する残油又は重質油から有機硫黄化合
物を回収する方法及びその装置を提供する。 【構成】 本発明は、残油又は重質油に、その沸点以下
の沸点を有する溶剤を加え、該溶剤の沸点以下の温度で
残油又は重質油と溶剤を攪拌混合して、残油又は重質油
の粘度を低下させながら残油又は重質油中の有機硫黄化
合物を溶剤中に移行させ、次いで、残油又は重質油と溶
剤の混合液を室温又は室温以下の温度に冷却して残油又
は重質油層と溶剤層とを分離し、更に、分離した溶剤を
蒸留して有機硫黄化合物を回収する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、残油又は重質油中か
ら有機硫黄化合物を回収する方法及びその装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】最近、世界的な原油の重質化に伴い、有
用な軽質留分を取り去った後、重質留分、特に残油が多
量に副生する。この残油は、硫黄分、窒素分及び金属分
が濃縮されて高濃度となる。この残油を軽質化する方法
として、残油の水素化分解、流動接触分解などがある
が、硫黄分を高濃度に含んだ残油をそのまま用いると、
触媒毒の原因となり、さらに大気汚染の原因となる。そ
こで、残油中の硫黄分を取り除く方法が重要となってい
る。
【0003】現在、残油から硫黄分を取り除く方法とし
て、一般的には水素還元脱硫法が採用されている。即
ち、水素加圧下に原料油(残油)を接触的に処理し、原
油中の硫黄化合物を硫化水素にして除くものである。一
般的に、残油の水素還元脱硫法において、採用される条
件は、反応圧力が100kg/cm2 、好ましくは10
0〜170kg/cm2 、反応温度が300℃以上、好
ましくは350〜450℃、水素/原料油比が100〜
2000NI/NIである。また、使用される触媒は、
ニッケル、コバルト、モリブデン、バナジウム、タング
ステン等の高価な活性金属の酸化物である。
【0004】また、燃料油から硫黄分を除去する方法と
しては、特開平4−72387号公報に開示されたもの
がある。該燃料油から硫黄分を除去する方法は、石油及
び石炭液化油等から得られる燃料油を酸化剤で処理し、
含有されている有機硫黄分の沸点を上昇させて分離・除
去するものである。
【0005】更に、溶剤を使用する石炭系重質油の精製
技術としては、特開昭56−49791号公報に開示さ
れたものがある。これは、石炭系重質油にケトン類溶剤
を配合し、該混合液中の生成する不溶性沈澱物を除去
し、混合液中の該ケトン類を分離することからなる石炭
系重質油の精製方法に関するものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、水素還
元脱硫法においては、残油に多量に含有される硫黄化合
物は、脱硫され難く、高い脱硫を達成しようとすれば高
い反応温度及び圧力を必要とするが、反応温度を高くす
ると、コークの生成が起こり易く、接触細孔のコークに
よる閉塞のため触媒活性の低下を補償するため、反応温
度を更に高くする必要がある。その際、得られる製品の
うち、特に360℃以上の沸点を有する留分の性状が悪
くなることが知られている。
【0007】水素還元脱硫法における脱硫の困難性は、
残油中に含有する有機硫黄化合物が炭化水素と物理的、
化学的性状が似ていることに由来する。特に、残油中に
多量存在するベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン誘
導体のように化学的に安定な官能基を崩壊させるために
は、より高圧、高温の条件が要求される。残油中に含有
される有機硫黄化合物を、元の化学構造を維持した状態
で回収するためには、高温、圧力、光等の化学変化、或
いは酸化、還元等の化学反応の手段を用いない方法の開
発が必要になる。
【0008】また、上記水素還元脱硫法においては、残
油に含まれる硫黄分、即ち有機硫黄化合物は従来から有
害物としての認識が強く、その除去を主目的として技術
開発が進展し、毒性の強い硫化水素に転化していた。そ
こには、残油中の有機硫黄化合物を、その有効利用のた
め残油中に含まれる有機硫黄化合物を元の化学構造を維
持したまま回収するという発想はない。
【0009】しかし、残油中に含まれる有機硫黄化合物
は、最近注目を集め始めている工業的原料としての有機
硫黄化合物の一形態として位置づけることができ、近い
将来、人類社会に多大の貢献を約束する貴重な資源であ
る。例えば、化学的に安定であるため、水素化脱硫がし
にくいベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン誘導体は
