JPH07194908A - 捕集性空間層を有する平行流式フィルタ - Google Patents

捕集性空間層を有する平行流式フィルタ

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JPH07194908A
JPH07194908A JP5350119A JP35011993A JPH07194908A JP H07194908 A JPH07194908 A JP H07194908A JP 5350119 A JP5350119 A JP 5350119A JP 35011993 A JP35011993 A JP 35011993A JP H07194908 A JPH07194908 A JP H07194908A
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filter
filter medium
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liquid
treated
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JP5350119A
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English (en)
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Akinori Minami
彰則 南
Noritoshi Kimura
文紀 木村
Tadaaki Akusawa
匡章 阿久沢
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Japan Vilene Co Ltd
Original Assignee
Japan Vilene Co Ltd
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  • Filtration Of Liquid (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 平行流式フィルタを提供する。 【構成】 被処理液体の流れ方向Bに実質的に平行に設
けた濾材層11と、間隔保持材21によって前記濾材層
間に形成され、被処理液体の流入面Sから流出面Tまで
貫通している捕集性空間層31とを含む。 【効果】 大量の被処理液体を長期間にわたって処理し
て、濾材層が粒子によって目詰まりしても、被処理液体
の流入面から流出面まで貫通する捕集性空間層を有して
いるので、流路が簡単に遮断されることがない。捕集性
空間層でも粒子の捕集が行われるので、高い捕集効率を
得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、濾材層と捕集性空間層
とを含む平行流式フィルタに関する。本発明によるフィ
ルタは、前記の濾材層と捕集性空間層との界面に平行な
方向へ被処理液体を通過させて行う濾過処理に用いるこ
とができる。
【0002】
【従来の技術】従来から、濾材層を被処理液体の流れ方
向と平行に設けると共に、濾材層以外に空間層(又は間
隙やスペース)を含む平行流濾過方式のフィルタが知ら
れている。例えば、特公昭60−34883号公報に
は、スペーサー材を介在させて濾材を巻回積層し、濾材
間に空間を形成したフィルタエレメントが記載されてい
る。また、特公昭61−29764号公報には、波型と
平板の濾材を巻回積層してハニカム状にし、濾材間に空
間を形成したオイルフィルタが記載されている。更に、
特公昭60−39408号公報に記載の平行流濾過器で
は、筒状支持体の外周に植毛濾布を装着した濾過筒を外
筒内に収納しているので、筒状支持体の内部の空間、及
び筒状支持体外周の濾布表面と外筒内面との間に形成さ
れる間隙が存在する。
【0003】前記の各特許公報に記載のフィルタを始め
として、従来の平行流式フィルタでは、空間層や間隙に
流入した被処理流が、少なくとも一度は濾材層を通過し
た後にフィルタから流出する構造をとっている。すなわ
ち、空間層や間隙だけを通過させ、濾材層を一度も横断
