JPH07194388A - ヒト血清アルブミンの製造方法 - Google Patents
ヒト血清アルブミンの製造方法Info
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- JPH07194388A JPH07194388A JP29132394A JP29132394A JPH07194388A JP H07194388 A JPH07194388 A JP H07194388A JP 29132394 A JP29132394 A JP 29132394A JP 29132394 A JP29132394 A JP 29132394A JP H07194388 A JPH07194388 A JP H07194388A
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Abstract
ミン(HSA)産生性宿主を21〜29℃の温度条件下
で培養することを特徴とするヒト血清アルブミンの製造
方法。 【効果】 遺伝子操作により得られたHSA産生性宿主
を21〜29℃の範囲にある特定温度条件下に培養する
ことにより、HSAの産生量およびHSA産生性宿主の
増殖度が増大し、同時にHSAの着色度の低下を図るこ
とができる。
Description
転換された宿主を培養することによるヒト血清アルブミ
ン(以下HSAという)の製造方法の改良に関する。
あり、医薬として、例えば大量出血、ショックや熱傷患
者あるいは低蛋白血症、胎児性赤芽球症等の治療薬とし
て使用されている。
画からの産物として製造されている。しかし、この製造
法では不経済でありかつ原料の血液の供給が困難であ
る。また、血液は肝炎ウイルスのように好ましくない物
質を含んでいるという問題がある。
多様の有用なポリペプチドの微生物や細胞による生産が
可能となり、HSAについても遺伝子組換技術による大
量生産の研究開発が活発に行われている。しかし、その
生産収量は低く、いかに高純度で低コストの工業的生産
技術を確立できるかが問題となっている。
宿主を培地で培養するに当たり、従来は特に宿主が酵母
の場合30℃で培養することが通常行われていた(特開
平3−83595号、同4−299984号公報等)。
背景の下に、特に培養条件の改良によってHSAの生産
量をより増大させることを課題とする。
を解決すべく研究を重ねた結果、遺伝子操作により調製
されたHSA産生性宿主を培地で培養するに当たり、2
1〜29℃の温度条件下で行うことにより、HSA産生
性宿主の増殖度およびHSA産生量が増大するとともに
HSAの着色度の抑制が図られることを見出し、本発明
を完成するに到った。
り調製されたHSA産生性宿主は、遺伝子操作を経て調
製され、かつHSAを産生し得るものであれば特に限定
されず、既に公知文献記載のものの他、今後開発される
ものであっても適宜利用することができる。具体的に
は、遺伝子操作を経てHSA産生性とされた菌(例え
ば、大腸菌、酵母、枯草菌等)、動物細胞などが挙げら
れる。特に、本発明においては、宿主として、酵母、就
中サッカロマイセス属、ピキア属もしくはクルベロマイ
セス属が使用されることが好ましい。また、栄養要求性
株や抗生物質感受性株が使用できる。さらにまた、G4
18感受性株であるサッカロマイセス・セレビシエ(Sa
ccharomyces cerevisiae) AH22株(a, his 4, leu
2, can 1) 、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)G
TS115(his 4) 、クルベロマイセス・ラクティス
(Kluyveromyces lactis)MW98−8C(α, uraA,
arg, lysK + , pKD1°) 等が好適に用いられる。
びその培養によるHSAの生産方法、培養物からのHS
Aの分離採取方法はすべて公知ならびにそれに準じた手
法を採用することによって実施される。例えばHSA産
生性宿主(またはHSA産生株)の調製方法としては、
例えば通常のヒト血清アルブミン遺伝子を用いる方法
(特開昭58−56684号、同58−90515号、
同58−150517号の各公報)、新規なヒト血清ア
ルブミン遺伝子を用いる方法(特開昭62−29985
号、特開平1−98486号の各公報)、合成シグナル
配列を用いる方法(特開平1−240191号公報)、
血清アルブミンシグナル配列を用いる方法(特開平2−