有用な工業的原料として重要であり、これらを無機物の
硫黄から製造しようとすれば、複雑な化学工程と多大の
製造コストを必要とするものである。
【0010】有機硫黄化合物を元の化学構造を維持した
ままで、残油中から取り出し、該有機硫黄化合物の有効
利用を行うためには、水素還元脱硫法は適応できない。
原料油から有機硫黄化合物を回収することは、即ち原料
油の脱硫となるものであるが、脱硫という視点から見て
も、上記水素還元脱硫法は高温、高圧下での操作である
ため、設備に多大の投資を必要とし、装置の安定した運
転には高度の管理技術を要し、高価な希少金属による触
媒を消費し、かつ多量の水素の供給、消費を伴うもので
ある。
【0011】前掲特開平4−72387号公報に開示さ
れた燃料油から硫黄分を除去する方法は、石油及び石炭
液化油等から得られる燃料油を酸化剤処理するものであ
り、この方法は、有機硫黄化合物を元の化学構造を維持
した状態で回収するものではなく、また、酸化工程及び
酸化された有機硫黄分の分離工程を必要とするものであ
る。
【0012】また、前掲特開昭56−49791号公報
に開示された石炭系重質油の精製方法は、易黒鉛化性針
状コークス等の炭素材製造用原料としての石炭系重質油
の精製に係るものであり、石炭系重質油にケトン類溶剤
を配合する目的は、該炭素材製造用原料に有害な石炭系
重質油中の不活性炭素物質(キノリン不溶分)を除去す
るものであり、該石炭系重質油中の有用な有機硫黄化合
物を回収するという技術課題について何ら開示されてい
ないものである。
【0013】そこで、この発明の目的は、残油又は重質
油から有機硫黄化合物を回収する場合に、残油又は重質
油に対して高温にしたり、高圧にする必要がなく、ま
た、触媒、水素等の消費材の供給を必要とせずに、有機
硫黄化合物を残油又は重質油中に含まれる元の化学構造
を維持した状態で、簡単に、経済的に且つ高い回収効率
で残油又は重質油中から有機硫黄化合物を回収する方法
及びその装置を提供することである。この残油又は重質
油中から有機硫黄化合物を回収する方法及びその装置
は、残油又は重質油から有機硫黄化合物を脱硫する方法
及びその装置に適用できるものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の目的
を達成するため、次のように構成されている。即ち、こ
の発明は、残油又は重質油に、その沸点以下の沸点を有
する溶剤を加え、該溶剤の沸点以下の温度で残油又は重
質油と溶剤を攪拌混合して、残油又は重質油の粘度を低
下させながら残油又は重質油が含有する有機硫黄化合物
を溶剤中に移行させ、次いで、残油又は重質油と溶剤の
混合液を室温又は室温以下の温度に冷却して残油又は重
質油と有機硫黄化合物を含む溶剤とを分離し、更に、分
離した有機硫黄化合物を含む溶剤を蒸留して溶剤中の有
機硫黄化合物を回収することを特徴とする残油又は重質
油中から有機硫黄化合物を回収する方法に関する。
【0015】この残油又は重質油中から有機硫黄化合物
を回収する方法において、前記溶剤はアセトン、ピナコ
リン、メチシルオキシド、アセトフェノン、ベンゾフェ
ノン、アセチルアセトン、2−ブタノン、メタノール、
エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトニトリ
ル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、ニトロメタ
ン、ニトロエタン、ニトロプロパン、ニトロベンゼン、
ジメチルスルホキシド、N,N’−ジメチルホルムアミ
ド、N,N’−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロ
リジノン、トリメチル燐酸エステル、トリエチル燐酸エ
ステル、ヘキサメチル燐酸アミド、ホスホラン、ピリジ
ンから選択される一種又は複数種からなる物質、或いは
該物質に対して20%以下の濃度範囲で水及び/又は1
0%以下の酸類を含有させた混合物から選択されるもの
である。
【0016】また、この残油又は重質油中から有機硫黄
化合物を回収する方法において、前記溶剤の沸点以下の
温度範囲で、前記溶剤と混合した残油又は重質油は減粘
化又は液状化されるものである。
【0017】更に、この残油又は重質油中から有機硫黄
化合物を回収する方法において、回収する有機硫黄化合
物は、残油又は重質油中に含有されている元の化学構造
を維持した状態である。
【0018】ここで、残油とは、原油の常圧、又は減圧
蒸留によって得られる残油、オイルサンド類、又はター
ルサンド抽出原油の常圧又は減圧蒸留によって得られる