させずにフィルタから流出させることが可能な構造には
なっていない。
【0004】例えば、前記の特公昭60−34883号
公報記載のフィルタエレメントでは、濾材間の空間(ス
ペース)に流入した被処理液体が、濾材間空間の端部に
設けてあるスペーサー材に突き当たって流路を妨げられ
るので、両側面の濾材を横断して通過した後に、フィル
タエレメントから流出される。また、前記の特公昭61
−29764号公報記載のオイルフィルタでも、一端が
開放され他端が閉塞された多数の流路から形成されてい
るので、その流路空間に流入したオイルは必ず両側面の
濾紙を通過する。更に、前記の特公昭60−39408
号公報記載の平行流濾過器でも、外筒又は筒状支持体の
両端が閉鎖されているので、いずれに流入した被処理液
体又は洗浄液も、必ず濾布を横断する。すなわち、従来
の平行流式フィルタにおいて空間層(又は間隙やスペー
ス)は、主に被処理液体の流路としての作用を有してい
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような従来の平行
流式フィルタでも、垂直流式フィルタ、すなわち被処理
液体を濾過面に対して垂直方向に通過させるフィルタと
比べれば、圧力損失が増大しにくい構造を有している。
しかし、従来の平行流式フィルタで大量の被処理液体を
処理する場合には、被処理液体が必ず通過する濾材部分
で目詰りが生じて流路を塞ぎ、圧力損失が増大するた
め、使用寿命が短いという欠点が依然として存在した。
特に、被処理液体を流路内で循環させ、流路途中に設け
たフィルタにより捕集対象粒子を捕集する循環型フィル
タでは、大量の液体を循環させながら処理する必要があ
るので、従来の平行流式フィルタではすぐに目詰りし、
一定の流量を確保することができないという問題があっ
た。
【0006】本発明者は、従来の平行流式フィルタの前
記欠点を解消するべく鋭意研究を続けた結果、従来の平
行流式フィルタにおける空間層(又は間隙やスペース)
とは全く異なる機能を有する空間層を設けることによ
り、充分な濾過性能を維持したまま、圧力損失の増大を
改善することができることを見出した。本発明はこうし
た知見に基づくものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、
(1)被処理液体の流れ方向に実質的に平行に設けた濾
材層と、(2)間隔保持材によって前記濾材層間に形成
され、被処理液体の流入面から流出面まで貫通している
捕集性空間層とを含むことを特徴とする、フィルタに関
する。
【0008】以下、添付図面に沿って本発明を詳細に説
明する。図1に示す本発明の1態様である平行流式フィ
ルタ1は、濾材層11と、濾材支持体12と、間隔保持
材21と、捕集性空間層31とからなり、例えば、図2
又は図3に示すように、容器41内に装着して使用する
ことができる。すなわち、支持体12によって形状保持
されている濾材層11を、間隔保持材21により所定の
間隔を開けて固定すれば、一組の濾材層11−支持体1
2と別の一組の濾材層11−支持体12との間(従っ
て、前者の支持体12と後者の濾材層11との間)に空
間層31が形成される。
【0009】図1〜図3には、濾材層11−支持体12
の組み合わせを順々に配列して、空間層31を支持体1
2と濾材層11との間につぎつぎと形成する態様を示し
たが、濾材層11−支持体12の組み合わせの隣に支持
体12−濾材層11の組み合わせを配置し、更にその隣
に濾材層11−支持体12を配置して、空間層31を支
持体12と支持体12との間、及び濾材層11と濾材層
11との間に順々に形成させることもできる。また、濾
材層11の内部に支持体12を配置してもよい。更に、
濾材層11それ自体が形状保持性を有している場合に
は、支持体12を使用する必要はない。これらの場合に
は、濾材層11の間に空間層31が形成される。
【0010】図2及び図3に示すように、本発明による
平行流式フィルタ1を容器41内に装着して被処理液体
を挿入口42から矢印Aの方向に流入させると、被処理
液体は、濾材層11及び捕集性空間層31の両者に流入
するが、通液抵抗の小さい捕集性空間層31の方に優先
的に流れる。従って、被処理液体が平行流式フィルタ1