167095号公報)、組換えプラスミドを染色体上に
組込む方法(特開平3−72889号公報)、宿主同士
を融合させる方法(特開平3−53877号公報)、メ
タノール含有培地中で変異を起こさせる方法、変異型A
OX 2 プロモーターを用いる方法(特開平6−9076
8号、特開平4−299984号公報)、枯草菌による
HSAの発現(特開昭62−25133号公報)、酵母
によるHSAの発現(特開昭60−41487号、同6
3−39576号、同63−74493号の各公報)、
ピキア酵母によるHSAの発現(特開平2−10429
0号公報)などが例示される。
起こさせる方法は、具体的には以下のように行う。すな
わち、まず適当な宿主、好ましくはピキア酵母、具体的
にはGTS115株(NRRL寄託番号Y−1585
1)のAOX1 遺伝子領域に常法によりAOX1 プロモ
ーター支配下にHSAが発現する転写ユニットを有する
プラスミドを導入して形質転換体を得る(特開平2−1
04290号公報を参照)。この形質転換体はメタノー
ル培地中での増殖能は弱い。そこで特開平4−2999
84号公報に記載の方法に従い、この形質転換体をメタ
ノール含有培地中で培養して変異を起こさせ、生育可能
な菌株のみを回収する。この際、メタノール濃度として
は、0.0001〜5%程度が例示される。培地は合成
培地、天然培地のいずれでもよい。培養条件としては1
5〜40℃、1〜1000時間程度が例示される。
わちHSAの産生方法)としては、上記の各公報に記載
された方法の他に、フェッドバッチ培養により、高濃度
のグルコースを適度に少量づつ供給し、産生菌体に対す
る高濃度基質阻害を避けて高濃度の菌体と産生物を得る
方法(特開平3−83595号公報)、培地中に脂肪酸
を添加してHSAの産生を増強する方法(特開平4−2
93495号公報)などが例示される。
記の各公報に記載された方法の他に加熱処理によるプロ
テアーゼの不活化(特開平3−103188号公報)、
陰イオン交換体、疎水性担体および活性炭からなる群よ
り選ばれた少なくとも一つを用いてHSAと着色成分と
を分離することによる着色抑制方法(特開平4−541
98号公報)などが例示される。
通常この分野で既知の培地が使用され、培養条件は一般
的な常法に準じて実施される。培地は合成培地、天然培
地のいずれでもよく、液体培地が好ましい。例えば、合
成培地としては、一般に炭素源として各種糖類、窒素源
として尿素、アンモニウム塩、硝酸塩など、微量栄養素
として各種ビタミン、ヌクレオチドなどの他、無機塩と
してMg、Ca、Fe、Na、K、Mn、Co、Cuな
どが例示される。YNB液体培地〔0.7%イーストナ
イトロジエンのベース(Difco 社製)、2%グルコー
ス〕などが挙げられる。また天然培地としては、YPD
液体培地〔1%イーストエキストラクト(Difco 社
製)、2%バクトペプトン(Difco 社製)、2%グルコ
ース〕が例示される。培地のpHは中性または弱塩基
性、弱酸性でよい。好ましくはpH5.7〜6.5であ
る。また、メタノール資化性宿主の場合は、メタノール
含有培地を用いることができる。この場合メタノール濃
度は0.01〜5%程度である。
指標にした場合の好適な範囲は、21〜29℃、好まし
くは21〜28℃、より好ましくは21〜25℃、さら
に好ましくは21〜23℃である。29℃より高い温度
で培養を行う場合は、菌体増殖やHSA産生が抑制さ
れ、さらにHSA着色度が上昇してしまう等の問題が生
じ、また21℃より低い温度で培養を行う場合も、菌体
増殖やHSA産生が抑制されるなど好ましくない。一
方、21℃程度までは培養温度の低下に従って菌体増殖
度及びHSA産生量が上昇する傾向が見られるものの、
培養自体が発熱を伴うことから、23℃より低い温度で
培養を行う場合は冷却装置等が別途必要となる等、温度
管理にコストや手間がかかり実際面においては好ましく
ない。特に発明の企業化を図るに際しては、HSAの産
生量の増大およびHSA着色度の抑制といった効果と共
に、コストや手間等の経済性をも重要なファクターとし
て勘案する必要がある。そこで、かかる観点から総合的
に判断した場合の好適な培養温度は23〜28℃であ
り、より好ましくは25〜27℃である。
養すれば、例えば酵母の場合、従来の30℃での培養に
比べ、HSA産生量を1.2〜1.5倍増大させること
ができるとともに、HSAの着色度も10〜30%低下
させることができる。
培養は静置または振盪、攪拌、通気下に回分培養法や半
回分培養法あるいは連続培養法により実施される。な