残油、或いはこれらの混合物、コールタールが挙げられ
る。また、ここでいう重質油とは、直留重質軽油(HG
O)、重油、減圧軽油(VGO)及びオリノコ原油、オ
イルサンド、タールサンド、オイルシェルからの抽出
油、石炭液化油の一次製品のような硫黄分を含むタール
状の重質油をいう。
【0019】使用される溶剤は、粘度の高い残油又は重
質油に対する常温(20℃)における減粘効果を有する
必要はない。即ち、残油又は重質油と溶剤との攪拌混合
時においてのみ、残油又は重質油の膨潤、減粘化が一時
的に行われて、残油又は重質油と溶剤とが溶け合い、攪
拌操作が停止されると、残油又は重質油が分離されるこ
とが重要な構成要素である。従って、残油又は重質油の
粘度の低下は、溶剤の選択に依存すると共に、残油又は
重質油の温度或いは攪拌装置による残油又は重質油の剪
断、分散又は混合能力に依存している。
【0020】また、使用される溶剤類は、残油又は重質
油のタール分に対する溶解性が小さく、有機硫黄化合物
の移動率が高く、移動速度が大きいものが望ましい。
【0021】残油又は重質油中に多く存在する化学的な
官能基に対しては、アルコール類よりもアセトン、アセ
チルアセトンのような非プロトン性双極子溶剤が高い分
配係数を示すために好ましく使用される。この場合、硫
黄官能基の2価の硫黄原子上の孤立電子対が強い求核性
を有している事実を応用し、上記の強い電子供与性をも
つ非プロトン性双極子溶媒にアルコール系溶剤、或いは
20%以下の水及び/又は有機カルボン酸、スルホン
酸、硫酸、硝酸及び塩酸から選択される酸を加えること
により、残油又は重質油中存在する有機硫黄化合物に対
する選択性を増大することができる。これは、有機硫黄
化合物が持つ求核性を利用して、本来の物理的性質、即
ち溶解性を変化させ、他の炭化水素から溶出、分離を達
成するものである。
【0022】また、溶剤類は、残油又は重質油中の有機
硫黄化合物を溶剤中に移動させる際に、少なくとも数%
の油分及び/又はタール分の移行を伴うのはやむを得ぬ
ことであり、そこでタール分が溶解した有機硫黄化合物
を含む回収溶剤から遠心分離機により油分及び/又はタ
ール分を除くことは可能である。この場合、数%の水及
び/又は酸類の添加及び/又は回収溶剤の冷却は、油分
及び/又はタール分の分離を促進させる。
【0023】この残油又は重質油中から有機硫黄化合物
を回収する方法は、残油又は重質油を溶剤と、溶剤の沸
点以内の温度で攪拌混合した後、常温(20℃)、又は
常温以下の温度に冷却した後に、分離した溶剤を蒸留
し、溶剤は冷却して再使用に供し、蒸留残渣中の有機硫
黄化合物を濃縮し、分離する。
【0024】又は、この発明は、残油又は重質油、溶
剤、水及び/又は酸類から選択される溶剤添加剤を加熱
しつつ混合して混合液を生成する反応槽と、該反応槽で
生成された混合液を冷却して、油分と有機硫黄化合物を
含む溶剤とを分離する分離装置と、分離された有機硫黄
化合物を含む溶剤からタール分を除去して排出する遠心
分離機と、該遠心分離機によってタール分が除去された
有機硫黄化合物を含む溶剤を蒸発させて溶剤と有機硫黄
化合物とを分離回収する分離溶剤蒸留槽と、から構成し
たことを特徴とする残油又は重質油の有機硫黄化合物を
回収する装置に関する。
【0025】
【作用】この発明による残油又は重質油から有機硫黄化
合物を回収する方法及びその装置は、上記のように構成
されており、次のように作用する。即ち、この発明で
は、残油又は重質油の室温における粘性が、30〜10
0℃間の温度で急速に低下し、また、攪拌機によって攪
拌操作が可能となる残油又は重質油の粘性の温度特性は
35℃付近である。そこで、これらの点に基づいて残油
又は重質油に含有される有機硫黄化合物に対して溶解度
の大きい溶剤を選択し、選択した溶剤を残油又は重質油
に加え、更に、該溶剤の沸点以下の温度で攪拌混合する
ことにより、残油又は重質油を攪拌時においてのみ一時
的に減粘化させ、残油又は重質油中に存在する有機硫黄
化合物を前記溶剤中に効率的に移動させるものである。
即ち、この残油又は重質油から有機硫黄化合物を回収す
る方法は、物質移動による残油又は重質油中の有機硫黄
化合物の回収方法であり、残油又は重質油から有機硫黄
化合物を除去する脱硫方法に適用することもできるもの
である。
【0026】
【実施例】以下、図面及び表を参照して、この発明によ
る残油又は重質油から有機硫黄化合物を回収する方法及
びその装置を説明する。図1はこの発明による残油又は
重質油中から有機硫黄化合物を回収する方法を達成する
ための回収装置を示すシステム図、及び図2はこの発明
による残油又は重質油中から有機硫黄化合物を回収する