内を流れる方向は、全体的に見て、被処理液体流が平行
流式フィルタ1の流入面Sに衝突する角度には実質的に
影響されず、むしろ捕集性空間層31が設けられている
方向に実質的に影響される。すなわち、図2に示すよう
に、捕集性空間層31が被処理液体の流入方向Aと平行
に設けられていれば、平行流式フィルタ1内での被処理
液体の流れ方向Bは、被処理液体の流入方向Aと平行に
なる。しかし、図3に示すように、捕集性空間層31が
被処理液体の流入方向Aに対して偏向して設けられてい
れば、平行流式フィルタ1内での被処理液体の流れ方向
Bは、被処理液体の流入方向Aに対して偏向する。
【0011】従って、本明細書において、濾材層を被処
理液体の流れ方向Aに実質的に平行に設けるとは、平行
流式フィルタ1内での被処理液体の流れ方向Bが、捕集
性空間層31を設けた方向と実質的に一致する態様を保
証することを意味し、被処理液体が平行流式フィルタ1
の流入面Sに衝突する方向や角度とは無関係である。し
かしながら、圧力損失の観点から、平行流式フィルタ1
の流入面Sに衝突する被処理液体流の方向Aと捕集性空
間層31との方向が約30°以下の偏向範囲内であるの
が好ましく、ほぼ平行にして使用するのが最も好まし
い。また、本明細書において、フィルタに関して「平行
流式」とは、前記と同様の意味で、フィルタ1内での被
処理液体の流れ方向Bが、捕集性空間層31を設けた方
向(従って、濾材層11を設けた方向)と実質的に一致
する態様が保証されているフィルタを意味する。
【0012】捕集性空間層31の表面は、濾材層11の
濾材露出表面からなるか、又は少なくとも濾材露出表面
を含んでいる。例えば、図1〜図3に示す態様では、捕
集性空間層31の片側面が濾材露出表面からなり、他側
面もネットなどの支持体により一部は遮られているが、
実質的には被処理液体との接触が可能な濾材露出表面か
らなる。従って、捕集性空間層31内を流れる被処理液
体は濾材層11の濾材露出表面と接触し、被処理液体中
に含まれる捕集対象粒子の内、比較的大きな粒子が濾材
表面に捕集される。一方、平行流式フィルタ1の流入面
Sや捕集性空間層31から濾材層11内部に流入した被
処理液体からは、捕集対象粒子の内、比較的小さな粒子
も捕集される。こうして濾過処理された清浄化液体は、
流出口43から矢印Cの方向へ排出される。こうした濾
過処理によって、特に濾材層11では粒子の捕集に伴っ
て目詰りが進行するが、被処理液体は主として捕集性空
間層31を流れ、この空間層31はフィルタ1の流入面
Sから流出面Tまで貫通しているので、通液抵抗を著し
く増大させることがなく、長い期間に渡って一定の処理
流量を確保することができる。
【0013】本発明の平行流式フィルタの別の態様を図
4に示す。図4の平行流式フィルタ1は、長尺シート状
の濾材層11を、所定の間隔を開けながら巻回積層して
形成した円柱状フィルタである。また、円柱状フィルタ
の上面及び/又は底面に、直径方向に相互に交差する2
本の間隔保持材21を設けて濾材層11を保持し、濾材
層11間の間隔、すなわち捕集性空間層31の形状を保
持する。なお、直径の異なる多数の中空円筒状濾材層1
1を、所定の間隔(捕集性空間層31)を開けながら同
心円状に積層して、円柱状フィルタを形成することもで
きる。これらの円柱状フィルタの場合にも、濾材層11
の何れか一面又は内部に支持体12を設けることができ
る。
【0014】本発明の平行流式フィルタの更に別の態様
を図5に示す。図5の円柱状フィルタ1は、円柱の中心
線に間隔保持材21として濾材層を接合するシール部を
設けて捕集性空間層31を保持し、円柱の中心線から放
射状に交互に濾材層11と捕集性空間層31とを配置し
た構造となっている。その他、多数の四角柱状の濾材層
11を、所定の間隔(捕集性空間層31)を開けながら
配置し、各四角柱状濾材層11の側面に設けた突起状間
隔保持材21によって捕集性空間層31の形状を保持
し、横断面が濾材層11と捕集性空間層31とで市松模
様を構成するフィルタも本発明に含まれる。また、前記
の四角柱状濾材層11に代えて、三角柱状又は六角柱状
などの多角柱状の濾材層11から同様のフィルタを形成
することもできる。
【0015】本発明による平行流式フィルタの濾材層に