お、当該培養に先立って前培養を行うことが好ましい。
この際の培地としては、例えばYNB液体培地やYPD
液体培地が使用される。前培養の培養条件は次の通りで
ある。すなわち、培養時間は10〜100時間、温度は
酵母では30℃程度、細菌では37℃程度が好ましい。
たは菌体、細胞からそれぞれ公知の分離、精製手段によ
り採取される。
ーター支配下にHSAが発現する転写ユニットをもつプ
ラスミドpHSA113から、HSA遺伝子の5’ノン
コード領域を除去したHSA発現プラスミドpPGP1
を作成した。pPGP1は、正常HSAのアミノ酸配列
をコードするcDNAを有する[正常HSAのアミノ酸
配列および正常HSAをコードする染色体DNA配列
は、J. Biol. Chem., 261, 6747-6757(1986)に記載され
ている。]。そして、特開平2−104290号公報に
述べられている方法に従い、ピキアパストリス(Pichia
pastoris)GTS115(his4)のAOX1 遺伝子
領域を、HSA発現プラスミドpPGP1をNot1制
限酵素で切断して得られる断片で置換して、形質転換体
PC4130を得た。この株はAOX1 遺伝子が存在し
ないためにメタノールを炭素源とする培地での増殖能が
低くなっている(Mut−株)。
エキストラクト、2%バクトペプトン、2%グルコー
ス)3mlに植菌し、24時間後に初期OD540 =0.1
となるようにYPD培地50mlに植菌した。3日間30
℃で培養後に初期OD540 =0.1となるようにYPD
培地50mlに植菌した。さらに3日毎に同様の継代を繰
り返した。継代毎に菌体を107 cells/plate になるよ
うに滅菌水で希釈して2%MeOH−YNBw/oa.
a.プレート(0.7%イーストナイトロジエンベース
ウイズアウトアミノアシッド、2%メタノール、1.5
%(寒天末)に塗布し、30℃5日間培養してコロニー
の有無を判断した。その結果、12日間継代後に塗布し
た2%MeOH−YNBw/oa.a.プレートから2
0個のコロニーが生じた。このプレートではMut−株
はほとんど生育できず、Mut+株は生育できる。すな
わち、このプレートではコロニーが生じるということは
メタノールの資化性が上昇し、Mut+に変換した株が
得られたことを示している。生じたコロニーの内の1つ
を適当に滅菌水で希釈して2%MeOH−YNBw/o
a.a.プレートに拡げシングルコロニーに単離した。
その1つをGCP101と名付けた。
モーター [変異型。天然AOX2プロモーター (YEAST,
5, 167-177 (1988)またはMol. Cell, Biol., 9, 1316-
1323(1989) 中、開始コドン上流255番目の塩基がT
からCに変異したもの] を用いてHSA発現用プラスミ
ドpMM042を構築し、ピキアパストリス(Pichiapa
storis)GTS115株に導入し、形質転換体UHG4
2−3株を得た(特開平4−29984号公報)。
ーストエキストラクト、2%グルコース) を使用した。
バッチ培地の組成を表1に、フィード培地の組成を表2
に示す。
た培養方法 前培養 凍結ストックバイアルより、1mlをYPD培地50mlを
含むバッフル付きの300ml容三角フラスコに植菌し、
30℃、24時間振盪培養した。培養24時間後の培養
液14mlをバッチ培地700mlに植菌した。 本培養 バッチ培地700mlに前培養液14mlを植菌し、3リッ
トル容ミニジャーファーメンターを用いて通気攪拌培養
した。培養温度は、15、21、23、25、27、2
8、30℃の各温度に設定した。攪拌速度の下限を20
0rpm、上限を1000rpmに設定した。溶存酸素
濃度が飽和濃度の50%程度を保持するように制御しな
がら回分培養した。回分培養において培地中のグリセロ
ールが消費された時点よりフィード培地の添加を開始し
た。pHは6.2に定値制御した。消泡は、必要に応じ
て消泡剤を培地中に適宜添加することで実施した。培養
は360時間行った。
を用いた培養方法 前々培養 グリセロール凍結ストック菌株1mlを200mlのYPD
培地を含むバッフル付1,000ml容三角フラスコに植
菌、30℃にて24時間振盪培養した。 前培養 YPD培地5リットルを含む10リットル容ジャーファ
ーメンターに前々培養液を植菌し、30℃で24時間通
気攪拌培養した。通気は、溶存酸素濃度が飽和溶存酸素
濃度の50%程度を保持するように制御した。また、前
培養においてはpH制御は行なわなかった。