方法を、溶媒としてアセトンを使用して、水の存在比に
よる重質油中の硫黄含有量を示したグラフである。
【0027】この残油又は重質油から有機硫黄化合物を
回収する方法において、まず、添加剤タンク13から溶
剤タンク2に添加剤を投入すると共に、溶剤タンク2か
ら反応槽5に添加剤を加えた溶剤を投入する。一方、残
油又は重質油を入れているタンク1から反応槽5に残油
又は重質油を投入する。反応槽5に投入された残油又は
重質油と溶剤とを、加熱装置4によって加熱しつつ、剪
断と分散の機能を有する攪拌機3によって残油又は重質
油と溶剤とを攪拌して混合液にし、残油又は重質油を膨
潤させ、液状化させた後に、混合液を静止タンク6へ移
す。静止タンク6の上層に混合液から分離した有機硫黄
化合物を含む溶剤を分離溶剤タンク7に移し、脱硫され
た残油を脱硫残油タンク12に移す。次いで、分離され
た有機硫黄化合物を含む溶剤は、遠心分離機8によって
タール分を除去して分離タールを分離タール槽11に排
出すると共に、タール分を除去された有機硫黄化合物を
含む溶剤を分離溶剤蒸留槽9に移す。そこで、分離溶剤
蒸留槽9によって有機硫黄化合物を含む溶剤を蒸留し、
その蒸留によって回収された溶剤を溶剤タンク2へ戻
し、回収された添加剤を添加剤タンク13へ戻すと共
に、蒸留残渣を有機硫黄化合物として回収有機硫黄化合
物タンク10に回収する。また、遠心分離機8によって
タール分を除去した有機硫黄化合物を含む溶剤を冷却タ
ンク14によって冷却して、溶剤中に溶解している油分
を凝固させ、更に遠心分離機15によって分離し、分離
した油分を脱硫残油タンク12に導くことにより、蒸留
残渣として回収する有機硫黄化合物に混入する油分を減
少させることができる。また、添加剤の投入は、反応槽
において、残油及び/又は重質油と溶剤が混合された後
でも良く、或いは冷却タンク13中の溶剤への投入でも
良い。
【0028】以下、この発明による残油又は重質油から
有機硫黄化合物を回収する方法の実施例を説明する。 〔実施例1〕反応槽5に、直蒸留残油(硫黄分4420
0ppm)の300gを入れ、アセトン300ml、水
6mlを加え、これらを50℃に熱し、プロペラ形攪拌
機3によって2000rpmで30秒間、攪拌混合して
混合液とした後に、該混合液を室温(20℃)になるま
で静止冷却し、該混合液から上層に分離した有機硫黄化
合物を含むアセトンを取り出す。この操作を6回繰り返
した後、遠心分離機8を3000rpmで運転して遠心
分離によって、6回分の有機硫黄化合物を含有する分離
アセトンからタール分を除去した後に、温度60℃で蒸
留し、蒸留残渣として有機硫黄化合物を回収した。処理
した残油中の硫黄分は、1260ppmであり、残油中
に含まれる有機硫黄化合物の回収率は硫黄換算で97%
であった。
【0029】〔実施例2〕反応槽5に、直蒸留残油(硫
黄分44200ppm)の300gを入れ、エタノール
300ml、水6mlを加え、これらを60℃に熱し、
プロペラ形攪拌機3によって2000rpmで30秒
間、攪拌混合して混合液とした後に、該混合液を室温
(20℃)になるまで静止冷却し、該混合液から上層に
分離した有機硫黄化合物を含むエタノールを取り出す。
この操作を7回繰り返した後に、遠心分離機(3000
rpm)を運転して遠心分離によって、7回分の有機硫
黄化合物を含有する分離エタノールからタール分を除去
した後、温度80℃で蒸留し、蒸留残渣として有機硫黄
化合物を回収した。処理した残油中の硫黄分は、314
0ppmであり、残油中に含まれる有機硫黄化合物の回
収率は硫黄換算で93%であった。
【0030】〔実施例3〕反応槽5に、直蒸留残油(硫
黄分44200ppm)の300gを入れ、アセトン3
00mlを加え、これらを50℃に熱し、プロペラ形攪
拌機3によって2000rpmで60秒間、攪拌混合し
て混合液とした後に、該混合液を−5℃に冷却し、該混
合液から上層に分離した有機硫黄化合物を含む溶剤を取
り出す。この操作を7回繰り返した後に、7回分の有機
硫黄化合物を含有する分離溶剤を温度80℃で蒸留し、
分離溶剤から蒸留残渣として有機硫黄化合物を回収し
た。処理した残油中の硫黄分は、1550ppmであ
り、残油中に含まれる有機硫黄化合物の回収率は硫黄換
算で96.6%であった。
【0031】〔実施例4〕反応槽5に、直蒸留残油(硫
黄分44200ppm)の300gを入れ、エタノール
270ml、メチシルオキシド30mlを加え、これを
60℃に加熱し、プロペラ形攪拌機3によって3000
rpmで60秒間、攪拌混合して混合液とした後に、該
混合液を10℃に冷却し、該混合液から上層に分離した