用いることのできる濾材は、その内部だけでなく、その
表面でも捕集対象粒子を捕集することのできる濾材であ
れば特に制限されないが、繊維材料からなる濾材が好ま
しい。特に、繊維が三次元的に絡み合って内部に微小な
空隙を多数形成していると共に、繊維が表面に多数突出
した構造を有する不織布濾材を用いるのが好ましい。
【0016】不織布濾材としては、構成繊維を機械的に
絡合して調製した、見かけ密度0.03〜0.3g/c
3 の不織布が好ましい。繊維を機械的に絡合する手段
としては、ニードルパンチ法や水流絡合法などを用いる
ことができ、繊維を三次元的に絡合すると共に、繊維層
表面に多数の繊維が突出した構造を形成することができ
る。なお、繊維層の強度を高めるために接着性繊維やバ
インダーによる接着を併用してもよいが、濾材層表面に
突出する繊維(表面の繊維毛羽)を押えたり、濾材層内
部の空隙を塞がないようにすることが望ましい。濾材層
にはバフ処理などにより表面に起毛処理を施こすのが好
ましい。これは、微細な繊維を、被処理液体の主たる流
路となる捕集性空間層に多く突出させることにより、粒
子の捕集能力を増大することができるからである。
【0017】濾材層の見かけ密度が0.3g/cm3
超えると、通液抵抗が大きくなりすぎて、被処理液体が
濾材層内部に入りにくくなり、特に濾材層内部での粒子
の捕集効率が低下する。見かけ密度が0.03g/cm
3 より小さくなると、特に濾材層内部での小さな粒子の
捕集が困難となる。濾材層の特に望ましい見かけ密度は
0.08〜0.25g/cm3 である。見かけ密度がこ
の範囲内の濾材層は、特に濾材層内部での小さな粒子も
含めた粒子の捕集効率がよくなるので好ましい。
【0018】濾材層を構成する繊維としては、平均繊度
が0.01〜1.5デニールの微細繊維を用いることが
望ましい。上記範囲の平均繊度の繊維を用いると、機械
的な絡合手段によって高い絡合度の繊維層を形成するこ
とが可能となり、その結果、内部に微小な空隙を多数有
すると共に、表面に細い繊維が多数突出した構造を有す
る繊維層を得ることができる。平均繊度が1.5デニー
ルを超えると、濾材層の内部及び表面で1μm未満の微
小な粒子の高い効率での捕集が困難になり、平均繊度が
0.01デニール未満になると機械的な絡合手段によっ
て均一な構造の繊維層を形成することが困難となる。濾
材層を構成する繊維の平均繊度は0.01〜1.0デニ
ールの範囲にあることが特に望ましい。平均繊度がこの
範囲内の繊維から構成される濾材層は、濾材層の内部及
び表面で、特に微小な粒子の捕集効率が高くなるので好
ましい。
【0019】なお、上記濾材層には、機械的、熱的又は
化学的処理により分割することができる分割繊維を、部
分的又は全体的に含有させるのが好ましい。分割繊維を
用いると、繊維層を形成するまでは取扱い性の良好な太
い繊度の状態で取扱うことができ、繊維層を形成した後
に分割処理によって繊度を小さくすることができる。分
割された微細な繊維は、繊維層の表面及び内部で、より
小さな粒子の捕集を可能にすると共に、濾材層全体の表
面積を増大することによって捕集効率を向上させること
ができる。分割繊維の含有量は多ければ多いほどその効
果が高く、濾材層を構成する繊維の50%以上、特には
100%を分割繊維とするのが好ましい。
【0020】分割繊維としては、断面形状が2以上の樹
脂成分が所定の配置で貼り合わされた構造のものや、一
方の樹脂成分中に他方の樹脂成分が島状に多数分布した
海島構造のものなどを用いることができる。一般に前者
は樹脂の性質の違いを利用して、機械的、熱的又は化学
的な衝撃により各樹脂成分ごとの繊維に分割され、後者
は海成分の樹脂を溶剤などにより抽出し、島成分の樹脂
からなる繊維を残すことで分割される。分割繊維の分割
は全面的に行ってもよいが、繊維の先端部分などの一部
分だけを分割してもよく、機械的衝撃などによって分割
させる場合には、繊維の一部分が分割される場合が多
い。具体的には、ポリエステル系樹脂成分とポリアミド
系樹脂成分とからなる、断面形状がオレンジ型の分割繊
維や、海成分がポリエステル系樹脂成分で島成分がポリ
アミド樹脂成分である海島型分割繊維や、海成分がポリ
スチレン系樹脂成分で島成分がポリアミド樹脂成分であ