1,200リットル用ファーメンターを用いて通気攪拌
培養を行った。培養温度は23,25,27,29,3
0℃の各温度に設定した。溶存酸素濃度が飽和溶存酸素
濃度の50%〜30%程度を保持するように、攪拌速度
を制御しながら回分培養を開始した。回分培養において
培地中のグリセロールが消費された時点よりフィード培
地の添加を開始した。pHは5.85に定値制御した。
消泡は、消泡剤を培地中に適宜添加することで実施し
た。なお、培養は360時間行った。
養時間で培養液をサンプリングし、蒸留水で測定時のO
D540 値が0.3以下となるよう適当に希釈したのち分
光光度計(UV200型、島津製)を用いて540nm
における吸光度を測定した。本実験において、吸光度か
ら乾燥菌体量への変換はOD540 値/5.2とした。各
培養温度での最大菌体濃度を表3および表4に示す。
評価 実施例1の各培養温度における培養において、任意の培
養時間で培養液をサンプリングし、15,000rpmで5分
間遠心した。得られた上清をウルトラフリーC3HVに
より清澄濾過後、HPLCによるゲル濾過分析を実施し
た。 カラム :東ソー TSKgel G30
00SWX1 移動相 :0.3M NaCl, 50mM Na-Phosphat
e, 0.1% NaN3, pH6.5 流速 :0.7 ml/min. インジェクション量 :50μl 検出 :A28O 、A350 (2波長)
色度の評価も合わせて示す。産生量は30℃での培養の
HSA産生総量(g)を100としたときの各温度での
産生総量(g)を%表示した。また、着色度は、培養終
了直前時(359時間後)にサンプリングした培養液に
ついて、350nm 、280nm それぞれの波長での吸光度の比
(A350 /A28O )にて評価した。
操作により調製されたHSA産生性宿主を21〜29℃
のもとで培養することを特徴とするものであり、当該方
法によれば、HSAの産生量およびHSA産生性宿主の
増殖度が増大し、同時にHSAの着色度の低下を図るこ
とができるという効果がある。
Claims (1)
- 【請求項1】 遺伝子操作により調製されたヒト血清ア
ルブミン産生性宿主を21〜29℃の温度条件下で培養
することを特徴とするヒト血清アルブミンの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29132394A JP3772355B2 (ja) | 1993-11-26 | 1994-11-25 | ヒト血清アルブミンの製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5-296260 | 1993-11-26 | ||
JP29626093 | 1993-11-26 | ||
JP29132394A JP3772355B2 (ja) | 1993-11-26 | 1994-11-25 | ヒト血清アルブミンの製造方法 |
Related Child Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005212783A Division JP2005312463A (ja) | 1993-11-26 | 2005-07-22 | ヒト血清アルブミンの製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH07194388A true JPH07194388A (ja) | 1995-08-01 |
JP3772355B2 JP3772355B2 (ja) | 2006-05-10 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP29132394A Expired - Lifetime JP3772355B2 (ja) | 1993-11-26 | 1994-11-25 | ヒト血清アルブミンの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3772355B2 (ja) |
-
1994
- 1994-11-25 JP JP29132394A patent/JP3772355B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP3772355B2 (ja) | 2006-05-10 |
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