有機硫黄化合物を含む溶剤を取り出す。この操作を7回
繰り返し、7回分の有機硫黄化合物を含有する分離溶剤
を温度130℃で蒸留し、蒸留残渣として、有機硫黄化
合物を回収した。処理した残油中の硫黄分は、1820
ppmであり、残油中に含まれる有機硫黄化合物の回収
率は硫黄換算で96%であった。
【0032】〔実施例5〕反応槽5に、直蒸留残油(硫
黄分44200ppm)の300gを入れ、エタノール
280ml、アセトフェノン20ml、水6mlを加
え、これらを60℃に熱し、プロペラ形攪拌機3によっ
て2000rpmで30秒間、攪拌混合して混合液とし
た後に、該混合液を10℃に冷却し、該混合液から上層
に分離した有機硫黄化合物を含む溶剤を取り出す。この
操作を7回繰り返した後に、遠心分離機8を3000r
pmで運転して遠心分離によって、7回分の有機硫黄化
合物を含有する分離溶剤からタール分を除去した後に、
温度210℃で蒸留し、蒸留残渣として有機硫黄化合物
を回収した。処理した残油中の硫黄分は、1910pp
mであり、残油中に含まれる有機硫黄化合物の回収率は
硫黄換算で95.7%であった。
【0033】〔実施例6〕反応槽5に、直蒸留残油(硫
黄分44200ppm)の300gを入れ、エタノール
290ml、2−ブタノン10ml、水6ml、蟻酸1
mlを加え、これらを60℃に熱し、プロペラ形攪拌機
3によって3000rpmで30秒間、攪拌混合して混
合液にした後に、該混合液を5分間静止し、該混合液の
上層に分離した有機硫黄化合物を含む溶剤を取り出す。
この操作を7回繰り返した後に、遠心分離機8を300
0rpmで運転して遠心分離によって、7回分の有機硫
黄化合物を含有する分離溶剤からタール分を除去した
後、温度90℃で蒸留し、蒸留残渣として有機硫黄化合
物を回収した。処理した残油中の硫黄分は、1880p
pmであり、残油中に含まれる有機硫黄化合物の回収率
は硫黄換算で95.8%であった。
【0034】〔実施例7〕反応槽に、直留重質軽油(H
GO、硫黄分17000ppm)300ccをとり、5
0℃に加熱し、プロペラ形攪拌機3により、1000r
pmの攪拌を行いながら、アセトン300ccを注入し
更に30秒間攪拌を行った後に、該混合液を5分間静止
し、下層に沈積した重質油Aの上層に分離した有機硫黄
化合物と、油分とを含む溶剤を取り出す。これに更に1
%の水を添加し、1000rpmで30秒間攪拌した
後、10分間静止し、油分Bが沈積した上層部の有機硫
黄化合物を含む溶剤を取り出す。更にこれを−5℃に冷
却し、下層に沈積する油分Cの上層部の有機硫黄化合物
を含む溶剤を分離する。油分A、油分B、油分Cをそれ
ぞれ加熱、等量のアセトン注入、攪拌、冷却を5回繰り
返した後、脱硫油分として併せる。処理したHGOの中
の硫黄分は680ppmであり、HGO中に含まれる有
機硫黄化合物の回収率は硫黄換算で96%であった。
【0035】〔実施例8〕反応槽に減圧軽油(VGO、
硫黄分24000ppm)300gを入れ、50℃に加
熱し、プロペラ形攪拌機3によって、1000rpmで
攪拌しながらアセトン300ccを注入し、30秒間攪
拌を行った後に、該混合液を5分間静止し、沈積した重
質油分Aの上層に分離した有機硫黄化合物と油分を含む
溶剤を取り出す。これに1%の水を加え、攪拌機によっ
て1000rpm、30秒間攪拌した後、5分間静止
し、油分Bが沈積した上層部の有機硫黄化合物を含む溶
剤を取り出す。これを更に−5℃に冷却して、下層部に
Bよりやや軽質の油分Cを得て、上層部の有機硫黄化合
物を含む溶剤を取り出す。油分A、油分B、油分Cをそ
れぞれ加熱、等量のアセトン添加、攪拌、冷却、溶剤分
離を5回繰り返した後、油分A、油分B、油分Cを併せ
て脱硫VGOを得る。処理したVGOの中の硫黄分は7
20ppmであり、VGO中に含まれる有機硫黄化合物
の回収率は硫黄換算で97%であった。
【0036】〔実施例9〕溶剤別の有機硫黄化合物に対
する抽出能力をあらわす実施例を示す。30mlの栓付
きメスシリンダにA重油(硫黄含有量6200ppm)
15ml、アセトン15mlを加え、30分間超音波を
照射しながら5分間隔で攪拌した。その後、水0.15
mlを加え攪拌し、一昼夜放置後、重油層を採取し、水
洗し、乾燥した。また、これと同一の方法によってN,
N’−ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリ
ル、リン酸トリメチル、ニトロメタン、メタノール、ヘ
キサメチル燐酸アミド(HMPA)、酢酸、ピリジン、
N−メチルピロリジノン(NMP)による処理を行っ
た。これらの溶剤別の脱硫(有機硫黄化合物の回収)の