る海島型分割繊維などを用いるのが好ましい。例えば、
ポリエステル系樹脂成分とポリアミド系樹脂成分とから
なり、断面形状がオレンジ型の分割繊維は、機械的な衝
撃により0.05〜0.5デニール程度の繊維に分割す
るため、水流絡合処理などにより繊維を絡合すると同時
に繊維を分割することができるので特に好ましい。
【0021】また、被処理液体が水系である場合には、
濾材層を構成する繊維に、ポリアミド樹脂、ポリビニル
アルコール樹脂、タンパク質などの親水成分を含む複合
繊維、あるいはポリアミド繊維、レーヨン繊維、綿、羊
毛、絹などの親水性繊維が含まれていることが望まし
い。これは、濾材層を構成する繊維がすべて疎水性繊維
で構成されていると、水系液体との濡れ性が悪くなり、
被処理液体が濾材層内に入りにくくなって、十分な濾過
効率が得られなくなることがあるからである。ただし、
被処理液体によって分解したり、大幅に変形したりしな
い、耐水性のある繊維を用いることが望ましい。
【0022】濾材層を構成する繊維に、表面処理(例え
ば、カチオン化処理)を行い、粒子吸着性を向上させ、
より微小な粒子の捕集を容易にして、濾材層内部及び捕
集性空間層との接触面での捕集効率を高めることができ
る。繊維の表面処理は、例えば、カチオン化処理剤など
の表面改質剤を溶液又はエマルジョンなどの形態とし
て、濾材層に含浸、塗布又はコーティングなどの手段に
よって付着させることによって行うことができる。カチ
オン化処理剤としては、ポリエチルポリアミン、ポリエ
チレンイミン、ポリアミド−エピクロルヒドリン、ポリ
アリルアミン、ポリカチオン−アクリル共重合体、ポリ
ピペリジン共重合体、ポリビニルピリジン−スチレン共
重合体四級塩化物又はスチリルピリジニウム基を架橋基
としてもつ高分子などを好適に用いることができる。
【0023】本発明の平行流式フィルタでは、濾材層間
に形成される捕集性空間層が、被処理液体の流入面から
流出面まで貫通している必要がある。この貫通状態は、
被処理液体の通液中でも維持される必要がある。もっと
も、貫通状態が維持されれば、通液中に捕集性空間層の
間隔が若干変化する程度のことは問題ではない。従っ
て、濾材層を構成する濾材の材質や形状により、被処理
液体を流した際に濾材層がそれ自体の形状を維持するこ
とが困難で、隣接する濾材層が相互に接触して捕集性空
間層が閉鎖される可能性がある場合には、濾材層用の支
持体(補強材)を用いるのが好ましい。支持体として
は、繊維材料からなる編物、織物、ネット又はメッシュ
などを用いることができ、例えば、濾材層を構成する繊
維ウェブと前記支持体とを重ね、機械的な絡合処理を施
すことによって一体化することができる。また、前記の
支持体と濾材層とを単に積層させてもよい。特に、部分
的に突出した突起を有する支持体は、同時に間隔保持材
としての機能も有する。
【0024】本発明のフィルタにおいて捕集性空間層と
は、被処理液体の流入面から流出面まで貫通しているに
もかかわらず、被処理液体に含まれる捕集対象粒子を捕
集することのできる層状の空間である。従って、長期間
にわたって濾過処理を行えば、この捕集性空間層も最終
的には目詰まりを起こす。具体的には、本発明の捕集性
空間層は、濾材層の露出濾材と少なくとも部分的(好ま
しくは、図2〜図3に示すように片側面全体、より好ま
しくは両面全体)に接触しており、露出濾材表面で被処
理液体に含まれる捕集対象粒子を捕集し、次々に捕集粒
子を堆積する。また、微生物が付着することもある。こ
の結果、捕集性空間層が存在することでフィルタの捕集
対象粒子などの保持容量は、大幅にアップする。
【0025】従って、露出濾材表面の性質及び状態は、
捕集性空間層の捕集効率に影響する。例えば、前記のと
おり、少なくとも露出濾材表面が前記のカチオン化表面
処理された繊維から構成されていたり、露出濾材表面に
起毛処理が施されていたり、少なくとも露出濾材表面が
0.01〜1.5デニールの微細繊維から構成されてい
るのが好ましい。
【0026】捕集性空間層の間隔(距離)も捕集効率に
影響を与える。前記の間隔は露出濾材表面の性質及び状
態によって異なるが、一般に0.1〜2.0mm程度で
あるのが好ましい。捕集性空間層の間隔を0.1mm未