結果を処理A重油中の硫黄含有量によって表1に示す。
【表1】
【0037】〔実施例10〕A重油(硫黄含有量620
0ppm)中の有機硫黄化合物の回収(脱硫)溶媒をア
セトンによる場合、水の存在比による影響を表2及び図
2に示す。
【表2】
【0038】
【発明の効果】この発明による残油又は重質油中から有
機硫黄化合物を回収する方法及びその装置は、上記のよ
うに構成されているので、次のような効果を有する。即
ち、この発明は、残油又は重質油中に含有される有機硫
黄化合物を簡易な設備を使用して高効率に有機硫黄化合
物を回収することができ、しかも、低廉なコストで残油
又は重質油中に含まれる有機硫黄化合物の元の化学構造
を維持したまま回収することができる。また、回収され
た有機硫黄化合物は、医薬、農薬、耐熱性樹脂等の製造
分野で工業的に有用な原料として使用することができ
る。
【0039】更に、この発明は、残油又は重質油を回収
する有機硫黄化合物を脱硫という観点から見れば、簡易
な設備を用いた簡単な回収方法及びその回収装置であ
り、残油又は重質油からの有機硫黄化合物の回収工程に
おいて、残油又は重質油を高温にしたり、高圧にするこ
との必要性がなく、回収工程におけるエネルギー消費も
少なく、コークの発生も見られず、水素還元の必要のな
い脱硫法であり、その経済的効果は著しいものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による残油又は重質油中から有機硫黄
化合物を回収する方法を達成するための回収装置を示す
システム図である。
【図2】この発明による残油又は重質油中から有機硫黄
化合物を回収する方法を、溶媒としてアセトンを使用し
て、水の存在比による重質油中の硫黄含有量を示したグ
ラフである。
【符号の説明】
1 残油タンク 2 溶剤タンク 3 反応槽攪拌機 4 反応槽加熱装置 5 反応槽 6 静止タンク 7 分離溶剤タンク 8 遠心分離機 9 分離溶剤蒸留槽 10 蒸留残渣としての回収有機硫黄化合物タンク 11 分離タール槽 12 脱硫残油タンク 13 水及び/又は酸類などの溶剤添加剤タンク 14 有機硫黄化合物と油分を含む溶剤冷却タンク 15 遠心分離機

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 残油又は重質油に、その沸点以下の沸点
    を有する溶剤を加え、該溶剤の沸点以下の温度で残油又
    は重質油と溶剤を攪拌混合して、残油又は重質油の粘度
    を低下させながら残油又は重質油が含有する有機硫黄化
    合物を溶剤中に移行させ、次いで、残油又は重質油と溶
    剤の混合液を室温又は室温以下の温度に冷却して残油又
    は重質油と有機硫黄化合物を含む溶剤とを分離し、更
    に、分離した有機硫黄化合物を含む溶剤を蒸留して溶剤
    中の有機硫黄化合物を回収することを特徴とする残油又
    は重質油中から有機硫黄化合物を回収する方法。
  2. 【請求項2】 前記溶剤はアセトン、ピナコリン、メチ
    シルオキシド、アセトフェノン、ベンゾフェノン、アセ
    チルアセトン、2−ブタノン、メタノール、エタノー
    ル、プロパノール、ブタノール、アセトニトリル、プロ
    ピオニトリル、ブチロニトリル、ニトロメタン、ニトロ
    エタン、ニトロプロパン、ニトロベンゼン、ジメチルス
    ルホキシド、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,
    N’−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノ
    ン、トリメチル燐酸エステル、トリエチル燐酸エステ
    ル、ヘキサメチル燐酸アミド、ホスホラン、ピリジンか
    ら選択される一種又は複数種からなる物質、或いは該物
    質に対して20%以下の濃度範囲で水及び/又は10%
    以下の酸類を含有させた混合物から選定されることを特
    徴とする請求項1に記載の残油又は重質油中から有機硫
    黄化合物を回収する方法。
  3. 【請求項3】 前記溶剤の沸点以下の温度範囲におい
    て、前記溶剤と混合した残油又は重質油を減粘化又は液
    状化することを特徴とする請求項1及び2のいずれかの
    項に記載の残油又は重質油中から有機硫黄化合物を回収
    する方法。
  4. 【請求項4】 回収させる有機硫黄化合物は、残油又は
    重質油中に含有されている元の化学構造を維持した状態
    であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に