満にすると、目詰まりが生じやすくなり、圧力損失も高
くなる。また、2.0mmより大きくすると、濾材と粒
子との接触機会が減少して、必要な濾過効果が得られな
くなる。特に好ましい捕集性空間層の間隔は、0.3〜
1.0mmであり、この範囲では圧力損失を低く保った
状態で十分な捕集能力が得られる。なお、捕集性空間層
は、図1〜図5に示すように直線状であるのが好ましい
が、途中で曲げてもよい。また、捕集性空間層の間隔
は、実質的に一定であるのが好ましいが、途中で変化さ
せてもよい。なお、捕集性空間層間の距離は、フィルタ
の所定の距離(厚み)から、濾材の厚みを引いた値から
求める。濾材の厚みは、濾材を2枚の平板間に挟み、2
0g/cm2 の荷重下で測定する。
【0027】本発明のフィルタでは、間隔保持材を用い
る。間隔保持材は、捕集性空間層の貫通状態を維持する
と共に、被処理液体の通液を妨げない限り、任意のもの
を用いることができる。例えば、フィルターの被処理液
体の流入面及び流出面に樹脂を線状に塗布したり、フィ
ルターの被処理液体の流入面及び流出面に糸やテープを
貼着したり、又は立体的なネット(部分的に突出した突
起を有するネット)を濾材と積層して巻いて間隔保持材
を形成することができる。また、濾材層が形態維持性を
有する場合にはその濾材層の側面に、又は濾材層が形態
維持性を有さない場合にはその支持体の側面に、捕集性
空間層間距離に相当する高さを有する突起群を設けて、
前記各態様の間隔保持材を補助材とするか、あるいは、
前記各態様の間隔保持材に代用として用いることもでき
る。なお、間隔保持材を使用しないと、通液時の水圧に
よりフィルター形状が変形し、捕集性空間層の間隔が押
し広げられて大きな空間ができ、被処理液体の大半がこ
の空間を流れるようになり、濾過性能が著しく低下す
る。
【0028】フィルターの被処理液体の流入面及び流出
面に間隔保持材を設ける場合には、それらの間隔保持材
が被処理液体の流路を塞ぐ形で設けられることになるの
で、捕集性空間層の間隔を保持することができる範囲
で、できるだけ細いことが望ましく、その数も少ない方
がよい。また、フィルターの流入面及び流出面が円形と
なる円筒状(例えば、図4や図5の態様)の場合は、線
状の樹脂や糸又はテープなどからなる間隔保持材を、上
面及び/又は底面を形成する円の直径上に設けるのが好
ましい。
【0029】濾材層と捕集性空間層との割合(被処理液
体の通液方向にほぼ垂直な断面での割合)は特に限定さ
れないが、濾材層の占める割合が20〜80%であるこ
とが望ましい。濾材層の割合が20%未満となると濾過
能力が不足する傾向があり、80%を越えると圧力損失
が高くなり、濾材が目詰まりしやすくなる。なお、濾材
層の厚みは特に限定されないが、0.2mm以上である
ことが好ましく、特に0.3〜2.0mmであるのが好
ましい。濾材層が0.2mm未満であると捕集能力が不
足し、2.0mmを超えると捕集能力の点では問題はな
いが、フィルタサイズが決まっているため、相対的に捕
集性空間層のスペースを確保することが困難となる。
【0030】以上のように、本発明の平行流式フィルタ
は、従来の平行流式フィルタにおける空間やスペースな
どと、その構造及び機能が全く異なる捕集性空間層を有
しており、従来の平行流式フィルタとは濾過原理が全く
異なる、新規な平行流式濾過手段を提供するものであ
る。本発明の平行流式フィルタの用途は特に限定される
ものではないが、大量の水を長期にわたって処理する用
途(例えば循環処理)に特に適しており、例えば、海
水、河川、湖沼、又は池などの水の浄化や、風呂、水槽
又はスイミングプールなどの水の濁りや汚れの除去に使
用するのに適している。
【0031】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
するが、これらは本発明の範囲を限定するものではな
い。実施例1 繊度2デニールのポリアミド/ポリエステルのオレンジ
型分割繊維(鐘紡株式会社製;商品名「ベリーマX」)
100%からなる繊維ウエブに水流絡合処理を施して、
繊維を平均繊度0.2デニール程度の微細繊維に分割す
るとともに、繊維を相互に絡合させて、目付85g/m
2 、厚み0.5mmの水流絡合不織布(見かけ密度0.