    記載の残油又は重質油中から有機硫黄化合物を回収する
    方法。
  5. 【請求項5】 残油又は重質油中に含まれる有機硫黄化
    合物の求核性を利用して、その本来の物理的性質である
    溶解性を変化させることによって、残油又は重質油から
    溶出分離を行うことを特徴とする請求項1及び2のいず
    れかの項に記載の残油又は重質油から有機硫黄化合物を
    回収する方法。
  6. 【請求項6】 残油又は重質油と溶剤とを混合し、残油
    又は重質油中に含まれる有機硫黄化合物を移行させた溶
    剤に水及び/又は酸類を添加して、溶剤中に溶解してい
    る油分と、溶剤との凝集エネルギー差を拡大して、油分
    と有機硫黄化合物を含む溶剤とが、それぞれ凝集し分離
    することを特徴とする請求項1に記載の残油又は重質油
    から有機硫黄化合物を回収する方法。
  7. 【請求項7】 残油又は重質油と溶剤とを混合し、残油
    又は重質油中に含まれる有機硫黄化合物を移行させた溶
    剤を冷却して、溶剤中に溶解している油分を凝固させて
    該溶剤から油分を分離することを特徴とする請求項1に
    記載の残油又は重質油から有機硫黄化合物を回収する方
    法。
  8. 【請求項8】 残油又は重質油、溶剤、水及び/又は酸
    類から選択される溶剤添加剤を加熱しつつ混合して混合
    液を生成する反応槽と、該反応槽で生成された混合液を
    冷却して残油又は重質油と有機硫黄化合物を含む溶剤を
    分離する分離装置と、分離された有機硫黄化合物を含む
    溶剤からタール分を除去して排出する遠心分離機と、該
    遠心分離機によってタール分が除去された有機硫黄化合
    物を含む溶剤を蒸発させて溶剤と有機硫黄化合物とを分
    離回収する分離溶剤蒸留槽と、から構成したことを特徴
    とする残油又は重質油から有機硫黄化合物を回収する装
    置。
JP30160794A 1993-11-24 1994-11-11 残油又は重質油から有機硫黄化合物を回収する方法及びその装置 Expired - Fee Related JP2928466B2 (ja)

Priority Applications (6)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP30160794A JP2928466B2 (ja) 1993-11-24 1994-11-11 残油又は重質油から有機硫黄化合物を回収する方法及びその装置
CA002159785A CA2159785C (en) 1994-11-11 1995-10-03 Process for recovering organic sulfur compounds from fuel oil and equipment therefor
US08/538,370 US5753102A (en) 1994-11-11 1995-10-03 Process for recovering organic sulfur compounds from fuel oil
DE0711819T DE711819T1 (de) 1994-11-11 1995-10-05 Verfahren und Einrichtung zur Gewinnung von organischen Schwefelverbindungen aus Heizöl
EP95307064A EP0711819B1 (en) 1994-11-11 1995-10-05 Process for recovering organic sulfur compounds from fuel oil and equipment therefor
DE69524848T DE69524848T2 (de) 1994-11-11 1995-10-05 Verfahren und Einrichtung zur Gewinnung von organischen Schwefelverbindungen aus Heizöl

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31579493 1993-11-24
JP5-315794 1993-11-24
JP30160794A JP2928466B2 (ja) 1993-11-24 1994-11-11 残油又は重質油から有機硫黄化合物を回収する方法及びその装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07197035A true JPH07197035A (ja) 1995-08-01