17g/cm3 )を得た。この不織布とポリオレフィン
系樹脂製ネット(チッソ株式会社製;商品名「ライトロ
ンネット3012」;目合2.0mm)とをミシンで縫
い合わせて製造した濾材−支持体複合体を、複合体間隔
が0.4mmとなるように巻回積層して、直径72mm
及び高さ65mmの略円筒形状の巻回体を形成した。そ
の巻回体の上面及び底面の直径方向に、それぞれ直角に
交差する2本のポリプロピレン系ホットメルト樹脂を太
さ5mmの線状に付着させて濾材間隔を固定し(上面及
び底面に占める樹脂付着面積の割合は約17%)、本発
明によるフィルタ(濾材充填率50%)を製造した。続
いて、被処理液が循環する系内にある内径72mmのア
クリルパイプに、フィルタの濾材層と被処理液体の流れ
方向とが平行になるように、前記フィルタをセットし、
被処理液として水道水に300メッシュパスのカオリン
をホルマジン標準法濁度計にて濁度2になるように分散
させた懸濁液40リットルを流速5リットル/分の条件
で6時間循環させた。 この後、懸濁液の濁度を測定し
たところ、濁度は0.23で、濁りの目安となる濁度
0.4を下回っていた。また、被処理液を循環させる際
にフィルタの出入口での差圧を測定したところ、40m
mH2 Oであった。
【0032】実施例2 濾材間隔が0.1mmとなるように巻回積層すること以
外は、前記実施例1の操作を繰り返して、本発明による
フィルタ(濾材充填率70%)を製造した。続いて、本
例で得られたフィルタを用いて、実施例1と同様の方法
で循環懸濁液を処理したところ、濁度は0.15とな
り、差圧は100mmH2 Oであった。
【0033】実施例3 濾材間隔が2mmとなるように巻回積層すること以外
は、前記実施例1の操作を繰り返して、本発明によるフ
ィルタ(濾材充填率20%)を製造した。続いて、本例
で得られたフィルタを用いて、実施例1と同様の方法で
循環懸濁液を処理したところ、濁度は0.35となり、
差圧は20mmH2 Oであった。
【0034】実施例4 前記実施例1で用いた水流絡合不織布に代えて、メルト
ブロー法により形成した平均繊度0.02デニールのポ
リプロピレン繊維からなるメルトブロー不織布(目付8
0g/m2 、厚み0.5mm、見かけ密度0.168g
/cm3 )を用いたこと以外は、前記実施例1の操作を
繰り返して、本発明によるフィルタ(濾材充填率50
%)を製造した。続いて、本例で得られたフィルタを用
いて、実施例1と同様の方法で循環懸濁液を処理したと
ころ、濁度は0.25となり、差圧は64mmH2 Oで
あった。
【0035】実施例5 前記実施例1で用いた水流絡合不織布に代えて、平均繊
度1.5デニールのポリエステル繊維からなる繊維ウエ
ブを水流絡合処理して調製した水流絡合不織布(目付7
0g/m2 、厚み0.5mm、見かけ密度0.14g/
cm3 )を用いたこと以外は、前記実施例1の操作を繰
り返して、本発明によるフィルタ(濾材充填率50%)
を製造した。続いて、本例で得られたフィルタを用い
て、実施例1と同様の方法で循環懸濁液を処理したとこ
ろ、濁度は0.40となり、差圧は40mmH2 Oであ
った。
【0036】実施例6 前記実施例1で用いたポリオレフィン系樹脂製ネットに
代えて、厚み0.5mm及び4メッシュの立体状ネット
を用いたこと以外は、前記実施例1の操作を繰り返し
て、本発明によるフィルタを製造した。続いて、本例で
得られたフィルタを用いて、実施例1と同様の方法で循
環懸濁液を処理したところ、濁度は0.32となり、差
圧は73mmH2 Oであった。
【0037】実施例7 前記実施例1で用いた(非カチオン化表面処理)オレン
ジ型分割繊維に代えて、センカ株式会社製フィックス剤
KCF−215によってカチオン化表面処理した同様の
オレンジ型分割繊維を用いたこと以外は、前記実施例1
の操作を繰り返して、本発明によるフィルタを製造し
た。続いて、本例で得られたフィルタを用いて、実施例
1と同様の方法で循環懸濁液を処理したところ、濁度は
0.08と飛躍的に低くなり、濁りの原因物質が高い効
率で捕集され、水が清浄化された。なお、差圧は40m
mH2 Oと実施例1の場合と変わらなかった。
【0038】比較例1 実施例1で製造した水流絡合不織布(72mmφ)一枚
を、循環懸濁液の流れ方向と垂直に設置して、実施例1
と同様の循環条件で処理したところ、濁度は0.37と
良好であったが、差圧は300mmH2 Oと高かった。
なお、実施例1の懸濁液を再度調製して循環処理したと
ころ、各実施例1〜7のフィルタでは流量は5リットル
/分で変化はなかったが、この比較例1のものでは目づ
まりによって1.5リットル/分まで流量が低下した。
【0039】比較例2 実施例1で調製した略円筒形状の巻回体を、ポリプロピ
レン系ホットメルト樹脂で固定せず、そのままフィルタ
とした。続いて、本例で得られたフィルタを用いて、実
施例1と同様の方法で循環懸濁液を処理したところ、濁
度は0.54となり、差圧は32mmH2 Oであった。
濁度が十分に低下しなかったのは、水圧によって濾材間
の間隔(捕集性空間層)が広がり、懸濁液の大半がこの
空間を流れて、濁りの原因であるカオリンの粒子が十分
捕集されなかったためと考えられる。
【0040】
【発明の効果】本発明による平行流式フィルタは、大量
の被処理液体を長期間にわたって処理して、濾材層が粒
子によって目詰まりしても、被処理液体の流入面から流
出面まで貫通する捕集性空間層を有しているので、流路
が簡単に遮断されることがない。また、捕集性空間層で
も粒子の捕集が行われるので、高い捕集効率を得ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による平行流式フィルタの1態様の斜視
図である。
【図2】本発明による平行流式フィルタを容器内に装着
して濾過処理を実施する状態を模式的に示す断面図であ
る。
【図3】本発明による平行流式フィルタを容器内に装着
して濾過処理を実施する別の状態を模式的に示す断面図
である。
【図4】本発明による平行流式フィルタの別の態様の斜
視図である。
【図5】本発明による平行流式フィルタの更に別の態様
の斜視図である。
【符号の説明】
1・・平行流式フィルタ;11・・濾材層;12・・支
持体;21・・間隔保持材;31・・捕集性空間層;4
1・・容器;S・・被処理液体流入面; T・・被処理
液体流出面

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)被処理液体の流れ方向に実質的に
    平行に設けた濾材層と、(2)間隔保持材によって前記
    濾材層間に形成され、被処理液体の流入面から流出面ま
    で貫通している捕集性空間層とを含むことを特徴とす
    る、フィルタ。
JP5350119A 1993-12-29 1993-12-29 捕集性空間層を有する平行流式フィルタ Pending JPH07194908A (ja)

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