JP2928466B2 JP2928466B2 (ja) 1999-08-03

Family

ID=26562773

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP30160794A Expired - Fee Related JP2928466B2 (ja) 1993-11-24 1994-11-11 残油又は重質油から有機硫黄化合物を回収する方法及びその装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2928466B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP2928466B2 (ja) 1999-08-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA2159785C (en) Process for recovering organic sulfur compounds from fuel oil and equipment therefor
US4352729A (en) Process for hydrotreating heavy hydrocarbons in the presence of a molybdenum containing catalyst
EP3374470B1 (en) Method to remove metals from petroleum
US4285804A (en) Process for hydrotreating heavy hydrocarbons in liquid phase in the presence of a dispersed catalyst
JPS6214600B2 (ja)
US20070267327A1 (en) Heavy Oil Upgrading Process
JPH05192591A (ja) アルミナ担持水素化処理用廃触媒の再活性化方法
JPH08199185A (ja) 使用済油の精製方法および装置
WO2010142397A2 (en) Process for recovering metals from a stream rich in hydrocarbons and carbonaceous residues
JPS61261391A (ja) 熱分解改質油の製法
KR101568615B1 (ko) 중질 탄화수소 유분의 연속적 처리 방법
JP2002533528A (ja) 石油ストリームの金属含有量を低減する方法
US2201050A (en) Process for producing carbonaceous material
US3240718A (en) Regeneration and recovery of catalyst from sludge
US2615831A (en) Desulfurization of hydrocarbon mixtures with nickel carbonyl
JP2002533527A (ja) 石油ストリームの脱金属方法
NL8105848A (nl) Werkwijze voor de kwaliteitsverbetering van koolwaterstofhoudende olien met een water bevattende vloeistof.
JP2928466B2 (ja) 残油又は重質油から有機硫黄化合物を回収する方法及びその装置
CN103842481B (zh) 使用超临界水的砜裂化
CA2784204C (en) Process for recovering metals from a stream rich in hydrocarbons and carbonaceous residues
JPS58147492A (ja) 石炭抽出方法
JP2928467B2 (ja) 軽質油及び/又は重質油から有機硫黄化合物を回収する方法及びその装置
US4145277A (en) Denitrification by furfural-ferric chloride extraction of a hydrodesulfurized hydrocarbonaceous oil
JPS6340468B2 (ja)
JP2001247876A (ja) 液状油中の有機硫黄化合物を分離回収する方法及びその装置

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees